JP2003311301A - 熱延鋼板の製造方法 - Google Patents

熱延鋼板の製造方法

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JP2003311301A
JP2003311301A JP2002125939A JP2002125939A JP2003311301A JP 2003311301 A JP2003311301 A JP 2003311301A JP 2002125939 A JP2002125939 A JP 2002125939A JP 2002125939 A JP2002125939 A JP 2002125939A JP 2003311301 A JP2003311301 A JP 2003311301A
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Yukio Takashima
由紀雄 高嶋
Masaru Miyake
勝 三宅
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Abstract

(57)【要約】 【課題】粗加工工程に板厚プレス装置を備えた熱間圧延
設備による熱延鋼板の製造方法において、熱間スラブの
板厚プレス加工を行う際の幅方向歪分布をできるだけ均
一に近づけることにより、熱延鋼板の材質や超微細組織
を有する高張力熱延鋼板の組織を幅方向に均一とする。 【解決手段】熱間スラブの幅圧下装置5と板厚プレス装
置6とをこの順に配置した熱間圧延設備による熱延鋼板
の製造方法において、幅圧下装置5により熱間スラブを
幅圧下し、しかる後に板厚プレス装置6により板厚圧下
率を40%以上として板厚圧下する。あるいは、板厚プ
レス装置6による板厚圧下率が大きいほど、これに先立
って行う幅圧下装置5による幅圧下率も大きくなるよう
に各圧下率を設定する。幅圧下装置5は、幅圧下プレス
装置であることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱間スラブの板厚
プレス装置を備えた熱間圧延設備による熱延鋼板の製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】熱間圧延設備による熱延鋼板の製造にお
いては、通常、連続鋳造によって鋳造されたスラブを、
粗圧延工程(粗加工工程)において粗圧延して粗バーと
し、さらに仕上圧延工程において所定の板厚まで仕上圧
延して、熱延鋼板とする。その際、スラブ厚さから所定
の粗バー厚さまでの圧延には、粗圧延機による圧延を複
数パス要するのが一般的である。したがって、その間の
空冷や圧延ロールへの抜熱などにより材料温度が低下す
るため、従来の粗圧延では、熱間スラブが圧延開始前に
保持していた熱量の消失量が大きく、仕上圧延機入側で
の粗バー温度を高温に保つことが難しい場合があった。
【0003】そこで、粗圧延において、従来の粗圧延機
よりも短時間あるいは少ない加工回数で粗バーまで減厚
することができる大圧下手段の検討が行われてきた。そ
の一例として、特開平11−77103号公報(先行文
献1)には、粗加工工程の減厚手段の少なくとも一部と
して鍛造加工手段(板厚プレス装置)を有する設備、及
びこの装置を用いて圧下率30%以上の鍛造加工(板厚
プレス)を行う方法が記載されている。この板厚プレス
装置によれば、従来の粗圧延機による圧延よりも大圧下
が可能となる。また、先行文献1には、スラブ内の空隙
などの内部欠陥に対しても、ロールによる圧延よりもプ
レスによる圧下の方が板厚中央部まで圧下歪が浸透しや
すく、内部欠陥の圧着に有利であることも記載されてい
る。
【0004】ところで、上記の板厚プレス装置によりス
ラブを圧下する際には、スラブの幅方向に歪分布が生じ
る。すなわち、平面歪状態である板幅中央部の方が歪量
は大きく、幅方向にも変形する平面応力状態である板端
部では歪量は小さい。特開2000−254704号公
報(先行文献2)では、このような歪の幅方向分布があ
ると、前述したような内質改善効果(内部欠陥の圧着)
