JP2003288918A - 直接形燃料電池 - Google Patents

直接形燃料電池

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JP2003288918A
JP2003288918A JP2002088911A JP2002088911A JP2003288918A JP 2003288918 A JP2003288918 A JP 2003288918A JP 2002088911 A JP2002088911 A JP 2002088911A JP 2002088911 A JP2002088911 A JP 2002088911A JP 2003288918 A JP2003288918 A JP 2003288918A
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cell
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negative electrode
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Ryoichi Okuyama
良一 奥山
Eiichi Nomura
栄一 野村
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Yuasa Corp
Yuasa Battery Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 良好な特性と安定した起電力が得られる直接
形燃料電池を得る。 【解決手段】 プロトン導電性の高分子電解質よりなる
電解質11を介して一対の正極12と負極13とを配し
た単位セル10を有し、この単位セル10は、酸化剤ガ
スを単位セル10の周縁から中央に誘導して正極12に
供給する酸化剤ガス誘導部14と、液体燃料を単位セル
10の中央から周縁に誘導して負極13に供給する液体
燃料誘導部15とを有し、この液体燃料誘導部15に供
給する液体燃料を、燃料タンク17から重力落下によっ
て供給する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、負極に有機溶媒と
水を液体のまま直接供給して発電を行うことができる直
接形燃料電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、環境問題や資源問題への対策が重
要になってきており、その対策の一つとして燃料電池の
開発が活発になってきている。特に、燃料として、メタ
ノールを用い、これを改質、ガス化することなく直接発
電に利用することができる直接メタノール形燃料電池に
代表される直接形燃料電池は、構造がシンプルであり、
小型化、軽量化が容易であることから、携帯電話用電
源、コンピューター用電源等の小型のコンシューマ用電
源として有望である。
【0003】このような直接形燃料電池は、プロトン導
電性の高分子電解質よりなる電解質の両側に一対の負極
と正極とを接合した単位セルが、液体燃料を負極に供給
するための負極側セパレータと酸化剤ガスを正極に供給
するための正極側セパレータとを介して、または表裏に
負極側セパレータと正極側セパレータの機能を設けた複
合セパレータを介して複数個積層されて構成されてお
り、代表的な直接形燃料電池である、直接メタノール形
燃料電池では、負極に、液体燃料としての濃度が3%程
度のメタノール水溶液を供給し、正極に酸化剤ガスとし
ての空気中の酸素を供給するようにしたもので、負極側
の電池反応によって二酸化炭素が生成し、正極側の電池
反応によって水が生成して、外部に起電力を得るもので
ある。
【0004】また、上記した直接メタノール形燃料電池
以外にも、液体燃料として、エタノール、イソプロピル
アルコール、ブタノール、ジメチルエーテル、エチレン
グリコール等の各種有機溶媒を用いたものが検討されて
いる。
【0005】上記した直接形燃料電池には、正極に空気
中の酸素を供給するのに、前記正極側セパレータまたは
複合セパレータの正極側に溝を設け、この溝の両端を大
気に対して開放し、大気の自然拡散または自然対流によ
って空気を取り入れる形式のものと、ポンプによって空
