JPH08264862A - ダイヤモンド冷陰極およびダイヤモンド冷陰極を用いた電界放出素子ならびにダイヤモンド冷陰極の製造方法 - Google Patents

ダイヤモンド冷陰極およびダイヤモンド冷陰極を用いた電界放出素子ならびにダイヤモンド冷陰極の製造方法

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JPH08264862A
JPH08264862A JP6612995A JP6612995A JPH08264862A JP H08264862 A JPH08264862 A JP H08264862A JP 6612995 A JP6612995 A JP 6612995A JP 6612995 A JP6612995 A JP 6612995A JP H08264862 A JPH08264862 A JP H08264862A
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field emission
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Takefumi Ishikura
威文 石倉
Satoshi Yamashita
敏 山下
Tanemasa Asano
種正 浅野
Shinichi Oga
伸一 男鹿
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Tokyo Gas Chemicals Co Ltd
Tokyo Gas Co Ltd
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Tokyo Gas Chemicals Co Ltd
Tokyo Gas Co Ltd
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    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J2201/00Electrodes common to discharge tubes
    • H01J2201/30Cold cathodes
    • H01J2201/304Field emission cathodes
    • H01J2201/30446Field emission cathodes characterised by the emitter material
    • H01J2201/30453Carbon types
    • H01J2201/30457Diamond

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  • Cold Cathode And The Manufacture (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 基板と平行な(111)配向面が極めて小さ
くて尖ったダイヤモンド孤立粒子からなる冷陰極の電子
放出特性を向上させる。 【構成】 CVD法によって銅基板上に合成した先端が
尖ったダイヤモンド孤立粒子の表面を水素プラズマ処理
した冷陰極。原料ガスの炭素量を極めて低くしたCVD
法で合成して得た先端が尖ったダイヤモンド孤立粒子の
表面を水素プラズマ処理する冷陰極の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電界放出特性を改善し
たダイヤモンド冷陰極および該ダイヤモンド冷陰極を用
いた電界放出素子ならびに前記ダイヤモンド冷陰極の製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ダイヤモンドは数々の優れた電気的特性
を示すが、その1つに、表面から電子を放出しやすいと
いう負の電子親和力を安定して示すことが知られてお
り、その特性を応用した電子部品の1つとして冷陰極が
注目されている(日経サイエンス1992年12月号第
129頁および第130頁)。またこの特性の別の応用
例として、物質の表面の原子構造を解析するAFM(At
