JP2003305571A - 溶接電源装置の出力制御方法 - Google Patents
溶接電源装置の出力制御方法Info
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Abstract
値Lioの影響を受けることなく安定した溶接を行うため
の適正インダクタンス値Lrを溶接電源装置の出力制御
によって形成する。 【解決手段】 本発明は、出力電圧Eを設定する出力電
圧設定値Er[V]及び溶接電源装置の適正インダクタ
ンス値を設定するインダクタンス設定値Lr[H]を予
め設定し、溶接中の溶接電圧v及び溶接電流iを検出
し、上記溶接電圧検出値vd[V]を入力として電流設
定変化量ΔIr=(Er−vd)/Lrを演算し、この
電流設定変化量ΔIrを積分して溶接電流制御設定値I
rcを算出し、上記溶接電流検出値idが上記溶接電流制
御設定値Ircと略等しくなるように溶接電流iを制御す
る。
Description
いて適正インダクタンス値及び適正外部特性傾きを所望
値に設定することができる溶接電源装置の出力制御方法
に関する。
接装置の構成図である。溶接電源装置PSは、外部特性
が定電圧特性になるように出力制御されて、溶接に適し
た溶接電圧v及び溶接電流iを出力する。溶接ワイヤ1
は、ワイヤ送給モータWMに直結された送給ロール5の
回転によって溶接トーチ4を通って送給されると共に、
給電チップ4aを介して給電されて母材2との間でアー
ク3が発生する。
回路図である。前述したように、溶接電源装置は定電圧
特性を有するので、定電圧源E[V]として表わすこと
ができる。また、溶接電源装置の内部抵抗値はRi
[Ω]となり、内部インダクタンス値はLi[H]とな
る。この内部抵抗値Riは、溶接電源装置内部の配線ケ
ーブル等の抵抗値であり、その値は通常0.02〜0.
05[Ω]程度と小さな値である。他方、上記の内部イ
ンダクタンス値Liは、溶接負荷の変化に応じて変化す
る溶接電流の変化量を適正化して安定した溶接状態にす
るためのリアクトルのインダクタンス値である。この内
部インダクタンス値Liは、溶接ワイヤの材質、送給速
度、溶接法等の溶接条件に応じて100〜500[μ
H]程度の範囲内で適正値に設定される。例えば、鉄鋼
の炭酸ガスアーク溶接では、送給速度が遅い小電流のと
きの短絡移行域ではLi=120[μH]程度が適正値
となり、送給速度が速い中・大電流のときのグロビュー
ル移行域ではLi=240[μH]程度が適正値とな
る。また、アルミニウムのMIG溶接においては、送給
速度が遅い小電流のときの短絡移行域ではLi=200
[μH]程度が適正値となり、送給速度が速い中・大電
流のときのグロビュール又はスプレー移行域ではLi=
300[μH]程度が適正値となる。
波形図であり、同図(A)は溶接電圧vの時間変化を示
し、同図(B)は溶接電流iの時間変化を示す。時刻t
1〜t2の短絡期間Ts中は、同図(A)に示すよう
に、溶接電圧vは数[V]程度の短絡電圧vsとなり、
同図(B)に示すように、短絡電流isは前述した内部
インダクタンス値で定まる傾斜で上昇する。続いて、時
刻t2〜t3のアーク期間Ta中は、同図(A)に示す
ように、アーク電圧vaはアーク長に応じた電圧値とな
り、同図(B)に示すように、アーク電流iaは前述し
た内部インダクタンス値で定まる傾斜で下降又は変化す
る。アーク長の変動によって溶接負荷が変動したときの
上述した短絡電流is及びアーク電流iaの変化の傾斜
が適正であれば安定した溶接状態となる。したがって、
安定した溶接状態を得るためには、上述した内部インダ
クタンス値を適正値に設定する必要がある。
圧・電流波形図であり、同図(A)は溶接電圧vの時間
