JP2003293002A - R−t−n系シート成形用磁粉、その製造方法およびr−t−n系異方性シート状磁石 - Google Patents

R−t−n系シート成形用磁粉、その製造方法およびr−t−n系異方性シート状磁石

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JP2003293002A
JP2003293002A JP2002102645A JP2002102645A JP2003293002A JP 2003293002 A JP2003293002 A JP 2003293002A JP 2002102645 A JP2002102645 A JP 2002102645A JP 2002102645 A JP2002102645 A JP 2002102645A JP 2003293002 A JP2003293002 A JP 2003293002A
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sheet
anisotropic
mass
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Mikio Shindo
幹夫 新藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 界面活性剤を磁粉の微粉砕時に添加し、かつ
平均粒度を好ましい範囲に調整することで、粒度分布の
シャープな、角形性のよい、配向性の高い異方性シート
磁石用磁粉を提供する。 【解決手段】 有機溶媒中にR−T−N系(RはYを含
めた希土類元素の1種または2種以上でありSmを必ず
含む、TはFeまたはFeとCo、不可避の不純物を含
む)合金原料およびCとHを含む界面活性剤を所定量添加
し、微粉砕・乾燥し、平均粒径1.5〜3.5μmでかつ磁粉
表面に磁粉質量に対してC:0.5〜1.5%,H:0.1〜0.5%
となる界面活性剤を表面に有するものとすることを特徴
とするR−T−N系シート成形用磁粉の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は広範囲な磁石応用品
分野、例えば各種の回転機、静電現像方式のプリンタや
複写機等に用いるマグネットロール、ボイスコイルモー
タやリニアモータ等に代表される各種のアクチュエー
タ、音響用スピーカ、ブザー、センサー、吸着又は磁界
発生用磁石等に有用であり、2−17型結晶構造相を主相
とするR−T−N系シート成形用磁粉、その製造方法と
それを用いたR−T−N系異方性のシート状磁石に関す
る。
【0002】
【従来の技術】希土類元素(R)、遷移金属(T)及び
窒素(N)からなる異方性のR−T−N系ボンド磁石の
生産が開始されている。異方性のR−T−N系ボンド磁
石は異方性のフェライト焼結磁石に比べて形状自由度に
富み、加工性に優れ、高い磁気特性を有することから、
今後各種磁石応用品分野への採用が検討されている。従
来の異方性シート状R−T−N系磁石は、例えば特開平
2001-115044号公報に開示されるように、配向性を高め
るための界面活性剤は磁粉とエラストマー成分との混練
時に添加されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、界面活性剤を磁粉の微粉砕時に添加し、か
つ平均粒度を好ましい範囲に調整することで、粒度分布
のシャープな、角形性のよい、配向性の高い異方性シー
ト磁石用磁粉を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決した本発
明の異方性磁粉は、有機溶媒中にR−T−N系(RはY
を含めた希土類元素の1種または2種以上でありSmを
必ず含む、TはFeまたはFeとCo、不可避の不純物
を含む)合金原料およびCとHを含む界面活性剤を所定量
添加し、微粉砕・乾燥し、平均粒径1.5〜3.5μmでかつ
磁粉表面に磁粉質量に対してC:0.5〜1.5%,H:0.1〜