気を取り入れる形式のものとがある。同様に、負極に液
体燃料を供給するのに、前記負極側セパレータまたは複
合セパレータの負極側に溝を設け、この溝に液体燃料を
毛細管力や重力落下によって供給する形式のものと、ポ
ンプによって供給する形式のものとがある。大気の自然
拡散または自然対流によって空気中の酸素を正極に供給
し、かつ毛細管力や重力落下によって液体燃料を負極に
供給する形式の直接形燃料電池は、他の形式のものと比
較して、出力が得にくいといった短所がある反面、ポン
プを駆動するための電力が不要であって、ポンプを駆動
する音がしないという長所があることから、発電効率を
高くすることができる、システムをシンプルでコンパク
トにすることができる、静かな発電機にできる、といっ
た特徴を有しており、携帯電話用電源、コンピューター
用電源といった小型のコンシューマ用に最適な燃料電池
であるとして、多方面で検討されている。
【0006】前述した直接形燃料電池では、正極側セパ
レータまたは複合セパレータの正極側に設けた溝(液体
燃料流路溝)を単位セルの正極側に対向させ、負極側セ
パレータまたは複合セパレータの負極側に設けた溝(酸
化剤ガス流路溝)を単位セルの負極側に対向させ、前記
溝(液体燃料流路溝)に液体燃料を流しながら、それを
負極に供給するとともに、前記溝(酸化剤ガス流路溝)
に酸化剤ガスを流しながら、それを正極に供給するよう
にしていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上述した単
位セルを複数個積層した直接形燃料電池では、液体燃料
流路溝に流すための液体燃料や酸化剤ガス流路溝に流す
ための酸化剤ガスは、単位セルの有効反応面積を大きく
する必要性から、たとえば、上縁の一方のコーナーから
下縁の他方のコーナーに流す、といったようにしていた
が、このようにすると、各流路溝は長さが長く、屈曲部
が多くなることから、上述した、大気の自然拡散または
自然対流によって空気中の酸素を正極に供給し、かつ毛
細管力や重力落下によって液体燃料を負極に供給する形
式の直接形燃料電池では、負極に液体燃料を均一に供給
し、正極に酸化剤ガスを均一に供給することができなく
なるという問題があった。
【0008】つまり、上述した流路溝は、ポンプによっ
て液体燃料を負極に、空気を正極に強制的に供給するこ
とを前提にした形状であるため、小型のコンシューマ用
電源に適した直接形燃料電池、すなわち大気の自然拡散
または自然対流によって空気中の酸素を正極に供給し、
かつ毛細管力や重力落下によって液体燃料を負極に供給
する形式の直接形燃料電池に適用しても、所望の電池特
性を得ることができないという問題があった。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するためになされたものであり、上記した、大気の自
然拡散または自然対流によって空気中の酸素を正極に供
給し、かつ毛細管力や重力落下によって液体燃料を負極
に供給する形式の直接形燃料電池において、液体燃料流
路溝が、液体燃料を負極に均一に供給でき、かつその長
さを最短にできるようにするとともに、酸化剤ガス流路
溝が、酸化剤ガスを正極に均一に供給でき、かつその長
さを最短にできるようにすることに着目してなされたも
のである。
【0010】すなわち、その請求項1記載の発明は、プ
ロトン導電性の高分子電解質よりなる電解質を介して一
対の負極と正極とを配した単位セルを有し、前記単位セ
ルの負極に液体燃料を供給し、正極に酸化剤ガスを供給
して起電力を得る直接形燃料電池において、前記単位セ
ルは、液体燃料を単位セルの中央から周縁に誘導して負
極に供給する液体燃料誘導部と、前記酸化剤ガスを単位
セルの周縁から中央に誘導して正極に供給する酸化剤ガ
ス誘導部とを有しており、上部に、前記液体燃料誘導部
に供給する液体燃料を貯蔵する燃料タンクが、中央に、
前記燃料タンクから液体燃料を重力によって液体燃料誘
導部に供給する液体燃料供給路が設けられたことを特徴
とするものである。
【0011】また、請求項2記載の発明は、請求項1記
載の直接形燃料電池において、酸化剤ガス誘導部は、酸
化剤ガスを単位セルの周縁から中央に誘導するための酸
化剤ガス流路溝が少なくとも放射状に形成されるととも
に、この酸化剤ガス流路溝は周縁が電池外部に対して開
