JP2003300794A - ダイヤモンドの製造方法および製造したダイヤモンド粒 - Google Patents

ダイヤモンドの製造方法および製造したダイヤモンド粒

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JP2003300794A JP2002105178A JP2002105178A JP2003300794A JP 2003300794 A JP2003300794 A JP 2003300794A JP 2002105178 A JP2002105178 A JP 2002105178A JP 2002105178 A JP2002105178 A JP 2002105178A JP 2003300794 A JP2003300794 A JP 2003300794A
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Eiji Ihara
栄治 井原
Masayuki Mitsuhayashi
正幸 三林
Yoshitomo Shimazu
嘉友 島津
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Showa Denko KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高温高圧法によるダイヤモンドの合成で、ダ
イヤモンド結晶中への白色斑点状包有物の取り込みが少
ないダイヤモンド粒を製造する。 【解決手段】 炭素と溶媒金属とを含む反応物質を、ダ
イヤモンドの安定領域の圧力及び温度条件下に保持する
ことにより、反応物質からダイヤモンドを合成するダイ
ヤモンドの製造方法において、溶媒金属の表面全体を予
め浸炭させる。また、溶媒金属を、予め、炭素材料と接
触させた状態で、圧力が1×10-2torr(1.33P
a)以下、温度が800℃以上の条件下で熱処理する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は高温、高圧力を用い
たダイヤモンドの製造方法に関し、より詳しくは、含有
物の少ないダイヤモンド粒の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、原料炭素物質と溶媒金属を組
み合わせた反応物質から、高温高圧発生装置を用いて、
ダイヤモンドの生成条件、即ち炭素の状態図において黒
鉛−ダイヤモンドの平衡曲線の高圧側で、炭素−溶媒金
属の共晶温度線より高温側のダイヤモンド安定領域内で
あり、各溶媒金属毎に決まる下に凸な曲線で囲まれた範
囲で示される領域内の温度圧力条件下で、ダイヤモンド
が製造されている。
【0003】これらのダイヤモンドは、砥粒、切削工
具、研削砥石等に用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】原料炭素物質と溶媒金
属を組み合わせた反応物質から、高温高圧条件下でダイ
ヤモンドを合成する際、通常の金属材をそのまま溶媒金
属として用いると、合成したダイヤモンド結晶中に白色
斑点状包有物が取り込まれる場合がある。この白色斑点
状包有物はダイヤモンド結晶中の欠陥と考えられ、製造
されたダイヤモンド粒の強度を低下させ、ダイヤモンド
粒を用いた砥粒、切削工具、研削砥石等の特性を低下さ
せていた。
【0005】本発明者らは上記のダイヤモンド結晶中に
含まれる白色斑点状包有物の発生原因について検討した
結果、ダイヤモンド合成の反応物質として用いている溶
媒金属の僅かな酸化膜が白色斑点状包有物の発生原因で
あることを見出し、溶媒金属を予め高真空中で熱処理
し、表面の酸化膜を除去することによって、通常の同種
金属をそのまま用いた場合に比べ、ダイヤモンド結晶中
の白色斑点状包有物の取り込み量を減少させうることを
見いだした。
【0006】しかし単に溶媒金属表面の酸化膜層を還元
により除去しても、例えば最新表面処理技術総覧編集委
員会編集「最新表面処理技術総覧」(株)産業技術サー
ビスセンター発行(昭和62年)の第32頁に純粋表面
についての記述があるように、超高真空中の様な特殊な