0.5%となる界面活性剤を表面に有するものとすること
を特徴とする。適量の界面活性剤と共に有機溶媒中で微
粉砕して平均粒度1.5〜3.5?mの磁粉とすることで、磁粉
質量に対してC:0.5〜1.5%,H:0.1〜0.5%となる界面
活性剤をその磁粉表面に含むことを特徴とする2−17型
硬質磁性相の単結晶粒の集合体からなる異方性磁粉が得
られる。
【0005】本発明において、磁粉表面の炭素量および
水素量を規定したが、この炭素量と水素量はそれぞれ高
周波加熱赤外吸収法と不活性ガス融解熱伝導度法を用い
て特定することができる。用いる界面活性剤は、例えば
化学式CH3(CH2)xCOOHで表せられるラウリン酸、ミリス
チン酸、パルミチン酸、ステアリン酸などがある。ま
た、オイレン酸やイソステアリン酸なども適宜使用する
ことができる。あるいはこれらの塩、例えばステアリン
酸塩としては、Zn、Ca、Ba、Hg、Cd、Pb塩
から選ばれた1種又は2種以上のものでもよい。
【0006】この磁粉を用いてシート成形することで従
来に無い良好な磁気特性を持つ異方性シート磁石を製造
することができる。このシート成形磁石には配向した2
−17型硬質磁性相の単結晶粒の集合体からなる異方性磁
粉、およびエラストマー成分が含まれ、マトリクス中に
分散されている。
【0007】本発明の異方性磁粉の平均粒径は1.5〜3.5
μmが好ましい。平均粒径が1.5μm未満では配向性が
悪くなるためBrが低下し、平均粒径が3.5μm超では固
有保磁力HcJが著しく低下する。平均粒径は2.0〜3.0μ
mがより好ましく、2.2〜2.8μmが特に好ましい。界面
活性剤は平均粒径が10?m以上のSm-Fe-N粗粉を有機溶媒
中で微粉砕する時に添加することによって、磁粉が凝集
せずに微粉砕され、均一な粉砕が実現されるので粒度分
布がシャープとなる。このとき0.9?m以上かつ6.0?m以下
の磁粉が全体の80%以上を占める。粒度分布がシャープ
になることで配向性の悪い超微粉と固有保磁力HcJの低
い粗大粉が減るので、Brが高く減磁曲線の角形性のよ
い、つまりBHmaxが高い異方性磁粉を得ることが可能と
なる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に本発明の異方性磁粉の組成
限定理由を説明する。%と単に記しているのは質量百分
率を意味する。R含有量は20〜30%が好ましく、22〜28
%がより好ましい。R含有量が20%未満では室温のHcJ
が397.9kA/m(5kOe)未満になり、30%超では(BH)max
が大きく低下する。RはSm,La及び不可避的R成分
からなり、La含有量は5%以下にするのが好ましく、
3%以下にするのがより好ましい。Y,Ce,Pr,N
d,Pm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,T
m,Yb及びLuの群から選択される少なくとも1種が
不可避的R成分に該当する。La含有量が5%超では(B
H)maxの低下が顕著になる。Smミッシュメタル等の安
価な混合希土類合金をR用原料合金として用いるのが実
用的である。室温のHcJ≧397.9kA/m(5kOe)を得るため
に、Rに占めるSm比率を50原子%以上にするのが好ま
しく、95原子%以上にするのがより好ましい。
【0009】磁粉中の窒素含有量は2.5〜4.0%が好まし
い。窒素含有量が2.5%未満及び4.0%超ではiHc及び(B
H)maxが大きく低下し、有用な磁気特性を得ることが困
難になる。また、磁粉表面の炭素含有量は磁粉質量に対
して0.5〜1.5%が好ましい。炭素含有量が0.5%未満で
は配向度が低下するためBHmaxとBrが減少し、1.5%超で
は磁粉とエラストマー組成物との密着が十分でなくシー
ト状の成形ができない。また、磁粉表面の水素含有量は
磁粉質量に対して0.1〜0.5%が好ましい。水素含有量が
0.5%未満では配向度が低下するためBHmaxとBrが減少
し、1.5%超では磁粉とエラストマー組成物との密着が
