JP2003313134A - 血管内皮細胞増殖因子産生促進剤 - Google Patents
血管内皮細胞増殖因子産生促進剤Info
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- JP2003313134A JP2003313134A JP2002119334A JP2002119334A JP2003313134A JP 2003313134 A JP2003313134 A JP 2003313134A JP 2002119334 A JP2002119334 A JP 2002119334A JP 2002119334 A JP2002119334 A JP 2002119334A JP 2003313134 A JP2003313134 A JP 2003313134A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 血管新生誘導効果に優れる血管内
皮細胞増殖因子(VEGF)産生促進剤を得る。 【解決手段】 オランダガラシ(Nasturtium off
icinale R. Br.)抽出物を、基剤又は担体に含有させ、
安定性及び安全性が良好で、血管新生誘導効果に優れる
血管内皮細胞増殖因子(VEGF)を得る。オランダガ
ラシ(Nasturtiumofficinale R. Br.)の抽出溶媒とし
ては、水、エタノール、若しくはこれらの混合溶媒を用
いることが好ましい。本発明に係る血管内皮細胞増殖因
子(VEGF)は、特に、創傷治癒促進剤,育毛・養毛
剤等として応用され得るものである。
皮細胞増殖因子(VEGF)産生促進剤を得る。 【解決手段】 オランダガラシ(Nasturtium off
icinale R. Br.)抽出物を、基剤又は担体に含有させ、
安定性及び安全性が良好で、血管新生誘導効果に優れる
血管内皮細胞増殖因子(VEGF)を得る。オランダガ
ラシ(Nasturtiumofficinale R. Br.)の抽出溶媒とし
ては、水、エタノール、若しくはこれらの混合溶媒を用
いることが好ましい。本発明に係る血管内皮細胞増殖因
子(VEGF)は、特に、創傷治癒促進剤,育毛・養毛
剤等として応用され得るものである。
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、血管内皮細胞増殖
因子(VEGF)の産生を促進し得る血管内皮細胞増殖
因子産生促進剤に関する。本発明に係るVEGF産生促
進剤は、特に、創傷治癒促進剤,育毛・養毛剤等として
応用され得るものである。 【0002】 【従来の技術】従来、創傷の治癒促進剤や育毛,養毛剤
においては、血行を促進したり、皮膚の新陳代謝を活性
化したりする作用を有する成分が用いられてきた。かか
る血行促進剤としては、センブリ抽出物(スウェルチノ
ーゲン),セファランティン,ビタミンE及びその誘導
体,γ-オリザノール等が挙げられ、皮膚の新陳代謝を
促進する物質としては、ワサビ抽出物(特開昭62−2
15116),炭素数18〜22の不飽和結合を2以上
含有する脂肪酸又はその塩等(特開平7−19646
5),ヒドロキシサリチル酸又はそのエステルの配糖体
(特開平8−268870)などが開示されている。 【0003】また、創傷治癒促進効果を有する物質とし
ては、アスコルビン酸,アラントイン,アズレン化合
物,パントテン酸又はその塩,ビタミンB群化合物など
が知られており、その他、単球走化性活性化因子(特開
平7−82169),ヒオウギ抽出物(特開平7−13
8179),フラボノイド配糖体(特開平7−1880
31),アデノシン-3',5'-環状リン酸誘導体(特開平
9−194379,同9−194380)などが開示さ
れている。 【0004】しかしながら、上記した成分等は、必ずし
も創傷部位や毛包において特異的に作用するとは限ら
ず、期待した作用効果が十分得られなかったり、好まし
くない副作用の生じるものがあるという問題があった。 【0005】ところで、創傷治癒過程や毛包周囲におい
て血管新生が誘導され、その結果、創傷治癒や毛包の成
長期への移行が促進される可能性が示唆されている。近
年、かかる血管新生を誘導する因子として、VEGFが
見いだされている。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明におい
ては、創傷治癒剤や育毛・養毛剤に特に有効に応用し得
るような、創傷部位或いは毛包周辺の血管新生誘導効果
