JP2003293061A - アルミニウム合金三層構造クラッド材 - Google Patents
アルミニウム合金三層構造クラッド材Info
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Abstract
耐食性および加熱ろう付け性に優れ、かつ高強度なアル
ミニウム合金三層構造クラツド材を提供する。 【解決手段】Si:6 〜13%およびSr:0.005 〜0.1 %を
含有するアルミニウム合金のろう材がMn:0.3 〜2.0
%、Cu:0.1 〜1.0 %およびSi:0.3 〜2.0 %を含有す
る Al合金の芯材の片面にクラッドされ、他の面にZn:
1 〜10%、Si:0.3〜0.5 %およびNi:0.5 〜3.0 %を
含有するAl合金の犠牲陽極材がクラッドされた三層構造
クラッド材である、また、そのろう材が上記の化学組成
のほかにMg:2.0 %以下を含有し、犠牲陽極材が上記の
化学組成のほかにIn:0.001 〜0.05%、Sn:0.001 〜0.
05%のうち1種または2種を、さらにMg:4.0 %以下を
含有し、さらにFe:0.15〜2.0 %を含有し、芯材が上記
の化学組成のほかにMg:0.5 %以下を含有してもよい。
Description
気中でフッ化物フラックスを用いたろう付けやあるいは
真空ろう付けによってラジエータまたはヒータコア等の
アルミニウム製熱交換器の構造部材であるチューブ、ヘ
ッダーもしくはそれら熱交換器と接続される配管材の素
材に適したアルミニウム合金三層構造クラッド材に関す
る。
は、外面にフィンを有し内面が冷媒(これを「クーラン
ト」という)の通路となるチューブ(チューブ、クラッ
ド板を溶接あるいはろう付けによってチューブ形状とし
たもの)およびヘッダーから構成されている。自動車の
ラジエータまたはヒータコアなどのチューブ材もしくは
ヘッダープレート材には、アルミニウム合金のいろいろ
のクラッド材が用いられている。
図であり、(a) は二層構造のクラッド材、(b) および
(c) は三層構造のクラッド材である。アルミニウム合金
クラッド材には、図1(a) に示すように、JIS A3003 な
どのAl-Mn 系合金を芯材1 とし、片面にAl-Si 系合金の
ろう材2 をクラッドした二層構造のクラッド材C1、図1
(b) に示すように両面にAl-Si 系合金のろう材2 をクラ
ッドした三層構造のクラッド材C2、さらには図1(c) に
示すように一方の面にAl-Si 系合金のろう材2 をクラッ
ドし、他の面にAl-Zn 系合金またはA1-Zn-Mg系合金の犠
牲陽極材3 をクラッドした三層構造のクラッド材C3があ
る。それらのクラッド材の厚さは、0.3mm程度である。
器を製作するときチューブとフィンとを接合するとき、
およびチューブとヘッダープレートとを接合するとき、
接合材のろうとなる。これらのろう付は、フッ化物フラ
ックスを用いて不活性ガス雰囲気中で加熱して行われた
り、真空ろう中で加熱して行われることが多い。チュー
ブ外面に接合されたフィン材は、使用中に犠牲陽極作用
を発揮して芯材の孔食の発生を防止する。
ーブの内面側に使用され、クーラントと接して犠牲陽極
作用を発揮し、芯材の孔食や隙間腐食の発生を防止す
る。前述のチューブ外面に接合されたフィン材は、使用
中に犠牲陽極作用を発揮して芯材の孔食の発生を防止す
る。
のほかに、市販のエチレングリコールを主成分とし、各
種の防錆剤を含む不凍液を0 〜50vol %濃度に希釈した
中性から弱アルカリ性の水溶液が使用されている。水に
は、井戸水、河川水および湖沼水などの防錆効果のない
粗悪水(以下、これらを総称して「粗悪水」と記載す
る)が使用されることもある。熱交換器は、これらの粗
悪水によって、チューブなどを構成するアルミニウム合
金クラッド材の芯材が腐食され、芯材に貫通する孔食が
生じ、熱交換機能を損なうことがある。
合、犠牲陽極材の表面に褐色または黒色を呈する多孔質
の皮膜が生成し、この皮膜部に腐食が集中して優先腐食
することにより貫通孔を生じることがある。
は、チューブは最初の間は犠牲陽極材の犠牲陽極効果に
よって防食される。しかし、酸性雨などで酸性化した粗
悪水が使用された場合、その犠牲陽極材の消耗が早くな
