JP2003311303A - 熱延鋼板の製造方法 - Google Patents

熱延鋼板の製造方法

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JP2003311303A
JP2003311303A JP2002125940A JP2002125940A JP2003311303A JP 2003311303 A JP2003311303 A JP 2003311303A JP 2002125940 A JP2002125940 A JP 2002125940A JP 2002125940 A JP2002125940 A JP 2002125940A JP 2003311303 A JP2003311303 A JP 2003311303A
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Masaru Miyake
勝 三宅
Yukio Takashima
由紀雄 高嶋
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JFE Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】粗加工工程に板厚プレス装置を備えた熱間圧延
設備による熱延鋼帯の製造方法において、熱間スラブの
板厚プレス加工を行う際に長手方向に均一な歪を加える
ことにより熱延鋼帯の材質や超微細組織を有する高張力
熱延鋼帯の組織を長手方向に均一にする。 【解決手段】熱間スラブS1の長手方向に沿って設けら
れた複数台の板厚プレス装置5a,5bにより熱間スラ
ブを板厚プレス加工するに際し、各板厚プレス装置が熱
間スラブに加える圧下歪量がほぼ等しくなるように各板
厚プレス装置の圧下量を配分するとともに、各板厚プレ
ス装置が熱間スラブに加える歪量の和が熱間スラブの長
手方向でほぼ均一となるように、下流側の板厚プレス装
置5bが板厚プレス加工する熱間スラブ長手方向位置を
調整する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱間スラブの板厚
プレス装置を備えた熱間圧延設備による熱延鋼板の製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】熱間圧延設備による熱延鋼板の製造にお
いては、通常、連続鋳造によって鋳造されたスラブを、
粗圧延工程(粗加工工程)において粗圧延して粗バーと
し、さらに仕上圧延工程において所定の板厚まで仕上圧
延して、熱延鋼板とする。その際、スラブ厚さから所定
の粗バー厚さまでの圧延には、粗圧延機による圧延を複
数パス要するのが一般的である。したがって、その間の
空冷や圧延ロールへの抜熱などにより材料温度が低下す
るため、従来の粗圧延では、熱間スラブが圧延開始前に
保持していた熱量の消失量が大きく、仕上圧延機入側で
の粗バー温度を高温に保つことが難しい場合があった。
【0003】そこで、粗圧延工程において、従来の粗圧
延機よりも短時間あるいは少ない加工回数で粗バーまで
減厚することができる大圧下手段の検討が行われてき
た。その一例として、特開平11−77103号公報
(先行文献1)には、粗加工工程の減厚手段の少なくと
も一部として鍛造加工手段(板厚プレス装置)を有する
設備、及びこの装置を用いて圧下率30%以上の鍛造加
工(板厚プレス)を行う方法が記載されている。この板
厚プレス装置によれば、従来の粗圧延機による圧延より
も大圧下が可能となる。また、スラブ内の空隙などの内
部欠陥に対しても、ロールによる圧延よりもプレスによ
る圧下の方が板厚中央部まで圧下歪が浸透しやすく、内
部欠陥の圧着に有利であることも記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】近年、自動車の軽量
化、建築物の高層化等のニーズに対応し、鋼材の高強度
