JP2003302413A - 回転機の速度推定装置 - Google Patents

回転機の速度推定装置

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JP2003302413A
JP2003302413A JP2002105429A JP2002105429A JP2003302413A JP 2003302413 A JP2003302413 A JP 2003302413A JP 2002105429 A JP2002105429 A JP 2002105429A JP 2002105429 A JP2002105429 A JP 2002105429A JP 2003302413 A JP2003302413 A JP 2003302413A
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angular acceleration
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JP2002105429A
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Yoshihiko Kanehara
義彦 金原
Toshiyuki Kaitani
敏之 貝谷
Masaki Kono
雅樹 河野
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Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 回転角速度の推定にあたり、定常状態の精度
を上げることと、雑音の混入を防ぐ回転機の速度推定装
置を得る。 【解決手段】 回転機の電圧、電流、および推定回転角
速度に基づいてモデル偏差を演算するモデル偏差演算手
段2と、モデル偏差に基づいて推定回転角加速度を演算
する回転角加速度演算器10と、推定回転角加速度に基
づいて推定回転角速度を演算し、出力すると共にモデル
偏差演算手段2に帰還する回転角速度演算器11とを備
えることにより、推定回転角速度の定常状態の精度を向
上することができると共に、雑音の混入を防ぐことがで
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、位置検出器や回
転角速度検出器を用いないで、回転機の回転角加速度と
回転角速度とを推定する回転機の速度推定装置に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】位置検出器や回転角速度検出器を用いな
いで、回転機の回転角速度を推定する回転機の速度推定
装置に関し、これまでに、誘導機の回転角速度を推定す
る回転機の速度推定装置、および同期機の回転角速度を
推定する回転機の速度推定装置が発明されている。ま
ず、誘導機の回転角速度を推定する従来の回転機の速度
推定装置について説明する。図6は例えば特開平11−
4599号公報に示された従来の回転機の速度推定装置
を示すブロック図であり、図において、1は誘導機(回
転機)、2はモデル偏差演算手段、3は電流推定器、4
は減算器、5は偏差演算器、6は回転角速度演算器であ
る。モデル偏差演算手段2は、電流推定器3と減算器4
と偏差演算器5とから構成される。
【0003】次に動作について説明する。電流推定器3
は、誘導機1の電圧ベクトルと電流ベクトルと推定回転
角速度とに基づいて、推定電流ベクトルを演算し出力す
る。減算器4は、電流推定器3から得られた推定電流ベ
クトルから、誘導機1から得られた電流ベクトルを減算
し、電流偏差ベクトルを演算し出力する。偏差演算器5
は、減算器4から得られた電流偏差ベクトルを入力と
し、推定磁束ベクトルの直交成分をスカラ量として抽出
し、この値をモデル偏差として出力する。推定磁束ベク
トルの直交成分をスカラ量として抽出する手法として
は、電流偏差ベクトルを回転二軸上に座標変換する手法
や、電流偏差ベクトルと推定磁束ベクトルとの外積値の
大きさを演算する手法等が公知となっている。回転角速
