JP2003302008A - 触媒燃焼装置 - Google Patents

触媒燃焼装置

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JP2003302008A
JP2003302008A JP2002106381A JP2002106381A JP2003302008A JP 2003302008 A JP2003302008 A JP 2003302008A JP 2002106381 A JP2002106381 A JP 2002106381A JP 2002106381 A JP2002106381 A JP 2002106381A JP 2003302008 A JP2003302008 A JP 2003302008A
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gas
exhaust gas
concentration
temperature
combustion furnace
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JP2002106381A
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Atsushi Nishizawa
淳 西澤
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Mitsubishi Chemical Corp
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Mitsubishi Chemical Corp
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F23COMBUSTION APPARATUS; COMBUSTION PROCESSES
    • F23CMETHODS OR APPARATUS FOR COMBUSTION USING FLUID FUEL OR SOLID FUEL SUSPENDED IN  A CARRIER GAS OR AIR 
    • F23C13/00Apparatus in which combustion takes place in the presence of catalytic material
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F23COMBUSTION APPARATUS; COMBUSTION PROCESSES
    • F23NREGULATING OR CONTROLLING COMBUSTION
    • F23N2237/00Controlling
    • F23N2237/12Controlling catalytic burners

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  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
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  • Combustion & Propulsion (AREA)
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  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Incineration Of Waste (AREA)
  • Chimneys And Flues (AREA)
  • Exhaust Gas Treatment By Means Of Catalyst (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 触媒燃焼炉の触媒の寿命を延ばし、運転コス
トを低減できる触媒燃焼装置を提供する。 【解決手段】 触媒燃焼装置は、放出ガス中の管理対象
ガス成分の濃度A1が管理値に達しない間は、燃焼炉1
1の入口温度T1及び出口温度T2を下限値として運転
し、触媒の活性低下を低く抑える。放出ガス中の管理対
象ガス温度A1が管理値に達した後は、その管理対象ガ