放されており、中央が内壁部によって液体燃料供給路と
隔離されていることを特徴とするものである。
【0012】また、請求項3記載の発明は、請求項1記
載の直接形燃料電池において、酸化剤ガス誘導部は導電
材であって、この導電材は周縁を電池外部に対して開放
し、中央を内壁部によって液体燃料供給路と隔離したカ
ーボンフェルトからなることを特徴とするものである。
【0013】また、請求項4記載の発明は、請求項1〜
3のいずれか一項記載の直接形燃料電池において、液体
燃料誘導部は、液体燃料を単位セルの中央から周縁に誘
導するための液体燃料流路溝が少なくとも放射状に形成
されるとともに、この液体燃料流路溝は中央が液体燃料
供給路に対して開放されており、周縁が外壁部によって
電池外部に対して隔離されていることを特徴とするもの
である。
【0014】請求項1〜4記載の発明によれば、単位セ
ルが、液体燃料を負極に供給する液体燃料誘導部と酸化
剤ガスを正極に供給する酸化剤ガス誘導部を介して複数
個積層することによって中央に液体燃料供給路を形成し
ているから、液体燃料は中央から液体燃料誘導部を通っ
て各単位セルの負極に放射状に供給され、酸化剤ガスは
周縁から酸化剤ガス誘導部を通って各単位セルの正極に
放射状に供給されることになり、液体燃料を最短の距離
で均一に負極に供給することができるとともに、酸化剤
ガスを最短の距離で均一に正極に供給することができ、
電池特性の向上に寄与することができる。
【0015】また、上記した請求項1〜4記載の発明に
よれば、液体燃料は中央から周縁に流れて負極の電池反
応に寄与し、酸化剤ガスは周縁から中央に流れて正極の
電池反応に寄与するから、単位セルの負極側では中央付
近にフレッシュな液体燃料が存在するのに対し、単位セ
ルの正極側では周縁付近にフレッシュな酸化剤ガスが存
在することになり、電解質を介して対向する負極面の電
池反応と正極面の電池反応によって安定した起電力を得
ることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明を、その実施の形態
に基づいて説明する。
【0017】図1は本発明の実施の形態に係る直接形燃
料電池の断面図である。
【0018】図1に示したように、本発明の直接形燃料
電池は、プロトン導電性の高分子電解質よりなる電解質
11を介して一対の正極12と負極13とを配した単位
セル10を有し、この単位セル10を、正極12側に酸
化剤ガスを正極12に供給するための酸化剤ガス誘導部
14を有し、負極13側に液体燃料を負極13に供給す
るための液体燃料誘導部15を有した複合セパレータ1
6を介して複数個積層し、最外部(上端)の単位セル1
0aの正極側には酸化剤ガス誘導部14を有した正極側
セパレータ161を配し、最外部(下端)の単位セル1
0bの負極側には液体燃料誘導部15を有した負極側セ
パレータ162を配してなり、前記正極側セパレータ1
61の上面には液体燃料を貯蔵した燃料タンク17を載
置し、前記単位セル10、10a、10b、複合セパレ
ータ16、正極側セパレータ161および負極側セパレ
ータ162を積層することによって、単位セル10、1
0a、10bの中央に設けた貫通穴101、101a、
101b、複合セパレータ16の中央に設けた貫通穴1
6aおよび正極側セパレータ161の中央に設けた貫通
穴161dと負極側セパレータ162の中央に設けた凹
所162dとを連続させて液体燃料供給路18を形成
し、燃料タンク17の液体燃料が、重力落下により、前
記液体燃料供給路18を介して前記液体燃料誘導部15
に供給できるようにしたことを特徴としている。なお、
単位セル10、10a、10bの正極と負極の中央に
は、環状のパッキン102、102a、102bを装着
して貫通穴101、101a、101bとの間が隔離さ
れるようにしている。
【0019】前記酸化剤ガス誘導部14は、酸化剤ガス
を、複数個積層された単位セル10の周縁から中央に誘
導して正極12に供給できるように構成され、前記液体
燃料誘導部15は、液体燃料を、複数個積層された単位
セル10の中央から周縁に誘導して負極13に供給でき
るように構成され、前記燃料タンク17と正極側セパレ
ータ161とは、ジョイント部17aによって燃料タン
ク17と正極側セパレータ161の貫通穴161dとが
