JP2003300970A - 1,2−エポキシシクロドデカンの製造方法 - Google Patents
1,2−エポキシシクロドデカンの製造方法Info
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- JP2003300970A JP2003300970A JP2002104234A JP2002104234A JP2003300970A JP 2003300970 A JP2003300970 A JP 2003300970A JP 2002104234 A JP2002104234 A JP 2002104234A JP 2002104234 A JP2002104234 A JP 2002104234A JP 2003300970 A JP2003300970 A JP 2003300970A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 1,2−エポキシ−5,9−シクロドデカジ
エン(ECD”)を白金触媒の存在下水素還元して1,
2−エポキシシクロドデカン(ECD)を高収率高選択
率で工業的に製造できる方法。 【解決手段】 (1)ECDと水素とを、白金触媒の存
在下に接触反応させ、(2)工程(1)の反応混合液か
ら白金触媒を濾過分離して回収し、(3)回収触媒を分
離濾液中に分散して回収スラリーを調製し、(4)回収
スラリーを、工程(1)に還流して、回収触媒を再使用
する。
エン(ECD”)を白金触媒の存在下水素還元して1,
2−エポキシシクロドデカン(ECD)を高収率高選択
率で工業的に製造できる方法。 【解決手段】 (1)ECDと水素とを、白金触媒の存
在下に接触反応させ、(2)工程(1)の反応混合液か
ら白金触媒を濾過分離して回収し、(3)回収触媒を分
離濾液中に分散して回収スラリーを調製し、(4)回収
スラリーを、工程(1)に還流して、回収触媒を再使用
する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、1,2−エポキシ
−5,9−シクロドデカジエンの炭素原子間二重結合
(以下これを二重結合と記す)を選択的に水素化して
1,2−エポキシシクロドデカンを製造する方法に関す
るものである。1,2−エポキシシクロドデカンは、塗
料、接着剤などの樹脂成分原料となり得るばかりではな
く、シクロドデカノール、シクロドデカノンへなどに誘
導し、この誘導体をさらにラクタム類、ラクトン類又は
二塩基酸類に容易に公知の方法によって誘導することが
できる。これらの1,2−エポキシシクロドデカン誘導
体は、ポリアミド12、ポリエステル等の合成繊維、及
び合成樹脂の中間原料として重要な化合物である。
−5,9−シクロドデカジエンの炭素原子間二重結合
(以下これを二重結合と記す)を選択的に水素化して
1,2−エポキシシクロドデカンを製造する方法に関す
るものである。1,2−エポキシシクロドデカンは、塗
料、接着剤などの樹脂成分原料となり得るばかりではな
く、シクロドデカノール、シクロドデカノンへなどに誘
導し、この誘導体をさらにラクタム類、ラクトン類又は
二塩基酸類に容易に公知の方法によって誘導することが
できる。これらの1,2−エポキシシクロドデカン誘導
体は、ポリアミド12、ポリエステル等の合成繊維、及
び合成樹脂の中間原料として重要な化合物である。
【0002】
【従来の技術】白金触媒存在下、1,2−エポキシ−
5,9−シクロドデカジエンと水素とを接触させて1,
2−エポキシシクロドデカンを製造する方法が特開20
01−302650号公報に開示されている。この公報
に開示されている方法では、活性炭に担持された白金触
媒1,2−エポキシシクロドデカンの製造に関して高選
択・高収率でしかも触媒寿命も長いことが開示されてい
る。しかし、この反応は、1,2−エポキシ−5,9−
シクロドデカジエンに溶解しない白金触媒が使用されて
おり、従って、この反応も不均一なバッチ反応である。
従って、この反応方法を工業的に応用する場合において
は、高価な白金触媒を分離回収し、再使用し得るか否か
が経済的大課題となる。しかし、この特開2001−3
02650号公報には、その方法を工業的に応用する場
合の、白金触媒の取り扱いに関する上記問題点について
は何ら記載がなく、その解決方法についても全く記載が
ない。
5,9−シクロドデカジエンと水素とを接触させて1,
2−エポキシシクロドデカンを製造する方法が特開20
01−302650号公報に開示されている。この公報
に開示されている方法では、活性炭に担持された白金触
媒1,2−エポキシシクロドデカンの製造に関して高選
択・高収率でしかも触媒寿命も長いことが開示されてい
る。しかし、この反応は、1,2−エポキシ−5,9−
シクロドデカジエンに溶解しない白金触媒が使用されて
おり、従って、この反応も不均一なバッチ反応である。
従って、この反応方法を工業的に応用する場合において
は、高価な白金触媒を分離回収し、再使用し得るか否か
が経済的大課題となる。しかし、この特開2001−3
02650号公報には、その方法を工業的に応用する場
合の、白金触媒の取り扱いに関する上記問題点について
は何ら記載がなく、その解決方法についても全く記載が
ない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、白金
触媒と水素の存在下、1,2−エポキシ−5,9−シク
ロドデカジエンを水素還元し、1,2−エポキシシクロ
ドデカンを工業的に製造する方法において、高収率・高
選択率で、かつ経済的に1,2−エポキシシクロドデカ
ンを製造する方法を提供するものである。
触媒と水素の存在下、1,2−エポキシ−5,9−シク
ロドデカジエンを水素還元し、1,2−エポキシシクロ
ドデカンを工業的に製造する方法において、高収率・高
選択率で、かつ経済的に1,2−エポキシシクロドデカ
ンを製造する方法を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題は、本発明方法
により解決することができる。本発明の1,2−エポキ
シシクロドデカンの製造方法は、1,2−エポキシ−
5,9−シクロドデカジエンを白金触媒の存在下に水素
還元して1,2−エポキシシクロドデカンを製造する方
法であって、(1)白金触媒の存在下において、1,2
−エポキシ−5,9−シクロドデカジエンと水素とを接
触させる工程、(2)前記工程(1)から送り出された
反応混合液より前記白金触媒を濾過分離する工程、
(3)前記工程(2)により分離された前記白金触媒
を、前記分離された反応濾過液の一部中に分散させたス
ラリーとして回収する工程、及び(4)前記回収された
白金触媒含有スラリーを前記工程(1)に再送入して、
1,2−エポキシ−5,9−シクロドデカジエンの水素
還元触媒として再使用する工程、を含むことを特徴とす
