JP2003291773A - チャイルドシート用シートベルトウェビングおよびチャイルドシート - Google Patents

チャイルドシート用シートベルトウェビングおよびチャイルドシート

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JP2003291773A
JP2003291773A JP2002097799A JP2002097799A JP2003291773A JP 2003291773 A JP2003291773 A JP 2003291773A JP 2002097799 A JP2002097799 A JP 2002097799A JP 2002097799 A JP2002097799 A JP 2002097799A JP 2003291773 A JP2003291773 A JP 2003291773A
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webbing
seat belt
child seat
yarn
belt webbing
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JP2002097799A
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Katsunori Futai
克典 二井
Akio Tawara
昭夫 田原
Yoshiharu Okumura
由治 奥村
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】従来の機械的なエネルギー吸収機構に比べ格段
に低コストで同等以上のエネルギー吸収性能を発揮する
チャイルドシート用シートベルトウェビングおよびチャ
イルドシートを提供することにより、事故時の衝撃によ
る幼児の傷害を減少する。 【解決手段】1kN/cm幅の荷重下での伸度が5%以上で
80%以下であることを特徴とするチャイルドシート用
シートベルトウェビングおよびそれからなるチャイルド
シート。また、好ましくはシートベルトウェビングの1
次降伏応力が0.05〜1kN/cm幅である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両用のチャイル
ドシート用シートベルトウェビングおよびチャイルドシ
ートに関する。さらに詳しくは、緊急時の乳幼児および
児童の身体保護を目的とした安全性に優れたチャイルド
シート用シートベルトウェビングおよびチャイルドシー
トに関する。
【0002】
【従来の技術】チャイルドシートへの要求特性として
は、第一に衝突時の安全性、次に装着性、快適性、耐久
性などがあげられるが衝突時の安全性については身体の
拘束性を高めることすなわち衝突時に身体を強くシート
に押さえつけることにより身体の飛び出しを抑えること
に主眼が置かれている。近年、衝突時の衝撃(加速度)
による幼児の頭部あるいは胸部等へのダメージが問題視
されてきており、衝突時の衝撃を吸収するチャイルドシ
ートの提案がいくつかなされてきている。
【0003】例えば特開平2001−97086号公報
および特開平8−67184号公報にはチャイルドシー
トの背面にバネあるいは弾性ダイアフラムにより衝撃を
吸収しながら背面パネルが移動するチャイルドシートが
開示されている。また特開平9−136564号公報、
特開平8−26008号公報、特開平10−6830号
公報にはシートベルトの端部または一部に衝撃吸収プレ
ート、衝撃吸収ブラケット等の衝撃エネルギー吸収手段
を有するチャイルドシートが開示されている。
【0004】しかしながらこれらの手段は何れもチャイ
ルドシートの構造に付加的な衝撃吸収装置を設ける方法
であり、専用の設計を行った特定のチャイルドシートに
しか取り付けることができないという問題点を有してい
る。現在チャイルドシートとしてはバケットタイプ、車
輌シート組み込みタイプ、身体装着ハーネスタイプなど
各種のタイプが存在しているが、上述の従来の技術は特
