JP2003297222A - 電子放出素子及びその製造方法 - Google Patents

電子放出素子及びその製造方法

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JP2003297222A
JP2003297222A JP2002098016A JP2002098016A JP2003297222A JP 2003297222 A JP2003297222 A JP 2003297222A JP 2002098016 A JP2002098016 A JP 2002098016A JP 2002098016 A JP2002098016 A JP 2002098016A JP 2003297222 A JP2003297222 A JP 2003297222A
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silicon carbide
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electron
emitting device
carbon nanotubes
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Application number
JP2002098016A
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English (en)
Inventor
Takayuki Nagano
永野  孝幸
Yukari Tani
由加里 谷
Noriyoshi Shibata
柴田  典義
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Japan Fine Ceramics Center
Original Assignee
Japan Fine Ceramics Center
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低電圧で高効率の電子放出性を有する冷陰極
型電子放出素子、及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 本発明の電子放出素子1は、基材を切削
加工することにより基部11と突起部12を形成し、こ
の突起部上にカーボンナノチューブ123を形成してな
る。その製造方法は、基部上に形成される突起部を炭化
珪素で作成し、或いは、この突起部に炭化珪素膜を形成
し、この炭化珪素を、真空中あるいは微量酸素を含有す
る雰囲気において炭化珪素表面から珪素原子が失われる
温度に加熱することにより、この炭化珪素から珪素原子
を除去する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子放出素子及び
その製造方法に関し、更に詳しくは、低電圧で動作する
電子放出素子及びその製造方法に関する。本発明は、電
界放出ディスプレイ、エミッター、陰極線管、蛍光表示
管、電子銃、ランプ等に利用される。
【0002】
【従来の技術】従来は電子放出素子としてシリコンやモ
リブデンなどが使用されてきた。しかし、近年、電子放
出素子の研究開発は“熱放出型”から“冷陰極型”に移
行している。冷陰極型の電子源としては電界を集中させ
るために先端の曲率半径の小さな材料を電極に対して垂
直に配向させることが必要とされる。
【0003】カーボンナノチューブは直径がナノメート
ルサイズで長さがミクロンサイズの形状を有し、アスペ
クト比が大きく、先端の曲率半径が小さい。また、シリ
コンやモリブデンなどのスピント型エミッターに比べ真
空の制約がゆるいこと、高い電流密度が得られること、
及び頑健であることなどのため、冷陰極型電子放出素子
として優れた性質を有する。そのためFED(Fiel
d EmissionDisplay)等への応用が期
待されている。カーボンナノチューブを利用したものと
しては特開平9−221309号公報、特開2001−
319560号公報等が挙げられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】カーボンナノチューブ
を電子素子として使用する場合、カーボンナノチューブ
を基部の陰極上に適度な密度で垂直に配向させることが
必要である。しかしながら、スクリーン印刷法や沈降法
等で作製したカーボンナノチューブを電子素子として使
用する場合には、カーボンナノチューブを塗布などの方
法で基部上に配置する。このためカーボンナノチューブ
は基部に対して水平に寝てしまい、高効率の電子放出性
を有する冷陰極型電子放出素子を得られにくい。
【0005】一方、炭化珪素単結晶(C面)を表面分解
してカーボンナノチューブ膜を得る方法の場合、カーボ
ンナノチューブは基部に対して垂直に生成させることが
