JP2003286926A - クリップ部材およびそれを用いた燃料供給装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 クリップ部材の大型化を招くことなく、加工
工数が低減され、インジェクタの軸方向へ作用する力に
対する強度が高くインジェクタの移動を低減する燃料供
給装置のクリップ部材を提供する。 【解決手段】 側板部４１、４２の第二腕部５０側の端
部はインジェクタを支持する支持面４１ａ、４２ａであ
る。側板部４１、４２の板厚方向はインジェクタの軸に
対し概ね垂直であるため、側板部４１、４２の板厚方向
は支持面４１ａ、４２ａにインジェクタから作用する力
の向きと概ね垂直である。そのため、インジェクタから
支持面４１ａ、４２ａへ作用する力に対する側板部４
１、４２の強度を高める場合でも、側板部４１、４２の
板厚を増加させことなく、側板部４１、４２のインジェ
クタ軸方向の長さを延長することができる。したがっ
て、板厚の増加にともなうクリップ部材３０の大型化を
招くことがない。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関（以下、
内燃機関を「エンジン」という。）の各気筒に燃料を供
給する燃料供給装置のクリップ部材およびそれを用いた
燃料供給装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】燃料供給装置は、エンジンの各気筒に燃
料噴射するインジェクタと、インジェクタに燃料を供給
する燃料分配管とから構成されている。インジェクタを
燃料分配管に結合する技術として、例えば特開平１０−
１２２０８９号公報に開示されている燃料供給装置が公
知である。この燃料供給装置では、燃料分配管とインジ
ェクタとを抜け止め部材であるクリップで結合すること
により、燃料分配管からのインジェクタの抜け落ちを防
止している。図７に示すように、クリップ１００は本体
１０１からインジェクタの外周側へ伸びる腕部１０２を
有しており、腕部１０２にはインジェクタを支持する底
部１０３が形成されている。底部１０３には嵌合部１０
４が形成されており、嵌合部１０４はインジェクタに嵌
合される。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】燃料供給装置では、燃
料分配管の重力方向下方へインジェクタが装着される。
そのため、インジェクタからクリップ１００にはインジ
ェクタの軸方向の力が作用する。すなわち、図７に示す
ようなクリップ１００を用いて燃料分配管とインジェク
タとを結合した場合、底部１０３には底部１０３と概ね
垂直な方向から力が作用する。その結果、底部１０３に
作用する力の向きと板厚方向とは一致する。インジェク
タからクリップ１００の底部１０３に作用する力が大き
くなると、底部１０３が変形しインジェクタが軸方向へ
移動するおそれがある。したがって、インジェクタから
作用する力に対する底部１０３の強度を高めインジェク
タの移動を防止するためには、底部１０３の板厚を増大
させる必要がある。しかしながら、底部１０３の板厚を
増大すると、底部１０３に限らずクリップ１００の他の
部分の板厚も増大するため、クリップ１００自体の大型
化ひいては燃料供給装置の大型化を招くという問題があ
る。

【０００４】また、図７に示すようなクリップ１００の
場合、本体１０１と、腕部１０２と、底部１０３とはそ
れぞれ概ね垂直に形成されているため、クリップ１００
の成形時には二方向からの加工を必要とする。例えば、
クリップ１００の展開形状に形成された板部材は、本体
１０１と腕部１０２とが概ね垂直に折り曲げられた後、
さらに底部１０３と腕部１０２とが概ね垂直に折り曲げ
られる。そのため、加工工数の増大を招くという問題が
ある。

