JPH0971782A - コークス乾式消火設備の運転の制御方法 - Google Patents

コークス乾式消火設備の運転の制御方法

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JPH0971782A
JPH0971782A JP22801495A JP22801495A JPH0971782A JP H0971782 A JPH0971782 A JP H0971782A JP 22801495 A JP22801495 A JP 22801495A JP 22801495 A JP22801495 A JP 22801495A JP H0971782 A JPH0971782 A JP H0971782A
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JP
Japan
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coke
amount
steam generation
boiler
time
Prior art date
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JP22801495A
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English (en)
Inventor
Fumihiko Imae
文彦 今江
Yoshiyuki Kashiwabara
義之 柏原
Takeshi Shiyouho
剛 正保
Kazuhiro Nishimura
和裕 西村
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ボイラにおける蒸気発生量を最大かつ安定にす
るコークス乾式消火設備の運転の制御方法を提供するこ
と。 【解決手段】現在から将来の任意の時刻までの期間のボ
イラにおける蒸気発生量及びその変動をそれぞれ目的関
数に定式化し、運転実績、コークス投入実績ならびに投
入計画等から、非定常状態を考慮したダイナミックモデ
ルを用い、線形計画法の手法によって前記目的関数をそ
れぞれ最大及び最小にする運転条件を求め、その条件に
基づいてコークス乾式消火設備の運転の制御を行う。ダ
イナミックモデル内の補正用係数をこのモデルの精度評
価関数を最小化するように修正変更してやれば、制御の
精度が一層向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コークス乾式消火
設備の運転の制御方法であって、その設備上及び操業上
の制約の下で、操業における非定常性を考慮して、現在
から将来の任意の時刻までの期間のボイラにおける蒸気
発生量を最大かつ安定にする運転の制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】コークス乾式消火設備は、コークス炉か
ら排出される赤熱コークスを粉塵を発生させることなく
消火できると共に、赤熱コークスが保有する顕熱を排熱
ボイラで蒸気として回収できるため、近年多く採用され
ている。
【0003】図1はコークス乾式消火設備の一例の構成
を示す図であるが、この図を用いてコークス乾式消火設
備の操業の概略について説明する。
【0004】図示しないコークス炉から排出された赤熱
コークスは、バケット台車に載置されたコークバケット
1に積載され、巻上機2によってコークス乾式消火設備
の上部に巻上げられ、プリチャンバー4内に上部から投
入される。プリチャンバー4に投入された赤熱コークス
は、順次冷却塔5内に降下し、そこで循環ファン6によ
り下部ブラストヘッド7から吹込まれる窒素等の不活性
ガスからなる冷却用の循環ガスと接触して冷却され、下
部切出装置8により冷コークスとして切出される。
【0005】一方、循環ガスは、赤熱コークスと接触し
て高温となり、さらに、希釈ブロワ3により外部から導
入される希釈空気によって、赤熱コークス中に残留する
メタン、水素、一酸化炭素等の可燃ガス成分、およびプ
リチャンバー内でのコークスの燃焼等によって発生する
可燃ガス成分が燃焼するので、一層高温となる。その