るものである。本発明の1,2−エポキシシクロドデカ
ンの製造方法において、前記工程(2)により分離され
た白金触媒を、前記分離された反応濾過液の一部中に分
散してスラリーとして回収する工程(3)において、前
記スラリー中の白金触媒の濃度を、2〜30質量%にコ
ントロールすることが好ましい。本発明の1,2−エポ
キシシクロドデカンの製造方法において、白金触媒の存
在下において、1,2−エポキシ−5,9−シクロドデ
カジエンと水素とを接触させる工程(1)において、水
素圧力が0.8〜9MPa であることが好ましい。本発明
の1,2−エポキシシクロドデカンの製造方法におい
て、白金触媒の存在下において、1,2−エポキシ−
5,9−シクロドデカジエンと水素とを接触させる工程
(1)において、出発原料として用いられる1,2−エ
ポキシ−5,9−シクロドデカジエン中に不純物として
含まれる過酸化物の合計含有量が0.5モル%以下にコ
ントロールされることが好ましい。
により解決することができる。本発明の1,2−エポキ
シシクロドデカンの製造方法は、1,2−エポキシ−
5,9−シクロドデカジエンを白金触媒の存在下に水素
還元して1,2−エポキシシクロドデカンを製造する方
法であって、(1)白金触媒の存在下において、1,2
−エポキシ−5,9−シクロドデカジエンと水素とを接
触させる工程、(2)前記工程(1)から送り出された
反応混合液より前記白金触媒を濾過分離する工程、
(3)前記工程(2)により分離された前記白金触媒
を、前記分離された反応濾過液の一部中に分散させたス
ラリーとして回収する工程、及び(4)前記回収された
白金触媒含有スラリーを前記工程(1)に再送入して、
1,2−エポキシ−5,9−シクロドデカジエンの水素
還元触媒として再使用する工程、を含むことを特徴とす
るものである。本発明の1,2−エポキシシクロドデカ
ンの製造方法において、前記工程(2)により分離され
た白金触媒を、前記分離された反応濾過液の一部中に分
散してスラリーとして回収する工程(3)において、前
記スラリー中の白金触媒の濃度を、2〜30質量%にコ
ントロールすることが好ましい。本発明の1,2−エポ
キシシクロドデカンの製造方法において、白金触媒の存
在下において、1,2−エポキシ−5,9−シクロドデ
カジエンと水素とを接触させる工程(1)において、水
素圧力が0.8〜9MPa であることが好ましい。本発明
の1,2−エポキシシクロドデカンの製造方法におい
て、白金触媒の存在下において、1,2−エポキシ−
5,9−シクロドデカジエンと水素とを接触させる工程
(1)において、出発原料として用いられる1,2−エ
ポキシ−5,9−シクロドデカジエン中に不純物として
含まれる過酸化物の合計含有量が0.5モル%以下にコ
ントロールされることが好ましい。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明方法で使用する1,2−エ
ポキシ−5,9−シクロドデカジエンは、例えば、有機
カルボン酸と過酸化水素を使用してシクロドデカトリエ
ンをエポキシ化することにより製造することができる。
得られる1,2−エポキシ−5,9−シクロドデカジエ
ンのエポキシ基および二重結合の構造は、シス体又はト
ランス体等のいかなるものであってもよい。
ポキシ−5,9−シクロドデカジエンは、例えば、有機
カルボン酸と過酸化水素を使用してシクロドデカトリエ
ンをエポキシ化することにより製造することができる。
得られる1,2−エポキシ−5,9−シクロドデカジエ
ンのエポキシ基および二重結合の構造は、シス体又はト
ランス体等のいかなるものであってもよい。
【0006】さらに、出発原料として用いられる1,2
−エポキシ−5,9−シクロドデカジエンとしては、市
販品あるいは合成品をそのまま使用してもよいが、これ
に蒸留及び/又はアルカリ水溶液による洗浄処理を施し
て、不純物、特に有害な過酸化物を除去し、精製してか
ら使用することが好ましい。特に、出発原料1,2−エ
ポキシ−5,9−シクロドデカジエン中に、不純物とし
て含まれる過酸化物の含有量は0.5モル%以下である
ことが好ましく、さらに好ましくは0.3モル%以下で
ある。出発原料1,2−エポキシ−5,9−シクロドデ
カジエン中の過酸化物の含有量が0.5モル%以上であ
ると、水素化反応に用いられる白金触媒の活性が著しく
低下するという不都合を生ずることがある。
−エポキシ−5,9−シクロドデカジエンとしては、市
販品あるいは合成品をそのまま使用してもよいが、これ
に蒸留及び/又はアルカリ水溶液による洗浄処理を施し
て、不純物、特に有害な過酸化物を除去し、精製してか
ら使用することが好ましい。特に、出発原料1,2−エ
ポキシ−5,9−シクロドデカジエン中に、不純物とし
て含まれる過酸化物の含有量は0.5モル%以下である
ことが好ましく、さらに好ましくは0.3モル%以下で
ある。出発原料1,2−エポキシ−5,9−シクロドデ
カジエン中の過酸化物の含有量が0.5モル%以上であ
ると、水素化反応に用いられる白金触媒の活性が著しく
低下するという不都合を生ずることがある。
【0007】なお、本発明方法において、原料1,2−
エポキシ−5,9−シクロドデカジエンに含まれる過酸
化物は、特定の化学物質をさしているものではなく、各
種有機過酸化物の単独または複数の混合物を包含し、
1,2−エポキシ−5,9−シクロドデカジエン中に含
まれる過酸化物の含有量は原料化合物をヨウ素滴定法に
供して、それに含有されている活性酸素量を分析し、そ
の結果から、活性酸素1当量が過酸化物1モルに対応す
るものとして計算する。
エポキシ−5,9−シクロドデカジエンに含まれる過酸
化物は、特定の化学物質をさしているものではなく、各
種有機過酸化物の単独または複数の混合物を包含し、
1,2−エポキシ−5,9−シクロドデカジエン中に含
まれる過酸化物の含有量は原料化合物をヨウ素滴定法に
供して、それに含有されている活性酸素量を分析し、そ
の結果から、活性酸素1当量が過酸化物1モルに対応す
るものとして計算する。
【0008】本発明方法で使用される白金触媒とは、白
金元素を含む化合物を、不活性支持体に担持させた固体
触媒、好ましくは粉末触媒、更に好ましくは平均粒径が
5μm〜500μmの粉末触媒を包含する。前記不活性
支持体としては、活性炭、アルミナ、シリカ、シリカア
ルミナ、ゼオライト、ズピネル等が好適に使用される。
また、白金元素の不活性支持体への担持量は、不活性支
持体の質量に対して0.1〜10質量%であることが好
ましく、さらに好ましくは0.2〜8質量%である。触
媒中の白金元素は、不活性支持体の表面又は内部、若し
くはその両方に担持されていてもよい。白金触媒は、例
えば図1に示した触媒調合槽1において、1,2−エポ
キシ−5,9−シクロドデカジエン中に所定量の濃度に
なるように分散され、調製された触媒分散1,2−エポ