ジョイントできるように構成され、燃料タンク17内の
液体燃料を使い果たした後は、液体燃料を充填した別の
燃料タンクと交換できるようにしている。
【0020】前述した、複数個積層された単位セル10
の周縁から酸化剤ガスを中央に誘導するものとしては、
図2(a)に、複合セパレータ16と正極側セパレータ
161の正極側の形状を示したように、酸化剤ガス流路
溝161aが放射状に形成され、その周縁に開口161
bを設けて電池外部に対して開放されるようにし、その
中央に内壁部161cを設けて前記液体燃料供給路18
と隔離されるようにしている。なお、正極12に酸化剤
ガスを円滑に供給するためには、酸化剤ガス流路溝16
1aには何も配さない方がよいが、正極12の電池反応
によって生成した水を円滑に排出するためには前記酸化
剤ガス流路溝161aには吸水性の多孔体等を配してお
くのがよいので、両方の作用のバランスを考慮して、一
部の酸化剤ガス流路溝161aに吸水性の多孔体等を配
しておくのがよい。また、前記酸化剤ガス流路溝161
aは放射状に形成するとともに同心円状に形成してもよ
い。
【0021】また、前述した、複数個積層された単位セ
ル10の中央から液体燃料を周縁に誘導するものとして
は、図2(b)に、複合セパレータ16と負極側セパレ
ータ162の負極側の形状を示したように、液体燃料流
路溝162aが放射状に形成され、その中央に開口16
2bを設けて前記液体燃料供給路18に対して開放され
るようにし、その周縁に外壁部162cを設けて電池外
部と隔離されるようにしている。なお、負極13に液体
燃料を円滑に供給するためには、液体燃料流路溝162
aには吸水性の多孔体等を配しておくのがよいが、負極
13の電池反応によって生成した二酸化炭素を円滑に液
体燃料供給路18に導くためには前記液体燃料流路溝1
62aには何も配さない方がよいので、両方の作用のバ
ランスを考慮して、一部の液体燃料流路溝162aに吸
水性の多孔体等(図1に符号163で表示)を配してお
くのがよい。また、このように液体燃料供給路18に導
かれた二酸化炭素を円滑に外部に排出するため、燃料タ
ンク17に排出口を設けてもよい。さらに、前記液体燃
料流路溝162aは放射状に形成するとともに同心円状
に形成してもよい。
【0022】図3は本発明の他の実施の形態に係る直接
形燃料電池の断面図である。
【0023】図3に示した実施の形態は、図1の酸化剤
ガス誘導部14が導電材であって、図4に、複合セパレ
ータ16と正極側セパレータ161の正極側の形状を示
したように、その中央にシリコンゴムパッキンで内壁部
161cを設け、酸化剤ガス誘導部14と前記液体燃料
供給路18とが隔離されるようにしたことを特徴として
いる。これにより、複合セパレータ16と正極側セパレ
ータ161の正極側の加工が容易になり、図1の実施の
形態のように、放射状に形成した酸化剤ガス流路溝16
1aの一部に吸水性の多孔体等を配するといったことを
しなくても、正極12に酸化剤ガスを円滑に供給するこ
とができるとともに、正極12の電池反応によって生成
した水を円滑に排出することができる。なお、前記導電
材としては、通気性にすぐれたカーボンフェルトがよ
い。
【0024】前述した実施の形態では、複合セパレータ
16を、表裏で、正極側と負極側とが異なる形状のもの
にしたが、正極側セパレータ161と負極側セパレータ
162のような別体のものを互いに一体化したものにし
てもよい。
【0025】図1〜図4に示した実施の形態では、正極
側セパレータ161の上面に燃料タンク17を載置し、
前記単位セル10、10a、10b、複合セパレータ1
6、正極側セパレータ161および負極側セパレータ1
62を積層したものが円筒形であるが、このような形状
に限定されるものではない。すなわち、図5(a)に複
合セパレータ16と正極側セパレータ161の正極側の
形状を示し、図5(b)に複合セパレータ16と負極側
セパレータ162の負極側の形状を示したように、六角
形のもの、図6(a)に複合セパレータ16と正極側セ
パレータ161の正極側の形状を示し、図6(b)に複
合セパレータ16と負極側セパレータ162の負極側の
形状を示したように、八角形のもの、図7(a)に複合
セパレータ16と正極側セパレータ161の正極側の形
状を示し、図7(b)に複合セパレータ16と負極側セ
