JP2003301081A - エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物含有樹脂組成物およびそれを用いた成形品 - Google Patents

エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物含有樹脂組成物およびそれを用いた成形品

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JP2003301081A
JP2003301081A JP2003023912A JP2003023912A JP2003301081A JP 2003301081 A JP2003301081 A JP 2003301081A JP 2003023912 A JP2003023912 A JP 2003023912A JP 2003023912 A JP2003023912 A JP 2003023912A JP 2003301081 A JP2003301081 A JP 2003301081A
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polymer
ethylene
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vinyl acetate
acetate copolymer
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Michiko Hino
享子 日野
Akira Hanada
暁 花田
Hiroaki Takahata
弘明 高畑
Tatsuma Kuroda
竜磨 黒田
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 乾燥条件下のみならず、高湿度下においても
優れたガスバリア性を示すエチレン−酢酸ビニル共重合
体ケン化物含有樹脂組成物、およびそれを用いてなる成
形品を提供する。 【解決手段】 85重量部以上100重量部未満の下記
重合体(1)および0重量部より多く15重量部以下の
下記重合体(2)(ただし、重合体(1)と重合体
(2)の合計量は100重量部である)からなることを
特徴とする樹脂組成物。 重合体(1): エチレン単位含有量20〜60mol
%、ケン化度90〜100%のエチレン−酢酸ビニル共
重合体ケン化物 重合体(2): エチレン単位含有量85〜95mol
%、ケン化度45〜70%のエチレン−酢酸ビニル共重
合体ケン化物

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、乾燥条件下のみな
らず、高湿度下においても優れたガスバリア性を示すエ
チレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物含有樹脂組成物、
およびそれを用いてなる成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物
(以下、EVOHと記すことがある)は、ガスバリア性
に優れた熱可塑性樹脂であり、食品、医薬品、電子材料
など特に酸素に対するガスバリア性が必要な分野におい
て幅広く使用されている。しかしながら、EVOHに
は、乾燥条件下におけるガスバリア性は優れるものの、
相対湿度80%RH以上の高湿度下ではガスバリア性が
著しく低下するという特徴がある。そのため、EVOH
を用いてなる包装材で酸素により劣化しやすい物品を密
封包装するとき、包装体外が高湿度となる場合や、包装
された物品の水分活性が高い場合などには、包装材を透
過して包装体内に侵入した酸素によって、包装された物
品が劣化することがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のような従来の技
術に鑑みて、本発明の目的は、乾燥条件下のみならず、
相対湿度80%RH以上の高湿度下においても優れたガ
スバリア性を示すEVOH系樹脂組成物を提供すること
にある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、エチレン
単位含有量と酢酸ビニル単位のケン化度が異なる特定の
エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物を特定量比で配
合して樹脂組成物となすことにより上記目的を達成する
ことができることを見出し、本発明に至った。すなわ
ち、本発明は、85重量部以上100重量部未満の下記
重合体(1)および0重量部より多く15重量部以下の
下記重合体(2)(ただし、重合体(1)と重合体
(2)の合計量は100重量部である)からなることを
特徴とする樹脂組成物。 重合体(1): エチレン単位含有量20〜60mol
%、ケン化度90〜100%のエチレン−酢酸ビニル共