り、初期防食期間が短くなる。このため、早期に芯材を
貫通する孔食が生じ、熱交換機能を損なう。
ド材の耐食性を向上させるために、 腐食の発生を分散化させるために犠牲陽極材にFeまた
はNiを添加し、Al-Fe系またはAl-Ni 系の化合物を分散
させたクラッド材(特開平10-72632〜同72635号公報参
照)が提案され、Al-Fe 系またはAl-Ni 系等の化合物
の粒子径と個数とを規定したクラッド材(特開平11-808
71号公報参照)も提案されている。
ら、チューブ材を薄肉化するために、芯材にCuを添加
したり、芯材や犠牲陽極材にMgやSiを共存させMg2Si の
化合物を形成させることにより高強度化を図ったクラッ
ド材(特開平6-23535 号公報、同6-212331号公報、同8-
134574号公報参照)が提案されている。
には、JIS A3003 などのAl-Mn 系合金を芯材とし、内面
あるいは、内面と外面にJIS A7072 などのAl-Zn 系合金
の犠牲陽極材をクラッドした二層あるいは三層のクラッ
ド管が用いられている。クラッド管の内面の犠牲陽極材
は、使用中にクーラントと接触して犠牲陽極効果を発揮
し、芯材に対する孔食または隙間腐食の発生を防止す
る。また、外面の犠牲陽極材は、過酷な環境で使用され
た場合、犠牲陽極効果を発揮して芯材に発生する孔食ま
たは隙間腐食を防止する。
ミニウム合金クラッド材は、良好な耐アルカリ腐食性お
よび高い強度を備えたものである。しかしながら、耐ア
ルカリ腐食性を向上させるために犠牲陽極材に添加した
FeまたはNiは、犠牲陽極材中で偏析を生じやすく、Al-F
e 系化合物またはAl-Ni 系化合物が均一に分散しないこ
とがある。また、高強度化のために芯材に添加したCu
は、芯材の融点を低下させ、ろう付け性が低下すること
がある。さらに、芯材中のMgは、フラックスと反応し、
ろう付け性が低下することがある。
弱アルカリ性クーラントまたは粗悪水に対する耐食性お
よび加熱ろう付け性に優れ、かつ高強度なアルミニウム
合金三層構造クラツド材を得るために、種々試験、検討
を重ねた結果として、以下の知見を得た。 (1) 犠牲陽極材にNiを添加することで生じるAl-Ni 系化
合物を均一に分散させるには、Siをあわせて添加するこ
とによってこれを達成することができること。 (2) 弱アルカリ性のクーラントを使用した場合には、Ni
だけを添加した犠牲陽極材よりも、NiとSiをともに添加
した方が全面腐食型となり、耐食性が優れていること。
ド材は、クーラントとして粗悪水が使用された場合、Al
-Ni 系化合物(Al-Si-Ni系化合物)が犠牲陽極材に均一
に分散するため腐食を分散させ、板厚方向への腐食の進
行を遅らせ、防食期間が長くなること。 (4) 犠牲陽極材にSiとNiとを添加することにより、ろう
付け加熱中に犠牲陽極材中のSiが芯材に拡散して芯材の
Mnと結合し、Al-Mn-Si系の微細な化合物を形成させ強度
が改善されること。
i-Mg系ろう材ではクラッド材の製造過程でろう材中に粗
大な共晶Si粒が発生し、この粗大なSi粒が熱交換器を製
造する過程のろう付け加熱において、ろう材の溶融を不
均一にし、チューブ材とフィン材との接合性を低下させ
ていること。 (6) ろう材は、従来のAl-Si 系やAl-Si-Mg系ろう材にSr
をあわせて添加することにより、粗大なSi粒の発生が抑
制され、ろうの溶融が均一になり、チューブ材とフィン
材との接合不良が改善すること。
に基づいてなされたものであり、その目的は、熱交換
器、とくに自動車用熱交換器のチューブ、ヘッダプレー
ト、配管材の素材として好適に使用することができる、
弱アルカリ性クーラントまたは粗悪水に対する耐食性お
よび加熱ろう付け性に優れ、かつ高強度なアルミニウム
合金三層構造クラツド材を提供することにある。
めの本発明の要旨は、下記に示すアルミニウム合金三層
構造クラッド材にある。以下、本明細書において、化学
組成を示す「%」は、質量%を示す。芯材の一方の面に
犠牲陽極材をクラッドし、他方の面にろう材をクラッド
したアルミニウム合金三層構造のクラッド材であって、
ろう材が質量%でSi:6 〜1 3 %およびSr:0.005 〜0.