変化を示し、同図(B)は溶接電流iの時間変化を示
す。時刻t1において、溶滴が移行するとアーク長が急
に長くなり溶接負荷が変動するので、同図(A)に示す
溶接電圧v及び同図(B)に示す溶接電流iが変化す
る。これらの電圧・電流変化が適正であれば溶接状態は
安定になるので、電圧・電流変化を決める前述した内部
インダクタンス値を適正値に設定する必要がある。
ーク溶接用の溶接電源装置では、溶接負荷の変動に対す
る溶接電圧及び溶接電流の変化を適正化して安定した溶
接状態を得るために、内部インダクタンス値を適正値に
設定する必要がある。しかしながら、数百[A]が通電
する数百[μH]のインダクタンス値を有するリアクト
ルは、その体積が非常に大きくなり、かつ、その重量も
非常に重くなり、コストも高くなる。さらには、前述し
たように、リアクトルのインダクタンス値は、種々な溶
接条件に応じて100〜500[μH]の広い範囲で適
正値に設定する必要があるが、鉄芯にケーブルを巻いて
形成されるリアクトルにおいてインダクタンス値を任意
の値に変更することはできない。したがって、一般的に
は、標準的な溶接条件を想定してインダクタンス値を設
定しており、このために種々の溶接条件において最も安
定した溶接状態になるインダクタンス値ではないという
問題があった。
によってリアクトルと等価な働きをさせるいわゆる電子
リアクトル制御が従来から提案されている。以下、この
制御方法について説明する。
成立する。 E=Ri・i+Li・di/dt+v……(1)式 こ但し、E[V]は出力電圧、Ri[Ω]は内部抵抗
値、Li[H]は内部インダクタンス値、i[A]は溶
接電流及びv[V]は溶接電圧である。前述したよう
に、内部抵抗値Riは通常小さな値であり省略できるの
で、上記(1)式は下式のように整理することができ
る。 E−Li・di/dt=v……(2)式 上式に対応する等価回路が図5(A)となる。
i/dtと定義すると、Ec=vとなり、等価回路は図
5(B)となる。したがって、図5(A)の内部インダ
クタンス値Liと等価な働きをさせるためには、上記の
制御出力電圧EcがE−Li・di/dtになるように
制御すればよいことになる。すなわち、電子リアクトル
制御の基本式は下式となる。 Ecr=Er−Lr・di/dt……(3)式 但し、Ecr[V]は制御出力電圧設定値、Er[V]は
出力電圧設定値、Lr[H]は内部インダクタンス値L
i[H]と同一値のインダクタンス設定値、di/dt
は溶接電流iの微分値である。電子リアクトル制御で
は、出力電圧設定値Er及びインダクタンス設定値Lr
を予め設定し、溶接中の溶接電流の微分値を算出して上
記(3)式によって制御出力電圧設定値Ecrを演算し、
溶接電源装置の出力電圧が上記の制御出力電圧設定値E
crと略等しくなるように制御する。以上のように出力電
圧を制御することによって、図5(B)に示すように、
実際のリアクトルを回路に挿入することなく図5(A)
に示すリアクトルの内部インダクタンス値Liと等価な
働きをさせることができる。そして、種々な溶接条件に
応じて、上記(3)式のインダクタンス設定値Lrを所
望値に設定するだけで、最適なインダクタンス値を有す
る電子的なリアクトルを作り出すことができる。
Ecは、インバータ制御溶接電源装置等によって形成さ
れるのが一般的である。したがって、インバータトラン
スの2次側のパルス状の出力を平滑するための数十[μ
H]程度の小さなインダクタンス値を有するリアクトル
を溶接電源装置内部に設けるのが一般的である。さら
に、溶接電源装置の出力端子と溶接トーチ又は母材を接
続する溶接ケーブルによる外部インダクタンス値も回路
に挿入されることになる。これらの内外部インダクタン