が板幅端部では小さくなると指摘し、その対策として、
板厚プレス加工の前に幅方向の圧下を行い、板幅端部の
板厚を増加させた後に圧下率30%以上の板厚プレスを
行う方法が提案されている。そして、この方法によれ
ば、板幅端部の歪量を増加させることができ、板幅中央
部と同等の内質改善効果を与えることができるとしてい
る。ただし、圧下歪0.45(圧下率36%程度)以上
であれば、幅圧下による歪を加えなくても、板厚プレス
加工によって内質改善に十分な歪量を与えることができ
ると記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】近年、自動車の軽量
化、建築物の高層化等のニーズに対応し、鋼材の高強度
化が求められている。一般的に鋼材の強度を上げると靭
性が低下するが、結晶粒微細化による強化の場合、靭性
を低下させずに強度を向上させることが可能であり、種
々の結晶微細化技術が提案されている。そして、その内
の一つとして、大圧下加工を行うことにより結晶粒が微
細化することが知られている。
【0006】しかし、例えば平均粒径3μm以下の超微
細粒組織を得るためには、1パスで50%以上の圧下が
必要であるといわれている。このような圧下率を実現す
ることは、通常の粗圧延で行われている圧延ロールによ
る圧下による方法では、圧延ロールへの噛み込み限界な
どの理由により不可能であった。ところが、鍛造加工で
ある前述した板厚プレスによる圧下であれば、圧下率5
0%以上も実現可能である。
【0007】そこで、本発明者等は、板厚プレス装置を
用いて熱間スラブに圧下率50%以上の大圧下を加える
ことにより、結晶粒を微細化する方法を試みた。その結
果、得られた熱延鋼板の板幅中央部の結晶粒径は微細化
したものの、板幅端部付近の結晶粒径は十分に微細化さ
せることができなかった。この結果は、前述した幅方向
の歪量分布が結晶粒の微細化に影響していることによる
ものと推察された。ここで、歪量とは、3軸方向の垂直
歪、せん断歪から計算されるいわゆる相当歪のことを指
している。
【0008】先行文献2によれば、スラブの内質改善に
対しては、板厚プレスによる圧下率が36%以上であれ
ば、幅圧下を加える必要はないと記載されている。つま
り、先行文献2は、歪の幅方向分布についての記載はあ
るものの、スラブの内質改善に対して必要最低限の幅圧
下量を規定しているだけであって、幅方向の歪を均一に
するための条件を示したものではない。
【0009】本発明の目的は、上記の従来技術の問題点
を解決し、粗加工工程に板厚プレス装置を備えた熱間圧
延設備による熱延鋼板の製造方法において、熱間スラブ
の板厚プレス加工を行う際の幅方向歪分布をできるだけ
均一に近づけることにより、熱延鋼板の材質を幅方向に
均一にする方法、さらには幅方向に均一な超微細組織を
有する高張力熱延鋼板を製造する方法を提供することに
ある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、熱間スラ
ブを板厚プレス加工した際の幅方向の歪分布を把握する
ため、シミュレーション計算を行った。図3はその計算
結果の一例であり、スラブを板厚プレス装置により板厚
圧下した時の幅方向の歪量分布(板厚方向平均値)を示
している。計算条件は、厚さ250mm、幅1200m
mのスラブを、それぞれ厚さ175,125,100m
mまで圧下した場合(板厚圧下率30,50,60%)
の3通りとした。この図からも明らかなように、例えば
板厚圧下率が50%の場合、板幅端部付近の歪量は板幅
中心部の8割程度しかなく、歪量が幅方向で極めて不均
一であることがわかる。また、板厚圧下率が大きいほ
ど、歪量が幅方向で不均一となっている。
【0011】このような幅方向歪量分布の不均一を解消
するため、本発明者等は、スラブの板厚プレス加工に先
立ち、まずスラブに幅圧下を行って板幅端部付近の板厚
を増加させ、しかる後に板厚プレス加工を行う方法につ
いて種々検討を重ねた。図4は本検討における計算結果
の一例であり、スラブを板厚プレス装置により圧下した
時の幅方向の歪量分布(板厚方向平均値)の改善例を示
している。計算条件は、厚さ250mm、幅1200m