ス成分濃度が管理値となるように、燃焼炉11の入口温
度T1及び出口温度T2を上げて運転する。入口温度T
1又は出口温度T2が上限値に達したら、アラームを発
生し、触媒を取り替える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、触媒燃焼装置に関
し、特に、触媒燃焼炉の触媒の寿命を延ばすことを可能
にした触媒燃焼装置に関する。
【0002】
【従来の技術】触媒燃焼装置は、触媒の力を借りて廃ガ
ス等の燃焼対象ガスの燃焼を行う装置である。触媒燃焼
装置で使用する触媒は、例えば高価な白金、或いはパラ
ジウムを利用したものが数多くある。図2は、アクリル
酸を生成するアクリル酸製造装置から発生する廃ガス
を、白金を触媒として燃焼する従来の触媒燃焼装置の系
統図である。
【0003】触媒燃焼装置は、固定床触媒を充填した触
媒燃焼炉11、触媒燃焼炉11からの排ガス中の熱を回
収する廃熱回収ボイラー12、及び、廃熱回収ボイラー
12を通過した排ガスの余熱によって触媒燃焼炉11に
導入する燃焼対象ガスを予熱する予熱器13から基本的
に構成される。図2の例では、アクリル酸製造装置(酸
化反応器)14からの生成ガスは、クエンチ塔15内で
アクリル酸が回収された後に、廃ガスとなって触媒燃焼
装置に導入され、触媒燃焼装置で燃焼させた後に大気中
に放出される。
【0004】触媒燃焼装置では、触媒燃焼炉11で燃焼
した後の排ガスは、廃熱回収ボイラー12で反応熱が回
収され、更に、予熱器13によって、新たに触媒燃焼炉
11に導入される燃焼対象ガスとの間での熱交換によっ
て、十分に冷却されて大気中に放出される。大気中に放
出される放出ガスは、その可燃性ガス濃度が所定値以下
であることが要求されており、この目的のため、図2で
例示されるアクリル酸製造装置から発生する廃ガスを燃
焼する場合では、管理対象ガス成分としてアクロレイン
の濃度が所定値以下となるように管理される。
【0005】触媒燃焼装置では、一般に、燃焼反応によ
って次第に劣化する触媒の活性度によって燃焼レートが
徐々に低下する。従って、触媒燃焼炉の容量は、ある程
度の余裕をもって設計され、フィード廃ガスの量の如何
に拘わらず、その入口ガス温度(入口温度)及び出口ガ
ス温度(出口温度)を一定に制御することにより、燃焼
炉における燃焼が制御される。
【0006】触媒燃焼炉11の入口温度、つまり、触媒
燃焼炉11の入口から導入される燃焼対象ガスの温度
は、温度制御器C1によって一定となるように制御さ
れ、主として廃熱回収ボイラー12をバイパスする排ガ
スバイパス弁V1の開度を調節することによって制御さ
れる。この場合、排ガスバイパス弁V1の開度を大きく
すると、予熱器13に導入される排ガスの温度、つまり
予熱器13の温度が高まり、予熱される燃焼対象ガスの
温度が高まるので、触媒燃焼装炉11の入口温度が上昇
する。この制御では、入口温度を制御変数とし、排ガス
バイパス弁V1の開度を操作変数とするPID制御が行
われる。
【0007】また、触媒燃焼炉11の出口温度、つま
り、触媒燃焼炉11の出口から排出される排気ガスの温
度は、温度制御器C2によって一定となるように制御さ
れ、主として排気ガスをリサイクルする排ガスリサイク
ル弁V2の開度を制御することによって制御される。こ
の場合、排ガスリサイクル弁V2の開度を大きくする
と、触媒燃焼炉11に導入される燃焼対象ガス量が増加
するが、触媒燃焼炉11内で発生する熱量に殆ど変化は
ないため、燃焼炉11の出口温度が低下する。この制御
では、出口温度を制御変数とし、リサイクル弁V2の開
度を操作変数とするPID制御が行われる。
【0008】更に、上記PID制御において、触媒燃焼
炉11中の触媒が劣化して燃焼が不活発になり、触媒燃
焼炉11出口の管理対象ガス成分の濃度が上昇し、この
ため放出ガス中の管理対象ガス成分の濃度が所定値以上
になると、入口温度及び出口温度の設定値を上げたPI
D制御によって燃焼炉11の運転が行われ、管理対象ガ
ス成分の濃度が所定値以下となるように制御が行われ
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記触媒燃
焼装置の出口における管理対象ガス成分の濃度の変動は
以下の要因によって生ずる。 アクリル酸製造装置(酸化反応器)に供給される原
料プロピレンの濃度が変動することによって、酸化反応
