JP2003289654A - モータ組付方法 - Google Patents

モータ組付方法

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Kazuo Iwashita
和男 岩下
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修二 上原
Yuji Yasuda
祐司 安田
Yasuhiro Takebe
康弘 竹部
Michinori Kojima
理規 小島
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 希土類磁石を用いたモータにおいて、スパー
ク痕を発生させることなく界磁石をフル着磁できるモー
タ組付方法を提供する。 【解決手段】 希土類の界磁永久磁石を有するステータ
と、回転軸に固着されたアーマチュアコアとコンミテー
タとを備えたアーマチュアと、ステータの一端側に取り
付けられるフロントブラケットと、フロントブラケット
とは反対端側に取り付けられブラシを備えるリアブラケ
ットとを有するモータを組み付ける。ステータにアーマ
チュアとフロントブラケットを組み付け、リアブラケッ
トに代えてブラケット治具を取り付け、その状態で永久
磁石を着磁する。永久磁石の着磁後にブラケット治具を
外し、リアブラケットをステータに取り付ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、永久磁石界磁モー
タの組付方法に関し、特に、ネオジウム系等の希土類磁
石を用いたモータに適用して有効な技術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、フェライト磁石を界磁石とし
て用いたモータでは、ステータ側に未着磁の磁石材料を
配し、ステータとアーマチュアと組み付けた後に界磁石
の着磁を行っている。図4は、フェライト磁石を用いた
従来のモータの組付工程を示す説明図である。図4に示
すように、従来のモータでは、まず回転軸に固着された
アーマチュアにスラスト位置決め用のエンド側ワッシャ
を取り付け、リアブラケットと組み付ける。アーマチュ
アには、回転軸に固定されコイルが巻装されたアーマチ
ュアコアとコンミテータが設けられ、リアブラケットに
は、コンミテータと摺接するブラシ装置が設けられてい
る。
【0003】次に、これらをステータに組み込む。ステ
ータには未着磁状態の界磁石材料が取り付けられてい
る。その後、ステータのフロント側に、フロント側のス
ラスト受けであるスラストサポータやワッシャを取り付
け、フロントブラケットを組み付ける。そして、全体を
セットボルトにて固定し、外観上完成品となった状態で
着磁機にかけ、界磁石の着磁を行う。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】一方、高付加価値の二
輪車用等では、モータ小型化の要請から、界磁石にネオ
ジウム系やサマリウム系等の希土類磁石を用い、その高
出力密度化を図ったスタータモータが登場している。こ
の場合、希土類磁石は従来のフェライト磁石に比してエ
ネルギ積が大きいため、その着磁に必要な磁化力も大き
く、フェライト磁石より高い電圧(約2倍)での着磁が
必要となる。しかしながら、着磁電圧が大きくなると、
図4のような手順でモータの組み付けを行うと、コンミ
テータ表面にスパーク痕と呼ばれる傷が発生するという
問題があった。
【0005】ここで、前述のように完成品状態で着磁を
行うと、ブラシとコンミテータが接触し、ブラシを介し
てアーマチュアコイルの短絡経路が形成された状態で着
磁が行われることになる。このため、着磁時に急激な磁
束変化が生じると、短絡コイル内に起電力が発生し、ブ
ラシとコンミテータセグメント間の接触抵抗により、両
者の接触面にてスパークが発生する。スパーク痕は、こ
のブラシ−セグメント間のスパークによって生ずると考
えられ、フェライト磁石では着磁電圧が低く磁束変化も
さほど大きくないため、スパーク発生も抑えられこのよ
うな問題は生じなかったと考えられる。
【0006】この場合、希土類磁石において、スパーク
痕を防止すべくフェライト磁石と同等程度に電圧を下げ
ると、界磁石をフル着磁できず必要な磁束が得られな
い。また、フェライト磁石と同等程度の電圧にて複数回
着磁を行うステップ着磁でもフル着磁状態とはならな
い。スパーク痕が存在すると、出力特性にバラツキが生
じるおそれがある他、ブラシの摩耗やノイズ発生などの
問題があり、希土類磁石をフル着磁でき、しかもスパー
ク痕が生じない方策が求められていた。