キシ−5,9−シクロドデカジエンが、水素反応槽に導
入される。
金元素を含む化合物を、不活性支持体に担持させた固体
触媒、好ましくは粉末触媒、更に好ましくは平均粒径が
5μm〜500μmの粉末触媒を包含する。前記不活性
支持体としては、活性炭、アルミナ、シリカ、シリカア
ルミナ、ゼオライト、ズピネル等が好適に使用される。
また、白金元素の不活性支持体への担持量は、不活性支
持体の質量に対して0.1〜10質量%であることが好
ましく、さらに好ましくは0.2〜8質量%である。触
媒中の白金元素は、不活性支持体の表面又は内部、若し
くはその両方に担持されていてもよい。白金触媒は、例
えば図1に示した触媒調合槽1において、1,2−エポ
キシ−5,9−シクロドデカジエン中に所定量の濃度に
なるように分散され、調製された触媒分散1,2−エポ
キシ−5,9−シクロドデカジエンが、水素反応槽に導
入される。
【0009】水素化反応工程(1)の説明
本発明の、白金触媒の存在下、1,2−エポキシ−5,
9−シクロドデカジエンと水素とを接触させる工程
(1)において、使用される白金触媒の量は、原料の
1,2−エポキシ−5,9−シクロドデカジエンのモル
量に対し、特に制限はないが、白金元素として0.00
05倍モル以下であることが好ましく、より好ましくは
0.000001〜0.0005倍モル、さらに好まし
くは0.000005〜0.0004倍モルである。触
媒の使用量があまりに少なすぎると反応終了に長時間を
要することがあり、またそれがあまりに多いと目的物の
収量が却って低下することがある。工程(1)に供され
る白金触媒には、未使用の白金触媒と、後記工程(3)
において回収された白金触媒とが併用される。
9−シクロドデカジエンと水素とを接触させる工程
(1)において、使用される白金触媒の量は、原料の
1,2−エポキシ−5,9−シクロドデカジエンのモル
量に対し、特に制限はないが、白金元素として0.00
05倍モル以下であることが好ましく、より好ましくは
0.000001〜0.0005倍モル、さらに好まし
くは0.000005〜0.0004倍モルである。触
媒の使用量があまりに少なすぎると反応終了に長時間を
要することがあり、またそれがあまりに多いと目的物の
収量が却って低下することがある。工程(1)に供され
る白金触媒には、未使用の白金触媒と、後記工程(3)
において回収された白金触媒とが併用される。
【0010】本発明方法の、白金触媒の存在下、1,2
−エポキシ−5,9−シクロドデカジエンと水素とを接
触させる工程(1)において、通常は出発原料1,2−
エポキシ−5,9−シクロドデカジエンは、反応溶媒と
しても機能するから、必ずしも溶媒を使用する必要はな
い。しかし、反応溶媒を使用する場合には、例えば、n
−ヘキサン、n−ヘプタン、n−テトラデカン、シクロ
ヘキサン等の炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジオキ
サン等のエーテル類、メタノール、エタノール、t−ブ
タノール、t−アミルアルコール等のアルコール類、酢
酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類などのように、水
素化反応に影響を与えない有機溶媒を用いることが好ま
しい。これら溶媒は単独で用いられてもよく、或はその
二種以上を混合して使用してもよい。その使用量は、原
料1,2−エポキシ−5,9−シクロドデカジエンの質
量に対して、好ましくは0〜20質量倍、更に好ましく
は0〜10質量倍である。
−エポキシ−5,9−シクロドデカジエンと水素とを接
触させる工程(1)において、通常は出発原料1,2−
エポキシ−5,9−シクロドデカジエンは、反応溶媒と
しても機能するから、必ずしも溶媒を使用する必要はな
い。しかし、反応溶媒を使用する場合には、例えば、n
−ヘキサン、n−ヘプタン、n−テトラデカン、シクロ
ヘキサン等の炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジオキ
サン等のエーテル類、メタノール、エタノール、t−ブ
タノール、t−アミルアルコール等のアルコール類、酢
酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類などのように、水
素化反応に影響を与えない有機溶媒を用いることが好ま
しい。これら溶媒は単独で用いられてもよく、或はその
二種以上を混合して使用してもよい。その使用量は、原
料1,2−エポキシ−5,9−シクロドデカジエンの質
量に対して、好ましくは0〜20質量倍、更に好ましく
は0〜10質量倍である。
【0011】本発明方法の、白金触媒の存在下、1,2
−エポキシ−5,9−シクロドデカジエンと水素とを接
触させる工程(1)における反応条件は、水素ガス雰囲
気下において、反応水素圧を0.8〜9MPa 、好ましく
は1〜8MPa 、さらに好ましくは3〜7MPa に設定し、
かつ反応温度は40〜230℃、好ましくは50〜20
0℃、より好ましくは70〜150℃に設定して行われ
る。反応水素圧があまりに低い(0.8MPa 未満)と、
また、反応温度があまりに低い(40℃未満)と、水素
還元反応の完結に長時間を要するという不都合を生ずる
ことがあり、また、反応水素圧および反応温度があまり
に高い(9MPa 超、230℃超)と水素還元反応が進み
過ぎ、目的物の収量が低下することがある。
−エポキシ−5,9−シクロドデカジエンと水素とを接
触させる工程(1)における反応条件は、水素ガス雰囲
気下において、反応水素圧を0.8〜9MPa 、好ましく
は1〜8MPa 、さらに好ましくは3〜7MPa に設定し、
かつ反応温度は40〜230℃、好ましくは50〜20
0℃、より好ましくは70〜150℃に設定して行われ
る。反応水素圧があまりに低い(0.8MPa 未満)と、
また、反応温度があまりに低い(40℃未満)と、水素
還元反応の完結に長時間を要するという不都合を生ずる
ことがあり、また、反応水素圧および反応温度があまり
に高い(9MPa 超、230℃超)と水素還元反応が進み
過ぎ、目的物の収量が低下することがある。
【0012】本発明方法において、1,2−エポキシ−
5,9−シクロドデカジエンと水素とを接触させる工程
(1)において用いられる反応槽は、工業的に使用でき
る装置であれば特に制限はなく、バッチ形式の装置、ま
たは連続的製造装置のいずれであってもよい。但し、反
応後に触媒の分離回収およびリサイクルが可能となるシ
ステムであることが必要である。具体的には、一段の槽
型反応器、連続多段式槽型反応器、及び連続多段式枕型
反応器を挙げることができる。
5,9−シクロドデカジエンと水素とを接触させる工程
(1)において用いられる反応槽は、工業的に使用でき
る装置であれば特に制限はなく、バッチ形式の装置、ま
たは連続的製造装置のいずれであってもよい。但し、反