化が求められている。一般的に鋼材の強度を上げると靭
性が低下するが、結晶粒微細化による強化の場合、靭性
を低下させずに強度を向上させることが可能であり、種
々の結晶微細化技術が提案されている。そして、その内
の一つとして、大圧下加工を行うことにより結晶粒が微
細化することが知られている。
【0005】しかし、例えば平均粒径3μm以下の超微
細粒組織を得るためには、1パスで50%以上の圧下が
必要であるといわれている。このような圧下率を実現す
ることは、通常の粗圧延で行われている圧延ロールによ
る圧下による方法では、圧延ロールへの噛み込み限界な
どの理由により不可能であった。ところが、鍛造加工で
ある前述した板厚プレスによる圧下であれば、圧下率5
0%以上も実現可能である。
【0006】そこで、本発明者等は、1台の板厚プレス
装置を用いて熱間スラブに圧下率50%以上の大圧下を
加えることにより、結晶粒を微細化する方法を試みた。
その結果、得られた熱延鋼板には、長手方向に結晶粒径
が微細化した部分と微細化しない部分とが現れた。この
原因は、板厚プレス装置により熱間スラブを圧下する
と、熱間スラブの長手方向に歪量分布が生じるためと推
察された。ここで、歪量とは3軸方向の垂直歪、せん断
歪から計算されるいわゆる相当歪のことを指しており、
プレスによる板厚圧下では、金型と材料表面間の摩擦に
起因するせん断変形が複雑に生ずるため、不均一な歪分
布となることが不可避である。すなわち、従来の粗圧延
機のような圧延ロールによる連続的な圧下とは異なり、
板厚プレス加工は所定の面積を持つ金型による断続的な
圧下であるため、熱間スラブの送りピッチで歪量が長手
方向に変動し、この長手方向の歪量分布が結晶粒の微細
化に影響しているものと考えられる。
【0007】このような長手方向の歪量分布を低減する
ためには、板厚プレス装置を複数台設置し、各プレス装
置に圧下量を配分すれば、歪量分布が分散されることが
期待できる。
【0008】板厚プレス装置を長手方向に複数台設置し
た例として、特開平11−114602号公報(先行文
献2)がある。この先行文献2には、被成形材料の搬送
ライン上流側金型(板厚プレス装置)により第1の板厚
減縮を行った後、下流側金型を上流側金型と逆の位相と
なるように互いに同調させて第2の板厚減縮を行う方法
が記載されている。しかし、この方法は1台の金型へ付
与する圧下荷重を軽減する目的で金型を2台設置するも
のである。また、先行文献2でいう互いの金型による圧
下を逆の位相で行うとは、金型が装着されるスライダ等
の各部材の強度条件を緩和することを目的として、2台
の金型が同時に圧下を行わないこと、つまり時間的に逆
の位相で圧下を行うことを意味するものであり、2台の
金型による熱間スラブ長手方向の圧下位置については全
く考慮していない。したがって、先行文献2の方法で
は、長手方向の歪量分布を解消することはできない。
【0009】本発明の目的は、上記の従来技術の問題点
を解決し、粗加工工程に板厚プレス装置を備えた熱間圧
延設備による熱延鋼板の製造方法において、熱間スラブ
の板厚プレス加工を行う際に長手方向に均一な歪を加え
ることにより熱延鋼板の材質を長手方向に均一にする方
法、さらには長手方向に均一な超微細組織を有する高張
力熱延鋼板を製造する方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、熱間スラ
ブを板厚プレス加工した際、長手方向の歪分布を把握す
るため、シミュレーション計算を行った。図4はその計
算結果の一例であり、厚さ250mm、幅1200mm
のスラブを1台の板厚プレス装置により90mmまで圧
下(圧下率65%)した時の、板幅方向中心部の板厚中
心部長手方向の歪量分布を示している。なお、この図4
は、スラブの送り量を240mm/回として、板厚プレ
ス加工をスラブ先端部から3回行った時点の途中経過を
示したものである。この図からも明らかなように、歪量