omic Force Microscope)やSTM(Scanning Tunnel M
icroscope)のような装置の探針としてダイヤモンド結
晶を利用することが考えられている。
【0003】ところで、近年、気相からダイヤモンドを
低圧で合成する化学的気相成長法(CVD法)が研究、
開発され、種々の方式のCVD法が試みられているが、
上述したような応用面を考えると、CVD法において合
成されるダイヤモンドの結晶配向や形状が任意に制御で
きることが望ましい。
【0004】すなわち、ダイヤモンドは結晶面によって
原子の密度や原子の配列が異なることから結晶面によっ
て物性も異なる。ダイヤモンドの(111)結晶面が負
の電子親和力を持ち、上記の応用面で有利であることは
既に知られている。また電子の放出は、平面部よりも尖
鋭な部分ほど電解が集中し易いことから大きくなること
が知られている。
【0005】従来、CVD法により合成されるダイヤモ
ンドの結晶方向を制御する技術がわずかではあるが知ら
れている。その1つは、エピタキシャル成長法と呼ばれ
ている方法で、これらの方法によれば、ダイヤモンドを
析出させる基板として同じダイヤモンドあるいはごく限
られた材料(たとえば炭化ケイ素、シリコン、立方晶窒
化ホウ素、ニッケルなど)を用いることによりダイヤモ
ンドをその基板の結晶方向と同じ方向に配向させること
ができる(雑誌「表面化学」第15巻第2号、第91頁
〜第95頁、平成6年3月10発行)。
【0006】また、別の方法として、特開平2−160
695号公報には、銅の単結晶基板に有機化合物を含有
する原料ガスを活性化して、(111)面が基板と平行
に成長した6−8面体の単結晶的なダイヤモンドを析出
させる方法が提案されている。
【0007】これらの方法を用いれば、応用面としての
冷陰極や物質表面の原子構造の解析装置に用いるのに好
適な(111)面に配向したダイヤモンドを合成するこ
とはできるが、電子の放出能力を向上させるには、その
後ダイヤモンド結晶の一部を電界を集中させるために該
面を尖鋭にする加工が必要になる。
【0008】ところでダイヤモンドを対象としたもので
はないが、単結晶シリコンで作成した冷陰極の1種であ
る電界放射形冷陰極の一部に尖鋭なエミッタを作成する
方法として、(1)真空蒸着を利用する方法、(2)異
方性エッチングを利用する方法、(3)膜の堆積形状を
利用する方法、(4)イオンミリング法などが知られて
いる(「電子工業月報」第32巻第12号、1990年
12月発行、第23頁ないし第25頁)。しかし、これ
らの方法のうち(1)および(3)の方法はシリコン基
板に蒸着によりエミッタを形成する方法なのでダイヤモ
ンドの尖鋭加工には適用することはできないし、(2)
の方法は、ダイヤモンドの異方性エッチングが難しい上
に、単結晶にしか適用できないので現状大面積のダイヤ
モンド単結晶が合成不可能である以上、この方法も利用
できない。(4)の方法は結晶にイオンビ−ムを当て結
晶の方向によらず等方的に加工する方法であるが、ダイ
ヤモンドはイオンにより削りにくく時間が掛る上イオン
ビ−ムのエネルギ−制御が微妙で実用化が困難である。
したがって、これらの方法で、ダイヤモンド粒子を尖鋭
化することは困難であった。
【0009】一方、真空中に電子を放出するエミッタ部
として半導体ダイヤモンドを用いた冷陰極エミッタ素子
は、例えば、特開平5−152640号公報に示される
ように既に知られている。
【0010】この技術は、低抵抗シリコン基板またはそ
の上に設けたダイヤモンド膜の上にボロンをドーピング
して得た半導体ダイヤモンド粒子を冷陰極として用いる
発明であり、エミッタ部の耐熱性および耐電圧が高く、
エミッタ先端部の形状の変化が抑制されて電子放射特性
の劣化が少なく、大電流で使用することも可能な冷陰極
を提供できる。
【0011】しかしながら、この先行技術に示される冷
陰極は、ボロンをドーピングして得た半導体ダイヤモン
ドを選択的に成長させたり多結晶の半導体ダイヤモンド
膜を用いていることから、均一な加工が難しく、かつ、
エミッタ部の先端を確実に尖った形状とすることが困難
で、電子の放出の効率を上げるのに限界があった。
【0012】そのほか、より良好な電界放出特性を得る