後、循環ガスは煙道9で除塵された後、ボイラ10に導
入され、熱交換して冷却された後、サイクロン11で再
度除塵されて循環ファン6により冷却塔5に吹込まれ
る。ボイラ10において高温の循環ガスとの熱交換によ
り加熱された高温、高圧の蒸気は、回収されて図示しな
いタービン発電機等に送られる。
【0006】上記のように、コークス乾式消火設備で
は、顕熱による蒸気の回収ばかりでなく、赤熱コークス
中に残留する可燃ガス成分やプリチャンバー内でのコー
クスの燃焼等によって発生する可燃ガス成分を燃焼させ
ることにより、蒸気発生量をさらに増加させることがで
きる。ただし、コークス炉の操業においては窯出時間と
間断と呼ばれる窯出の停止時間があり、このためプリチ
ャンバー内のコークスの在庫量が変動するので、ボイラ
における蒸気発生量が大きく変動する。
【0007】この蒸気発生量の変動を抑制するため、プ
リチャンバー内のコークスの在庫量を窯出終了時点で上
限レベルに達するように、また間断時には順次低下させ
て次の窯出開始時点で下限レベルに達するようにコーク
ス切出量を変更させながら操業を行っているが、窯出の
スケジュール、プリチャンバーの容量、コークス切出量
の変動幅の低下等、設備上および操業上の制約が大き
く、ボイラにおける蒸気発生量の変動を抑え、安定化さ
せることは困難である。また、その他に、コークス炉側
の移動機のトラブルや火落不良による赤熱コークスの投
入停止、乾式消火設備側の切出装置のトラブルによるコ
ークスの切出停止等の異常事態が発生することもあり、
その場合は蒸気発生量の変動を避けることはできなくな
る。
【0008】従って、上記のボイラにおける蒸気発生量
の変動要因を考慮した上でこの蒸気発生量を最大とし、
かつ安定化を図ることが、コークス乾式消火設備の操業
における最も重要な課題である。
【0009】この課題に対し、本出願人は、特開平3−
157484号公報で、コークス乾式消火設備の運転実
績から、投入赤熱コークス温度およびコークス中の可燃
ガス成分とガス量を熱精算により演算し、その演算結果
から燃焼用の希釈空気の最大導入可能量、循環ガス流
量、コークス切出量および蒸気発生量を演算し、さらに
用役単価を加味して最適運転条件を求め、これに基づい
てコークス乾式消火設備を自動運転することにより蒸気
発生量の増加と安定化を図る方法を提案した。
【0010】この方法によれば、プリチャンバーへの投
入コークス温度、コークス中の可燃ガス成分および量が
正確に把握できるので、コークス乾式消火設備を最適条
件で安定して運転することができ、蒸気回収量を増加さ
せることができる。しかし、この方法は過去の運転実績
に基づく定常状態における最適運転方法であって、コー
クスの窯出を停止する間断や、更には、コークス炉側の
移動機のトラブル、火落不良による赤熱コークスの投入
停止、乾式消火設備側の切出装置のトラブルによるコー
クスの切出停止等の異常事態などの非定常状態が考慮さ
れたものではない。
【0011】コークス乾式消火設備による赤熱コークス
の処理は、通常の状態であっても、赤熱コークスのプリ
チャンバーへの投入がコークス炉の操業に左右される不
規則かつ非連続の処理であり、一方、冷コークスの切出
しは途切れることのない連続の処理であり、さらに物質
及びエネルギの入側と出側における性質が極端に異なる
強い非定常性のプロセスと考えられる。従って、コーク
ス乾式消火設備において、ボイラでの蒸気発生量を最大
かつ安定化できるような運転の制御をより効果的に行う
ためには、非定常状態を考慮する必要があり、また、そ
れによって、上記のトラブルが生じた際にも、従来はで
きなかった運転の制御を継続して行うことが可能とな
る。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、従来のコ
ークス乾式消火設備の運転の制御が、制御の対象である
コークス乾式消火設備の強い非定常性を考慮しない定常
状態における制御であるという点を改善し、コークス乾
式消火設備における種々の設備上および操業上の制約の
下、操業の間断や、コークス炉側の移動機のトラブル、
赤熱コークスの投入停止、冷コークスの切出停止等の異
常事態などの非定常性を考慮した上で、現在から将来の