定のタイプにしか適用できないものであった。また、従
来の衝撃吸収装置は精密に製造された複雑な金属部品か
らなるため製造コストが高くなり汎用性に乏しいという
問題も有している。加えて従来の衝撃吸収装置はシート
もしくはシートベルトの端部に装着し衝撃を吸収しよう
とするものであるため、乳幼児の身体のうち衝撃吸収装
置に近い部分に対しては衝撃吸収効果が高いが、衝撃吸
収装置から離れた部分に対しては衝撃吸収効果が低いも
のであった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
従来技術を背景になされたもので、事故による衝撃を受
けた際に、乳幼児あるいは児童にかかる衝撃エネルギー
を吸収するチャイルドシート用シートベルトウェビング
およびそれを用いたチャイルドシートを提供するもので
ある。すなわち、チャイルドシート用シートベルトウェ
ビングに特定の強度と伸度の関係を持たせることで、従
来の機械的な衝撃吸収装置に比べ格段に低コストで同等
以上の衝撃吸収性能を有し、なおかつあらゆるタイプの
チャイルドシートに適用可能なチャイルドシート用シー
トベルトウェビングおよびそれを用いたチャイルドシー
トを提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、本発明のチャイルドシート用シートベルトウェビン
グおよびチャイルドシートは主として次の構成を有す
る。すなわち、1kN/cm幅の荷重下での伸度が5%
以上で80%以下であることを特徴とするチャイルドシ
ート用シートベルトウェビング、およびたて糸の主たる
構成繊維が90モル%以上のブチレンテレフタレート単
位からなるポリブチレンテレフタレート系繊維であるチ
ャイルドシート用シートベルトウェビング並びにそれを
有するチャイルドシートである。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のチャイルドシート用シートベルトウェビングは
1kN/cm幅の荷重下での伸度が5%以上で80%以
下であることが必要である。ここでいう1kN/cm幅
の荷重下とは、シートベルトウェビング1cm幅あたり
1kNの荷重をかけた状態のことをいう。このときの伸
度が5%未満であるとシートベルトウェビングの衝撃吸
収量が不足し、衝突時にシートベルトウェビングを通じ
て過大な力が幼児の身体に加わり傷害を負う危険性が高
くなり、80%を超える場合は衝撃を受けた際に身体の
移動が大きくなり車内の各部位に接触し傷害を負う危険
性が大きくなる。このため1kN/cm幅の荷重下での
シートベルトウェビングの伸度は7〜50%であること
が好ましく、10〜30%であることがより好ましく、
12%〜20%下であることがさらに好ましい。
【0008】本発明でいう1次降伏応力とは図1に示し
たシートベルトウェビングの荷重−伸び曲線において点
Eの荷重をシートベルトウェビングの幅で除した値のこ
とを言う。ここでいう点Eとは荷重−伸び線図の初期立
ち上がり時の接線と、1次降伏後の曲線の接線との交点
を示す。
【0009】軽度な衝突や幼児の動きなどでシートベル
トウェビングが伸びることが無いためにシートベルトウ
ェビングの1次降伏応力は0.05kN/cm幅以上で
あることが好ましく、衝突時にシートベルトウェビング
を通して幼児に過大な力が加わる前にシートベルトウェ
ビングが伸びることで衝突エネルギーを吸収するために
1次降伏応力は1kN/cm幅以下であることが好まし
い。衝突時のシートベルトウェビングの伸びとエネルギ
ー吸収量のバランスの点から1次降伏応力は0.1〜
0.8kN/cm幅であることがより好ましく0.2〜
0.6kN/cm幅であることがさらに好ましく0.3
〜0.5kN/cm幅であることが最も好ましい。
【0010】本発明のシートベルトウェビングにおいて
は製織コストの低減や製織後の縫製等の後加工コストを
低減するために少なくともたて糸が実質的に単一の原糸
からなり、シートベルトウェビングの厚さがその長さ方
向に実質的に均一であることが好ましい。たて糸が実質