可能であるが、カーボンナノチューブが基部全面にあま
りにも高密度に生成するため、ナノチューブ同士で電磁
場的な干渉が発生し、電界集中が起こりにくいといった
問題があった。本発明は上記課題を解決するものであ
り、低電圧で高効率の電子放出性を有する冷陰極型電子
放出素子、及びその製造方法を提供することを目的とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の電子放出
素子は、導電性基材を切削加工することにより導電性基
部上に多数の突起部を形成してなることを特徴とする。
請求項2記載の電子放出素子、導電性基部と該導電性基
部の上に突設された多数の突起部とからなることを特徴
とする。
【0007】請求項3記載の電子放出素子発明は、炭化
珪素製基材を切削加工することにより炭化珪素製基部上
に突起部を形成し、その後、真空中あるいは微量酸素を
含有する雰囲気において該突起部の表面から珪素原子が
失われる温度に加熱することにより、該突起部から珪素
原子を除去して、該突起部の表面から内部へ成長形成さ
れる多数のカーボンナノチューブが少なくとも突起部の
表面部に形成してなることを特徴とする。
【0008】上記炭化珪素基材がα−SiCである場合
には、カーボンナノチューブは上記α−SiCの(00
01)面に対して垂直に配向してなることが好ましい。
また、上記炭化珪素基材がβ−SiCである場合には、
カーボンナノチューブは上記β−SiCの(111)面
に対して垂直に配向してなることが好ましい。更に、上
記加熱温度を1200〜2000℃とすることができ
る。
【0009】請求項7記載の電子放出素子は、炭化珪素
製基部と該炭化珪素製基部上に突設された多数の突起部
とからなり、該各突起部の少なくとも表面部には、多数
のカーボンナノチューブが形成されていることを特徴と
する。請求項8記載の電子放出素子は、導電性基材を切
削加工することにより導電性基部上に多数の突起部を形
成し、その後、該突起部の表面に炭化珪素膜を形成し、
次いで、真空中或いは微量酸素を含有する雰囲気におい
て該突起部の表面から珪素原子が失われる温度に加熱す
ることにより、該炭化珪素膜の表面から珪素原子を除去
して、該炭化珪素膜の表面から内部へ成長形成されてな
る多数のカーボンナノチューブを有することを特徴とす
る電子放出素子である。
【0010】上記導電性基材はカーボンとすることがで
きる。また、上記炭化珪素膜を構成する炭化珪素がα−
SiCである場合、カーボンナノチューブが上記α−S
iCの(0001)面に対して垂直に配向してなること
が好ましい。更に、上記炭化珪素膜を構成する炭化珪素
がβ−SiCである場合、カーボンナノチューブが上記
β−SiCの(111)面に対して垂直に配向してなる
ことが好ましい。更にまた、上記加熱温度を1200〜
2000℃とすることができる。
【0011】請求項13記載の電子放出素子は、導電性
基部と該導電性基部上に突設された多数の突起部とから
なり、該各突起部の少なくとも表面部には、多数のカー
ボンナノチューブが形成されていることを特徴とする。
【0012】請求項14記載の電子放出素子の製造方法
は、炭化珪素製基材を切削加工することにより炭化珪素
製基部上に突起部を形成し、その後、真空中あるいは微
量酸素を含有する雰囲気において該突起部の表面から珪
素原子が失われる温度に加熱することにより、該突起部
から珪素原子を除去して、各突起部の少なくとも表面部
にカーボンナノチューブが形成されることを特徴とす
る。
【0013】請求項15記載の電子放出素子の製造方法
は、導電性基材を切削加工することにより多数の突起部
を形成し、その後、該突起部の表面に炭化珪素膜を形成
し、次いで真空中あるいは微量酸素を含有する雰囲気に
おいて該突起部の表面から珪素原子が失われる温度に加
熱することにより、該突起部の表面から珪素原子を除去
して、該突起部の表面から内部へ成長形成されてなる多
数のカーボンナノチューブが形成されることを特徴とす
る。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
請求項1記載の電子放出素子は、導電性基材を切削加工
することにより導電性基部上に多数の導電性突起部を形
成してなることを特徴とする。また、請求項2記載の電
子放出素子は、導電性基部と該導電性基部の上に突設さ
れた多数の突起部とからなることを特徴とする。
【0015】上記「導電性基材」(以下、便宜上「基
材」ともいう。)、「導電性基部」(以下、便宜上「基
部」ともいう。)及び「導電性突起部」(以下、便宜上
「突起部」ともいう。)の材料は、導電性を有すれば、
特に限定されず、例えば、C、Cr、Hf、Ir、M
o、Nb、Pt、Rh、Re、Ti、W、Zr、又は、
これら金属元素を含む合金、更には、導電性セラミック
ス等が挙げられる。これらのうち、C、Mo、Wが好ま
しい。この導電性基材及び導電性基部の形状、大きさは