ために、例えば、T.Asano 他、Proc,IVMC'94(1994) p10
0(7th International Vacuum Microelectronics Confer
ence,“Field Emission from Ion-Milled Diamond Film
s on Si ”、K.Okano 他 APPL.Phys.Lett. 64 (20),16
May 1994 “ Fabricatoin of a diamand field emitter
array ”などには、ダイヤモンド膜を加工したり型を
とるなどの方法で特性の向上を図ることが提案されてい
る。
【0013】また、本発明の出願人等は、ダイヤモンド
が安定で高電流の電界放出を得ることができるエミッタ
材料として期待できることから、銅(Cu)を基板とし
て用い、この基板上にプラズマCVD法で(111)方
向性を持つ尖ったダイヤモンド孤立粒子を合成し、エミ
ッタ材料に用いる発明を平成6年3月25日に出願した
(特願平6−79975号)。
【0014】この冷陰極は、化学的気相成長法によって
得たダイヤモンド結晶を用いるものであって、(11
1)配向面が基板面と平行でかつ該基板面と平行な(1
11)配向面の面積が結晶の該基板面上の面積の約1/
20以下であるダイヤモンド結晶を用いるものである。
【0015】この、冷陰極は、CVD法によって得たダ
イヤモンド結晶を利用するものであり、ダイヤモンド結
晶の先端の形状を尖鋭化して従来のものに比して電子放
出能力を改善することは示されているが、その表面状態
が電子放電特性に及ぼす影響を検討し、この能力をさら
に向上させることについて考慮したものではない。
【0016】また、型どりや加工による結晶先端の尖鋭
化は、工程が多く複雑であり、さらに、一般にダイヤモ
ンドの薄膜多結晶体に成りやすいことから均一な加工も
難しいことであった。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】この出願の第1の発明
は、基板と平行な(111)配向面が極めて小さくて尖
鋭加工が不要なダイヤモンド孤立粒子を用いた冷陰極を
提供するとともに、該冷陰極の電子放出能力をさらに向
上させることを目的とする。
【0018】この出願の第2の発明は、上記第1の目的
として提供したダイヤモンド結晶を用いた冷陰極を用い
た電子放出素子を提供することを目的とする。
【0019】さらに、この出願の第3の発明は、上記気
相成長させたダイヤモンド孤立粒子の電子放出特性を改
良した冷陰極の製造方法を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】請求項1および2に記載
の発明は、基板上に化学的気相成長によって合成したダ
イヤモンド孤立粒子表面を水素プラズマ処理して、冷陰
極とした。
【0021】また請求項3および4に記載の本発明は、
基板上に化学的気相成長によって合成したダイヤモンド
孤立粒子表面を水素プラズマ処理して得た冷陰極を電界
放出素子とした。
【0022】請求項5に記載された発明は、基板に銅板
を用い、原料ガスとしてメタンガスの濃度を0.5%以
下として、(111)方向に結晶を成長させて、先端が
尖ったダイヤモンド孤立粒子から成る冷陰極を得た。
【0023】
【作用】本発明は、以上の構成によって、ダイヤモンド
粒子を孤立粒子として(111)方向に成長させて結晶
先端が尖った形状の粒子を得るとともに、該ダイヤモン
ド粒子の表面を水素プラズマ処理することによって、電
子放出特性を向上させた。
【0024】
【実施例】以下、図面を用いて本発明の実施例を詳細に
説明する。
【0025】本発明は、マイクロ波プラズマCVD法に
よるダイヤモンド合成方法によって得られたダイヤモン
ド孤立粒子を用いた冷陰極に係るものであり、図1にダ
イヤモンド合成装置であるマイクロ波プラズマCVD装
置を示す。
【0026】この装置は従来知られているものと同じ構
造で、ダイヤモンドを合成する石英製の反応容器1と、
反応容器1内に設けられた基板支持台2と、マイクロ波
を反射する反射板3と、励起源としてのマイクロ波発振
器と、マイクロ波発振器4により発生されるマイクロ波
を反応容器1の反応場F(破線の丸で示す)に導く導波
