JP2003297612A - 電圧非直線抵抗体およびその製造方法 - Google Patents
電圧非直線抵抗体およびその製造方法Info
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Abstract
体を得る。またそのプロセス一部改善による製造方法に
関する。 【解決手段】 酸化亜鉛および酸化ビスマスを含む組成
物を焼結して得られる焼結体からなる電圧非直線抵抗体
であって、添加する酸化アンチモンと酸化ビスマスとの
モル比率が0.3〜1.5、酸化ビスマスと酸化アンチ
モンの総和が1.0〜3.0モル%であることを特徴と
する電圧非直線抵抗体である。遷移金属酸化物として酸
化ニッケル、二酸化マンガン、酸化コバルトおよび酸化
クロムからなる群から選択される少なくとも1種を0.
5〜2.0モル%含むことが好ましい。
Description
とする焼結体からなり、たとえば避雷器、サージアブゾ
ーバーなどに好適に使用しうる電圧非直線抵抗体に関す
るものである。
に用いられる酸化亜鉛を主成分とする電圧非直線抵抗体
を図2、3を用いて説明する。電圧非直線抵抗体1は、
主成分である酸化亜鉛に、電圧非直線性の発現に必須で
ある酸化ビスマスをはじめ、電気特性の改善に有効な添
加物を含有した組成物を混合し、造粒、成形、焼成の各
工程を経た焼結体4からなり、この焼結体4に金属アル
ミニウム溶射などからなる金属電極2と側面高抵抗層3
を設けることによって構成されている。図3は電圧非直
線抵抗体1の断面図を示している。
電流−電圧特性を図4に示す。慣例により横軸を電流、
縦軸を電圧とすると、たとえば大電流特性を反映する数
値を10kA通電時の制限電圧値(V10kA)、動作
開始電圧(VnmA;n=1〜3、素子サイズにより決
まる)小電流域の指標として10μA通電時の電圧V1
0μA等を用いた評価が電圧非直線性良否の判断基準に
なる。
度の点で劣るためここでは前記評価方法を採用してい
る。なお後述の実験電圧非直線抵抗体では径が小さいた
め、大電流特性は面積比換算で2.5kAを基準に議論
する。
の結晶組織の一部の微細構造を示す模式図である。亜鉛
およびアンチモンを主成分とするスピネル粒子5、酸化
亜鉛粒子6、酸化ビスマス主成分相7、酸化亜鉛結晶粒
子内の双晶境界8が示されている。亜鉛およびアンチモ
ンを主成分とするスピネル粒子5には、酸化亜鉛粒子6
の内部に取り囲まれて存在するものと、酸化亜鉛粒子6
の三重点(多重点)付近に存在するものの2種類の存在
状態があり、酸化ビスマス主成分相7の一部分は多重点
のみならず、酸化亜鉛粒子6の境界に存在している場合
もみられる。
重点(多重点)付近に存在する。酸化物単体融点は82
4℃付近のため他の含有物や固溶状態にもよるが、それ
以上高い焼成温度では溶解液状化し、いわゆる液相焼結
となる。このため主成分である酸化亜鉛の粒成長や収縮
緻密化は大幅に促進される。
マスの介在で容易に反応し、パイロクロア相などを経て
最終的にスピネル粒子5となる(Masanori Inada, Japa
neseJournal of Applied Physics “Crystal Phases of
Nonohmic Zinc Oxide Ceramics”,19,[3] 409〜419(19
80))が、前記スピネル粒子5は酸化亜鉛粒子に対する
ピン止め粒子となり、酸化ビスマスとは逆に酸化亜鉛粒
子6の粒成長を抑制する効果を示す。
は、粒成長を大きく助長する酸化ビスマスの反応促進効
果と相まって極端な異常粒成長を制御し、酸化亜鉛粒子
の均一成長を促すことにある。
−59703号公報では、本焼成工程は、一般的に12
00〜1300℃付近の温度が採用される。これは、前
記焼結体の密度が充分に高くなり、適切な電圧非直線性
やバリスタ電圧(通常nmA程度の電流値を流すための
電圧をいい、避雷器でいう動作開始電圧)を得るのに必
要なためである。
ビスマス0.5mol%、酸化アンチモン1.0mol
%、二酸化マンガン、酸化コバルト、酸化ニッケルをそ
れぞれ0.5mol%、酸化硼素0.04mol%、硝
酸アルミニウム0.004mol%、残部酸化亜鉛であ
る。ついで、通常のセラミック製造プロセスで、大気中
1200℃で5時間焼成している。前記プロセスを適用