重合体ケン化物 重合体(2): エチレン単位含有量85〜95mol
%、ケン化度45〜70%のエチレン−酢酸ビニル共重
合体ケン化物
【0005】
【発明の実施の形態】前記目的を達成するために、本発
明の樹脂組成物に含まれる重合体(1)のエチレン単位
含有量は20〜60mol%であり、好ましくは、25
〜50mol%であり、より好ましくは、30〜45m
ol%である。重合体(1)に代えてエチレン単位含有
量が20mol%未満のEVOHを用いると、樹脂組成
物の高湿度下のガスバリア性が著しく悪化する。一方、
エチレン単位含有量が60mol%を超えるEVOHを
用いると、乾燥条件下および高湿度下において樹脂組成
物のガスバリア性が不十分になる。
【0006】本発明の樹脂組成物に含まれる重合体(1)
のケン化度は90%以上であり、好ましくは、95%以
上であり、より好ましくは、97%以上である。重合体
(1)に代えてケン化度が90%未満のEVOHを用い
ると、乾燥条件下および高湿度下において樹脂組成物の
ガスバリア性が不十分になる。
【0007】本発明の樹脂組成物は、重合体(1)に該
当するEVOHを1種類のみ含有してよく、また、重合
体(1)に該当する範囲でエチレン単位含有量やケン化
度が異なる2種類以上のEVOHを含有してもよい。
【0008】本発明の樹脂組成物に含まれる重合体
(2)のエチレン単位含有量は85mol%以上、95
mol%以下である。重合体(2)に代えてエチレン単
位含有量が85mol%未満のEVOHを用いると、樹
脂組成物の高湿度下のガスバリア性が不十分になる。一
方、エチレン単位含有量が95mol%を超えるEVO
Hは重合体(1)との相溶性が乏しく、従って、重合体
(2)に代えてこれを用いた場合には、乾燥条件下およ
び高湿度下において樹脂組成物のガスバリア性が不十分
になる。
【0009】重合体(2)のケン化度は45〜70%で
ある。ケン化度45%未満のEVOHは重合体(1)と
の相溶性が乏しく、従って、重合体(2)に代えてこれ
を用いると、樹脂組成物のガスバリア性は不十分にな
る。一方、ケン化度が70%を超えるEVOHを用いる
と、樹脂組成物の高湿度下のガスバリア性が不十分にな
る。
【0010】本発明の樹脂組成物は、重合体(2)に該
当するEVOHを1種類のみ含有してよく、また、重合
体(2)に該当する範囲でエチレン単位含有量やケン化
度が異なる2種類以上のEVOHを含有してもよい。
【0011】本発明の樹脂組成物に含まれる重合体
(2)の量は、重合体(1)と重合体(2)の合計を1
00重量部としたときに0重量部より多く15重量部以
下であり、その下限値は好ましくは0.5重量部であ
り、より好ましくは1重量部であり、特に好ましくは2
重量部であり、上限値は好ましくは10重量部である。
重合体(2)が15重量部よりも多いと、乾燥条件下お
よび高湿度下において樹脂組成物のガスバリア性が不十
分になる。
【0012】本発明の樹脂組成物における重合体(1)
および(2)の合計含有量は必ずしも臨界的ではない
が、通常は樹脂組成物全体の50〜100%であり、好
ましくは70〜100%であり、より好ましくは90〜
100%である。
【0013】本発明の樹脂組成物に含まれる重合体
(1)および重合体(2)を製造する方法は特に限定さ
れず、その一例として、所望のエチレン単位含有量とな
るように共重合してなるエチレン−酢酸ビニル共重合体
をケン化する方法が挙げられる。ケン化するエチレン−
酢酸ビニル共重合体のエチレン単位含有量、およびケン
化条件を適宜調節することにより、重合体(1)および
重合体(2)を得ることができる。
【0014】エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化方
法は特に限定されるものではなく、例えば、有機溶媒、
具体的にはキシレン、トルエン、ベンゼンのような芳香
族炭化水素にエチレン−酢酸ビニル共重合体を溶解させ
て、アルカリ触媒を用いてケン化し、反応系内にメタノ
ールのようなエチレン−酢酸ビニル共重合体の貧溶媒を
添加して生成物を沈殿させ分別する方法や、ペレット状
または粉末状のエチレン−酢酸ビニル共重合体をメタノ
ール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール
中に分散させ、アルカリ触媒を用いてケン化し、アルコ
ールと触媒とを濾過により除去し、残さをアルコールで
洗浄する方法を適用することができる。
【0015】アルカリ触媒としては、アルカリ金属のア
ルコキシド、特にナトリウムメトキシドおよびナトリウ
ムエトキシド、およびアルカリ金属の水酸化物、特に水
酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムを使用することが
できる。
【0016】エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化条