に優れるVEGF産生促進剤を得ることを目的とした。 【0007】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するべく
種々検討した結果、オランダガラシ抽出物に優れたVE
GF産生促進作用を見いだし、本発明を完成するに至っ
た。 【0008】 【発明の実施の形態】本発明において用いるオランダガ
ラシ(Nasturtium officinale R. Br.)は、アブラナ科
(Cruciferae)に属する多年生水生植物である。抽出に
は、花,種子,茎,葉,根等の各部位から選択される一
種又は二種以上、若しくは全草のいずれも用いることが
できるが、特に葉や茎を用いることが好ましい。 【0009】オランダガラシは、生のまま抽出に供して
もよいが、抽出効率を考えると、細切,乾燥,粉砕等の
処理を行った後に抽出を行うことが好ましい。抽出は、
抽出溶媒に浸漬して行う。抽出効率を上げるため撹拌を
行ったり、抽出溶媒中でホモジナイズしてもよい。抽出
温度としては、5℃程度から抽出溶媒の沸点以下の温度
とするのが適切である。抽出時間は抽出溶媒の種類や抽
出温度によっても異なるが、4時間〜14日間程度とす
るのが適切である。 【0010】抽出溶媒としては、水の他、メタノール,
エタノール,プロパノール,イソプロパノール等の低級
アルコール、1,3-ブチレングリコール,プロピレングリ
コール,ジプロピレングリコール,グリセリン等の多価
アルコール、エチルエーテル,プロピルエーテル等のエ
ーテル類、酢酸エチル,酢酸ブチル等のエステル類、ア
セトン,エチルメチルケトン等のケトン類などの極性有
機溶媒を用いることができ、これらより1種又は2種以
上を選択して用いる。また、生理食塩水,リン酸緩衝
液,リン酸緩衝生理食塩水等を用いてもよい。特に、水
又はエタノール、若しくはこれらの混合溶媒を用いるこ
とが好ましい。 【0011】上記溶媒による抽出物は、そのままでも本
発明に係るVEGF産生促進剤に含有させることができ
るが、濃縮,乾固したものを水や極性溶媒に再度溶解し
たり、或いはこれらの生理作用を損なわない範囲で脱
色,脱臭,脱塩等の精製処理を行ったり、カラムクロマ
トグラフィー等による分画処理を行った後に用いてもよ
い。また、リポソーム等のベシクルやマイクロカプセル
等に内包させて用いることもできる。 【0012】本発明に係るVEGF産生促進剤は、液
剤,乳剤,ゲル剤,クリーム剤,軟膏剤,粉剤,顆粒
剤,丸剤等、種々の剤型で提供することができる。ま
た、本発明に係るVEGF産生促進剤には、VEGF産
生促進作用を損なわない範囲で、油性成分,界面活性
剤,保湿剤,賦形剤,紫外線吸収剤,抗酸化剤,香料,
防菌防黴剤等の一般的な医薬品及び化粧料用添加剤を含
有させ、外用剤とすることができる。本発明に係る抽出
物の外用剤への配合量としては、その剤型により異なる
が、0.0001〜30.0重量%程度とするのが適当
である。 【0013】 【実施例】更に、本発明の特徴について、実施例により
詳細に説明する。 【0014】[実施例1]オランダガラシの全草100
gをミルで粉砕し、それぞれ50容量%エタノール水溶
液1リットル中に室温にて7日間浸漬して抽出した。抽
出物をろ過してろ液を回収し、実施例1とした。 【0015】上記実施例1について、VEGF産生促進
効果を評価した。VEGF産生促進効果の評価は、正常
ヒト表皮細胞を用いて行った。すなわち、KG2培地
(クラボウ社製)にて維持した正常ヒト表皮細胞を、9
6穴プレートに2.0×104個/ウェルとなるように
播種し、実施例1を200μg/mL含有するKG2培
地にて、37℃で24時間培養した後、培養上清中のV
EGF量をEnzyme-linked immunosorbent assay(EL
ISA)により定量した。その際、試料を添加しないK
G2培地にて培養した系を対照とした。VEGFの定量
と同時に細胞数を測定して1.0×104細胞当たりの
VEGF量を算出し、対照における1.0×104細胞
当たりのVEGF量を100とした場合のVEGF量を
求めた。その結果、実施例1のVEGF産生促進率は、
117%であった。 【0016】上述の結果から明らかなように、本発明の
実施例1を添加した系においては、VEGFの産生は対
照の約1.2倍と、有意に増加していた。 【0017】つづいて、本発明のその他の実施例につい
て示す。 【0018】[実施例2] 粉末状VEGF産生促進剤 オランダガラシの全草250gを乾燥,粉砕し、50容
