JP2003293257A - 断熱材とその製造方法 - Google Patents

断熱材とその製造方法

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JP2003293257A
JP2003293257A JP2002095621A JP2002095621A JP2003293257A JP 2003293257 A JP2003293257 A JP 2003293257A JP 2002095621 A JP2002095621 A JP 2002095621A JP 2002095621 A JP2002095621 A JP 2002095621A JP 2003293257 A JP2003293257 A JP 2003293257A
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heat
insulating material
fiber
heat insulating
polyester
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Masataka Yamada
賢孝 山田
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】とりわけ住宅用に好適に用いられるポリエステ
ルからなる断熱材であって、構成繊維同士の接着強力が
大きく、不織布の引張強度が大きく、なおかつ断熱性能
の向上した製造コストの安い断熱材を得る。 【解決手段】ともにポリエステルからなる、ベース繊維
と、脂肪族ジオール類を1モル%〜8モル%の範囲内で
含む融点が155℃以下の成分Aを少なくとも表面の一
部に有する熱融着性繊維とを含む不織布からなることを
特徴とする断熱材とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リサイクルの容易
な断熱材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】断熱材には、ガラスウール等の熱伝導性
の低い無機繊維を、塩化ビニールやフェノール樹脂など
の樹脂バインダーを用いて成型したものが広く用いられ
ている。しかし、ガラスウールを用いた断熱材は、施工
の際に、作業者の肌に触れると皮膚が刺激を受けたり、
作業者が吸引して咽喉に違和感を感じるなど、作業者の
労働衛生において好ましくない状態が発生する。また、
ガラスウール製の断熱材を長期間使用すると、湿気によ
りガラスウールの寸法が変化するという問題があった。
【0003】さらにまた、ガラスウール製の断熱材は、
使用後のリサイクルが困難であるため、使用後に発生す
るゴミによる環境破壊や資源の枯渇が問題であった。
【0004】また、ガラスウール製の断熱材とは別に、
ウレタンやスチレンなどの発泡体を用いた断熱材が開発
されているが、難燃性、断熱性、耐久性、施工性および
コストなどの全てを満足できるものは提案されていない
のが現状である。
【0005】このような問題を解決するために、ポリエ
ステルなどの有機系の合成繊維を用いた住宅用断熱材が
提案されている。例えばWO99/43903号公報に
は、ポリエステル繊維と、鞘に芯より融点が低い低融点
成分を使用した芯鞘型複合繊維とからなるポリエステル
繊維製の住宅用断熱材が開示されており、熱接着繊維の
芯成分と鞘成分の融点差が30℃以上であるものであれ
ばいずれも問題なく用いることができるとしている。し
かし、圧力6kgf/cm2のスチーム型熱処理装置を
用い熱成型を行う場合、熱処理温度が160℃以上には
上がらず、鞘成分の融点が180℃であるような芯鞘型
熱融着性繊維の場合は、熱成型できないという問題があ
る。さらにまた、WO99/43903号公報に開示の
方法では、不織布を遠赤外線または熱風ヒータで仮融着
し、しかる後に蒸気釜で熱処理するという製造方法が開
示されており、加工工程が複雑になるという問題があ