mのスラブを、幅圧下プレス装置により180mm幅圧
下(幅圧下率15%)した後、板厚プレス装置により厚
さ125mmまで板厚圧下(板厚圧下率50%)するも
のとした。本図には、図3で示した幅圧下を行わない場
合(板厚圧下率50%)の計算結果も同時に点線で示し
ている。この図からも明らかなように、板厚プレス加工
に先立ち、幅圧下を適切な条件で行うことにより、板厚
プレス加工時の幅方向歪量分布をほぼ均一にすることが
できる。
【0012】本発明の熱延鋼板の製造方法は、以上のよ
うなシミュレーション計算や実際のプレス加工試験など
により得られた知見に基づきなされたものであり、以下
のような特徴を有する。
【0013】(1)熱間スラブを幅方向に圧下する幅圧
下装置と、板厚方向にプレス加工する板厚プレス装置と
をこの順に配置した熱間圧延設備による熱延鋼板の製造
方法において、前記板厚プレス装置による板厚圧下率を
40%以上とする場合には、前記幅圧下装置により熱間
スラブを幅圧下し、しかる後に前記板厚プレス装置によ
り板厚圧下することを特徴とする熱延鋼板の製造方法。
【0014】(2)熱間スラブを幅方向に圧下する幅圧
下装置と、板厚方向にプレス加工する板厚プレス装置と
をこの順に配置した熱間圧延設備による熱延鋼板の製造
方法において、前記板厚プレス装置による板厚圧下率が
大きいほど、これに先立って行う前記幅圧下装置による
幅圧下率も大きくなるように前記板厚圧下率及び前記幅
圧下率を設定することを特徴とする熱延鋼板の製造方
法。
【0015】(3)下記(1)式を満足する板厚圧下率
rhと幅圧下率rwで幅圧下装置による幅圧下と板厚プレ
ス装置による板厚圧下を行うことを特徴とする上記
(2)に記載の熱延鋼板の製造方法。
【0016】rw=a×rh+b ・・・(1) ただし、a,bはスラブの板厚、板幅、幅圧下装置及び
板厚プレス装置の工具形状等により定まる定数である。
【0017】(4)熱間スラブを幅方向に圧下する幅圧
下装置と、板厚方向にプレス加工する板厚プレス装置と
をこの順に配置した熱間圧延設備による熱延鋼板の製造
方法において、下記(2)式を満足する板厚圧下率rh
(%)と幅圧下率rw(%)で幅圧下装置による幅圧下
と板厚プレス装置による板厚圧下を行うことを特徴とす
る熱延鋼板の製造方法。
【0018】 0.75×rh−30≦rw≦0.75×rh−16 ・・・(2) ただし、rw≧0である。
【0019】(5)幅圧下装置が、熱間スラブを幅方向
にプレス加工する幅圧下プレス装置であることを特徴と
する上記(1)乃至(4)のいずれかに記載の熱延鋼板
の製造方法。
【0020】(6)上記(1)乃至(5)のいずれかに
記載の熱延鋼板の製造方法において、板厚プレス装置に
よる板厚圧下率を50%以上とすることを特徴とする超
微細組織を有する高張力熱延鋼板の製造方法。
【0021】
【発明の実施の形態】図1は本発明の実施に供する熱間
圧延設備の一例を示す全体構成図である。この熱間圧延
設備は、熱間スラブS1を粗バーへ加工する粗加工工程
の粗加工設備1、粗バーを所定の鋼板板厚へ圧延する仕
上圧延工程の仕上圧延機列2、鋼板S2を冷却する冷却
装置3及びこれを巻き取るダウンコイラー4を備えてい
る。また、本発明では、粗加工設備1として、熱間スラ
ブS1を幅方向に圧下する幅圧下装置5と、その下流側
に熱間スラブS1を板厚方向に圧下する板厚プレス装置
6を設ける。図1に示す実施形態では、幅圧下装置5と
板厚プレス装置6を各1台設けているが、幅圧下装置5
や板厚プレス装置6を複数台備えてもよいし、これらの
上流側及び/又は下流側に粗圧延機を設置してもよい。
【0022】図1の熱間圧延設備では、粗加工設備1の
入側へ搬送されてきた熱間スラブS1を、粗加工設備1
の幅圧下装置5により幅圧下を行い、しかる後に板厚プ
レス装置6により板厚プレス加工(減厚加工)を施して
所定の板幅・板厚の粗バーとする。そして、引き続き仕
上圧延工程の仕上圧延機列2により所定の板厚まで仕上
圧延し、冷却装置3で冷却して熱延鋼板S2とし、これ
をダウンコイラー4へ巻き取る。
【0023】このように、本発明では、粗加工工程へ搬