任意の時刻までの期間のボイラにおける蒸気発生量を最
大かつ安定にするコークス乾式消火設備の運転の制御方
法を提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために研究を重ねた結果、プリチャンバー
への赤熱コークス投入実績、希釈空気量、循環ガス流
量、コークス切出量等、時々刻々変化する操業データか
ら、(a)冷却塔内におけるコークス内及びコークス・
循環ガス間の伝熱によるコークスの冷却と循環ガスの昇
温についての伝熱計算、(b)ボイラにおける蒸気発生
量と循環ガスの冷却の熱収支計算、(c)投入コークス
内に残留する可燃ガス成分、およびプリチャンバーへの
注水またはプリチャンバー内のコークス自体の燃焼によ
り発生する可燃ガス成分の燃焼による循環ガスの組成変
化と昇温の計算、(d)赤熱コークス投入と冷コークス
切出により変化するプリチャンバー内のコークス在庫量
計算、などの演算を、非定常状態を考慮してモデル化し
たコークス乾式消火設備のダイナミックモデル、すなわ
ち、ある時間帯の平均値ではなく、非定常状態も含めて
その時間帯の時々刻々変化する値を入力してそのそれぞ
れの値に対応して得られる時々刻々の値を出力するよう
に構成したモデル(本明細書では、これをダイナミック
モデルという)を用いて行い、ボイラにおける蒸気発生
量、設備内各部の循環ガス温度と組成、切出コークス温
度およびプリチャンバー在庫量の時々刻々変化する値を
正確に把握し、現在から将来の任意の時刻までの期間の
ボイラにおける蒸気発生量の予測ができることを究明し
た。
【0014】さらに本発明者らは、コークス乾式消火設
備のボイラにおける蒸気発生量の変動を考慮した上で、
上記のボイラにおける蒸気発生量を最大かつ安定化する
という課題を、線形計画法の手法を用いて解くことが可
能であることを明らかにし、本発明をなすに至った。
【0015】本発明の要旨は、下記およびのコーク
ス乾式消火設備の運転の制御方法にある。
【0016】 コークス乾式消火設備の運転の制御方
法であって、現在から将来の任意の時刻までの期間のボ
イラにおける蒸気発生量及びその変動をそれぞれ目的関
数に定式化し、コークス乾式消火設備の操業データのう
ち、コークス投入実績、注水量、希釈空気量、循環ガス
流量およびコークス切出量の時々刻々変化する値から、
それらの値に対応するボイラにおける蒸気発生量、設備
内各部の循環ガス温度と組成、切出コークス温度および
プリチャンバー在庫量の時々刻々の値を計算するダイナ
ミックモデルを用いて、設備上及び操業上の制約の下
で、線形計画法の手法によって前記目的関数をそれぞれ
最大及び最小にする運転条件を求め、その条件に基づい
てコークス乾式消火設備の運転の制御を行うことを特徴
とするコークス乾式消火設備の運転の制御方法。
【0017】 ダイナミックモデルに過去の任意の時
刻から現在までの期間のコークス投入実績、注水量、希
釈空気量、循環ガス流量およびコークス切出量の時々刻
々の実績値をモデル入力した場合のモデル出力であるボ
イラにおける蒸気発生量、設備内各部の循環ガス温度と
組成、切出コークス温度およびプリチャンバー在庫量の
前記期間の時々刻々の推定値とこの推定値に対応した実
績値との差をダイナミックモデルの精度評価関数に定式
化し、線形計画法の手法によってこの精度評価関数を最
小化するように予めダイナミックモデル内に用意してあ
る物性値等の補正用係数を修正することを特徴とする上
記記載のコークス乾式消火設備の運転の制御方法。
【0018】なお、コークス炉の操業においては、前記
のように窯出時間(この間に複数の特定の窯について窯
出が行われる)と間断(窯出の停止時間)とがあり、窯
出の開始から間断の終了までを一つの操業単位(これを
「通り」といい、現在操業が行われている「通り」を
「現通り」という)とみることができるが、前記に記
載の「将来の任意の時刻」とは、この通りの中での任意
の時刻をいう。また、に記載の「過去の任意の時刻」
というのは、現通りの前の「前通り」の中での任意の時
刻を意味する。すなわち、本発明の制御方法は、窯出の
開始から間断の終了までを対象とするものである。
【0019】また、前記の「時々刻々の値(操業デー