【0007】本発明の目的は、希土類磁石を用いたモー
タにおいて、スパーク痕を発生させることなく界磁石を
フル着磁できるモータ組付方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明のモータ組付方法
は、希土類永久磁石を内周面に固着した円筒状のステー
タと、回転軸に固着されコイルが巻装されたアーマチュ
アコアとコンミテータとを備え前記ステータ内に回転自
在に配置されるアーマチュアと、前記ステータの一端側
に取り付けられるフロントブラケットと、前記ステータ
のフロントブラケットとは反対端側に取り付けられ前記
コンミテータと摺接するブラシを備えるリアブラケット
とを有してなるモータの組付方法であって、前記ステー
タに前記アーマチュア及び前記フロントブラケットを組
み付けた状態で前記永久磁石を着磁し、前記永久磁石の
着磁後に、前記リアブラケットを前記ステータに取り付
けることを特徴とする。
【0009】本発明にあっては、ブラシ装置を備えたリ
アブラケットを取り付ける以前に永久磁石の着磁を行う
ので、着磁中にブラシを介してアーマチュアコイルの短
絡経路が形成されることがない。このため、高電圧にて
着磁を行い、着磁時に急激な磁束変化が生じても、コイ
ル内の起電力によってコンミテータセグメント表面にス
パークが発生することがない。従って、コンミテータに
スパーク痕が残ることがなく、モータの出力特性の安定
化やブラシ摩耗の抑制、ノイズ低減などが図られ、製品
品質の向上を図ることが可能となる。また、スパーク痕
の発生を憂慮することなく高電圧にて永久磁石の着磁を
行うことができ、希土類磁石を安定的にフル着磁するこ
とが可能となる。
【0010】前記モータ組付方法において、前記永久磁
石の着磁の際に、前記ステータの前記リアブラケット取
付位置に前記アーマチュアを支持するブラケット治具を
取り付けるようにしても良い。このブラケット治具によ
り、着磁中のアーマチュアが軸支されると共に、着磁中
に発生するスラスト力によってアーマチュアがステータ
から飛び出すことを防止できる。ブラケット治具として
は、例えば、リアブラケットのハウジングと同形状でブ
ラシ装置が内蔵されていないものや、着磁設備に設けた
挟み込み治具などを用いることができる。
【0011】また、前記モータ組付方法おいて、前記モ
ータが自動二輪車のスタータ用のモータであっても良
い。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明による組付
方法にて組み付けが行われるモータの概要を示す説明図
である。図1に示すように、モータ1は、ステータ2内
にアーマチュア3を回転自在に配設した永久磁石界磁の
直流モータであり、自動二輪車のスタータモータとして
使用される。ステータ2の両端には、フロントブラケッ
ト4とリアブラケット5が取り付けられている。ステー
タ2とフロントブラケット4及びリアブラケット5は、
セットボルト6によって締結される。
【0013】ステータ2は、円筒状のヨーク11と、ヨ
ーク11の内周面に固着された複数個の界磁用永久磁石
12と、永久磁石12の内周面を被覆するように取り付
けられたマグネットカバー13とから構成されている。
永久磁石12には、ネオジウム系の希土類磁石が使用さ
れ、高磁束密度の界磁を形成している。
【0014】アーマチュア3は、回転軸14と、回転軸
14にそれぞれ固着されたアーマチュアコア15とコン
ミテータ16とから構成されている。アーマチュアコア
15は、軸方向に延びる複数のスロットを有しており、
スロットにはコイル17が巻装されている。コンミテー
タ16は、アーマチュアコア15の端部に配設され、複
数のセグメント18を有している。各セグメント18に
はコイル17の一端が接続されている。
【0015】フロントブラケット4は、アルミダイカス
ト製のハウジング19と、ハウジング19内に取り付け
られたベアリング21、ガスケット22とを備えた構成
となっている。ベアリング21には回転軸14が挿通さ
れ、アーマチュア3の図中左端側を回転自在に支持す
る。ハウジング19の内壁19aと回転軸14のフラン
ジ部14aとの間には、スラストサポータ23とワッシ
ャ24が挟装される。スラストサポータ23は内壁19
a、ワッシャ24はフランジ部14aとそれぞれ当接
し、アーマチュア3のスラスト方向の力を受けるように
なっている。
【0016】リアブラケット5は、アルミダイカスト製
のハウジング25と、ハウジング25内に取り付けられ
たベアリング26、ブラシホルダ27及びブラシ28と
を備えた構成となっている。ベアリング26には回転軸
14が挿通され、アーマチュア3の図中右端側を回転自