【０００５】そこで、本発明の目的は、クリップ部材の
大型化を招くことなく、加工工数が低減され、インジェ
クタの軸方向へ作用する力に対する強度が高くインジェ
クタの移動を低減する燃料供給装置のクリップ部材を提
供することにある。本発明の他の目的は、体格の大型化
を招くことなく燃料分配管とインジェクタとの間の強度
が向上する燃料供給装置を提供することにある。本発明
の他の目的は、加工工数が低減される燃料供給装置のク
リップ部材の製造方法を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明の請求項１または
２記載のクリップ部材によると、インジェクタを支持す
る支持面にインジェクタから作用する力の向きは、腕部
の板厚方向と所定の角度をなす。そのため、強度を高め
るために腕部をインジェクタの軸方向へ延長した場合で
も、クリップ部材の板厚は増大することがない。したが
って、クリップ部材の大型化を招くことなく、インジェ
クタの軸方向へ作用する力に対する強度が向上し、イン
ジェクタの軸方向への移動を低減することができる。ま
た、腕部の板厚方向とインジェクタの軸とが概ね垂直で
あるため、クリップ部材は一方向からの加工により成形
することができる。例えば、クリップ部材は、本体と腕
部とを有する展開形状の板部材を、一方向から本体と腕
部とを概ね垂直に折り曲げることにより形成することが
できる。そのため、二方向から加工する場合と比較して
加工工数を低減することができる。

【０００７】本発明の請求項３記載のクリップ部材によ
ると、インジェクタに装着される第一腕部と、燃料分配
管に装着される第二腕部とを有している。燃料分配管と
インジェクタとの結合部において、クリップ部材が燃料
分配管およびインジェクタに装着されることにより、燃
料分配管およびインジェクタに対するクリップ部材の移
動を低減することができる。

【０００８】本発明の請求項４記載のクリップ部材によ
ると、第一腕部はインジェクタの径方向外側からインジ
ェクタを挟持可能である。そのため、インジェクタとク
リップ部材との間の相対的な移動を低減することができ
る。本発明の請求項５記載のクリップ部材によると、第
二腕部は燃料分配管の径方向外側から燃料分配管を挟持
可能である。そのため、燃料分配管とクリップ部材との
間の相対的な移動を低減することができる。

【０００９】本発明の請求項６記載のクリップ部材によ
ると、第一腕部と第二腕部とはインジェクタの軸方向の
長さが異なる。そのため、インジェクタからインジェク
タの軸方向への力を受ける第一腕部をインジェクタの軸
方向へ延長することにより、第一腕部の強度を高めるこ
とができる。本発明の請求項７記載のクリップ部材によ
ると、クリップ部材には燃料分配管に形成されているフ
ランジ部と嵌合可能な開口部が形成されている。例え
ば、第二腕部に開口部を形成した場合、インジェクタを
第一腕部に装着した後、下方から燃料分配管へインジェ
クタを挿入したとき、開口部にフランジ部を嵌合するこ
とにより、燃料分配管とインジェクタとを結合すること
ができる。したがって、燃料分配管とインジェクタとを
容易かつ強固に結合することができる。

【００１０】本発明の請求項８記載の燃料供給装置によ
ると、請求項１から７のいずれか一項記載のクリップ部
材を備えている。そのため、クリップ部材の大型化にと
もなう体格の大型化を招くことなく、燃料分配管とイン
ジェクタとの結合部の強度を高めることができる。本発
明の請求項９記載のクリップ部材の製造方法によると、
板部材の腕部を、腕部の板厚方向と本体の軸とが所定角
度をなすように本体の一方の面側から他方の面側へ折り
曲げている。そのため、クリップ部材は一方向からの加
工だけで成形することができ、加工工数を低減すること
ができる。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を示す
複数の実施例を図面に基づいて説明する。 （第１実施例）本発明の第１実施例による燃料供給装置
を図２に示す。燃料供給装置１は、燃料分配管１０、イ
ンジェクタ２０およびクリップ部材３０を有している。

【００１２】燃料分配管１０はエンジンの各気筒に燃料
を分配する分配口１１を有している。分配口１１は、イ
ンジェクタ２０側の端部に径方向外側に伸びるフランジ
部１２を有している。インジェクタ２０の燃料流入口２
１は分配口１１の内部に挿入され、クリップ部材３０が
分配口１１とインジェクタ２０とを結合し、分配口１１
からのインジェクタ２０の抜け落ちを防止している。分
配口１１と燃料流入口２１との間は例えばＯリングなど
のシール部材２２によりシールされている。インジェク
タ２０のノズル２３は図示しないエンジンの各気筒に挿
入され、図示しないシール部材でシールされている。イ
ンジェクタ２０は電気駆動式であり、コネクタ２４から
図示しないコイルへ供給する駆動電流を制御することに
より、図示しないノズルニードルのリフトが制御され
る。