量%エタノール水溶液1.5リットル中に入れ、20℃
にて10日間撹拌しながら抽出した。抽出物をろ過して
ろ液を回収し、減圧下で濃縮乾固した後凍結乾燥し、標
記実施例とした。 【0019】[実施例3] 液状VEGF産生促進剤 オランダガラシの全草計300gを乾燥,粉砕し、50
容量%エタノール水溶液2リットル中に入れ、15℃に
て14日間撹拌しながら抽出した。抽出物をろ過してろ
液を回収し、減圧下で濃縮乾固した後凍結乾燥した。凍
結乾燥物1gを次の液状基剤に溶解して100mLと
し、標記実施例とした。 【0020】 [液状基剤] (1)エタノール 20.0(重量%) (2)ポリオキシエチレン(60E.O.)硬化ヒマシ油 1.0 (3)ジプロピレングリコール 5.0 (4)1,3-ブチレングリコール 10.0 (5)パラオキシ安息香酸メチル 0.1 (6)精製水 全量を100とする量 製法:(1)〜(5)を(6)に順次添加して溶解する。 【0021】[実施例4] 乳剤状VEGF産生促進剤 オランダガラシの全草250gを乾燥,粉砕し、1,3-ブ
チレングリコール1.5リットル中に浸漬して、20℃
で10日間抽出した。抽出物をろ過してろ液を回収し、
次に示す処方により乳剤を調製して、標記実施例とし
た。 【0022】 (1)セタノール 1.0(重量%) (2)ミツロウ 0.5 (3)ワセリン 2.0 (4)スクワラン 6.0 (5)ジメチルポリシロキサン 2.0 (6)ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタン モノステアリン酸エステル 1.0 (7)グリセリルモノステアリン酸エステル 1.0 (8)グリセリン 4.0 (9)1,3-ブチレングリコール 4.0 (10)パラオキシ安息香酸メチル 0.1 (11)精製水 全量を100とする量 (12)カルボキシビニルポリマー(1.0重量%水溶液) 10.0 (13)水酸化カリウム(10.0重量%水溶液) 1.0 (14)上記オランダガラシ抽出物 2.0 製法:(1)〜(7)の油相成分を混合し、加熱溶解して75
℃とする。一方、(8)〜(11)の水相成分を混合,溶解し
て75℃とする。これに前記油相を加えて予備乳化した
後、(12)を添加してホモミキサーにて均一に乳化し、次
いで(13)を加えて増粘させた後冷却し、40℃で(14)を
添加,混合する。 【0023】[実施例5] ゲル状VEGF産生促進剤 オランダガラシの全草260gを乾燥,粉砕し、グリセ
リン1.5リットル中に入れ、15℃で14日間撹拌抽
出した。抽出物をろ過してろ液を回収し、次の処方によ
りゲル剤を調製して、標記実施例とした。 【0024】 (1)ジプロピレングリコール 10.0(重量%) (2)カルボキシビニルポリマー 0.5 (3)水酸化カリウム(10.0重量%水溶液) 1.0 (4)パラオキシ安息香酸メチル 0.1 (5)上記オランダガラシ抽出物 2.5 (6)精製水 全量を100とする量 製法:(6)に(2)を均一に溶解した後、(1)に(4),(5)を
溶解して添加し、次いで(3)を加えて増粘させる。 【0025】[実施例6] 水中油型クリーム状VEG
F産生促進剤 オランダガラシの全草300gを乾燥,粉砕し、1,2-ペ
ンチレングリコール2リットル中に浸漬して25℃で7
日間抽出した。抽出物をろ過してろ液を回収し、次の処
方により水中油型クリーム剤を調製して、標記実施例と
した。 【0026】 (1)ミツロウ 6.0(重量%) (2)セタノール 5.0 (3)還元ラノリン 8.0 (4)スクワラン 27.5 (5)グリセリル脂肪酸エステル 4.0 (6)親油型グリセリルモノステアリン酸エステル 2.0 (7)ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタン モノラウリン酸エステル 5.0 (8)プロピレングリコール 5.0 (9)パラオキシ安息香酸メチル 0.1 (10)上記オランダガラシ抽出物 2.5 (11)精製水 全量を100とする量 製法:(1)〜(7)の油相成分を混合,溶解して75℃とす
る。一方、(8)〜(11)を混合,溶解し、75℃に加熱す
る。次いで、この水相成分に前記油相成分を添加して予
備乳化した後ホモミキサーにて均一に乳化し、冷却す
る。 【0027】上記実施例2〜実施例6について、モルモ
ットの創傷部位における血管新生促進効果を評価した。
その際、センブリ抽出物(スウェルチノーゲン)を比較