して得られる焼結体の密度は約5.4g/cm3、平均
収縮率16%で、代表的電気特性であるバリスタ電圧は
200V/mm前後(=酸化亜鉛の平均粒子径〜20μ
m)である。
化ビスマスに比較してやや多い系が従来採用されてい
る。このため焼結体の緻密化のため焼成温度は高くなら
ざるを得ない。また、酸化アンチモンが酸化ビスマスに
比較してやや多い系は、酸化亜鉛粒子を充分な大きさに
成長させ大きくする点および、前記電圧非直線抵抗体の
安定性、再現性、歩留まりの点から採用されている。
の添加物を酸化亜鉛に適切に含有した場合、前記焼結体
を緻密化(密度の向上、収縮率の増大)させるために、
最終焼成(本焼成)温度が1000℃以下に低下させう
ることが明らかにされている。たとえば文献Jinho Kim,
Toshio Kimura,Takashi Yamaguchi,“Effct of Bismuth
Oxide Content on the Sintering of Zinc Oxide,” J
ournal of the American Ceramic Society 72 [8] 1541
〜1544(1989)、およびJinho Kim,Toshio Kimura,Takash
i Yamaguchi,“Sintering of Zinc Oxide Doped with A
ntimony Oxideand Bismuth Oxide,”Journal of the Am
erican Ceramic Society 72 [8] 1390〜1395(1989))に
は、酸化亜鉛に対する酸化ビスマスおよび酸化アンチモ
ンの添加比率、添加総量調節が記載されている。前記文
献記載の方法によって単に焼結体の緻密化という点から
見れば、本焼成温度は低下できる。したがって、電圧非
直線抵抗体製造時の省エネルギー、酸化亜鉛の欠陥減少
による電気特性の安定化、酸化ビスマスの蒸発の低減と
それに起因する環境改善の効果が期待でき、産業上極め
て有用な方式になり得る。しかしながらこれらの論文に
は電気的特性についてははっきりした記述はない。
焼結体は、800〜1000℃の低い温度で緻密化する
ことはわかるものの、電圧非直線抵抗体としての電気的
特性は十分に把握されてはいない。実用上つまり避雷器
用素子特性が十分に具備されているかどうか確認されて
いるわけではない。これを確認するためには、まず避雷
器設計の一番基礎的なバリスタ電圧(VnmA)の規定
が必要である。
亜鉛の粒子成長が起こり、電圧非直線抵抗体の酸化亜鉛
粒子の大きさは次式(1)でバリスタ電圧に関係づけら
れる。
したがってDが大きいほどバリスタ電圧は低くなる。十
分に焼成が進めばこの粒径は大きくなるが、焼成温度が
低いと、緻密化が進んでいるにもかかわらずバリスタ電
圧が高すぎるという場合もあり得る。したがって、緻密
化と必要なバリスタ電圧の両立が最低限要求される。
のバリスタ電圧はその動作責務(エネルギ耐量)を考慮
し概ね通常素子タイプで200V/mm、高抵抗素子で
400V/mm付近で設計されている。さらに図4のよ
うに大電流、小電流領域の平坦性(指標となる電流値に
おける電圧とたとえばバリスタ電圧との比率)がその動
作機能上小さいことが必要である。前記文献には、電圧
非直線抵抗体の電圧非直線性については全く触れられて
はいない。
が得られても基本的に必要な電気特性が得られるかどう
か、避雷器用電圧非直線抵抗体の必須要件の1つである
耐量(サージエネルギ吸収能力)が十分実用レベルまで
達しているかどうかなど、実用上の機能の確認やそれに
関する情報も殆ど報告されていないというのが現状であ
る。
抵抗体には焼結にかかわる酸化ビスマス、酸化アンチモ
ン以外にも遷移金属酸化物を数種以上添加し、電圧非直
線性(V10kA/V1mA、V1mA/V10μA)
の改善を図ることは従来からよく行なわれている。これ
らの添加物の最適化を図ることも重要である。
極構成、側面高抵抗層の性状にも関係するため単純では
ないが、最低でも、焼結体の緻密化は必須要件である。
すなわち方形波耐量の大小は、電圧非直線抵抗体の収縮
率、密度に直接的に関係するため、それらのパラメータ
をできるだけ大きくする必要もある。
子径を有する粉末をいう)酸化物を含有することは、さ
らに焼成温度の低下を助長するよい方法である。前記超