十分でなくシート状の成形ができない。さらに磁粉中の
酸素含有量は0.5〜1.5%が好ましい。酸素含有量が0.5
%未満では大気中の酸素と反応して加熱し、発火するこ
とが多い。1.5%超ではHcJとBHmaxが低下する。これに
よりBHmax=280kJ/m3以上の高特性でかつシート成形に適
した磁粉を得る事ができる。
【0010】Feの一部をCoで置換することによりキ
ュリー点、磁化及び耐酸化性が向上するので好ましい。
Co含有量は0.1〜20%とするのが好ましく、1〜10%
とするのがより好ましい。Co含有量が0.1%未満では
実質的な添加効果を得られず、20%超では磁化の低下が
大きくなり好ましくない。またFeの一部をGa,A
l,Zn,Sn,Cr,Ni,Ti,Zr,Hf,V,
Nb,Ta,Mo,W,Pd,C,Si及びGeの群か
ら選択される少なくも1種の元素で置換することにより
磁気特性や耐食性を向上できるので好ましい。これら元
素の含有量の合計は0.5〜10%が好ましい。前記含有量
が0.5%未満では実質的に添加効果が得られず、10%超
では磁化の低下が顕著になる。
【0011】本発明の異方性磁粉には製造上混入が避け
られないAl,Si,F,Na,Mg,Ca及びLiの
群から選択される少なくも1種の不可避的不純物元素を
合計で5%以下含有することが許容される。
【0012】窒化に供するR−Fe系母合金は、例えば
還元/拡散法、高周波溶解法、アーク溶解法、又はスト
リップキャスト法により作製することができる。
【0013】還元/拡散法によりR−Fe系母合金を作
製する場合の好ましい製造条件を以下に説明する。ま
ず、R酸化物粉末、及び平均粒径が約50μmのFe粉末
を用い、本発明の異方性磁粉に対応するR−Fe系母合
金の主要成分組成に配合し、さらに前記配合物中のR酸
化物が化学反応式上100%還元される量(化学量論的必
要量)の0.5〜2倍に相当する量の還元剤(金属Ca)
を前記配合物に添加し、混合する。次に混合物を不活性
ガス雰囲気中で1000〜1300℃×1〜20時間加熱し、R酸
化物を還元し、次いで還元したR,Feを十分に相互拡
散させた後室温まで冷却する。還元剤の添加量が化学量
論的必要量の0.5倍未満では工業生産上有益な還元反応
が実現されず、2倍超では最終的に得られる異方性磁粉
に残留するCa量が増大し磁気特性の低下を招く。また
前記加熱条件が1000℃×1時間未満では工業生産上有益
な還元/拡散反応が進行せず、1300℃×20時間超では還
元/拡散反応炉の劣化が顕著になる。得られた反応生成
物を洗浄液中に投入し、CaO等の反応副生成物を洗い
流した後、脱水及び真空での加熱乾燥を行い、還元/拡
散法によるR−Fe系母合金が得られる。このR−Fe
系母合金には不可避的に所定量のCaが混入する。Ca
含有量は通常0.4質量%以下になり、洗浄及び乾燥条件
を適宜選択することにより0.2質量%以下にすることが
でき、特に0.1質量%以下にすることができる。このRD-
洗浄後の微粉砕前の粗粉(平均粒径10?m以上)における
酸素含有量は通常0.8質量%以下になり、洗浄及び乾燥
条件を適宜選択することにより0.4質量%以下にするこ
とができ、特に0.2質量%以下にすることができる。炭
素含有量(微粉砕前の粗粉中)は通常0.3質量%以下に
なり、洗浄及び乾燥条件を適宜選択することにより0.2
質量%以下にすることができ、特に0.1質量%以下にす
ることができる。
【0014】高周波溶解法、アーク溶解法、又はストリ
ップキャスト法により作製したR−Fe系母合金は、不
活性ガス(窒素を除く)雰囲気中で1010〜1280℃×1〜
40時間加熱する均質化熱処理を行い、次いで室温まで冷
却することによりαFeやSmFe等の偏析相を低減
することができる。均質化熱処理の条件が1010℃×1時
間未満では拡散が十分でなくαFeやSmFe等が残
留し、1280℃×40時間超では均質化熱処理の効果が飽和
し、Sm等の蒸発による組成ずれが顕著になる。