ス値をLio[H]として表わすと、等価回路は図5
(C)となる。同図において、溶接条件に対応した適正
インダクタンス値をLm[H]として表わすと、上記
(3)式は下式となる。 Ecr=Er−(Lm−Lioo)・di/dt……(4)式 すなわち、インダクタンス設定値Lr=Lm−Lioに設
定すればよいことになる。
接電源装置のブロック図である。以下、同図を参照して
各回路ブロックについて説明する。出力制御回路INV
は、3相200V等の商用電源を入力として、後述する
電圧誤差増幅信号Ampに従って、インバータ制御、チョ
ッパ制御等の出力制御を行い、出力電圧Eを出力する。
直流リアクトルDCLは、前述した内外部インダクタン
ス値Lioに相当するリアクトルであり、出力を平滑す
る。出力電圧検出回路EDは、上記の出力電圧Eを検出
して、出力電圧検出信号Edを出力する。溶接電流検出
回路IDは、溶接電流iを検出して、溶接電流検出信号
idを出力する。
溶接電流検出信号idを入力として、Lr・di/dt
の演算を行う。ここで、インダクタンス設定値Lrは、
前述したように、適正インダクタンス値LmによってL
r=Lm−Lioに設定される。出力電圧設定回路ER
は、所望値の出力電圧設定信号Erを出力する。減算回
路SUBは、Er−Lr・di/dtの減算を行い、制
御出力電圧設定信号Ecrを出力する。したがって、上記
の電子リアクトル制御回路ERC及び減算回路SUBに
よって上記(3)式の演算を行っている。電圧誤差増幅
回路AMPは、上記の制御出力電圧設定信号Ecrと出力
電圧検出信号Edとの誤差を増幅して電圧誤差増幅信号
Ampを出力する。以上の動作によって、前述した図5
(C)の等価回路に対応する溶接電源装置が形成され
る。
トル制御では、前述した(3)式Ecr=Er−Lr・d
i/dtに基づいて出力電圧を制御する。そして、溶接
条件に応じて定まる適性インダクタンス値Lm及び内外
部インダクタンス値Lioによって、インダクタンス設定
値Lr=Lm−Lioに設定する。しかし、溶接電源装置
の形式によって内部リアクトルの内部インダクタンス値
は異なるために、適正インダクタンス値Lmが同一値で
あっても、溶接電源装置の形式ごとにインダクタンス設
定値Lrを微調整する必要があり、微調整に手間がかか
る。さらに、溶接ケーブルによる外部インダクタンス値
は、溶接ケーブルの長さ及び引き回しによって大きく変
化するために、常に適正インダクタンス値Lmに維持す
るにはインダクタンス設定値Lrを外部インダクタンス
値に応じて微調整する必要がある。これを怠ると、適正
インダクタンス値から外れることになり、その結果、溶
接状態が不安定になる場合も生じる。
ス値Lioが変化しても適正インダクタンス値Lmを常に
維持する電子リアクトルを形成することができる溶接電
源装置の出力制御方法を提供する。
すように、溶接電源装置の出力電圧設定値Erと溶接電
圧の検出値vdとの差に予め定めた係数を乗じた値に応
じて溶接電流iの変化量を算出して溶接電流iを制御す
ることを特徴とする溶接電源装置の出力制御方法であ
る。
源装置の出力電圧Eを設定する出力電圧設定値Er
[V]及び溶接電源装置の適正インダクタンス値Lmを
設定するインダクタンス設定値Lr[H]を予め設定
し、溶接中の溶接電圧v及び溶接電流iを検出し、上記
溶接電圧検出値vd[V]を入力として電流設定変化量
ΔIr=(Er−vd)/Lrを演算し、この電流設定
変化量ΔIrを積分して溶接電流制御設定値Ircを算出
し、上記溶接電流検出値idが上記溶接電流制御設定値
Ircと略等しくなるように出力を制御することを特徴と
する溶接電源装置の出力制御方法である。
溶接電源装置の出力電圧Eを設定する出力電圧設定値E
r[V]及び溶接電源装置の適正インダクタンス値Lm