【００１３】図１に示すように、クリップ部材３０は、
本体３１と第一腕部４０および第二腕部５０とを有し、
一体に形成されている。クリップ部材３０は、例えば鉄
やアルミニウムなどの金属または樹脂などの非金属材料
から形成されている。本体３１は、軸に垂直な断面が概
ねコの字型に形成されており、角部３２を形成すること
により強度が高められている。本体３１の軸方向の端部
には、それぞれ第一腕部４０および第二腕部５０が接続
されている。第一腕部４０および第二腕部５０は、図２
に示すように本体３１からインジェクタ２０の周囲へ伸
びて形成されている。

【００１４】第一腕部４０は、本体３１を挟んで互いに
向き合う側板部４１、４２を有している。側板部４１と
側板部４２との間には、間隔が大きな挿入部４３と、間
隔が小さな締め付け部４４とが構成されている。挿入部
４３には、インジェクタ２０が挿入される。締め付け部
４４は挿入部４３よりも向き合う各側板部４１、４２の
間隔が小さく、挿入部４３に挿入されたインジェクタ２
０が第一腕部４０の径方向外側へ抜け落ちるのを防止し
ている。第一腕部４０を構成する各側板部４１、４２に
は、インジェクタ２０の軸方向の端部に支持面４１ａ、
４２ａが形成されている。支持面４１ａ、４２ａは、各
側板部４１、４２の第二腕部５０側の端部に形成されて
いる。支持面４１ａ、４２ａはインジェクタ２０の軸と
は概ね垂直な方向へ形成されている。また、第一腕部４
０の側板部４１、４２の板厚方向はインジェクタ２０の
軸とは垂直である。そのため、支持面４１ａ、４２ａは
インジェクタ２０の軸と垂直に側板部４１、４２の板厚
ｔに対応して形成されている。

【００１５】図２に示すように、第一腕部４０はインジ
ェクタ２０のコネクタ２４のノズル２３側すなわち反分
配口側に装着される。そのため、第一腕部４０の各側板
部４１、４２に形成されている支持面４１ａ、４２ａ
は、インジェクタ２０のコネクタ２４のノズル２３側に
位置する当接部２４ａと当接する。インジェクタ２０は
分配口１１の重力方向下方へ設置されるため、インジェ
クタ２０には図２の下方へ重力が作用する。そのため、
支持面４１ａ、４２ａにはインジェクタ２０から重力方
向へ力が作用する。インジェクタ２０の軸と重力方向と
は概ね平行であるため、支持面４１ａには支持面４２ａ
と概ね垂直な方向から力が作用する。すなわち、各側板
部４１、４５２の板厚方向は、インジェクタ２０から支
持面４１ａ、４２ａに作用する力の向きと概ね垂直とな
る。また、第一腕部４０の各側板部４１、４２は、板厚
方向がインジェクタ２０の軸方向と垂直であるため、図
１に示すようにインジェクタ２０の軸方向へ伸びて形成
されている。そのため、インジェクタ２０から支持面４
１ａ、４２ａへ作用する力に対する第一腕部４０の強度
は高く、第一腕部４０の変形は小さい。