【0015】窒化について説明する。水素が1〜95体積
%で残部が窒素からなる(水素+窒素)の混合ガス、あ
るいはNHの体積%が10〜90%で残部水素からなる
(NH +水素)の混合ガスの雰囲気中で300〜650℃×
0.1〜30時間加熱するガス窒化を採用するのが好まし
い。ガス窒化の加熱条件は400〜550℃×0.5〜20時間が
より好ましい。300℃×0.1時間未満では窒化が事実上行
われず、650℃×30時間超では逆にRN相やαFe、ア
モルファス相を生成し磁気特性が顕著に低下する。窒化
ガスの圧力は2.0×10〜1.0×10Pa (0.2〜10atm)
が好ましく、5.0×10 〜5.0×10Pa (0.5〜5atm)
がより好ましい。2.0×10Pa(0.2atm)未満では窒化
反応が非常に遅くなり、1.0×10Pa (10atm)超では
高圧ガス設備によるコスト増を招く。
【0016】窒化後に、真空雰囲気中又は不活性ガス雰
囲気中(窒素ガスを除く)で300〜600℃×0.5〜50時間
の熱処理を行うと残留磁束密度,HcJ,及び(BH)maxを高
めることができる。窒化処理後は磁粉の平均粒径が10?m
以上であり、このままではHcJが実用的な磁石としては
小さい。HcJを高めるためには、ボールミル、ジェット
ミル、振動ミル、アトライター等で微粉砕し、平均粒径
を3.5?m以下にすることが必要である。本発明は有機溶
媒を用いた湿式粉砕に有効なものであり、微粉砕時に界
面活性剤を適量(微粉砕後、磁粉質量に対してC含有量
が0.5〜1.5%、H含有量が0.1〜0.5%となる高分子が付
着するように)添加し、平均粒度を1.5〜3.5?mにするこ
とで異方性シート状磁石に適した磁粉を供給することが
できる。例えば磁粉500g、有機溶媒1.4リットルに対し
て界面活性剤を11g入れることで本発明の磁粉を得るこ
とができる。
【0017】本発明の異方性磁粉の主相は2-17型結晶
構造を有する硬質磁性相であり、不可避的に存在するα
Fe及び/又は不純物相(酸化物、炭化物等)以外は2
-17型結晶構造を有する硬質磁性相のみからなるのが好
ましい。室温のHcJ≧397.9kA/m(5kOe)を得るために、
本発明の異方性磁粉に存在するαFeの比率を、平均面
積率で5%以下にする必要があり、3%以下とするのが
好ましく、1%以下とするのが特に好ましい。硬質磁性
相、及び不可避的に存在するαFe等の同定、並びに各
相の面積比率の算出は、電子顕微鏡又は光学顕微鏡等に
より撮影した異方性磁粉の断面組織写真、電子回折結
果、並びにX線回折結果等を考慮して求める。例えば、
対象とする異方性磁粉粒子の断面組織を撮影した透過型
電子顕微鏡写真及びその断面組織の同定結果を符合させ
て求めることができる。
【0018】本発明の異方性磁粉は、ThZn17
結晶構造の単結晶であるためニュークリエーション型の
保磁力機構を有している。
【0019】本発明の異方性磁粉を用いたシート状磁石
は、アクリル系ゴムのようなエラストマー成分に必要に
応じて界面活性剤を含ませたバインダーと磁粉を混合さ
せた着磁性エラストマー組成物を成形材料とする。これ
を加熱しながらカレンダーロールにて圧延してシート状
とし、シートの厚み方向に磁界を印加して磁粉の配向と
着磁を行うか、または磁場中で押し出し成形するといっ
た方法で得ることができる。
【0020】以下実施例により本発明を説明するが、本
発明はそれら実施例により限定されるものではない。 (実施例1)高周波溶解によりSm24.4Febalの母合金溶
湯を作製し、鋳型鋳造した。得られたインゴットをアル
ゴンガス雰囲気中、1100℃で10時間加熱し、次いで室温
まで冷却する均質化熱処理を行った。次にインゴットを
窒素ガス雰囲気中で粉砕し、75μmアンダーに分級し
た。次にアンモニア35体積%,水素65体積%の混合気流
中で480℃×5時間加熱し、次いで室温まで冷却し、平均
粒径25μm(Sympatec社製、HELOS・RODOSにより測定)
の粗粉を得た。この磁粉はThZn17型結晶構造の