件は、例えば以下のとおりである. 反応基質(エチレン−酢酸ビニル共重合体)濃度: 1
0〜50% 反応温度: 30〜60℃ 反応時間: 1〜6時間 触媒使用量: 0.02〜0.6当量(酢酸エステル基
当り) 反応基質濃度、反応温度、反応時間、触媒使用量などの
反応条件を調節することにより、ケン化度を調節するこ
とができる。
【0017】本発明の樹脂組成物に含まれる重合体
(1)および/または重合体(2)は、本発明の樹脂組
成物の特性が著しく損なわれない限り、α−オレフィ
ン、不飽和酸、不飽和酸無水物、不飽和酸塩、オレフィ
ンスルホン酸、オレフィンスルホン酸塩、モノまたはジ
アルキルエステル類、ニトリル類、アミド類、アルキル
ビニルエーテル類、ビニル類など共重合可能なモノマー
類で変性されていてもよい。
【0018】また、本発明の樹脂組成物は、その特性が
著しく損なわれない限り、重合体(1)および(2)以
外の樹脂や添加剤を適宜含有することができる。本発明
の樹脂組成物が含有することができる重合体(1)およ
び(2)以外の樹脂には、例えば下記の熱可塑性樹脂が
ある。本発明の樹脂組成物は、重合体(1)および
(2)以外に、一種類の樹脂を含有しても二種類以上の
樹脂を含有してもよい。 ポリオレフィン系樹脂 エチレン−ビニルエステル共重合体 エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体 エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体 ポリエステル系樹脂 ポリアミド系樹脂 アクリル系樹脂 アクリロニトリル系樹脂 ポリビニルアルコール (無水)ポリカルボン酸 重合体(1)および(2)以外のエチレン−酢酸ビニル
共重合体ケン化物
【0019】本発明の樹脂組成物が含有することができ
る添加剤の例としては、酸化防止剤、光安定剤、紫外線
吸収剤、防曇剤、防霧剤、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、
着色剤などを挙げることができる。
【0020】本発明の樹脂組成物の製造方法、すなわち
重合体(1)、重合体(2)および必要に応じて追加す
る成分(樹脂や添加剤)の配合方法には特に制限はな
く、例えば、樹脂の混練に通常用いられる単軸あるいは
二軸押出機を用いて原料を溶融混練する方法を例示する
ことができる。重合体(1)と重合体(2)およびその
他の任意成分の押出機への投入方法には特に制限はな
く、例えば、ペレット状または粉体状の材料を予めドラ
イブレンドし、得られた混合物をフィーダーやコンパク
ターなどの装置により押出機内に投入する方法、複数の
フィーダーを用いて各材料を別々に押出機に投入する方
法を挙げることができる。また、一つ以上の原料を溶媒
(主に有機溶媒)に溶解し、送液ポンプを用いて押出機
に供給することもできる。また、予め調製した重合体
(1)および/または重合体(2)の高濃度マスターバ
ッチに、適当量の重合体(1)および/または重合体
(2)、および所望の追加的成分を配合し、混練するこ
とにより本発明の樹脂組成物を得ることもできる。
【0021】本発明の樹脂組成物は、23℃、相対湿度
0%RHの条件下で測定したときに、厚さ1μmあたり
概ね12cc/m2・day・atm以下の酸素透過度を示す。ま
た、本発明の樹脂組成物は、23℃、相対湿度90%R
Hの条件下で測定したときに、厚さ1μmあたり概ね5
5cc/m2・day・atm以下の酸素透過度を示す。すなわち、
本発明の樹脂組成物は、低湿度下のみならず80%RH
以上の高湿度下においても優れた酸素ガスバリア性を示
す。したがって、本発明の樹脂組成物からなる層を有す
る成形品を用いてなる包装材で、酸素により劣化しやす
い物品を密封包装すると、包装体外が高湿度となる場合
や、包装する物品の水分活性が高い場合などにも、包装
材を透過して酸素が包装体内部に侵入するのを効果的に
防ぐことができる。電子レンジで加熱調理する食品の多
くは、水分を多く含んでおり、このような食品として
は、米飯、煮物などの惣菜、カレー等が挙げられる。こ
のような食品を包装する電子レンジ加熱用包装材として
本発明の樹脂組成物からなる層を有する成形品を用いる
と、包装体内に水分が多く存在するにもかかわらず優れ
た酸素ガスバリア性が達成され、内容物の劣化を効果的
に防ぐことができる。
【0022】本発明において、酸素透過度はJIS K
−7126に準じて次のような方法で測定する。先ず、
樹脂組成物を210℃、3分間の熱プレスに付し、更に
30℃、5分間の冷却プレスに付して厚さ30μmの試
料フィルムを作成する。次に、この試料フィルムを測定
装置に装着して酸素透過度を連続的に測定し、酸素透過
度が実質的に一定になった時点(通常は、測定開始から
数時間〜3日程度の後)における酸素透過度を求める。
酸素透過度の測定には、米国MOCON社製の酸素透過
度測定装置(商品名:OX−TRAN 100)もしく