的に単一の原糸からなるとは、耳糸やかがり糸など手触
りやほつれ性向上の目的のために主にシートベルトウェ
ビングの端部に組み込まれている糸を除いた、シートベ
ルトウェビングの破断強力などの機械的な特性を受け持
つ糸のうち70%以上を該当繊維が占めることを言う。
たて糸の10%を上限に装飾性や手触り向上など機械特
性以外の機能を付与するための原糸が組み込まれていて
も良い。よこ糸はエネルギー吸収性には直接関与しない
ため、たて糸と同一の原糸あるいは同一で繊度のみ異な
る原糸または他の原糸を用いても良い。シートベルトウ
ェビングの厚さがその長さ方向に実質的に均一であると
は衝突エネルギーを吸収するためにウェビングの一部を
折り返して縫製を行ったいわゆるヒューズ部などを設け
ていないことを言う。
【0011】本発明のシートベルトウェビングに使用さ
れるたて糸の主たる構成繊維の単糸繊度は5〜30dt
exであることが好ましく、8〜12dtexであるこ
とがさらに好ましい。単糸繊度が5dtex以上であれ
ば耐摩耗性および耐久性に優れたシートベルトウェビン
グが得られるため好ましい。また、単糸繊度が30dt
ex以下であればシートベルトウェビング製織時の工程
通過性が良好で、触感に優れたシートベルトウェビング
が得られるため好ましい。本発明のシートベルトウェビ
ングに使用される繊維の総繊度は200〜4000dt
exであることが好ましく、400〜2500dtex
であることがより好ましく、1000〜2000dte
xであることがさらに好ましい。総繊度が200dte
x以上であれば繊維の生産性に優れ、4000dtex
以下であれば織物が柔軟になり触感にも優れたシートベ
ルトウェビングが得られるため好ましい。
【0012】本発明のシートベルトウェビングに使用さ
れる主たる構成繊維の交絡度(CF値)は10〜70で
あることが好ましく15〜60であることがより好まし
く20〜50であることがさらに好ましい。交絡度が1
0以上の場合ウェビング製織時のよこ糸の打ち込み性が
良好であり、交絡度が70以下の場合交絡付与時の繊維
のダメージが少なく強度低下の小さい繊維が得られるた
め好ましい。なお、本発明でいうたて糸の主たる構成繊
維とは耳糸やかがり糸などの手触りやほつれ性向上の目
的のために主にシートベルトウェビングの端部に組み込
まれている糸を除いた、シートベルトウェビングの破断
強力などの機械的な特性を受け持つ糸のうち70%以上
を占めるている繊維のことを言う。
【0013】本発明のシートベルトウェビングのたて糸
としては、たるみのない状態で初期降伏点後に一定強力
で伸長し衝撃吸収挙動を示すことが好ましい。このよう
な原糸としてはポリエチレンテレフタレート、ポリエチ
レンナフタレートに代表される芳香族ポリエステル、イ
ソフタル酸などの第3成分を共重合したポリエチレンテ
レフタレートに代表される共重合ポリエステル、ポリ乳
酸に代表される脂肪族ポリエステルなどのポリエステル
繊維があげられる。
【0014】これらのポリマーには曳糸性を損ねない範
囲で、ウェビングの性能を高める目的で、顔料、耐光
剤、難燃剤や酸化防止剤を添加してあっても良い。また
これらのポリマーには艶消し剤として酸化チタンを0.
01〜0.5%程度含有していても良く、カーボンブラ
ック系顔料などの無機系顔料や、フタロシアニン系顔
料、アントラキノン系着色剤、スチレン系着色剤、およ
びキナクリドン系着色剤などの有機系着色剤を含有して
いても良い。
【0015】また共重合ポリエステルの共重合成分とし
ては、エステル形成性成分であれば特に限定されず、テ
レフタル酸およびエチレングリコール、エチレンオキサ
イドの他にプロピレングリコール、プロピレンオキサイ
ド、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、
2,2―ビス(4―(β―ヒドロキシエトキシ)フェニ
ル)プロパン、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン
酸、ジフェニルジカルボン酸、5−スルホン酸ナトリウ