1 %を含有し、残部Alおよび不純物からなるアルミニウ
ム合金であり、芯材がMn:0.3 〜2.0 %、Cu:0.1 〜1.
0 %およびSi:0.3〜2.0 %を含有し、残部Alおよび不
純物からなるアルミニウム合金であり、犠牲陽極材がZ
n:1 〜10%、Si:0.3 〜0.5 %およびNi:0.5 〜3.0
%を含有し、残部Alおよび不純物からなるアルミニウム
合金である三層構造クラッド材。
0.001 〜0.05%、Sn:0.001 〜0.05%のうち1種または
2種を含有し、さらにMg:4.0 %以下を含有し、さらに
Fe:0.15〜2.0 %を含有し、さらにCu:0.05%以下、C
r:0.2 %以下、Ti:0.3 %以下、Zr:0.3 %以下およ
びB :0.1 %以下のうちの1種または2種以上を含有す
る。
以下を含有し、さらにCr:0.5 %、Zr:0.3 %、B :0.
1 %のうちの1種以上を含有する。
%以下を含有する。
造のクラッド材は、ろう材の化学組成がSiのほかにSrを
含有し、犠牲陽極材にZnのほかにSiおよびNiを含有する
ものである。以下、それぞれの化学組成を規定した理由
について説明する。 1.クラッド材の犠牲陽極材について: Z n :1.0 〜10.0% Znは、犠牲陽極材の電位を卑にし、芯材に対する犠牲陽
極効果を発揮させ、芯材の孔食または隙間腐食の発生を
防止する。Znの含有量が1.0 %未満ではその効果が小さ
く、10.0%を超えて含有すると犠牲陽極材の自己腐食量
が増大する。したがって、Zn含有量は1.0 〜10.0%とし
た。なお、好ましい範囲は2.0 〜5.0%である。
たはAl-Si-Ni系化合物)を形成させ、分散させる。これ
らの化合物は、犠牲陽極材が弱アルカリ性クーラントと
接触したとき、水酸化アルミニウム皮膜の生成を妨げ、
化合物の周辺部が皮膜欠陥となって犠牲陽極材に孔食を
生じさせる。しかし、これらの化合物は微細に分散して
おり、たとえ孔食が生じたとしても腐食深さが小さく、
しかも分散しているので、芯材を貫通する孔食に発展す
るのを防止する。Niの含有量が0.5 %未満では、それら
の効果が小さく、3.0 %を超えて含有すると、犠牲陽極
材の自己腐食量が増大するとともに、圧延加工性が低下
する。したがって、Ni含有量は0.5 〜3.0 %とした。な
お、好ましい範囲は0.7 〜1.5 %である。
系化合物(またはAl-Ni 系化合物)を形成する。Al-Si-
Ni系化合物は、Al-Ni 系化合物に比べて微細かつ均一に
分散する。これらの化合物は、犠牲陽極材が弱アルカリ
性クーラントと接触したとき、水酸化アルミニウム皮膜
の生成を妨げ、化合物の周辺部が皮膜欠陥となって犠牲
陽極材に孔食を生じさせる。しかし、これらの化合物は
微細に分散しており、たとえ孔食が生じたとしても腐食
深さが小さく、しかも分散しているので、芯材を貫通す
る孔食に発展するのを防止する。また、粗悪水中では、
微細かつ均一に分散しているAl-Si-Ni系化合物が犠牲陽
極材の腐食を分散化させ、板厚方向への腐食の進行を遅
らせることで、初期防食期間が延長される。さらに、Si
は、熱交換器などに組み立ての際のろう付け加熱中に芯
材へ拡散し、芯材のMnと結合して微細なAl-Mn-Si系化合
物を形成する。これにより、芯材の強度が向上する。し
かし、Siの含有量が0.3 %未満ではその効果が小さく、
0.5 %を超えて含有すると犠牲陽極材の自己腐食量が増
大する。したがって、Si含有量は0.3〜0.5 %とした。
卑とし、犠牲陽極効果によって芯材の孔食または隙間腐
食の発生を防止するので、必要に応じて添加すればよ
い。これらの効果を得るためにInまたはSnを添加する場
合には、それらの含有量の下限は0.001 %である。しか
し、0.05%を超えて含有すると犠牲陽極材の自己腐食量
が増大するとともに、圧延加工性が低下する。したがっ
て、InまたはSnを添加する場合の含有量は、いずれも0.