る。
【0006】あるいはまた、特開2001−14015
3号公報にはマトリクス繊維と熱融着繊維とを含む断熱
材で、不織布の表面に薄膜を形成して断熱性能を向上し
た合成繊維製の断熱材が記載されている。しかし、特開
2001−140153号公報に記載の合成繊維はポリ
エステルに限定されておらず、また単一繊維素材に限定
されていないため、リサイクルが難しい問題がある。さ
らにまた、特開2001−140153号公報において
も、カードウェブ表面を加熱して表面の熱接着繊維を融
着させて不織布の表面に薄膜を形成し、しかる後に蒸気
釜で熱処理する製造方法が記載されており、加工工程が
複雑になるという問題がある。
【0007】また、特開平9−26084号公報には合
成繊維の単一素材からなる断熱材が開示されているが、
用いる合成繊維の繊度、融点、比重などについて何ら規
定が無い。
【0008】また、特開平7−258921号公報に
は、ポリエステルの構成成分としてジエチレングリコー
ルを2〜30モル%含むことで、コポリエステルの流動
性が良く、かつ接着強力が充分なポリエステル系バイン
ダーが記載されている。しかし、特開平7−25892
1号公報は、繊維の製糸性が良好で充分な接着強力を持
ったポリエステル系バインダーについて記載があるだけ
で、断熱材用途への適用に関する具体的な記載はない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来
技術の背景に鑑み、ポリエステルからなる断熱材であっ
て、構成繊維同士の接着強力が大きく、不織布の引張強
度が大きく、なおかつ断熱性能の向上した製造コストの
安い断熱材およびその製造方法を提供せんとするもので
ある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の断熱材は、前記
の課題を解決するために、以下の構成を有する。すなわ
ち、ともにポリエステルからなる、ベース繊維と、脂肪
族ジオール類を1モル%〜8モル%の範囲内で含む融点
が155℃以下の成分Aを少なくとも表面の一部に有す
る熱融着性繊維とを含む不織布からなることを特徴とす
る断熱材である。
【0011】また、本発明の断熱材の製造方法は以下の
構成を有する。
【0012】すなわち、ともにポリエステルからなる、
ベース繊維と、脂肪族ジオール類を1モル%〜8モル%
の範囲内で含む融点が155℃以下の成分Aを少なくと
も表面の一部に有する熱融着性繊維とを混合し、この熱
融着性繊維の成分Aの融点以上の温度で1工程で加熱成
型することを特徴とする断熱材の製造方法である。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。
【0014】本発明の断熱材は、ともにポリエステルか
らなる、ベース繊維と、脂肪族ジオール類を1モル%〜
8モル%の範囲内で含む融点が155℃以下の成分Aを
少なくとも表面の一部に有する熱融着性繊維とを含む不
織布からなることを特徴とするものである。ここでいう
ポリエステルとしては、芳香族ジカルボン酸成分とグリ
コール成分とから構成されるポリエステルからなる繊維
を主たる対象とするが、中でもエチレングリコール又は
テトラメチレングリコールを主たるグリコール成分と
し、テレフタル酸、イソフタル酸又はナフタレンジカル
ボン酸を主たる酸成分とするポリエステル繊維、特に、
ポリエチレンテレフタレート系のポリエステル繊維が好
ましい。このようなポリエステル繊維の形態としては、
通常の溶融紡糸により得られるものであれば問題なく用
いることができる。断熱材は、ベース繊維と熱融着繊維
とを90wt%以上含んでいることが好ましい。
【0015】また、上記に記載のポリエステルから構成
されるものであれば、断熱材全体に対して、10wt%
未満の範囲でポリエステル樹脂を含浸または表面にコー
トしたものも問題なく用いることができるが、ポリエス
テル繊維のみから構成されるものは、リサイクルが容易
であるため好ましい。