を設定するインダクタンス設定値Lr[H]及び溶接電
源装置の外部特性の傾きSを設定する外部特性傾き設定
値Sr[V/A]を予め設定し、溶接中の溶接電圧v及
び溶接電流iを検出し、上記溶接電圧検出値vd[V]
及び上記溶接電流検出値id[A]を入力として電流設
定変化量ΔIr=(Er−vd−Sr・id)/Lrを
演算し、この電流設定変化量ΔIrを積分して溶接電流
制御設定値Ircを算出し、上記溶接電流検出値idが上
記溶接電流制御設定値Ircと略等しくなるように出力を
制御することを特徴とする溶接電源装置の出力制御方法
である。
に、溶接ワイヤと母材との間で短絡期間とアーク期間と
を繰り返す消耗電極ガスシールドアーク溶接に使用され
る溶接電源装置の出力制御方法において、溶接電流制御
設定値Ircが、短絡発生後の予め定めた短絡初期時間T
si中のみ予め定めた小電流値の短絡初期電流設定値Isi
に置換されることを特徴とする第2又は第3の発明記載
の溶接電源装置の出力制御方法である。
て、図面を参照して説明する。 [実施の形態1]図7(A)は、前述した図5(A)に
対応しており、適正インダクタンス値Lmを有する定電
圧特性の溶接電源装置の等価回路図である。同図におい
て、前述した(2)式と同様に下式が成立する。 E=Lm・di/dt+v 但し、E[V]は出力電圧、Lm[H]は適正インダク
タンス値、i[A]は溶接電流、v[V]は溶接電圧で
ある。上式を整理すると、下式となる。 di/dt=(E−v)/Lm 両辺を積分すると、下式となる。 i=∫((E−v)/Lm)・dt ここで、溶接電流iを溶接電流制御設定値Ircに、出力
電圧Eを出力電圧設定値Erに、適正インダクタンス値
Lmをインダクタンス設定値Lrにそれぞれ置換する
と、下式となる。 Irc=∫((Er−v)/Lr)・dt……(5)式 上式に対応する等価回路を図7(B)に示す。同図にお
いて、溶接電圧vを検出し定電流源CCの溶接電流iに
相当する溶接電流制御設定値Ircが、上記(5)の演算
値となるように制御する。これによって、溶接負荷の変
動に対する溶接電流iの変化は、図7(A)と同一にな
る。したがって、上記(5)式が本発明の制御の基本式
となる。
に、内外部インダクタンス値がLioの場合の等価回路を
示す。同図において、上記(5)式のLr=Lmのまま
で、溶接負荷の変動に対する溶接電流iの変化は同一と
なる。すばわち、内外部インダクタンス値Lioが変化し
ても、本発明の制御方法には影響を与えない。したがっ
て、溶接電源装置の形式によって内部インダクタンス値
が変化しても、かつ、溶接ケーブルの長さ及び引き回し
によって外部インダクタンス値が変化しても、上記
(5)式のインダクタンス設定値Lrは常に適正インダ
クタンス値Lmの設定のままでよい。
は、溶接電源装置の出力電圧設定値Erと溶接電圧の検
出値vdとの差(Er−vd)に予め定めた係数1/L
rを乗じた値に応じて溶接電流iの変化量Δiを算出し
て溶接電流iを制御する溶接電源装置の出力制御方法で
ある。
は、溶接電源装置の出力電圧を設定する出力電圧設定値
Er[V]及び溶接電源装置の適正インダクタンス値L
mを設定するインダクタンス設定値Lr[H]を予め設
定し、溶接中の溶接電圧v及び溶接電流iを検出し、上
記(5)式に基づいて、上記溶接電圧検出値vd[V]
を入力として電流設定変化量ΔIr=(Er−vd)/
Lrを演算し、この電流設定変化量ΔIrを積分して溶
接電流制御設定値Ircを算出し、上記溶接電流検出値i
dがこの溶接電流制御設定値Ircと略等しくなるように
出力を制御する。
ロック図である。以下、同図を参照して各回路ブロック
について説明する。出力制御回路INVは、3相200