器での変動が発生し、クエンチ塔を介して触媒燃焼装置
に供給される燃焼対象ガス中の組成が変動する。 外気温の変動等の外乱によって触媒燃焼炉の反応温
度が変動し、それに伴って触媒燃焼炉の反応量、つまり
燃焼量が変動する。 長期に亘って燃焼運転を継続することで、熱劣化や
触媒毒の影響等により燃焼炉中の触媒活性が低下し、そ
の結果、燃焼量が低下する。
【0010】上記PID制御においては、触媒燃焼装置
から放出される放出ガス中の管理対象ガス成分の濃度を
監視し、或いは、設定した上限警報によって、管理対象
ガス成分の濃度の管理値以上の上昇を認識し、その結果
に基づいて入口温度及び出口温度の設定値を変更するこ
とが考えられる。
【0011】しかし、上記変動要因の内で、につい
ては、数分〜数時間という比較的短い周期で変動が生ず
るので、運転員の管理対象ガス成分の濃度の監視によっ
て入口温度及び出口温度の設定値を変更すると、操作が
頻繁となるため運転員の負担が大きく、また、対応が遅
れると放出ガス中の管理対象ガス成分の濃度が上限値
(管理値)を越えるという問題がある。このため、通常
は、設定した上限警報によって、管理対象ガス成分の濃
度の上昇を認識する手法が採用される。この場合には、
、の要因による変動によっては管理対象ガス成分の
濃度が上限値を超えないようにするために、入口温度及
び出口温度の設定値を十分に高く設定する。そして、上
記の要因による変動で管理対象ガス成分の濃度が上限
値を越えた場合には、改めて次の入口温度及び出口温度
の設定値が採用される。
【0012】ここで、上記触媒燃焼装置における運転コ
ストの低減には、触媒燃焼炉に用いられる高価な白金触
媒の劣化を防止し、その寿命を長く保つことが不可欠で
ある。しかし、従来の触媒燃焼装置の運転では、そのよ
うな観点での運転が十分ではなく、従って、触媒燃焼装
置の運転コストの低減は不十分であった。
【0013】本発明は、上記に鑑み、運転コストの低減
が可能な触媒燃焼装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
点を解決するため、各種検討を行った結果、触媒燃焼装
置からの放出ガス中の管理対象ガス成分の濃度を上限値
以下に保持しながら、燃焼炉の触媒の活性を最も長く保
持することは、排ガス中の管理対象ガス成分の濃度が上
限値を超えるようであれば、触媒燃焼炉の入口温度及び
/又は出口温度を上げる操作を行い、逆に管理対象ガス
成分の濃度が上限値を超えないような時には、管理対象
ガス成分の濃度が上限値に達するまでは入口温度及び/
又は出口温度を下げることによって行われることに想到
し、本発明に到達した。
【0015】上記に基づいて、本発明の触媒燃焼装置
は、触媒の存在下で燃焼対象ガスを燃焼する燃焼炉と、
該燃焼炉出口の排ガスから反応熱を回収する反応熱回収
装置と、該反応熱回収装置をバイパスさせる排ガスバイ
パス弁と、前記反応熱回収装置又は排ガスバイパス弁を
通過した排ガスの一部を前記燃焼炉の入口にリサイクル
する排ガスリサイクル弁と、前記出口ガスの残余を放出
ガスとして大気中に放出する排ガス放出部と、前記放出
ガス中の管理対象ガス成分の濃度を計測する計測部と、
前記排ガスバイパス弁及び排ガスリサイクル弁の開度を
調節して、前記燃焼炉の入口ガス温度及び出口ガス温度
並びに前記管理対象ガス成分の濃度を制御する制御部と
を備える触媒燃焼装置において、前記制御部は、前記管
理対象ガス成分の濃度が所定値未満のときには、前記入
口ガス温度及び出口ガス温度の夫々が各一定値以下とな
るように前記排ガスバイパス弁及び排ガスリサイクル弁
の開度を調節し、前記管理対象ガス成分の濃度が前記所
定値以上となった後には、前記管理対象ガス成分の濃度
を前記所定値に保つように、前記排ガスバイパス弁及び
排ガスリサイクル弁の開度を調節することを特徴とす
る。
【0016】本発明の触媒燃焼装置では、放出ガス中の
管理対象ガス成分の濃度が所定値以下のときには、制御
装置が、触媒燃焼炉の入口温度及び出口温度の夫々が各
一定値以下になるように排ガスバイパス弁及び排ガスリ
サイクル弁の開度を調節することで、触媒の活性低下を
低く抑え、また、管理対象ガス成分の濃度が所定値以上
になった時点では、その濃度を前記所定値とするように
排ガスバイパス弁及び排ガスリサイクル弁の開度を調節
するので、管理対象ガス成分の濃度が所望の値に維持で
きる。本発明の触媒燃焼装置では、このように、触媒の