度演算器6は、モデル偏差演算手段2が出力するモデル
偏差を比例積分により増幅し、その値を推定回転角速度
として出力する。以上の構成により、図6に示した従来
の回転の速度推定装置では、回転角速度検出器を用いる
ことなく、誘導機1の推定回転角速度を得ることができ
る。
【0004】続いて、電気学会論文誌「適応オブザーバ
によるブラシレスDCモータの位置センサレス制御」D
113巻 5号 579〜586頁 平成5年に示され
た従来の回転機の速度推定装置について説明する。図7
は例えば電気学会論文誌「適応オブザーバによるブラシ
レスDCモータの位置センサレス制御」D113巻 5
号 579〜586頁 平成5年に示された従来の回転
機の速度推定装置を示すブロック図であり、図におい
て、1aは同期機(回転機)、2aはモデル偏差演算手
段、3aは電流推定器であり、図6と同一の符号を付し
たものは、同一またはこれに相当するものである。モデ
ル偏差演算手段2aは、電流推定器3aと減算器4と偏
差演算器5とから構成される。
【0005】次に動作について説明する。電流推定器3
aは、同期機1aの電圧ベクトルと電流ベクトルと推定
回転角速度とに基づいて、推定電流ベクトルを演算し出
力する。減算器4は、電流推定器3aから得られた推定
電流ベクトルから、同期機1aから得られた電流ベクト
ルを減算し、電流偏差ベクトルを出力する。偏差演算器
5は、減算器4から得られた電流偏差ベクトルから推定
磁束ベクトルの直交成分をスカラ量として抽出し、この
値をモデル偏差として出力する。推定磁束ベクトルの直
交成分をスカラ量として抽出する手法としては、電流偏
差ベクトルを回転二軸上に座標変換する手法や電流偏差
ベクトルと推定磁束ベクトルとの外積値の大きさを演算
する手法等が公知となっている。回転角速度演算器6
は、偏差演算器5が出力するモデル偏差を比例積分によ
り増幅し、その値を推定回転角速度として出力する。以
上の構成により、図7に示した従来の回転の速度推定装
置では、回転角速度検出器を用いることなく、同期機1
aの推定回転角速度を得ることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来の回転機の速度推
定装置は以上のように構成されているので、モデル偏差
を比例積分することにより推定回転角速度を演算してい
るので、定常状態の精度が十分でない課題や、回転角速
度の推定値に雑音が混入するなどの課題があった。図8
は従来の回転機の速度推定装置における回転角速度演算
器6の入力から偏差演算器5の出力までの開ループ特性
を示す特性図である。推定回転角速度からモデル偏差ま
での伝達関数Ga(s)は、電気学会論文誌「低速・回
生領域を含む誘導電動機の速度センサレスベクトル制御
法」D120巻 2号 平成12年の226頁で公知で
あるように、式(1)で近似できる。 Ga(s)=Ax/(1+Txs) ・・・(1) 但し、Ax、Txは回転機の電気定数と電流推定器の構
成とから定まる定数である。また、sはラプラス演算子
であり、微分演算子と等しい。従って、推定回転角速度
からモデル偏差までの伝達関数は図8の実線のようにな
る。また、回転角速度演算器6の比例ゲインをkp、積
分ゲインをkiとすると、回転角速度演算器6は式
(2)のように表現できる。 (kp・s+ki)/s=kp・{1+ki/(kp・s)} ・・・(2) 従って、回転角速度演算器6の伝達特性は、図8のkp
(鎖線)と、1+ki/(kp・s)(太鎖線)とを合
成したものになる。
【0007】以上のことから、従来の回転機の速度推定
装置では、回転角速度演算器6の入力から偏差演算器5
の出力までの開ループ特性は図8の太線のようになる。
図8の太線は、低周波域から高周波域に渡り、開ループ
特性は、−20dB/decadeとなっている。従来
の回転機の速度推定装置では、低周波域の開ループ特性
が−20dB/decadeとなっているため、偏差演
算器5の入力から減算器4の出力までの開ループ特性に
おける低周波域のゲインが低く、その結果、定常状態の
精度が悪くなるという課題があった。また、従来の回転
機の速度推定装置では、高周波域の開ループ特性が−2