の長手方向変動は、特にスラブ先端部で大きくなってい
るが、定常部においても約3割も変動しており、歪量が
長手方向で極めて不均一であることがわかる。
【0011】本発明の熱延鋼板の製造方法は、このよう
なシミュレーション計算や実際の板厚プレス試験など、
種々の検討を重ねた結果なされたもので、以下のような
特徴を有する。
【0012】(1)熱間スラブを板厚方向にプレス加工
する板厚プレス装置を備えた熱間圧延設備による熱延鋼
板の製造方法において、熱間スラブの長手方向に沿って
設けられた複数台の板厚プレス装置により熱間スラブを
板厚プレス加工するに際し、各板厚プレス装置が熱間ス
ラブに加える圧下歪量がほぼ等しくなるように各板厚プ
レス装置の圧下量を配分するとともに、各板厚プレス装
置が熱間スラブに加える歪量の和が熱間スラブの長手方
向でほぼ均一となるように、上流側の板厚プレス装置が
板厚プレス加工した熱間スラブ長手方向位置に対して下
流側の板厚プレス装置が板厚プレス加工する熱間スラブ
長手方向位置を調整して、複数台の板厚プレス装置によ
り熱間スラブを板厚プレス加工することを特徴とする熱
延鋼板の製造方法。
【0013】(2)板厚プレス装置を熱間スラブの長手
方向に沿って2台設けることを特徴とする上記(1)に
記載の熱延鋼板の製造方法。
【0014】(3)上流側の板厚プレス装置が熱間スラ
ブに加える歪量の長手方向変動と、下流側の板厚プレス
装置が熱間スラブに加える歪量の長手方向変動とが、熱
間スラブの長手方向位置に対してほぼ逆位相となるよう
に、下流側の板厚プレス装置が板厚プレス加工する位置
を調整することを特徴とする上記(2)に記載の熱延鋼
板の製造方法。
【0015】(4)上流側の板厚プレス装置が熱間スラ
ブを板厚プレス加工する際の熱間スラブの送りピッチを
p、先進量をfとするとき、上流側の板厚プレス装置が
熱間スラブを板厚プレス加工した位置からスラブ長手方
向に約(p+f)/2離れた位置に対し、下流側の板厚
プレス装置で熱間スラブを板厚プレス加工することを特
徴とする上記(2)に記載の熱延鋼板の製造方法。
【0016】(5)上流側板厚プレス装置の入側での熱
間スラブの厚さをH0、下流側板厚プレス装置の出側で
の厚さをH2とするとき、上流側板厚プレス装置の出側
での厚さH1が約(H0・H21/2となるように熱間スラ
ブを板厚プレス加工することを特徴とする上記(2)乃
至(4)のいずれかに記載の熱延鋼板の製造方法。
【0017】(6)上記(1)乃至(5)のいずれかに
記載の熱延鋼板の製造方法において、複数台の板厚プレ
ス装置による総圧下率を75%とすることを特徴とする
超微細組織を有する高張力熱延鋼板の製造方法。
【0018】
【発明の実施の形態】図1は本発明の実施に供する熱間
圧延設備の一例を示す全体構成図である。この熱間圧延
設備は、熱間スラブS1を粗バーへ加工する粗加工工程
の粗加工設備1、粗バーを所定の鋼板板厚へ圧延する仕
上圧延工程の仕上圧延機列2、鋼板S2を冷却する冷却
装置3及びこれを巻き取るダウンコイラー4を備えてい
る。また、本発明では、粗加工設備1として、熱間スラ
ブS1の長手方向に沿って複数台の板厚プレス装置5を
設けている。図1に示す実施形態では、上流側板厚プレ
ス装置5a及び下流側板厚プレス装置5bの2台の板厚
プレス装置を設けているが、板厚プレス装置を3台以上
備えてもよいし、これらの板厚プレス装置の上流側及び
/又は下流側に粗圧延機を設置してもよい。
【0019】図1の熱間圧延設備では、粗加工設備1の
入側へ搬送されてきた熱間スラブS1を、粗加工設備1
の板厚プレス装置5a及び5bにより板厚プレス加工
(減厚加工)を施して所定の板厚の粗バーとする。そし
て、引き続き仕上圧延工程の仕上圧延機列2により所定
の板厚まで仕上圧延し、冷却装置3で冷却して熱延鋼板
S2とし、これをダウンコイラー4へ巻き取る。
【0020】このように、本発明では、粗加工工程へ搬
送されてきた熱間スラブS1に対し、熱間スラブの長手