管5から構成される。導波管5には、マイクロ波発振器
4に供給される電力を監視する電力モニタ6が設けられ
ている。
【0027】上記装置を用いてダイヤモンドを合成する
には、まず反応容器1を高真空にし、ガス導入口1aか
ら、原料ガスとして、メタン、エタン、プロパン、ブタ
ン、エチレン、ベンゼンなどの炭化水素ガスと、酸素
と、水素のあらかじめ定めた割合の混合ガスを反応容器
1内に導入し、マイクロ波発振器4を起動させてマイク
ロ波を反応容器1の反応場Fに導きプラズマを生成す
る。混合ガスを導入することによって反応容器1内の圧
力を40(Torr)に維持する。その後、基板支持台2にダ
イヤモンド析出用の基板10としての銅板を乗せたもの
を反応容器1内の反応場Fに形成されているプラズマ内
に入れる。このとき基板である銅板の温度は約650℃
ないし840℃になっており、反応容器1の周辺部は冷
却水で冷却されている。約50分後には基板10上に
(111)軸に配向成長したダイヤモンド孤立粒子結晶
が成長する。なお、後述する実験例では、基板温度は、
653℃ないし700℃が示されているが、上述のよう
に650℃ないし840℃の範囲で目的のダイヤモンド
孤立粒子を得ることができた。
【0028】図2は、本発明によって得られるダイヤモ
ンド孤立粒子の成長過程を説明する図で、(a)は、銅
基板上のダイヤモンド粒子の成長過程を示す平面図であ
り、(b)は、その側面図を示している。図2(a1)
は、銅基板上に形成した種を核として(111)配向面
にダイヤモンド粒子が成長を始めた初期の状態を示して
おり、斜線で示した部分が(111)配向面を示してい
る。この状態から、さらに合成を進めると(a2)に示
すように(111)配向面は正三角形になる。さらに合
成を進めると(a3)の状態を経由して(a4)に示す
ように先端が尖った形状のダイヤモンド孤立粒子が得ら
れる。なお、本図は、多結晶銅基板上に成長するダイヤ
モンド孤立粒子の形状を示すものである。ダイヤモンド
孤立粒子の大きさは時間の経過にともなって大きくなる
が、ダイヤモンド孤立粒子の形状を示す本図では粒子の
大きさを同じ大きさにして示している。図2(b3)に
示したように、(111)配向面の面積をaとし、基板
上における底面積をbとすると、a/bの値で尖鋭化の
程度すなわち尖鋭度を示すものとする。尖鋭度a/bが
1/24以下の場合を「尖鋭化あり」と定義する。
【0029】次に本発明者らが行ったダイヤモンドの合
成実験を実施例として説明する。以下に示す表は、メタ
ンの濃度および基板の材料とダイヤモンド孤立粒子の
(111)配向の有無ならびに尖鋭化の有無の関係を示
すものであり、銅基板上にメタン濃度を0.5%以下の
条件で成長させたときに、ダイヤモンド孤立粒子に(1
11)配向および結晶の尖鋭化が生じることが分かる。
【0030】
【表1】
【0031】実験には図1に示すマイクロ波プラズマC
VD装置を用いた。マイクロ波発振器4の発振周波数は
2450MHz、出力は500Wとした。ダイヤモンド
合成のための原料ガスは、メタンガスと酸素と水素との
混合ガス(全流量100ccm;CH4:O2=0.4〜1.
0ccm:0.2〜0.5ccm;全圧40Torr)を用いた。ダ
イヤモンドを析出させる基板10には銅板を用いた。基
板10の温度は650℃〜725℃とした。実験番号4
のダイヤモンドの合成時間は17.5時間とした。他の
実験番号の例では、成長した粒子の大きさがほぼ実験番
号4の例と同じになるように合成時間を調整した。すな
わち、ダイヤモンドの成長速度はメタン濃度に比例する
ので、メタン濃度が高くなるにしたがい合成時間を短く
した。
【0032】実験番号4の条件でダイヤモンド孤立粒子
を合成した結果、得られたダイヤモンド孤立粒子は、
(111)方向に配向し、図2(a4)(b4)に示す
ような先端部のみ尖った配向ダイヤモンドであり、その
平均粒径は約5μmであり、粒子密度は70個/mm2
であった。
【0033】さらに、実験番号1および実験番号2の例
は、メタン濃度を相違させた比較例であり、この例で
は、銅基板上に(111)配向面を有する孤立粒子を得
ることはできたが、メタン濃度がそれぞれ1.0%,