はこれと同等の装置を使用する。尚、上記方法で実測さ
れた酸素透過度から厚さ1μmあたりの酸素透過度を算
出し、この計算値を用いて樹脂組成物の酸素透過度を表
示する。同一の樹脂組成物からなるフィルムの酸素透過
度(cc/m2・day・atm)は、フィルムの厚さに反比例す
る。
【0023】本発明の樹脂組成物は、該樹脂組成物から
なる層を有するフィルム、シート、パイプ、カップ、ボ
トル等の成形品に加工することができる。これらの成形
品は、本発明の樹脂組成物からなる単層体であっても、
本発明の樹脂組成物の層と他の材料からなる一層以上の
層との積層体であってもよい。本発明の樹脂組成物から
なる層を有する成形品において、本発明の樹脂組成物か
らなる層の厚さは、その成形品に求められるガスバリア
性のレベルにより異なるが、通常10〜500μmの範
囲内、さらに好ましくは15〜100μmの範囲内であ
る。本発明の樹脂組成物を用いてなる成形品は、食品包
装材、医薬品包装材、電子部品包装材、ガソリンタン
ク、土壌を燻蒸する際に燻蒸剤が大気中へ蒸散すること
を防ぐために土壌を被覆するフィルム(土壌被覆用フィ
ルム)として好適であり、中でも食品包装材として特に
好適に用いられる。
【0024】本発明の樹脂組成物からなる層を有する多
層成形品において、本発明の樹脂組成物の層以外の層
は、本発明の樹脂組成物からなる層の特徴を損なわない
限り特に限定されず、例えば織布、不織布、編布、シー
ト、フィルム、網状物などからなる層であってよい。本
発明の樹脂組成物の層以外の層の素材は、成形品の用途
などに応じて適宜選択することができるが、その例とし
ては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、ゴム、熱可塑性エ
ラストマー、麻などの天然繊維、珪酸カルシウムなどの
鉱物などが挙げられる。また、木材、紙、ポリプロピレ
ンやポリスチレンなどからなる合成紙、発泡体、アルミ
ニウムや鉄等の金属薄板や金属箔などを使用することも
できる。
【0025】成形品に本発明の樹脂組成物の層以外の層
を設けることにより、曲げ剛性、圧縮強さ、表面傷付き
性、寸法安定性などの機械的特性や、耐熱性、断熱性、
成形性、水蒸気バリア性などの機能性を向上させたり、
光沢や表面平滑性、外観美麗さなどの特性を付与したり
することができる。本発明の樹脂組成物の層以外の層
は、単層構造であっても、二以上の層からなる多層構造
であってもよい。
【0026】本発明の樹脂組成物の層以外の層を構成す
る熱可塑性樹脂の例としては、低密度ポリエチレン、高
密度ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エ
チレン−ブテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合
体、エチレン−オクテン共重合体、ポリプロピレンなど
のポリオレフィン系樹脂、エチレン−ビニルエステル共
重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合
体、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル
系樹脂、アクリロニトリル系樹脂、疎水化セルロース系
樹脂、ハロゲン含有樹脂、ポリビニルアルコール、セル
ロース誘導体などの水素結合性樹脂、アイオノマー樹
脂、ポリカーボネート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエ
ーテルサルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹
脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンオキ
シド樹脂、ポリアリレンスルフィド樹脂、ポリメチレン
オキシド樹脂、ポリアセタール樹脂、液晶ポリエステル
樹脂、アラミド系樹脂などのエンジニアリングプラスチ
ック系樹脂などが挙げられる。また、これらの樹脂をグ
ラフト変性、架橋あるいは分子鎖末端を修飾して得られ
る、いわゆる変性樹脂も使用することができる。
【0027】本発明の樹脂組成物からなる層を有する成
形品を食品包装に使用するときには、当該成形品は、未
延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)、延伸ポリプロ
ピレンフィルム(OPP)、熱可塑性樹脂発泡体層など
を追加的な層として有していることが好ましい。特に本
発明の樹脂組成物からなる層を有する成形品を、電子レ
ンジ加熱用包装体として使用するときには、当該成形品
は、タルクなどの無機フィラーまたはポリスチレンを含
むポリプロピレン系樹脂層、ポリプロピレン系樹脂発泡
層などを備えた積層体であることが好ましい。
【0028】本発明の樹脂組成物からなる層を有する成
形品においては、層同士を接着するための接着剤層ある