微粉の酸化物の分散性と反応性の高さ、とりわけ酸化ビ
スマスの超微粉を含有することは、通常のμm程度の工
業用原料に比較して効果が顕著である。
粒子化に向かって新しい開発が進められている。通常で
は0.5μm程度の粒径であるが、その半分以下にまで
小径化し商品化されている。酸化亜鉛は、前記焼結体の
90%以上を占める主成分であるため、より小さい粒子
径の酸化亜鉛を用いることの効果も大きく焼成温度低下
の一翼を担う。
の電圧非直線抵抗体を成形するために、通常、ポリビニ
ルアルコール(以下、PVAという)などのバインダを
わずかに含有することが行なわれる。前記PVAは焼成
時に熱分解して飛散するが、焼成温度が低い条件では、
バインダ自体の熱分解性の程度や電圧非直線抵抗体内に
バインダが残留する程度により素子電気特性に悪影響を
与える。したがって、バインダの選択(平均分子量)は
重要な項目になる。
(酸素欠乏)も電圧非直線抵抗体の電気特性に影響を与
えるため酸素量の確保には注意を払う必要がある。
解決し、優れた電気特性をもつ酸化亜鉛電圧非直線抵抗
体を得ることを目的とする。また、原料含有割合を充分
に調査し、好適な含有比率の組成物を1000℃以下の
最適焼成条件下で、緻密化した焼結体であって、かつ必
要な電圧非直線性を有する電圧非直線抵抗体を提供する
ことを目的とするものである。
をより低下させるための原料の選択、その製造プロセス
の最適化をも指摘することを目的とする。
の組み合わせにより、電圧非直線抵抗体の緻密化と均一
化を達成した結果、従来より焼成温度が200℃以上低
いにもかかわらず、実機サイズの電圧非直線抵抗体の方
形波耐量は、従来と同等の結果となった(2ms、12
00A、10回クリア)。
亜鉛および酸化ビスマスを含む組成物を焼結して得られ
る焼結体からなる電圧非直線抵抗体であって、添加する
酸化アンチモンと酸化ビスマスとのモル比率が0.3〜
1.5、酸化ビスマスと酸化アンチモンの総和が1.0
〜3.0モル%である電圧非直線抵抗体である。
の電圧非直線抵抗体において、遷移金属酸化物として酸
化ニッケル、二酸化マンガン、酸化コバルトおよび酸化
クロムからなる群から選択される少なくとも1種を0.
5〜2.0モル%含む電圧非直線抵抗体である。
の電圧非直線抵抗体において、1価イオンの総和が70
ppm以下である電圧非直線抵抗体である。
1、2または3の電圧非直線抵抗体において、添加する
酸化ビスマスの粒径が100nm以下の超微粉である電
圧非直線抵抗体である。
1、2、3または4の電圧非直線抵抗体において、添加
する酸化亜鉛の数平均粒子径が0.5μm以下である電
圧非直線抵抗体である。
の電圧非直線抵抗体において、前記酸化亜鉛の数平均粒
子径が0.3μm以下である電圧非直線抵抗体である。
法は、第1、2、3、4、5または6の電圧非直線抵抗
体において、成形用バインダとして数平均分子量が50
0以下のポリビニルアルコールを使用し、1000℃以
下で大気中または酸素雰囲気で焼成した電圧非直線抵抗
体の製造方法である。
スマスを含む組成物を焼結して得られる焼結体からなる
電圧非直線抵抗体であって、添加する酸化アンチモンと
酸化ビスマスとのモル比率が0.3〜1.5、酸化ビス
マスと酸化アンチモンの総和が1.0〜3.0モル%で
あることを特徴とする電圧非直線抵抗体に関する。
り好ましい。モル比率が0.3よりも小さいと大電流平
坦率と小電流平坦率の両者が同時に適切な値をとり得な
くなる。また、1.5をこえるとバリスタ電圧が高くな
り、適切な平坦性を示さなくなる。
は1.3〜2.0モル%がより好ましい。総和が1.0
モル%よりも小さいと大電流、小電流とも平坦性が悪化
する(大きな値となる)。また、3.0モル%をこえる
と、やはり大電流および小電流平坦性に問題を生じる。
化亜鉛、酸化ビスマスおよび酸化アンチモン以外に、遷
移金属酸化物として酸化ニッケル、二酸化マンガン、酸
化コバルトおよび酸化クロムからなる群から選択される
少なくとも1種を0.5〜2.0モル%含むことが好ま
しい。0.5〜1.6モル%がより好ましい。0.5モ
ル%よりも少ないと小電流特性は顕著に悪化する傾向が
ある。2.0モル%をこえると、小電流平坦性が悪化す
る傾向がある。
溶液を含有することができる。硝酸アルミニウムは、
0.001〜0.008モル%の添加が好ましく、0.