方向に沿って設置された複数台の板厚プレス装置5によ
り板厚方向の圧下を行う。その際、板厚プレス加工時の
歪量のスラブ長手方向分布を均一とするため、各板厚プ
レス装置が熱間スラブに加える圧下歪量がほぼ等しくな
るように各板厚プレス装置へ圧下量を配分する。ここ
で、圧下歪とはいわゆる板厚の減厚のみを考慮した板厚
方向一軸のみの歪のことをさしている。さらに、各板厚
プレス装置が熱間スラブに加える歪量の和が熱間スラブ
長手方向でほぼ均一となるように、上流側の板厚プレス
装置における熱間スラブの送りピッチと先進量を考慮し
て、上流側の板厚プレス装置が板厚プレス加工した熱間
スラブ長手方向位置に対して下流側の板厚プレス装置が
板厚プレス加工する熱間スラブ長手方向位置を調整す
る。なお、前記の「各板厚プレス装置が熱間スラブに加
える圧下歪量がほぼ等しくなる」とは、各板厚プレス装
置が熱間スラブに加える圧下歪量の誤差として±5%程
度は許容することを意味する。また、前記の「各板厚プ
レス装置が熱間スラブに加える歪量の和が熱間スラブ長
手方向でほぼ均一となる」とは、各板厚プレス装置が熱
間スラブに加える歪量の和の変動量として±5%程度は
許容することを意味する。この程度の変動であれば、熱
延鋼板長手方向での材質均一化に与える悪影響は無視し
てよい。
【0021】以下、具体的な方法について、図1に示し
た板厚プレス装置を2台備えた場合を例として説明す
る。
【0022】図3はスラブ長手方向の歪量分布を模式的
に示したものであり、歪量合計の平均が1.0となるよ
うにしてある。ここで、板厚プレス装置によりスラブを
板厚プレス加工する際のスラブの送りピッチをp、先進
量をfとする。板厚プレス装置による圧下では、板厚方
向の圧下に伴う長手方向の伸びが上流側と下流側に分配
されるが、ここでいう先進量とは、長手方向の伸びのう
ち下流側に生ずる伸び量のことである。図3において、
(a)に示した従来の板厚プレス装置が1台の場合に
は、スラブの長手方向に長さ(p+f)の周期で歪が変
動していた。そこで本発明では、スラブ長手方向に沿っ
て設けた2台の板厚プレス装置を用いる。そして、図3
(b)に示すように2台の板厚プレス装置により加える
圧下歪量を等しくし、且つ2台の板厚プレス装置により
加える圧下歪の長手方向変動が互いに逆位相となるよう
に、下流側の板厚プレス装置が板厚プレスする長手方向
位置を調整する。このとき、歪量の長手方向変動が三角
関数で表されるとすると、各板厚プレス装置により加え
られた歪量の和は、スラブ長手方向で均一となる。
【0023】上流側の板厚プレス装置が熱間スラブに与
える歪の長手方向変動と、下流側の板厚プレス装置が熱
間スラブに与える歪の長手方向変動とが、熱間スラブの
長手方向位置に対して逆位相となるようにするには、以
下のようにすればよい。すなわち、前述したように、上
流側の板厚プレス装置の板厚プレス加工により生じた、
下流側の板厚プレス装置入側における歪量のスラブ長手
方向変動の周期は長さ(p+f)である。よって、下流
側の板厚プレス装置が板厚プレス加工する位置は、上流
側板厚プレス装置で熱間スラブを圧下した位置からスラ
ブ長手方向に L=(p+f)/2 ・・・(1) だけ離れた位置となるように調整すればよい。
【0024】ここで、スラブの送りピッチpは、板厚プ
レス装置前に設置されたピンチロールによるスラブの送
り量から把握することができる。また、先進量fは、ス
ラブ厚さ、圧下率、プレス金型形状、摩擦係数等により
変化するものであるが、予めこれらと先進量fの関係を
調べておき、テーブル値や関係式として用意しておけば
よい。
【0025】あるいは、上流側板厚プレス装置により圧
下されたスラブには、周期的な板厚変動が生じている。
本発明者等の知見によれば、例えば、プレス金型の加工
面の角部(傾斜部と平行部との境界)により板厚プレス
された位置は、板幅端部付近で板厚がやや薄くなる傾向
がある。したがって、下流側板厚プレス装置前に板厚計