いは接着性樹脂層を有することもできる。接着性樹脂の
例としては、(1)不飽和カルボン酸またはその無水
物、エポキシ基含有ビニルモノマー、不飽和カルボン酸
エステル、ビニルエステルからなる群から選ばれる一種
以上のモノマーとオレフィンモノマーとの共重合体や、
(2)不飽和カルボン酸またはその無水物をグラフト化
してなる酸変性オレフィン系重合体が挙げられる。前者
の具体例としては、エチレン−(メタ)アクリル酸共重
合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体金属架橋
物、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体、エ
チレン−メタクリル酸グリシジル−酢酸ビニル共重合
体、エチレン−メタクリル酸グリシジル−(メタ)アク
リル酸メチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸
エステル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エス
テル−無水マレイン酸共重合体、およびエチレン−酢酸
ビニル共重合体などが挙げられる。後者の具体例として
は、不飽和カルボン酸またはその無水物をグラフト化し
た酸変性オレフィン系重合体の例としては、無水マレイ
ン酸グラフト変性エチレン系重合体、無水マレイン酸グ
ラフト変性プロピレン系重合体などが挙げられる。
【0029】本発明の樹脂組成物からなる層を有する成
形品の製造方法としては、一般の熱可塑性樹脂の成形に
おいて実施されている成形方法、例えばTダイなどのフ
ラットダイ、あるいはサーキュラーダイなどを用いた押
出成形、射出成形、ブロー成形法等を適用することがで
きる。これらの成形法においては、単層の成形品を得る
ことも可能であるが、共押出成形法や多層ブロー成形法
により多層成形品を得ることもできる。また、これらの
成形法において得られた成形品を用いて、溶融コーティ
ング法、押出ラミネーション法、ドライラミネーション
法等により多層成形品を得ることもできる。さらに、こ
れらの成形法において得られたフィルムおよびシート
は、重合体(1)のみからなるフィルムおよびシートよ
りも延伸性に優れるため、テンター延伸、チューブラー
延伸などの種々の延伸法により延伸したり、真空成形、
圧空成形、真空/圧空成形などの熱成形により二次加工
したりすることも容易にできる。
【0030】さらに、本発明の樹脂組成物は、その加工
時に装置にかかるトルクが低く、かつ、樹脂圧力の変動
が小さいため、加工性に優れている。例えば、後述の比
較例1に用いた樹脂を、単軸押出機[スクリュー直径=
40mmφ]により、スクリュー温度:220℃、ダイ
ス温度:220℃、押出し量:20kg/時で混練した時
に、押出機にかかる負荷電流(トルク)は26Aであっ
た。一方、後述の実施例2で得られる樹脂組成物を同じ
条件で混練した時に、押出機にかかる負荷電流(トル
ク)は20Aであり、比較例1に用いた樹脂を混練した
時よりも低トルクであった。このため、実施例2の樹脂
組成物は、比較例1の樹脂組成物に比して加工性に優れ
ている。
【0031】
【実施例】以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこ
れらの実施例により限定されるものではない。実施例中
における物性等の測定方法、評価方法については以下の
通りである。
【0032】[エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物]
エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物としては、市販
品、または下記方法で市販のエチレン−酢酸ビニル共重
合体(EVA)をケン化したものを用いた。実施例1に
用いた重合体(2)は次のようの方法で調製した。フラ
スコに攪拌機、温度計、冷却管を設置し、1−ブタノー
ル700重量部、フィルム状のエチレン−酢酸ビニル共
重合体(エチレン単位含有量89mol%、商品名:ス
ミテートKA−31、住友化学工業株式会社製)20重
量部、ナトリウムメトキシドのメタノール溶液7重量部
を入れ、50℃で30分間反応させた。その後、40℃
以下に冷却した後、ろ過によりフィルム状の生成物を取
り出し、これを水2000重量部で2回洗浄して、ケン
化度51%のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物
(表1中、Bで表示)を得た。更に、上記方法におい
て、反応基質(EVA)の濃度、反応温度、反応時間、
触媒種類、触媒使用量などの反応条件を適宜変更して、
ケン化度の異なるエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化
物(表1中、それぞれD、F、GまたはHで表示)を得
た。表1中、CまたはEで表示したエチレン−酢酸ビニ