送されてきた熱間スラブS1に対し、まず幅圧下装置5
により所定の幅圧下を行い、その後に板厚プレス装置6
による板厚圧下を行う。このような順序で圧下を行うこ
とにより、板厚プレス加工前のスラブ幅端部付近の厚さ
が増し、板厚プレス加工後の歪量の幅方向分布を均一に
近づけることができる。
【0024】本発明者等は、図4でその一例を示したよ
うな、幅圧下条件と板厚プレス条件とを種々変更したシ
ミュレーション計算を行い、幅方向歪量分布をほぼ均一
とするための条件を検討した。図2はその計算結果であ
り、幅方向歪量分布をほぼ均一とするための板厚圧下率
と幅圧下率との関係を示した図である。なお、この時の
スラブサイズは、厚さ250mm、幅1200mmであ
り、幅圧下装置5は幅圧下プレス装置とした。
【0025】図2において、●印の3点は、板厚プレス
加工による圧下率がそれぞれ30,50,60%の場合
に、幅方向歪量分布がほぼ均一となる幅圧下率をプロッ
トしたものである。そして、これら3点を直線で近似す
ると、実線のようになり、この直線は下記(3)式のよ
うに表される。
【0026】rw=0.75×rh−23 (3) ここで、rwは幅圧下率(%)、rhは板厚圧下率
(%)、また、rw≧0である。
【0027】このように、板厚プレス装置6による板厚
圧下率が30%程度までであれば幅圧下は必要ない。し
かし、それを超える場合には、幅方向歪量分布の均一化
のためには、板厚プレス加工に先立って幅圧下装置5に
より幅圧下を行うことが必要である。そして、板厚圧下
率が大きいほど、幅圧下率も大きくする必要があり、そ
の適性値は上記(3)式のように表される。
【0028】ところで、上記(3)式は、幅方向歪量分
布をほぼ均一とするための理想的な条件を示したもので
ある。この式を満足するように板厚圧下率と幅圧下率を
設定することが望ましいが、必ずしも厳密にこの式を満
たすことは必要ではない。例えば、幅方向の歪量分布が
±5%程度変動していたとしても、この程度の変動であ
れば、熱延鋼板幅方向での材質均一化に与える影響は無
視してよい。そこで、この幅方向歪量分布の±5%の変
動を許容する時、上記(3)式における幅圧下率の許容
範囲を求めたところ、約±7%であることがわかった。
すなわち、幅圧下率rwの許容範囲は、下記(4)式の
ように表される。
【0029】 0.75×rh−30≦rw≦0.75×rh−16 (4) ただし、rw≧0である。
【0030】したがって、板厚プレス装置6による板厚
圧下率rhに応じて、それに先立って行う幅圧下装置5
による幅圧下率rwを上記(4)式の範囲、すなわち図
2における点線の範囲内とすることにより、板厚プレス
加工時の幅方向歪量分布をほぼ均一とすることができ
る。
【0031】なお、図2において、実線の横軸切片(上
記(1)式におけるrw=0の時)は、板厚圧下率約3
1%である。つまり、板厚プレス装置6による板厚プレ
ス加工時の板厚圧下率が31%以上となる場合には、そ
れに先立って幅圧下装置5により幅圧下を行うべきであ
ることがわかる。また、図2における下側の点線の横軸
切片(上記(4)式のrw=0におけるrhの上限)は、
板厚圧下率40%である。つまり、少なくとも板厚圧下
率が40%以上となる場合には、幅圧下を行う必要があ
る。その際の幅圧下率は、上記(4)式を満たすことが
望ましいが、それ以下の幅圧下率であっても、幅方向歪
量分布を均一に近づけることには寄与する。
【0032】また、図2で示した板厚圧下率と幅圧下率
の関係は、厳密には、スラブの板厚、板幅、あるいは幅
圧下装置5や板厚プレス装置6の工具形状等により異な
るものである。図2で示した計算で用いた条件は代表的
なものを選んでおり、図2で示した関係を他の条件にお
いてもそのまま用いて差し支えない。しかし、これらの
関係を、スラブの板厚や板幅、幅圧下装置5や板厚プレ
ス装置6の工具形状等により別途求めてもよい。すなわ
ち、上記(3)式を、下記(5)式のように置き換えて
もよい。
【0033】rw=a×rh+b (5) ただし、a,bはスラブの板厚、板幅、幅圧下装置及び
板厚プレス装置の工具形状等により定まる定数であり、
