JP2003306332A - 立方晶岩塩型リチウムフェライト系複合酸化物およびその製造方法 - Google Patents
立方晶岩塩型リチウムフェライト系複合酸化物およびその製造方法Info
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Abstract
て、既存のリチウムコバルト酸化物系正極材料と同等の
作動電圧領域(約4V)において安定に充放電させることが
できるリチウム二次電池用正極材料として有用な新規な
材料を提供することを主な目的とする。 【解決手段】組成式Li1+x(Ti1-y-zFeyNiz)1-xO2(但し、
0≦x≦0.33、0<y≦0.95、0<z≦0.5、0<y +z<1) で
表され、立方晶岩塩型構造を有するリチウムフェライト
系複合酸化物、その製造方法、このリチウムフェライト
系複合酸化物からなる正極材料およびこの正極材料を使
用するリチウムイオン二次電池。
Description
チウムイオン二次電池の正極材料として有用なリチウム
フェライト系複合酸化物およびその製造方法に関する。
パソコンなどのポータブル機器に搭載されている二次電
池の殆どは、リチウムイオン二次電池である。また、リ
チウムイオン二次電池は、今後電気自動車、電力負荷平
準化システムなどの大型電池としても実用化されるもの
と予測されており、その重要性はますます高まってい
る。
は、正極材料として主にリチウムコバルト酸化物(LiCoO
2)材料を使用し、負極材料として黒鉛などの炭素材料を
使用し、電解質として有機電解液を用いている。
作動電圧(正極中の遷移金属の酸化還元電位と負極元素
の酸化還元電位との差)、充放電容量(正極から脱離・
挿入可能なLi量)などの電池性能に関連する重要な材料
であるので、今後需要が一層増大するものと予測されて
いる。しかしながら、この化合物は、希少金属であるコ
バルトを含むために、リチウムイオン二次電池の高コス
ト要因の一つとなっている。さらに、現在すでに全世界
のコバルト生産量の約20%が電池産業において用いられ
ていることを考慮すれば、LiCoO2からなる正極材料のみ
では、今後の需要拡大に対応出来るか否かは不明であ
り、コバルト資源枯渇の危険性を無視することは出来な
い。
材料として、リチウムニッケル酸化物(LiNiO2)、リチウ
ムマンガン酸化物(LiMn2O4)などが知られており、一部
はLiCoO2に代替して実用化されている。しかしながら、
これらの材料は、電池充電時の安全性の問題(LiNiO2)、
50℃以上でのマンガンの溶解による顕著な特性劣化(LiM
n2O4)などの問題点を有しているので、これら材料によ
るLiCoO2の代替は、予期された程には進展していない。
て、資源的により一層豊富であり、毒性が低く、安価な
鉄を含むリチウムフェライト(LiFeO2)について、電極材
料としての可能性が検討されている。しかしながら、通
常の鉄源とLi源とを用いて、高温焼成により得られるリ
チウムフェライトは、殆ど充放電しない(すなわち、リ
チウムイオン二次電池の正極材料としての活性を有して
いない)。
して、H/Liイオン交換法あるいはNa/Liイオン交換法を
用いて得られるLiFeO2は、4V付近に充電平坦電位を有し
ているものの、放電電位は3V以下である。(R.Kanno, T.
Shirane, Y.Kawamoto, Y.Takeda, M.Takano, M.Ohashi
and Y.Yamaguchi, J. Electrochem. Soc., 143, [8],24
35, (1996);Y.Sakurai, H.Arai, S.Okada and J.Yamak
i, J. Power Sources, 68, 711, (1997);L.Guenne, P.