やプロフィル計を設け、このような周期的な板厚変動を
認識すれば、その板厚変動周期の長さから前述の(p+
f)の長さを把握することができる。
【0026】このようにして、上流側板厚プレス装置に
おけるスラブの送り量及び先進量を認識することができ
るので、これにより下流側板厚プレス装置により板厚プ
レス加工する位置を、上記(1)式を満たすように調整
すればよい。
【0027】一方、各板厚プレス装置が熱間スラブに加
える圧下量の配分は、各板厚プレス装置が加える圧下量
を等しくするのではなく、圧下歪量が等しくなるように
する。図2は2台の板厚プレス装置による圧下の様子を
模式的に示したものであり、上流側板厚プレス装置5a
の入側のスラブ厚さをH0、上流側板厚プレス装置5a
の出側すなわち下流側板厚プレス装置5bの入側の厚さ
をH1、下流側板厚プレス装置5bの出側の厚さをH2
する。この時、上流側での圧下歪量と下流側での圧下歪
量が等しいとすると、 ln(H0/H1)=ln(H1/H2) ・・・(2) となり、これより、 H1=(H0・H21/2 ・・・(3) が導出される。つまり、上流側板厚プレス装置による圧
下後の厚さH1が上記(3)式を満たすように、各板厚
プレス装置の圧下量を配分する。
【0028】なお、以上の説明における上記(1)〜
(3)式は、2台の板厚プレス装置による歪量を長手方
向で均一とするための理想的な条件を示したものであ
る。これらの式を満足することが望ましいが、必ずしも
厳密にこれらの条件式を満たすことは必要ではない。
【0029】前述したように、本発明では各板厚プレス
装置が熱間スラブに加える圧下歪量がほぼ等しくなるよ
うにすればよく、各板厚プレス装置が熱間スラブに加え
る圧下歪量の誤差として±5%程度は許容する。(3)
式のH1において±4%程度の誤差があるとき、(2)
式では±5%程度の誤差となる。すなわち、(3)式の
1は約(H0・H21/2であればよく、約(H0・H2
1/2とは誤差として±4%程度は許容することを意味す
る。
【0030】また、本発明では各板厚プレス装置が熱間
スラブに加える歪量の和が熱間スラブ長手方向でほぼ均
一となるようにすればよく、各板厚プレス装置が熱間ス
ラブに加える歪量の和の変動量として±5%程度は許容
する。図3(c)には、各板厚プレス装置により熱間ス
ラブに加えられる歪み量の長手方向変動が逆位相から位
相差として15%ずれた例、すなわち(1)式における
Lが(p+f)/2に対して15%の誤差を持った例を
示している。この時の各板厚プレス装置により熱間スラ
ブに加えられる歪量の和の長手方向変動は±5%程度と
なる。すなわち、上流側と下流側の板厚プレス装置がそ
れぞれ熱間スラブに加える歪量の長手方向変動が、熱間
スラブの長手方向位置に対してほぼ逆位相であればよ
く、ほぼ逆位相とは、位相差の誤差として±15%程度
は許容することを意味する。また、下流側の板厚プレス
装置が板厚プレス加工する位置は、上流側の板厚プレス
装置が熱間スラブを板厚プレス加工した位置からスラブ
長手方向に約(p+f)/2離れた位置であればよく、
約(p+f)/2離れた位置とは、誤差として±15%
程度は許容することを意味する。
【0031】以上のような範囲で各板厚プレス装置の圧
下量の配分や板厚プレス加工する熱間スラブ長手方向位
置を調整することにより、スラブ長手方向の歪量分布の
変動は約±5%程度に抑制され、本発明の効果を十分に
得ることができる。
【0032】また、以上の説明は主に板厚プレス装置を
2台備えた場合について説明してきたが、本発明はこれ
に限定されるものではなく、板厚プレス装置を3台以上
備えた場合にも同様に適用することができる。その際、
上記(1)〜(3)式をそのまま適用することはできな
いが、上記で説明した考え方に基づき、適切な条件を求
めることは難しいことではない。ただし、本発明の目的
である歪量の長手方向均一化のためには、板厚プレス装