応後に触媒の分離回収およびリサイクルが可能となるシ
ステムであることが必要である。具体的には、一段の槽
型反応器、連続多段式槽型反応器、及び連続多段式枕型
反応器を挙げることができる。
【0013】白金触媒の濾過分離工程(2)の説明
本発明の水素還元後の反応液より該白金触媒を濾過分離
する工程(2)において、使用される濾過器の種類に
は、還元雰囲気下または不活性雰囲気下で反応液と触媒
の分離、および触媒の回収が可能であれば特に制限はな
い。一般にマッドブロー型、フンダーバッグ型、リーフ
型などの濾過器が使用できる。また濾過分離の作業条件
にも格別の制限はないが、一般に、工程(1)から送り
出された反応液を濾過槽に送入し、触媒の粒径に対応し
て、これを濾過分離できる濾過層を0.1〜1.0MPa
の圧力下に過して濾過し、濾過層上に残留した触媒粒子
を捕集し、かつ触媒粒子から分離された反応濾液を捕集
する。
する工程(2)において、使用される濾過器の種類に
は、還元雰囲気下または不活性雰囲気下で反応液と触媒
の分離、および触媒の回収が可能であれば特に制限はな
い。一般にマッドブロー型、フンダーバッグ型、リーフ
型などの濾過器が使用できる。また濾過分離の作業条件
にも格別の制限はないが、一般に、工程(1)から送り
出された反応液を濾過槽に送入し、触媒の粒径に対応し
て、これを濾過分離できる濾過層を0.1〜1.0MPa
の圧力下に過して濾過し、濾過層上に残留した触媒粒子
を捕集し、かつ触媒粒子から分離された反応濾液を捕集
する。
【0014】触媒スラリーの回収工程(3)の説明
本発明方法において、濾過器上に捕集された白金触媒
を、触媒から分離、捕集された反応濾液の一部分中に分
散してスラリーとして回収する工程(3)に関し、所望
の回収触媒スラリーが得られる限り、その作業条件など
に特に制約はないが、好ましくはスラリー中の触媒濃度
が2〜30重量%であり、さらに好ましくは2〜20重
量%であり、より好ましくは3〜15重量%であるよう
に、反応濾液の使用量を調節する。スラリー中の触媒濃
度が余りに低いと、触媒と共に目的生成物である1,2
−エポキシ−5,9−シクロドデカジエンを大量に反応
槽に戻すことになるので、生産性が低下するばかりでな
く、原料中に含まれている1,2−エポキシ−5,9−
シクロドデカジエンが水素還元を受けてシクロドデカノ
ールを副生するという不都合を生ずることがある。ま
た、スラリー中の触媒濃度が余りに高いと、スラリーの
粘度が大きくなるため、スラリーを送液するためのポン
プが高価なものとなるだけでなく、触媒による配管等の
閉塞が起こりやすくなるなどの不都合を生ずることがあ
る。なお、濾過器上に捕集された白金触媒の一部を、採
集して、これに触媒再生処理を施して新鮮な白金触媒を
調製し、これを本発明方法に用いることができる。
を、触媒から分離、捕集された反応濾液の一部分中に分
散してスラリーとして回収する工程(3)に関し、所望
の回収触媒スラリーが得られる限り、その作業条件など
に特に制約はないが、好ましくはスラリー中の触媒濃度
が2〜30重量%であり、さらに好ましくは2〜20重
量%であり、より好ましくは3〜15重量%であるよう
に、反応濾液の使用量を調節する。スラリー中の触媒濃
度が余りに低いと、触媒と共に目的生成物である1,2
−エポキシ−5,9−シクロドデカジエンを大量に反応
槽に戻すことになるので、生産性が低下するばかりでな
く、原料中に含まれている1,2−エポキシ−5,9−
シクロドデカジエンが水素還元を受けてシクロドデカノ
ールを副生するという不都合を生ずることがある。ま
た、スラリー中の触媒濃度が余りに高いと、スラリーの
粘度が大きくなるため、スラリーを送液するためのポン
プが高価なものとなるだけでなく、触媒による配管等の
閉塞が起こりやすくなるなどの不都合を生ずることがあ
る。なお、濾過器上に捕集された白金触媒の一部を、採
集して、これに触媒再生処理を施して新鮮な白金触媒を
調製し、これを本発明方法に用いることができる。
【0015】回収触媒スラリーの循還再使用工程(4)
の説明 本発明方法において、回収された白金触媒含有スラリー
を工程(1)に循還して、1,2−エポキシ−5,9−
シクロドデカジエンの水素還元触媒として再使用する工
程(4)においては、回収触媒スラリーを、直接、水素
との接触反応槽(工程(1))にもどすことも可能であ
るが、通常は、一旦触媒調合槽にもどし、これに、新規
白金触媒を追加して所定量の濃度に調合して水素接触反
応槽(工程(1))に導入される。
の説明 本発明方法において、回収された白金触媒含有スラリー
を工程(1)に循還して、1,2−エポキシ−5,9−
シクロドデカジエンの水素還元触媒として再使用する工
程(4)においては、回収触媒スラリーを、直接、水素
との接触反応槽(工程(1))にもどすことも可能であ
るが、通常は、一旦触媒調合槽にもどし、これに、新規
白金触媒を追加して所定量の濃度に調合して水素接触反
応槽(工程(1))に導入される。
【0016】本発明のすべての工程において、触媒の失
活を防ぐために、水素ガス雰囲気下または不活性ガス雰
囲気下で工程操作を行うことが好ましい。不活性ガスと
しては窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガスなどを用
いることができる。
活を防ぐために、水素ガス雰囲気下または不活性ガス雰
囲気下で工程操作を行うことが好ましい。不活性ガスと
しては窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガスなどを用
いることができる。
【0017】本発明方法を図1及び図2により説明す
る。図1において、撹拌機1aを有する触媒調合槽1
に、原料供給管路1b、及び、未使用触媒導入管路1c
より、それぞれ出発原料1,2−エポキシ−5,9−シ
クロドデカジエン及び白金触媒を供給し、これらを撹拌
機1aにより均一に混合して反応混合液を調製し、この
反応混合液を、触媒調合槽1の底部から、連結管路2a
を通して、撹拌機2bつき反応槽2中に、その頂部から
送入し、反応混合液を撹拌機2bにより撹拌しながら、
反応槽2の底部に連結された連結管路2cを介して、水
素含有ガス供給源2dより水素含有ガスを供給し、かつ
反応槽2内の反応混合液を所定温度に加熱する。反応混
合液に溶解、反応消費されなかった水素含有ガスは、排
出管路2eにより排出される。
る。図1において、撹拌機1aを有する触媒調合槽1
に、原料供給管路1b、及び、未使用触媒導入管路1c
より、それぞれ出発原料1,2−エポキシ−5,9−シ
クロドデカジエン及び白金触媒を供給し、これらを撹拌
機1aにより均一に混合して反応混合液を調製し、この
反応混合液を、触媒調合槽1の底部から、連結管路2a
を通して、撹拌機2bつき反応槽2中に、その頂部から
送入し、反応混合液を撹拌機2bにより撹拌しながら、