【0016】本発明における熱融着性繊維は、脂肪族ジ
オール類を1モル%〜8モル%含むものである。脂肪族
ジオール類を1モル%以上含むことでポリマーの軟化点
が低下するため、熱処理による融着点がより多く発生す
るので、繊維同士の接着強力が増大し、断熱材の引張強
度が増大するので好ましい。
【0017】また、熱融着性繊維の脂肪族ジオール類含
有量が8モル%を越える場合、熱融着性繊維の溶融紡糸
の際にポリマーの粘度低下が発生し、べたつきが多発し
て紡糸性不良となるため好ましくない。
【0018】ここでいう脂肪族ジオール類としては、ポ
リエチレングリコール、プロピレングリコールなどが例
示されるが、ジエチレングリコール(以下DEGと記載
する)が最も製糸性が安定しているという点から好まし
い。
【0019】また本発明の断熱材は、密度が15kg/
3〜250kg/m3の範囲内にあるものが好ましい。
密度が15kg/m3未満の場合、厚みを100mm以
上にしないと断熱材としての充分な性能を得られず、非
常に嵩高の断熱材となってしまうため好ましくない。ま
た、密度が250kg/m3を越える場合、たとえば、
20mmの厚さの住宅用断熱材を成型するためには目付
5.0kg/m2のウェブを1m以上の厚みで積層した
ものを用いて成型しなければならない。このように、成
型前の厚みが非常に嵩高となり、熱処理装置に入らず成
型不可能となる、あるいは、大型の熱処理装置が必要と
なるため好ましくない。また、断熱材の厚みが100m
m以下で、かつ充分な断熱性能を兼ね備えるためには、
密度が100kg/m3〜250kg/m3の範囲にある
ものが、より好ましい。
【0020】また本発明におけるベース繊維は、繊度が
4dtex以下であるものが好ましい。ベース繊維の繊
度が4dtex以下であると、断熱材の内部に保持され
る空気が微小な領域に分割されて保持されるようになる
ため、断熱性能が向上するので好ましい。ベース繊維の
繊度が4dtexを越えるものを用いると、嵩高の不織
布になり、200kg/m3以上の高密度の不織布の形
成が困難となってしまうため好ましくない。
【0021】また、本発明における熱融着性繊維として
は、成分Aと成分Aよりも高い融点を有する成分Bとを
含み、成分Aを30wt%〜90wt%の範囲内で含ん
でいる繊維を用いることが好ましい。たとえば、低融点
のポリエステルである成分Aと、成分Aよりも高融点の
ポリエステルである成分Bとが貼り合わされたバイメタ
ル型の繊維でも良く、さらに好ましくは芯成分が高融点
のポリエステル成分Bであり、鞘成分が融点155℃以
下の成分Aであるような芯鞘型繊維である。成分Aは熱
融着性繊維の30wt%〜90wt%の範囲内にあるも
のが好ましいが、成分Aが30wt%未満の熱融着性繊
維の場合、たとえば、160℃で3分間熱処理をして
も、ベース繊維と熱融着性繊維との融着部分が少ないた
めに、熱成型した断熱材の層間剥離強力が低いものしか
得られないため好ましくない。
【0022】ここでいう層間剥離強力とは、断熱材の中
層部で長さ方向に100mm引き剥がした時の引張強力
をいう。
【0023】また、成分Aが90wt%を越える熱融着
性繊維の場合、熱処理をすることでベース繊維との融着
点の数が増大するため層間剥離強力は高いが、成分Aよ
りも高い融点を有する成分Bの割合が少ないために不織
布強度が低下してしまうため好ましくない。
【0024】また、本発明における熱融着繊維には、熱
融着成分が共重合ポリエステルからなるものも用いるこ
とができる。本発明における成分Aは熱融着成分として
作用し、融点が155℃以下のものであるが、融点が1
55℃以下である場合、圧力6kgf/cm2のスチー
ムを利用した汎用の熱処理装置によって充分融着が生じ
るため、熱成形が可能となる。この場合、熱処理装置
は、スチームを直接成型物に与えてもよいし、スチーム
の熱を熱交換した乾熱の空気を成型物に与えてもよい。
さらにまた、成分Aの融点が120℃以下であれば、圧
力が2kgf/cm2のスチームでも内部まで熱融着成