V等の商用電源を入力として、後述する電流誤差増幅信
号Apiに従って、インバータ制御、チョッパ制御等の出
力制御を行い、溶接電流iを出力する。直流リアクトル
DCLは、内外部インダクタンス値Lioに相当するリア
クトルであり、出力を平滑する。溶接電圧検出回路VD
は、溶接電圧vを検出して溶接電圧検出信号vdを出力
する。溶接電流検出回路IDは、溶接電流iを検出して
溶接電流検出信号idを出力する。
圧設定信号Erを出力する。インダクタンス設定回路L
Rは、適正インダクタンス値Lmに相当するインダクタ
ンス設定信号Lrを出力する。電流設定変化量演算回路
DIRは、上記の溶接電圧検出信号vd、出力電圧設定
信号Er及びインダクタンス設定信号Lrを入力とし
て、(Er−vd)/Lrの演算を行い、電流設定変化
量信号ΔIrを出力する。積分回路IIRは、上記の電
流設定変化量信号ΔIrを積分して、溶接電流制御設定
信号Ircを出力する。電流誤差増幅回路APIは、上記
の溶接電流制御設定信号Ircと溶接電流検出信号idと
の誤差を増幅して、電流誤差増幅信号Apiを出力する。
以上の動作によって、溶接電源装置は図7(B)及び
(C)で前述した定電流源CCを形成することになる。
は、前述した実施の形態2において、溶接電源装置の外
部特性の傾きS[V/A]を所望値に設定することがで
きる出力制御方法である。すなわち、本発明の実施の形
態3は、出力電圧設定値Er[V]及びインダクタンス
設定値Lr[H]及適正外部特性傾き設定値Sr[V/
A]を予め設定し、溶接中の溶接電圧v及び溶接電流i
を検出し、この溶接電圧検出値vd[V]及び溶接電流
検出値id[A]を入力として電流設定変化量ΔIr=
(Er−vd−Sr・id)/Lrを演算し、この電流
設定変化量ΔIrを積分して溶接電流制御設定値Ircを
算出し、上記溶接電流検出値idがこの溶接電流制御設
定値Ircと略等しくなるように出力を制御する。
り、適正インダクタンス値Lm及び適正抵抗値Rmを有
する定電圧特性の溶接電源装置の等価回路図である。同
図において、前述した(1)式と同様に下式が成立す
る。 E=Rm・i+Lm・di/dt+v……(6)式 但し、E[V]は出力電圧、Rm[Ω]は適正抵抗値、
Lm[H]は適正インダクタンス値、i[A]は溶接電
流、v[V]は溶接電圧である。上式において、電流変
化di/dt=0のときの溶接電圧vと溶接電流iとの
関係が外部特性となる。di/dt=0を上式に代入す
ると、下式となる。 v=E−Rm・i 上式をグラフで表わすと図10となる。同図において、
横軸は溶接電流iを示し、縦軸は溶接電圧vを示す。R
m≧0であるので、グラフは右下がりの直線となり、直
線の傾きSm[V/A]=Rm[Ω]となる。したがっ
て、上記(6)式において、Rm=Smを代入すると、
下式となる。 E=Sm・i+Lm・di/dt+v 上式を整理すると、下式となる。 di/dt=(E−v−Sm・i)/Lm 両辺を積分すると、下式となる。 i=∫((E−v−Sm・i)/Lm)・dt ここで、溶接電流iを溶接電流制御設定値Ircに、出力
電圧Eを出力電圧設定値Erに、適正外部特性傾きSm
を外部特性傾き設定値Srに、適正インダクタンス値L
mをインダクタンス設定値Lrにそれぞれ置換すると、
下式となる。 Irc=∫((Er−v−Sr・i)/Lr)・dt……(7)式 上式に対応する等価回路を図9(B)に示す。同図にお
いて、溶接電圧v及び溶接電流iを検出し、定電流源C
Cの溶接電流iに相当する溶接電流制御設定値Ircが、
上記(7)式の演算値となるように制御する。これによ
って、溶接負荷の変動に対する溶接電流iの変化は、図
9(A)と同一になる。したがって、上記(7)式が実