反応槽2の底部に連結された連結管路2cを介して、水
素含有ガス供給源2dより水素含有ガスを供給し、かつ
反応槽2内の反応混合液を所定温度に加熱する。反応混
合液に溶解、反応消費されなかった水素含有ガスは、排
出管路2eにより排出される。
【0018】反応槽2中の反応が完了したならば、反応
混合液は反応槽2の底部から、管路3aを通って反応混
合液貯槽3中に送り込まれ、所要の期間貯蔵される。そ
の後反応混合液は、濾過層4a、5aを有し、並列に配
置された濾過槽4、及び5の底部に、管路3b、4b及
び5bを通って送入される。濾過槽4及び5に送入され
た反応混合液は、濾過層4a、5aにより濾過触媒粒子
と濾液とに分離され、濾過液は、管路4c、5c及び6
aを通って濾液貯槽6に送入される。濾過槽、4、5に
捕集蓄積された濾過触媒粒子は、濾過槽4、5の底部か
ら連絡管路4d及び触媒排出管路5dを通して、それぞ
れ触媒受け槽7及び装置外に送り出される。図1におい
て、濾過槽4において濾過分離された濾過触媒のみが、
触媒受け槽7中に捕集され、通過槽5から送り出される
触媒は、排出管路5dを通って、所望用途(例えば触媒
再活性化工程など)に送り出される。この分離捕集され
た濾過触媒粒子の少なくとも1部分は、前記分離捕集さ
れた濾過液の少なくとも1部分により分散され、それに
より調製された回収触媒スラリーは、循環管路7aを通
って、原料供給管路1bに送られて新鮮な触媒を含む反
応混合液に混合され再使用される。
混合液は反応槽2の底部から、管路3aを通って反応混
合液貯槽3中に送り込まれ、所要の期間貯蔵される。そ
の後反応混合液は、濾過層4a、5aを有し、並列に配
置された濾過槽4、及び5の底部に、管路3b、4b及
び5bを通って送入される。濾過槽4及び5に送入され
た反応混合液は、濾過層4a、5aにより濾過触媒粒子
と濾液とに分離され、濾過液は、管路4c、5c及び6
aを通って濾液貯槽6に送入される。濾過槽、4、5に
捕集蓄積された濾過触媒粒子は、濾過槽4、5の底部か
ら連絡管路4d及び触媒排出管路5dを通して、それぞ
れ触媒受け槽7及び装置外に送り出される。図1におい
て、濾過槽4において濾過分離された濾過触媒のみが、
触媒受け槽7中に捕集され、通過槽5から送り出される
触媒は、排出管路5dを通って、所望用途(例えば触媒
再活性化工程など)に送り出される。この分離捕集され
た濾過触媒粒子の少なくとも1部分は、前記分離捕集さ
れた濾過液の少なくとも1部分により分散され、それに
より調製された回収触媒スラリーは、循環管路7aを通
って、原料供給管路1bに送られて新鮮な触媒を含む反
応混合液に混合され再使用される。
【0019】図2の反応装置は、図1と同様の構成を有
しているが、但し、触媒調製槽1に連結されている反応
器が連続多段式槽型反応器であって、4個の直接に連結
された反応槽2−1、2−2、2−3、2−4から構成
され、それぞれは撹拌機2−1b、2−2b、2−3
b、2−4bを有し、これらは連結管路2−1a、2−
2a、2−3a、2−4aにより連結されている。ま
た、各反応槽の未反応水素は、管路2eを通して排出さ
れる。
しているが、但し、触媒調製槽1に連結されている反応
器が連続多段式槽型反応器であって、4個の直接に連結
された反応槽2−1、2−2、2−3、2−4から構成
され、それぞれは撹拌機2−1b、2−2b、2−3
b、2−4bを有し、これらは連結管路2−1a、2−
2a、2−3a、2−4aにより連結されている。ま
た、各反応槽の未反応水素は、管路2eを通して排出さ
れる。
【0020】本発明方法に用いられる反応器は連続多段
式枕型反応器であってもよい。枕型反応器の型式、形状
及び寸法については制限はない。本発明方法に用い得る
枕型反応器の2つの例を図3及び図4に示す。図3にお
いて、閉鎖された反応槽10を、パーティション11,
12及び13を用いて複数個の反応室、例えば4個の反
応室14,15,16及び17に分割し、反応域を形成
する最先頭室14は、反応混合液の供給管路18に連結
されており、最後尾室17は、目的化合物を含む生成液
体反応混合物を反応混合液貯槽(図示されていない)に
送り出すための送り出し管路19に連結されている。パ
ーティション11の上端はパーティション12よりも高
く、パーティション12はパーティション13よりも高
い。よって、最先頭室14に、供給管路18を経由して
供給された反応混合物は、次々にパーティション11,
12及び13の上端をオーバーフローしながら反応室1
4,15,16及び17を通過し、最後に、最後尾室1
7から、送り出し管路19を経由して送り出される。反
応器10の、反応室14〜17の水面上にある空間10
aは、水素含有ガスにより満されている。図3の反応器
は、図1及び図2に示されている反応槽と同様に、水素
含有ガス供給源に連結され、また未反応水素ガス排出管
路に連結されている。すなわち、互に隣り合い、パーテ
ィションにより互に仕切られた1対の反応室の間に、こ
のパーティションの上端をこえる液体通路が形成され
る。この液体通路は、前記パーティションの上端をこえ
て伸びている樋、溝又はパイプにより形成されていても
よい。図3に示されている枕型反応器において、パーテ
ィション11〜13の各々は、少なくとも1個の孔(図
示されていない)を有していてもよく、この孔は、それ
を経由して、反応混合液が、その供給流量より低い合計
流量で通過できるようになっている。
式枕型反応器であってもよい。枕型反応器の型式、形状
及び寸法については制限はない。本発明方法に用い得る
枕型反応器の2つの例を図3及び図4に示す。図3にお
いて、閉鎖された反応槽10を、パーティション11,
12及び13を用いて複数個の反応室、例えば4個の反
応室14,15,16及び17に分割し、反応域を形成
する最先頭室14は、反応混合液の供給管路18に連結
されており、最後尾室17は、目的化合物を含む生成液
体反応混合物を反応混合液貯槽(図示されていない)に
送り出すための送り出し管路19に連結されている。パ
ーティション11の上端はパーティション12よりも高
く、パーティション12はパーティション13よりも高
い。よって、最先頭室14に、供給管路18を経由して
供給された反応混合物は、次々にパーティション11,
12及び13の上端をオーバーフローしながら反応室1
4,15,16及び17を通過し、最後に、最後尾室1
7から、送り出し管路19を経由して送り出される。反
応器10の、反応室14〜17の水面上にある空間10
aは、水素含有ガスにより満されている。図3の反応器
は、図1及び図2に示されている反応槽と同様に、水素
含有ガス供給源に連結され、また未反応水素ガス排出管
路に連結されている。すなわち、互に隣り合い、パーテ
ィションにより互に仕切られた1対の反応室の間に、こ
のパーティションの上端をこえる液体通路が形成され
