JP2003286450A - 水性塗料組成物及び複層塗膜形成方法 - Google Patents

水性塗料組成物及び複層塗膜形成方法

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JP2003286450A
JP2003286450A JP2002186794A JP2002186794A JP2003286450A JP 2003286450 A JP2003286450 A JP 2003286450A JP 2002186794 A JP2002186794 A JP 2002186794A JP 2002186794 A JP2002186794 A JP 2002186794A JP 2003286450 A JP2003286450 A JP 2003286450A
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coating
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成幸 佐々木
Hideaki Ogawa
英明 小川
Shinji Senoo
親治 妹尾
Tadahiko Nishi
忠彦 西
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 得られる塗膜の目視外観が良好であり、か
つ、フリップフロップ性に優れた水性塗料組成物及び複
層塗膜形成方法を提供する。 【解決手段】 酸価が30〜150で、水酸基価が10
〜100であるモノマー混合液Aを水中で水溶液重合し
て乳化重合用水溶液樹脂を得た後、前記乳化重合用水溶
液樹脂を保護コロイドとして用い、酸価が上限20で、
水酸基価が上限100であるモノマー混合液Bを乳化重
合して前記保護コロイド中にコア樹脂を合成することに
よって得られる水性樹脂分散液と、光輝材とを含んでい
ることを特徴とする水性塗料組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車車体等に塗
装される水性塗料組成物、及び、自動車車体等に形成さ
れる複層塗膜の形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、工業用に用いられる塗料は溶剤型
塗料と呼ばれる、希釈溶剤として有機溶剤を用いるもの
であった。そのため、塗料中に多量の有機溶剤を含んで
いたが、近年の環境に対する配慮から、含まれる有機溶
剤を低減し、希釈溶剤として水を用いる水性塗料が開発
されてきている。このような水性塗料として、例えば、
特開平7−53913号公報には、アミド基含有エチレ
ン性不飽和モノマーと酸性基含有エチレン性不飽和モノ
マーと水酸基含有エチレン性不飽和モノマーとを含有す
るポリマーの少なくとも一部を中和して得られた樹脂
と、カルボキシル基含有アクリル樹脂粒子の水分散体と
を含有する水性塗料組成物が開示されている。
【0003】一般的にこれまでの水性塗料から得られる
塗膜は、従来の溶剤型塗料に比べて、平滑性及び外観が
不良であるという問題があった。特に、高外観が要求さ
れる自動車車体用に用いられる、着色成分として光輝材
を含んでいる水性塗料から得られる塗膜は、溶剤型のベ
ース塗料に比べて、目視外観、フリップフロップ性等が
極めて不良であるという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、得ら
れる塗膜の目視外観が良好であり、かつ、フリップフロ
ップ性に優れた水性塗料組成物及び複層塗膜形成方法を
提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、酸価が30〜
150で、水酸基価が10〜100であるモノマー混合
液Aを水中で水溶液重合して乳化重合用水溶液樹脂を得
た後、前記乳化重合用水溶液樹脂を保護コロイドとして
用い、酸価が上限20で、水酸基価が上限100である
モノマー混合液Bを乳化重合して前記保護コロイド中に
コア樹脂を合成することによって得られる水性樹脂分散
液と、光輝材とを含んでいることを特徴とする水性塗料
組成物である。
【0006】本発明は、さらに、一般式(1)又は
(2):
【化3】 (式(1)中、R1 、R2 及びR3 は、互いに同一でも
異なってもよい炭化水素基を表し、R1 は、ウレタン結
合を有していてもよい炭化水素基を表し、R3 は分岐鎖
又は2級の炭化水素基を表し、jは1以上の数であり、
kは1〜500の範囲内の数である。)
【化4】 (式(2)中、R1 、R2 、R3 、R4 及びR5 は、互