例2とし、また実施例3〜実施例6において、用いたオ
ランダガラシ抽出物の替わりに、センブリ(Swertia ja
ponica Makino)の全草を同量用いて同様に調製して得
た抽出物を含有させたものをそれぞれ比較例3〜比較例
6として、同時に評価を行った。血管新生促進効果は、
背部を剃毛し、人工的に創傷を形成したモルモット5匹
を1群とし、各群の創傷部位に実施例及び比較例のそれ
ぞれを0.2gずつ1日2回塗布し、3日後の組織切片
を作成して、血管新生の様子を観察して評価した。な
お、実施例2及び比較例2は、50容量%エタノール水
溶液に1.0(w/v)%となるように溶解して塗布した。
また、50容量%エタノール水溶液を塗布した群を対照
とした。結果は、明確な血管新生を認めたモルモット数
にて表1に示した。 【0028】 【表1】 【0029】表1から明らかなように、本発明の実施例
2〜実施例6塗布群では、4例以上のモルモットにて明
確な血管新生を認めていた。これに対し比較例塗布群で
は、明確な血管新生を認めたモルモットは2例以下で、
対照群と比べて有意な差は認められなかった。 【0030】なお、本発明の実施例1〜実施例6につい
て上記評価を行った際、細胞毒性や、モルモット皮膚に
対する皮膚刺激性反応等は、全く認められなかった。ま
た、これらを25℃で6カ月間保存した後において、問
題となるVEGF産生促進効果の低下や状態の変化は見
られなかった。 【0031】 【発明の効果】以上詳述したように、本発明により、安
定性及び安全性が良好で、血管新生誘導効果に優れるV
EGF産生促進剤を得ることができた。
因子(VEGF)の産生を促進し得る血管内皮細胞増殖
因子産生促進剤に関する。本発明に係るVEGF産生促
進剤は、特に、創傷治癒促進剤,育毛・養毛剤等として
応用され得るものである。 【0002】 【従来の技術】従来、創傷の治癒促進剤や育毛,養毛剤
においては、血行を促進したり、皮膚の新陳代謝を活性
化したりする作用を有する成分が用いられてきた。かか
る血行促進剤としては、センブリ抽出物(スウェルチノ
ーゲン),セファランティン,ビタミンE及びその誘導
体,γ-オリザノール等が挙げられ、皮膚の新陳代謝を
促進する物質としては、ワサビ抽出物(特開昭62−2
15116),炭素数18〜22の不飽和結合を2以上
含有する脂肪酸又はその塩等(特開平7−19646
5),ヒドロキシサリチル酸又はそのエステルの配糖体
(特開平8−268870)などが開示されている。 【0003】また、創傷治癒促進効果を有する物質とし
ては、アスコルビン酸,アラントイン,アズレン化合
物,パントテン酸又はその塩,ビタミンB群化合物など
が知られており、その他、単球走化性活性化因子(特開
平7−82169),ヒオウギ抽出物(特開平7−13
8179),フラボノイド配糖体(特開平7−1880
31),アデノシン-3',5'-環状リン酸誘導体(特開平
9−194379,同9−194380)などが開示さ
れている。 【0004】しかしながら、上記した成分等は、必ずし
も創傷部位や毛包において特異的に作用するとは限ら
ず、期待した作用効果が十分得られなかったり、好まし
くない副作用の生じるものがあるという問題があった。 【0005】ところで、創傷治癒過程や毛包周囲におい
て血管新生が誘導され、その結果、創傷治癒や毛包の成
長期への移行が促進される可能性が示唆されている。近
年、かかる血管新生を誘導する因子として、VEGFが
見いだされている。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明におい
ては、創傷治癒剤や育毛・養毛剤に特に有効に応用し得
るような、創傷部位或いは毛包周辺の血管新生誘導効果
に優れるVEGF産生促進剤を得ることを目的とした。 【0007】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するべく
種々検討した結果、オランダガラシ抽出物に優れたVE
GF産生促進作用を見いだし、本発明を完成するに至っ
た。 【0008】 【発明の実施の形態】本発明において用いるオランダガ
ラシ(Nasturtium officinale R. Br.)は、アブラナ科
(Cruciferae)に属する多年生水生植物である。抽出に
は、花,種子,茎,葉,根等の各部位から選択される一
種又は二種以上、若しくは全草のいずれも用いることが
できるが、特に葉や茎を用いることが好ましい。 【0009】オランダガラシは、生のまま抽出に供して