ル共重合体ケン化物は市販品である。
【0033】[ケン化度]重合体(2)であるエチレン−
酢酸ビニル共重合体ケン化物のケン化度は以下の方法で
算出した。フィルム状の、エチレン−酢酸ビニル共重合
体ケン化物とケン化前の原料のエチレン−酢酸ビニル共
重合体のFT−IRスペクトルをそれぞれ測定した。内
部標準をメチレン基のC−H変角振動(1466cm-1
付近)に起因する吸収ピークとした場合に、酢酸ビニル
単位のC=O伸縮振動(1738cm-1付近)に起因す
るピークの吸光度の減少量として求めた。具体的には以
下の式に代入して求めた。 ケン化度(%)={1−(A2×B1)/(A1×B2)}
×100 A1:ケン化前のエチレン−酢酸ビニル共重合体のカル
ボニル基のC=O伸縮振動(1738cm-1付近)に起
因する吸光度 A2:エチレン−酢酸ビニル共重合体のカルボニル基の
C=O伸縮振動(1738cm-1付近)に起因する吸光
度 B1:ケン化前のエチレン−酢酸ビニル共重合体のメチ
レン基のC−H変角振動(1466cm-1付近)に起因
する吸光度(内部標準) B2:エチレン−酢酸ビニル共重合体のメチレン基のC
−H変角振動(1466cm-1付近)に起因する吸光度
(内部標準)
【0034】[酸素透過度]酸素透過度は、JIS K−
7126(等圧法)に準じて測定した。市販の酸素透過
度測定装置(商品名:OX−TRAN 100、米国M
OCON社製)に試料フィルムを装着し、酸素透過度を
連続的に測定し、酸素透過度が実質的に一定になった時
点における酸素透過度を求めた。試料フィルムとして
は、樹脂組成物を210℃/3分間の熱プレスに付し、
更に30℃/5分間の冷却プレスに付して得られた厚さ
30μmのフィルムを用いた。上記測定で実測された酸
素透過度から厚さ1μmあたりの酸素透過度を算出し、
この計算値を用いて樹脂組成物の酸素透過度を表示し
た。
【0035】(実施例1)重合体(1)として、エチレ
ン単位含有量32mol%、ケン化度99%のエチレン
−酢酸ビニル共重合体ケン化物90重量部と、重合体
(2)として、エチレン単位含有量89mol%、ケン
化度51%のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物1
0重量部を混合し、得られた混合物をラボプラストミル
[30C150、(株)東洋精機製作所製]により、ロー
ター回転速度:80rpm、温度:220℃で5分間混練
した。得られた樹脂組成物の性能を評価した。結果を表
1に示す。
【0036】(実施例2)実施例1の重合体(2)に代
えてエチレン単位含有量89mol%、ケン化度60%
のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物を用いた以外
は実施例1と同様にして樹脂組成物を調製し、その性能
を評価した。結果を表1に示す。
【0037】(実施例3)実施例2の重合体(1)95
重量部、実施例2の重合体(2)5重量部を配合した以
外は実施例2と同様にして樹脂組成物を調製し、その性
能を評価した。結果を表1に示す。
【0038】(実施例4)実施例2の重合体(1)98
重量部、実施例2の重合体(2)2重量部を配合した以
外は実施例2と同様にして樹脂組成物を調製し、その性
能を評価した。結果を表1に示す。
【0039】(実施例5)実施例1の重合体(2)に代
えてエチレン単位含有量89mol%、ケン化度65%
のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物を用いた以外
は実施例1と同様にして樹脂組成物を調製し、その性能
を評価した。結果を表1に示す。
【0040】(実施例6)実施例5の重合体(1)98
重量部、実施例5の重合体(2)2重量部を配合した以
外は実施例5と同様にして樹脂組成物を調製し、その性
能を評価した。結果を表1に示す。
【0041】(比較例1)エチレン単位含有量32mo
l%、ケン化度99%のエチレン−酢酸ビニル共重合体
ケン化物の性能を評価した。結果を表1に示す。
【0042】(比較例2)実施例1の重合体(2)に代
えてエチレン単位含有量82mol%、ケン化度55%
のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物を用いた以外
は実施例1と同様にして樹脂組成物を調製し、その性能
を評価した。結果を表1に示す。
【0043】(比較例3)実施例2の重合体(1)80
重量部、実施例2の重合体(2)20重量部を配合した
以外は実施例2と同様にして樹脂組成物を調製し、その
性能を評価した。結果を表1に示す。
【0044】(比較例4)実施例1の重合体(2)に代
えてエチレン単位含有量89mol%、ケン化度38%
のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物を用いた以外
は実施例1と同様にして樹脂組成物を調製し、その性能