各条件毎に求めておく。そして、この上記(5)式によ
って、幅圧下率を決定してもよい。
【0034】次に、スラブの幅圧下装置5としては、竪
ロールにより幅方向に圧延する竪圧延機と、幅方向にプ
レス加工する幅圧下プレス装置が一般的である。これら
の幅圧下装置により幅圧下を行うと、ドッグボーンと呼
ばれる板幅端部付近に局所的な板厚増加が生じる。図5
はこれらの幅圧下装置により生じるドッグボーン形状の
差の説明図であり、(a)が竪ロールによる竪圧延機の
場合、(b)が幅圧下プレス装置の場合である。本図に
示すように、竪圧延機の場合には板幅端部付近に板厚増
加が集中するのに対し、幅圧下プレス装置の場合には比
較的板幅方向中央近くにまで板厚増加部が達する。一
方、板厚プレス時に発生する幅方向歪量分布は、図3に
示したように、板幅端部だけが小さいのではなく、板幅
中央部付近からなだらかに減少している。すなわち、幅
圧下プレス装置による幅圧下により発生するドッグボー
ン形状の方が、竪圧延機により発生するドッグボーンよ
りも、板厚プレス加工時の幅方向歪量分布に類似してい
る。したがって、本発明では、幅圧下プレス装置により
スラブを圧下する方が、板厚プレス加工時の歪量を幅方
向に均一とすることができ、好ましい。
【0035】さらに、板厚プレス加工による板厚圧下率
を50%以上として本発明を適用することにより、幅方
向ほぼ均一に直径3μm以下の超微細組織を得ることが
できる。このような超微細組織を有する高張力熱延鋼板
を製造する場合に、本発明は特に効果的である。
【0036】なお、本発明の適用は上記の超微細組織を
有する高張力熱延鋼板の製造に限定されるものではな
く、歪を幅方向にほぼ均一にすることにより、他の品種
の熱延鋼板の製造においても、幅方向の材質を均一にす
ることができる。
【0037】
【実施例】図1に示す熱間圧延設備を用いて熱延鋼板の
製造を行った。ただし、粗加工設備1としては、幅圧下
装置5としての幅圧下プレス装置、板厚プレス装置6、
さらに粗圧延機(図示せず)をこの順に備えた。
【0038】(実施例1)厚さ250mm、幅1200
mmのスラブを加熱炉(図示せず)で1200℃に加熱
した後、幅圧下プレス装置5により幅圧下を行い、引き
続き板厚プレス装置6により板厚圧下を行った。その際
の幅圧下条件及び板厚圧下条件は、表1の通りとした。
なお、表1に示すように、幅圧下を行わない例も比較例
として実施した。その後、粗圧延機により板厚35mm
まで圧延し、さらに7スタンドからなる仕上圧延機列2
により板厚3.0mmに仕上圧延を行い、冷却装置3に
よる冷却後にダウンコイラー4へ巻き取った。
【0039】そして、得られた熱延鋼板から幅方向にサ
ンプルを切り出し、組織を調査した。その結果、本発明
例1〜4でそれぞれ直径は異なるものの、直径約4〜7
μmの範囲内で、いずれの場合も幅方向にほぼ均一な粒
径のミクロ組織が得られた。一方、比較例では、板幅中
央部では直径約5μm程度のミクロ組織が得られたが、
板幅端部になるにしたがい粒径が大きくなり、板幅端部
近傍では約10μmの組織となった。
【0040】
【表1】
【0041】(実施例2)本発明例5として、厚さ25
0mm、幅1200mmのスラブを加熱炉で1200℃
に加熱した後、幅圧下プレス装置5により264mmの
幅圧下(幅圧下率22%)を行い、引き続き板厚プレス
装置6により板厚100mmまで圧下(板厚圧下率60
%)した。その後、粗圧延機により板厚35mmまで圧
延し、さらに7スタンドからなる仕上圧延機列2により
板厚3.0mmに仕上圧延を行った。引き続き冷却装置
3により冷却速度100℃/秒で冷却後、ダウンコイラ
ー4へ巻き取った。
【0042】そして、得られた熱延鋼板から幅方向にサ
ンプルを切り出し、組織を調査した。その結果、幅方向
ほぼ均一に、直径約3μm程度の微細組織を得ることが
できた。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
熱延鋼板を製造するに際し、熱間スラブの板厚プレス
と、それに先立って行う幅圧下条件を最適化することに
より、熱間スラブを板厚プレス加工する際の幅方向歪量