いに同一でも異なってもよい炭化水素基を表し、R
1 は、ウレタン結合を有していてもよい炭化水素基を表
し、R3 は分岐鎖又は2級の炭化水素基を表し、nは2
以上の数であり、jは2以上の数であり、k及びmはそ
れぞれ1〜500の範囲内の数である。)で表されるウ
レタン系化合物の少なくとも1種を含有し、前記ウレタ
ン系化合物の含有量は、塗料組成物中の樹脂固形分に対
して、固形分で0.01〜20重量%である、前記の水
性塗料組成物である。
【0007】本発明は、前記モノマー混合液A及びモノ
マー混合液Bはそれぞれ、(メタ)アクリル酸エステル
類、スチレン系モノマー、(メタ)アクリロニトリル及
び(メタ)アクリルアミドからなる群から選ばれる少な
くとも1種の重合性不飽和モノマーを含んでいる、前記
の水性塗料組成物である。
【0008】本発明は、前記モノマー混合液Aの重量A
wと、前記モノマー混合液Bの重量Bwとは、10/1
00≦Aw/(Aw+Bw)≦50/100の関係を満
たすものである、前記の水性塗料組成物である。
【0009】本発明は、前記モノマー混合液Aは、共重
合成分としてさらに架橋性モノマーを含んでいる、前記
の水性塗料組成物である。
【0010】本発明は、前記モノマー混合液Bは、共重
合成分としてさらに架橋性モノマーを含んでいる、前記
の水性塗料組成物である。
【0011】本発明は、さらに、1分子中に有する1級
水酸基が平均0.02個以上であり、数平均分子量30
0〜3000であり、水トレランス値が2.0以上であ
るポリエーテルポリオールを含んでいる、前記の水性塗
料組成物である。本発明は、前記ポリエーテルポリオー
ルは、1分子中に1級水酸基を少なくとも1つ有し、か
つ水酸基価が30〜700である、前記の水性塗料組成
物である。
【0012】また、本発明は、被塗装物に対して水性ベ
ース塗料を塗装し、その上にクリアー塗料を塗装した
後、加熱硬化することによって複層塗膜を形成する方法
であって、前記水性ベース塗料は、前記いずれかの水性
塗料組成物であることを特徴とする複層塗膜形成方法で
ある。
【0013】さらに、本発明は、前記の複層塗膜形成方
法によって形成された複層塗膜である。
【0014】
【発明の実施の形態】まず、本発明の水性塗料組成物に
ついて説明する。本発明の水性塗料組成物は乳化重合用
水溶液樹脂を保護コロイドとして、コア樹脂を上記保護
コロイド中に合成して得られる水性樹脂分散液と、光輝
材とを含有することを特徴とするものである。
【0015】本発明の水性塗料組成物に含まれる水性樹
脂分散液は、乳化重合用水溶液樹脂を保護コロイドとし
て、コア樹脂を上記保護コロイド中に合成して得られる
ものである。
【0016】上記水性樹脂分散液は、具体的には、乳化
重合用水溶性樹脂を得た後、これを保護コロイドとして
用い、この保護コロイド中にコア樹脂を合成することに
よって得られる。
【0017】上記乳化重合用水溶性樹脂を得る工程とし
ては、酸価が30〜150で、水酸基価が10〜100
であるモノマー混合液Aを水中で水溶液重合する。上記
水溶液重合の方法としては特に限定されず、常法によっ
て行われ、具体的には、ラジカル重合開始剤の存在下、
水中にモノマー混合液Aを滴下しながら重合する方法を
挙げることができる。
【0018】上記モノマー混合液Aは、酸価が下限3
0、上限150、好ましくは下限40、上限130、水
酸基価が下限10、上限100、好ましくは下限30、
上限80である。上記酸価が30より小さいと、得られ
る水性樹脂分散液にアルカリを添加した場合、充分な増
粘が発生せず、期待通りの粘性と構造粘性が得られな
い。また、上記酸価が150を超えると、塗料化後、得
られる塗膜の耐水性が低下する。一方、上記水酸基価が
10より小さいと、塗料化後、得られる塗膜の硬化性が
不充分となる。また、上記水酸基価が100を超える
と、硬化剤等のその他の成分との相溶性が低下し、得ら
れる塗膜が不均一になる。
【0019】なお、本明細書中の酸価及び水酸基価は、
モノマー混合液に含まれる各重合性不飽和モノマーの配
合量から計算によって得られる値である。
【0020】上記モノマー混合液Aは、酸基含有重合性
不飽和モノマー、水酸基含有重合性不飽和モノマーを必
須成分とし、必要に応じてその他の重合性不飽和モノマ
ーを含んでいる。
【0021】上記酸基含有重合性不飽和モノマーは、1
分子中に不飽和二重結合及び酸基をそれぞれ1個以上有
する化合物であり、具体的には、アクリル酸、メタクリ
ル酸、クロトン酸、プロピルアクリル酸、イソプロピル
アクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸及びフマル酸
等のカルボン酸基含有重合性不飽和モノマー;t−ブチ
ルアクリルアミドスルホン酸等のスルホン酸基含有重合
性不飽和モノマー;ライトエステルPM(ライトエステ
ル社製)等のリン酸基含有重合性不飽和モノマー等を挙
げることができる。これらの2種以上を用いてもよい。
【0022】上記水酸基含有重合性不飽和モノマーとし
ては、具体的には、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、
メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロ
キシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、アク
リル酸ヒドロキシブチル、メタクリル酸ヒドロキシブチ
ル、N−メチロールアクリルアミド、アリルアルコール
や、プラクセルFAシリーズ、プラクセルFMシリーズ
(いずれもダイセル化学工業社製)等のε−カプロラク
トン変性アクリルモノマー等を挙げることができる。こ
れらの2種以上を用いてもよい。
【0023】上記その他の重合性不飽和モノマーとして
は、例えば、炭素数1〜24の1価アルコールとアクリ
ル酸又はメタクリル酸とのモノエステルが好ましく、例
えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)ア
クリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチ
ル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレ
ート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘ
キシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)ア
クリレート、ラウリル(メタ)アクリレート及びステア
リル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エス
テル類;スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系
モノマー;(メタ)アクリロニトリル及び(メタ)アク
リルアミド等を挙げることができる。これらの2種以上
を用いてもよい。
【0024】上記ラジカル重合開始剤としては、アクリ
ル樹脂の水溶液重合で通常用いられるものを挙げること
ができ、具体的には、t−ブチルハイドロパーオキサイ
ド、t−ブチルパーオキシ−2−エトキシヘキサノエー
ト等の過酸化物系化合物;アゾビスイソブチロニトリ
ル、アゾビスジメチルバレロニトリル等のアゾ系化合物
を挙げることができる、また、水溶性のフリーラジカル
重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウ
ム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩が単独で、これら
及び過酸化水素と酸性亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナト
リウム、ロンガリット、アスコルビン酸等の還元剤との
組み合わせによる、いわゆるレドックス系開始剤等を水
溶液の形で用いることができる。
【0025】上記乳化重合用水溶液樹脂を得る際に、必
要に応じて、界面活性剤、親水性オリゴマーやポリマー
及び連鎖移動剤等を用いてもよい。
【0026】このようにして得られた乳化重合用水溶液
樹脂は、そのままコア樹脂の乳化重合における保護コロ
イドとして用いてもよいが、樹脂中の酸基の一部を中和
した後に用いてもよい。上記中和に用いられる塩基性化
合物としては、例えば、モノメチルアミン、ジメチルア
ミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、トリエチ
ルアミン、モノイソプロピルアミン、ジエチレントリア
ミン、トリエチレントリアミン、トリエチレンテトラミ
ン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリ
エタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイ
ソプロパノールアミン、ジメチルエタノールアミン、2
−アミノメチルプロパノール、モルホリン、メチルモル
ホリン、ピペラジン、アンモニア、水酸化ナトリウム、