活性低下が低く抑えられ、触媒燃焼装置の運転コストが
低減される一方、運転員に大きな負担を掛けることがな
い。
【0017】本発明の好ましい態様の触媒燃焼装置で
は、触媒燃焼炉中の触媒の活性が十分に高く、放出ガス
中の管理対象ガス成分の濃度が所定値未満に維持できる
場合には、制御部は、多変数モデル予測制御等の制御を
行い、排ガスバイパス弁(ボイラーバイパス弁)及び排
ガスリサイクル弁の開度を操作することにより、入口温
度及び出口温度を低く抑え、例えば触媒燃焼装置から定
まるそれらの下限値付近で運転する。これによって、触
媒燃焼炉における燃焼温度が運転に差し支えない範囲で
低い値に保たれ、触媒の活性が長く保持される。
【0018】また、長期の運転等によって触媒の活性が
低下し、放出ガス中の管理対象ガス成分の濃度が所定値
を越える場合には、その濃度が前記所定値となるよう
に、排ガスバイパス弁及び排ガスリサイクル弁の開度を
調節する。この場合、入口温度及び出口温度は夫々前記
下限値を越える値となる。ここで、触媒の活性が更に低
下して、触媒燃焼炉によって定まる入口温度及び出口温
度の各上限値で運転しても、放出ガス中の管理対象ガス
成分の濃度が所定値以下に維持できなくなった場合に
は、制御装置は警報を発生する。警報が発生すると、運
転員は、燃焼対象のガス量を減らして運転するか、或い
は、触媒を代えて運転するかを判断する。
【0019】従来の触媒燃焼装置の運転方法では、触媒
燃焼炉の入口温度設定値及び出口温度設定値を十分に高
くしておくため、前記要因により、触媒活性の劣化が
早く進行し、それによって燃焼量が低下していた。この
ため、さらに温度を上げる必要が生じるという悪循環に
陥り、結果として短期間で触媒が大きく劣化してしまう
ために新しいものに交換せざるを得ず、大きな経済的損
失となっていたものである。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施形態例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。図1
は、本発明の一実施形態例に係る触媒燃焼装置を示す。
なお、本図では、理解を容易にするために、従来の触媒
燃焼装置における要素と同様な要素には同じ符号を付し
て示した。本触媒燃焼装置は、アクリル酸製造設備から
の廃ガスを燃焼して、廃ガス中の可燃性成分を除去する
ために使用されるものであり、管理対象ガス成分として
アクロレインを選んでいる。
【0021】図1において、触媒燃焼装置は、固定床触
媒を充填した触媒燃焼炉11、触媒燃焼炉11からの排
ガス中の熱を回収する廃熱回収ボイラー(蒸気発生用熱
交換器)12、及び、廃熱回収ボイラ12を通過した排
ガスの余熱によって触媒燃焼炉11に導入する燃焼対象
ガスを予熱する予熱器(予熱用熱交換器)13から基本
的に構成される。
【0022】アクリル酸製造装置を成す酸化反応器14
を出た反応生成ガスは、クエンチ塔15に供給され、こ
こで水と向流接触させることにより、アクリル酸が回収
される。反応生成ガスからアクリル酸を取り除いた廃ガ
スには、プロピレン、プロパン、アクロレイン、一酸化
炭素から成る可燃性ガスや、窒素、酸素、水等が含まれ
る。この廃ガスに、必要に応じて燃焼用として酸素が加
えられ、予熱器13に供給される。ここで、燃焼用酸素
の供給源としては、一般に空気が用いられる。廃ガス
は、予熱器13で予熱された後に、触媒燃焼炉11から
の排ガスと混合され、燃焼対象ガスとなって触媒燃焼炉
11に供給される。
【0023】燃焼炉11の入口から供給された入口ガス
は、固定床触媒と接触して燃焼し、出口ガス(排ガス)
となって燃焼炉11から排出される。排ガスは、燃焼炉
の出口で二つの管路に分岐され、一方の管路を通る排ガ
スは、廃熱回収ボイラー12に供給され、そこで熱交換
によって蒸気を発生させ、排ガス自身は冷却される。他
方の管路を通る排ガスは、廃熱回収ボイラー12をバイ
パスし、高温のまま排ガスバイパス弁(調節弁)V1を
通過する。双方の管路を通った排ガスは、廃熱回収ボイ
ラー12の出口で再び合流する。
【0024】合流した排ガスは、再度二つの管路に分岐
され、一方の管路を通る排ガスは、予熱器13に供給さ
れ、触媒燃焼炉11に供給される燃焼対象ガスの加熱に
利用される。他方の管路を通る排ガスは、循環ブロワー
16によって吸引され、排ガスリサイクル弁V2を経由