パレータ162の負極側の形状を示したように、四角形
のもの等が考えられる。なお、図5〜図7の符号はすべ
て図2の符号と共通にしている。
【0026】
【実施例】(実施例1)次に、実際に燃料電池を作製
し、本発明の有効性を検証した。本発明の燃料電池とし
ては、電解質としてのデュポン社のナフィオン(登録商
標)の両面に正極と負極を構成したMEA(単位セル)
を9枚用い、正極側の溝構造が図7(a)に示したよう
なもの(溝の深さが4mm、溝の幅が2mm、厚さが6
mm、有効面積が25cm2)で、負極側の溝構造が図
7(b)に示したようなもの(溝の深さが2mm、溝の
幅が2mm、厚さが6mm、有効面積が25cm2)で
ある複合セパレータを配し、最外部に図7(a)と同じ
溝構造を有する正極側セパレータと図7(b)と同じ溝
構造を有する負極側セパレータとを配して挟み込んだも
の(図1)とし、これに、濃度が3%のメタノール水溶
液を室温(25℃)下で、燃料タンク17から重力落下
で供給し、空気を自然拡散で供給し、500mAの放電
電流で放電して、放電時間と放電特性を調査した。ま
た、従来の燃料電池としては、同じMEA(単位セル)
を用い、正極側の溝構造が図8(a)に示したようなも
の(溝の深さが4mm、溝の幅が2mm、厚さが6m
m、有効面積が25cm2)で、負極側の溝構造が図8
(b)に示したようなもの(溝の深さが2mm、溝の幅
が2mm、厚さが6mm、有効面積が25cm2)であ
る複合セパレータを配し、最外部に図8(a)と同じ溝
構造を有する正極側セパレータと図8(b)同じ溝構造
を有する負極側セパレータを配して挟み込んだもの(図
9)とし、これに、濃度が3%のメタノール水溶液を室
温(25℃)下で、重力落下によって供給し、空気を自
然拡散で供給し、500mAの放電電流で放電して、放
電時間と放電特性を調査した。なお、上記した各燃料電
池は、本発明の燃料電池では、メタノール水溶液が燃料
タンク17から重力落下によって液体燃料供給路18に
供給され、負極の電池反応によって生じるメタノール水
溶液の濃淡差による拡散によって反応を継続させるよう
にし、従来の燃料電池では、メタノール水溶液が重力落
下によって流路171、172に供給され、負極の電池
反応によって生じるメタノール水溶液の濃淡差による拡
散によって反応を継続させるようにしている。
【0027】(実施例2)本発明の燃料電池を、正極側
に図4に示したカーボンフェルトからなる酸化剤ガス供
給部を用いた以外は実施例1と同じものを準備し、同様
に放電時間と放電特性を調査した。
【0028】実施例1、2の結果を図10に示す。図1
0より明かなように、従来の燃料電池では、放電開始
後、約30分間で放電電圧が低下したのに対し、実施例
1の本発明の燃料電池も、実施例2の本発明の燃料電池
も、3時間以上の連続運転が可能であることがわかっ
た。なお、図10では、放電電圧を単位セル当たりの値
で示している。このことは、従来の燃料電池では、空気
の供給が十分であったとしても、メタノール水溶液の供
給が十分でないか、空気の供給もメタノール水溶液の供
給も十分でないかによって放電電圧が低下したことを意
味している。
【0029】
【発明の効果】以上のように、本発明は、大気の自然拡
散または自然対流によって空気中の酸素を正極に供給
し、かつ重力落下によって液体燃料を負極に供給する形
式の直接形燃料電池において、液体燃料を単位セルの中
央から周縁に誘導して負極に供給し、酸化剤ガスを単位
セルの周縁から中央に誘導して正極に供給するようにし
たから、そのすぐれた特性と安定した起電力を得るのに
寄与することができ、今後の需要が期待できる、携帯電
話用電源、コンピューター用電源等の小型のコンシュー
マー用電源に適したものであると言える。
【0030】上記した実施の形態では、大気の自然拡散
または自然対流によって空気中の酸素を正極に供給し、
かつ重力落下によって液体燃料を負極に供給する形式の
直接形燃料電池について説明したが、同様に空気中の酸
素を正極に供給するもので、液体燃料を毛細管力やポン
プなどの動力によって負極に供給する形式の直接形燃料
電池であっても、空気中の酸素をポンプなどの動力によ
って正極に供給し、かつ同様に液体燃料を負極に供給す
る形式の直接形燃料電池または毛細管力や重力落下によ
って液体燃料を負極に供給する形式の直接形燃料電池で