状態を除いて、純粋な金属表面というのは長時間は存在
し得ない。すなわち、超高真空中のような特殊な環境を
除けば、同書第33頁に「金を除けばすべての金属の表
面は金属酸化物の表面であるといえよう」という記述が
あるように、金属表面には酸化膜が形成されてしまう。
【0007】特開昭53−82692号公報には、一酸
化炭素又は一酸化炭素と水素の混合ガスの様な一酸化炭
素を含む還元性ガスで溶媒金属表面を還元、浸炭処理す
る方法について記述されているが、その中に「浸炭処理
を行った溶媒金属は比較的安定であり、密封容器中に保
存すれば一週間程度は活性を維持することができる」と
記述されている。
【0008】この方法によって処理された溶媒金属表面
は、密封容器中に保存しても一週間程度しか活性を維持
できないという記述から、この方法による溶媒金属の浸
炭処理は不十分であり、溶媒金属の表面での炭素濃度が
低いか、溶媒金属表面の浸炭層による被覆が完全ではな
く、大気中の酸素により酸化膜が形成されてしまう事が
容易に予測される。
【0009】本発明は、溶媒金属の表面酸化膜を確実に
除去し、合成ダイヤモンド中の白色斑点状包有物の量を
有効に減少させるダイヤモンド合成方法を提供すること
を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決すべく鋭意努力検討した結果、溶媒金属を炭素材料と
接触させた状態で加熱処理を行い、還元反応によって表
面酸化膜を除去し、同時に浸炭反応によって表面に浸炭
層をつくることで上記溶媒金属の表面の再酸化を防ぎ、
得られた酸素量の少ない上記溶媒金属を用いてダイヤモ
ンドを合成し、ダイヤモンド中に取り込まれる白色斑点
状包有物の取り込みを減少させ、ダイヤモンドの強度を
向上させる事見出し本発明を完成させた。すなわち本発
明は以下に関する。 (1)炭素と溶媒金属とを含む反応物質を、ダイヤモン
ドの安定領域の圧力及び温度条件下に保持することによ
り、反応物質からダイヤモンドを合成するダイヤモンド
の製造方法において、溶媒金属の表面全体が予め浸炭さ
れていることを特徴とするダイヤモンドの製造方法。 (2)炭素と溶媒金属とを含む反応物質を、ダイヤモン
ドの安定領域の圧力及び温度条件下に保持することによ
り、反応物質からダイヤモンドを合成するダイヤモンド
の製造方法において、予め溶媒金属を、炭素材料と接触
させた状態で、圧力が1×10-2torr(1.33Pa)
以下、温度が800℃以上の条件下で熱処理することを
特徴とするダイヤモンドの製造方法。 (3)溶媒金属の、大気中で35日間放置した時点での
酸素含有量が、200ppm以下であることを特徴とす
る(1)または(2)に記載のダイヤモンドの製造方
法。 (4)溶媒金属が、Fe,Co,Ni,Mn,Cr,T
aからなる群から選ばれた何れか1種以上を含むことを
特徴とする(1)〜(3)の何れか1項に記載のダイヤ
モンドの製造方法。 (5)溶媒金属が、FeまたはFe合金であることを特
徴とする(1)〜(4)の何れか1項に記載のダイヤモ
ンドの製造方法。 (6)溶媒金属の熱処理時間が、1分〜5時間の範囲内
であることを特徴とする(2)〜(5)の何れか1項に
記載のダイヤモンドの製造方法。 (7)溶媒金属と接触させる炭素材料の、灰分が200
ppm以下であり、水分量が0.1質量%以下であるこ
とを特徴とする(2)〜(6)の何れか1項に記載のダ
イヤモンドの製造方法。 (8)溶媒金属と接触させる炭素材料が、粉末状である
ことを特徴とする(2)〜(7)の何れか1項に記載の
ダイヤモンドの製造方法。 (9)溶媒金属と接触させる炭素材料を、予め、圧力が
1×10-2torr(1.33Pa)以下、温度が800℃
以上の条件下で熱処理することを特徴とする(2)〜
(8)の何れか1項に記載のダイヤモンドの製造方法。 (10)炭素材料の熱処理時間が、1分〜5時間の範囲
内であることを特徴とする(2)〜(9)の何れか1項
に記載のダイヤモンドの製造方法。 (11)(1)〜(10)の何れか1項に記載のダイヤ
モンドの製造方法により製造したダイヤモンド粒。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明は、炭素と溶媒金属とを含