る。この液体通路は、前記パーティションの上端をこえ
て伸びている樋、溝又はパイプにより形成されていても
よい。図3に示されている枕型反応器において、パーテ
ィション11〜13の各々は、少なくとも1個の孔(図
示されていない)を有していてもよく、この孔は、それ
を経由して、反応混合液が、その供給流量より低い合計
流量で通過できるようになっている。
【0021】枕型反応器の更に他の態様において、この
反応器は、複数の反応室を有し、これらの反応室は、そ
の間に配置されたパーティションにより互に分けられて
おり、かつ各パーティションに形成された少なくとも1
個の孔により互に直列に連結されている。この態様にお
いて、図4に示されている反応器を用いることができ
る。図4において、反応器20の内側が、パーティショ
ン25,26,27により複数の反応室、例えば、反応
室21,22,23及び24を形成するように仕切られ
ており、前記パーティションの各々は少なくとも1個の
孔25a,26a,27aを有しており、この孔を介し
て、反応室は、互いに連通している。前記パーティショ
ンは、透孔を有するプレートにより形成されていてもよ
い。最先頭室21は、反応混合液供給管路28に連結さ
れており、この供給管路28を経由して、出発反応混合
液が、最先頭室21に供給される。また、最後尾室24
は、送り出し管路29に連結されており、この送り出し
管路29を経由して目的化合物を含む反応混合液が、最
後尾室24から、反応混合液貯槽(図示されていない)
に送り出される。反応混合液が供給管路28を経由して
最先頭室21に供給され、分かれている反応室21〜2
4を順次に通過し、このとき、パーティション25〜2
7の孔25a〜27aを通過し、そして、得られた液体
反応混合物が、最後尾室24から、送り出し管路29を
経由して送り出される。図4の反応器20において、パ
ーティションは、各反応室が反応混合物に対して、十分
な容積を有している限り、その高さにおいて、互に同一
でもよく、或は異っていてもよい。図4の反応器20に
おいて、反応室21〜24の液面の上の空間20aは、
水素含有ガスにより満たされている。図4の反応器は、
図1及び2に記載の反応槽と同様に、水素含有ガス供給
源に連結されておりまた、未反応水素ガス排出管路に連
結されている。
反応器は、複数の反応室を有し、これらの反応室は、そ
の間に配置されたパーティションにより互に分けられて
おり、かつ各パーティションに形成された少なくとも1
個の孔により互に直列に連結されている。この態様にお
いて、図4に示されている反応器を用いることができ
る。図4において、反応器20の内側が、パーティショ
ン25,26,27により複数の反応室、例えば、反応
室21,22,23及び24を形成するように仕切られ
ており、前記パーティションの各々は少なくとも1個の
孔25a,26a,27aを有しており、この孔を介し
て、反応室は、互いに連通している。前記パーティショ
ンは、透孔を有するプレートにより形成されていてもよ
い。最先頭室21は、反応混合液供給管路28に連結さ
れており、この供給管路28を経由して、出発反応混合
液が、最先頭室21に供給される。また、最後尾室24
は、送り出し管路29に連結されており、この送り出し
管路29を経由して目的化合物を含む反応混合液が、最
後尾室24から、反応混合液貯槽(図示されていない)
に送り出される。反応混合液が供給管路28を経由して
最先頭室21に供給され、分かれている反応室21〜2
4を順次に通過し、このとき、パーティション25〜2
7の孔25a〜27aを通過し、そして、得られた液体
反応混合物が、最後尾室24から、送り出し管路29を
経由して送り出される。図4の反応器20において、パ
ーティションは、各反応室が反応混合物に対して、十分
な容積を有している限り、その高さにおいて、互に同一
でもよく、或は異っていてもよい。図4の反応器20に
おいて、反応室21〜24の液面の上の空間20aは、
水素含有ガスにより満たされている。図4の反応器は、
図1及び2に記載の反応槽と同様に、水素含有ガス供給
源に連結されておりまた、未反応水素ガス排出管路に連
結されている。
【0022】本発明方法に使用し得る上述の枕型反応器
において、反応域の数に制限はない。反応域の数は、1
〜30であってもよく、より好ましくは3〜10であ
る。本発明方法と使用できる枕型反応器において、必要
により、少なくとも1個の反応域中の反応混合物を撹拌
機、液体循環ポンプ又は気泡発生手段を使用して強制的
に撹拌してもよく、或は、各反応域において、この反応
域を通る反応混合物の流れにより、或は反応混合物の対
流によりおだやかに撹拌してもよい。反応器は、従来の
加熱手段、例えば加熱媒体を循環させる加熱ジャケット
により、加熱されてもよい。
において、反応域の数に制限はない。反応域の数は、1
〜30であってもよく、より好ましくは3〜10であ
る。本発明方法と使用できる枕型反応器において、必要
により、少なくとも1個の反応域中の反応混合物を撹拌
機、液体循環ポンプ又は気泡発生手段を使用して強制的
に撹拌してもよく、或は、各反応域において、この反応
域を通る反応混合物の流れにより、或は反応混合物の対
流によりおだやかに撹拌してもよい。反応器は、従来の
加熱手段、例えば加熱媒体を循環させる加熱ジャケット
により、加熱されてもよい。
【0023】本発明方法によって製造される1,2−エ
ポキシシクロドデカン含有反応混合液から触媒を分離し
た後、得られた濾過液をそのまま蒸留等の精製工程に供
して、高純度の1,2−エポキシシクロドデカンを捕集
することができる。又、それからシクロドデカノンやシ
クロドデカノールに誘導する場合には、触媒を分離した
後、そのまま濾過液を、エポキサイドの異性化反応或は
エポキサイド基に対する水素添加反応に供することがで
きる。
ポキシシクロドデカン含有反応混合液から触媒を分離し
た後、得られた濾過液をそのまま蒸留等の精製工程に供
して、高純度の1,2−エポキシシクロドデカンを捕集
することができる。又、それからシクロドデカノンやシ
クロドデカノールに誘導する場合には、触媒を分離した
後、そのまま濾過液を、エポキサイドの異性化反応或は
エポキサイド基に対する水素添加反応に供することがで
きる。
【0024】
【実施例】本発明を下記実施例によりさらに詳細に説明
する。
する。
【0025】実施例1
図2に示した連続流通式ミゼット反応装置を用いて、
1,2−エポキシ−5,9−シクロドデカジエンの水素
還元反応を行った。触媒調合槽1で、5wt%Pt/C触
媒を0.1重量%含む1,2−エポキシ−5,9−シク
ロドデカジエン反応混合液を調合し、この反応混合液を
2.5kg/hの供給流量で、4槽連続反応槽の第1反応
槽2−1に供給し、第4反応槽2−4から流出した反応
液を貯槽3に一時保存し、8時間ごとに触媒を含む反応
液をマッドブロー型濾過器4、5に送液し、触媒と反応