特に限定されず、通常は板状又は円盤状である。尚、そ
の平面形状も特に限定されず、通常、矩形であるが、円
形等であってもよい。
【0016】この「突起部」は、ここに電界を集中さ
せ、この突起先端部から電子を高効率に放出させるた
め、特に重要である。この導電性突起部の形状は、特に
限定されず、電気放出素子の使用目的、用途等によっ
て、種々の形状にすることができる。例えば、板状(即
ち長尺状、例えば縦断面が四角状(図1参照)、縦断面
が逆V字状、即ち三角状(図3参照))、又は、柱状若
しくは棒状(例えば、縦断面が四角状(図2参照)、縦
断面が逆V字状、即ち三角状(図4参照))等とするこ
とができる。更に、これらにおいて、縦断面形状におい
て、図5に示すように三角先端を切頭した形状(図5参
照)、図6に示すように先端が平坦な柱状若しくは棒状
のこの先端を尖らせた形状(即ち先端部が逆V字形状、
図6参照)等をすることができる。これらにおいて、特
に突起部の先端部(即ち最先端部)を尖らせた形状(即
ち最先端部が逆V字形状、図3、4及び6参照)が好ま
しい。この場合は、先端部、特に先端部のうちの最先端
部の電界集中を最も大きく且つ効率的にすることができ
る。
【0017】この突起部の大きさ及び数は、電子放出素
子の使用目的、使用方法等により適宜決定できる。ま
た、この多数の突起部の配置も、種々の形態とすること
ができ、例えば、基板の稜線に対して平行方向に配列し
てもよいし(図1、3参照)、縦横の両直交方向に配向
してもよいし(図2、4参照)、直交ではなく交差方向
(90度でない。)でもよいし、基板の稜線に平行でな
くてもよい。
【0018】更に、これらの突起部は、通常、等間隔に
配列されるが(図1〜4参照)、等間隔でなくてもよ
い。また、隣接する突起部同士が所定の間隔(空隙)を
もって配列されていてもよいし(図1、2参照)、その
間隔(空隙)を有せず連続して配設されていてもよい
(図3、4参照)。即ち、突起部の最先端部が互いに距
離(間隔)をもって配列されていればよい。この前者の
空隙具備配列の場合、全平面面積(基部の横断面面積)
に対して、突起部が占める割合は、好ましくは5〜70
%、より好ましくは10〜60%、更に好ましくは20
〜50%とすることができる。また、この後者の連続配
列の場合は、例えば間引き加工前の基材全体の体積に対
して、加工後の突起部が占める割合は、好ましくは15
〜70%、より好ましくは20〜60%、更に好ましく
は30〜55%とすることができる。
【0019】請求項1記載の発明において行われる上記
「基材の切削加工」の方法は、通常、ブレード等を用い
て行う。このブレードの形状は、目的とする突起部の形
状に応じて、U字上、V字状、台形状及びその他の種々
のものとすることができる。また、切削加工用のブレー
ドの材料は、特に限定されないが、通常、サーメット、
セラミック、超硬合金及びダイヤモンド等が使用され
る。これらのうち、ダイヤモンドブレードが好ましい。
このブレードのU字状の幅を調整しあるいはV字状の角
度を変え、又は、切削加工の溝の深さ及び間隔を制御し
て、種々の形状の突起部を形成することができる。尚、
請求項2記載の発明においては、特に、突起部の形成方
法は限定されない。
【0020】請求項3記載の電子放出素子は、炭化珪素
製基材を切削加工することにより炭化珪素製基部上に突
起部を形成し、その後、真空中あるいは微量酸素を含有
する雰囲気において該突起部の表面から珪素原子が失わ
れる温度に加熱することにより、該突起部から珪素原子
を除去して、該突起部の表面から内部へ成長形成される
多数のカーボンナノチューブが少なくとも突起部の表面
部に形成してなることを特徴とする。請求項7記載の電
子放出素子は、炭化珪素製基部と炭化珪素製基部上に突
設された多数の突起部とからなり、各突起部の少なくと
も表面部には、多数のカーボンナノチューブが形成され
ていることを特徴とする。請求項14記載の電子放出素
子の製造方法は、炭化珪素製基材を切削加工することに
より炭化珪素製基部上に突起部を形成し、その後、真空
中あるいは微量酸素を含有する雰囲気において突起部の
表面から珪素原子が失われる温度に加熱することによ
り、この突起部から珪素原子を除去して、各突起部の少
なくとも表面部にカーボンナノチューブが形成されるこ
とを特徴とする。
【0021】上記「基材」として、炭化珪素からなるも
のを用いる。そして、この炭化珪素の種類としては、特
に限定されず、α−SiC又はβ−SiCのいずれでも
よく、また、単結晶でも多結晶でもよい。更に、焼結体
であってもよい。また、この炭化珪素がα−SiCであ
る場合には、(0001)面に配向していることが好ま
しい。この炭化珪素がβ−SiCの場合には、(11
1)面に配向していることが好ましい。これらの場合に
は、突起部の表面に対して垂直に配向したカーボンナノ
チューブを得やすい。このように突起部先端、少なくと
も突起部最先端部が、基部に対して垂直に配向している