む反応物質を、ダイヤモンドの安定領域の圧力及び温度
条件下に保持することにより、反応物質からダイヤモン
ドを合成するダイヤモンドの製造方法において、溶媒金
属の表面全体が予め浸炭されていることを特徴とするダ
イヤモンドの製造方法、また、炭素と溶媒金属とを含む
反応物質を、ダイヤモンドの安定領域の圧力及び温度条
件下に保持することにより、反応物質からダイヤモンド
を合成するダイヤモンドの製造方法において、予め溶媒
金属を、炭素材料と接触させた状態で、圧力が1×10
-2torr(1.33Pa)以下、温度が800℃以上の条
件下で熱処理することを特徴とするダイヤモンドの製造
方法である。
【0012】本発明によりダイヤモンドを合成する際に
用いられる溶媒金属としては、Fe,Co,Ni,M
n,Cr,Taの単体金属、またはこれらの内少なくと
も1種類以上を含む合金を用いるのが好ましく、その形
態は板状、箔状、粉末状等どの様な形態でもよい。その
溶媒金属と原料炭素物質を組み合わせた反応物質をダイ
ヤモンド合成条件の圧力、温度条件に曝しダイヤモンド
を合成するが、その際反応物質中にダイヤモンドの種結
晶を組み合わせてもよい。
【0013】本発明の方法により溶媒金属を処理する
際、例えば溶媒金属として鉄を用い、処理温度1000
℃で1時間保持した場合、雰囲気圧力が5×10-2torr
(6.65Pa)にしたときは処理後の溶媒金属の酸素
量は793ppm 、1×10-2torr(133Pa)にした
時の酸素量は131ppm であった。このように処理時の
雰囲気圧力が1×10-2torrより高い場合は溶媒金属の
酸化が進行しやすくなる。そのため処理時の雰囲気圧力
は、低ければ低いほど好ましい。
【0014】また溶媒金属として鉄を用い、雰囲気圧力
を2×10-3torr(0.266Pa)にした場合、11
50℃、1000℃、800℃、600℃の各温度で1
時間保持して処理した場合、処理後の溶媒金属中の酸素
量は、処理温度が1150℃で66ppm 、1000℃で
91ppm 、800℃で176ppm 、600℃で349pp
m となり、600℃では未処理の場合の366ppm とほ
とんど変化が無かった。
【0015】このように800℃より下の熱処理温度で
は溶媒金属表面の還元、浸炭反応が進行しにくく、処理
の効果が得られないか、または非常に効果が小さいの
で、処理温度は800℃以上が望ましい。また処理温度
は、1000℃以上がより好ましい。処理温度が高いほ
ど効果は大きくなるが、溶媒金属が溶解してしまうと処
理後の溶媒金属の回収が難しくなるので、処理温度の上
限は用いる溶媒金属の溶解温度である。
【0016】本発明の溶媒金属の熱処理時間は、処理す
る溶媒金属の形態、量にもよるが、1分〜5時間の範囲
内であるのが好ましい。熱処理時間が1分より短いと熱
処理が不十分となる。また熱処理時間が5時間より長い
と、熱処理の効果が顕著に現れず、効率が低下する。
【0017】熱処理時に用いる炭素材料は、板状、粉末
状、顆粒状等どの様な形態でもよいが、処理される溶媒
金属との密着性を考えると粉末状炭素の方がより望まし
く、また溶媒金属の汚染を防ぐために灰分が200ppm
以下の高純度炭素を用いる方がより望ましい。ここに灰
分とは、炭素を燃やした後に残った灰(酸化物)で、元
素としてはAl,Si,Fe,Ca等である。炭素材料
は大気中の水分等を吸着しやすいので、処理前に炭素を
予め真空加熱して吸着水を除去しておく必要がある。水
分等の吸着量が多い炭素で処理すると逆に酸化させてし
まうからである。
【0018】本発明で用いる炭素材料の水分量は、好ま
しくは0.1質量%以下で、より好ましくは0.04質
量%以下とする。一般に比表面積の大きな炭素を用いる
と吸着水による影響を受けやすくなる。
【0019】本発明で用いる炭素材料の、脱水のための
真空加熱は、800℃以上で、圧力は1×10-2torr
(133Pa)以下の条件で行うのが好ましい。炭素材
料は粉末状が好ましいが、実際の取扱等を考えると、細
かい粉より粗い粉の方が扱いやすい。
【0020】本発明の炭素材料の熱処理時間は、処理す
る炭素材料の形態、量にもよるが、1分〜5時間の範囲