もよいが、抽出効率を考えると、細切,乾燥,粉砕等の
処理を行った後に抽出を行うことが好ましい。抽出は、
抽出溶媒に浸漬して行う。抽出効率を上げるため撹拌を
行ったり、抽出溶媒中でホモジナイズしてもよい。抽出
温度としては、5℃程度から抽出溶媒の沸点以下の温度
とするのが適切である。抽出時間は抽出溶媒の種類や抽
出温度によっても異なるが、4時間〜14日間程度とす
るのが適切である。 【0010】抽出溶媒としては、水の他、メタノール,
エタノール,プロパノール,イソプロパノール等の低級
アルコール、1,3-ブチレングリコール,プロピレングリ
コール,ジプロピレングリコール,グリセリン等の多価
アルコール、エチルエーテル,プロピルエーテル等のエ
ーテル類、酢酸エチル,酢酸ブチル等のエステル類、ア
セトン,エチルメチルケトン等のケトン類などの極性有
機溶媒を用いることができ、これらより1種又は2種以
上を選択して用いる。また、生理食塩水,リン酸緩衝
液,リン酸緩衝生理食塩水等を用いてもよい。特に、水
又はエタノール、若しくはこれらの混合溶媒を用いるこ
とが好ましい。 【0011】上記溶媒による抽出物は、そのままでも本
発明に係るVEGF産生促進剤に含有させることができ
るが、濃縮,乾固したものを水や極性溶媒に再度溶解し
たり、或いはこれらの生理作用を損なわない範囲で脱
色,脱臭,脱塩等の精製処理を行ったり、カラムクロマ
トグラフィー等による分画処理を行った後に用いてもよ
い。また、リポソーム等のベシクルやマイクロカプセル
等に内包させて用いることもできる。 【0012】本発明に係るVEGF産生促進剤は、液
剤,乳剤,ゲル剤,クリーム剤,軟膏剤,粉剤,顆粒
剤,丸剤等、種々の剤型で提供することができる。ま
た、本発明に係るVEGF産生促進剤には、VEGF産
生促進作用を損なわない範囲で、油性成分,界面活性
剤,保湿剤,賦形剤,紫外線吸収剤,抗酸化剤,香料,
防菌防黴剤等の一般的な医薬品及び化粧料用添加剤を含
有させ、外用剤とすることができる。本発明に係る抽出
物の外用剤への配合量としては、その剤型により異なる
が、0.0001〜30.0重量%程度とするのが適当
である。 【0013】 【実施例】更に、本発明の特徴について、実施例により
詳細に説明する。 【0014】[実施例1]オランダガラシの全草100
gをミルで粉砕し、それぞれ50容量%エタノール水溶
液1リットル中に室温にて7日間浸漬して抽出した。抽
出物をろ過してろ液を回収し、実施例1とした。 【0015】上記実施例1について、VEGF産生促進
効果を評価した。VEGF産生促進効果の評価は、正常
ヒト表皮細胞を用いて行った。すなわち、KG2培地
(クラボウ社製)にて維持した正常ヒト表皮細胞を、9
6穴プレートに2.0×104個/ウェルとなるように
播種し、実施例1を200μg/mL含有するKG2培
地にて、37℃で24時間培養した後、培養上清中のV
EGF量をEnzyme-linked immunosorbent assay(EL
ISA)により定量した。その際、試料を添加しないK
G2培地にて培養した系を対照とした。VEGFの定量
と同時に細胞数を測定して1.0×104細胞当たりの
VEGF量を算出し、対照における1.0×104細胞
当たりのVEGF量を100とした場合のVEGF量を
求めた。その結果、実施例1のVEGF産生促進率は、
117%であった。 【0016】上述の結果から明らかなように、本発明の
実施例1を添加した系においては、VEGFの産生は対
照の約1.2倍と、有意に増加していた。 【0017】つづいて、本発明のその他の実施例につい
て示す。 【0018】[実施例2] 粉末状VEGF産生促進剤 オランダガラシの全草250gを乾燥,粉砕し、50容
量%エタノール水溶液1.5リットル中に入れ、20℃
にて10日間撹拌しながら抽出した。抽出物をろ過して
ろ液を回収し、減圧下で濃縮乾固した後凍結乾燥し、標
記実施例とした。 【0019】[実施例3] 液状VEGF産生促進剤 オランダガラシの全草計300gを乾燥,粉砕し、50
容量%エタノール水溶液2リットル中に入れ、15℃に
て14日間撹拌しながら抽出した。抽出物をろ過してろ
液を回収し、減圧下で濃縮乾固した後凍結乾燥した。凍
結乾燥物1gを次の液状基剤に溶解して100mLと