と、突起先端部に電界が集中しやすく高効率の電子放出
素子が得られる。また、上記以外の方位の炭化珪素表面
にはグラファイトが生成しやすいため、先端のカーボン
ナノチューブへの導電性を向上させる効果がある。
【0022】そして、少なくとも突起部の表面部、特に
少なくとも突起部最先端部にカーボンナノチューブが形
成されたものとすることができる。カーボンナノチュー
ブは曲率半径が小さく、化学的安定性に優れているの
で、高い電子放出効率と安定した電流強度を得ることが
できる。また、カーボンナノチューブの密度を最適条件
で設計することができるので、低電圧で高輝度の電子源
を作製することが可能である。このカーボンナノチュー
ブの結晶成長方向(チューブの筒方向)は、通常、壁の
壁面に対して垂直(α−SiCである場合には、(00
01)面に対し垂直、β−SiCの場合には、(11
1)面に対し垂直)の方向に成長される。従って、本方
法によれば、この突起部の最先端部(図7の123a、
図11の123a、図13の123a等)においては、
基部面に対して垂直方向にカーボンナノチューブが形成
・配列されることとなる。これにより、この突起部、特
に最先端部から、高効率に電子を放出することができ
る。特に、この最先端部が尖った形状をしているもの
(図7の123a、図11の123a、図6等)は、電
子放出効率が更に優れる。また、(1)このカーボンナ
ノチューブが突起部の表面部123のみに形成されてい
るもの(図7参照)、(2)突起部の全体12にカーボ
ンナノチューブが形成されているもの(図8参照)、又
は、(3)更に基部の一部112にも形成されているも
の(図9参照)等とすることができる。このカーボンナ
ノチューブが形成されていない他の部分は、炭化珪素か
らなっている(図7の11、121、図8の11、図9
の111参照)。尚、加熱条件、突起形状等により種々
の上記形態が得られうるが、通常は、上記(1)の形態
が得られる。更に、上記において、突起部の形状、大き
さ、その配置方法等については、前記の導電性突起部欄
における突起部の説明をそのまま適用するものとする。
【0023】この炭化珪素製基材を前記した方法と同様
な方法によって切削加工し、炭化珪素製基部上に種々の
形状の突起部を形成する。このように突起部の突設され
た炭化珪素製切削加工体は、その後、真空中或いは微量
酸素を含有する雰囲気においてこの炭化珪素突起部の表
面から珪素原子が失われる温度に加熱される。この加熱
は、炭化珪素製切削加工体全体にしても良いが、炭化珪
素製突起部のみでも良い。
【0024】上記「真空中或いは微量酸素を含有する雰
囲気」は真空下或いは不活性ガス雰囲気が好ましい。好
ましい真空度は133×10−4〜133×10-10
Pa、より好ましくは133×10−5〜133×10
−9Paである。真空度が高すぎると形成されたカーボ
ンナノチューブ同士が食い合うことにより、一部のチュ
ーブが他を吸収して大きく成長する場合があり、カーボ
ンナノチューブのサイズを制御することが困難になる。
【0025】上記「微量酸素を含有する雰囲気」とは、
微量の酸素を含有する条件をいう。微量の酸素が存在す
れば、酸素量は特に限定されないが、好ましくは3%以
下、より好ましくは1%以下である。酸素量が3%を超
えると、カーボンナノチューブがエッチングされるの
で、好ましくない。この雰囲気は、減圧状態であって
も、常圧であっても、あるいは加圧状態であってもよい
し、また、酸素以外の気体の存在下であってもよい。好
ましくは、真空中あるいは不活性ガス雰囲気である。上
記不活性ガスとしては、He、Arが挙げられるが、A
rが好ましく用いられる。真空の代わりに酸素を含む不
活性ガス中であってもSiOが蒸発するので同様な作用
がある。
【0026】また、本発明において、真空中或いは微量
酸素を含有する真空下では、加熱温度は特に限定される
ことなく、カーボンナノチューブは、炭化珪素の分解に
より珪素原子を除去可能な限りにおいて得ることができ
る。加熱温度は、好ましくは1200〜2000℃、よ
り好ましくは1400〜1800℃とすることができ
る。加熱温度が2000℃を超えると、SiCから珪素
原子が失われる速度が大きいため、カーボンナノチュー
ブの配向が乱れやすくなるとともに径が大きくなる傾向
があり、カーボン自身もCOとなり蒸発し、カーボンナ
ノチューブ膜厚も薄くなり、更に消失してしまい、乱れ
たグラファイト層が形成されてしまい好ましくない。
【0027】尚、上記加熱は、常温付近から目的の加熱
温度まで昇温され、目的の温度に達してから加熱を停止
し降温するか、あるいはその温度で一定時間保持され
る。常温付近から目的の加熱温度までの昇温速度等の昇
温方法は特に限定されない。即ち、目的の温度まで、一
定の昇温速度で加熱してもよいし、段階的に昇温速度を
変えてもよい。均一で規則的に成長したカーボンナノチ
ューブを得るためには、カーボンナノチューブの生成及