ムイソフタル酸、ポリカプロラクトン等が挙げられる。
低コストであること、品質が安定していること、エネル
ギー吸収ベルトに適した強伸度特性(低降伏応力、フラ
ットな定応力伸長域、高破断伸度、高破断強力)を持つ
こと、およびポリエチレンテレフタレートや共重合ポリ
エステルなどに比べ、シートベルトウェビングの染色工
程や、熱セット工程を経た後でも理想的なエネルギー吸
収挙動を示すこと、などの点から90%以上がブチレン
テレフタレート単位からなるポリブチレンテレフタレー
トが最も好ましい。
【0016】ポリブチレンテレフタレート繊維として
は、引張り強度5.3cN/dtex以上が好ましく、
より好ましくは5.8cN/dtex以上である。ま
た、破断伸度は18〜35%であることが好ましく、よ
り好ましくは20%〜30%である。破断伸度が18%
以上であれば布帛の柔軟性に優れ、紡糸、製織時の毛羽
や糸切れの発生も少なくなり35%以下であれば衝撃吸
収時のシートベルトウェビングの伸びが抑えられ車体と
の接触の危険性が小さくなるため好ましい。
【0017】またポリブチレンテレフタレート繊維とし
ては、複屈折が0.140以上、示査走査熱量分析(D
SC)による融点が210℃以上の特性を有することが
好ましい。複屈折率が0.140以上であれば、原糸の
破断強度を高くでき、DSCによる融点が210℃以上
であれば耐熱性に優れ、高温時の寸法安定性も良好にで
きるため好ましい。
【0018】このようなポリブチレンテレフタレート繊
維は特異な強度−伸度挙動を有し、ポリエステル特有の
低吸水性なども合わせ持つので、高いエネルギー吸収性
能と優れた寸法安定性を有する。5%伸長時における強
度が0.9cN/dtex以下である場合は、紡糸、延
伸さらには製織時における毛羽発生や糸切れを少なくす
ることができるため好ましい。ポリブチレンテレフタレ
ート繊維の固有粘度は、破断強度、破断伸度および耐久
性が向上することから1.00以上であることが好まし
く、1.20以上であることがより好ましい。繊維の固
有粘度を1.00以上にするためには、用いるポリマー
の固有粘度を高くすればよく、通常1.30以上のポリ
ブチレンテレフタレートポリマーを用いることで達成で
きる。このように高い固有粘度を有するポリマーは比較
的低粘度のポリマーから公知の固相重合などの手法によ
り得ることが可能である。またポリブチレンテレフタレ
ートとしては、10%を上限として曳糸性を高める等の
目的で共重合成分を含んでいても差し支えないが、原糸
の破断強度を高くすることで必要な原糸の量を少なくで
き、ウェビングをより薄く軽量にできるため100%ブ
チレンテレフタレート単位からなることが好ましい。
【0019】本発明で言うチャイルドシートとはバケッ
トタイプ、車輌シート組み込みタイプ、身体装着ハーネ
スタイプなど専用のシートベルトウェビングを有してい
ればどのようなタイプであっても良く、上述した本発明
のシートベルトウェビングを装着することで優れた衝撃
吸収性能を付与することができる。
【0020】以上に述べてきた本発明のチャイルドシー
ト用シートベルトウェビングのたて糸に用いられる繊維
として例えばポリブチレンテレフタレート繊維は、以下
の方法により製造することができるがこれに限定される
ものではない。
【0021】ポリブチレンテレフタレート系繊維は、通
常の溶融紡糸法により口金より紡出される。このときポ
リマーの熱による劣化を防ぐために、紡糸機内における
ポリマーの滞留時間は短いほど好ましく、通常10分以
内、好ましくは1〜5分とすればよい。紡糸温度は通常
240〜280℃であればよいが、共重合成分の有無な
どにより適宜最適化すればよい。
【0022】さらに口金直下には加熱筒を配し、吐出糸
条はこの加熱筒内を通過させることが好ましい。この加
熱筒は、一般に5〜100cmの長さで、200〜35
0℃で温度制御された加熱筒であればよいが、その長さ
及び温度条件は得られる糸条の繊度やフィラメント数に
より最適化されればよい。この加熱筒は、溶融ポリマー
