JP2003297575A - 有機電界発光素子 - Google Patents

有機電界発光素子

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JP2003297575A
JP2003297575A JP2002104967A JP2002104967A JP2003297575A JP 2003297575 A JP2003297575 A JP 2003297575A JP 2002104967 A JP2002104967 A JP 2002104967A JP 2002104967 A JP2002104967 A JP 2002104967A JP 2003297575 A JP2003297575 A JP 2003297575A
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organic
electrode
electroluminescent device
oxynitride
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JP2002104967A
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English (en)
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Kunio Aketo
邦夫 明渡
Toshiichi Sato
敏一 佐藤
Hisayoshi Fujikawa
久喜 藤川
Yasunori Taga
康訓 多賀
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Toyota Central R&D Labs Inc
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Toyota Central R&D Labs Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 駆動電圧が低く、発光効率の高い上面射出型
又は透過型の有機EL素子を提供する。 【解決手段】 基板10上に正孔注入電極12、有機層
20、電子注入電極16がこの順に積層されて構成され
る有機EL素子であり、電子注入電極16として仕事関
数の大きい透明導電性材料を用い、この電子注入電極1
6と有機層20との間に、バッファ層40として遷移金
属の窒化物又は酸窒化物を含有する層単独、またはこの
層と13族元素の窒化物又は酸窒化物を含有する層との
積層構造を用いる。このバッファ層40により電子注入
電極16と有機層20との電位障壁が緩和されて駆動電
圧が低減でき、かつ正孔ブロック機能を発揮することで
発光効率の向上が実現される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は有機電界発光素子、
特に発光効率の高い素子に関する。
【0002】
【従来の技術】有機電界発光素子(以下、有機EL素子
という)は、省電力に有利であり、高視野角かつ高輝度
発光が可能であるという特性を備えており、次世代平面
ディスプレイ素子や、その平面光源として注目されてい
る。
【0003】この有機EL素子は、基板上に正孔注入電
極、発光層を含む有機層、電子注入電極がこの順に積層
されて構成され、正孔注入電極から注入される正孔と、
電子注入電極から注入される電子とが有機層中で再結合
し、これにより有機発光材料が励起され、この発光材料
が基底状態に戻る際に起こる発光現象を利用している。
【0004】また、現在知られている有機EL素子の多
くは、基板側に形成されている正孔注入電極として、イ
オン化ポテンシャルの大きいITO(Indium Tin Oxid
e)などの透明導電材料が用いられ、電子注入電極に
は、イオン化ポテンシャルの小さいMgAg合金や、A
l等の遮光性の金属材料が用いられている。そして、有
機層から射出される光を外部に取り出すために、基板と
してガラスなどの透明基板を用い、有機層からの光を上
記透明な正孔注入電極と透明基板とを透過させて外部に
取り出している。
【0005】基板側から光を取り出す上記構造の有機E
L素子は、現在、高輝度で長寿命の素子が提案されつつ
あるが、その一方で、基板側での光の損失が存在するこ
とや、有機EL素子の駆動回路などにより開口率(発光