施の形態3の制御の基本式となる。
に、内外部インダクタンス値がLioであり、内部抵抗及
び溶接ケーブルによる外部抵抗を合わせた内外部抵抗値
がRioである場合の等価回路を示す。同図において、上
記(7)式のLr=Lm及びSr=Smのままで、溶接
負荷の変動に対する溶接電流iの変化は同一となる。す
ばわち、内外部インダクタンス値Lio及び内外部抵抗値
Rioが変化しても、実施の形態3の制御方法には影響を
与えない。したがって、溶接電源装置の形式によって内
部インダクタンス値及び内部抵抗値が変化しても、か
つ、溶接ケーブルの長さ及び引き回しによって外部イン
ダクタンス値及び外部抵抗値が変化しても、上記(7)
式のインダクタンス設定値Lr及び外部特性傾き設定値
Srは常に適正インダクタンス値Lm及び適正外部特性
傾きSmの設定のままでよい。
ダクタンス値Lmに加えて適正外部特性傾き設定値Sm
を設定する理由は、以下のとおりである。すなわち、適
正外部特性傾きSmは、鉄鋼の炭酸ガスアーク溶接又は
MAG溶接では、0.02〜0.05[V/A]程度で
あり、アルミニウムのMIG溶接では0.08〜0.1
5[V/A]程度である。したがって、溶接ワイヤの材
質、溶接法等によって、安定した溶接状態を得るために
は、外部特性傾きを適正値に設定する必要がある。
源装置のブロック図である。同図において、前述した図
8と同一の回路ブロックには同一符号を付し、それらの
説明は省略する。以下、図8とは異なる点線で示す回路
ブロックについて、同図を参照して説明する。
部特性傾き設定信号Srを出力する。第2の電流設定変
化量演算回路DIR2は、溶接電圧検出信号vd、溶接
電流検出信号id、出力電圧設定信号Er、インダクタ
ンス設定信号Lr及び上記の外部特性傾き設定信号Sr
を入力として、(Er−vd−Sr・id)/Lrの演
算を行い、電流設定変化量信号ΔIrを出力する。
は、溶接ワイヤと母材との間で短絡期間とアーク期間と
を繰り返す消耗電極ガスシールドアーク溶接に使用され
る溶接電源装置の出力制御方法において、実施の形態2
〜3に記載する溶接電流制御設定値Ircが、短絡発生後
の予め定めた短絡初期時間Tsi中のみ予め定めた小電流
値の短絡初期電流設定値Isiに置換される溶接電源装置
の出力制御方法である。短絡初期時間Tsi中の溶接電流
値を小電流値にする理由は、以下のとおりである。すな
わち、短絡発生直後に溶接電流値が増加すると、短絡状
態が短時間で解除されて溶滴移行を伴わない微小短絡が
発生しやすくなり、その結果スパッタが多く発生してビ
ード外観も悪くなる。短絡直後の溶接電流値を小さくす
ると、微小短絡の発生を低減することができ、その結果
スパッタも少なくなりビード外観もよくなる。以下、図
面を参照して説明する。
ドアーク溶接の電圧・電流波形図であり、同図(A)は
溶接電圧vの時間変化を示し、同図(B)は溶接電流i
の時間変化を示す。時刻t1において短絡が発生する
と、同図(A)に示すように、溶接電圧vは数[V]程
度の低い値となる。したがって、前述した実施の形態2
の(5)式又は実施の形態3の(7)式において、Er
−v>0となるので溶接電流制御設定値Ircは、同図
(B)に示すように増加する。前述したように、短絡直
後に溶接電流iが増加すると、微小短絡が多く発生する
ために、ビード外観が悪くなる。これを抑制するため
に、同図(B)に示すように、短絡発生後の予め定めた
短絡初期時間Tsi中は、予め定めた小電流値の短絡初期
電流Isiを通電する。
源装置のブロック図である。同図は、図11で前述した
実施の形態3の溶接電源装置に短絡初期電流制御を付加
したものである。同図において、前述した図11と同一
の回路ブロックには同一符号を付し、それらの説明は省