分が充分融着したものを得ることができるため、より好
適である。さらにまた、融点が120℃以下であれば、
断熱材成形時の高温圧着過程がより低温で実施可能とな
り、ベース繊維や成分Aよりも高融点の成分Bの熱劣化
が起こりにくく、不織布は強度低下しにくくなるため好
ましい。
【0025】また、成分AにのみDEGを1モル%〜8
モル%の範囲内で含むものは、成分Aのポリマーの軟化
点が低下し、より低温で融着が生じやすくなることに加
え、成分Bの融点を低下させないため、熱処理による劣
化が抑えら、好ましい。
【0026】本発明の断熱材は、表面および/または裏
面におけるベース繊維と熱融着性繊維との混合比が0:
100〜64:36の範囲内にあり、断熱材の内部にお
けるベース繊維と熱融着性繊維との混合比が65:35
〜90:10の範囲内にあるものが好ましい。表面およ
び/または裏面におけるベース繊維と熱融着性繊維との
混合比が0:100〜64:36の範囲内にあるもの
は、熱処理により表面および/または裏面において融着
点が多く生じることから、表面および/または裏面にお
いて空気の対流を抑制する効果が発生し、断熱性能が向
上するので好ましい。また、内部のベース繊維と熱融着
性繊維との混合比が65:35〜90:10の範囲内に
あると、熱成型後の、断熱材の強度が実用上問題ない程
度であるため好ましい。内部のベース繊維と熱融着性繊
維との混合比が0:100〜64:36の範囲内にある
と熱融着点は多く層間剥離強力は大きいが、引張強度が
小さいため好ましくなく、また、内部のベース繊維と熱
融着性繊維との混合比が91:9〜100:0の範囲内
にある場合、融着点が少ないため層間剥離強力が弱い断
熱材となるため好ましくない。
【0027】また、本発明の断熱材は、熱貫流抵抗値が
0.58m2・h・℃/kcal〜60m2・h・℃/k
calであるものが好ましい。熱貫流抵抗値が0.58
2・h・℃/kcal未満の断熱材では、官報(19
99.3.30発行)にある次世代省エネ基準の最低値
を満たさず、住宅用の断熱材に使用できないため好まし
くない。また熱貫流抵抗値が60m2・h・℃/kca
lを越える住宅用断熱材の場合、厚みが200mm以上
となり、実用上好ましくなく、さらに長期間使用すると
自重で変形してしまうおそれがあるため好ましくない。
【0028】ここでいう断熱性能とは熱貫流抵抗値のこ
とであり、熱貫流抵抗値が高い程、断熱性能は優れてい
る。
【0029】上記の熱貫流抵抗値の測定は、断熱環境試
験槽(アメフレック(株)製)で評価する。熱貫流抵抗
値の測定は、断熱環境試験槽の高温槽(25℃)と低温
槽(−25℃)との間に住宅用断熱材を置き、50℃の
温度差を保つのに必要な熱量を求め、その値から熱貫流
抵抗値を算出する方法である。
【0030】本発明の断熱材の製造方法は、ともにポリ
エステルからなる、ベース繊維と、脂肪族ジオール類を
1モル%〜8モル%の範囲内で含む融点が155℃以下
の成分Aを少なくとも表面の一部に有する熱融着性繊維
とを混合し、この熱融着性繊維の成分Aの融点以上の温
度で1工程で加熱成型することを特徴とする。ここで、
ベース繊維と熱融着性繊維との混合比は上記の理由か
ら、断熱材の表面および/または裏面においては0:1
00〜64:36の範囲内にあり、かつ断熱材の内部に
おいては90:10〜40:60の範囲内にあるものが
好ましい。ベース繊維と熱融着性繊維との混合は、通常
用いられるオープナーなどの開繊装置に所望の混合比の
繊維を投入して行うことができる。しかる後に、カード
装置またはエアーブロー装置でウェブとし、その後、た
とえば、クロスラッパー装置などでウェブを所定の密度
になるように積層する。その後、ウェブの上下をコンベ
アーベルト、鉄板、あるいは通気性を有する穴あき鉄板
に挟んで所定の厚みに圧縮して保持し、熱融着性繊維の
熱融着成分の融点以上の温度で加熱成形処理を1回実施
することで得ることができる。15kg/m3〜250