水酸化カリウム及び水酸化リチウム等を挙げることがで
きる。
【0027】このようにして得られた乳化重合用水溶液
樹脂の重量平均分子量は特に限定されず、一般的に1万
〜5万程度であり、例えば2万〜3万程度である。
【0028】上記水性樹脂分散液を得る工程として、次
に、得られた乳化重合用水溶液樹脂を保護コロイドとし
て用い、モノマー混合液Bを乳化重合して上記保護コロ
イド中にコア樹脂を合成する。
【0029】上記乳化重合の方法としては、上記乳化重
合用水溶液樹脂及び上記フリーラジカル重合開始剤の存
在下で、上記モノマー混合液Bを滴下する方法を挙げる
ことができる。上記モノマー混合液Bは酸価が上限2
0、好ましくは上限10であり、水酸基価が上限10
0、好ましくは下限20、上限70である。上記酸価が
20を超える場合は、調製された水性樹脂分散液にアル
カリを添加して増粘させた後の分散液の粘度の経時変化
が大きく、安定性に欠ける。一方、上記水酸基価が10
0を超える場合は、塗料化後に得られる塗膜の耐水性が
低下したり、硬化剤等その他の成分との相溶性が悪く、
得られる塗膜が不均一になる。
【0030】このようなモノマー混合液Bは上記モノマ
ー混合液Aと同様に、上記酸基含有重合性不飽和モノマ
ー、上記水酸基含有重合性不飽和モノマー及び上記その
他の重合性不飽和モノマーを含んでいる。なお、上記重
合性不飽和モノマー混合液Bは上記モノマー混合液Aと
異なり、上記酸基含有重合性不飽和モノマー及び上記水
酸基含有重合性不飽和モノマーは必ずしも含まなくても
よい。また、必要に応じて連鎖移動剤を含んでいてもよ
い。
【0031】また、上記乳化重合の際、上記乳化重合用
水溶液樹脂の他にその他の乳化剤を補助的に利用しても
よい。上記その他の乳化剤としては、例えば、炭素数が
6以上の炭素原子を有する炭化水素基と、カルボン酸
塩、スルホン酸塩又は硫酸塩部分エステルなどの親水性
部分とを同一分子中に有するミセル化合物から選ばれる
アニオン系又は非イオン系の乳化剤を挙げることができ
る。このうちアニオン乳化剤としては、具体的には、ア
ルキルフェノール類又は高級アルコール類の硫酸半エス
テルのアルカリ金属塩又はアンモニウム塩;アルキル又
はアリルスルホナートのアルカリ金属塩又はアンモニウ
ム塩;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、
ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエ
チレンアリルエーテルの硫酸ハーフエステルのアルカリ
金属塩又はアンモニウム塩等を挙げることができる。ま
た非イオン系の乳化剤としては、具体的には、ポリオキ
シエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチ
レンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアリルエ
ーテル等を挙げることができる。またこれら一般汎用の
アニオン系、ノニオン系乳化剤の他に、分子内にラジカ
ル重合性の不飽和二重結合を有する、すなわちアクリル
系、メタクリル系、プロペニル系、アリル系、アリルエ
ーテル系、マレイン酸系などの基を有する各種アニオン
系、ノニオン系反応性乳化剤等を挙げることができる。
これらの2種以上を用いてもよい。
【0032】このようにして得られるコア樹脂の重量平
均分子量としては特に限定されないが、一般的に5万〜
100万程度であり、例えば10万〜70万程度であ
る。
【0033】ここで、上記水性樹脂分散液においては、
上記モノマー混合液Aの重量Awと、上記モノマー混合
液Bの重量Bwとが、10/100≦Aw/(Aw+B
w)≦50/100の関係を満たすように、各重合性不
飽和モノマーを用いることが好ましい。Aw/(Aw+
Bw)がこの範囲よりも小さいと、得られる水性樹脂分
散液のアルカリ増粘性が不充分になる恐れがあり、大き
いと、充分なアルカリ増粘性は得られるものの、塗料化
後に得られる塗膜の耐水性が低下する恐れがある。さら
に好ましくは20/100≦Aw/(Aw+Bw)≦4
0/100の関係を満たすことである。
【0034】本発明において、モノマー混合液A及びモ
ノマー混合液Bのいずれか一方又は両方が、上記酸基含
有重合性不飽和モノマー、上記水酸基含有重合性不飽和
モノマー及び上記その他の重合性不飽和モノマーの他に
さらに共重合成分として架橋性モノマーを含むことも好
ましい。架橋性モノマーを共重合させることにより、樹
脂が架橋構造を有し、あるいは架橋性モノマーの種類に
よっては塗膜形成時に架橋助剤との反応により架橋構造