の固化を遅らせ高強度を発現させるために使用すること
が好ましい。
【0023】ここで、所望の強伸度特性を得るために
は、ポリマーは前述のごとく固有粘度が1.00以上の
高粘度ポリマーであることが好ましい。
【0024】紡出糸条は上記高温雰囲気中を通過した
後、冷風で冷却固化され、ついで油剤が付与された後、
紡糸速度を制御する引取りロールで引取られる。
【0025】引取りロールに引取られた未延伸糸条は、
通常連続して延伸されるが、一旦巻取った後に別工程で
延伸してもよい。紡糸速度は、通常300〜3000m
/分、好ましくは1500m/分以下であればよい。延
伸は常法の熱延伸が採用されればよく、2段以上の多段
延伸が好ましい。その延伸倍率は未延伸糸の配向度、延
伸温度、および多段延伸する際の延伸比配分等によって
変化させうるが、1.5〜6.0倍、好ましくは2.0
〜5.5倍のような高倍率が好ましい。
【0026】次いで、この延伸糸は熱固定される。熱固
定は糸条を熱ローラーや熱板に接触させたり、また高温
気体中を通過させることなどの公知の方法により行えば
よく、一般に160〜210℃、好ましくは180〜2
00℃の熱固定温度をとればよい。熱固定の後には弛緩
処理を行い、ここでの張力を変化させることで、乾熱収
縮率および初期降伏点強力をコントロールすることが可
能である。ここで、弛緩率を高く取るためには、接触型
のヒーターあるいは非接触型のヒーター等の糸条加熱手
段を併用して弛緩処理を行うことが好ましい。また、工
程上の毛羽発生を抑制するため、延伸工程および熱固定
工程において、フィラメントに交絡処理を施すことは何
ら差し支えない。
【0027】交絡は、エア交絡などの公知の方法が採用
でき、例えばエア交絡の場合、用いる糸条の繊度や張力
に応じて、エアの圧力を適宜変更することで目的の交絡
度を達成することができる。
【0028】本発明において、製織の方法については特
に限定されるものではなく、通常の方法、例えば下記の
条件で製織することができる。 たて糸:糸条総繊度 1670dtex、たて糸本数 180
本/39mm、 よこ糸:糸条総繊度 560dtex、よこ糸本数 20本/
25mm。 製織後の染色温度:185℃
【0029】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明す
る。本実施例における各物性は次のようにして測定した
値である。
【0030】[繊維の強度、伸度]試料を気温20℃、
湿度65%の温調室にてテンシロン引張試験機を用い、
糸長25cm、引張速度30cm/分で測定した。
【0031】[交絡度(CF値)]1m試長の試料に1
00gの荷重をかけ、6gのフックを下降速度1〜2c
m/秒で下降させ、式:交絡度(CF値)=100(c
m)/下降距離(cm)により計算して求めた。
【0032】[固有粘度IV、相対粘度η](a)PBT
の場合;試料0.125gにオルソクロルフェノール2
5mlを加えて、120℃で30分間加熱して溶解し
た。その後、オストワルド粘度計にて相対粘度ηrを測
定し、表1の換算表よりIVを求めた。
【0033】
【表1】
【0034】(b)PETの場合;試料8gをオルソクロ
ルフェノール100mlに溶解し、その相対粘度ηrを
オストワルド式粘度計を用いて25℃で測定し、次の近
似式によって求めた。 IV=0.0242ηr+0.2634。
【0035】[ウェビングの初期降伏点伸度]JIS
D 4604の6.1(1)項に従った測定において、
荷重−伸び線図の初期立ち上がり時の接線と、1次降伏
後の曲線の接線との交点の伸度を示す。図1の場合、E
点の伸度が初期降伏点伸度となる。
【0036】[ウェビングの破断強力]JIS D 4
604の6.1(1)項に従って測定し、破断時の引張
強力を求め、ウェビングの破断強力とした。
【0037】[ウェビングの伸度]JIS D 460
4の6.1(3)項に従って測定し、11.1kN時の
伸び率を求め、ウェビングの伸度とした。
【0038】[衝突試験時の最大ベルト張力]2本の肩
ベルトで固定した15kgダミーを時速55km/hの