kg/m3の密度を有する断熱材とするためには、ウェ
ブの目付を調整し、目標の目付とするための厚みを算出
し、その厚みに圧縮して熱処理をすることで得ることが
できる。またここでいう1回の加熱成形処理は、積層し
たウェブの中心部の温度が熱融着性繊維の融点以上の温
度で、少なくとも1分間以上熱処理することが好まし
い。熱処理時間が1分間未満であると熱融着性繊維の融
着が不充分であるために、接着点が少なくなるので好ま
しくない。熱処理は、圧力6kgf/cm2以上のスチ
ームを利用した熱処理装置であれば問題なく用いること
ができ、さらにまた、セラミックなど通常の加熱ヒータ
ーを有する加熱装置であってもよく、スチームを直接成
型物に与えてもよく、スチームの熱を熱交換した乾熱の
空気を成型物に与えてもよく、熱媒を用いた熱風循環型
の熱処理装置でも問題なく用いることができる。
【0031】以上のような加熱成型を実施した後に、所
定の寸法に裁断して断熱材として用いることができる。
さらに、加熱成型を実施した後にポリエステル樹脂を表
面にコートまたは含浸し、しかる後に熱処理をしてポリ
エステル樹脂の乾燥と架橋を行って得られるものも、断
熱材として好適に用いることができる。表面および/ま
たは内部にポリエステル樹脂を含んだ断熱材は、表面と
内部との熱の出入りが阻害されるため、断熱性能が向上
するので好ましい。ただしリサイクルの問題から、ポリ
エステル樹脂を含まないものが断熱材としてより好まし
い。
【0032】本発明の断熱材は住宅用に好適に用いるこ
とができる。なぜなら、ポリエステルから構成されるた
め長期間使用しても湿気を含まず、自重によって変形す
るという問題が生じないためである。また、ガラスウー
ル製の住宅用断熱材に代表されるような、表層をアルミ
蒸着フィルムで覆うという構成ではないため、リサイク
ルが容易であることから好適に用いることができる。
【0033】
【実施例】以下、本発明について実施例を挙げて具体的
に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
【0034】なお、断熱材の各物性の測定方法は以下の
通りである。 [融点(軟化点)]セイコー電子工業(株)製の示差走
査熱量計DSC−SSC/560S型を使用し、昇温速
度10℃/分で測定した。明確な融点を示さない場合は
軟化点を測定して融点とした。 [層間剥離強力]長さ方向が繊維の配向方向になるよう
にして断熱材を巾30mm×長さ200mmに切り出
し、サンプルの厚みの中層部で長さ方向に100mm引
き剥がし、その後、引き剥がした両端をチャックでつか
み、強力を測定した。テンシロン測定機を用い、つかみ
間隔100mm、引張速度100mm/minで測定し
た。 [引張強力]長さ方向が繊維の配向方向になるようにし
て断熱材を巾50mm×長さ200mmに切り出し、テ
ンシロン測定機で、つかみ間隔100mm、引張速度1
00mm/minで測定した。長さ方向を経方向、巾方
向を経方向とした。 [熱貫流抵抗値]断熱環境試験槽(アメフレック(株)
製)の高温槽(25℃)と低温槽(−25℃)との間に
断熱材を保持し、低温槽を−25℃に保つ。その時に高
温槽を25℃に保つのに必要な電力量を測定する。この
電力量を熱量に換算し、その熱量から熱貫流抵抗値を算
出することで得た。 (実施例1)極限粘度が0.65、融点が255℃であ
る通常のポリエチレンテレフタレート系ポリエステル
(B)を芯成分に用い、ジエチレングリコール3モル%
を含み、極限粘度0.55、融点が150℃であるイソ
フタル酸32モル%共重合したポリエチレンテレフタレ
ート系ポリエステル(A)を鞘成分に用い、ポリエチレ
ンテレフタレート系ポリエステル(A)のポリマー重量
が繊維全体の60wt%である芯鞘型繊維を、紡糸温度
285℃、紡糸口金孔数24孔、引取り速度1350m
/分、吐出量36.22g/分で紡出して未延伸糸を得
た。
【0035】続いてこの未延伸糸を延伸後のトウデニー
ルが10万デニールとなるように合糸し、延伸倍率3.