面積)の向上が制限されるなどの課題もある。
【0006】これに対し、最近、有機EL素子で上層に
形成されている電子注入電極として、上記不透明金属に
代え、透明導電性材料を採用することで、素子上方から
光を取り出す上面射出(トップエミッション)型や素子
上下から光を射出する透過型の有機EL素子の提案もさ
れている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】電子注入電極として透
明導電性材料を用いた場合、通常この透明導電性材料
は、上記ITOなど、イオン化ポテンシャルの大きな導
電性金属酸化物である。従って、このような透明導電性
材料を電子注入電極に用いると、この電極と有機層との
間の電位障壁が大きくなり、素子の駆動電圧を高くしな
ければならない。しかも、このような関係の電子注入電
極から有機層へは電子注入性が悪いため、有機層へ注入
される電子と正孔とのキャリアバランスが崩れ、単位電
流あたりの発光効率が低くなるという問題がある。
【0008】Appl. Phys. Lett. Vol 72, pp2138(1998)
には、このような透明電子注入電極と有機層との間にバ
ッファ層として、銅フタロシアニン(CuPc)を用い
ることで、駆動電圧の比較的低い透過型の有機EL素子
を作製可能であることが報告されている。CuPcはそ
のLUMO(最低非占有分子軌道)準位がITOのフェ
ルミ準位と発光層のLUMO準位との間に位置するの
で、確かに、電位障壁を低減し、素子の駆動電圧を低く
することができる。しかし、CuPcを用いたとして
も、電子注入性は、依然として正孔注入性と比較して低
い。更に、CuPc自身はそれ自体正孔注入層に採用さ
れることからも明らかなように正孔ブロック性が無い。
従って、正孔注入電極側からの正孔はバッファ層である
CuPcでブロックされずに電子注入電極に流れ込み、
素子の発光効率が低く、実用化には不十分な特性しか得
られていない。
【0009】また、J. Appl. Phys. Vol 86, pp4067(19
99)には、上記CuPcの代わりにバソクプロイン(2,9-
dymethl-4,7-diphenyl-1,10-phenanthroline )をバッフ
ァ層に用いることが提案されている。しかし、このバソ
クプロイン等は、ガラス転移温度が低いなど、化学的に
不安定なものが多く、十分な耐久性が得られないという
問題がある。
【0010】また、特開平8−288069号公報に
は、電子注入電極として従来通り仕事関数の小さい遮光
性の金属材料を用いた場合に、この金属電子注入電極と
有機層との間に例えば無機層を挿入することで、電位障
壁の低減や電子注入性を改善することが開示されてい
る。しかし、透明導電性材料を電子注入電極に採用した
場合には、電子注入電極と有機層とのエネルギ準位の関
係が金属材料からなる電子注入電極の場合とは大きく異
なるため、そのまま用いても電位障壁の低減と電子注入
性の向上を実現することができない。
【0011】また、特開2000−58265号公報に
は、仕事関数の小さい金属を陰極(電子注入電極)とバ
ッファ層との界面に挿入することが開示されている。仕
事関数の小さい金属を用いれば、電子注入性は向上する
が、仕事関数の小さい金属は、酸化されやすく、長期に
わたる安定性に劣り、有機EL素子の長寿命化には障害
となる。また、上記金属は遮光性であるから、これを電
子注入電極側に設けると素子上方への光の射出量が少な
くなり、上面射出としたことによる開口率の向上の効果
が得られないという問題もある。
【0012】更に、特開平11−149985号公報に
は、GaN、InGaNを電子注入層として陰極とバッ
ファ層との界面に設けることが開示されている。このG
aN、InGaNは、電子注入性の向上を目的とする
が、実際には、ITOを電子注入層に適用した場合、G
aN、InGaNの伝導準位は、このITOのフェルミ
準位と発光層のLUMO準位の間であって、発光層のL
UMO準位に近いところに位置する。このため、ITO
のフェルミ準位と上記GaN、InGaNの伝導準位と
では電位障壁が大きく、駆動電圧の大きな低減効果が得
られないという問題がある。
【0013】また、特開2000−68065号公報に
はSi、Geの酸化物、窒化物、炭化物等の絶縁層を挿
入することが開示されている。この手法によりホールブ
ロック性が向上して発光効率は高くなるが、電流駆動型