び成長に関わる温度に合わせた昇温方法等の条件を適正
に選択すればよい。この加熱手段としては特に限定され
ず、電気炉、レーザービーム照射、直接通電加熱、赤外
線照射加熱、マイクロ波加熱及び高周波加熱等の手段に
よることができる。
【0028】また、加熱終了後、降温されるが、その方
法は特に限定されない。降温手段の例としては、一定速
度で常温まで冷却する方法、上記目的の加熱温度より低
い温度で一定時間保持した後冷却する方法等が挙げられ
る。冷却する手段は特に限定されない。
【0029】また、低い印加電圧で電界放出を起こさせ
るため、通常は、カーボンナノチューブ先端のグラファ
イトキャップを取り除く。このキャップを取り除く方法
は、大気中において、好ましくは約400〜650℃、
より好ましくは450〜600℃であり、特に約580
℃程度で、例えば、約3〜30分程度、特に約15分間
加熱する。先端が破れて鋭い縁ができ、電界集中が起こ
りやすくなるためである。
【0030】請求項8記載の電子放出素子は、導電性基
材を切削加工することにより導電性基部上に多数の突起
部を形成し、その後、少なくとも該突起部の表面に炭化
珪素膜を形成し、次いで、真空中あるいは微量酸素を含
有する雰囲気において該炭化珪素膜の表面から珪素原子
が失われる温度に加熱することにより、該炭化珪素膜の
表面から珪素原子を除去して、該炭化珪素膜の表面から
内部へ成長形成されてなる多数のカーボンナノチューブ
を有することを特徴とする。また、請求項13記載の電
子放出素子は、導電性基部と該導電性基部上に突設され
た多数の突起部とからなり、該各突起部の少なくとも表
面部には、多数のカーボンナノチューブが形成されてい
ることを特徴とする。さらに、請求項15記載の電子放
出素子の製造方法は、導電性基材を切削加工することに
より多数の突起部を形成し、その後、該突起部の表面に
炭化珪素膜を形成し、次いで真空中あるいは微量酸素を
含有する雰囲気において該突起部の表面から珪素原子が
失われる温度に加熱することにより、該突起部の表面か
ら珪素原子を除去して、該突起部の表面から内部へ成長
形成されてなる多数のカーボンナノチューブが形成され
ることを特徴とする。
【0031】上記「突起部」は、(1)図11に示すよ
うに、導電性突起部121とカーボンナノチューブ12
3とからなるもの、又は、(2)図12に示すように、
導電性突起部121と炭化珪素製膜122とカーボンナ
ノチューブ123からなるもの等とすることができる。
本電子放出素子は、カーボンナノチューブに電界を集中
させて、高効率に電子放出するものであり、「少なくと
も」この突起部の表面部、特に、少なくともそのうちの
最先端部には、カーボンナノチューブが形成されている
ものである。
【0032】上記請求項8及び15記載の発明において
は、「導電性基材」を切削加工して、基部及び突起部を
形成して、その後、この形成体の少なくとも突起部の表
面に炭化珪素膜を形成する。尚、請求項13記載の発明
においては、このような加工方法に限定されない。この
導電性基材の材料は、炭化珪素の膜を形成する際にこの
炭化珪素と反応しにくいものであれば、特に限定されな
い。この導電性基材の材料の例としては、前記で説明し
た導電性材料に関する記載を、そのまま適用するものと
する。更に、この材料の融点は、好ましくは1300℃
以上、より好ましくは1600℃以上である。但し、上
限は4000℃である。この基材の材料の融点が130
0℃を下回ると上記炭化珪素の膜を形成する際に上記突
起部の変形や融解が発生するため、好ましくない。
【0033】更に、上記基材の材料は、炭化珪素との熱
膨張係数の差が6×10−6(/℃)未満のものが好ま
しい。より好ましくは3×10−6(/℃)未満であ
る。炭化珪素との熱膨張係数差が0でもよい。この熱膨
張係数差が6×10−6(/℃)以上であると、上記突
起部に炭化珪素結晶膜を形成する際に、この結晶膜に亀
裂が生じる可能性がある。
【0034】上記切削加工された成形体(加熱前の切削
加工品)の突起部に炭化珪素製の膜を形成する。この炭
化珪素製の膜は、突起部のみに形成されてもよいし(図
10の23参照)、基部の露出表面にも形成されてもよ
い(図示せず)。この炭化珪素膜は、単結晶膜でもよい
が、多結晶膜が好ましい。この炭化珪素は、前記に示す
ように、α−SiCである場合には(0001)面に配
向しており、この炭化珪素がβ−SiCの場合には(1
11)面に配向していることが好ましい。これらの場合
には、上記基部に対して垂直に配向したカーボンナノチ
ューブを得やすい。更に、上記以外の方位の炭化珪素の
表面はグラファイトが生成しやすいため、突起の先端部
に電界が集中しやすいとともに先端のカーボンナノチュ
ーブへの導電性を向上させる効果がある。この炭化珪素
の結晶膜は、例えば、気相成長法、液相成長法等により
上記成形体上に形成することができる。これらのうち、
