JP2003306358A - 初期水和発熱量の小さいセメント組成物 - Google Patents
初期水和発熱量の小さいセメント組成物Info
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Abstract
セメント組成物の提供を目的とするものである。具体的
には、コンダクションカロリーメータで測定した接水後
0〜1時間におけるセメントの水和発熱量が10J/g
以下であるセメント組成物の提供を目的とする。 【解決手段】 半水せっこう量が特定の範囲内に
ある組成物においては、粉末X線回折を利用したリート
ベルト解析法で定量したアルミネート相量と水和発熱量
との間に非常に良好な相関関係があることを知見し、ア
ルミネート相量及び半水せっこう量が或る範囲内にコン
トロールされた組成物が、目的とするセメント組成物と
なることを見出し、上記課題を解決した。すなわち本発
明は、粉末X線回折を利用したリートベルト解析法によ
って定量したアルミネート相量が8質量%以下であり、
且つ半水せっこう量が1.5〜4質量%である、初期水
和発熱量の小さいセメント組成物に関する。
Description
制したセメント組成物に関する。このようなセメント
は、接水1時間以内の初期の水和物の生成が少ないた
め、良好な流動性を示すとともに、耐久性に悪影響を及
ぼす収縮や膨張が小さい等、好ましい特性を示す。従っ
て、建設関連分野で広く利用できる。 【0002】 【従来の技術】初期水和熱量の小さいセメントは、エト
リンガイト等の初期水和物が少ない。接水後の初期に生
成するこのような水和物は、セメントの凝結を左右する
重要な化合物であるが、条件によっては、自由水の固
定、流動抵抗の増大等によりセメントの流動性を低下さ
せることが知られている。また、エトリンガイトは、膨
張や自己収縮の原因になることが知られており、硬化後
の耐久性に悪影響を及ぼすことが危惧されている。この
ため、流動性が良好で、耐久性に優れたセメント硬化体
を得るためには、エトリンガイト等の生成が適正に制御
された、初期水和熱の小さいセメントとする必要があ
る。さらに、初期水和熱量はセメント中のアルミネート
相量やせっこうの種別・含有量により変化することか
ら、流動性や耐久性に優れたセメント硬化体を得るため
にはアルミネート相量やせっこうの種別・含有量を適正
化する必要がある。 【0003】従来、セメント中のアルミネート相量の制
御は、その主成分である3CaO・Al2O3(以下C
3Aと記す)の量をJIS R 5201 「ポルトラン
ドセメント」記載の式(1)によって化学成分から計算
によって求め、この値を指標にして行われていた。式
中、Al2O3は、ポルトランドセメント中の酸化アル
ミニウムの質量%であり、Fe2O3は、ポルトランド
セメント中の酸化第二鉄の質量%である。 【0004】 【数1】 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、実際の
アルミネート量は、セメント中に含まれる少量成分や焼
成条件の影響を大きく受ける事から、(1)式で求めら
れるC3A量を調整することで初期水和発熱を抑制する
ことは困難であった。例えば、(1)式によって求めた
C3A量が互いに等しい組成物でも、実際のアルミネー
ト量は互いに大きく異なる場合があるのである。本発明
は、初期水和発熱量の小さいセメント組成物の提供を目
的とするものである。具体的には、コンダクションカロ
リーメータで測定した接水後0〜1時間におけるセメン
トの水和発熱量が10J/g以下であるセメント組成物
の提供を目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明者は、半水せっこ
う量が特定の範囲内にある組成物においては、粉末X線
回折を利用したリートベルト解析法で定量したアルミネ
ート相量と水和発熱量との間に非常に良好な相関関係が
あることを知見し、アルミネート相量及び半水せっこう
量が或る範囲内にコントロールされた組成物が、目的と
するセメント組成物となることを見出し、本発明を完成
した。すなわち本発明は、粉末X線回折を利用したリー
トベルト解析法によって定量したアルミネート相量が8
質量%以下であり、且つ半水せっこう量が1.5〜4質
量%である、初期水和発熱量の小さいセメント組成物に
関する。なお、リートベルト解析法は、結晶性化合物の
粉末X線回折を解析する方法であり、この方法によって
セメントにおけるアルミネート相量のような結晶性化合
物を精度良く定量することができる。 【0007】 【発明の実施の形態】本発明では、リートベルト解析法
により定量した測定値を指標として、セメント組成物中
のアルミネート量を規定すると共に半水せっこう量を規
定したことを特徴とする。現在のセメント製造方法で
は、原料からのアルミネート取込みは不可避であるが、
本発明では、リートベルト解析法により定量したアルミ
ネート量を8質量%以下とする。アルミネート相量が多
すぎると、セメントの初期水和発熱量が大きくなり、流
動性や耐久性の低下を招く。一方、半水せっこう量は、
1.5〜4質量%の範囲とする。半水せっこう量が少な
すぎると、アルミネート相量の水和が活発になり水和発
熱量が大きくなり、また、多すぎると、半水せっこうの
水和による発熱量が大きくなり、何れにおいても好まし
くない結果に繋がる。 【0008】本発明のセメント組成物は、所定量のアル
ミネート相を含むクリンカーにせっこうを添加して粉砕
することによって製造することができる。クリンカー中
のアルミネート相が所定量から外れている場合には、ク