の有機EL素子中に絶縁層が挿入されることになり、駆
動電圧が高くなってしまうという問題がある。
【0014】以上のように、従来の手法のいずれによっ
ても、イオン化ポテンシャルの大きい透明導電材料を電
子注入電極として用いた有機EL素子において、駆動電
圧は低く発光効率は高いという実用素子として不可欠な
特性を両立させることができなかった。
【0015】本発明は、上記課題を解決するためになさ
れたものであり、低電圧駆動と高効率発光の可能な上面
射出型又は透明有機EL素子を実現することを目的とす
る。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、電子注入電極と、正孔注入電極との間に
有機発光材料を含む少なくとも一層の有機層を有する有
機電界発光素子であって、前記電子注入電極は、光透過
性電極であり、該電子注入電極と前記有機層との間に
は、遷移金属の窒化物又は酸窒化物を含有する層を備え
る。
【0017】また本発明の他の態様では、電子注入電極
と正孔注入電極との間に有機発光材料を含む少なくとも
一層の有機層を有する有機電界発光素子であって、前記
電子注入電極は、光透過性電極であり、該電子注入電極
と前記有機層との間には、遷移金属の窒化物又は酸窒化
物を含有する層と、13族元素の窒化物又は酸窒化物を
含有する層とを備える。
【0018】本発明の他の態様では、上記有機電界発光
素子において、前記13族元素の窒化物又は酸窒化物を
含有する層は、Ga、B、Al、Inのいずれかの窒化
物又は酸窒化物のいずれか1つ、又は複数を含有する単
独層又は積層である。
【0019】本発明の他の態様では、電子注入電極と正
孔注入電極との間に有機発光材料を含む少なくとも一層
の有機層を有する有機電界発光素子であって、前記電子
注入電極と前記有機層との間に、遷移金属の酸窒化物を
含む層を備える。
【0020】本発明の他の態様では、上記有機電界発光
素子において、前記遷移金属の窒化物又は酸窒化物を含
有する層は、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、C
r、Mo、Wのいずれかの窒化物又は酸窒化物のいずれ
か1つ又は複数を含有する単独層又は積層である。
【0021】本発明の他の態様では、上記有機電界発光
素子において、前記窒化物又は酸窒化物の層は、スパッ
タリング法又はイオンプレーティング法又は電子ビーム
蒸着法で形成されている。
【0022】本発明の他の態様では、上記有機電界発光
素子において、前記窒化物又は酸窒化物を含有する層
は、20nm以下の厚さである。
【0023】本発明の他の態様では、上記有機電界発光
素子において、前記電子注入電極は、透明導電層、又は
該透明導電層と金属薄膜との積層、又は金属粒子の分散
した透明導電層である。
【0024】遷移金属の窒化物又は酸窒化物は、アモル
ファス状態においてその伝導帯がITO等の光透過性の
導電性金属酸化物のフェルミ準位と有機層のLUMO準
位の間にある。従って、電子注入電極と有機層との間に
遷移金属の窒化物又は酸窒化物を含む層を設けること
で、仕事関数の大きい上記電子注入電極と有機層との間
の電位障壁を緩和することができる。また、上記遷移金
属の窒化物又は酸窒化物、特にその酸窒化物は、価電子
帯が有機層の最高占有分子軌道(HOMO)準位よりも
低く、優れた正孔ブロック機能を有する。よって、この
ような材料を含む層(バッファ層)は、高い電子注入性
と高い正孔ブロック性の双方の機能を備えた薄膜とでき
る。従って、上記遷移金属の窒化物又は酸窒化物の層と
して、その伝導帯が透明電子注入電極のフェルミ準位と
有機層のLUMO準位との間にある材料を選択すること
で、電位障壁を軽減させるように機能して素子駆動電圧
を低減できる。さらに、有機層へ電子を注入すると同時
に正孔をブロックして有機層中に閉じこめることがで
き、電子・正孔の再結合を有機発光層中で効率よく起こ
すことができ、有機EL素子の発光効率の向上を可能と
する。また13族元素の窒化物又は酸窒化物との積層構
造とすることで、一層の電位障壁の軽減が可能となり、
駆動電圧を更に低くすることが可能となる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態(以下
実施形態という)を、図面に従って説明する。
【0026】図1は本発明の実施形態に係る有機EL素
子の断面構成を示している。この有機EL素子は、概略