気相成長法が好ましく、例えば、CVD法、MBE法、
スパッタ法等が挙げられるが、CVD法、スパッタ法が
好ましい。
【0035】上記CVD法によりβ−SiC多結晶膜を
形成する場合の成膜温度は、通常、650〜950℃、
好ましくは750〜850℃である。この温度範囲であ
れば、形成される炭化珪素多結晶膜が(111)面に配
向しやすくなる。一方、α−SiC多結晶膜を形成する
場合の成膜温度は、通常、1400〜2000℃、好ま
しくは1550〜1850℃である。この温度範囲であ
れば、形成される炭化珪素多結晶膜が(0001)面に
配向しやすくなる。
【0036】この炭化珪素の膜が形成された突起部を、
真空中或いは微量酸素を含有する雰囲気において上記突
起部に形成された炭化珪素の膜の表面から珪素原子が失
われる温度に加熱することにより、上記炭化珪素の膜か
ら珪素原子を除去して、炭化珪素膜の表面から内部へカ
ーボンナノチューブが成長形成される。尚、本発明にお
いて、カーボンナノチューブを成長形成させる方法及び
加熱方法等は、前記に示す方法を適用することとする。
【0037】炭化珪素膜の珪素原子が除去の程度によ
り、種々の態様のものが得られる。即ち、本発明に係わ
る素子態様としては、(1)図11に示すように、炭化
珪素膜の全部の珪素原子が除去されたもの、即ち導電性
芯部121の表面に接触するように全てカーボンナノチ
ューブ123が形成されているもの、又は(2)図12
に示すように、炭化珪素膜の一部の珪素原子が除去され
たもの、即ち導電性芯部121の表面に接触するように
形成されている炭化珪素膜122と、その上に形成され
ているカーボンナノチューブ123とからなるものが挙
げられる。尚、前者が低電圧で電界集中させる点では好
ましい。
【0038】以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的
に説明する。 [実施例1]本実施例は、基材として、縦3mm、横4
mm、厚さ1mmのアモルファスカーボンを用いた。こ
の基材を先端が20度の鋭角形状を有するダイヤモンド
ブレードにより10μm間隔で切削加工し、図3に示す
ような基部11と突起部12とを形成した。切削加工し
た基材の断面形状を測定した結果を図14に示す。この
図14から判るように約15〜20度の鋭角な突起にな
っていた。
【0039】この切削加工後の成形体を脱脂洗浄した
後、この成形体を反応管の中に入れて、水素プラズマ
中、炭化珪素が(111)面に配向する温度である80
0℃で60分間加熱した。成形体の温度が安定した後、
原料ガスを導入し、成膜を開始した。Cの原料ガスとし
てCを、Siの原料ガスとしてSiHCl
使用した。原料ガスは水素で10%に希釈・充填したボ
ンベから供給され、反応室へ入る前にキャリアガスの水
素と混合した。
【0040】それぞれのガス流量はHが343scc
m、SiHClが14sccm、Cが9sc
cmであった。炭化珪素膜を約0.2μm堆積させた
後、この炭化珪素膜23の堆積された成形体(加熱前炭
化珪素膜付き切削加工品、図10参照)2を得た。
【0041】その後、この成形体を真空炉内にセット
し、真空中(133×10−4Pa)、1700℃、2
時間の条件で炭化珪素を昇華分解させ、電子放出素子を
得た。この電子放出素子のカーボンナノチューブを透過
型電子顕微鏡で観察したところ、突起部の表面に対して
垂直に配向したカーボンナノチューブ膜が生成してお
り、突起部先端には、基部に対して垂直に配向したカー
ボンナノチューブ膜が生成していた。次いで、カーボン
ナノチューブの先端のキャップを大気中、580℃、1
5分の条件で取り除いた。この電子放出素子の電流電圧
特性を測定し、図14に印加電圧と電流値の相関関係を
示した。この図14から判るように、印加電圧が400
Vで電子の放出が開始され、1.2kVでは200μA
の電流値が得られた。
【0042】[実施例2]本実施例は、基材として、縦
3mm、横4mm、厚さ0.3mmの6H−SiC(C
面)を用いたものである。この基材を先端が20度の鋭
角形状を有するダイヤモンドブレードにより10μm間
隔で切削加工し、図3と同形状の基部と突起部を形成し
た。切削加工後の成形物を脱脂洗浄した後、フッ酸水溶
液(又はアルカリ溶液)にて炭化珪素の表面の酸化膜を
除去した。その後、この成形物を真空炉内にセットし、
真空中(133×10−4Pa)、1700℃、10時
間の条件で炭化珪素を昇華分解させ、電子放出素子を得
た。
【0043】この電子放出素子のカーボンナノチューブ
を透過型電子顕微鏡で観察したところ、突起部先端に
は、基部に対して垂直に配向したカーボンナノチューブ
膜が生成していた。また、他の部分にはグラファイトの
生成が認められた。次いで、このカーボンナノチューブ
先端のキャップを大気中、580℃、15分の条件で取
り除いた。この電子放出素子の電流電圧特性を測定した
ところ、印加電圧700Vで電子の放出が開始し、1.