Deniard, A.Lecerf, P.Biensan, C.Siret, L.Fournes a
nd R.Brec, Ionics, 4, 220, (1998);特開平10-120421
号公報、特開平8-295518号公報など)。この様なイオン
交換法により得られたLiFeO2の放電電位は、LiCoO2の放
電電位に比べて、約2V以上低く、LiFeO2によるLiCoO2の
代替は、かなり困難である。この様に、実用的レベルに
達するリチウムフェライトの製造技術は、未だ確立され
ていない。
リチウム含有鉄-チタン系酸化物((Li1+x(Ti1-yFey)1-x
O2(但し、0≦x<0.33、0.05<y<0.95))が、100mAh/g以
上の放電容量を有する3V級リチウム二次電池用正極材料
としての機能を発揮することを見出した(2001年8月1日
出願に係る特願2001-233197号;以下においては、この
出願を「先出願」という)。
て、LiCoO2に代替しうる正極材料としては、4V付近に放
電平坦電位を有することが特に望ましい。もし4V以上の
作動電圧を有しており、安価で、かつ資源的な制約を受
けないリチウムフェライト系複合酸化物を開発すること
ができれば、これを正極材料とするリチウムイオン電池
の有用性がより一層高まることになる。
源的な制約が少なくかつ安価な原料を使用して、既存の
リチウムコバルト酸化物系正極材料と同等の作動電圧領
域(約4V)において安定に充放電させることができる新規
な材料を提供することを主な目的とする。
を含む上記従来技術の問題に鑑みて鋭意研究を重ねてき
た。
鉄-チタン系酸化物Li1+x(Ti1-yFey) 1-xO2中にさらに特
定量のNiを固溶させた鉄-チタン-ニッケル含有固溶体を
リチウムイオン二次電池の正極材料として使用する場合
には、4V領域のサイクル劣化が著しく改善されることを
見出し、本発明を完成するに至った。
フェライト系複合酸化物、その製造方法、リチウムフェ
ライト系複合酸化物からなるリチウムイオン二次電池用
正極材料およびリチウムイオン二次電池を提供する。 1.組成式Li1+x(Ti1-y-zFeyNiz)1-xO2(但し、0≦x≦0.
33、0<y≦0.95、0<z≦0.5、0<y +z<1) で表され、
立方晶岩塩型構造を有するリチウムフェライト系複合酸
化物。 2.水溶性チタン塩、水溶性鉄塩および水溶性ニッケル
塩を含む混合水溶液をアルカリにより共沈させ、得られ
た沈殿生成物を酸化剤および水溶性リチウム塩とともに
101〜400℃の温度範囲で水熱処理し、次いで過剰の塩類
を除去した後、水熱処理反応生成物を300-800℃で熱処
理することを特徴とする上記項1に記載のリチウムフェ
ライト系複合酸化物の製造方法。 3.水熱処理反応生成物の熱処理を大気中、酸化雰囲気
中或いは還元雰囲気中で行う上記項2に記載のリチウム
フェライト系複合酸化物の製造方法。 4.熱処理前の水熱反応処理物にリチウム塩を添加・混
合し、熱処理した後、熱処理物を溶媒洗浄して過剰のリ
チウム塩を除去する上記項3に記載のリチウムフェライ
ト系複合酸化物の製造方法。 5.組成式Li1+x(Ti1-y-zFeyNiz)1-xO2(但し、0≦x≦0.
33、0<y≦0.95、0<z≦0.5、0<y +z<1) で表され、
立方晶岩塩型構造を有するリチウムフェライト系複合酸
化物からなるリチウムイオン二次電池用正極材料。 6.組成式Li1+x(Ti1-y-zFeyNiz)1-xO2(但し、0≦x≦0.