して、燃焼対象ガスと合流し、再び触媒燃焼炉11の入
口に供給される。
【0025】制御演算器C3は、排ガスバイパス弁V1
及び排ガスリサイクル弁V2の開度を制御することによ
って、触媒燃焼炉11の入口温度T1、出口温度T2、
及び、大気への放出ガス中の管理対象ガス成分であるア
クロレインの濃度A1を制御する。なお、アクロレイン
の濃度を直接に測定してもよいが、他のガス成分、例え
ばプロパンの濃度を測定し、これをアクロレインの濃度
の目安として用いることも可能である。例えば、排ガス
中のアクロレイン濃度が低く、検知が難しい場合等にお
いては、アクロレインより燃焼温度の高い物質(例えば
プロパン)を管理対象ガスとして選択することが好まし
い。
【0026】排ガスバイパス弁V1は、廃熱回収ボイラ
ー12へ供給する排ガス量と、廃熱回収ボイラー12を
バイパスする排ガス量のバランスを調整する調節弁であ
る。この調節弁V1の開度を大きくすることによって、
予熱器13の温度を上げることができ、結果として触媒
燃焼炉の入口温度T1が上昇し、その効果によって触媒
燃焼炉11の出口温度T2も上昇する。この場合、触媒
燃焼炉11の内部温度が上昇することによって、燃焼反
応が促進され、廃熱回収ボイラー12の出口ガス中にお
けるアクロレイン濃度が低下する。
【0027】排ガスリサイクル弁V2は、触媒燃焼炉1
1の入口にリサイクルする排ガス量を調整する調節弁で
ある。この調節弁V2の開度を大きくすることによっ
て、触媒燃焼炉11を通過するガス量を増加させること
ができるが、触媒燃焼炉11の内部で発生する熱量に殆
ど変化はないため、触媒燃焼炉11の出口温度T2が下
がり、触媒燃焼炉の出口ガス中のアクロレイン濃度A1
が上昇する。なお、触媒燃焼炉11の入口温度T1に対
しては、予熱器13に供給する前の高温の燃焼排ガスを
リサイクルするため、リサイクル調節弁V2の開度を大
きくすることによって一時的に入口温度T1の上昇が見
られる。しかし、最終的には上記理由により触媒燃焼炉
11の出口温度T2が下がることによって、予熱器13
の温度が下がり、最終的に燃焼炉11の入口温度T1は
下がることになる。
【0028】上記のように、排ガスバイパス弁V1及び
排ガスリサイクル弁V2の何れを操作しても、触媒燃焼
炉の入口温度T1、出口温度T2、及び、出口アクロレ
イン濃度A1の全てに影響を与えることになる。このよ
うに、各プロセスデータ間に強い相関を有するプロセス
であるため、これらを安定に制御するために、制御演算
器C3としては、多変数モデル予測制御のような多変数
制御システムを用いる。以下では、その制御演算器C3
に対する設定値の決め方について述べる。
【0029】ここで、本燃焼装置における各プロセスデ
ータの制約は、プロセス側から以下のように定められ
る。放出ガスアクロレイン濃度A1 上限値:運転管理上限値(例えば2ppm) 下限値:下限値の制約なし燃焼炉入口温度T1 上限値:触媒の劣化が急激に進む温度(例えば500
℃) 下限値:触媒による燃焼反応に必要な最低温度(例えば
210℃) なお、上限値及び下限値は、触媒の種類によって異な
る。燃焼炉出口温度T2 上限値:触媒の劣化が急激に進む温度(例えば500
℃) 下限値:予熱に必要な最低温度(例えば460℃) なお、上限値及び下限値は、触媒の種類、予熱器13の
種類によって異なる。
【0030】次に制御演算器C3による調節弁V1、V
2の開度操作について述べる。まず、温度計によって測
定された入口温度T1及び出口温度T2、並びに、アク
ロレイン分析計又は他の成分分析計によって直接的又は
間接的に測定されたアクロレイン濃度A1は、制御演算
器C3に入力される。制御演算器C3は、入力されたア
クロレイン等の濃度A1が、その上限値に一致するよう
に、排ガスバイパス弁V1及び/又は排ガスリサイクル
弁V2の開度を制御する調節動作を実施する。この動作
により、触媒燃焼炉11の入口温度T1及び出口温度T
2についても変化することになるが、一方では、入口温
度T1及び出口温度T2についても上限値及び下限値と
いう制約があるため、その範囲外とならないように制御
される。したがって、入口温度T1、出口温度T2、出
口アクロレイン等の濃度A1が全ての上下限値の制約を
満たすように、排ガスバイパス弁V1及び/又は排ガス
リサイクル弁V2の開度を制御する調節動作を実施す
る。ここで、前述のように、プロセスデータ間には強い