0倍、延伸浴温度80℃で延伸し、クリンパーで機械捲
縮を付与した後、仕上げ油剤を噴霧してから64mmの
長さに切断してポリエステル系熱融着性繊維aを得た。
【0036】得られたポリエステル系熱融着性繊維aと
ポリエチレンテレフタレート系ポリエステル系のベース
繊維(東レ(株)製T201−2.2T×51mm)と
を50:50の重量比で混合し、オープナーとカードを
通して表面用のウェブを得た。
【0037】続いて、上述のポリエステル系熱融着性繊
維aとポリエチレンテレフタレート系ポリエステル系の
ベース繊維(東レ(株)製T201−2.2T×51m
m)とを30:70の重量比で混合し、オープナーとカ
ードを通して内部用のウェブを得た。
【0038】さらに、上述の表面用ウェブと内部用ウェ
ブとを積層し、通気性のある穴あき鉄板で挟んで20m
mの厚みに保持し、しかる後に熱風循環型の熱処理装置
を用いて、断熱材の中心部が160℃に到達してから3
分間熱処理し、常温下に3分間放置した後、穴あき鉄板
を外した。以上の加熱成形処理をすることで、断熱材を
得た。得られた断熱材の密度は110kg/m3であっ
た。 (実施例2)使用するポリエチレンテレフタレート系ポ
リエステル(A)とポリエチレンテレフタレート系ポリ
エステル(B)とは実施例1と同一のものとし、ポリエ
チレンテレフタレート系ポリエステル(A)のポリマー
重量が繊維全体の80wt%である芯鞘型繊維のポリエ
ステル系熱融着性繊維bを得た。
【0039】続いてこのポリエステル系熱融着性繊維b
とポリエチレンテレフタレート系ポリエステルのベース
繊維(東レ(株)製T201−2.2T×51mm)と
を70:30の重量比で混合し、オープナーとカードを
通して表面用のウェブを得た。
【0040】さらに、ポリエステル系熱融着性繊維bと
ポリエチレンテレフタレート系ポリエステルのベース繊
維(東レ(株)製T201−2.2T×51mm)とを
30:70の重量比で混合し、オープナーとカードを通
して内部用のウェブを得た。
【0041】続いて表面用ウェブと内部用ウェブとを積
層し、実施例1と同一の方法で加熱成形処理し、断熱材
を得た。得られた断熱材の密度は115kg/m3であ
った。 (実施例3)使用するポリエチレンテレフタレート系ポ
リエステル(A)とポリエチレンテレフタレート系ポリ
エステル(B)とは実施例1と同一のものとし、(A)
と(B)とから構成される貼り合わせのバイメタル型繊
維のポリエステル系熱融着性繊維cを得た。ポリエチレ
ンテレフタレート系ポリエステル(A)のポリマー重量
は、繊維全体の50wt%である。
【0042】得られたポリエステル系熱融着性繊維cと
ポリエチレンテレフタレート系ポリエステルのベース繊
維(東レ(株)製T201−2.2T×51mm)とを
実施例2と同一の混合比で混合し、表面用および内部用
のウェブとを得た。このウェブを積層した後、実施例1
と同一の方法で加熱成形処理を実施した。
【0043】その後、市販のポリエステル系樹脂(高松
油脂(株)製SR1800)の溶液に含浸し、マングル
で絞った後に140℃で30分熱処理して固着させた。
ポリエステル系樹脂の固着量は7wt%であり、得られ
た断熱材の密度は123kg/m3であった。 (比較例1)極限粘度が0.58、融点が180℃であ
るイソフタル酸24モル%共重合したポリエチレンテレ
フタレート系ポリエステル(B)を鞘成分に用い、ポリ
エチレンテレフタレート系ポリエステル(A)のポリマ
ー重量が繊維全体の60wt%であることに変更した以
外は、実施例1と同様の方法で芯鞘型のポリエステル系
熱融着性繊維dを得た。
【0044】得られたポリエステル系熱融着性繊維dと
ポリエチレンテレフタレート系ポリエステルのベース繊
維(東レ(株)製T201−20T×64mm)とを3
5:65の重量比で混合し、オープナーとカードを通し
て表面用のウェブを得た。
【0045】続いて、上述のポリエステル系熱融着性繊
維dとポリエチレンテレフタレート系ポリエステルのベ
ース繊維(東レ(株)製T201−20T×64mm)
とを40:60の重量比で混合し、オープナーとカード
を通して内部用のウェブを得た。
【0046】さらに、表面用ウェブと内部用ウェブを積
層し、通気性のある穴あき鉄板で挟んで20mmの厚み
に保持し、しかる後に熱風循環型の熱処理装置を用い
て、断熱材の中心部が160℃に到達してから3分間熱