0dB/decadeとなっているため、偏差演算器5
の入力から減算器4の出力までの開ループ特性における
高周波域のゲインが高く、その結果、推定回転角速度に
雑音が混入するという課題があった。さらには、推定回
転角速度の定常状態の精度が悪かったり、雑音が混入す
る結果、この推定回転角速度を用いて制御する場合、速
度制御の応答を上げられない課題があった。図9は従来
の回転機の速度推定装置の実験結果を示す特性図であ
り、推定回転角速度が振動的で定常状態の精度に課題が
ある上に、推定回転角速度に雑音が混入していることが
伺える。
【0008】この発明は上記のような課題を解決するた
めになされたもので、回転角速度の推定にあたり、定常
状態の精度を上げることと、雑音の混入を防ぐ回転機の
速度推定装置を得ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明に係る回転機の
速度推定装置は、回転機と、回転機の電圧、電流、およ
び推定回転角速度に基づいてモデル偏差を演算するモデ
ル偏差演算手段と、モデル偏差に基づいて推定回転角加
速度を演算する回転角加速度演算器と、推定回転角加速
度に基づいて推定回転角速度を演算し、出力すると共に
モデル偏差演算手段に帰還する回転角速度演算器とを備
えたものである。
【0010】この発明に係る回転機の速度推定装置は、
モデル偏差演算手段において、回転機の電圧、電流、お
よび推定回転角速度に基づいて推定電流を演算する電流
推定器と、推定電流と回転機の電流との電流偏差を演算
する減算器と、電流偏差に基づいてモデル偏差を演算す
る偏差演算器とを備えたものである。
【0011】この発明に係る回転機の速度推定装置は、
回転角加速度演算器において、モデル偏差を比例積分す
ることにより推定回転角加速度を演算するようにしたも
のである。
【0012】この発明に係る回転機の速度推定装置は、
回転角加速度演算器において、回転機のトルク上限値を
回転機に関する慣性モーメントで除算した値に基づいた
推定回転角加速度の出力上限を設けると共に、回転機の
トルク下限値を回転機に関する慣性モーメントで除算し
た値に基づいた推定回転角加速度の出力下限を設けるよ
うにしたものである。
【0013】この発明に係る回転機の速度推定装置は、
回転機を、誘導機とするようにしたものである。
【0014】この発明に係る回転機の速度推定装置は、
回転機を、同期機とするようにしたものである。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の一形態を
説明する。 実施の形態1.図1はこの発明の実施の形態1による回
転機の速度推定装置を示すブロック図であり、図におい
て、1は誘導機(回転機)、2はモデル偏差演算手段、
3は電流推定器、4は減算器、5は偏差演算器、10は
回転角加速度演算器、11は回転角速度演算器である。
モデル偏差演算手段2は、誘導機1の電圧と電流と推定
回転角速度とに基づいて、推定電流を演算し出力する電
流推定器3と、その推定電流と誘導機1の電流との偏差
を演算し、電流偏差として出力する減算器4と、その電
流偏差に基づいてモデル偏差を演算する偏差演算器5と
を備える。
【0016】次に動作について説明する。電流推定器3
は、誘導機1の電圧ベクトルと電流ベクトルと推定回転
角速度とに基づいて、推定電流ベクトルを演算し出力す
る。減算器4は、電流推定器3から得られた推定電流ベ
クトルから、誘導機1から得られた電流ベクトルを減算
し、電流偏差ベクトルを演算し出力する。偏差演算器5
は、減算器4から得られた電流偏差ベクトルを入力と
し、推定磁束ベクトルの直交成分をスカラ量として抽出
し、この値をモデル偏差として出力する。回転角加速度
演算器10は、モデル偏差演算手段2が出力するモデル
偏差に基づいて推定回転角加速度を演算し出力する。回
転角速度演算器11は、その推定回転角加速度を積分
し、推定回転角速度を出力する。以上の構成により、図
1に示したこの実施の形態1における回転機の速度推定
装置では、回転角速度検出器を用いることなく、誘導機
1の推定回転角速度を得ることが可能である。