あっても、本発明を適用することができることは言うま
でもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る直接形燃料電池の断
面図である。
【図2】(a)は図1の直接形燃料電池に使用するセパ
レータ16と正極側セパレータ161の正極側の形状を
示した図であり、(b)は同セパレータ16と負極側セ
パレータ162の負極側の形状を示した図である。
【図3】本発明の他の実施の形態に係る直接形燃料電池
の断面図である。
【図4】図3の直接形燃料電池に使用するセパレータ1
6と正極側セパレータ161の正極側の形状を示した図
である。
【図5】(a)は、他のセパレータ16と正極側セパレ
ータ161の正極側の形状を示した図であり、(b)は
同セパレータ16と負極側セパレータ162の負極側の
形状を示した図である。
【図6】(a)は、他のセパレータ16と正極側セパレ
ータ161の正極側の形状を示した図であり、(b)は
同セパレータ16と負極側セパレータ162の負極側の
形状を示した図である。
【図7】(a)は、他のセパレータ16と正極側セパレ
ータ161の正極側の形状を示した図であり、(b)は
同セパレータ16と負極側セパレータ162の負極側の
形状を示した図である。
【図8】(a)は、従来のセパレータ16と正極側セパ
レータ161の正極側の形状を示した図であり、(b)
は同セパレータ16と負極側セパレータ162の負極側
の形状を示した図である。
【図9】従来の直接形燃料電池の断面図である。
【図10】本発明の燃料電池と従来の燃料電池の特性を
比較した図である。
【符号の説明】
10 単位セル 14 酸化剤ガス誘導部 15 液体燃料誘導部 161 正極側セパレータ 162 負極側セパレータ 17 燃料タンク 18 液体燃料供給路

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プロトン導電性の高分子電解質よりなる
    電解質を介して一対の負極と正極とを配した単位セルを
    有し、前記単位セルの負極に液体燃料を供給し、正極に
    酸化剤ガスを供給して起電力を得る直接形燃料電池にお
    いて、前記単位セルは、液体燃料を単位セルの中央から
    周縁に誘導して負極に供給する液体燃料誘導部と、前記
    酸化剤ガスを単位セルの周縁から中央に誘導して正極に
    供給する酸化剤ガス誘導部とを有しており、上部に、前
    記液体燃料誘導部に供給する液体燃料を貯蔵する燃料タ
    ンクが、中央に、前記燃料タンクから液体燃料を重力に
    よって液体燃料誘導部に供給する液体燃料供給路が設け
    られたことを特徴とする直接形燃料電池。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の直接形燃料電池におい
    て、酸化剤ガス誘導部は、酸化剤ガスを単位セルの周縁
    から中央に誘導するための酸化剤ガス流路溝が少なくと
    も放射状に形成されるとともに、この酸化剤ガス流路溝
    は周縁が電池外部に対して開放されており、中央が内壁
    部によって液体燃料供給路と隔離されていることを特徴
    とする直接形燃料電池。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の直接形燃料電池におい
    て、酸化剤ガス誘導部は導電材であって、この導電材は
    周縁を電池外部に対して開放し、中央を内壁部によって
    液体燃料供給路と隔離したカーボンフェルトからなるこ
    とを特徴とする直接形燃料電池。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか一項記載の直接
    形燃料電池において、液体燃料誘導部は、液体燃料を単
    位セルの中央から周縁に誘導するための液体燃料流路溝
    が少なくとも放射状に形成されるとともに、この液体燃
    料流路溝は中央が液体燃料供給路に対して開放されてお
    り、周縁が外壁部によって電池外部に対して隔離されて
    いることを特徴とする直接形燃料電池。
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