処理し、常温下に3分間放置した後、穴あき鉄板を外し
た。以上の加熱成型処理をすることで、密度が11kg
/m3の断熱材を得た。しかし熱処理の温度が低かった
ため、得られた断熱材の厚みは34mmと厚く、強度も
小さいものしか得ることができなかった。 (比較例2)極限粘度が0.58、融点が160℃であ
るイソフタル酸32モル%共重合したポリエチレンテレ
フタレート系ポリエステル(B)を鞘成分に用い、ポリ
エチレンテレフタレート系ポリエステル(A)のポリマ
ー重量が繊維全体の60wt%であることに変更した以
外は、実施例1と同様の方法で芯鞘型のポリエステル系
熱融着性繊維eを得た。
【0047】得られたポリエステル系熱融着性繊維eと
ポリエチレンテレフタレート系ポリエステルのベース繊
維(東レ(株)製T201−20T×64mm)とを用
いて、比較例1と同様の方法で表面用、内部用のウェブ
を得て、しかる後に比較例1と同様の方法で加熱成型処
理することで断熱材を得た。得られた断熱材の密度は2
5kg/m3であった。 (比較例3)極限粘度が0.58、融点が160℃であ
るイソフタル酸32モル%共重合したポリエチレンテレ
フタレート系ポリエステル(B)を鞘成分に用い、ポリ
エチレンテレフタレート系ポリエステル(A)のポリマ
ー重量が繊維全体の10wt%であることに変更した以
外は、実施例1と同様の方法で芯鞘型のポリエステル系
熱融着性繊維fを得た。
【0048】得られたポリエステル系熱融着性繊維fと
ポリエチレンテレフタレート系ポリエステルのベース繊
維(東レ(株)製T201−20T×64mm)とを用
いて、比較例1と同様の方法で表面用、内部用のウェブ
を得て、しかる後に比較例1と同様の方法で加熱成処理
することで断熱材を得た。得られた断熱材の密度は26
kg/m3であった。 (比較例4)極限粘度が0.58、融点が160℃であ
るイソフタル酸32モル%共重合したポリエチレンテレ
フタレート系ポリエステル(B)を鞘成分に用い、ポリ
エチレンテレフタレート系ポリエステル(A)のポリマ
ー重量が繊維全体の95wt%であることに変更した以
外は、実施例1と同様の方法で芯鞘型のポリエステル系
熱融着性繊維gを得た。
【0049】得られたポリエステル系熱融着性繊維gと
ポリエチレンテレフタレート系ポリエステルのベース繊
維(東レ(株)製T201−20T×64mm)とを用
いて、比較例1と同様の方法で表面用、内部用のウェブ
を得て、しかる後に比較例1と同様の方法で加熱成型処
理することで断熱材を得た。得られた断熱材の密度は2
5kg/m3であった。 (比較例5)ジエチレングリコール10モル%を含み、
極限粘度が0.58、融点が160℃であるイソフタル
酸26モル%共重合したポリエチレンテレフタレート系
ポリエステル(B)を鞘成分に用い、ポリエチレンテレ
フタレート系ポリエステル(A)のポリマー重量が繊維
全体の60wt%であることに変更した以外は、実施例
1と同様の方法で芯鞘型のポリエステル系熱融着性繊維
hを得た。しかし溶融紡糸の際には、紡糸口金付近でベ
タツキが多量に発生し、膠着が多く含まれるポリエステ
ル系熱融着性繊維hしか得ることができなかった。
【0050】得られたポリエステル系熱融着性繊維hと
ポリエチレンテレフタレート系ポリエステルのベース繊
維(東レ(株)製T201−20T×64mm)とを用
いて、比較例1と同様の方法で表面用、内部用のウェブ
を得て、しかる後に比較例1と同様の方法で加熱成型処
理することで断熱材を得た。得られた断熱材の密度は1
0kg/m3であった。
【0051】熱融着性繊維のポリマー構成と断面形状に
ついて、表1に示す。
【0052】
【表1】
【0053】得られた断熱材の試験結果を表2に示す。
【0054】
【表2】
【0055】表2の試験結果から明らかなように、比較
例の断熱材は、引張強力と層間剥離強力がともに大きい
ものがなく、さらにまた、比較例の断熱材はいずれも、
熱貫流抵抗値が実施例の断熱材よりも低く、断熱性能が
劣るものであった。
【0056】
【発明の効果】本発明によれば、熱融着性繊維が脂肪族
ジオール類を1モル%〜8モル%の範囲内で含む融点が
155℃以下の成分Aを少なくとも表面の一部に有する
ことから、圧力が6kgf/cm2の低い圧力のスチー
ムを用いた熱処理装置においても、一回の熱処理で加熱