001 〜0.05%とした。なお、好ましい範囲は0.01〜0.03
%である。
範囲0.1 〜4.0 %) Mgは、熱交換器などに組み立て時のろう付け加熱中に芯
材へ拡散し、芯材中のSiやCuとともに強度を高める。ま
た、犠牲陽極材に残存したMgは、Siとともに犠牲陽極材
の強度を高める。これらの効果によってクラッド材の強
度改善に寄与する。このため、Mgは必要に応じて添加す
ればよい。これらの効果を得るためにMgを添加する場合
には、その含有量の下限は0.1 %である。しかし、Mg含
有量が4.0 %を超えると圧延加工性が低下する。したが
って、Mgを添加する場合の含有量は0.1 〜4.0 %とし
た。なお、好ましい範囲は、0.5 〜2.5 %未満である。
れら化合物が腐食の起点となり、孔食が分散化されるこ
とで耐食性が向上するので、必要に応じて添加すればよ
い。これらの効果を得るためには、Fe含有量を0.15%以
上含有させるのが好ましい。しかし、Fe含有量が2.0 %
を超えると犠牲陽極材の自己腐食量が増大する。したが
って、Feを添加する場合の含有量は、0.15〜2.0 %であ
る。
びB は、次に示す範囲であれば含有させることができ
る。C u は、その含有量が0.2 %を超えると、犠牲陽極
材と芯材との間の電位差が十分確保されず、芯材に対す
る犠牲陽極効果が低下する。また、Ti含有量が0.3 %
を、C r 含有量が0.2 %を、Zr含有量が0.3 %およびB
含有量が0.1 %を超えるといずれも鋳造時に巨大な晶出
物が生成し、健全な板材の製造ができない。
貴にして犠牲陽極材との電位差を大きくして耐食性を高
める。Mn含有量が0.3 %未満ではその効果が小さい。ま
た、2.0 %を超えて含有すると、鋳造時に粗大な化合物
が生成し、圧延加工性が低下し、健全な板材が得られな
い。したがって、Mn含有量は0.3 〜2.0%とした。な
お、好ましい範囲は1.2 〜1.8 %である。
貴にし、犠牲陽極材のとの電位差、およびろう材との電
位差を大きくして、耐食性を向上させる。さらに、加熱
ろう付け時に犠牲陽極材およびろう材に拡散して、なだ
らかなCu濃度勾配を形成させる。これにより、電位は、
芯材側が貴となり、犠牲陽極材表面側またはろう材表面
側が卑となって、犠牲陽極材またはろう材の厚さ方向に
なだらかな電位分布が形成され、これらの腐食形態を全
面腐食型にする。Cuの含有量が0.1 %以下ではその効果
が小さく、1.0 %を超えると芯材の耐食性が低下し、ま
た融点が低下して加熱ろう付け時に局部的な溶融が生じ
る。したがって、Cu含有量は0.1 〜1.0 %とした。な
お、好ましい範囲は0.4 〜0.8 %である。
牲陽極材にMgが含有する場合、加熱ろう付け中に犠牲陽
極材から拡散してくるMgと共存することによりMgと結合
してMg2Si を生成することによって、ろう付け後の時効
硬化によって強度をさらに高める。Siの含有量が0.3 %
未満では、これらの効果が得られない。また、2.0 %を
超えて含有すると芯材の耐食性を低下させるとともに、
芯材の融点を下げ、加熱ろう付け時に局部溶融が生じ
る。したがって、Si含有量は0.3 〜2.0 %とした。な
お、好ましい範囲は0.5 〜1.2 %である。
範囲0.05〜0.5 %) Mgは、芯材の強度を向上させるので、必要に応じて添加
すればよい。この効果を得るためMgを添加する場合に
は、その含有量の下限は0.05%である。しかし、Mg含有