速度で衝突試験を行った際に、ダミーの運動エネルギー
の1/3をベルトの伸長により吸収すると仮定し、衝突
試験時のベルトの最大張力をベルトのSS曲線から求め
た。
【0039】(実施例1)固相重合によって得られた固
有粘度1.80、残留水分率0.003%以下のポリブ
チレンテレフタレート(PBT)ポリマーを、255℃
に加熱したエクストルダー型紡糸機で溶融した後、26
0℃に加熱した紡糸パック中に導き、孔径0.6mm
φ、孔数は96の紡糸口金より吐出した。口金直下には
13cmの加熱筒を取り付け、筒内雰囲気温度を280
℃となるように加熱した。筒内雰囲気温度は、口金面よ
り10cm下の位置で、かつ最外周糸条より1cm離れ
た位置で測定した。加熱筒の下にはユニフロー型チムニ
ーを取付け、糸条の側方から18℃で30m/分の冷風
を糸条に吹付け冷却固化した。
【0040】次いで油剤を付与した後、400m/分で
回転する引取ロールにより糸条を引取って、引取りロー
ルと給糸ロールとの間で3%のストレッチをかけ、引取
り糸の引揃えを行い引き続いて2段熱延伸と1段弛緩処
理を連続して行い延伸糸を巻き取った。引取りロールは
非加熱、給糸ロール温度は60℃、第1延伸ロール温度
は105℃、第2延伸ロール温度は190℃、延伸後の
弛緩ロールは非加熱とした。総延伸倍率は4.8倍、延
伸比率は1段目で総延伸倍率の70%の延伸を行い、残
りを2段目で延伸し、弛緩率5%でリラックス処理を施
すことで破断強度6.2cN/dtex、破断伸度24
%、繊度1670dtex、96フィラメントの延伸糸
を得た。弛緩ロールと巻き取り機の間には交絡付与ノズ
ルを設置し繊維に交絡を付与した。得られた原糸の特性
を表2に示す。
【0041】
【表2】
【0042】次に、上記原糸180本をたて糸とし、よ
こ糸としては、強度6.6cN/dtex、伸度21%のポリ
エステル繊維(700dtex/72フィラメント)を2本
引揃え、ニードル織機を用いることにより、ウェビング
の製織を行い、巾39mmのウェビングを得た。よこ糸
の織密度は15本/25mmとした。次いでウェビング
を190℃下で1分間、染色、ヒートセットおよび仕上
げ処理剤付与を行い、得られたウェビングの特性を表3
に示した。
【0043】
【表3】
【0044】表3から明らかなように、得られたチャイ
ルドシート用シートベルトウェビングは一定荷重で適度
な伸張性を有しており、衝突時に幼児にかかる負荷をウ
ェビングの伸長によって吸収できる優れたものであっ
た。比較例1に示した現行のウェビングに比べ衝突時の
最大ベルト張力すなわち幼児の体に加わる負荷をほぼ半
減することが可能である。
【0045】(実施例2)実施例1と同じ原糸を用い、
たて糸の本数を110本、ウェビングの幅を26mmと
したこと以外は実施例1と同様の製法でウェビングを得
た。得られたウェビングの特性を表3に示す。表3から
明らかなように、得られたチャイルドシートベルト用シ
ートベルトウェビングは実施例1に比べて1次降伏応力
が低くより低い荷重で伸長するため、より体重の軽い幼
児すなわち低年齢の幼児向けとして適した、チャイルド
シート用シートベルトウェビングであった。
【0046】(実施例3)IV=1.38のポリエチレ
ンテレフタレートポリマーを用い、295℃に加熱した
エクストルダー型紡糸機で溶融した後、300℃に加熱
した紡糸パック中に導き、孔径0.6mmφ、孔数は9
6の紡糸口金より吐出した。口金直下には30cmの加
熱筒を取り付け、筒内雰囲気温度を320℃となるよう
に加熱した。加熱筒の下にはユニフロチムニーを取付
け、糸条の周囲より18℃で30m/分の冷風を糸条に
吹付け冷却固化した。
【0047】次いで油剤を付与した後、680m/分で
回転する引取ロールにより糸条を引取って、引取りロー
ルと給糸ロールとの間で3%のストレッチをかけ、引取
り糸の引揃えを行い引き続いて延伸工程において延伸熱
処理を行った。延伸熱処理は、2段熱延伸を行いその後
に弛緩処理を行って巻取った。引取りロールは非加熱、
給糸ロール温度は85℃、第1延伸ロール温度は110