内であるのが好ましい。熱処理時間が1分より短いと熱
処理が不十分となる。また熱処理時間が5時間より長い
と、熱処理の効果が顕著に現れず、効率が低下する。
【0021】前述した特開昭53−82692号公報の
方法によれば、浸炭処理を行った溶媒金属は密封容器中
に保存すれば一週間程度は活性を維持できると記述され
ているが、現実には表面生じた浸炭層は不完全である。
本発明の方法により溶媒金属を処理すると、例えば溶媒
金属にNi粒を用いた場合、処理温度1150℃、処理
時間1時間、雰囲気圧力2×10-3torr(0.266P
a)の条件で処理すると、処理直後の酸素量は76ppm
、処理後大気中に保持して35日後の酸素量は74ppm
となった。
【0022】しかし同じFe−Co合金を用いて水素気
流中850℃で1時間処理した溶媒金属の処理直後の酸
素量は218ppm と同程度の還元を示したが、大気中に
保持して7日後及び14日後の酸素量はそれぞれ320
ppm ,339ppm であり、これら酸素量の増加した溶媒
金属を用いて合成したダイヤモンド中には白色斑点状の
包有物が未処理の溶媒金属を用いた時と同程度取り込ま
れた。
【0023】このように本発明の方法によって処理され
た溶媒金属は大気中で5週間保持しても酸素量の増加が
認められなかったのに対して、水素還元処理した溶媒金
属は酸化が進行した。この効果は処理によって溶媒金属
表面に生成した浸炭層が溶媒金属表面全体を保護するた
め、酸化の進行が妨げられたためと考えられる。
【0024】本発明により例えば処理温度1150℃、
処理時間1時間、雰囲気圧力2×10-3torr(0.26
6Pa)の条件で処理したFe−Co合金を溶媒金属と
して用いた場合と、水素ガス気流中、処理温度850
℃、処理時間2時間で還元処理したFe−Co合金の場
合では各々酸素量は87ppm ,89ppm とほぼ同じであ
ったが、それぞれを溶媒金属に用いてダイヤモンドを合
成すると、水素ガス気流中で還元処理した溶媒金属を用
いて合成したダイヤモンドの方が白色斑点状包有物の取
り込みが多かった。
【0025】この効果は、本発明の方法によって処理さ
れた溶媒金属は表面に浸炭層が形成され、その浸炭層が
ダイヤモンド合成初期の加熱時に溶媒金属表面での酸化
物生成を抑制する効果を持つためと考えられる。
【0026】本発明の方法によって処理された溶媒金属
として、例えば処理温度1150℃、処理時間1時間、
雰囲気圧力2×10-3torr(0.266Pa)の条件で
処理したFe−Ni合金と、未処理のFe−Ni合金を
用いて同一のダイヤモンド合成条件下で合成したダイヤ
モンドの中から、メッシュサイズ40/50の粒度を抜
き出し、それぞれ任意に100粒選び、木屋式硬度計に
よって単粒圧壊強度を測定した。その結果未処理のFe
−Ni合金を用いて合成したダイヤモンドは平均で3
0.2kgf(296N) で圧壊したのに対して、処理を
行ったFe−Ni合金を用いて合成した白色斑点状包有
物の少ないダイヤモンドの平均圧壊強度は39.7kgf
(389N)であった。
【0027】なおダイヤモンドのメッシュサイズ(粒
度)は、JIS−B4130「ダイヤモンド及び立方晶
窒化ホウ素と粒の粒度」に規定される粒度区分を用い
た。以下のメッシュ表示も同様である。
【0028】
【実施例】(実施例1〜9、比較例1〜6)溶媒金属と
して厚さ0.3mmの鉄板を用い、これを所定の寸法に打
ち抜いて円盤状とした物を、内径200mm、高さ200
mmの黒鉛製るつぼに、灰分が200ppm 以下の黒鉛粉を
間に敷き詰めて鉄板同士が接触しないよう詰め込んだ
後、真空加熱炉中にるつぼをセットし、下記表1に記述
されている実施例1〜9及び比較例1〜6の条件で処理
した。
【0029】鉄板を取り出した直後に酸素量分析を行
い、残りを黒鉛板と交互に高圧反応装置へ充填し、ダイ
ヤモンドの合成反応を行った。
【0030】得られたダイヤモンドの合成塊から、公知
の方法によって分離されたダイヤモンドを光学顕微鏡に
よって観察し白色斑点状包有物の取り込み量を調べた。
【0031】その結果、実施例1〜9に示した処理温度
が800℃以上で雰囲気圧力が1×10-2torr(1.3