【００１６】第二腕部５０は、図１に示すように第一腕
部４０と同様に本体３１を挟んで互いに向き合う側板部
５１、５２を有している。側板部５１と側板部５２との
間には、間隔が大きな収容部５３と、間隔が小さな締め
付け部５４とが構成されている。収容部５３には、図２
に示すように分配口１１が収容される。図１に示すよう
に締め付け部５４は、収容部５３よりも向き合う各側板
部５１、５２の間隔が小さく、収容部５３に収容された
分配口１１が第二腕部５０から径方向外側へ抜け落ちる
のを防止している。第二腕部５０を構成する各側板部５
１、５２には、インジェクタ２０の軸方向の端部に支持
面５１ａ、５２ａが形成されている。支持面５１ａ、５
２ａは、各側板部５１、５２の第一腕部４０側の端部、
すなわち第一腕部４０の支持面４１ａ、４２ａと対向し
て形成されている。支持面５１ａ、５２ａはインジェク
タ２０の軸とは概ね垂直な方向へ形成されている。ま
た、第二腕部５０の側板部５１、５２の板厚方向はイン
ジェクタ２０の軸とは垂直である。そのため、支持面５
１ａ、５２ａはインジェクタ２０の軸と垂直に側板部５
１、５２の板厚ｔに対応して形成されている。第一腕部
４０の側板部４１、４２と、第二腕部５０の側板部５
１、５２とは、概ね同一の板厚である。

【００１７】図２に示すように、第二腕部５０は分配口
１１のフランジ部１２の燃料分配管１０側に装着され
る。そのため、第二腕部５０の各側板部５１、５２に形
成されている支持面５１ａ、５２ａは、フランジ部１２
の燃料分配管１０側と当接する。インジェクタ２０は分
配口１１の重力方向下方へ設置されるため、支持面５１
ａ、５２ａにはフランジ部１２から重力とは反対方向へ
力が作用する。インジェクタ２０の軸と重力方向とは概
ね平行であるため、支持面５１ａ、５２ａには支持面５
１ａ、５２ａと垂直な方向から力が作用する。

【００１８】次に、クリップ部材３０の製造方法につい
て説明する。材料となる板材から図３（Ａ）に示すよう
な形状の板部材６０が成形される。板部材６０は、例え
ば板材をプレスにより打ち抜くことにより成形される。
打ち抜かれた板部材６０は、成形されるクリップ部材３
０を展開した形状となる。板部材６０は、成形後の本体
３１に対応する本体部６１と、成形後の第一腕部４０お
よび第二腕部５０に対応する腕部６２とを有している。
腕部６２は本体部６１の軸方向の両端部からこの軸に垂
直な方向へ伸びて形成されている。

【００１９】板部材６０が成形されると、図３（Ｂ）の
矢印Ｆで示すように板部材６０の一方の面側から力を加
え、本体部６１を挟んで腕部６２が対向するように板部
材６０の他方の面側へ折り曲げられる。このとき、本体
部６１の力が加えられる面とは反対側に例えば成形治具
を配置することにより、図１に示すような所定の形状の
クリップ部材３０が成形される。腕部６２を板部材６０
の一方の面側から他方の面側へ折り曲げることにより、
板部材６０の軸と腕部６２の板厚方向とは概ね垂直とな
る。以上のように、クリップ部材３０は、板部材６０の
打ち抜きおよび一方向からの折り曲げという簡単な工程
で成形され、加工工数が低減される。また、クリップ部
材３０は板部材６０から一体に形成されているため、本
体３１、第一腕部４０および第二腕部５０の板厚ｔは概
ね同一である。

【００２０】次に、クリップ部材３０を用いた燃料分配
管１０とインジェクタ２０との組み付けについて説明す
る。インジェクタ２０の燃料流入口２１を燃料分配管１
０に接続されている分配口１１の内周側に挿入する。こ
のとき、シール部材２２は分配口１１の内周側に密着
し、インジェクタ２０と分配口１１との間をシールす
る。分配口１１の内周側にインジェクタ２０の燃料流入
口２１を挿入した状態で図２のＸ方向からクリップ部材
３０をはめ込む。クリップ部材３０の第一腕部４０およ
び第二腕部５０を構成する側板部４１、４２、５１、５
２は、径方向へ弾性変形可能である。そのため、第一腕
部４０の締め付け部４４において対向する各側板部４
１、４２の相互間の間隔は拡大可能である。同様に、第
二腕部５０の締め付け部５４において対向する各側板部
５１、５２の相互間の間隔も拡大可能である。これによ
り、クリップ部材３０は、図２のＸ方向からインジェク
タ２０および分配口１１に押し込むことにより、第一腕
部４０および第二腕部５０の締め付け部４４、５４は広
がりながら、第一腕部４０はインジェクタ２０にはめ込
まれ、第二腕部５０は分配口１１にはめ込まれる。その
結果、インジェクタ２０と分配口１１とはクリップ部材
３０を介して結合され、第一腕部４０はインジェクタ２
０のコネクタ２４の下方と当接し、第二腕部５０は分配
口１１のフランジ部１２に当接する。これにより、イン
ジェクタ２０はクリップ部材３０により支持され、分配
口１１からのインジェクタ２０の脱落が防止される。ま
た、第一腕部４０の締め付け部４４および第二腕部５０
の締め付け部５４は、インジェクタ２０を挟んで本体３
１の反対側を閉塞しているので、インジェクタ２０およ
び分配口１１からクリップ部材３０が脱落することが防
止される。