すると、基板10上に、正孔注入電極12、有機層2
0、電子注入電極16がこの順に形成されている。正孔
注入電極12には仕事関数の大きい例えばITOなどの
透明導電性材料が用いられ、電子注入電極16として
も、透明電極とするため、同様のITOなどの透明導電
性材料が用いられている。なお、この電子注入電極16
は、透明導電材料の単独層の他、透明導電層とAl等の
金属薄膜との積層、又は金属粒子の分散した透明導電層
などによって構成してもよい。
【0027】有機層20は、少なくとも有機発光材料を
含み、有機発光層の単層構造の他、正孔輸送層と発光
層、発光層と電子輸送層等の2層構造、正孔輸送層/発
光層/電子輸送層の3層構造、或いは更に正孔注入層、
電子注入層を備える多層構造が採用可能である。図1の
例では、後述するように正孔注入電極12側から正孔注
入層22、正孔輸送層24、発光層26、正孔ブロック
層28、電子輸送層30の積層構造が採用されている。
もちろんこれらの積層構造に限定されるものではなく、
様々な組み合わせが採用可能である。
【0028】本実施形態において、透明電子注入電極1
6と、上記有機層20との間に、電子注入機能を備えた
バッファ層40を設けている。このバッファ層40に
は、遷移金属の窒化物又は酸窒化物を含有する層を用い
る。遷移金属としては、Tiが特に有効であるが、その
他、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W等が
採用可能である。これらの化合物は、その伝導帯準位が
電子注入電極16に用いられるITOなどの透明導電性
材料のフェルミ準位と、有機層のLUMO準位の間にあ
る。よって、仕事関数の大きい上記電子注入電極16
と、有機層20との間の電位障壁を緩和することができ
る。また、遷移金属の酸窒化物を採用すれば、LUMO
準位は変わらず、酸素の存在よりその価電子帯準位が低
くなるため高い正孔ブロック機能を発揮できる。従っ
て、酸窒化物は、バッファ層を単独材料で構成する場合
には好適であり、例えばTiONを用いることで、電位
障壁の緩和機能に加え、非常に高い正孔ブロック機能を
この層だけで発揮することができる。なお、窒化物を採
用した場合においても、以下のように、この窒化物と併
せて正孔ブロック機能の高い材料との積層、又は混合層
を採用することで正孔ブロック機能を発揮させてもよ
い。
【0029】また、上記バッファ層40は、上記遷移金
属の窒化物又は酸窒化物を含有する層(以下遷移金属化
合物層)と、13族元素の窒化物又は酸窒化物を含有す
る層(以下13族元素化合物層)との積層構造としても
良い。13族元素としては、Gaが特に有効であるが、
その他、B、Al、In等も採用可能である。これらの
13族元素の窒化物又は酸窒化物も電位障壁の低減効果
と、高い正孔ブロック機能を備える。従って、上記遷移
金属化合物層と、この13族元素化合物層との積層構造
とすることで、電位障壁の低減と正孔ブロック機能の向
上を図ることができる。
【0030】ここで、13族元素の窒化物又は酸窒化
物、例えばGaNの伝導帯準位は、電子注入電極16の
ITOのフェルミ準位との電位障壁が大きいので、単独
で形成すると、駆動電圧の低減の効果が得られない。し
かし、上記遷移金属化合物層との積層構造とすること
で、電位障壁を緩和することができ非常に高い効果を実
現できる。特に、上記遷移金属の窒化物は、上述のよう
に、正孔ブロック機能が低いので、この遷移金属化合物
層として窒化物を用いる場合には、13族元素化合物層
との積層構造とすることが好ましい。遷移金属化合物層
と13族元素化合物層との積層構造は、上記のように1
3族元素化合物と電子注入電極16との電位障壁が大き
いので、遷移金属化合物層を電子注入電極16側とする
ことが好ましい。
【0031】なお、これらの材料を用い単層又は積層に
よって構成されるバッファ層40は、スパッタリング
法、イオンプレーティング法、又は電子ビーム蒸着法等
を利用して形成することができる。また、これらの材料
はあまり導電性が高くないため、厚すぎると駆動電圧の
上昇を招く可能性があり、電位障壁の低減機能と正孔ブ
ロック機能を発揮できる範囲でできるだけ薄くすること
が好適である。例えば、20nm以下の厚さとすれば良
い。
【0032】次に、本実施形態の有機層20について、
具体的に説明する。正孔注入電極12の上に形成された
正孔注入層22には、CuPcなどが用いられ、ITO