タ)」とは、演算が追随できる最小の時間間隔で、本発
明の制御方法にあってはおよそ8分毎に得られる操業デ
ータをいう。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。
【0021】図2は本発明の制御方法で使用するコーク
ス乾式消火設備のダイナミックモデルの入出力を示す図
である。
【0022】このダイナミックモデルのモデル出力の1
つである時刻ti でのボイラにおける蒸気発生量の関数
型を下記に示す。
【0023】 Qst=Qst(win1 , …, winlast ;Tin1 , …, Tinlast ; min1 , …, minlast ;tin1 , …, tinlast ; QH2O1, …, QH2Olast ; Qair1, …, Qairlast ; Qgas1, …, Qgaslast ; Qcut1, …, Qcutlast ; ti ; Fpara) ここで、 Qst :ボイラにおける蒸気発生量[t/h] win1 , …, winlast :コークス投入量[t] Tin1 , …, Tinlast :コークス投入温度[℃] min1 , …, minlast :コークス装炭時水分[%] tin1 , …, tinlast :乾留時間[h] QH2O1, …, QH2Olast :(プリチャンバーへの)注水量[t/h] Qair1, …, Qairlast :希釈空気量[kNm3 /h] Qgas1, …, Qgaslast :循環ガス流量[kNm3 /h] Qcut1, …, Qcutlast :コークス切出量[t/h] Fpara :ダイナミックモデル内で使用する物性値等 の補正用の係数 ti :時刻(ただし、t1 ≦ti ≦tlastを満た すものとする) である。
【0024】ダイナミックモデルを用いて計算を行うに
あたり、コークス投入量と乾留時間については、本発明
方法による制御が既に開始されていて、現通りでの実績
が判明している場合はそれぞれ実績値を、本発明方法に
よる制御が窯出開始から行われ、現通りでの実績がまだ
ない場合はそれぞれ最新の実績値と計画乾留時間を使用
する。コークス投入温度については、すでに現通りでの
実績の判明している場合は実績値を、それ以外の場合は
次の式で求められる予測コークス投入温度を使用する。
【0025】Tin1 in1 +a(tin1 in1 ) ここで、 Tin1 :今回予測コークス投入温度[℃] in1 :前回実績コークス投入温度[℃] tin1 :今回計画乾留時間[h] in1 :前回実績乾留時間[h] a :乾留時間補正係数[℃/h] である。
【0026】コークス装炭時水分(コークス炉への装炭
前に測定される水分)はコークスの乾式消火設備への投
入時には実績値が判明しているので、それを使用する。
【0027】注水量、希釈空気量、循環ガス流量および
コークス切出量については、現通りでの実績が判明して
いる場合はそれらの実績値を、実績がまだない場合は、
設備上および操業上の制約の下での各時刻で考えられる
各種の値を入れてダイナミックモデルによる計算を行
い、計算結果を比較して最適と判断された場合の値を使
用する。すなわち、 J=ω1 V+ω2 σ ここで、 V:蒸気発生量の通り平均値 σ:蒸気発生量の通り標準偏差 ω1 ,ω2 :重み係数(ω1 ≧0,ω2 ≦0であるが、
両者とも同時に0ではない) である。
【0028】とおいて、Jを最大にする注水量、希釈空
気量等の値を線形計画法で計算し、Jが最大となるそれ
らの値を最適と判断し、計算に用いる。
【0029】なお、後述する前記の制御方法を用いる
場合は、過去の任意の時刻から現在までの期間の計算を
行うので、コークス投入量、乾留時間、その他上記のい
ずれの操業量についても実績値を用いる。
【0030】図2に示したその他のモデル出力、すなわ
ち設備内各部の循環ガス温度と組成、切出コークス温
度、プリチャンバー在庫量についても同様の関数型で示
すことができる。
【0031】図3は本発明の制御方法の説明図である。
以下、この図に基づいて本発明方法を説明する。
【0032】本発明方法による制御の起動周期をコーク
ス投入時と前回の制御起動後予め定めた時間経過時に設
定し、図3に示すように、コークス乾式消火設備操業用