置は2台設置すれば十分であり、コスト面などからはむ
しろ2台の方が望ましい。
【0033】さらに、これらの板厚プレス装置による総
板厚圧下率を75%以上、すなわち板厚プレス装置が2
台の場合には各板厚プレス装置による圧下率をそれぞれ
50%以上として本発明を適用することにより、長手方
向均一に直径3μm以下の超微細組織を得ることができ
る。このような超微細組織を有する高張力熱延鋼板を製
造する場合に、本発明は特に効果的である。
【0034】なお、本発明の適用は上記の超微細組織を
有する高張力熱延鋼板の製造に限定されるものではな
く、歪量をスラブ長手方向に均一にすることにより、他
の品種の熱延鋼板の製造においても、鋼板長手方向の材
質を均一にする効果が得られる。
【0035】
【実施例】(実施例1)図1に示す熱間圧延設備を用い
て熱延鋼板の製造を行った。ただし、粗加工設備1とし
ては、上流側から、粗圧延機(図示せず)、上流側板厚
プレス装置5a,下流側板厚プレス装置5bをこの順に
備えた。
【0036】初期板厚が250mmの極低炭素鋼スラブ
を加熱炉にて約1200℃に加熱後、粗圧延機を5パス
通して90mmまで減厚した。そして、上流側板厚プレ
ス装置5aにより52mm(圧下率42%)まで減厚
し、下流側板厚プレス装置5bにより30mm(圧下率
約42%)まで減厚して粗バ−とした。2台の板厚プレ
スによる総圧下率は67%である。なお、下流側板厚プ
レス装置5bにより板厚プレス加工する位置は、上流側
板厚プレス装置5aにより板厚プレス加工された位置か
らスラブ長手方向に約(p+f)/2離れた位置となる
ように調整した。
【0037】その後、7スタンドからなる仕上圧延機列
2により板厚2.0mmまで減厚し、引き続き冷却装置
3により冷却し、ダウンコイラー4へ巻き取って熱延鋼
板とした。
【0038】そして、得られた冷却後の熱延鋼板から長
手方向にサンプルを切出し、組織を調査した。その結
果、鋼板長手方向ほぼ均一に直径約5μm程度のミクロ
組織となっており、本発明の効果が確認できた。
【0039】(実施例2)図1に示す熱間圧延設備を用
いて熱延鋼板の製造を行った。初期板厚が250mmの
極低炭素鋼スラブを加熱炉にて約1100℃に加熱後、
粗加工設備1へ搬送した。粗加工設備1では、上流側板
厚プレス装置5aにより87mm(圧下率65%)まで
減厚し、下流側板厚プレス装置5bにより30mm(圧
下率約66%)まで減厚して粗バ−とした。2台の板厚
プレスによる総圧下率は88%である。なお、下流側板
厚プレス装置5bにより板厚プレス加工する位置は、上
流側板厚プレス装置5aにより板厚プレス加工された位
置からスラブ長手方向に約(p+f)/2離れた位置と
なるように調整した。 その後、7スタンドからなる仕
上圧延機列2により板厚2.0mmまで減厚し、引き続
き冷却装置3により冷却速度100℃/秒で冷却後、ダ
ウンコイラー4へ巻き取って熱延鋼板とした。
【0040】そして、得られた冷却後の熱延鋼板から長
手方向にサンプルを切出し、組織を調査した。その結
果、鋼板長手方向ほぼ均一に直径3μm程度の超微細組
織となっており、本発明の効果が確認できた。
【0041】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
熱延鋼板を製造するに際し、熱間スラブの板厚プレス加
工を最適な条件で複数回行うことにより、熱間スラブを
板厚プレス加工する際の長手方向歪分布を均一にするこ
とができ、長手方向に材質が均一な熱延鋼板を得ること
が可能となる。本発明は、特に結晶粒径が3μm以下の
超微細組織を有する高張力熱延鋼板の製造に好適であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施に供する熱間圧延設備の一例を示
す全体構成図
【図2】2台の板厚プレス装置によるスラブの圧下を模
式的に示した説明図
【図3】スラブ長手方向の歪量分布を示す模式図であ