など仕事関数の大きい正孔注入電極12から有機発光層
26への正孔注入効率を向上させている。正孔注入層2
2の上に形成された正孔輸送層24は、正孔輸送機能を
備え、トリフェニルアミンの多量体、例えば4量体(T
PTE)などが採用可能である。有機発光層26は、目
的とする発光色、輝度などに応じて最適な有機発光材料
を含んでいる。この有機発光層26は、発光材料の単独
層、発光材料がゲスト材料としてホスト材料中に少量ド
ープされた混合層、多色発光を実現するため、異なる発
光材料層が積層された多層構造など、様々な構成が採用
可能である。本実施形態では、例えばキノリノールアル
ミ錯体(Alq3)を採用することで高輝度で長期間、
緑色の発光が得られる。
【0033】また、必ずしも必要ではないが有機発光層
26の上には、本実施形態では、正孔ブロック層28を
形成し、上記有機発光層26からの電子注入電極16側
への正孔の流出をより確実にブロックしている。この正
孔ブロック層28の材料としては、下記式(1)
【化1】 に示すような構造のイミダゾール化合物などが採用可能
である。
【0034】また、本実施形態において、遷移金属の窒
化物や酸窒化物などからなるバッファ層40と、上記イ
ミダゾール化合物等の正孔ブロック層28との間には、
電子輸送層30を設けている。この電子輸送層30につ
いても必ずしも必要ではないが、この電子輸送層30と
しては、そのLUMO準位が、バッファ層40の伝導帯
準位と正孔ブロック層28(正孔ブロック層28を省略
する場合には有機発光層26)のLUMO準位の中間に
ある材料を採用することで、バッファ層40と正孔ブロ
ック層28(又は有機発光層26)との間の電位障壁を
低減し、電子輸送性を向上することができる。この電子
輸送層30としては、例えばCuPc等が採用可能であ
る。
【0035】図2は、図1に示すような構造の有機EL
素子のエネルギ準位の関係を示している。正孔注入電極
(ITO)16から有機発光層(Alq3)26の間に
は、それらの中間のHOMO準位を備えた正孔注入層
(CuPc)22、正孔輸送層(TPTE)24が設け
られており、正孔注入電極12から正孔注入層22、正
孔輸送層24を介して有機発光層26に正孔が注入され
る。一方、電子注入電極16(ITO)は正孔注入電極
と同様に仕事関数が大きいが、この電子注入電極16と
接して、電子注入電極16のフェルミ準位より少し高い
伝導帯準位のバッファ層(TiON)40を形成してい
る。よって、電子注入電極16からこのバッファ層40
を介することで、電子注入電極16から電子輸送層(C
uPc)30への電子の注入が容易となる。そして、こ
の電子は電子輸送層30及び正孔ブロック層28を介し
て、有機発光層26に到達する。また、発光層26と接
して、この発光層26よりのHOMO準位の低い正孔ブ
ロック層28が設けられているため、ここで発光層26
から電子注入電極16側への正孔の移動がある程度ブロ
ックされている。本実施形態では、この正孔ブロック層
28に加えて、図2に示すようにバッファ層40として
遷移金属の酸窒化物(ここでは、TiON)を用いてお
り、このTiONは非常に深い伝導帯準位であるので、
正孔ブロック層28を通り抜けてしまった正孔も、この
深い伝導帯準位のバッファ層40を通過できず、電子注
入電極16への到達が防がれている。
【0036】以上のように、電子注入電極16として、
仕事関数の大きい透明導電性材料を用いた場合であって
も、上述のような遷移金属の窒化物や酸窒化物を含むバ
ッファ層40を電子注入電極16と有機層20との間に
設けることで、低電圧にて、有機層20(特に有機発光
層26)に電子を注入することが可能となる。また、正
孔の電子注入電極16への到達を防止できる。このよう
に、本実施形態によれば、正孔注入電極12と電子注入
電極16とに同一導電材料を用いた場合であっても、有
機発光層26に対してそれぞれ電子、正孔を選択的にか
つバランスよく注入し、発光層中に電子、正孔を閉じこ
めることができる。
【0037】なお、基板10としてはガラス、プラスチ
ック等の基板が採用でき、また、電子注入電極16とし
て透明材料を用い、素子上方より光を射出することがで
きるので、ガラスのような透明基板には限らず、不透明
或いは透明度の低い基板を用いることもできる。
【0038】
【実施例】以下、本発明の実施例1〜5及び比較例1に
ついて説明する。なお、実施例1〜5と比較例1に係る
有機EL素子は、基板から電子輸送層30まで上記図1