3Pa)以下の条件では何れの場合も溶媒金属は還元さ
れており、その溶媒金属を用いて合成したダイヤモンド
も白色斑点状包有物が減少していた。
【0032】しかし比較例1及び2の様に処理温度が実
施例4〜6及び7〜9と同じ条件でも雰囲気圧力が5×
10-2torr(6.65Pa)と高くなると溶媒金属は酸
化されてしまい、ダイヤモンド中の白色斑点状包有物は
未処理の溶媒金属を用いた時より増加してしまう。
【0033】又比較例3〜5の様に雰囲気圧力が実施例
1〜9と同じ条件であっても、処理温度が600℃と低
いと、溶媒金属表面の還元反応及び浸炭が容易に進行せ
ず、処理の効果がほとんど現れない。
【0034】
【表1】
【0035】(実施例10〜15、比較例7〜9)溶媒
金属としてメッシュサイズ20/30のニッケル粒を用
い、これを質量比で約10倍の黒鉛粉末(メッシュ32
5以下)と混合して黒鉛るつぼ中に詰め、実施例1と同
じ条件で処理を行った。
【0036】処理後、篩でニッケル粒と黒鉛粉を分離
し、ニッケル中の酸素量を測定した。
【0037】測定後室内に放置し7日目毎に酸素量を測
定した。
【0038】その結果は下記表2中の実施例10から1
5に示してあるように、処理後35日経過しても溶媒金
属中の酸素量はほとんど変化がなく、各時間経過後のニ
ッケル粒を溶媒金属に用いて合成したダイヤモンド中の
白色斑点状包有物の取り込み量にもほとんど変化がなか
った。
【0039】同じニッケル粒を水素気流中で850℃で
2時間処理したものを、処理直後、室内放置後7日、1
4日目に酸素量の測定を行った。
【0040】その結果は下記表2中の比較例7〜9に示
してあるが、時間の経過と共に酸素量は増加し、そのニ
ッケル粒を溶媒金属として用いて合成したダイヤモンド
中の白色斑点状包有物も増加した。
【0041】
【表2】
【0042】(実施例16、比較例10)溶媒金属とし
て厚さ0.1mmのFe−Co合金を用い、これを所定の
寸法に打ち抜いて円盤状とした物を、内径200mm、高
さ200mmの黒鉛製るつぼに溶媒金属同士が接触しない
よう黒鉛板と交互に詰め込んだ後、真空加熱炉中にるつ
ぼをセットし、下記表3に記述されている実施例16の
条件で処理を行った。比較例として下記表3に記述され
ている比較例10の条件でも処理を行った。
【0043】実施例16及び比較例10の条件で処理し
た溶媒金属は分析の結果酸素量はほぼ等しいことが分か
った。
【0044】そこでこれらの溶媒金属を黒鉛板と交互に
高圧反応装置へ充填し、ダイヤモンドの合成反応を行っ
た。
【0045】得られたダイヤモンド中の白色斑点状包有
物の取り込み量は、本発明の方法によって処理した実施
例16の溶媒金属を用いた方が少なかった。
【0046】この効果は本発明の方法によって処理され
た溶媒金属は表面に浸炭層が形成され、その浸炭層がダ
イヤモンド合成初期の加熱時に溶媒金属表面での酸化物
生成を抑制する効果を持つためと考えられる。
【0047】
【表3】
【0048】(実施例17、比較例11)溶媒として厚
さ0.3mmのFe−Ni合金を用い、これを所定の寸法
に打ち抜いて円盤状とした物を、内径200mm、高さ2
00mmの黒鉛製るつぼに溶媒金属同士が接触しないよう
黒鉛板と交互に詰め込んだ後、真空加熱炉中にるつぼを
セットし、下記表4に記述されている実施例17の条件
で処理を行った。得られた溶媒金属を黒鉛板と交互に高
圧反応装置へ充填し、ダイヤモンドの合成反応を行っ
た。
【0049】また比較例11として未処理のFe−Ni
合金を用いて同じようにダイヤモンドを合成した。
【0050】得られたダイヤモンドからメッシュサイズ
40/50のダイヤモンドを選別し、その中からそれぞ
れ任意に100粒選び出し、木屋式硬度計を用いて単粒
圧壊強度を測定した。
【0051】その結果、比較例11のダイヤモンドは平
均で30.2kgf(296N)で圧壊したのに対して、
実施例17の白色斑点状包有物の少ないダイヤモンドの
平均圧壊強度は39.7kgf(389N)であった。
【0052】
【表4】
【0053】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の方法を実施