5kVでは210μAの電流値が得られた。
【0044】[実施例3]本実施例は、基材として、導
電性のMoを用いたものである。この基材を先端が20
度の鋭角形状を有するダイヤモンドブレードで10μm
間隔で切削加工し、図3と同形状の基部と突起部を形成
した。その後、この切削加工後の成形体をエタノール、
続いてアセトンにて超音波洗浄を行って脱脂した後、反
応管の中に入れて、水素雰囲気、800℃で20分間加
熱した。成形体の温度が安定した後、原料ガスを導入
し、成膜を開始した。Cの原料ガスとしてCHCl
を、Siの原料ガスとしてSiHを使用した。
【0045】原料ガスは水素で10%に希釈・充填した
ボンベから供給され、反応室へ入る前にキャリアガスの
水素と混合した。各ガス流量はHが340sccm、
SiHが14sccm、CHClが9.4sccm
であった。膜を約0.2μm堆積させた後、この膜の堆
積された成形体を取り出した。そして、この成形体を真
空中(133×10−4Pa)、1700℃、1時間の
条件で炭化珪素を表面分解させ、電子放出素子を得た。
電子放出素子のカーボンナノチューブ膜を透過型電子顕
微鏡で観察したところ、突起部の表面に対して垂直に配
向したカーボンナノチューブ膜が生成しており、突起部
先端には、基部に対して垂直に配向したカーボンナノチ
ューブ膜が生成されていた。
【0046】ナノチューブ先端のキャップを大気中、5
80℃、15分の条件で取り除いた後、この基板の電流
電圧特性を測定したところ、印加電圧600Vで電子の
放出が開始し、1.5kVでは220μAの電流値が得
られた。
【0047】実施例1〜3の効果 上記実施例1で示したように、基材として、アモルファ
スカーボンを使用して、基部上に、逆V字状の突起部を
容易に作製できた。また、この突起部の最先端部には、
基部面に対して垂直に配向したカーボンナノチューブを
得ることができた。図15に示すように、低電圧を印加
して、高い電流値が得られるのは、このカーボンナノチ
ューブの密度が、冷陰極型電子放出素子として適度なも
のであることが判る。この様に、カーボンナノチューブ
の密度を調整できたことにより、カーボンナノチューブ
の優れた機能を冷陰極型電子放出素子において最大限に
生かすことができる。また、基材として6H−SiC
(C面)を用いた実施例2の素子、及び基材としてモリ
ブデンを使用しその上に炭化珪素膜を形成させこれを加
熱処理して得た実施例3の素子においても、実施例1と
ほぼ同様に、低電圧を印加して、高い密度の電流が得ら
れる。以上のように、少なくとも突起部最先端部が、基
部面に対して垂直に配向している素子においては、突起
先端部に電界が集中しやすく高効率の電子放出機能をう
ることができる。
【0048】
【発明の効果】本発明の電子放出素子及びその製造方法
によれば、電子源の間隔及び長さを切削加工のピッチ及
び深さをコントロールすることで容易に変更可能であ
る。また、導電性突起部上にカーボンナノチューブを形
成することにより、電子源の密度の高い電子放出素子を
作製することが可能である。また、本発明においては、
カーボンナノチューブは曲率半径が小さく、化学的安定
性に優れているので、高い電子放出効率と安定した電流
強度を得ることができる。また、カーボンナノチューブ
の密度を最適条件で設計することができるので、低電圧
で高輝度の電子源を作製することが可能である。更に、
本発明の電子放出素子は、少なくとも突起部最先端部
が、基部面に対して垂直に配向しているので、突起先端
部に電界が集中しやすく高効率の電子放出機能をうるこ
とができる。また、この基材にα−SiCやβ−SiC
を用いることにより、基部に垂直に配向したカーボンナ
ノチューブを生成させることができ、より高効率の電子
放出性を有する電子放出素子を得ることができる。ま
た、カーボンナノチューブの生成温度を調節することに
より電流密度の高い電子放出素子を作製することが可能
である。以上のように、本発明によればカーボンナノチ
ューブを基部に対して垂直に、且つ、適切な密度のカー
ボンナノチューブを基部に配設できるので、低電圧で高
効率の電子放出性を有する冷陰極型電子放出素子の利用
に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】U字形状のブレードで一定方向に切削加工した
導電性基板を示す斜視図である。
【図2】U字形状のブレードで一定方向に切削加工し、
更に、直角方向に切削加工した導電性基板を示す斜視図
である。
【図3】V字形状のブレードで一定方向に切削加工した
導電性基板を示す斜視図である。
【図4】V字形状のブレードで一定方向に切削加工し、
更に、直角方向に切削加工した導電性基板を示す斜視図
である。
【図5】柱状突起部の他の態様を示す説明断面図であ
る。
【図6】柱状突起部の他の態様を示す説明断面図であ
る。
【図7】炭化珪素製突起部の表面にカーボンナノチュー
ブが生成した場合の断面模式図である。
【図8】炭化珪素製突起部の全部がカーボンナノチュー
ブになった場合の断面模式図である。
【図9】炭化珪素製の基部の一部及び炭化珪素製の突起
部の全部にカーボンナノチューブが生成した場合の断面
模式図である。
【図10】導電性突起部表面に炭化珪素膜を形成した場
合の断面模式図である。
【図11】導電性突起部の表面の炭化珪素の膜の珪素原
子の全部を除去した場合にカーボンナノチューブが生成
した断面模式図である。
【図12】導電性突起部の表面の炭化珪素の膜の珪素原
子の一部を除去した場合にカーボンナノチューブが生成
した断面模式図である。
【図13】柱状突起部の他の態様を示す説明断面図であ
【図14】突起部が所定距離(間隔)である旨の結果を
示す説明図である。