【0017】図2はこの発明の実施の形態1による回転
角加速度演算器10の入力から偏差演算器5の出力まで
の開ループ特性を示す特性図である。モデル偏差演算手
段2において、推定回転角速度からモデル偏差までの伝
達関数は、従来の回転機の速度推定装置と同様に、推定
回転角速度からモデル偏差までの伝達関数Ga(s)は
式(1)で近似できる。回転角加速度演算器10の比例
ゲインをkp1、積分ゲインをki1とすると、回転角
加速度演算器10は、式(3)のように表現できる。 (kp1・s+ki1)/s=kp1・{1+ki1/(kp1・s)} ・・・(3) 従って、回転角加速度演算器10の伝達特性は図2のk
p1(鎖線)と、1+ki1/(kp1・s)(太鎖
線)とを合成したものになる。従って、回転角加速度演
算器10において、kp1とki1との値を適切に設定
すれば、モデル偏差から推定回転角加速度の特性を所望
の特性にすることができる。図2を例にとって、kp1
とki1との設定方法について説明する。推定回転角速
度からモデル偏差までの伝達関数Ga(s)は、式
(1)であり、Ax,Txは回転機の電気定数と電流推
定器3の構成から定まる定数である。この実施の形態1
の場合、回転機の電気定数と電流推定器3の構成が従来
の回転機の速度推定装置と同じであれば、伝達関数Ga
(s)=Ax/(1+Txs)も同じである。なお、従
来の回転機の速度推定装置では、図8に示した開ループ
特性において、ゲインが0dBになる付近の角周波数は
200[rad/s]である。そこで、この実施の形態
1の開ループ特性のゲインにおける0dBになる付近の
角周波数も200[rad/s]になるように、ωac
を200[rad/s]で与え、kp1をωac/A
x、ki1をωac・kp1/5にそれぞれ設定する。
このように、kp1、ki1を設定すれば、1+ki1
/(kp1・s)の特性は、図8の太鎖線のようにな
る。また、回転角速度演算器11は、積分器であること
から、伝達関数は図2の1/s(点線)となる。従っ
て、この実施の形態1の開ループ特性は、図2の1+k
i1/(kp1・s)(太鎖線)とkp1(鎖線)と1
/s(点線)とAx/(1+Txs)(実線)とを合成
した太線の特性となり、開ループ特性のゲインが0dB
になる付近の角周波数がωac(=200)[rad/
s]となる。このように、比例ゲインkp1をωac/
Ax、積分ゲインki1を(ωac・kp1)/5と与
えることにより、開ループ特性のゲインが0dBになる
付近の角周波数をωac[rad/s]に設定すること
ができる。なお、開ループ特性のゲインが0dBになる
付近の傾きを−20dB/decadeとするには、積
分ゲインkilの大きさは、ωac・kp1の1/5倍
以下の値で任意の値を設定すれば良い。以上のように、
kilとkp1との値を選択すれば、モデル偏差から推
定回転角加速度の開ループ特性のゲインが0dBになる
付近の角周波数を任意の値に設定できる。
【0018】以上のことから、この実施の形態1におけ
る回転機の速度推定装置では、回転角速度演算器11を
備えることにより、回転角加速度演算器10の入力から
偏差演算器5の出力までの開ループ特性を、図2の太線
のようすることが可能である。図2の太線は、ゲインが
0dBになる付近の傾きは、−20dBであり、図8に
示した従来の回転機の速度推定装置と同じであるが、低
周波域における開ループ特性は−40dB/decad
eとなっている。これは、低周波のゲインを高くするこ
とに相当し、定常状態の精度が向上する効果がある。ま
た、図2の太線は、高周波域における開ループ特性が−
40dB/decadeとなっている。これは、必要以
上の高周波域のゲインは抑えることに相当し、雑音の混
入を防ぐ効果がある。図2と図8の開ループ特性を比較
すると、開ループ特性のゲインが0dBになる付近の角
周波数は、図2、図8ともに200[rad/s]であ
るにもかかわらず、図2の開ループ特性の方が図8の開
ループ特性より低周波域のゲインは高く、また、高周波
域のゲインは抑えられることが分かる。図3はこの発明
の実施の形態1による回転機の速度推定装置における実