硬質磁性相と微小なαFeからなり、αFeの平均面積
率は0.1%であった。この窒化処理した粗粉500gとステ
アリン酸11gを容積2.3リットルのボールミルで有機溶
媒中湿式ボールミル粉砕した。粉砕媒体はボールミル容
積の約半分まで入れ、溶媒は1.4リットルとした。VS
M用の銅容器中に所定量の微粉砕をした磁粉とパラフィ
ンワックスとを充填し、密封した。次いで銅容器を1.59
MA/m(20kOe)の平行磁場を印加したまま80℃に加熱し
てパラフィンワックスを溶かし、磁粉を配向させ、室温
まで冷却して磁粉を固定した。次いで最大印加磁場1.59
MA/m(20kOe)のVSMを用いて、磁粉の室温の磁気特性を
測定した。得られた測定値を100%磁粉のみに換算(理
論密度を7.65Mg/m)した結果を磁粉の諸特性と共に表
1に示す。表中の分布とは粒度分布のことであり、0.9?m
以上かつ6?m以下の粒径の磁粉が全体に占める割合を示
す。この分布と平均粒径はHELOS・RODOSによる。更にこ
の磁粉を用いてシート状磁石を成形した。シート状磁石
の成形においては、前記の磁粉の89.7質量部に対し
てアルキルアクリレート系のアクリル樹脂を7.0質量
部添加した。また界面活性剤として微粉砕時に添加した
ものとは別にステアリン酸を2.5質量部添加した。安
定剤には芳香族系のアミン系酸化防止剤を0.2質量部
用いた。さらに表面処理材としてシランカップリング剤
を0.6質量部添加した。これらを混練機において加熱
しながら混練した。混練物を冷却後、粒径5mm以下に
粉砕し、シート成形用のコンパウンドを得た。このコン
パウンドを50〜150℃に温度調整されたカレンダー
ロールにより引き伸ばし、厚さ1.2mmのシート状磁
石成形体とした。この成形体を100mm×100mm
の寸法で切断し、その後、平坦な面同士でプレス可能な
磁場印加装置に設置し、1kPaの圧力中で両面を約1
5〜50℃の温度で加熱し、2万Oeの配向磁場をシー
トの厚み方向に印加した。さらに前記と逆の方向にも同
様の条件で磁場を印加した。これを繰り返し、厚み方向
に5回磁場を印加した。BHトレーサーで測定した磁気特
性の値も表1に示す。
【0021】
【表1】
【0022】(実施例2〜7比較例1〜4)実施例1で作
製した異方性磁粉の作製法のうち、ステアリン酸添加量
を変えてC,H量を変化させた微粉とボールミルの粉砕時
間を変えて平均粒径を変化させた微粉を作製した。その
他の作製条件、特性評価法は実施例1と同様にした。こ
の微粉の諸特性と、この磁粉で作製したシート状磁石の
磁気特性を表1に示す。
【0023】(比較例5、6)実施例1で作製した異方性
磁粉の作製法のうち、比較例5はボールミル粉砕後乾燥
させた微粉を一週間大気中に放置し、酸素量を増加させ
た。比較例6はボールミル粉砕後の乾燥を窒素ガス中で
行い、ガス分析(O,H,N量分析)は窒素中で分析用カプ
セルに封入して行った。その他の作製条件、特性評価法
は実施例1と同様にした。この微粉の諸特性と、この磁
粉で作製したシート状磁石の磁気特性を表1に示す。
【0024】表1において、実施例1〜7と比較例1、2
との比較から、C量とH量がそれぞれ0.5〜1.5、0.1〜0.5
の場合にシート状磁石で高い(BH)max及びBr,HcJが得ら
れることがわかる。比較例2は磁粉とエラストマー組成
物の結合が不十分で成形ができなかった。また実施例1
〜7と比較例3,4との比較から、平均粒径1.5〜3.5?mにし
たときにシート状磁石で高い(BH)max及びBr,HcJが得ら
れることがわかる。更に、実施例1〜7と比較例5,6との
比較から、酸素量が0.5〜1.5%のときにシート状磁石で
高い(BH)max及びBr,HcJが得られることがわかる。比較
例6では磁粉を大気中に取り出した直後に発熱、発火し
た。
【0025】(実施例8〜10、比較例7,8)希土類元素R
中のLa添加量の影響について検討した。高周波溶解によ
りSm(24.4-x)LaxFebal、(x=1.0、4.0、5.0、5.5、7.