リンカー原料中に本来含まれるAl2O3、Fe
2O3、MgO、アルカリ、フッ素等の含有量を変え
て、所定量へ調整することが可能である。例えば、Al
2O3/Fe 2O3比率(IMと呼ぶ)を減少させるこ
とにより、アルミネート相量を減少させることが可能で
ある。また、IMが一定の場合でも、MgO量やフッ素
量を増加させることによってアルミネート相量を減少さ
せることが可能である。なお、原料中のMgOやフッ素
の量は、スラグやふっ酸製造時に発生する廃棄物をクリ
ンカー原料に少量添加することにより、調整することが
できる。以下では、具体例を挙げて、本発明を更に詳し
く説明する。 【0009】 【実施例】実施例1、2および比較例1〜3 クリンカー原料種および粉砕条件を変えて、ブレーン比
表面積が約3300cm 2/g、SO3量が約2.1質
量%、半水せっこう量が約3.0質量%であり、アルミ
ネート相量のみが本質的に互いに異なる5種類のセメン
トを得た。SO3量および半水せっこう量は、夫々試薬
のせっこうと半水せっこうを添加して調整した。得られ
たセメントの化学組成を表1に示す。このセメントのア
ルミネート相量をリートベルト解析法によって求めた。
また、コンダクションカロリメータで、水/セメント比
0.5の条件で、接水後1時間までの初期水和発熱量を
測定した。結果を表2に示す。 【0010】 【表1】 【0011】 【表2】 【0012】アルミネート相量が8質量%以下である実
施例1、2では、初期水和発熱量が10J/g以下と小
さいが、アルミネート相量が8質量%を超える比較例1
〜3では、水和熱は何れも大きな値を示している。ま
た、表2には、比較参照のため、(1)式で求めたC3
A量も示した。比較例3から、C3A量が8質量%以下
でも初期水和発熱量が大きいものが在ることが分る。 【0013】実施例3、4および比較例4、5 実施例2のセメント調製に使用したものと同じクリンカ
ーを用いて、試薬のせっこうと半水せっこうの添加量を
調整してアルミネート相量が互いに同じで半水せっこう
量が異なる4種類のセメントを得た。このセメントのア
ルミネート相量と接水後1時間までの初期水和発熱量
を、前記と同様の方法で測定した。また、半水せっこう
量は熱重量分析により求めた。結果を表3に示す。 【0014】 【表3】 【0015】半水せっこう量が本発明の範囲である1.
5〜4質量%にある場合には、初期水和発熱量は10J
/g以下と小さいが、この範囲を外れると初期水和発熱
量が大きくなることが分る。 【0016】 【発明の効果】本発明のセメント組成物では、リートベ
ルト解析法により定量したアルミネート相量を8質量%
以下、且つ半水せっこう量を1.5〜4質量%に制御す
ることで、初期(0〜1時間)における水和発熱量が1
0J/gに抑えられている。これにより、初期流動性及
び耐久性の向上が可能となった。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】粉末X線回折を利用したリートベルト解析
方法によって定量したアルミネート相量が8質量%以下
であり、且つ半水せっこう量が1.5〜4質量%であ
る、初期水和発熱量の小さいセメント組成物。
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JP2002110689A JP4128021B2 (ja) | 2002-04-12 | 2002-04-12 | 初期水和発熱量の小さいセメント組成物を選択する方法 |
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Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH10152359A (ja) * | 1996-11-22 | 1998-06-09 | Ube Ind Ltd | 高流動性セメント組成物 |
JPH11130507A (ja) * | 1997-10-28 | 1999-05-18 | Tokuyama Corp | 高流動性水硬性組成物 |
-
2002
- 2002-04-12 JP JP2002110689A patent/JP4128021B2/ja not_active Expired - Fee Related
Patent Citations (2)
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JPH10152359A (ja) * | 1996-11-22 | 1998-06-09 | Ube Ind Ltd | 高流動性セメント組成物 |
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Non-Patent Citations (2)
Title |
---|
大野晃: "半水石膏の生成温度がポリカルボン酸系混和剤添加ペーストの流動性に及ぼす影響", 第55回セメント技術大会講演要旨, JPN6008005647, 25 April 2001 (2001-04-25), JP, pages 62 - 63, ISSN: 0000976695 * |
鶴見敬章: "セメントクリンカー中のアルミネート相とフェライト相の選択抽出とその結晶構造", セメント・コンクリート論文集, JPN6008005648, December 1992 (1992-12-01), JP, pages 50 - 55, ISSN: 0001038137 * |
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