0.8%と高いことから、図2(a2)(b2)に示す
ような台形の粒子が成長するだけで、先端が尖鋭化する
ことはなかった。
【0034】また、実験番号3の例は、本発明の実施例
であるが、この例では、a/bが1/24程度となる状
態(ほぼ図2(a3)に示す状態)で粒子の尖鋭化は停
止し、尖鋭化がやや有ると評価できる状態の孤立粒子が
得られた。
【0035】実験例5は、基板をシリコンとした比較例
であり、シリコン基板上では、(111)配向を得るこ
とができず、しかも粒子の先端が尖鋭化した状態を得る
こともできなかった。
【0036】実験番号4で得たダイヤモンド孤立粒子を
エミッタとし、厚さ35μmの絶縁層にポリイミド膜を
設け、この上にシリコンSiのコレクタを形成した二極
素子構造の電界放射素子を形成し放射特性を測定した。
このときの測定装置内の圧力は、(2.3/107)(To
rr)以下であった。
【0037】試料は、合成した試料をそのまま用いた試
料1と、合成した試料をプラズマ処理装置(特型DEM
−451T,ドライエッチング装置(日電アネルバ
製))を用いて下記の条件で水素プラズマで処理した試
料2と、この試料を下記の条件で酸素プラズマで処理し
た試料3とを得た。
【0038】水素プラズマ処理条件;ガス流量:50cc
m、圧力:10〜11Pa、RFパワー:0.02W/cm、
基板バイアス電圧:30V、基板温度:室温、時間10
分。
【0039】酸素プラズマ処理条件;ガス流量:100
ccm、圧力:10Pa、RFパワー:0.33W/cm、基板
バイアス電圧:100V、基板温度:室温、時間10
分。
【0040】図3に、同一試料から得た銅基板上のダイ
ヤモンド孤立粒子のプラズマ処理前、水素プラズマ処理
後、酸素プラズマ処理後の電子放出特性を示す。図にお
いて、横軸はエミッタ−コレクタ間の印加電圧を示し、
縦軸はエミッタコレクタ間の電流を示しており、それぞ
れの曲線は、曲線Aがプラズマ処理前を、曲線Bが水素
プラズマ処理後を、曲線Cが酸素プラズマ処理後を示
す。ダイヤモンドをCVD法によって合成すると、供給
ガスの大部分が水素ガスであることから、合成されたダ
イヤモンドの表面は、水素終端されているが、このダイ
ヤモンドをさらに水素プラズマ処理することによって、
極めて顕著な効果が得られる。
【0041】図から明らかなように、水素プラズマ処理
を施すことによって、プラズマ処理前に比べて、低電圧
から放射が起き、放出電流が増加しており、電子放出特
性が大幅に改善されていることが分かる。さらに、酸素
プラズマ処理後には、電流が約3桁減少した。
【0042】ダイヤモンドは、表面が化学的に不活性で
あり、かつ不純物のドーピングによって半導体の性質を
持つことから、光陰極や冷陰極などのデバイス作成に非
常に有利であること、マイクロ波プラズマCVD法を用
いて作成したp型半導体多結晶ダイヤモンド薄膜や高圧
合成単結晶ダイヤモンド基板上にホモエピタキシャル成
長させたp型半導体ダイヤモンド薄膜を水素プラズマ処
理することによって、酸素プラズマ処理した試料に比較
して低いエネルギーで光電子放出すること、すなわち電
子親和力が負となり電子放出されることが知られている
(栄森他:第7回ダイヤモンドシンポジウム講演予講集
(1993.11)、p.80:CVDダイヤモンドの
電子親和力の評価)。
【0043】一方、本発明によって得られる尖ったダイ
ヤモンド孤立粒子は、表面を水素プラズマ処理すること
によって、表面導電層の導電特性が改善されるばかりで
なく、電子放出特性が大幅に改善され、電界放出素子な
どに用いる冷陰極として極めて有効なものである。
【0044】図4は、前記従来のダイヤモンド連続膜お
よび6−8面体のダイヤモンド孤立粒子と、本発明の先
端が尖ったダイヤモンド孤立粒子の電子放出特性を比較
する図である。この図で、電子放出特性は、横軸に印加
電圧逆数(103/V)をとり、縦軸に、放出電流
(I)と電圧(V)の2乗の比(I/V2)をとって対
数目盛を用いて示したものである。この図において、白
抜き丸は未処理のダイヤモンドの測定値であり、白抜き
4角は水素プラズマ処理を施したダイヤモンドの測定値
である。群Aは、本発明によって得た銅基板上に(11
1)配向に成長させて得た尖鋭化したダイヤモンド孤立