量が0.5 %を超えると、加熱ろう付け時にフッ化物系フ
ラックスと反応してろう付け性を低下させるとともに、
Mgのフッ化物が生成してろう付け部の外観がわるくな
る。また、真空ろう付けの場合には、溶融したろうが芯
材を侵食しやすくなる。したがって、Mgを添加する場合
の含有量は、0.05〜0.5 %とした。なお、好ましい範囲
は0.05〜0.15%以下である。
範囲内であれば添加することができる。Cr含有量が0.5
%を、Zr含有量が0.3 %およびB 含有量が0.1 %を超え
ると鋳造時に巨大晶出物が生成し、健全な板材の製造が
難しくなる。
揮させる元素である。Si含有量が6 %未満では流動性が
低下して、ろうとして有効に作用しない。しかし、13%
を超えると融点が低下して、圧延で割れなどの欠陥が生
じ、健全な板材の製造が難しくなる。したがって、Si含
有量は6 〜13%とした。
果がある。Si粒子が微細かつ均一に分散すれば、ろうの
溶融が均一になり、ろう付け性が改善される。しかし、
Sr含有量が0.005 %未満では、この効果が少なく、0.1
%を超えて含有しても、その効果が飽和する。したがっ
て、Sr含有量は0.005 〜0.1 %とした。なお、Sr含有量
の好ましい範囲は、0.01〜0.03%である。
含有量は1.0 〜2.0 %である) Mgは、真空ろう付けの加熱によって蒸発し、炉内の水分
の除去および被ろう付け材表面の酸化被膜の破壊あるい
は還元作用を行い、ろう付け性を改善する働きをする。
この効果を得るためにはMgを1.0 %以上含有させるのが
好ましい。しかし2.0 %を超えると、ろう付け性が低下
する。したがって、Mgを添加する場合の好ましい含有量
は、1.0 〜2.0 %である。なお、Mgのほかに、Na:1 〜
100ppm、Sb:0.001 〜0.5 %を添加しても上記と同等の
効果が得られる。
i、ZnおよびInは、次に示す範囲内であれば添加するこ
とができる。Bi含有量が0.2 %、Be含有量が0.1 %、Ca
含有量が1.0 %、Li含有量が1.0%、Zn含有量が5 %お
よびIn含有量が0.05%を超えると、ろう付け性が低下す
る。
芯材、犠牲陽極材およびAl-Si 系ろう材を構成するアル
ミニウム合金を、たとえば、連続鋳造により造塊し、必
要に応じて均質化処理後、犠牲陽極材用およびろう材用
アルミニウム合金の鋳塊については、それぞれ所定厚さ
まで熱間圧延し、ついで、芯材用アルミニウム合金鋳塊
と、犠牲陽極用アルミニウム合金およびろう材用アルミ
ニウム合金を組み合わせて、常法に従って熱間圧延によ
りクラッド材とし、その後冷間圧延、中間焼鈍、冷間圧
延により所定の厚さとすることによって製造される。
2に示す犠牲陽極材用合金、および表3に示すろう材用
合金のそれぞれの鋳魂を鋳造した。芯材用鋳塊および犠
牲陽極材用鋳塊については、均質化処理を行った。そし
て、犠牲陽極材用鋳塊およびろう材用鋳塊は、熱間圧延
を施して所定(2 〜6mm )の厚さとし、これらと芯材用
鋳塊とを合わせ材として熱間圧延し、クラッド(素)材
を得た。その後、冷間圧延、中間焼鈍、冷間圧延によっ
て厚さ0.25mmの板(クラッド板材、H14 )を得た。クラ
ッドの構成は、犠牲陽極材は0.020 〜0.050 、ろう材は
0.030mm であった。
ッ化物フラックスを用いて600 ℃(材料温度、ろう付け
温度)に加熱した後、引張試験と内面(犠牲陽極材)の
腐食試験を行った。内面(犠牲陽極材)の腐食試験の方