と同一の構造とした。
【0039】いずれも、基板として、ガラス基板10上
に、正孔注入電極12として予めITOが形成されたも
のを用いた。このITOの厚さは、150nmである。
次に、正孔注入電極12上に、真空蒸着により、正孔注
入層22としてCuPcを10nm、正孔輸送層24と
してトリフェニルアミン4量体(TPTE)を50n
m、発光層26としてキノリノールアルミ錯体(Alq
3)を40nm、正孔ブロック層28として上記化学式
(1)のイミダゾール化合物を20nm、電子輸送層3
0としてCuPcを10nm、連続して形成した。
【0040】実施例1〜4では、次に、この電子輸送層
30の上に酸窒化チタン又は窒化チタンからなるバッフ
ァ層40を形成した。このバッファ層40の厚さは10
nmで、スパッタリングによって形成した。バッファ層
40の上には、同じスパッタリングによってITOを1
00nmの厚さに形成した。なお、基板10上に作製さ
れた有機EL素子は、高真空排気したチャンバーに搬送
し、チャンバー内を窒素置換した後、エポキシ樹脂を用
いて金属製の封止キャップを基板10に接着して密封し
た。
【0041】実施例1では、上記バッファ層40とし
て、酸窒化チタンをTiNターゲットを用いてAr−
0.1%O2雰囲気で成膜した。作製された酸窒化チタ
ン層のOとNの原子濃度の比率は5:95であった。
【0042】実施例2では、上記バッファ層40とし
て、酸窒化チタンをTiNターゲットを用いてAr−
0.5%O2雰囲気で成膜した。作製された酸窒化チタ
ン層のOとNの原子濃度の比率は20:80であった。
【0043】実施例3では、上記バッファ層40とし
て、酸窒化チタンをTiNターゲットを用いてAr−
1.0%O2雰囲気で成膜した。作製された酸窒化チタ
ン層のOとNの原子濃度の比率は50:50であった。
【0044】実施例4では、上記バッファ層40とし
て、窒化チタンをTiNターゲットを用いてAr雰囲気
で成膜した。
【0045】実施例5では、バッファ層40として上記
実施例4のTiN層とGaN層との積層構造を用いた。
電子輸送層30の上に、スパッタリング法によりGaN
ターゲットを用いてAr雰囲気でGaN層を5nmの厚
さに成膜し、このGaN層の上に、実施例4と同じ条件
で10nmの厚さのTiN層を形成した。
【0046】比較例1としては、図3に示すように、電
子注入電極16と有機層20との間にバッファ層の存在
しないものを作製した。バッファ層以外の構成、作製は
各実施例と同一である。
【0047】
【表1】 上記表1に、作製した実施例1〜5と比較例1の有機E
L素子をそれぞれ電流密度11mA/cm2で駆動した
ときの駆動電圧(V)及び発光効率(lm/W)を示
す。
【0048】まず、実施例1〜4については、比較例1
に対していずれも駆動電圧、発光効率が改善されてい
る。特に、酸窒化チタンのOの比率が50より小さい実
施例1及び2については、比較例1の駆動電圧15.4
Vに対して、それぞれ実施例1が11.5V、実施例2
が13.0Vと大きく低減され、また、発光効率は、比
較例1が0.278lm/Wであるのに対し、実施例1
が0.423lm/W、実施例2が0.470lm/W
と大きく改善されている。実施例3では、駆動電圧の低
減の程度は小さいものの比較例1より改善され、発光効
率は非常に顕著に改善されている。バッファ層として窒
化チタンを採用した実施例4は、実施例3とは逆に、発
光効率は改善されているがその程度は小さいのに対し、
駆動電圧の低減効果は非常に大きい。いずれにしても遷
移金属の酸窒化物、窒化物を含むバッファ層の存在によ
り、透明な電子注入電極16を採用した場合に、素子の
駆動電圧の低減と発光効率の改善が達成されることがわ
かる。また、実施例5では、駆動電圧が11.0V、発
光効率が0.335lm/Wであり、比較例1の駆動電
圧及び発光効率に対して大きく改善されている。また、
実施例4と比べても更に改善されており、バッファ層と
して遷移金属の窒化物を用いる場合、この窒化物と13
族元素の窒化物又は酸窒化物の層との積層構造とするこ
とでより改善効果が高まることがわかる。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
電子注入電極と有機層との間に上述のようなバッファ層
を設けることで、電子注入電極の材料として仕事関数の
大きい光透過性の材料を用いた場合などにおいても、電