液を濾過分離し、反応濾過液を反応液受槽6に保存し
た。
1,2−エポキシ−5,9−シクロドデカジエンの水素
還元反応を行った。触媒調合槽1で、5wt%Pt/C触
媒を0.1重量%含む1,2−エポキシ−5,9−シク
ロドデカジエン反応混合液を調合し、この反応混合液を
2.5kg/hの供給流量で、4槽連続反応槽の第1反応
槽2−1に供給し、第4反応槽2−4から流出した反応
液を貯槽3に一時保存し、8時間ごとに触媒を含む反応
液をマッドブロー型濾過器4、5に送液し、触媒と反応
液を濾過分離し、反応濾過液を反応液受槽6に保存し
た。
【0026】なお、1,2−エポキシ−5,9−シクロ
ドデカジエンに含まれる有機過酸化物濃度、各水素還元
反応槽の反応条件、および反応濾液をGC分析した結果
の化学組成は下記の通りであった。 (i)1,2−エポキシ−5,9−シクロドデカジエン
に含まれる有機過酸化物濃度:0.0036モル% (ii)反応条件 1,2−エポキシ−5,9−シクロドデカジエン供給流
量:2.5kg/h 触媒:5重量%Pt/C 触媒濃度:0.1重量% 反応槽2−1〜2−4の各々の攪拌機の回転数:500
回転/分 各反応槽の温度、平均滞留時間、水素供給量は表1に記
載の通りであった。
ドデカジエンに含まれる有機過酸化物濃度、各水素還元
反応槽の反応条件、および反応濾液をGC分析した結果
の化学組成は下記の通りであった。 (i)1,2−エポキシ−5,9−シクロドデカジエン
に含まれる有機過酸化物濃度:0.0036モル% (ii)反応条件 1,2−エポキシ−5,9−シクロドデカジエン供給流
量:2.5kg/h 触媒:5重量%Pt/C 触媒濃度:0.1重量% 反応槽2−1〜2−4の各々の攪拌機の回転数:500
回転/分 各反応槽の温度、平均滞留時間、水素供給量は表1に記
載の通りであった。
【0027】
【表1】
【0028】(iii)反応結果
1,2−エポキシ−5,9−シクロドデカジエン:検出
限界以下 1,2−エポキシ−5−シクロドデセン:0.008質
量% 1,2−エポキシシクロドデカン:98.58質量% シクロドデカノール:0.88質量% シクロドデカノン:0.05質量% シクロドデカン:0.43質量%
限界以下 1,2−エポキシ−5−シクロドデセン:0.008質
量% 1,2−エポキシシクロドデカン:98.58質量% シクロドデカノール:0.88質量% シクロドデカノン:0.05質量% シクロドデカン:0.43質量%
【0029】濾過による触媒分離操作を20回繰り返し
た後、濾過器に堆積した触媒を反応濾過液の一部中に分
散してスラリーを調製し、触媒スラリー受槽7中に保存
した。得られた白金触媒含有スラリー中の触媒濃度を、
一部をサンプリングして分析したところ、8.2重量%
であった。この白金触媒を含有するスラリーを触媒調合
槽1に送り、1,2−エポキシ−5,9−シクロドデカ
ジエン及び新規白金触媒を補充して白金触媒濃度を0.
1重量%に調節した。調合時の原料組成は下記の通りで
あった。 1,2−エポキシ−5,9−シクロドデカジエン:9
8.76質量% 1,2−エポキシシクロドデカン:1.13質量% シクロドデカノール:0.010質量% シクロドデカン:0.005質量% 5%Pt/C触媒:0.1質量%
た後、濾過器に堆積した触媒を反応濾過液の一部中に分
散してスラリーを調製し、触媒スラリー受槽7中に保存
した。得られた白金触媒含有スラリー中の触媒濃度を、
一部をサンプリングして分析したところ、8.2重量%
であった。この白金触媒を含有するスラリーを触媒調合
槽1に送り、1,2−エポキシ−5,9−シクロドデカ
ジエン及び新規白金触媒を補充して白金触媒濃度を0.
1重量%に調節した。調合時の原料組成は下記の通りで
あった。 1,2−エポキシ−5,9−シクロドデカジエン:9
8.76質量% 1,2−エポキシシクロドデカン:1.13質量% シクロドデカノール:0.010質量% シクロドデカン:0.005質量% 5%Pt/C触媒:0.1質量%
【0030】このようにして調合した1回目のリサイク
ル触媒を含む1,2−エポキシ−5,9−シクロドデカ
ジエン反応混合液を、上記と同様操作による水素還元反
応に供した。触媒を濾過分離して得られた反応濾液につ
いてGC分析を行ったところ、主な化学組成は下記の通
りであった。 1,2−エポキシ−5,9−シクロドデカジエン:検出
限界以下 1,2−エポキシ−5−シクロドデセン:0.010質
量% 1,2−エポキシ−5,9−シクロドデカン:98.5
5質量% シクロドデカノール:0.91質量% シクロドデカノン:0.05質量% シクロドデカン:0.43質量%
ル触媒を含む1,2−エポキシ−5,9−シクロドデカ
ジエン反応混合液を、上記と同様操作による水素還元反
応に供した。触媒を濾過分離して得られた反応濾液につ
いてGC分析を行ったところ、主な化学組成は下記の通
りであった。 1,2−エポキシ−5,9−シクロドデカジエン:検出
限界以下 1,2−エポキシ−5−シクロドデセン:0.010質
量% 1,2−エポキシ−5,9−シクロドデカン:98.5
5質量% シクロドデカノール:0.91質量% シクロドデカノン:0.05質量% シクロドデカン:0.43質量%
【0031】実施例2
実施例1と同様にして1,2−エポキシ−5,9−シク
ロドデカンを製造した。但し、濾過器に堆積した触媒を
反応濾液の一部でスラリーを調製したとき、得られた白
金触媒含有スラリー中の触媒濃度を、1.1質量%とし
た。調合時、及び1回目のリサイクル触媒を含む原料の
化学組成は下記の通りであった。調合時の原料組成は下
記の通り。 1,2−エポキシ−5,9−シクロドデカジエン:9
0.02質量% 1,2−エポキシシクロドデカン:9.75質量% シクロドデカノール:0.087質量% シクロドデカン:0.04質量% 5%Pt/C触媒:0.1質量%
ロドデカンを製造した。但し、濾過器に堆積した触媒を
反応濾液の一部でスラリーを調製したとき、得られた白
金触媒含有スラリー中の触媒濃度を、1.1質量%とし
た。調合時、及び1回目のリサイクル触媒を含む原料の
化学組成は下記の通りであった。調合時の原料組成は下
記の通り。 1,2−エポキシ−5,9−シクロドデカジエン:9
0.02質量% 1,2−エポキシシクロドデカン:9.75質量% シクロドデカノール:0.087質量% シクロドデカン:0.04質量% 5%Pt/C触媒:0.1質量%
【0032】このリサイクル触媒を含む原料を用いて実
施例1と同様に水素還元を行って得られた反応液の化学
組成は、下記の通りであった。 1,2−エポキシ−5,9−シクロドデカジエン:検出
限界以下 1,2−エポキシ−5−シクロドデセン:0.010質
量% 1,2−エポキシシクロドデカン:97.33質量% シクロドデカノール:2.08質量% シクロドデカノン:0.06質量% シクロドデカン:0.47質量%