験結果を示す特性図であり、従来の図9と比較して、推
定回転角速度の定常状態の精度が向上する効果と、雑音
の混入を防ぐ効果とが確認できる。このように、この実
施の形態1の回転機の速度推定装置では、誘導機1の回
転角速度を推定する上で定常状態の精度が向上する効果
に加え、雑音の混入を防ぐ効果がある。この結果、この
推定回転角速度を用いて制御する場合、誘導機1の速度
制御の応答を上げることが可能となる効果がある。
【0019】実施の形態2.図4はこの発明の実施の形
態2による回転機の速度推定装置を示すブロック図であ
り、図において、1aは同期機(回転機)、2aはモデ
ル偏差演算手段、3aは電流推定器である。その他、実
施の形態1と同一の符号を付したものは、同一またはこ
れに相当するものである。
【0020】次に動作について説明する。回転角加速度
演算器10は、モデル偏差演算手段2aに基づいて推定
回転角加速度を演算し出力する。回転角速度演算器11
は、推定回転角加速度を積分し、推定回転角速度を出力
する。以上の構成により、図4に示したこの実施の形態
2における回転機の速度推定装置では、回転速度検出器
を用いることなく、同期機1aの推定回転角速度を得る
ことが可能である。このように、この実施の形態2の回
転機の速度推定装置では、モデル偏差に基づいて推定回
転角加速度を演算し出力する回転角加速度演算器10
と、その推定回転角加速度を積分し、回転角速度を出力
する回転角速度演算器11とを備えたので、同期機1a
の回転角速度を推定する上で定常状態の精度が向上する
効果に加え雑音の混入を防ぐ効果がある。この結果、こ
の推定回転角速度を用いて制御する場合、同期機1aの
速度制御の応答を上げることが可能となる効果がある。
【0021】実施の形態3.図5はこの発明の実施の形
態3による回転機の速度推定装置を示すブロック図であ
り、図において、2bはモデル偏差演算手段、4bは減
算器、12,13は抽出器である。その他、実施の形態
1と同一の符号を付したものは、同一またはこれに相当
するものである。モデル偏差演算手段2bは、電流推定
器3と、抽出器12,13と、減算器4bとから構成さ
れる。
【0022】次に動作について説明する。抽出器12
は、電流推定器3から得られた推定電流ベクトルを入力
とし、推定磁束ベクトルの直交成分をスカラ量として抽
出する。抽出の方法としては、公知手法を用いて、推定
電流ベクトルを回転二軸上に座標変換しても良く、ある
いは推定電流ベクトルと推定磁束ベクトルとの外積値の
大きさを演算しても良い。同様に、抽出器13は、誘導
機1の電流ベクトルを入力とし、推定磁束ベクトルの直
交成分をスカラ量として抽出する。減算器4bは、抽出
器12の出力から抽出器13の出力を減算し、モデル偏
差として出力する。この実施の形態3の構成において
も、回転角加速度演算器10の入力から減算器4bの出
力までの開ループ特性は、上記実施の形態1と同じであ
る。従って、この実施の形態3の回転機の速度推定装置
は、誘導機1の推定回転角速度を演算する上で、定常状
態の精度が向上する効果に加え、雑音の混入を防ぐ効果
がある。また、この推定回転角速度を用いて制御する場
合、誘導機1の速度制御の応答を上げることが可能とな
る効果がある。また、この実施の形態3では、回転機と
して誘導機1を用いる場合について説明したが、回転機
として同期機1aを用いても良く、上記実施の形態3と
同様の効果がある。
【0023】実施の形態4.回転機の回転角加速度は、
回転機の出力トルクを慣性モーメントで除算した値にな
ることは公知である。従って、上記実施の形態1〜3に
おいて、誘導機1もしくは同期機1aの回転角加速度
は、誘導機1もしくは同期機1aが出力し得るトルクの
上限値を、誘導機1もしくは同期機1aの慣性モーメン
トで除算した値を超えることはない。そこで、回転機の
速度推定装置が正常動作をする場合、回転角加速度演算
器10の出力に制限を設けても、何ら支障はないので、
この実施の形態4では、回転角加速度演算器10の出力
に上限値と下限値を設ける。回転角加速度演算器10
は、回転角加速度演算器10の出力の上限値を、回転機
のトルク上限値をその回転機の慣性モーメントで除算し