することにより、溶媒金属を炭素材料と接触させた状態
で加熱処理を行い、還元反応によって表面酸化膜を除去
し、同時に浸炭反応によって表面に浸炭層をつくること
で、大気中でも溶媒金属表面の再酸化を防ぐことが可能
となり、又、酸素量の少ない上記溶媒金属を用いてダイ
ヤモンドを合成し、ダイヤモンド中に取り込まれる白色
斑点状包有物の取り込みを減少させ、ダイヤモンドの強
度を向上させることが可能になった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 島津 嘉友 長野県塩尻市大字宗賀1 昭和電工株式会 社塩尻生産技術・統括部内 Fターム(参考) 4G077 AA01 BA03 CC04 EB06 EJ10 HA13

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素と溶媒金属とを含む反応物質を、ダ
    イヤモンドの安定領域の圧力及び温度条件下に保持する
    ことにより、反応物質からダイヤモンドを合成するダイ
    ヤモンドの製造方法において、溶媒金属の表面全体が予
    め浸炭されていることを特徴とするダイヤモンドの製造
    方法。
  2. 【請求項2】 炭素と溶媒金属とを含む反応物質を、ダ
    イヤモンドの安定領域の圧力及び温度条件下に保持する
    ことにより、反応物質からダイヤモンドを合成するダイ
    ヤモンドの製造方法において、予め溶媒金属を、炭素材
    料と接触させた状態で、圧力が1×10-2torr(1.3
    3Pa)以下、温度が800℃以上の条件下で熱処理す
    ることを特徴とするダイヤモンドの製造方法。
  3. 【請求項3】 溶媒金属の、大気中で35日間放置した
    時点での酸素含有量が、200ppm以下であることを
    特徴とする請求項1または2に記載のダイヤモンドの製
    造方法。
  4. 【請求項4】 溶媒金属が、Fe,Co,Ni,Mn,
    Cr,Taからなる群から選ばれた何れか1種以上を含
    むことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の
    ダイヤモンドの製造方法。
  5. 【請求項5】 溶媒金属が、FeまたはFe合金である
    ことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のダ
    イヤモンドの製造方法。
  6. 【請求項6】 溶媒金属の熱処理時間が、1分〜5時間
    の範囲内であることを特徴とする請求項2〜5の何れか
    1項に記載のダイヤモンドの製造方法。
  7. 【請求項7】 溶媒金属と接触させる炭素材料の、灰分
    が200ppm以下であり、水分量が0.1質量%以下
    であることを特徴とする請求項2〜6の何れか1項に記
    載のダイヤモンドの製造方法。
  8. 【請求項8】 溶媒金属と接触させる炭素材料が、粉末
    状であることを特徴とする請求項2〜7の何れか1項に
    記載のダイヤモンドの製造方法。
  9. 【請求項9】 溶媒金属と接触させる炭素材料を、予
    め、圧力が1×10-2torr(1.33Pa)以下、温度
    が800℃以上の条件下で熱処理することを特徴とする
    請求項2〜8の何れか1項に記載のダイヤモンドの製造
    方法。
  10. 【請求項10】 炭素材料の熱処理時間が、1分〜5時
    間の範囲内であることを特徴とする請求項2〜9の何れ
    か1項に記載のダイヤモンドの製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項1〜10の何れか1項に記載の
    ダイヤモンドの製造方法により製造したダイヤモンド
    粒。
JP2002105178A 2002-04-08 2002-04-08 ダイヤモンドの製造方法および製造したダイヤモンド粒 Pending JP2003300794A (ja)

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