分布をほぼ均一にすることができ、幅方向に材質が均一
な熱延鋼板を得ることが可能となる。本発明は、特に結
晶粒径が3μm以下の超微細組織を有する高張力熱延鋼
板の製造に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施に供する熱間圧延設備の一例を示
す全体構成図
【図2】本発明における板厚圧下率と幅圧下率との関係
を示す説明図
【図3】板厚プレス装置による板厚圧下時の幅方向歪量
分布の一例を示す図
【図4】本発明の幅圧下による幅方向歪量分布改善の一
例を示す図
【図5】幅圧下時に生じるドッグボーン形状の説明図で
あり、(a)は竪圧延機の場合、(b)は幅圧下プレス
装置の場合
【符号の説明】
1 粗加工設備 2 仕上圧延機列 3 冷却装置 4 ダウンコイラー 5 幅圧下装置 6 板厚プレス装置 S1 熱間スラブ S2 熱延鋼板

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱間スラブを幅方向に圧下する幅圧下装
    置と、板厚方向にプレス加工する板厚プレス装置とをこ
    の順に配置した熱間圧延設備による熱延鋼板の製造方法
    において、前記板厚プレス装置による板厚圧下率を40
    %以上とする場合には、前記幅圧下装置により熱間スラ
    ブを幅圧下し、しかる後に前記板厚プレス装置により板
    厚圧下することを特徴とする熱延鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 熱間スラブを幅方向に圧下する幅圧下装
    置と、板厚方向にプレス加工する板厚プレス装置とをこ
    の順に配置した熱間圧延設備による熱延鋼板の製造方法
    において、前記板厚プレス装置による板厚圧下率が大き
    いほど、これに先立って行う前記幅圧下装置による幅圧
    下率も大きくなるように前記板厚圧下率及び前記幅圧下
    率を設定することを特徴とする熱延鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】 下記(1)式を満足する板厚圧下率rh
    と幅圧下率rwで幅圧下装置による幅圧下と板厚プレス
    装置による板厚圧下を行うことを特徴とする請求項2に
    記載の熱延鋼板の製造方法。 rw=a×rh+b ・・・(1) ただし、a,bはスラブの板厚、板幅、幅圧下装置及び
    板厚プレス装置の工具形状等により定まる定数である。
  4. 【請求項4】 熱間スラブを幅方向に圧下する幅圧下装
    置と、板厚方向にプレス加工する板厚プレス装置とをこ
    の順に配置した熱間圧延設備による熱延鋼板の製造方法
    において、下記(2)式を満足する板厚圧下率rh
    (%)と幅圧下率rw(%)で幅圧下装置による幅圧下
    と板厚プレス装置による板厚圧下を行うことを特徴とす
    る熱延鋼板の製造方法。 0.75×rh−30≦rw≦0.75×rh−16 ・・・(2) ただし、rw≧0である。
  5. 【請求項5】 幅圧下装置が、熱間スラブを幅方向にプ
    レス加工する幅圧下プレス装置であることを特徴とする
    請求項1乃至4のいずれかに記載の熱延鋼板の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至5のいずれかに記載の熱延
    鋼板の製造方法において、板厚プレス装置による板厚圧
    下率を50%以上とすることを特徴とする超微細組織を
    有する高張力熱延鋼板の製造方法。
JP2002125939A 2002-04-26 2002-04-26 熱延鋼板の製造方法 Pending JP2003311301A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016182636A (ja) * 2015-03-26 2016-10-20 Jfeスチール株式会社 熱間圧延ラインおよび熱間圧延ラインの制御方法

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