【００２１】以上説明した本発明の第１実施例による
と、インジェクタ２０を支持する第一腕部４０および第
二腕部５０の支持面４１ａ、４２ａ、５１ａ、５２ａ
は、インジェクタ２０の軸と垂直に形成されている。す
なわち、支持面４１ａ、４２ａ、５１ａ、５２ａは第一
腕部４０および第二腕部５０を構成する側板部４１、４
２、５１、５２の板厚ｔに対応している。そのため、第
一腕部４０の軸方向の長さを延長することにより、クリ
ップ部材３０の板厚ｔを増大することなく、インジェク
タ２０から第一腕部４０に作用する力に対する第一腕部
４０の強度を高めることができる。したがって、クリッ
プ部材３０の大型化ひいては燃料供給装置１の大型化を
招くことなく、インジェクタ２０と燃料分配管１０との
間の相対的な移動を低減することができる。

【００２２】また、クリップ部材３０は展開形状の板部
材６０を一方向から加工、すなわち一方向から力を加え
ることにより成形される。また、クリップ部材３０は、
本体３１と第一腕部４０および第二腕部５０とを有する
簡単な形状である。そのため、クリップ部材３０の加工
が容易であり加工工数を低減することができる。さら
に、インジェクタ２０はクリップ部材３０の第一腕部４
０により形成される挿入部４３に挿入されているだけで
あるので、インジェクタ２０の交換時におけるクリップ
部材３０とインジェクタ２０との分離を容易にすること
ができる。したがって、燃料供給装置１に装着されてい
るインジェクタ２０交換時の作業工数を低減することが
できる。

【００２３】（第２実施例）本発明の第２実施例につい
て説明する。第２実施例は、図１に示す第１実施例の変
形である。第２実施例では、図１に示すクリップ部材３
０の第一腕部４０および第二腕部５０が径方向内側へ収
縮する弾性力を有している。そのため、インジェクタ２
０および分配口１１にクリップ部材３０を組み付けたと
き、第一腕部４０はインジェクタ２０を挟持し、第二腕
部５０は分配口１１を挟持する。すなわち、挿入部４３
はコネクタ２４のノズル２３側の外形よりもやや小さく
形成され、収容部５３は分配口１１の外形よりもやや小
さく形成されている。そのため、第一腕部４０にインジ
ェクタ２０が挿入されたとき、インジェクタ２０は外周
側から第一腕部４０に挟持され、インジェクタ２０とク
リップ部材３０との間の相対的な移動が制限される。同
様に、第二腕部５０に分配口１１が収容されたとき、分
配口１１は第一腕部４０に挟持され、分配口１１とクリ
ップ部材３０との間の相対的な移動が制限される。

【００２４】したがって、インジェクタ２０、分配口１
１およびクリップ部材３０間の相対的な移動が制限さ
れ、インジェクタ２０と分配口１１とをより強固に結合
することができる。また、分配口１１からのインジェク
タ２０の脱落を防止することができる。