を評価した。結果を表1に示す。
【0045】(比較例5)実施例1の重合体(2)に代
えてエチレン単位含有量89mol%、ケン化度76%
のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物を用いた以外
は実施例1と同様にして樹脂組成物を調製し、その性能
を評価した。結果を表1に示す。
【0046】(比較例6)実施例1の重合体(2)に代
えてエチレン単位含有量89mol%、ケン化度95%
のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物を用いた以外
は実施例1と同様にして樹脂組成物を調製し、その性能
を評価した。結果を表1に示す。
【0047】(比較例7)比較例6の重合体(1)98
重量部、比較例6の重合体(2)2重量部を配合した以
外は比較例6と同様にして樹脂組成物を調製し、その性
能を評価した。結果を表1に示す。
【0048】
【表1】
【0049】表中の記号の意味は以下のとおりである。 A:エチレン単位含有量32mol%、ケン化度99%
のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物 B:エチレン単位含有量89mol%、ケン化度51%
のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物 C:エチレン単位含有量89mol%、ケン化度60%
のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物 D:エチレン単位含有量89mol%、ケン化度65%
のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物 E:エチレン単位含有量82mol%、ケン化度55%
のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物 F:エチレン単位含有量89mol%、ケン化度38%
のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物 G:エチレン単位含有量89mol%、ケン化度76%
のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物 H:エチレン単位含有量89mol%、ケン化度95%
のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物
【0050】
【発明の効果】本発明の樹脂組成物は、85重量部以上
100重量部未満のエチレン単位含有量20〜60mo
l%、ケン化度90〜100%のエチレン−酢酸ビニル
共重合体ケン化物[重合体(1)]に対して、エチレン
単位含有量85〜95mol%、ケン化度45〜70%
のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物[重合体
(2)]を0重量部より多く15重量部以下含有してい
るので、上記重合体(1)単独の場合に比べて、乾燥条
件下のみならず相対湿度80%RH以上の高湿度条件下
においても優れたガスバリア性を呈する。従って、本発
明の樹脂組成物を使用すれば、乾燥条件下のみならず高
湿度下でも優れたガスバリア性を呈し、高水分食品など
の包装に適した包装材を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高畑 弘明 千葉県市原市姉崎海岸5番1号 住友化学 工業株式会社内 (72)発明者 黒田 竜磨 千葉県市原市姉崎海岸5番1号 住友化学 工業株式会社内 Fターム(参考) 3E067 AB01 AB41 AB81 BA03A BA07A BA14A BA15A BB01A BB03A BB11A BB12A BB14A BB22A BB25A CA04 CA06 EE48 FB13 GC01 GD01 GD02 4J002 BB061 BB062 BE031 GG02

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】85重量部以上100重量部未満の下記重
    合体(1)および0重量部より多く15重量部以下の下
    記重合体(2)(ただし、重合体(1)と重合体(2)
    の合計量は100重量部である)からなることを特徴と
    する樹脂組成物。 重合体(1): エチレン単位含有量20〜60mol
    %、ケン化度90〜100%のエチレン−酢酸ビニル共
    重合体ケン化物 重合体(2): エチレン単位含有量85〜95mol
    %、ケン化度45〜70%のエチレン−酢酸ビニル共重
    合体ケン化物
  2. 【請求項2】請求項1に記載の樹脂組成物からなる層を
    有することを特徴とする成形品。
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