法は、以下のとおりである。 (腐食試験1) 腐食液:粗悪水模擬液、pH 3〜7 の弱酸性(Cl- :195p
pm、SO4 2- :60ppm 、Cu2+:1ppm、Fe3+:30ppm ) 比液量:5mL /cm2 方法:88℃で8hr 加熱した後、冷却し25℃×16hr保持す
るサイクルを6 ヶ月間繰り返し試験し、最大腐食深さを
測定した。 (腐食試験2) 腐食液:弱アルカリクーラントの模擬液、すなわち30vo
l %不凍液を苛性ソーダでpH 10 に調整した。 比液量:5mL /cm2 方法:88℃で8hr 加熱した後、冷却し25℃×16hr保持す
るサイクルを6 ヶ月間繰り返し試験し、最大腐食深さを
測定した。
験)クラッド材とフィンとのろう付け性を調査した。図
2は、クラッド材とフィンとのろう付け性を調査するた
めのミニコアを示す斜視図である。ろう付け性の調査
は、図2に示すように、1.6 %のMn、0.3 %のCu、1.0
%のZnを含むアルミニウム合金の厚さ0.08mmのコルゲー
トフィン4 を、二枚のクラッド材C3のろう材側2 で挟
み、ミニコアを組み立てた。これを、窒素ガス中でフッ
化物フラックスを用いて600 ℃(材料温度)に加熱して
ろう付けした後、フィンとクラッド材とのろう付け状態
を調査した。これらの試験結果を表4および表5に示し
た。
から番号58のクラッド材は、引張強さが142 〜180MPaと
高く、腐食試験1および腐食試験2の最大腐食深さがい
ずれも0.015 〜0.045mm (板厚の6 〜18%)で耐食性に
優れ、またフィンとのろう付け試験では、いずれも未接
着部分は検出されなかった。
番号59のクラッド材は、芯材のMn含有量が0.20%と低い
ため、引張り強さが100MPaと低い。このため、腐食試験
およびろう付け試験は行わなかった。番号60のクラッド
材は、芯材のMn含有量が2.80%と高いため、圧延加工性
が悪く、健全なクラッド材が得られなかった。このた
め、引張試験、腐食試験およびろう付け試験は行わなか
った。
0.02%と低いため、引張り強さが120MPaと低い。このた
め、腐食試験およびろう付け試験は行わなかった。番号
62のクラッド材は、芯材のCu含有量が1.20%と高いた
め、試験材の加熱(600 ℃)の時点で芯材に溶融が発生
した。このため、引張試験、腐食試験およびろう付け試
験は行わなかった。
0.20%と低いため、引張り強さが130MPaと低い。このた
め、腐食試験およびろう付け試験は行わなかった。番号
64のクラッド材は、芯材のSi含有量が2.50%と高いた
め、試験材の加熱(600 ℃)の時点で芯材に溶融が発生
した。このため、引張試験、腐食試験およびろう付け試
験は行わなかった。
1.0 %と高いため、ろう付け試験で芯材の溶融が発生し
た。番号66のクラッド材は、犠牲陽極材のSi含有量が0.
10%と低いため、引張り強さが130MPaと低い。このた
め、腐食試験およびろう付け試験は行わなかった。
有量が0.80%と高いため、腐食試験1および2の最大腐
食深さはいずれも0.070mm (板厚の28%)と大きく、耐
食性に劣る。番号68のクラッド材は、犠牲陽極材のZn含
有量が0.50%と低いため、腐食試験1の最大腐食深さは
0.200mm (板厚の80%)と大きく、耐食性に劣る。
有量が12.00 %と高いため、腐食試験1の最大腐食深さ
は0.250mm (板厚の100 %)と大きく、貫通孔となっ
た。番号70のクラッド材は、犠牲陽極材のNi含有量が0.