成形が可能な断熱材を提供することができる。また、ポ
リエステル単一素材から構成されるているため、使用後
のリサイクルが容易な断熱材を提供することができる。
さらにまた、4dtex以下の細繊度のポリエステルの
ベース繊維と熱融着性繊維とを、表面および/または裏
面に特定の混合比で用いることで、断熱性能が向上した
断熱材を得ることができる。さらにまた、脂肪族ジオー
ルを1モル%〜8モル%含むことから、熱融着性繊維の
融点が低下し、したがって、ベース繊維と混合して熱処
理した断熱材は融着点が多くなることから、層間剥離強
力と不織布の強度がともに大きい断熱材を提供すること
ができる。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ともにポリエステルからなる、ベース繊維
    と、脂肪族ジオール類を1モル%〜8モル%の範囲内で
    含む融点が155℃以下の成分Aを少なくとも表面の一
    部に有する熱融着性繊維とを含む不織布からなることを
    特徴とする断熱材。
  2. 【請求項2】ベース繊維と熱融着性繊維とを90wt%
    以上含んでいる、請求項1に記載の断熱材。
  3. 【請求項3】脂肪族ジオール類がジエチレングリコール
    である、請求項1または2に記載の断熱材。
  4. 【請求項4】密度が15kg/m3〜250kg/m3
    範囲内にある、請求項1〜3のいずれかに記載の断熱
    材。
  5. 【請求項5】ベース繊維の繊度が4dtex以下であ
    る、請求項1〜4のいずれかに記載の断熱材。
  6. 【請求項6】熱融着性繊維が、成分Aと成分Aよりも高
    い融点を有する成分Bとを含み、成分Aを30wt%〜
    90wt%の範囲内で含んでいる、請求項1〜5のいず
    れかに記載の断熱材。
  7. 【請求項7】成分Aにのみジエチレングリコールを1モ
    ル%〜8モル%の範囲内で含んでいる、請求項1〜6の
    いずれかに記載の断熱材。
  8. 【請求項8】ベース繊維と熱融着性繊維との混合比が、
    断熱材の表面および/または裏面では0:100〜6
    4:36の範囲内にあり、断熱材の内部では65:35
    〜90:10の範囲内にある、請求項1〜7のいずれか
    に記載の断熱材。
  9. 【請求項9】熱貫流抵抗値が0.58m2/h・℃/k
    cal〜60m2/h・℃/kcalの範囲内にある、
    請求項1〜8のいずれかに記載の断熱材。
  10. 【請求項10】住宅用に用いる、請求項1〜9のいずれ
    かに記載の断熱材。
  11. 【請求項11】ともにポリエステルからなる、ベース繊
    維と、脂肪族ジオール類を1モル%〜8モル%の範囲内
    で含む融点が155℃以下の成分Aを少なくとも表面の
    一部に有する熱融着性繊維とを混合し、この熱融着性繊
    維の成分Aの融点以上の温度で1工程で加熱成型するこ
    とを特徴とする断熱材の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US9348047B2 (en) 2012-12-20 2016-05-24 General Electric Company Modeling of parallel seismic textures
US9804282B2 (en) 2014-02-17 2017-10-31 General Electric Company Computer-assisted fault interpretation of seismic data
US9952340B2 (en) 2013-03-15 2018-04-24 General Electric Company Context based geo-seismic object identification

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US9952340B2 (en) 2013-03-15 2018-04-24 General Electric Company Context based geo-seismic object identification
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