施例1と同様に水素還元を行って得られた反応液の化学
組成は、下記の通りであった。 1,2−エポキシ−5,9−シクロドデカジエン:検出
限界以下 1,2−エポキシ−5−シクロドデセン:0.010質
量% 1,2−エポキシシクロドデカン:97.33質量% シクロドデカノール:2.08質量% シクロドデカノン:0.06質量% シクロドデカン:0.47質量%
【0033】
【発明の効果】本発明により、白金触媒と水素の存在
下、1,2−エポキシ−5,9−シクロドデカジエンを
水素還元し、1,2−エポキシシクロドデカンを、連続
的に、高収率・高選択率で、かつ経済的に製造すること
が可能になった。
下、1,2−エポキシ−5,9−シクロドデカジエンを
水素還元し、1,2−エポキシシクロドデカンを、連続
的に、高収率・高選択率で、かつ経済的に製造すること
が可能になった。
【図1】本発明方法を実施するために用いられる装置の
一例の構成説明図。
一例の構成説明図。
【図2】本発明方法を実施するために用いられる装置の
他の一例の構成説明図。
他の一例の構成説明図。
【図3】本発明方法に用いられる連続多段式枕型反応器
の一例の構成説明図。
の一例の構成説明図。
【図4】本発明方法に用いられる連続多段式枕型反応器
の他の例の構成説明図。
の他の例の構成説明図。
1…触媒調合槽
2…反応槽
3…反応混合液貯槽
4,5…濾過槽
6…分離濾過液貯槽
7…分離触媒受け槽
2−1、2−2、2−3、2−4…反応槽
1a、2b、2−1b、2−2b、2−3b、2−4b
…攪拌機 1b、2a、2c、3a、3b、4b、4c、4d、5
b、5c、6a、7a、2−1a、2−2a、2−3
a、2−4a…連結管路 10、20…反応槽 10a、20a…液面の上の空間 11〜13、25〜27…パーティション 14〜17、21〜24…反応室 18、28…供給ライン 19、29…送り出しライン 25a〜27a…孔
…攪拌機 1b、2a、2c、3a、3b、4b、4c、4d、5
b、5c、6a、7a、2−1a、2−2a、2−3
a、2−4a…連結管路 10、20…反応槽 10a、20a…液面の上の空間 11〜13、25〜27…パーティション 14〜17、21〜24…反応室 18、28…供給ライン 19、29…送り出しライン 25a〜27a…孔
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(72)発明者 釘本 純一
山口県宇部市大字小串1978番地の10 宇部
興産株式会社宇部ケミカル工場内
(72)発明者 井伊 暢宏
山口県宇部市大字小串1978番地の10 宇部
興産株式会社宇部ケミカル工場内
Fターム(参考) 4H039 CA42 CB10
Claims (4)
- 【請求項1】 1,2−エポキシ−5,9−シクロドデ
カジエンを白金触媒の存在下に水素還元して1,2−エ
ポキシシクロドデカンを製造する方法において、 (1)白金触媒の存在下において、1,2−エポキシ−
5,9−シクロドデカジエンと水素とを接触させる工
程、 (2)前記工程(1)から送り出された反応混合液より
前記白金触媒を濾過分離する工程、 (3)前記工程(2)により分離された前記白金触媒
を、前記分離された反応濾過液の少なくとも一部中に分
散させたスラリーとして回収する工程、及び (4)前記回収された白金触媒含有スラリーを、前記工
程(1)に再送入して1,2−エポキシ−5,9−シク
ロドデカジエンの水素還元触媒として再使用する工程、
を含むことを特徴とする、1,2−エポキシシクロドデ
カンの製造方法。 - 【請求項2】 前記工程(2)により分離された白金触
媒を、前記分離された反応濾過液の一部中に分散してス
ラリーとして回収する工程(3)において、前記スラリ
ー中の白金触媒の濃度を、2〜30質量%にコントロー
ルする、請求項1に記載の1,2−エポキシシクロドデ
カンの製造方法。 - 【請求項3】 白金触媒の存在下において、1,2−エ
ポキシ−5,9−シクロドデカジエンと水素とを接触さ
せる工程(1)において、水素圧力が0.8〜9MPa で
ある、請求項1に記載の1,2−エポキシシクロドデカ
ンの製造方法。 - 【請求項4】 白金触媒の存在下において、1,2−エ
ポキシ−5,9−シクロドデカジエンと水素とを接触さ
せる工程(1)において、出発原料として用いられる
1,2−エポキシ−5,9−シクロドデカジエン中に不
純物として含まれる過酸化物の合計含有量が0.5モル
%以下にコントロールされる、請求項1に記載の1,2
−エポキシシクロドデカンの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002104234A JP2003300970A (ja) | 2002-04-05 | 2002-04-05 | 1,2−エポキシシクロドデカンの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002104234A JP2003300970A (ja) | 2002-04-05 | 2002-04-05 | 1,2−エポキシシクロドデカンの製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003300970A true JP2003300970A (ja) | 2003-10-21 |
Family
ID=29389603
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002104234A Pending JP2003300970A (ja) | 2002-04-05 | 2002-04-05 | 1,2−エポキシシクロドデカンの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003300970A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN114105911A (zh) * | 2021-12-17 | 2022-03-01 | 中国天辰工程有限公司 | 一种环十二烯醚和环十二醇联产的制备方法 |
-
2002
- 2002-04-05 JP JP2002104234A patent/JP2003300970A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN114105911A (zh) * | 2021-12-17 | 2022-03-01 | 中国天辰工程有限公司 | 一种环十二烯醚和环十二醇联产的制备方法 |
CN114105911B (zh) * | 2021-12-17 | 2024-01-16 | 中国天辰工程有限公司 | 一种环十二烯醚和环十二醇联产的制备方法 |
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