【００２５】（第３実施例）本発明の第３実施例による
燃料供給装置のクリップ部材を図４に示す。第１実施例
と実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明
を省略する。図４に示すように、クリップ部材７０は第
一腕部７１を有しており、第一腕部７１は第二腕部５０
よりも軸方向へ長く形成されている。インジェクタ２０
からの力は、主に第一腕部７１を構成する側板部７２、
７３の支持面７２ａ、７３ａに作用する。そのため、第
一腕部７１を軸方向へ延長することにより、インジェク
タ２０から支持面７２ａ、７３ａへ作用する力に対する
強度を高めることができる。したがって、第一腕部７１
の変形がより低減され、インジェクタ２０の軸方向への
移動を低減することができる。

【００２６】（第４実施例）本発明の第４実施例による
燃料供給装置のクリップ部材を図５に示す。第１実施例
と実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明
を省略する。第４実施例では、図５に示すようにクリッ
プ部材８０の第二腕部８１に開口部８２が形成されてい
る。開口部８２は分配口１１のインジェクタ２０側の端
部に形成されているフランジ部１２と嵌合可能である。
そのため、開口部８２にフランジ部１２を嵌合させるこ
とにより、クリップ部材８０と分配口１１とがより強固
に結合され、分配口１１からのインジェクタ２０の抜け
落ちをより防止することができる。

【００２７】第４実施例の場合、次の手順でインジェク
タ２０と燃料分配管１０とが組み付けられる。図６
（Ａ）に示すように、クリップ部材８０をインジェクタ
２０に装着する。インジェクタ２０にはクリップ部材８
０が矢印Ｘ方向へ装着される。これにより、クリップ部
材８０の第一腕部４０によって形成されている挿入部４
３にインジェクタ２０が挿入される。インジェクタ２０
のコネクタ２４よりもノズル２３側は外形が挿入部４３
よりも小さく形成されているため、インジェクタ２０は
挿入部４３に容易に挿入される。一方、インジェクタ２
０のコネクタ２４の外形は挿入部４３よりも大きなた
め、クリップ部材８０をインジェクタ２０に組み付けた
とき、インジェクタ２０はコネクタ２４のノズル２３側
が第一腕部４０の支持面４１ａ、４２ａと当接し、クリ
ップ部材８０から脱落することが防止されている。

【００２８】インジェクタ２０にクリップ部材８０が組
み付けられた状態でインジェクタ２０を分配口１１の内
周側に挿入する。このとき、分配口１１の軸とインジェ
クタ２０の軸とが概ね一致するように分配口１１の反燃
料分配管側からインジェクタ２０を挿入する。

【００２９】インジェクタ２０を分配口１１の内周側に
挿入することにより、図６（Ｂ）に示すように分配口１
１のフランジ部１２とクリップ部材８０の第二腕部８１
とが当接する。第二腕部８１は径方向へ弾性変形可能で
あるため、フランジ部１２と第二腕部８１とが当接した
ままインジェクタ２０を分配口１１側へ押し込むことに
より、第二腕部８１はフランジ部１２の外周に沿って径
方向外側へ拡大する。そして、フランジ部１２に対応す
る位置に開口部８２が到達すると、フランジ部１２は開
口部８２へはまり込み、第二腕部８１は弾性力により径
方向内側へ縮小する。これにより、クリップ部材８０は
分配口１１に固定される。以上の手順によりインジェク
タ２０と分配口１１とはクリップ部材８０により結合さ
れる。

【００３０】第４実施例の場合、クリップ部材８０を装
着したインジェクタ２０を分配口１１の内周側へ挿入す
ることによりインジェクタ２０と分配口１１とを結合す
ることができる。インジェクタ２０は分配口１１の下方
から分配口１１へ挿入されるため、インジェクタ２０と
分配口１１との結合を一方向から実施することができ
る。したがって、インジェクタ２０と分配口１１との結
合部の周囲に空間的な余裕がない場合でも、インジェク
タ２０と分配口１１とをクリップ部材８０により容易に
結合することができる。また、フランジ部１２と開口部
８２とが嵌合することにより、クリップ部材８０と分配
口１１とは強固に結合される。したがって、分配口１１
からのインジェクタ２０の脱落をより確実に防止するこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例による燃料供給装置のクリ
ップ部材を示す概略斜視図である。