相関が存在するため、多変数モデル予測制御等の制御則
が用いられる。
【0031】上記触媒燃焼炉では、運転開始以降の経過
時間が短く正常に運転されている状態では、触媒の活性
が十分に高いために、反応量も十分に高く、したがって
放出ガス中のアクロレイン濃度は上限値にまで達しな
い。この状態では、制御演算器C3は、放出ガス中のア
クロレイン濃度を上げる操作を行う。これは入口温度、
出口温度にとっては下げる方向の操作となるが、入口温
度、出口温度ともに夫々の下限制約値を下回らないよう
にする。つまり、結果的には、入口温度及び出口温度と
もにその下限値に一致するように制御され、アクロレイ
ン濃度は上限値にまでは達しない状態となる。
【0032】やがて運転を継続するうちに、触媒の活性
低下が生じ、その活性低下に伴って燃焼反応量が低下す
る。このため、放出ガス中のアクロレイン濃度が上昇
し、その上限値(管理値)を超えるようになる。この時
には、制御演算器C3は、そのアクロレイン濃度が上限
値に一致するように、アクロレイン濃度を下げる操作を
行う。この操作は、入口温度、出口温度にとっては、上
がる方向への操作となり、結果的に入口温度及び/又は
出口温度は、その上限値と下限値との間の範囲にあり、
放出ガス中のアクロレイン濃度は上限値近くになるよう
に制御される。
【0033】アクロレイン濃度を上限値に制御するモデ
ル予測制御には、ステップ応答モデル、インパルス応答
モデル、ARXモデル等の動特性モデルが用いられる。
例として、ステップ応答モデルを利用する手法について
述べる。
【0034】プロセスに単位ステップ入力が入った時の
応答を、時系列で並べたものがステップ応答モデルであ
り、コンピュータ制御に使用されるように離散時間表現
にした場合には、単位ステップ入力が入った時点での応
答をa0として古い順に並べると、次のようになる。 a0,a1,a2,…,a (1)
【0035】ここで、sは、プロセスに単位ステップ入
力が入った時から、プロセスが定常状態になったと判断
される時までの時間、即ち整定時間であり、それ以降の
時刻では一定、即ち、 as=as+i(i=1,2,…) が成り立つ。プロセスが線形に近いと仮定すると、時刻
tにおいてΔu(t)というステップ状の入力がプロセ
スに加えられたとき、時刻t+jにおけるプロセスの応
答y(t+j)は次のように表される。 y(t+j)=aj×Δu(t) (2)
【0036】そこで、現在までに行われた操作を、一定
周期で大きさの異なるステップ状の入力が順次加えられ
たものと見なすと、時刻t+jにおけるプロセスの応答
は過去のステップ状の入力の影響が加え合わされたもの
と考えることができ、次の数式のように表すことが出来
る。
【数1】 ここで、Δu(t+j-k)は、時刻t+j-kにおける一周期前の
入力からの変化量であり、 Δu(t+j-k)=u(t+j-k)-u(t+j-k-1) (4) である。
【0037】数式(3)を用いれば、現時点から(L−
1)制御周期分の将来にわたる操作入力、即ち、 Δu(t)、Δu(t+1)、Δu(t+1)、…Δu(t+L-1) による、次の制御周期からL制御周期分の将来にわたる
プロセスの応答、即ち、 y(t+1)、y(t+2)、y(t+3)、…、y(t+L) を予測することが出来る。つまり、数式(3)のjに、
1,2,…、Lを入力すればよい。
【0038】ここで、この予測した応答と、目標値とを
次のように夫々ベクトルで表す。Yp=[y(t+1),y(t+
2),…,y(t+L)]T Yr=[r,r,r,・・・,r]T なお、式中で添字Tはベクトルの転置を示す。
【0039】制御の目的は、予測される応答が、極力目
標値に一致するような操作入力を決定することであるか
ら、YpとYrの誤差面積が最小になるように操作入力
を決定すればよい。従って、次のような評価関数Jを最
小とするようなΔu(t)、Δu(t+1)、…Δu(t+L-1)を求めれ
ばよい。 J=(Yr−Yp)2 (5)
【0040】Jを最小にするΔu(t)、Δu(t+1)、Δu(t+
1)、…Δu(t+L-1)は、最小二乗法により、次の数式
(6)を解くことによって求められる。
【数2】
【0041】ここで、 ΔU=[Δu(t)、Δu(t+1)、Δu(t+1)、…Δu(t+L-1)]T このようにして得られたΔu(t)、Δu(t+1)、Δu(t+1)、…
Δu(t+L-1)の内、最初のΔu(t)のみを操作入力とし