在に支持する。ハウジング25の内壁25aとコンミテ
ータ16の端面との間には、エンドワッシャ29が挟装
される。このエンドワッシャ29によりアマチュア3の
スラスト方向の位置決めが為される。
【0017】ブラシ28はブラシホルダ27内に保持さ
れ、コンミテータ16の表面に摺接している。ブラシ2
8は、スプリングによりコンミテータ16方向に向けて
付勢されており、セグメント18の表面に接触してい
る。ブラシホルダ27には、給電用の端子31が接続さ
れ、図示しないバッテリから適宜電力が供給される。
【0018】このような構成からなるモータ1は次のよ
うな手順にて組み付けられる。図2は、本発明の一実施
の形態であるモータの組付工程を示す説明図である。図
2に示すように、ここではまず回転軸に固着されたアー
マチュア3にスラストサポータ23とワッシャ24を取
り付け、フロントブラケット4と組み付ける。そして、
これらをステータ2に組み込み、セットボルト6をフロ
ントブラケット4側から挿入する。
【0019】ここで、従来のモータ組付工程では、さら
にリアブラケット5を組み付け、その後、永久磁石12
の着磁を行っていた。これに対し、本発明によるモータ
組付方法では、ブラシ28を有さないフロントブラケッ
ト4を組み付けた段階で着磁を行う。この際、ステータ
2の一端側には、ブラケット治具7が取り付けられる。
ブラケット治具7は、着磁中にアーマチュア3に発生す
るスラスト力を受け、その飛び出しを防止する。
【0020】図3は、着磁工程に先立って、ステータ2
の一端にブラケット治具7を取り付ける様子を示す説明
図である。図3に示すように、ブラケット治具7はハウ
ジング25とほぼ同様の形状となっており、ステータ2
の端部にセットボルト6にて固定されるが、ブラシ装置
は内蔵されていない。すなわち、ブラケット治具7内に
は、ブラシホルダ27やブラシ28、端子31などは設
けられていない。ブラケット治具7の端部にはベアリン
グ32が設けられており、回転軸14を回転自在に支持
できるようになっている。そして、ブラケット治具7を
ステータ2に取り付けると、コンミテータ16はブラケ
ット治具7内に他の部材とは無接触の状態で回転自在に
収容される。
【0021】本発明のモータ組付方法では、ブラケット
治具7を取り付けた状態で未着磁状態にある永久磁石1
2の着磁を行う。この際、コンミテータ16は無接触状
態となっており、コンミテータ16とブラシ28は接触
せず、アーマチュアコイルにブラシを介して短絡経路が
形成されることがない。このため、高電圧にて着磁を行
い、着磁時に急激な磁束変化が生じても、コイル内の起
電力によってコンミテータセグメント表面にスパークが
発生することがない。従って、コンミテータ16にスパ
ーク痕が残ることがなく、モータの出力特性の安定化や
ブラシ摩耗の抑制、ノイズ低減などが図られ、スタータ
の品質の向上を図ることが可能となる。また、スパーク
痕の発生を憂慮することなく高電圧にて永久磁石12の
着磁を行うことができ、希土類磁石を安定的にフル着磁
することが可能となる。
【0022】このようにして希土類の永久磁石12を十
分に着磁した後、ブラケット治具7を取り外す。そし
て、エンドワッシャ29をアーマチュア3の回転軸14
に外挿し、リアブラケット5をステータ2に組み付け
る。なお、エンドワッシャ29は、ブラケット治具7を
取り付ける際に装着しておいても良い。リアブラケット
5には前述のようにブラシ28等が取り付けられてお
り、これをセットボルト6にて固定することにより、図
1のようなモータ1が完成する。
【0023】本発明は前記実施の形態に限定されるもの
ではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能で
あることは言うまでもない。例えば、前述の実施の形態
は、本発明を自動二輪車のスタータモータに適用した例
を示したが、他の車載モータやロボット等の産業用機械
やパソコン等のIT機器用のモータなどにも適用可能で
ある。また、前述の実施の形態では、永久磁石12にネ
オジウム系の希土類磁石を用いた例を示したが、サマリ
ウムコバルト系など他の希土類磁石を用いても良い。さ
らに、ブラケット治具としてハウジング25と同形状で
ブラシ装置が内蔵されていないものを示したが、着磁設
備にブラケット治具を設けアーマチュア3を挟み込むな
どして支持するようにしても良い。
【0024】
【発明の効果】本発明のモータ組付方法によれば、ステ
ータにアーマチュアとフロントブラケットを組み付けた
状態で希土類永久磁石を着磁し、永久磁石の着磁後に、
ブラシを有するリアブラケットをステータに取り付ける