33、0<y≦0.95、0<z≦0.5、0<y +z<1) で表され、
立方晶岩塩型構造を有するリチウムフェライト系複合酸
化物からなる正極材料を構成要素とするリチウムイオン
二次電池。
ムフェライト系酸化物は、α-LiFeO2に類似する立方晶
岩塩型構造を有する。この構造は、立方最密充填した酸
化物イオンの8面体格子間位置にLiイオン、Feイオンお
よびNiイオンがランダムに分布したものである。本発明
のニッケル含有リチウムフェライト系酸化物Li1+x(Ti
1-y-zFeyNiz)1-xO2においては、Feイオンと同じ格子位
置をTiおよびNiイオンが占有していることを特徴とす
る。すなわち、Feイオンは、両イオンとの共存により、
希釈されている。両イオンが共存しないLiFeO2は、ほと
んど充放電容量を有しない。
属(Fe+Ti+Ni)イオン量の5〜95モル%(0.05≦Fe/Fe+Ti+Ni
≦0.95)程度であることが好ましく、20〜80モル%程度で
あることがより好ましい。Feの固溶量が多すぎる場合に
は、充放電に関与しないFeが多くなるので、電池特性上
好ましくない。これに対して、Feの固溶量が少なすぎる
場合には、充放電容量が小さくなるので、やはり好まし
くない。
とする(0<z≦0.5)ことが好ましく、1〜50モル%である
ことがより好ましい。Niの固溶量が少なすぎる場合に
は、4V領域での放電容量の劣化が大きくなるので、電池
特性上好ましくない。これに対して、TiおよびFeに比し
て高価であるNiの固溶量が多すぎる場合には、本発明材
料の特徴である低コスト性が失われてしまう。
フェライト系酸化物は、充放電特性に実質的に影響を及
ぼさない範囲(最大10モル%程度)で、製造原料に由来す
る水酸化リチウム、炭酸リチウムなどの不純物相を少量
含んでいても良い。
成法である水熱反応法、固相反応法などにより製造する
ことが可能である。しかしながら、一般に、乾式混合プ
ロセスを用いる固相反応法においては、金属イオン間の
均質混合(特にFeイオンとTiイオンとNiイオンとの混合)
が困難である。従って、本発明の複合金属酸化物は、各
イオンの生成源となる金属塩を水、水/アルコール混合
物などに溶解させた混合溶液を用いて、水熱反応法で製
造することが、より好ましい。
性鉄塩、水溶性チタン塩および水溶性ニッケル塩を含む
水溶液または水-アルコール混合溶液にアルカリ水溶液
を添加して共沈物を得た後、酸化剤の存在下にこの共沈
物とリチウム源となる化合物とを加熱することにより、
行われる。
属(Ti、FeおよびNi)源材料としては、水溶性塩(塩化
物、硝酸塩、硫酸塩、シュウ酸塩、酢酸塩など)、水酸
化物などが挙げられる。これらの塩は、無水物および水
和物のいずれであってもよい。これらの塩類および水酸
化物は、いずれの金属についても、それぞれ単独で使用
してもよく、2種以上を併用してもよい。また、金属源
としては、いずれの金属についても、金属酸化物を塩酸
などの酸で溶解させた水溶液を用いてもよい。
熱反応させるリチウム源としては、水酸化リチウム(無
水物および/または水和物)、塩化リチウム、硝酸リチ
ウム、炭酸リチウムなどが好ましい。
Li/(Fe+Ti+Ni)モル比は、目的とする複合金属酸化物中
のLi/(Fe+Ti+Ni)モル比に応じて、適宜選択することが
できる。このモル比は、1〜3程度であることが好まし
く、1.5〜2.5程度であることがより好ましい。
めのアルカリ源としては、水酸化リチウム、水酸化ナト
リウム、水酸化カリウム、アンモニア水などが好まし
い。
は、過剰のリチウム化合物の除去を水熱反応物の焼成前
に行うか或いは焼成後に行うかにより、2つの態様に区
別される。
金属複合酸化物を製造するに際しては、所定モル比の鉄
塩、チタン塩およびニッケル塩を全濃度0.01〜5M(無水
物換算)程度、より好ましくは0.1〜2M程度になるよう
に蒸留水または蒸留水-アルコール混合溶媒中で溶解さ
せる。次いで、得られた混合溶液を攪拌しつつ、0.1〜2
0M程度、より好ましくは0.5〜10M程度に相当する水酸化
カリウムなどのアルカリの水溶液を混合溶液が完全にア
ルカリ性(pH11以上)になるまで滴下することにより、共
沈物を生成させる。滴下終了後、0〜150℃程度、より好
ましくは20-100℃程度の温度で、2〜7日間程度、より好
ましくは3〜5日間程度にわたり、反応溶液に空気を吹き
込みながら、共沈物の酸化・熟成処理を行う。次いで、
得られた沈殿を蒸留水で洗浄して、過剰のアルカリ成分
および残留塩類を除去し、濾別した沈殿を80℃以上の温
度(通常100℃程度の温度)で乾燥することにより、精製
したFe-Ni-Ti共沈物を得る。
ポリテトラフルオロエチレン製ビーカー)中で蒸留水と
混合し、これに水酸化リチウム(無水物および/または
水和物)、塩化リチウム、硝酸リチウム、炭酸リチウム
などのリチウム塩を0.1〜10M程度、より好ましくは1〜8
M程度となるように加え、さらに塩素酸カリウム、過酸
化水素などの酸化剤を0.1〜10M程度、より好ましくは0.