001モル%より少ないと大電流平坦性の悪化がみられ
る傾向にある。また、0.008モル%をこえると、小
電流特性の悪化がみられる傾向にある。
総和は、70ppm以下であることが好ましい。とくに
30ppm以下であることがより好ましい。70ppm
をこえると大電流平坦性の悪化が顕著となり、硝酸アル
ミニウムの効果を無効とする傾向がある。とくに、前記
1価のイオンがLiイオン、Cuイオンの場合には、前
記傾向が著しく、極端な大電流平坦性の悪化を生じる傾
向がある。
以下の超微粉が好ましい。50nm以下であることがよ
り好ましい。添加する酸化ビスマスの粒径が100nm
をこえると、その反応性が低下し、同一焼成温度での高
密化、または収縮率向上が達成されない傾向がある。
m以下が好ましく、さらには0.3μm以下が好まし
い。0.5μmをこえると、高密化または高収縮率は望
まれず、焼成温度の上昇を招く傾向にある。さらに、ナ
ノメートル(nm)レベルの粉末は、高価な上に、高粘
度化するなど、製造工程中のスラリーの取扱いが困難と
なる傾向にある。
として、数平均分子量が500以下のポリビニルアルコ
ールを使用することが好ましい。300以下であること
がより好ましい。500をこえると、スラリー粘度の上
昇や、分解温度の上昇で不要な残さが生じる傾向があ
る。
0℃以下で焼成することが好ましい。1000℃をこえ
ると電流−電圧特性の悪化、および過焼結現象がみら
れ、素子が変形するなどの現象がみられる傾向がある。
また、限定的ではないが、焼成温度の下限は900℃以
上が好ましい。900℃より低いと、配合によっては充
分に焼結しない、またはバリスタ電圧が高くなりすぎる
傾向がある。
明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
は従来から公知の組み合わせである。前記原料をパラメ
ータすなわち、1)酸化アンチモンと酸化ビスマスのモ
ル%および酸化アンチモンと酸化ビスマス量の総和、
2)その他の添加物の総量で表した。
料そのものの活性に注目し、より微細化した原料導入も
考えた。原料として酸化ビスマスの超微粉末(〜100
nm)、酸化亜鉛は微細化酸化亜鉛(0.28μm、堺
化学株式会社製)を取り上げの微細化した原料の有効性
も検討した。
より、作製プロセス上の留意すべき点もあわせて調べ、
バインダ(PVA)の平均分子量の効果、混合粉砕の方
法にも言及した。特に電圧非直線抵抗体の歩留まり再現
性に大きく関係する因子であることも明らかになった。
検討することによって、1000℃以下の焼結温度にお
いても充分に実用上使用可能な電圧非直線抵抗体を得る
ことができた。
的に説明する。焼結体本体はつぎのように作製した。基
本的には通常よく使用されるセラミック製造プロセスで
ある。所定量の酸化アンチモン、酸化ビスマスおよびそ
の他含有物を湿式ボールミルでジルコニアボールをメデ
ィアとしてよく粉砕、混合した後酸化亜鉛、PVA、分
散材とをディスパミルなどの混合機で充分混合し、スラ
リを作製した。生成したスラリをディスク型スプレイド
ライヤ(ディスク回転数10000rpm、胴径1.5
m、乾燥温度210℃)で造粒した後、この顆粒をおよ
そ400kg・cm2の一軸加圧力でφ40×t13程
度の大きさにプレス成形した。方形波耐量測定には焼結
体のサイズ効果もあるため実機大焼結体も併せて作製し
た。生産用スプレイドライヤで別途同配合で作製した成
形体の大きさは約φ80×t25である。これらの成形
体を850〜1000℃で約10時間電気炉で焼成し
た。昇降温速度を50℃/時間とし、500℃付近のバ
インダ除去領域を設けたパターンで大気中または酸素気
流中で行なった。
金属アルミニウムを溶射して電極とした。大電流特性
(V2.5kA)を得るため側面に樹脂層を形成し外閃
を防止することとした。
否の判断基準は実用上の観点から表1記載の値が一般的
である。
ックスの特性および電気特性は表2〜4にまとめて示し
ている。なお密度は焼結体径と重量から求めた見かけの
値で、収縮率は円板径方向の値である。
加総量(Sb2O3+Bi2O3)を一定として、酸化ビス
マスと酸化アンチモンのモル%比率(Sb2O3/Bi2
O3)を変化させ、850℃〜1000℃で焼成した焼
結対に金属電極および側面に樹脂層を形成した電圧非直