ようにしたので、着磁中にブラシとコンミテータが接触
せず、アーマチュアコイルにブラシを介した短絡経路が
形成されることがない。このため、高電圧にて着磁を行
い、着磁時に急激な磁束変化が生じても、コイル内の起
電力によってコンミテータセグメント表面にスパークが
発生することがない。従って、コンミテータにスパーク
痕が残ることがなく、モータの出力特性の安定化やブラ
シ摩耗の抑制、ノイズ低減などが図られ、製品品質の向
上を図ることが可能となる。また、スパーク痕の発生を
憂慮することなく高電圧にて永久磁石の着磁を行うこと
ができ、希土類磁石を安定的にフル着磁することが可能
となる。
【0025】また、永久磁石の着磁の際に、リアブラケ
ット取付位置にアーマチュアを支持するブラケット治具
を取り付けることにより、着磁中のアーマチュアが軸支
されると共に、着磁中に発生するスラスト力によってア
ーマチュアがステータから飛び出すことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による組付方法にて組み付けが行われる
モータの概要を示す説明図である。
【図2】本発明の一実施の形態であるモータの組付工程
を示す説明図である。
【図3】着磁工程に先立って、ステータの一端にブラケ
ット治具を取り付ける様子を示す説明図である。
【図4】フェライト磁石を用いた従来のモータの組付工
程を示す説明図である。
【符号の説明】
1 モータ 2 ステータ 3 アーマチュア 4 フロントブラケット 5 リアブラケット 6 セットボルト 7 ブラケット治具 11 ヨーク 12 永久磁石 13 マグネットカバー 14 回転軸 14a フランジ部 15 アーマチュアコア 16 コンミテータ 17 コイル 18 セグメント 19 ハウジング 19a 内壁 21 ベアリング 22 ガスケット 23 スラストサポータ 24 ワッシャ 25 ハウジング 25a 内壁 26 ベアリング 27 ブラシホルダ 28 ブラシ 29 エンドワッシャ 31 端子 32 ベアリング
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩下 和男 群馬県桐生市広沢町1丁目2681番地 株式 会社ミツバ内 (72)発明者 上原 修二 群馬県桐生市広沢町1丁目2681番地 株式 会社ミツバ内 (72)発明者 安田 祐司 群馬県桐生市広沢町1丁目2681番地 株式 会社ミツバ内 (72)発明者 竹部 康弘 群馬県桐生市広沢町1丁目2681番地 株式 会社ミツバ内 (72)発明者 小島 理規 群馬県桐生市広沢町1丁目2681番地 株式 会社ミツバ内 (72)発明者 石関 隆行 群馬県桐生市広沢町1丁目2681番地 株式 会社ミツバ内 Fターム(参考) 5H615 AA01 BB01 BB04 BB14 PP01 PP06 PP28 SS10 SS20 SS51 TT05 5H622 CA02 CA05 CA10 CB01 DD02 PP03 PP14 QB01

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 希土類永久磁石を内周面に固着した円筒
    状のステータと、回転軸に固着されコイルが巻装された
    アーマチュアコアとコンミテータとを備え前記ステータ
    内に回転自在に配置されるアーマチュアと、前記ステー
    タの一端側に取り付けられるフロントブラケットと、前
    記ステータのフロントブラケットとは反対端側に取り付
    けられ前記コンミテータと摺接するブラシを備えるリア
    ブラケットとを有してなるモータの組付方法であって、 前記ステータに前記アーマチュア及び前記フロントブラ
    ケットを組み付けた状態で前記永久磁石を着磁し、 前記永久磁石の着磁後に、前記リアブラケットを前記ス
    テータに取り付けることを特徴とするモータ組付方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のモータ組付方法におい
    て、前記永久磁石の着磁の際に、前記ステータの前記リ
    アブラケット取付位置に前記アーマチュアを支持するブ
    ラケット治具を取り付けることを特徴とするモータ組付
    方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載のモータ組付方法
    おいて、前記モータは自動二輪車のスタータ用のモータ
    であることを特徴とするモータ組付方法。
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