5〜5M程度となるように加えた後、このビーカーを水熱
反応装置(例えば、市販のオートクレーブ)内に静置し
て、混合物を水熱反応に供する。水熱反応条件は、特に
限定されるものではないが、通常100〜400℃程度の温度
で0.1〜150時間程度であり、より好ましくは150〜300℃
程度の温度で1〜100時間程度である。
に、反応生成物を水、水-アルコール、アセトンなどよ
り洗浄し、濾過し、80℃以上の温度(より好ましくは100
℃程度の温度)で加熱乾燥することにより、所望の立方
晶岩塩型リチウムフェライト系複合酸化物を得る。
立方晶岩塩型リチウムフェライト系複合酸化物としての
結晶性を一層向上させるためには、上記で得られた複合
酸化物を粉砕し、粉末形態或いは水溶液形態のLi塩(水
酸化リチウム、塩化リチウム、硝酸リチウム、炭酸リチ
ウムなど)と混合し、大気中、酸化性雰囲気中、不活性
雰囲気中或いは還元雰囲気中で200〜800℃程度(より好
ましくは300〜600℃程度)で1〜100時間程度(より好まし
くは20-60時間程度)焼成してもよい。リチウム塩は、反
応の均一性を確保するために、水溶液の形態で使用する
ことがより好ましい。さらに、この焼成終了後、必要な
らば、過剰のリチウム塩を除去するために、焼成物を水
洗処理或いは溶媒洗浄処理し、濾過した後、80℃以上の
温度(より好ましくは100℃程度の温度)で加熱乾燥して
もよい。
し、洗浄し、乾燥するという一連の操作を繰り返し行う
ことにより、リチウムフェライト系複合酸化物の優れた
特性(リチウムイオン二次電池用正極材料としての作動
電圧領域における安定的な充放電特性、高容量など)を
より一層改善することができる。
化物を用いるリチウムイオン二次電池は、公知の手法に
より製造することができる。すなわち、正極材料とし
て、本発明による新規な複合酸化物を使用し、負極材料
として、公知の金属リチウム、炭素系材料(活性炭、黒
鉛)などを使用し、電解液として、公知のエチレンカー
ボネート、ジメチルカーボネートなどの溶媒に過塩素酸
リチウム、LiPF6などのリチウム塩を溶解させた溶液を
使用し、さらにその他の公知の電池構成要素を使用し
て、常法に従って、リチウムイオン二次電池を組立てる
ことができる。
て、既存のリチウムコバルト酸化物系正極材料と同等の
作動電圧領域(約4V)において安定に充放電させることが
できる新規なリチウムフェライト系複合酸化物材料を得
ることができる。
化物は、サイクル劣化の少ない、低コストのリチウムイ
オン二次電池用正極材料として、極めて有用である。
特徴とするところを一層明確にする。本発明は、これら
実施例により限定されるものではない。
た各酸化物試料の結晶相はX線回折分析により、組成は
誘導結合高周波プラズマ分光分析(ICP)および原子吸光
分析により、粒径は透過型電子顕微鏡(TEM)により、そ
れぞれ評価した。また、各酸化物を正極材料とし、金属
リチウムを負極材料とするコイン型リチウム電池を作製
し、その充放電特性を測定した。 実施例1 硫酸鉄(II)7水和物34.75g、塩化ニッケル(II)6水和物1
4.86gおよび30%硫酸チタン(IV)水溶液50g(全量0.25mo
l、Fe:Ti:Niモル比=2:2:1)を400mlの蒸留水に加え、完
全に溶解させた。この水溶液を攪拌しつつ水酸化カリウ
ム水溶液(蒸留水400mlに水酸化ナトリウム100gを溶解さ
せた溶液)を徐々に滴下することにより、沈殿物を形成
させた。反応液が完全にアルカリ性(pH11以上)になって
いることを確認し、攪拌下に共沈物を含む反応液に室温
で3日間空気を吹き込んで酸化処理した後、反応液を60
℃で3日間保持して、沈殿を熟成させた。
後、水酸化リチウム1水和物40g、塩素酸カリウム40g、
蒸留水200mlとともにポリテトラフルオロエチレン製ビ
ーカー中に入れ、よく攪拌した後、水熱反応炉(オート
クレーブ)内に設置し、220℃で8時間水熱処理した。
却し、水熱処理反応液を含むビーカーをオートクレーブ
外に取り出し、生成している沈殿物を蒸留水で洗浄し
て、過剰に存在する水酸化リチウムなどの塩類を除去
し、濾過し、乾燥することにより、粉末状生成物を得
た。
るために、生成物粉末と水酸化リチウム1水和物0.25モ
ル(10.49g)を蒸留水150mlに溶解させた水酸化リチウム
水溶液とを混合し、100℃で乾燥し、粉砕し、得られた
粉末を大気中500℃で20時間焼成した。次いで、過剰の
リチウム塩を除去するために、焼成物を蒸留水で水洗
し、濾過し、乾燥して、黒色の粉末状生成物を得た。
(a)に示す。すべてのピークは、既存の粉末X線回折デー
タ(JCPDSカード17-0938および“J.C.Mikkelsen, J. AM.