線抵抗体の諸特性をまとめたものである。遷移元素の配
合量は酸化コバルト(0.5mol%)、二酸化マンガ
ン(0.5mol%)、酸化ニッケル(0.5mol
%、)酸化クロム(0.1mol%)、硝酸アルミニウ
ム水溶液(0.004mol%)で、総量(1.604
mol%)はすべての実施例および比較例で一定であ
る。
い組成を除き(実施例1)ほぼ全部の実施例および比較
例で充分に緻密化していない。また、バリスタ電圧が高
すぎ、測定不能のものもある。(表2中‐で示した。定
電流法による測定では電圧非直線抵抗体での閃絡が生じ
たりする)。したがってこの組成範囲では850℃の焼
成条件では、電圧非直線抵抗体の製造はほぼ不可能であ
ることがわかる。
較例13〜16では、ここに示す特性以外にも電圧非直
線抵抗体間でバラツキが大きくなりすぎる欠点が生じ
た。これは、酸化亜鉛粒子成長の均一性が悪化している
と推定される。したがって最低、必要な酸化アンチモン
量が存在することになる。
の範囲は0.3〜1.5となる。
と酸化ビスマスの比を変えて、熱機械分析装置(TM
A)を用いて前記形成体の収縮状態を調べた結果を図1
に示す。多数の添加物の存在下であっても、酸化アンチ
モンと酸化ビスマスのモル比率が収縮挙動に大きな影響
を与えていることは明確である。ここで、図1中、
(A)は酸化アンチモン/酸化ビスマスのモル比率が
0.45、収縮開始温度は786℃であった。(B)は
酸化アンチモン/酸化ビスマスのモル比率が1.0、収
縮開始温度は824℃であった。さらに(C)は酸化ア
ンチモン/酸化ビスマスのモル比率が2.0、収縮開始
温度は893℃であった。図1中、860℃、910℃
または960℃の記載は、最大収縮率値の1/2の温度
を表している。
和変化に対する諸特性を示している。850℃の焼成条
件の電圧非直線抵抗体は別として、総和に関しては実施
例27〜42、43〜46、比較例23〜26、27〜
30を考慮すると、1.0〜3.0mol%が適切な量
であると考えられる。
4である。ここでは酸化コバルト(0.5mol%)、
二酸化マンガン(0.5mol%)、酸化ニッケル
(0.5mol%、)酸化クロム(0.1mol%)の
各々の比率は同じとして全量を、0.5〜2.5mol
%と変化させた。硝酸アルミニウム水溶液(0.004
mol%)はすべての実施例で同じとしている。
ら1000℃での焼成では各電圧非直線抵抗体は適切な
特性をもつとみられ、含有物総量も0.5〜2.0mo
l%の範囲が妥当である。
ンと酸化ビスマスのモル比率、酸化アンチモンと酸化ビ
スマスの総和およびその他添加物総量に関して、100
0℃以下の温度で焼成し必要な電気特性を有する組成範
囲が示された。
を行なった。従来から原料粉末をより細かくした場合、
その粉体活性のため焼結温度が下がることはよく知られ
ている。ただし一般的に超微粉と言われるナノメータレ
ベルの粉末は、通常とは全く異なる合成法(たとえば気
相法)を使うため、現状では極めて高価である。また場
合によっては思わない不純物が混入することなどがあ
る。したがってこれらの材料の適用には、製品のコスト
を考え有効な添加法をとる必要がある。ここでは焼結体
収縮挙動に極めて関係の深い酸化ビスマスを選択検討し
た。
め、スラリ工程に特別な考慮を払う必要はなく通常と粉
末と同様に扱え得た。この工程は造粒工程でも重要で、
超微粉であるが故に、場合によっては適当な分散剤がな
ければ極端な増粘を起こし製造が不可能になる場合もあ
る。さてこのような原料で作った電圧非直線抵抗体特性
は表5の通りである。
径の粉末を用いている。酸化亜鉛は、0.5μm、酸化
ビスマスは2.6μmである。他の含有物はいずれも数
μmレベルである。
マス(〜50nm)を用い、不純物としての銅イオンは
100ppm以下である。また、他の含有物はいずれも
標準粒径の粉末を用いた。
マス(〜50nm)を用い、不純物としての銅イオンは
1000ppm以下である。また、他の含有物はいずれ
も標準粒径の粉末を用いた。
化亜鉛(平均粒径0.28μm)を用い、他の含有物は
いずれも標準粒径の粉末を用いた。
スのみを超微粉(平均粒径約50nm)とした場合には
850℃でもかなり緻密化している(これについては実
施例68〜71)。ただしバリスタ電圧から見れば若干
上昇傾向が見え、式(1)からいっても必ずしも粒成長