制御装置(以下、単に「制御装置」ともいう)に、現通
りの最初のコークス投入から現在までの期間におけるコ
ークス乾式消火設備の運転実績(すなわち、コークス乾
式消火設備の各部に設置したセンサーで検出される時々
刻々の実測値)とその期間におけるコークス投入実績、
現在から将来の任意の時刻までの期間のコークス投入計
画、ならびに設備上および操業上の制約条件(すなわ
ち、コークス乾式消火設備のボイラにおける蒸気発生量
と温度の上限、設備内各部の循環ガス温度と組成の上下
限、切出コークス温度の上限、プリチャンバー在庫量の
上下限等)を入力する。なお、前回の制御起動後予め定
めた時間経過時においても制御が起動するようにしたの
は、コークス投入時のみとすると、コークスの投入が長
時間にわたり行われなかった場合、制御装置への入力デ
ータ及びそれに基づいて演算された結果と実状とのずれ
が大きくなるからで、例えば、10分間にわたってプリ
チャンバーへのコークスの投入がなかった場合は制御が
起動し、新たな入力データで演算が行われるように設定
しておく。
【0033】この制御装置内で使用するダイナミックモ
デルには、ボイラの伝熱係数、コークス内の伝熱係数、
コークス・ガス間伝熱係数、コークスのH2 持込量、注
水反応率、H2 燃焼熱、CO燃焼熱、コークス切出量
等、演算の際に使用する補正用の係数が予め用意されて
いる。また、この制御装置を用いた運転で目標とする現
在から将来の任意の時刻までの期間のボイラにおける蒸
気発生量を最大にすること、ならびに安定化すること
を、それぞれ後述する二つの目的関数の型に定式化し、
制約条件も制約式に定式化して入力する。
【0034】さらに、このダイナミックモデルで、現在
から将来の任意の時刻までの期間のコークス投入計画
と、注水量、希釈空気量、循環ガス流量、およびコーク
ス切出量の時々刻々の値をモデル入力とした場合の現在
から将来の任意の時刻までの期間における蒸気発生量、
設備内各部の循環ガス温度と組成、切出コークス温度、
およびプリチャンバー在庫量の時々刻々の値を演算す
る。このとき、モデル入力の中の注水量、希釈空気量、
循環ガス流量、およびコークス切出量の時々刻々の値に
ついては、その期間内で操作パターンを変更して演算を
繰り返す。これによって、操作パターンを変更した場合
の、現在から将来の任意の時刻までの期間における蒸気
発生量等の時々刻々の値を把握することができる。
【0035】次に、このダイナミックモデルによる演算
の結果から、パターン変更によるこの期間の蒸気発生量
の時々刻々の値に与える影響係数を算出し、この影響係
数を用いて、この期間内の任意の時刻ti での蒸気発生
量の変化量を次のような線形の関係式に表す。
【0036】
【数1】
【0037】ここで、 △Qstl :任意の時刻tl での蒸気発生量の変化量[t
/h] △QH2Oi:任意の時刻ti での注水量の変更量[t/
h] △Qairi:任意の時刻ti での希釈空気量の変更量[k
Nm3 /h] △Qgasi:任意の時刻ti での循環ガス量の変更量[k
Nm3 /h] △Qcuti:任意の時刻ti でのコークス切出量の変更量
[t/h] cH2Oi:△QH2Oiに対する△Qsti の影響係数[ −
] cairi:△Qairiに対する△Qsti の影響係数[kNm
3 /t] cgasi:△Qgasiに対する△Qsti の影響係数[kNm
3 /t] ccuti:△Qcutiに対する△Qsti の影響係数[ −
] である。
【0038】この線形の関係式を先に定式化した次の二
つの目的関数に代入する。
【0039】
【数2】
【0040】これらの目的関数をそれぞれ最大および最
小にする現在から将来の任意の時刻までの期間の注水
量、希釈空気量、循環ガス流量およびコークス切出量の
操作パターンを、前記の設備および操業制約の下で、線
形計画法の手法を用いて決定し、この期間のコークス投
入計画と共にモデル入力としてダイナミックモデルに入
力して、この期間におけるボイラの蒸気発生量の時々刻
々の値を演算する。
【0041】この演算は、結果が収束するまで行う。結
果が収束するまでとは、前記の影響係数の算出と、線形
計画法によるパターン決定を繰り返し、設備上および操