Ceram. Soc., 63, 332, (1980)”に記載されている立
方晶岩塩型のα-LiFeO2およびLi1.33Ti0.67O2の単位胞
(空間群:Fm3m, a=4.158および4.140 Å)で、指数付けす
ることができた。
ピークから計算される格子定数(a=4.1437±0.0002Å)
が、α-LiFeO2とLi1.33Ti0.67O2との中間的な値を有し
ていること、化学分析(下記表1)により、FeおよびNiが
ほぼ仕込量通りにそれぞれ51±1モル%および26±1モル%
含まれていること、Li/(Fe+Ti+Ni)値がほぼ1.2であるこ
とから、本実施例において、Li1+x(Fe0.5Ni0.25Ti0.25)
1-xO2が得られたことが確認できた。
1+x(Fe0.5Ni0.25Ti0.25)1-xO2の電子顕微鏡写真を電子
的に画像処理した図面である。図3から、本実施例によ
るLi1+x(Fe0.5Ni0.25Ti0.25)1-xO2は、粒径が100nm程度
のほぼ同一形状を有する微粒子により構成されているこ
とが、明らかである。 比較例1 硫酸鉄(II)7水和物34.75gおよび30%硫酸チタン(IV)水
溶液50g(全量0.25mol、Fe:Tiモル比=1:1)を400mlの蒸留
水に加え、完全に溶解させた。この水溶液を攪拌しつつ
水酸化カリウム水溶液(蒸留水400mlに水酸化ナトリウム
100gを溶解させた溶液)を徐々に滴下することにより、
沈殿物を形成させた。反応液が完全にアルカリ性(pH11
以上)になっていることを確認し、攪拌下に共沈物を含
む反応液に室温で3日間空気を吹き込んで酸化処理した
後、反応液を60℃で3日間保持して、沈殿を熟成させ
た。
後、水酸化リチウム1水和物40g、塩素酸カリウム40g、
蒸留水200mlとともにポリテトラフルオロエチレン製ビ
ーカー中に入れ、よく攪拌した後、水熱反応炉(オート
クレーブ)内に設置し、220℃で8時間水熱処理した。
却し、水熱処理反応液を含むビーカーをオートクレーブ
外に取り出し、生成している沈殿物を蒸留水で洗浄し
て、過剰に存在する水酸化リチウムなどの塩類を除去
し、濾過し、乾燥することにより、粉末状生成物を得
た。
るために、生成物粉末と水酸化リチウム1水和物0.25モ
ル(10.49g)を蒸留水150mlに溶解させた水酸化リチウム
水溶液とを混合し、100℃で乾燥し、粉砕し、得られた
粉末を大気中500℃で20時間焼成した。次いで、過剰の
リチウム塩を除去するために、焼成物を蒸留水で水洗
し、濾過し、乾燥して、粉末状生成物を得た。
(b)に示す。すべてのピークは、既存の粉末X線回折デー
タ(JCPDSカード17-0938および“J.C.Mikkelsen, J. Am.