【図２】本発明の第１実施例による燃料供給装置を示す
模式図である。

【図３】本発明の第１実施例による燃料供給装置のクリ
ップ部材の製造工程を示す説明図である。

【図４】本発明の第３実施例による燃料供給装置のクリ
ップ部材を示す概略斜視図である。

【図５】本発明の第４実施例による燃料供給装置のクリ
ップ部材を示す概略斜視図である。

【図６】本発明の第４実施例による燃料供給装置におい
て、クリップ部材を用いたインジェクタと燃料分配管と
の結合手順を示す説明図である。

【図７】従来の燃料供給装置のクリップを示す概略斜視
図である。

【符号の説明】

１ 燃料供給装置 １０ 燃料分配管 １１ 分配口 １２ フランジ部 ２０ インジェクタ ３０、７０、８０ クリップ部材 ３１ 本体 ４０、７１ 第一腕部 ４１、４２ 側板部 ４１ａ、４２ａ、７２ａ、７３ａ 支持面 ５０、８１ 第二腕部 ５１、５２ 側板部 ５１ａ、５２ａ 支持面 ６０ 板部材 ６１ 本体部 ６２ 腕部 ８２ 開口部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Ｆターム(参考） 3G066 AA01 AB02 AC09 AD05 BA46 BA53 BA55 BA56 BA61 BA65 CB05 CC03 CD04

Claims (9)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 燃料分配管と、前記燃料分配管から導入
   された燃料を内燃機関に噴射するインジェクタとを備え
   る燃料噴射装置において、前記燃料分配管からの前記イ
   ンジェクタの抜けを防止するクリップ部材であって、 前記インジェクタの軸方向へ伸びる本体と、 前記本体から前記インジェクタの周囲へ伸びて形成さ
   れ、前記インジェクタを支持する腕部とを備え、 前記腕部は前記インジェクタの軸方向の端部に前記イン
   ジェクタを支持する支持面を有し、前記腕部の板厚方向
   は前記インジェクタから前記支持面に作用する力の向き
   と所定の角度をなすことを特徴とするクリップ部材。
2. 【請求項２】 前記腕部の板厚方向は、前記インジェク
   タから前記支持面に作用する力の向きと概ね垂直である
   ことを特徴とする請求項１記載のクリップ部材。
3. 【請求項３】 前記本体の一方の端部に形成され前記イ
   ンジェクタに装着される第一腕部と、前記本体の他方の
   端部に形成され前記燃料分配管に装着される第二腕部と
   を備えることを特徴とする請求項１または２記載のクリ
   ップ部材。
4. 【請求項４】 前記第一腕部は、前記インジェクタの径
   方向外側から前記インジェクタを挟持可能であることを
   特徴とする請求項３記載のクリップ部材。
5. 【請求項５】 前記第二腕部は、前記燃料分配管の径方
   向外側から前記燃料分配管を挟持可能であることを特徴
   とする請求項３または４記載のクリップ部材。
6. 【請求項６】 前記第一腕部と前記第二腕部とは、前記
   インジェクタの軸方向の長さが異なることを特徴とする
   請求項３、４または５記載のクリップ部材。
7. 【請求項７】 前記燃料分配管の前記インジェクタ側の
   端部に径方向外側へ突出して形成されているフランジ部
   が嵌合可能な開口部を備えることを特徴とする請求項１
   から６のいずれか一項記載のクリップ部材。
8. 【請求項８】 請求項１から７のいずれか一項記載のク
   リップ部材を備えることを特徴とする燃料供給装置。
9. 【請求項９】 燃料分配管と、前記燃料分配管から導入
   された燃料を内燃機関に噴射するインジェクタとを備え
   る燃料供給装置において、前記燃料分配管からの前記イ
   ンジェクタの抜けを防止するクリップ部材の製造方法で
   あって、 本体と、前記本体の軸と概ね垂直な方向へ伸びる腕部と
   を有する板部材を成形する段階と、 前記板部材の前記腕部を、前記腕部の板厚方向と前記本
   体の軸とが所定角度をなすように前記本体の一方の面側
   から他方の面側へ折り曲げる段階と、 を含むことを特徴とするクリップ部材の製造方法。