業上の制約の範囲内では蒸気発生量をこれ以上最適に
(すなわち、蒸気発生量をより最大かつ安定に)できる
可能性がないと計算結果から判断されるまで行うことを
いう。収束した場合、このモデル入力(現在から将来の
任意の時刻までの期間の注水量、希釈空気量、循環ガス
流量およびコークス切出量の操作パターン)が現在から
将来の任意の時刻までの期間のボイラにおける蒸気発生
量を最大かつ安定にするコークス乾式消火設備の最適運
転条件である。
【0042】この最適運転条件が、図3に示すように、
制御対象であるコークス乾式消火設備の操作量として制
御装置からコークス乾式消火設備に出力されるので、そ
れに基づいてコークス乾式消火設備の運転の制御を行
う。また、モデル出力である現在から将来の任意の時刻
までの期間のボイラにおける蒸気発生量、設備内各部の
循環ガス温度と組成、切出コークス温度、およびプリチ
ャンバー在庫量の時々刻々の値は、コークス乾式消火設
備の現在から将来の任意の時刻までの期間の予測量とし
て、前記の最適運転条件(すなわち、操作量)と共に制
御装置からコークス乾式消火設備の操業監視用の画面に
出力される。
【0043】上記の運転の制御方法が前記に記載した
乾式消火設備の運転の制御方法である。
【0044】次に、前記の制御方法について説明す
る。
【0045】の制御方法は、の制御方法において、
ダイナミックモデルで使用する補正用の係数を修正変更
する方法である。
【0046】図4はの方法の主要部の説明図である。
図4に示すように、コークス乾式消火設備操業用制御装
置に、過去の任意の時刻から現在までの期間におけるコ
ークス乾式消火設備の運転実績(すなわち、コークス乾
式消火設備の各部に設置したセンサーでの時々刻々の実
測値)とその期間におけるコークス投入実績、および設
備上、操業上の制約条件(すなわち、コークス乾式消火
設備のボイラにおける蒸気発生量と温度の上限、設備内
各部の循環ガス温度と組成の上下限、切出コークス温度
の上限、プリチャンバー在庫量の上下限等)を入力す
る。なお、前述したように、ダイナミックモデルで使用
する物性値等の補正用の係数は予め用意されている。
【0047】さらに、このダイナミックモデルで、前記
過去の任意の時刻から現在までの期間のコークス投入実
績と注水量、希釈空気量、循環ガス流量、およびコーク
ス切出量の時々刻々の値をモデル入力とした場合のモデ
ル出力であるボイラにおける蒸気発生量、設備内各部の
循環ガス温度と組成、切出コークス温度、およびプリチ
ャンバー在庫量のその期間における時々刻々の値を演算
し、推定値として出力するとともに、この推定値に対応
した実績値との差であるモデル推定誤差を用いて下記の
関数型に定式化したダイナミックモデルの精度評価関数
を演算する。このとき、前記補正用の係数を変更して演
算を繰り返す。なお、下記の関数型は目標計画法の関数
型で表しているが、線形計画法の関数型に置き換え可能
である。
【0048】
【数3】
【0049】ここで、 Jcost :精度評価関数 Qwj :精度評価関数中でモデル推定誤差に使用するj(1, 2,…,m)番目のデータ Errorj ( ti ) :時刻ti (t1 ≦ti ≦tlast)におけるj(1 ,2,…,m)番目のデータのモデル推定誤差 m :誤差として用意できるデータの種類数 である。
【0050】Qwjの値はそれぞれのデータについて自由
に設定できるが、厳しいモデル推定精度を要求するデー
タほど大きな値を設定する。また、補正用の係数Fpara
については次の制約条件を満たすように決定する。
【0051】Fparalow ≦Fpara≦Fparauppparalow ,Fparaupp :それぞれ補正用係数の下限及
び上限 演算結果の中でこの精度評価関数の値を最小にする補正
用の係数を前記最適運転条件を求めた場合と同様に線形
計画法の手法を用いて算出し、次の通りからその補正用
係数を前記の制御方法に使用する。これにより、補正
用係数を修正なしで用いた場合に比べてダイナミックモ
デルの精度が向上する。
【0052】また、該精度評価関数の値を最小にする場
合のモデル出力は、コークス乾式消火設備のこの期間
(前通りの任意の時刻から現在までの期間)の操業の推