り、(a)が従来の板厚プレス装置が1台の場合、
(b),(c)が本発明の板厚プレス装置が2台の場合
【図4】従来の板厚プレス加工によるスラブ長手方向の
歪量分布図
【符号の説明】
1 粗加工設備 2 仕上圧延機列 3 冷却装置 4 ダウンコイラー 5 板厚プレス装置 5a 上流側板厚プレス装置 5b 下流側板厚プレス装置 S1 熱間スラブ S2 熱延鋼板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4E002 AB03 AD02 BC05 BD01 CB01 4E087 AA01 BA02 BA13 CA02 CB01 CB12 DA03 GA08

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱間スラブを板厚方向にプレス加工する
    板厚プレス装置を備えた熱間圧延設備による熱延鋼板の
    製造方法において、熱間スラブの長手方向に沿って設け
    られた複数台の板厚プレス装置により熱間スラブを板厚
    プレス加工するに際し、各板厚プレス装置が熱間スラブ
    に加える圧下歪量がほぼ等しくなるように各板厚プレス
    装置の圧下量を配分するとともに、各板厚プレス装置が
    熱間スラブに加える歪量の和が熱間スラブの長手方向で
    ほぼ均一となるように、上流側の板厚プレス装置が板厚
    プレス加工した熱間スラブ長手方向位置に対して下流側
    の板厚プレス装置が板厚プレス加工する熱間スラブ長手
    方向位置を調整して、複数台の板厚プレス装置により熱
    間スラブを板厚プレス加工することを特徴とする熱延鋼
    板の製造方法。
  2. 【請求項2】 板厚プレス装置を熱間スラブの長手方向
    に沿って2台設けることを特徴とする請求項1に記載の
    熱延鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】 上流側の板厚プレス装置が熱間スラブに
    加える歪量の長手方向変動と、下流側の板厚プレス装置
    が熱間スラブに加える歪量の長手方向変動とが、熱間ス
    ラブの長手方向位置に対してほぼ逆位相となるように、
    下流側の板厚プレス装置が板厚プレス加工する位置を調
    整することを特徴とする請求項2に記載の熱延鋼板の製
    造方法。
  4. 【請求項4】 上流側の板厚プレス装置が熱間スラブを
    板厚プレス加工する際の熱間スラブの送りピッチをp、
    先進量をfとするとき、上流側の板厚プレス装置が熱間
    スラブを板厚プレス加工した位置からスラブ長手方向に
    約(p+f)/2離れた位置に対し、下流側の板厚プレ
    ス装置で熱間スラブを板厚プレス加工することを特徴と
    する請求項2に記載の熱延鋼板の製造方法。
  5. 【請求項5】 上流側板厚プレス装置の入側での熱間ス
    ラブの厚さをH0、下流側板厚プレス装置の出側での厚
    さをH2とするとき、上流側板厚プレス装置の出側での
    厚さH1が約(H0・H21/2となるように熱間スラブを
    板厚プレス加工することを特徴とする請求項2乃至4の
    いずれかに記載の熱延鋼板の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至5のいずれかに記載の熱延
    鋼板の製造方法において、複数台の板厚プレス装置によ
    る総圧下率を75%とすることを特徴とする超微細組織
    を有する高張力熱延鋼板の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016078108A (ja) * 2014-10-22 2016-05-16 Jfeスチール株式会社 スラブ鍛造方法

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