粒子の例である。群Bは、シリコン基板上に成長させた
6−8面体の無配向のダイヤモンド粒子の例である。群
Cは、シリコン基板上に成長させたダイヤモンド連続膜
の例である。この図では、測定電極間距離を、A群では
35μmとし、B、C群では25μmとし、測定雰囲気の
圧力を(2.3/107)(Torr)以下とした。この図か
ら、本発明に係る尖鋭化したダイヤモンド粒子を用いた
電子放出電極は、電極間隔を広げたにもかかわらず、低
い電圧で高い電流(電子放出)を得ることができた。さ
らに、A、B群の特性から明らかなように、水素処理を
施した電極の電子放出特性が成長したままのダイヤモン
ド粒子に比較して大きく改善されていることが理解でき
る。
【0045】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、低圧下
で炭素濃度の低い原料ガスのもとでのCVD法によって
結晶の(111)面が基板面と平行で先端の尖ったダイ
ヤモンド結晶の表面を水素プラズマ処理した冷陰極とし
たので、電極の尖鋭加工が不要であり、先端を尖鋭化す
るとともに、ダイヤモンド結晶が電子親和力が負である
(111)面に配向しているので、電子放出能力を高め
た、微小冷陰極電子源を得ることができる。また、原子
構造解析装置用の探針として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるダイヤモンド結晶を製造するため
マイクロ波プラズマCVD装置の概略構成を示す図。
【図2】(a)はダイヤモンド結晶の(111)配向面
を模式的に示し、(b)はその側面を示す図。
【図3】本発明に係る冷陰極の電子放出特性図。
【図4】本発明に係る冷陰極と、ダイヤモンド膜を用い
た冷陰極の電子放出特性を説明する特性図。
【符号の説明】
1 反応容器 2 基板支持台 3 反射板 4 マイクロ波発振器 5 導波管 6 電力モニタ 10 基板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 男鹿 伸一 東京都世田谷区豪徳寺一丁目43番2号

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に化学的気相成長によって合成し
    た尖ったダイヤモンド孤立粒子表面を水素プラズマ処理
    したことを特徴とする冷陰極。
  2. 【請求項2】 銅基板上に化学的気相成長によって(1
    11)方向に配向成長させて合成した尖ったダイヤモン
    ド孤立粒子表面を水素プラズマ処理したことを特徴とす
    る冷陰極。
  3. 【請求項3】 基板上に化学的気相成長によって合成し
    た尖ったダイヤモンド孤立粒子表面を水素プラズマ処理
    した冷陰極を用いたことを特徴とする電界放出素子。
  4. 【請求項4】 銅基板上に化学的気相成長によって(1
    11)方向に配向成長させて合成した尖ったダイヤモン
    ド孤立粒子表面を水素プラズマ処理した冷陰極を用いた
    ことを特徴とする電界放出素子。
  5. 【請求項5】 銅基板上にメタン濃度が0.5%以下の
    雰囲気下のプラズマCVD法で気相成長させて合成した
    (111)方向に尖ったダイヤモンド孤立粒子表面を水
    素プラズマ処理することを特徴とするダイヤモンド冷陰
    極の製造方法。
JP6612995A 1995-03-24 1995-03-24 ダイヤモンド冷陰極およびダイヤモンド冷陰極を用いた電界放出素子ならびにダイヤモンド冷陰極の製造方法 Pending JPH08264862A (ja)

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WO1997036309A1 (fr) * 1996-03-27 1997-10-02 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Dispositif emetteur d'electrons et procede de fabrication
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