40%と低いため、腐食試験2の最大腐食深さが0.200mm
(板厚の80%)と大きく、耐食性に劣る。
有量が4.00%と高いため、腐食試験1の最大腐食深さが
0.250mm (板厚の100 %)と大きく、貫通孔となった。
番号72のクラッド材は、犠牲陽極材のIn含有量が0.1 %
と高いため、圧延加工性が悪く、健全なクラッド材が得
られなかった。このため、引張試験、腐食試験などを行
わなかった。
有量が0.1 %と高いため、圧延加工性が悪く、健全なク
ラッド材が得られなかった。このため、引張試験、腐食
試験などを行わなかった。番号74のクラッド材は、犠牲
陽極材のMg含有量が5.0 %と高いため、圧延加工性が悪
く、健全なクラッド材が得られなかった。このため、引
張試験、腐食試験などを行わなかった。
有量が3.0 %と高いため、腐食試験1の最大腐食深さが
0.250mm (板厚の100 %)と大きく、貫通孔となった。
番号76のクラッド材は、ろう材のSi含有量が4.0 %と低
いため、腐食試験1の最大腐食深さが0.250mm (板厚の
100 %)と大きく、貫通孔となった。
が15.0%と高いため、健全なクラッド材が得られなかっ
た。このため、引張試験、腐食試験などを行わなかっ
た。番号78のクラッド材は、ろう材のSr含有量が0.001
%と低いため、ろう付け性試験でフィンの未接着部が検
出された。番号78のクラッド材は、ろう材のMg含有量が
3.00%と高いため、ろう付け性試験でフィンの未接着部
が検出された。
にSrを含有するろう材をクラッドし、他方の面にZnのほ
かにSiおよびNiを含有する犠牲陽極材をクラッドした三
層構造のアルミニウム合金クラッド材である。ろう材に
SiのほかにSrを含有させることによって、ろう材中のSi
粒子を細かく分散させ、ろう付け加熱時にろうの流動性
を高め、ろう付け性を改善することができる。犠牲陽極
材にSiおよびNiを含有させることによって、犠牲陽極材
中にSi系およびNi系の化合物粒子を細かく分散させ、芯
材と犠牲陽極材との電位差の分布を犠牲陽極材の厚さ方
向で緩やかにして孔食の発生を防止することができる。
この発明の三層構造のアルミニウム合金クラッド材は、
自動車などのラジエータを製造するときの素材として好
適に使用できる。
(a) は二層構造のクラッド材、(b) および(c) は三層構
造のクラッド材である。
ためのミニコアを示す斜視図である。
材 1 芯材 2 ろう材 3 犠牲陽極材 4 フィン
Claims (8)
- 【請求項1】芯材の一方の面に犠牲陽極材をクラッド
し、他方の面にろう材をクラッドしたアルミニウム合金
三層構造のクラッド材であって、ろう材が質量%でSi:
6 〜13%およびSr:0.005 〜0.1 %を含有し、残部Alお
よび不純物からなるアルミニウム合金であり、芯材がM
n:0.3 〜2.0 %、Cu:0.1 〜1.0 %およびSi:0.3 〜
2.0 %を含有し、残部Alおよび不純物からなるアルミニ
ウム合金であり、犠牲陽極材がZn:1 〜 10 %、Si:0.
3 〜0.5 %およびNi:0.5 〜3.0 %を含有し、残部Alお
よび不純物からなるアルミニウム合金であることを特徴
とするアルミニウム合金三層構造クラッド材。 - 【請求項2】犠牲陽極材がZn:1 〜10%、Si:0.3 〜0.
5 %およびNi:0.5 〜3.0 %を含有し、さらにIn:0.00
1 〜0.05%、Sn:0.001 〜0.05%のうち1種または2種
を含有し、残部Alおよび不純物からなるアルミニウム合
金であることを特徴とする請求項1に記載のアルミニウ
ム合金三層構造クラッド材。 - 【請求項3】犠牲陽極材が、さらにMg:4.0 %以下を含
有することを特徴とする請求項1または2に記載のアル
ミニウム合金三層構造クラッド材。 - 【請求項4】犠牲陽極材が、さらにFe:0.15〜2.0 %を
含有することを特徴とする請求項1、2または3のいず
れかに記載のアルミニウム合金三層構造クラッド材。 - 【請求項5】犠牲陽極材が、さらにCu:0.05%以下、C
r:0.2 %以下、Ti:0.3 %以下、Zr:0.3 %以下およ
びB :0.1 %以下のうちの1種または2種以上を含有す
る請求項1、2、3または4のいずれかに記載のアルミ
ニウム合金三層構造クラッド材。 - 【請求項6】芯材が、さらにMg:0.5 %以下を含有する
ことを特徴とする請求項1から5までのいずれかに記載
のアルミニウム合金三層構造クラッド材。 - 【請求項7】芯材が、さらにCr:0.5 %、Zr:0.3 %お
よびB :0.1 %のうちの1種以上を含有する請求項1か
ら6までのいずれかに記載のアルミニウム合金三層構造
クラッド材。 - 【請求項8】ろう材が、さらにMg:2.0 %以下を含有す
ることを特徴とする請求項1から7までのいずれかに記
載のアルミニウム合金三層構造クラッド材。
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-
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