し、標記実施例とした。 【0020】 [液状基剤] (1)エタノール 20.0(重量%) (2)ポリオキシエチレン(60E.O.)硬化ヒマシ油 1.0 (3)ジプロピレングリコール 5.0 (4)1,3-ブチレングリコール 10.0 (5)パラオキシ安息香酸メチル 0.1 (6)精製水 全量を100とする量 製法:(1)〜(5)を(6)に順次添加して溶解する。 【0021】[実施例4] 乳剤状VEGF産生促進剤 オランダガラシの全草250gを乾燥,粉砕し、1,3-ブ
チレングリコール1.5リットル中に浸漬して、20℃
で10日間抽出した。抽出物をろ過してろ液を回収し、
次に示す処方により乳剤を調製して、標記実施例とし
た。 【0022】 (1)セタノール 1.0(重量%) (2)ミツロウ 0.5 (3)ワセリン 2.0 (4)スクワラン 6.0 (5)ジメチルポリシロキサン 2.0 (6)ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタン モノステアリン酸エステル 1.0 (7)グリセリルモノステアリン酸エステル 1.0 (8)グリセリン 4.0 (9)1,3-ブチレングリコール 4.0 (10)パラオキシ安息香酸メチル 0.1 (11)精製水 全量を100とする量 (12)カルボキシビニルポリマー(1.0重量%水溶液) 10.0 (13)水酸化カリウム(10.0重量%水溶液) 1.0 (14)上記オランダガラシ抽出物 2.0 製法:(1)〜(7)の油相成分を混合し、加熱溶解して75
℃とする。一方、(8)〜(11)の水相成分を混合,溶解し
て75℃とする。これに前記油相を加えて予備乳化した
後、(12)を添加してホモミキサーにて均一に乳化し、次
いで(13)を加えて増粘させた後冷却し、40℃で(14)を
添加,混合する。 【0023】[実施例5] ゲル状VEGF産生促進剤 オランダガラシの全草260gを乾燥,粉砕し、グリセ
リン1.5リットル中に入れ、15℃で14日間撹拌抽
出した。抽出物をろ過してろ液を回収し、次の処方によ
りゲル剤を調製して、標記実施例とした。 【0024】 (1)ジプロピレングリコール 10.0(重量%) (2)カルボキシビニルポリマー 0.5 (3)水酸化カリウム(10.0重量%水溶液) 1.0 (4)パラオキシ安息香酸メチル 0.1 (5)上記オランダガラシ抽出物 2.5 (6)精製水 全量を100とする量 製法:(6)に(2)を均一に溶解した後、(1)に(4),(5)を
溶解して添加し、次いで(3)を加えて増粘させる。 【0025】[実施例6] 水中油型クリーム状VEG
F産生促進剤 オランダガラシの全草300gを乾燥,粉砕し、1,2-ペ
ンチレングリコール2リットル中に浸漬して25℃で7
日間抽出した。抽出物をろ過してろ液を回収し、次の処
方により水中油型クリーム剤を調製して、標記実施例と
した。 【0026】 (1)ミツロウ 6.0(重量%) (2)セタノール 5.0 (3)還元ラノリン 8.0 (4)スクワラン 27.5 (5)グリセリル脂肪酸エステル 4.0 (6)親油型グリセリルモノステアリン酸エステル 2.0 (7)ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタン モノラウリン酸エステル 5.0 (8)プロピレングリコール 5.0 (9)パラオキシ安息香酸メチル 0.1 (10)上記オランダガラシ抽出物 2.5 (11)精製水 全量を100とする量 製法:(1)〜(7)の油相成分を混合,溶解して75℃とす
る。一方、(8)〜(11)を混合,溶解し、75℃に加熱す
る。次いで、この水相成分に前記油相成分を添加して予
備乳化した後ホモミキサーにて均一に乳化し、冷却す
る。 【0027】上記実施例2〜実施例6について、モルモ
ットの創傷部位における血管新生促進効果を評価した。
その際、センブリ抽出物(スウェルチノーゲン)を比較
例2とし、また実施例3〜実施例6において、用いたオ
ランダガラシ抽出物の替わりに、センブリ(Swertia ja
ponica Makino)の全草を同量用いて同様に調製して得
た抽出物を含有させたものをそれぞれ比較例3〜比較例
6として、同時に評価を行った。血管新生促進効果は、
背部を剃毛し、人工的に創傷を形成したモルモット5匹
を1群とし、各群の創傷部位に実施例及び比較例のそれ
ぞれを0.2gずつ1日2回塗布し、3日後の組織切片
を作成して、血管新生の様子を観察して評価した。な
お、実施例2及び比較例2は、50容量%エタノール水
溶液に1.0(w/v)%となるように溶解して塗布した。
また、50容量%エタノール水溶液を塗布した群を対照
とした。結果は、明確な血管新生を認めたモルモット数