が充分に起こっているとは言えない。ただし酸化ビスマ
ス量、酸化アンチモン量をやや減らすことにより、バリ
スタ電圧は低下することがわかっている(表3)ので調
整が可能であり、含有量低減は価格の面から言っても望
ましいといえる。
去は重要で、この本例の場合製造装置からの銅混在が実
施例72〜75にあるように、大電流の電流−電圧特性
を悪化させるので、アルカリ金属化合物も含め注意を要
する。周知のように+1価のイオンは酸化亜鉛の抵抗値
を著しく高くすることが原因である。
粉体の供給が量産レベルで可能となってきた。この微細
粉末の使用で、焼結体全体の密度が全体に大きくなり、
収縮率も最大値を示した(実施例76〜79、および8
1、82)。バリスタ電圧はやや高い傾向を示したが前
述と同じ含有物減で対応可能である。
PVAなどのバインダを含んでいるため焼成過程で分解
するため、炉の中の雰囲気がやや還元気味になったり、
電圧非直線抵抗体内部に炭素となって残留することもあ
る。焼結温度が1200℃以上と高い場合はそれほど細
心の注意を払う必要はないが、この焼成温度が低下すれ
ば問題になる可能性がありそれなりの配慮は必要とな
る。
をした場合の焼成雰囲気が、電流−電圧特性に与える影
響を実施例83〜86に示した。酸素不足では従来から
知られているように小電流の悪化が観測された。この対
策を考える上でバインダの選択もより重要になり、易分
解性のものに変更すべきである。そうでないと焼成温度
の低下は思わぬ問題点を提出する。
本合成;ゴーセノールGL−05)と比較的数平均分子
量の大きい(〜3000)完全鹸化型(日本合成;ゴー
セノールN−300)を使用し、前記実施例と全く同様
に成形体まで作製したものをそれぞれ焼成し、特性を比
較した。
比較したところ完全分解温度は約100℃程度GL−0
5の方が低く最終的には約400℃で重量減が見られな
くなった。これらのPVAの違いが最終電気特性に与え
る影響をまとめた。
施例87〜90)ことと、詳細は省くが小電流域バラツ
キに関係する。これらの単純な比較でもバインダの分解
特性が素子特性に与える影響は顕著である。
サイズ径68mm厚さ21mmの電圧非直線抵抗体に樹
脂層を側面に付与した後、方形波耐量試験を実施した。
2ms.1200Aの電流を2分間隔で10回通電した
が、貫通破壊や割れ、外部閃絡など不都合は見られなか
った。従来の素子1200℃付近での焼成素子と比較し
ても遜色ない特性を得ている。
も本配合、焼成条件で十分焼結は完了していると判断で
きる。組成的に酸化ビスマス量を増やし酸化アンチモン
を減らしたのが有効に作用する。
ば、酸化亜鉛および酸化ビスマスを含む組成物を焼結し
て得られる焼結体からなる電圧非直線抵抗体であって、
添加する酸化アンチモンと酸化ビスマスとのモル比率が
0.3〜1.5、酸化ビスマスと酸化アンチモンの総和
が1.0〜3.0モル%なので、1000℃以下の温度
でも充分に焼結し、加えて避雷器などに使用可能な電気
特性をもつ電圧非直線抵抗体を得ることができる。
ば、第1の電圧非直線抵抗体において、遷移金属酸化物
として酸化ニッケル、二酸化マンガン、酸化コバルトお
よび酸化クロムからなる群から選択される少なくとも1
種を0.5〜2.0モル%含むので、焼結体を緻密化
(密度の向上、収縮率の増大)させることができ、最終
焼成(本焼成)温度が1000℃以下に低下させること
ができる。
ば、第1の電圧非直線抵抗体において、1価のイオン総
和が70ppm以下であるので、大電流の電流−電圧特
性を悪化させない効果がある。
ば、第1、2または3の電圧非直線抵抗体において、添
加する酸化ビスマスの粒径が100nm以下の超微粉で
あるので、さらに焼成温度を低下させる効果がある。
ば、第1、2、3または4の電圧非直線抵抗体におい
て、添加する酸化亜鉛の数平均粒子径が0.5μm以下
であるので、焼成温度を低下させる効果がある。
法によれば、第5の電圧非直線抵抗体において、前記酸
化亜鉛の数平均粒子径が0.3μm以下であるので、同
様に焼成温度を低下させる効果がある。
法によれば、第1、2、3、4、5または6の電圧非直
線抵抗体において、成形用バインダとして数平均分子量
が500以下のポリビニルアルコールを使用し1000
℃以下で大気中または酸素雰囲気で焼成するので、10
00℃以下の焼成でも成型用バインダが容易に分解し電