た値で制限すると共に、回転角加速度演算器10の出力
の下限値を、回転機のトルク下限値をその回転機の慣性
モーメントで除算した値で制限する。この実施の形態4
で示した回転機の速度推定装置では、上述したように正
常動作をする場合は、推定回転角加速度の範囲は、上限
値と下限値との間の値となるので、上記実施の形態1〜
3となんら動作は変わらないが、何らかの原因で回転角
加速度演算器10に異常が生じた場合、回転角加速度推
定値の上限値および下限値を設けることにより、出力の
範囲を制限することができる。従って、異常な値を出力
させる原因が取り除かれた場合、速やかに正常動作に戻
ることができる効果がある。
【0024】実施の形態5.上記実施の形態1〜4で
は、回転角加速度演算器10で比例積分の演算を行い、
回転角速度演算器11では積分の演算を行っていたが、
回転角加速度演算器で積分の演算を行い、回転角速度演
算器で比例積分の演算を行っても良い。この場合でも、
回転角加速度演算器10の入力から偏差演算器5から出
力されるモデル偏差までの開ループ特性は、上記実施の
形態1〜4と同じであるため、上記実施の形態1〜4と
同様の効果が得られる。そこで、この実施の形態5で
は、回転角加速度演算器10で積分の演算を行い、回転
角速度演算器11で比例積分の演算を行う。
【0025】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば、回転
機と、回転機の電圧、電流、および推定回転角速度に基
づいてモデル偏差を演算するモデル偏差演算手段と、モ
デル偏差に基づいて推定回転角加速度を演算する回転角
加速度演算器と、推定回転角加速度に基づいて推定回転
角速度を演算し、出力すると共にモデル偏差演算手段に
帰還する回転角速度演算器とを備えるように構成したの
で、推定回転角速度の定常状態の精度を向上することが
できると共に、雑音の混入を防ぐことができる効果があ
る。
【0026】この発明によれば、モデル偏差演算手段に
おいて、回転機の電圧、電流、および推定回転角速度に
基づいて推定電流を演算する電流推定器と、推定電流と
回転機の電流との電流偏差を演算する減算器と、電流偏
差に基づいてモデル偏差を演算する偏差演算器とを備え
るように構成したので、推定回転角速度からモデル偏差
までの伝達関数が所望の特性になり、推定回転角速度の
定常状態の精度を向上することができると共に、雑音の
混入を防ぐことができる効果がある。
【0027】この発明によれば、回転角加速度演算器に
おいて、モデル偏差を比例積分することにより推定回転
角加速度を演算するように構成したので、モデル偏差か
ら推定回転角加速度の特性を所望の特性にすることがで
きるので、推定回転角速度の定常状態の精度を向上する
ことができると共に、雑音の混入を防ぐことができる効
果がある。
【0028】この発明によれば、回転角加速度演算器に
おいて、回転機のトルク上限値を回転機に関する慣性モ
ーメントで除算した値に基づいた推定回転角加速度の出
力上限を設けると共に、回転機のトルク下限値を回転機
に関する慣性モーメントで除算した値に基づいた推定回
転角加速度の出力下限を設けるように構成したので、何
らかの要因で回転角加速度演算器に異常が生じた後、そ
の要因が取り除かれた場合、速やかに正常動作に戻るこ
とができる効果がある。また、出力上限値および出力下
限値を、試行錯誤無しで定めることができる効果があ
る。
【0029】この発明によれば、回転機を、誘導機とす
るように構成したので、誘導機の回転角速度を推定する
ことができる効果がある。
【0030】この発明によれば、回転機を、同期機とす
るように構成したので、同期機の回転角速度を推定する
ことができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1による回転機の速度
推定装置を示すブロック図である。
【図2】 この発明の実施の形態1による回転角加速度
演算器の入力から偏差演算器の出力までの開ループ特性
を示す特性図である。
【図3】 この発明の実施の形態1による回転機の速度
推定装置における実験結果を示す特性図である。