にて表1に示した。 【0028】 【表1】 【0029】表1から明らかなように、本発明の実施例
2〜実施例6塗布群では、4例以上のモルモットにて明
確な血管新生を認めていた。これに対し比較例塗布群で
は、明確な血管新生を認めたモルモットは2例以下で、
対照群と比べて有意な差は認められなかった。 【0030】なお、本発明の実施例1〜実施例6につい
て上記評価を行った際、細胞毒性や、モルモット皮膚に
対する皮膚刺激性反応等は、全く認められなかった。ま
た、これらを25℃で6カ月間保存した後において、問
題となるVEGF産生促進効果の低下や状態の変化は見
られなかった。 【0031】 【発明の効果】以上詳述したように、本発明により、安
定性及び安全性が良好で、血管新生誘導効果に優れるV
EGF産生促進剤を得ることができた。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
Fターム(参考) 4C083 AA082 AA111 AA112 AB032
AC012 AC022 AC072 AC122
AC422 AC482 AD092 AD152
AD442 AD512 CC37 DD31
DD33
4C088 AB15 BA10 CA11 MA63 NA14
ZA92
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】 オランダガラシ抽出物を含有して成る、
血管内皮細胞増殖因子産生促進剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002119334A JP2003313134A (ja) | 2002-04-22 | 2002-04-22 | 血管内皮細胞増殖因子産生促進剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002119334A JP2003313134A (ja) | 2002-04-22 | 2002-04-22 | 血管内皮細胞増殖因子産生促進剤 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2003313134A true JP2003313134A (ja) | 2003-11-06 |
Family
ID=29535927
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002119334A Pending JP2003313134A (ja) | 2002-04-22 | 2002-04-22 | 血管内皮細胞増殖因子産生促進剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003313134A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003313113A (ja) * | 2002-04-22 | 2003-11-06 | Noevir Co Ltd | 育毛剤 |
CN102697045A (zh) * | 2012-06-09 | 2012-10-03 | 东莞市照燕生物科技有限公司 | 一种促进红细胞生长的保健品 |
CN115209867A (zh) * | 2020-03-05 | 2022-10-18 | 一丸自然美健有限公司 | 毛发生长促进用和/或白发改善用组合物 |
-
2002
- 2002-04-22 JP JP2002119334A patent/JP2003313134A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003313113A (ja) * | 2002-04-22 | 2003-11-06 | Noevir Co Ltd | 育毛剤 |
CN102697045A (zh) * | 2012-06-09 | 2012-10-03 | 东莞市照燕生物科技有限公司 | 一种促进红细胞生长的保健品 |
CN115209867A (zh) * | 2020-03-05 | 2022-10-18 | 一丸自然美健有限公司 | 毛发生长促进用和/或白发改善用组合物 |
CN115209867B (zh) * | 2020-03-05 | 2024-04-09 | 一丸自然美健有限公司 | 毛发生长促进用和/或白发改善用组合物 |
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