Ceram. Soc., 63, 332, (1980)”に記載されている立
方晶岩塩型のα-LiFeO2およびLi1.33Ti0.67O2の単位胞
(空間群:Fm3m, a=4.158および4.140 Å)で、指数付けす
ることができた。
ピークから計算される格子定数(a=4.1445±0.0015Å)
が、α-LiFeO2とLi1.33Ti0.67O2との中間的な値を有し
ていること、化学分析(下記表1)により、Feがほぼ仕込
量通りに54±2モル%含まれていること、Li/(Fe+Ti)値が
ほぼ1.4であることから、本比較例において、Li1+x(Fe0
.5Ti0.50)1-xO2が得られたことが確認できた。
料とし、金属リチウムを負極材料として、LiPF6をエチ
レンカーボネートとジメチルカーボネートとの混合溶媒
に溶解させた1M溶液を電解液として、リチウム電池と
しての充放電特性(電位範囲2.5-4.3V、電流密度7.5mA/
g)を検討した(図4)。
極材料において、初期充電容量はともに130mAh/g以上で
あるが、初期および10サイクル後の充放電曲線(図4に
おいて、右上がりの曲線が充電曲線に対応し、右下がり
の曲線が放電曲線に対応する)が著しく異なっている。
特に、4V付近の電位平坦部の初期および10サイクル後の
容量において、実施例1による試料の方が、比較例1によ
る試料に比して、大きな値を示している。
晶構造を示す模式的な斜面図である。
1-xO2のX線回折パターン(a)と比較例1で得られたLi1+x
(Fe0.5Ti0.50)1-xO2のX線回折パターン(b)とを示す図面
である。
1-xO2の透過型電子顕微鏡写真を電子的に画像処理した
図面である。
1-xO2 (a)および比較例1で得られたLi1+x(Fe0.5Ti0.50)
1-xO2 (b)をそれぞれ正極材料とし、Li金属を負極材料
とする2種のコイン型リチウム電池の初期および10サイ
クル後の充放電特性を示すグラフである。
Claims (6)
- 【請求項1】組成式Li1+x(Ti1-y-zFeyNiz)1-xO2(但し、
0≦x≦0.33、0<y≦0.95、0<z≦0.5、0<y +z<1) で
表され、立方晶岩塩型構造を有するリチウムフェライト
系複合酸化物。 - 【請求項2】水溶性チタン塩、水溶性鉄塩および水溶性
ニッケル塩を含む混合水溶液をアルカリにより共沈さ
せ、得られた沈殿生成物を酸化剤および水溶性リチウム
塩とともに101〜400℃の温度範囲で水熱処理し、次いで
過剰の塩類を除去した後、水熱処理反応生成物を300-80
0℃で熱処理することを特徴とする請求項1に記載のリチ
ウムフェライト系複合酸化物の製造方法。 - 【請求項3】水熱処理反応生成物の熱処理を大気中、酸
化雰囲気中或いは還元雰囲気中で行う請求項2記載のリ
チウムフェライト系複合酸化物の製造方法。 - 【請求項4】熱処理前の水熱反応処理物にリチウム塩を
添加・混合し、熱処理した後、熱処理物を溶媒洗浄して
過剰のリチウム塩を除去する請求項3に記載のリチウム
フェライト系複合酸化物の製造方法。 - 【請求項5】組成式Li1+x(Ti1-y-zFeyNiz)1-xO2(但し、
0≦x≦0.33、0<y≦0.95、0<z≦0.5、0<y +z<1) で
表され、立方晶岩塩型構造を有するリチウムフェライト
系複合酸化物からなるリチウムイオン二次電池用正極材
料。 - 【請求項6】組成式Li1+x(Ti1-y-zFeyNiz)1-xO2(但し、
0≦x≦0.33、0<y≦0.95、0<z≦0.5、0<y +z<1) で
表され、立方晶岩塩型構造を有するリチウムフェライト
系複合酸化物からなる正極材料を構成要素とするリチウ
ムイオン二次電池。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002113976A JP3968420B2 (ja) | 2002-04-16 | 2002-04-16 | 立方晶岩塩型リチウムフェライト系複合酸化物およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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