略する。以下、図11とは異なる点線で示す回路ブロッ
クについて、同図を参照して説明する。
して短絡状態を判別してHighレベルとなる短絡判別
信号Sdを出力する。短絡初期時間タイマ回路TSI
は、上記の短絡判別信号SdがHighレベル(短絡)
に変化した時点から予め定めた時間だけHighレベル
となる短絡初期時間信号Tsiを出力する。短絡初期電流
設定回路ISIは、予め定めた短絡初期電流設定信号I
siを出力する。電流設定切換回路ISWは、上記の短絡
初期時間信号TsiがHighレベルのときには上記の短
絡初期電流設定信号Isiを電流設定切換信号Iswとして
出力し、Lowレベルのときには溶接電流制御設定信号
Ircを電流設定切換信号Iswとして出力する。溶接電流
iは、この電流設定切換信号Iswに従って制御される。
を付加した場合について説明したが、図8で前述した実
施の形態2の溶接電源装置に付加する場合も同様であ
る。
よれば、内外部インダクタンス値Lioに影響されること
なく適正インダクタンス値Lmを電子的に形成すること
ができるので、溶接負荷の変動に対して溶接電圧及び溶
接電流の変化が適正になり、安定した溶接状態を得るこ
とができる。さらに、本発明の実施の形態3では、上記
の効果に加えて溶接電源装置の外部特性傾きを種々の溶
接条件に応じて適正値に設定することができるので、さ
らに溶接状態が安定化する。さらに、本発明の実施の形
態4では、短絡発生直後の溶接電流の増加を抑制するこ
とができるので、微小短絡の発生が少なくなり溶接品質
が良好になる。
置の構成図
形図
・電流波形図
の等価回路図
ブロック図
路図
ク図
路図
部特性図
ック図
・電流波形図
ック図
Claims (4)
- 【請求項1】 溶接電源装置の出力電圧設定値と溶接電
圧の検出値との差に予め定めた係数を乗じた値に応じて
溶接電流の変化量を算出して溶接電流を制御することを
特徴とする溶接電源装置の出力制御方法。 - 【請求項2】 溶接電源装置の出力電圧を設定する出力
電圧設定値Er[V]及び溶接電源装置の適正インダク
タンス値を設定するインダクタンス設定値Lr[H]を
予め設定し、 溶接中の溶接電圧及び溶接電流を検出し、前記溶接電圧
検出値vd[V]を入力として電流設定変化量ΔIr=
(Er−vd)/Lrを演算し、この電流設定変化量Δ
Irを積分して溶接電流制御設定値を算出し、前記溶接
電流検出値が前記溶接電流制御設定値と略等しくなるよ
うに出力を制御することを特徴とする溶接電源装置の出
力制御方法。 - 【請求項3】 溶接電源装置の出力電圧を設定する出力
電圧設定値Er[V]及び溶接電源装置の適正インダク
タンス値を設定するインダクタンス設定値Lr[H]及
び溶接電源装置の外部特性の傾きを設定する外部特性傾
き設定値Sr[V/A]を予め設定し、 溶接中の溶接電圧及び溶接電流を検出し、前記溶接電圧
検出値vd[V]及び前記溶接電流検出値id[A]を
入力として電流設定変化量ΔIr=(Er−vd−Sr
・id)/Lrを演算し、この電流設定変化量ΔIrを
積分して溶接電流制御設定値を算出し、前記溶接電流検
出値が前記溶接電流制御設定値と略等しくなるように出
力を制御することを特徴とする溶接電源装置の出力制御
方法。 - 【請求項4】 溶接ワイヤと母材との間で短絡期間とア
ーク期間とを繰り返す消耗電極ガスシールドアーク溶接
に使用される溶接電源装置の出力制御方法において、 溶接電流制御設定値が、短絡発生後の予め定めた短絡初
期時間中のみ予め定めた小電流値の短絡初期電流設定値
に置換されることを特徴とする請求項2又は請求項3記
載の溶接電源装置の出力制御方法。
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