子注入電極と有機層との間の電位障壁を低減して素子駆
動電圧を低減できる。また、正孔ブロック機能を発揮す
ることで、素子の発光効率の向上が実現される。このた
め、低消費電力であって寿命の長い実用的な上面射出型
又は透過型の有機EL素子を実現することが可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態及び実施例に係る有機EL
素子の概略構成を示す図である。
【図2】 本発明の実施形態に係る有機EL素子のエネ
ルギ準位を説明する図である。
【図3】 比較例1の有機EL素子の概略構成を示す図
である。
【符号の説明】
10 基板、12 正孔注入電極(陽極)、16 電子
注入電極(陰極)、20 有機層、22 正孔注入層、
24 正孔輸送層、26 有機発光層、28正孔ブロッ
ク層、30 電子輸送層、40 バッファ層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤川 久喜 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 多賀 康訓 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 Fターム(参考) 3K007 AB03 AB06 CB01 CB04 DB03 FA01

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子注入電極と、正孔注入電極との間に
    有機発光材料を含む少なくとも一層の有機層を有する有
    機電界発光素子であって、 前記電子注入電極は、光透過性電極であり、 該電子注入電極と前記有機層との間に、遷移金属の窒化
    物又は酸窒化物を含有する層を備えることを特徴とする
    有機電界発光素子。
  2. 【請求項2】 電子注入電極と正孔注入電極との間に有
    機発光材料を含む少なくとも一層の有機層を有する有機
    電界発光素子であって、 前記電子注入電極は、光透過性電極であり、 該電子注入電極と前記有機層との間に、遷移金属の窒化
    物又は酸窒化物を含有する層と、13族元素の窒化物又
    は酸窒化物を含有する層とを備えることを特徴とする有
    機電界発光素子。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の有機電界発光素子にお
    いて、 前記13族元素の窒化物又は酸窒化物を含有する層は、
    Ga、B、Al、Inのいずれかの窒化物又は酸窒化物
    のいずれか1つ又は複数を含有する単独層又は積層であ
    ることを特徴とする有機電界発光素子。
  4. 【請求項4】 電子注入電極と正孔注入電極との間に有
    機発光材料を含む少なくとも一層の有機層を有する有機
    電界発光素子であって、 前記電子注入電極と前記有機層との間に、遷移金属の酸
    窒化物を含む層を備えることを特徴とする有機電界発光
    素子。
  5. 【請求項5】 請求項1〜請求項4のいずれか一つに記
    載の有機電界発光素子において、 前記遷移金属の窒化物又は酸窒化物を含有する層は、T
    i、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、Wのい
    ずれかの窒化物又は酸窒化物のいずれか1つ、又は複数
    を含有する単独層又は積層であることを特徴とする有機
    電界発光素子。
  6. 【請求項6】 請求項1〜請求項5のいずれか一つに記
    載の有機電界発光素子において、 前記窒化物又は酸窒化物の層は、スパッタリング法又は
    イオンプレーティング法又は電子ビーム蒸着法で形成さ
    れたことを特徴とする有機電界発光素子。
  7. 【請求項7】 請求項1〜請求項6のいずれか一つに記
    載の有機電界発光素子において、 前記窒化物又は酸窒化物を含有する層は、20nm以下
    の厚さであることを特徴とする有機電界発光素子。
  8. 【請求項8】 請求項1〜請求項7のいずれか一つに記
    載の有機電界発光素子において、 前記電子注入電極は、透明導電層、又は該透明導電層と
    金属薄膜との積層、又は金属粒子の分散した透明導電層
    であることを特徴とする有機電界発光素子。
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