定量として制御装置からコークス乾式消火設備の操業監
視用の画面に出力する。
【0053】上記のダイナミックモデルはコークス乾式
消火設備の非定常状態を考慮してモデル化しているの
で、前記の特開平3−157484号公報に記載された
定常状態に基づく乾式消火設備の最適運転方法に比較
し、運転の制御をより効果的に、精度よく行い、蒸気発
生量を最大かつ安定にすることができる。
【0054】しかも、従来から、コークス乾式消火設備
においては、コークス炉側の移動機のトラブルや火落ち
不良による赤熱コークスの投入停止、乾式消火設備側の
切出装置のトラブルによる冷コークスの切出停止等によ
りコークス投入計画の変更が生じると、プリチャンバー
内のコークス在庫量の変動抑制のためにボイラにおける
蒸気発生量が大きな影響を受けていたが、本発明の制御
方法を用いれば、上記トラブルの際に当初のコークス投
入計画が変更されても、新たなコークス投入計画に基づ
いてコークス乾式消火設備の運転の制御が継続されるの
で、その影響を最小にすることができる。
【0055】
【実施例】本発明の制御方法を実施してダイナミックモ
デルのモデル推定精度を求めた。
【0056】図5及び図6は、コークス乾式消火設備の
ダイナミックモデルのモデル推定精度を示すもので、実
績値と推定値を比較した結果である。
【0057】図5が前記の方法、すなわちダイナミッ
クモデルを用いて演算するに当たり、予めダイナミック
モデル内に用意してある補正用の係数(ボイラの伝熱係
数、コークス内の伝熱係数、コークス・ガス間伝熱係
数、コークスのH2 持込量、注水反応率、H2 燃焼熱、
CO燃焼熱、コークス切出量等)を通りの最初のコーク
ス投入時に前通りの最初のコークス投入以後の過去のデ
ータを用いて修正変更しながら制御を行った場合、図6
がそのような修正変更をせずに、同じ補正用の係数を用
いて推定した場合である。
【0058】いずれの方法を用いた場合も実績値と推定
値の推移は非常によく一致しているが、の方法を用い
た場合の方が補正用の係数の修正変更をしない場合より
もさらに良く一致していることがわかる。
【0059】次に、本発明の制御方法(前記の方法)
によりコークス乾式消火設備の運転の制御をオフライン
シュミレーションした結果を図7に示す。これは、ダイ
ナミックモデルによる計算で得られた最適運転条件に従
い、循環ガス流量を通りの開始(図中の時刻23:4
1)から間断終了時(時刻4:36)まで操作した場合
の蒸気発生量の推定値を実績値と対比させて示したもの
である。
【0060】図8および図9は比較のために行った例
で、図8は循環ガス流量を通りの開始から間断終了時ま
で一定とした場合、図9は同じく通りの開始から間断終
了時まで一定比率で上げ続け、間断終了時に上限値にな
るようにした場合の推定値を示したものである。なお、
これらの図には、循環ガス流量、蒸気発生量に加え、冷
却塔出口循環ガス温度(推定値)も示した。
【0061】また、表1に、図7〜図9に示した蒸気発
生量(推定値)の通り平均値および通り標準偏差を、蒸
気発生量(実績値)を基準としてその通り平均値および
通り標準偏差に対する予測変化量として示した。
【0062】これらの結果から、本発明の制御方法によ
れば、蒸気発生量を大きくし、かつ安定にし得ることが
わかる。なお、図8および図9に示した比較例では蒸気
発生量をさらに大きくできるが、図示したように冷却塔
出口循環ガス温度が操業下限値(660℃)を下回るこ
とが予測される結果となった。
【0063】
【表1】
【0064】
【発明の効果】本発明のコークス乾式消火設備の運転の
制御方法によれば、ボイラにおける蒸気発生量等の演算
に非定常性を考慮してモデル化したダイナミックモデル
を用いるので、操業の間断や、赤熱コークスの投入停
止、冷コークスの切出停止等の異常事態が生じた際に
も、新たなコークス投入計画に基づいて運転の制御を継
続して行うことが可能である。従って、定常状態のみを
考慮して行う従来の制御方法に比較して運転の制御をよ
り効果的に行い、ボイラにおける蒸気発生量を最大かつ
安定にする操業が達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】コークス乾式消火設備の一例の構成を示す図で