℃、第2延伸ロール温度は225℃、延伸後の弛緩ロー
ルは非加熱とした。総延伸倍率は4.0倍、延伸比率は
1段目で総延伸倍率の70%の延伸を行い残りを2段目
で延伸し、引き続いて弛緩率9%のリラックス処理を施
し、1650dtex、96フィラメントの延伸糸を得
た。なお、弛緩率を高く取るため弛緩ロールと第2延伸
ロール間には長さ1m、内部温度350℃の非接触ヒー
タを設置した。得られた原糸を実施例1と同様の方法で
製織しウェビングを得た。物性を表3に示した。表3か
ら明らかなように得られたチャイルドシート用シートベ
ルトウェビングは実施例1よりも高い初期降伏応力を有
し、実施例1よりも高い荷重で伸長するため、より体重
の重い幼児すなわち高学年の幼児向けとして適したチャ
イルドシート用シートベルトウェビングであった。
【0048】(実施例4)交絡付与ノズルの条件を変更
することで交絡度を8とした以外は実施例1と同様の方
法で原糸を得た。得られた原糸を実施例1と同様の方法
で製織を行い表3のウェビングを得たが、製織時のよこ
糸の打ち込み性が不良であり、生産性に劣るものであっ
た。
【0049】(実施例5)イソフタル酸を12モル%共
重合している固有粘度1.150のポリエチレンテレフ
タレートポリマーを使用し、紡糸温度を280℃、給糸
ロール温度を90℃,第1延伸ロール温度を110℃、
第2延伸ロール温度を210℃、弛緩率を16%に変更
した以外は、実施例1と同様に製糸および製織し、ウェ
ビングを得た。表3から明らかなように破断強力が実施
例1には及ばないが、適度な伸長性を有しておりチャイ
ルドシート用シートベルトウェビングとして適したもの
であった。
【0050】実施例1〜5のチャイルドシート用シート
ベルトウェビングを従来のバケットタイプ、車輌シート
組み込みタイプ、身体装着ハーネスタイプの各チャイル
ドシートに装着したところ、いずれも従来のシートベル
トウェビング装着品に比べて衝突時の幼児への衝撃を減
少することができた。
【0051】(比較例1)IV=1.27のポリエチレ
ンテレフタレートポリマーを用い、295℃に加熱した
エクストルダー型紡糸機で溶融した後、295℃に加熱
した紡糸パック中に導き、紡糸口金より吐出した。紡糸
口金、加熱筒およびチムニーは実施例1と同様の装置お
よび条件を採用した。油剤を付与した後、500m/分
で回転する、引取ロールにより糸条を引取って、引取り
ロールと給糸ロールとの間で3%のストレッチをかけ、
引取り糸の引揃えを行った。
【0052】続いて、上記糸条を延伸工程に送り、連続
して延伸熱処理を行った。その延伸熱処理は、2段熱延
伸する方法で行い、その後弛緩処理を行って巻取った。
引取りロールは非加熱、給糸ロール温度は80℃、第1
延伸ロール温度は110℃、第2延伸ロール温度は22
5℃とし、延伸後の弛緩ロールは非加熱とした。総延伸
倍率は5.6倍、延伸比率は1段目で総延伸倍率の70
%の延伸を行い残りを2段目で延伸し、弛緩率3%でリ
ラックス処理を施し、1670dtex、96フィラメ
ントの延伸糸を得た。得られた原糸から実施例1と同様
の方法でウェビングの製織を行い表3のウェビングを得
た。得られたウェビングは高強度、低伸度であり、伸長
に対してほぼ直線的に強度が増加してし1次降伏点は見
られなかった。このウェビングはどのような荷重下でも
特異な伸張性を有しておらず、衝撃時にウェビングの伸
長によって幼児への衝撃を吸収することができず、幼児
の体に過大な荷重を加える可能性を有するウェビングで
あった。
【0053】(比較例2)比較例1と同様の原料を同様
の条件で紡糸口金から吐出した後、延伸することなく2
000m/分の速度で巻取り表2の原糸を得た。この原糸
を用い実施例1と同様の方法で表3のウェビングを得
た。得られたウェビングは破断強力が低く、また、1k
N/cm幅の荷重下の伸度が87%と非常に高く、チャイル
ドシート用シートベルトウェビングとして用いた場合、
衝突試験時の最大ベルト張力は低くなるが、衝突時にウ
ェビングが大きく伸び、幼児の移動距離が非常に大きく