てプロセスに入力し、次の制御周期においては、再び上
記の計算を繰り返してΔu(t)を決定するのがよい。
また、Lの選び方は、おおむね整定時間sの1〜2.5
倍程度とすればよい。
【0042】上記制御によって、放出ガスアクロレイン
濃度をその上限値以下に保持しながら、かつ触媒の活性
を最も長く保持するために、できるだけ触媒燃焼炉の入
口温度及び出口温度を下げるという自動制御が実現され
る。さらに運転を継続することにより、出口アクロレイ
ン濃度を上限値近くにするためには、入口温度及び/又
は出口温度をその上限値よりも高くしなければならない
状況となるが、その際には生産量を下げるか、又は、触
媒を交換する等の処置を講ずる必要がある。
【0043】以上、本発明をその好適な実施形態例に基
づいて説明したが、本発明の触媒燃焼装置は、上記実施
形態例の構成にのみ限定されるものではなく、上記実施
形態例の構成から種々の修正及び変更を施したものも、
本発明の範囲に含まれる。
【0044】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明による
と、触媒の活性低下が低く抑えられ、運転コストが低減
される一方、運転員に大きな負担を掛けることのない制
御が可能となる触媒燃焼装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態例に係る触媒燃焼装置の構
成を示す系統図。
【図2】従来の触媒燃焼装置の構成を示す系統図。
【符号の説明】
11:触媒燃焼炉 12:廃熱回収ボイラー 13:予熱器 14:酸化反応器 15:クエンチ塔 16:排ガス循環ブロワー C1、C2:温度制御器 C3:制御演算器 T1:入口温度 T2:出口温度 A1:管理対象ガス成分濃度 V1:排ガスバイパス弁(ボイラーバイパス弁) V2:排ガスリサイクル弁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3K062 AA24 AB01 AC19 DA08 DA21 DB17 3K065 AA24 AB01 AC19 JA05 JA18 TC03 TD05 TK02 TK04 TL02 TL06 TN01 TN04 3K078 BA01 BA21 DA01 DA21

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 触媒の存在下で燃焼対象ガスを燃焼する
    燃焼炉と、該燃焼炉出口の排ガスから反応熱を回収する
    反応熱回収装置と、該反応熱回収装置をバイパスさせる
    排ガスバイパス弁と、前記反応熱回収装置又は排ガスバ
    イパス弁を通過した排ガスの一部を前記燃焼炉の入口に
    リサイクルする排ガスリサイクル弁と、前記出口ガスの
    残余を放出ガスとして大気中に放出する排ガス放出部
    と、前記放出ガス中の管理対象ガス成分の濃度を計測す
    る計測部と、前記排ガスバイパス弁及び排ガスリサイク
    ル弁の開度を調節して、前記燃焼炉の入口ガス温度及び
    出口ガス温度並びに前記管理対象ガス成分の濃度を制御
    する制御部とを備える触媒燃焼装置において、 前記制御部は、 前記管理対象ガス成分の濃度が所定値未満のときには、
    前記入口ガス温度及び出口ガス温度の夫々が各一定値以
    下となるように前記排ガスバイパス弁及び排ガスリサイ
    クル弁の開度を調節し、 前記管理対象ガス成分の濃度が前記所定値以上となった
    後には、前記管理対象ガス成分の濃度を前記所定値に保
    つように、前記排ガスバイパス弁及び排ガスリサイクル
    弁の開度を調節することを特徴とする触媒燃焼装置。
  2. 【請求項2】 前記制御部は、前記管理対象ガス成分の
    濃度が所定値未満のときには、前記入口ガス温度及び出
    口ガス温度を、前記燃焼炉で夫々について定められた下
    限値となるように制御する、請求項1に記載の触媒燃焼
    装置。
  3. 【請求項3】 前記制御部は、前記入口ガス温度又は前
    記出口ガス温度の何れかが、前記触媒燃焼炉で夫々につ
    いて定められた上限値を越えたときには、警報を発生す
    る、請求項1又は2に記載の触媒燃焼装置。
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