ある。
【図2】本発明の制御方法で使用するコークス乾式消火
設備のダイナミックモデルの入出力を示す図である。
【図3】本発明の制御方法の説明図である。
【図4】本発明の制御方法であって、ダイナミックモデ
ルにおける補正用係数の修正変更を行う場合の制御方法
の説明図である。
【図5】本発明方法の実施例で、補正用係数の修正変更
を行った場合のダイナミックモデルのモデル推定精度を
示す図である。
【図6】本発明方法の実施例で、補正用係数の修正変更
を行わなかった場合のダイナミックモデルのモデル推定
精度を示す図である。
【図7】本発明方法の実施例で、循環ガス流量を最適運
転条件に従い制御した場合の蒸気発生量を実績値と比較
して示した図である。
【図8】本発明方法の比較例で、循環ガス流量を一定と
した場合の蒸気発生量を実績値と比較して示した図であ
る。
【図9】本発明方法の他の比較例で、循環ガス流量を一
定比率で上げ続け、間断終了時に上限値になるようにし
た場合の蒸気発生量を実績値と比較して示した図であ
る。
【符号の説明】
1…コークバケット、2…巻上機、3…希釈ブロワ、4
…プリチャンバー、5…冷却塔、6…循環ファン、7…
ブラストヘッド、8…切出装置、9…煙道、10…ボイ
ラ、11…サイクロン
フロントページの続き (72)発明者 西村 和裕 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号住 友金属工業株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】コークス乾式消火設備の運転の制御方法で
    あって、現在から将来の任意の時刻までの期間のボイラ
    における蒸気発生量及びその変動をそれぞれ目的関数に
    定式化し、コークス乾式消火設備の操業データのうち、
    コークス投入実績、注水量、希釈空気量、循環ガス流量
    およびコークス切出量の時々刻々変化する値から、それ
    らの値に対応するボイラにおける蒸気発生量、設備内各
    部の循環ガス温度と組成、切出コークス温度およびプリ
    チャンバー在庫量の時々刻々の値を計算するダイナミッ
    クモデルを用いて、設備上及び操業上の制約の下で、線
    形計画法の手法によって前記目的関数をそれぞれ最大及
    び最小にする運転条件を求め、その条件に基づいてコー
    クス乾式消火設備の運転の制御を行うことを特徴とする
    コークス乾式消火設備の運転の制御方法。
  2. 【請求項2】ダイナミックモデルに過去の任意の時刻か
    ら現在までの期間のコークス投入実績、注水量、希釈空
    気量、循環ガス流量およびコークス切出量の時々刻々の
    実績値をモデル入力した場合のモデル出力であるボイラ
    における蒸気発生量、設備内各部の循環ガス温度と組
    成、切出コークス温度およびプリチャンバー在庫量の前
    記期間の時々刻々の推定値とこの推定値に対応した実績
    値との差をダイナミックモデルの精度評価関数に定式化
    し、線形計画法の手法によってこの精度評価関数を最小
    化するように予めダイナミックモデル内に用意してある
    物性値等の補正用係数を修正することを特徴とする請求
    項1記載のコークス乾式消火設備の運転の制御方法。
JP22801495A 1995-09-05 1995-09-05 コークス乾式消火設備の運転の制御方法 Pending JPH0971782A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012255047A (ja) * 2011-06-07 2012-12-27 Jfe Steel Corp コークス乾式消火設備の制御装置および制御方法
JP2013181137A (ja) * 2012-03-02 2013-09-12 Jfe Steel Corp 炉内温度分布の推定方法および推定装置
CN108397977A (zh) * 2017-02-05 2018-08-14 鞍钢股份有限公司 一种干熄焦炉温风干燥的方法

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