なり前席のシートバックあるいは、ダッシュボード等に
衝突する可能性の高いウェビングであった。
【0054】
【発明の効果】本発明のチャイルドシート用シートベル
トウェビングは優れた衝撃吸収性能を有し、本発明のチ
ャイルドシートでは、従来の複雑でコストの高い機械的
なエネルギー吸収機構を用いることなく優れたエネルギ
ー吸収性を発揮し、幼児の体に加わる負荷を半分以下に
することができ、緊急時の乳幼児の傷害を最小限に抑え
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ウェビングの初期降伏点を求める際に用いる荷
重−伸び線図の一例である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3B087 CD04 CE01 DE05 4L048 AA21 AA22 AA48 AA49 AB08 AB11 AC09 AC10 BA02 BB01 CA01 CA02 DA26 EA00 EB00 EB05

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】1kN/cm幅の荷重下での伸度が5%以
    上で80%以下であることを特徴とするチャイルドシー
    ト用シートベルトウェビング。
  2. 【請求項2】シートベルトウエビングの1次降伏応力が
    0.05kN/cm幅以上で1kN/cm幅以下である
    ことを特徴とする請求項1記載のチャイルドシート用シ
    ートベルトウェビング。
  3. 【請求項3】シートベルトウェビングの少なくともたて
    糸が実質的に単一の原糸からなり、シートベルトウェビ
    ングの厚さがその長さ方向に実質的に均一であることを
    特徴とする請求項1または2記載のチャイルドシート用
    シートベルトウェビング。
  4. 【請求項4】シートベルトウエビングのたて糸の主たる
    構成繊維の単糸繊度が5〜30dtex、総繊度が20
    0〜4000dtex、交絡度(CF値)が10〜70
    であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載
    のチャイルドシート用シートベルトウェビング。
  5. 【請求項5】シートベルトウエビングのたて糸の主たる
    構成繊維がポリエステル繊維であることを特徴とする請
    求項1〜4のいずれかに記載のチャイルドシート用シー
    トベルトウェビング。
  6. 【請求項6】シートベルトウエビングのたて糸の主たる
    構成繊維が90モル%以上のブチレンテレフタレート単
    位からなるポリブチレンテレフタレート系繊維であるこ
    とを特徴とするチャイルドシート用シートベルトウェビ
    ング。
  7. 【請求項7】シートベルトウエビングのたて糸の主たる
    構成繊維が90モル%以上がブチレンテレフタレート単
    位からなるポリブチレンテレフタレート系繊維であるこ
    とを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のチャイ
    ルドシート用シートベルトウェビング。
  8. 【請求項8】請求項1〜7のいずれかに記載のシートベ
    ルトウェビングを有することを特徴とするチャイルドシ
    ート。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008169022A (ja) * 2007-01-15 2008-07-24 Yokohama Rubber Co Ltd:The コンベヤベルト

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JP2008169022A (ja) * 2007-01-15 2008-07-24 Yokohama Rubber Co Ltd:The コンベヤベルト

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