【図4】 この発明の実施の形態2による回転機の速度
推定装置を示すブロック図である。
【図5】 この発明の実施の形態3による回転機の速度
推定装置を示すブロック図である。
【図6】 従来の回転機の速度推定装置を示すブロック
図である。
【図7】 従来の回転機の速度推定装置を示すブロック
図である。
【図8】 従来の回転機の速度推定装置における回転角
速度演算器の入力から偏差演算器の出力までの開ループ
特性を示す特性図である。
【図9】 従来の回転機の速度推定装置の実験結果を示
す特性図である。
【符号の説明】
1 誘導機(回転機)、1a 同期機(回転機)、2,
2a,2b モデル偏差演算手段、3,3a 電流推定
器、4,4b 減算器、5 偏差演算器、10回転角加
速度演算器、11 回転角速度演算器、12,13 抽
出器。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 河野 雅樹 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 Fターム(参考) 5H550 BB10 DD01 DD03 DD04 FF03 GG03 HB02 JJ03 JJ04 JJ17 JJ22 KK06 LL14 LL15 LL20 LL23 5H575 BB10 DD03 DD05 DD06 FF03 GG02 HB01 JJ03 JJ04 JJ17 JJ22 KK06 LL12 LL22 LL24 5H576 BB10 DD02 DD04 DD05 EE01 FF03 GG02 JJ03 JJ06 JJ17 JJ22 KK06 LL14 LL15 LL24 LL34

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転機と、 上記回転機の電圧、電流、および推定回転角速度に基づ
    いてモデル偏差を演算するモデル偏差演算手段と、 上記モデル偏差演算手段により演算されたモデル偏差に
    基づいて推定回転角加速度を演算する回転角加速度演算
    器と、 上記回転角加速度演算器により演算された推定回転角加
    速度に基づいて推定回転角速度を演算し、出力すると共
    に上記モデル偏差演算手段に帰還する回転角速度演算器
    とを備えた回転機の速度推定装置。
  2. 【請求項2】 モデル偏差演算手段は、 回転機の電圧、電流、および推定回転角速度に基づいて
    推定電流を演算する電流推定器と、 上記電流推定器により演算された推定電流と上記回転機
    の電流との電流偏差を演算する減算器と、 上記減算器により演算された電流偏差に基づいてモデル
    偏差を演算する偏差演算器とを備えたことを特徴とする
    請求項1記載の回転機の速度推定装置。
  3. 【請求項3】 回転角加速度演算器は、モデル偏差を比
    例積分することにより推定回転角加速度を演算すること
    を特徴とする請求項1または請求項2記載の回転機の速
    度推定装置。
  4. 【請求項4】 回転角加速度演算器は、回転機のトルク
    上限値をその回転機に関する慣性モーメントで除算した
    値に基づいた推定回転角加速度の出力上限を設けると共
    に、その回転機のトルク下限値をその回転機に関する慣
    性モーメントで除算した値に基づいた推定回転角加速度
    の出力下限を設けることを特徴とする請求項1から請求
    項3のうちのいずれか1項記載の回転機の速度推定装
    置。
  5. 【請求項5】 回転機は、誘導機であることを特徴とす
    る請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載の回
    転機の速度推定装置。
  6. 【請求項6】 回転機は、同期機であることを特徴とす
    る請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載の回
    転機の速度推定装置。
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