圧非直線抵抗体内部に炭素となって残留するようなこと
がない効果がある。
の比率を変化させた場合の成形体の加熱収縮挙動を示
す。
示す模式図である。
示す断面図である。
を示す図である。
織の一部の微細構造を示す模式図である。
層、4 焼結体、5 スピネル粒子、6 酸化亜鉛粒
子、7 酸化ビスマス主成分相、8 双晶境界。
Claims (7)
- 【請求項1】 酸化亜鉛および酸化ビスマスを含む組成
物を焼結して得られる焼結体からなる電圧非直線抵抗体
であって、添加する酸化アンチモンと酸化ビスマスとの
モル比率が0.3〜1.5、酸化ビスマスと酸化アンチ
モンの総和が1.0〜3.0モル%である電圧非直線抵
抗体。 - 【請求項2】 遷移金属酸化物として酸化ニッケル、二
酸化マンガン、酸化コバルトおよび酸化クロムからなる
群から選択される少なくとも1種を0.5〜2.0モル
%含む請求項1記載の電圧非直線抵抗体。 - 【請求項3】 1価イオンの総和が70ppm以下であ
る請求項1記載の電圧非直線抵抗体。 - 【請求項4】 添加する酸化ビスマスの粒径が100n
m以下の超微粉である請求項1、2または3記載の電圧
非直線抵抗体。 - 【請求項5】 添加する酸化亜鉛の数平均粒子径が0.
5μm以下である請求項1、2、3または4記載の電圧
非直線抵抗体。 - 【請求項6】 前記酸化亜鉛の数平均粒子径が0.3μ
m以下であることを特徴とする請求項5記載の電圧非直
線抵抗体。 - 【請求項7】 成形用バインダとして数平均分子量が5
00以下のポリビニルアルコールを使用し、1000℃
以下で大気中または酸素雰囲気で焼成する請求項1、
2、3、4、5または6記載の電圧非直線抵抗体の製造
方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002101163A JP2003297612A (ja) | 2002-04-03 | 2002-04-03 | 電圧非直線抵抗体およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002101163A JP2003297612A (ja) | 2002-04-03 | 2002-04-03 | 電圧非直線抵抗体およびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003297612A true JP2003297612A (ja) | 2003-10-17 |
Family
ID=29388602
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002101163A Pending JP2003297612A (ja) | 2002-04-03 | 2002-04-03 | 電圧非直線抵抗体およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003297612A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010219154A (ja) * | 2009-03-13 | 2010-09-30 | Mitsubishi Electric Corp | 電圧非直線抵抗体、電圧非直線抵抗体を搭載した避雷器及び電圧非直線抵抗体の製造方法 |
US8562859B2 (en) | 2008-11-17 | 2013-10-22 | Mitsubishi Electric Corporation | Voltage nonlinear resistor, lightning arrester equipped with voltage nonlinear resistor, and process for producing voltage nonlinear resistor |
CN115368129A (zh) * | 2022-08-23 | 2022-11-22 | 如东宝联电子科技有限公司 | 一种降低残压的叠层氧化锌组合物及其制备方法 |
-
2002
- 2002-04-03 JP JP2002101163A patent/JP2003297612A/ja active Pending
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