0)の母合金溶湯を作製し、鋳型鋳造した。得られたイ
ンゴットをアルゴンガス雰囲気中、1100℃で10時間加熱
し、次いで室温まで冷却する均質化熱処理を行った。以
後の作製条件、評価方法は実施例1と同様にした。この
微粉の諸特性と、この磁粉で作製したシート状磁石の磁
気特性を表2に示す。表2において、実施例8〜10比較例
7,8との比較から、La量が5%以下の場合にシート状磁石
で高い(BH)max及びBr,HcJが得られることがわかる。
【0026】
【表2】
【0027】(実施例11)実施例1と同様にして微粉
砕した磁粉を得た。混合した磁粉:91.94質量部に対し
てそれぞれ、天然ゴム:3質量部、ニトリルゴム:3質量
部、塩素化ポリエチレン:2質量部、ビスフェノール型
エポキシ樹脂:0.05質量部およびステアリン酸カルシウ
ム:0.01質量部を配合後、加熱しながら混練した。混練
物を冷却後、粒径5mm以下に粉砕した。粉砕後、大気
中で棒状の成形体を加熱しながら磁場を印加しながら押
出成形した。次いで、シート状成形体を長さ80mmにな
るように切断した。その後、不純物を除去するために大
気中で50℃x10時間加熱する熱処理を行った後、続いて
大気中で加硫処理(150℃x2時間)を行い、シート状
ボンド磁石を得た。これらのシート状ボンド磁石の磁気
特性は実施例1と同様の値を示した。また、実施例2〜
7で用いた磁粉を使用し、押出成形により同様にシート
状磁石を製造した。その結果表1と同様の傾向があり、
C量とH量がそれぞれ0.5〜1.5、0.1〜0.5の場合にシート
状磁石で高い(BH)max及びBr,HcJが得られることがわか
った。
【発明の効果】以上記述の通り、本発明によれば、界面
活性剤をボールミル等の微粉砕時に添加し、C,H量と平
均粒径を調整することによって良好な磁気特性を有する
異方性磁粉、及びそれを配合してなる高性能の異方性シ
ート状磁石を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C22C 38/00 303 C22C 38/00 303D

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機溶媒中にR−T−N系(RはYを含
    めた希土類元素の1種または2種以上でありSmを必ず
    含む、TはFeまたはFeとCo、不可避の不純物を含
    む)合金原料およびCとHを含む界面活性剤を所定量添加
    し、微粉砕・乾燥し、平均粒径1.5〜3.5μmでかつ磁粉
    表面に磁粉質量に対してC:0.5〜1.5%,H:0.1〜0.5%
    となる界面活性剤を表面に有するものとすることを特徴
    とするR−T−N系シート成形用磁粉の製造方法。
  2. 【請求項2】 R−T−N系(RはYを含めた希土類元
    素の1種または2種以上でありSmを必ず含む、TはF
    eまたはFeとCo、不可避の不純物を含む)シート成
    形材料に用いる異方性磁粉であり、かつ前記異方性磁粉
    は平均粒径1.5〜3.5μmで、磁粉質量に対してC:0.5〜
    1.5%,H:0.1〜0.5%となる界面活性剤を磁粉表面に有
    することを特徴とするR−T−N系シート成形用磁粉。
  3. 【請求項3】 RとしてLaを5質量%以下含むことを
    特徴とする請求項2に記載のR−T−N系シート成形用
    磁粉。
  4. 【請求項4】 異方性磁粉の粒度分布は0.9〜6.0?mのも
    のが80%以上である請求項2または3に記載のR−T−
    N系シート成形用磁粉。
  5. 【請求項5】 異方性磁粉は質量%で0.5〜1.5%の酸素
    を含む請求項2〜4のいずれかに記載のR−T−N系シ
    ート成形用磁粉。
  6. 【請求項6】 請求項2〜5のいずれかの磁粉とバイン
    ダーとを混練してコンパウンドとし、ロール成形または
    押出成形により成形したR−T−N系異方性シート状磁
    石。
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