【図15】電流値と印加電圧の相関関係を表したグラフ
である。
【符号の説明】
1;電子放出素子、11;導電性基部、炭化珪素製基
部、12;導電性突起部、炭化珪素製突起部、111;
炭化珪素製基部、112;カーボンナノチューブ基部、
121;導電性突起部、炭化珪素製突起部、122;炭
化珪素製膜突起部、123;カーボンナノチューブ突起
部、123a;電子放出素子突起部先端、2;加熱前炭
化珪素膜付切削加工体、21;切削加工体導電性基部、
22;切削加工体導電性突起部、23;炭化珪素製膜の
突起部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 柴田 典義 名古屋市熱田区六野二丁目4番1号 財団 法人ファインセラミックスセンター内 Fターム(参考) 5C127 AA01 AA02 AA20 BA05 BA06 BA13 BA15 BB07 BB15 CC03 DD62 DD69 EE02 5C135 AA05 AA06 AA13 AA15 AA20 AB07 AB15 AC02 HH02

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性基材を切削加工することにより、
    導電性基部上に多数の導電性突起部を形成してなること
    を特徴とする電子放出素子。
  2. 【請求項2】 導電性基部と、該導電性基部上に突設さ
    れた多数の導電性突起部とからなることを特徴とする電
    子放出素子。
  3. 【請求項3】 炭化珪素製基材を切削加工することによ
    り炭化珪素製基部上に多数の突起部を形成し、その後、
    真空中或は微量酸素を含有する雰囲気において該突起部
    の表面から珪素原子が失われる温度に加熱することによ
    り、該突起部から珪素原子を除去して、該突起部の表面
    から内部へ成長形成される多数のカーボンナノチューブ
    が少なくとも突起部の表面部に形成されていることを特
    徴とする電子放出素子。
  4. 【請求項4】 上記炭化珪素基材がα−SiCである場
    合には、上記カーボンナノチューブは、上記α−SiC
    の(0001)面に対して垂直に配向してなる請求項3
    記載の電子放出素子。
  5. 【請求項5】 上記炭化珪素基材がβ−SiCである場
    合には、上記カーボンナノチューブは、上記β−SiC
    の(111)面に対して垂直に配向してなる請求項3記
    載の電子放出素子。
  6. 【請求項6】 上記加熱温度が1200〜2000℃で
    ある請求項3乃至5のいずれかに記載の電子放出素子。
  7. 【請求項7】 炭化珪素製基部と、該炭化珪素製基部上
    に突設された多数の突起部とからなり、該各突起部の少
    なくとも表面部には、多数のカーボンナノチューブが形
    成されていることを特徴とする電子放出素子。
  8. 【請求項8】 導電性基材を切削加工することにより導
    電性基部上に多数の突起部を形成し、その後、少なくと
    も該突起部の表面に炭化珪素膜を形成し、次いで、真空
    中あるいは微量酸素を含有する雰囲気において該炭化珪
    素膜の表面から珪素原子が失われる温度に加熱すること
    により、該炭化珪素膜の表面から珪素原子を除去して、
    該炭化珪素膜の表面から内部へ成長形成されてなる多数
    のカーボンナノチューブを有することを特徴とする電子
    放出素子。
  9. 【請求項9】 上記導電性基材はカーボンである請求項
    8記載の電子放出素子。
  10. 【請求項10】 上記炭化珪素膜を構成する炭化珪素が
    α−SiCである場合、カーボンナノチューブがα−S
    iCの(0001)面に対して垂直に配向している請求
    項8又は9記載の電子放出素子。
  11. 【請求項11】 上記炭化珪素膜を構成する炭化珪素が
    β−SiCである場合、カーボンナノチューブがβ−S
    iCの(111)面に対して垂直に配向している請求項
    8又は9記載の電子放出素子。
  12. 【請求項12】 上記加熱温度が1200〜2000℃
    である請求項8乃至11のいずれかに記載の電子放出素
    子。
  13. 【請求項13】 導電性基部と、該導電性基部上に突設
    された多数の突起部とからなり、該各突起部の少なくと
    も表面部には、多数のカーボンナノチューブが形成され
    ていることを特徴とする電子放出素子。
  14. 【請求項14】 炭化珪素製基材を切削加工することに
    より、炭化珪素製基部上に多数の突起部を形成し、その
    後、真空中あるいは微量酸素を含有する雰囲気において
    該突起部の表面から珪素原子が失われる温度に加熱する
    ことにより、該突起部から珪素原子を除去して、各突起
    部の少なくとも表面部に多数のカーボンナノチューブが
    形成されることを特徴とする電子放出素子の製造方法。
  15. 【請求項15】 導電性基材を切削加工することによ
    り、導電性基部上に多数の突起部を形成し、その後、少
    なくとも該突起部表面に炭化珪素膜を形成し、次いで、
    真空中あるいは微量酸素を含有する雰囲気において該炭
    化珪素膜表面から珪素原子が失われる温度に加熱するこ
    とにより、該炭化珪素膜表面から珪素原子を除去して、
    該炭化珪素膜表面から内部へ成長形成されてなる多数の
    カーボンナノチューブが形成されることを特徴とする電
    子放出素子の製造方法。
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