を有するものとなり、耐溶剤性に優れた塗膜が得られ
る。
【0035】塗膜の耐溶剤性が向上すると大きな利点が
ある。例えば、本発明の水性塗料組成物を自動車等にお
ける複層塗膜を形成する際の水性ベース塗料として利用
する場合において、形成されたベース塗膜の上にクリア
ー塗料が塗装されるが、クリアー塗料中に含まれる溶剤
によってこのベース塗膜表面が侵されたり変質層が生じ
ることがないので、このベース塗膜とクリアー塗膜との
間での層間乱反射が低減され、その結果、外観に優れた
複層塗膜が得られる。その他、溶剤に晒される或いは接
触するような各種の塗装用途に、本発明の水性塗料組成
物を利用することができる。
【0036】架橋性モノマーとしては、カルボニル基含
有モノマー、加水分解性シリル基含有モノマー、グリシ
ジル基含有モノマー、種々の多官能ビニルモノマーなど
の重合性不飽和基を有する架橋性モノマー等を用いるこ
とができる。N−メチロール(メタ)アクリルアミド
や、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミドにも架
橋性はあるが弱い。
【0037】カルボニル基含有モノマーとしては、例え
ば、アクロレイン、ジアセトン(メタ)アクリルアミ
ド、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、ホ
ルミルスチロール、4〜7個の炭素原子を有するビニル
アルキルケトン(例えば、ビニルメチルケトン、ビニル
エチルケトン、ビニルブチルケトン)等のケト基を含有
するモノマーが挙げられる。これらのうち、ジアセトン
(メタ)アクリルアミドが好適である。このようなカル
ボニル基含有モノマーを用いる場合には、水性樹脂分散
液中に架橋助剤としてヒドラジン系化合物を添加して、
塗膜形成時に架橋構造が形成されるようにする。あるい
は、ヒドラジン系化合物の添加は、水性樹脂分散液と光
輝材とを混合した後に行ってもよい。本発明の水性塗料
組成物中に、ヒドラジン系化合物が含まれるようにすれ
ばよい。
【0038】ヒドラジン系化合物としては、例えば、蓚
酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、グルタル酸ジ
ヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒド
ラジド、セバシン酸ジヒドラジド等の2〜18個の炭素
原子を有する飽和脂肪族カルボン酸ジヒドラジド; マ
レイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコ
ン酸ジヒドラジド等のモノオレフィン性不飽和ジカルボ
ン酸ジヒドラジド;フタル酸ジヒドラジド、テレフタル
酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、ピロメリ
ット酸のジヒドラジド、トリヒドラジド又はテトラヒド
ラジド; ニトリルトリヒドラジド、クエン酸トリヒド
ラジド、1,2,4-ベンゼントリヒドラジド、エチレンジア
ミンテトラ酢酸テトラヒドラジド、1,4,5,8-ナフトエ酸
テトラヒドラジド、カルボン酸低級アルキルエステル基
を有する低重合体をヒドラジン又はヒドラジン水化物
(ヒドラジンヒドラート)と反応させて得られるポリヒ
ドラジド; 炭酸ジヒドラジド、ビスセミカルバジド;
ヘキサメチレンジイソシアネートやイソホロンジイソ
シアネート等のジイソシアネート又はそれより誘導され
るポリイソシアネート化合物にヒドラジン化合物や上記
例示のジヒドラジドを過剰に反応させて得られる水系多
官能セミカルバジド等が挙げられる。
【0039】加水分解性シリル基含有モノマーとして
は、例えば、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチル
ジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピル
メチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプ
ロピルトリエトキシシラン等のをアルコキシシリル基を
含有するモノマーが挙げられる。
【0040】グリシジル基含有モノマーとしては、グリ
シジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル
(メタ)アクリレート、(3,4-エポキシシクロヘキシ
ル)メチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒ
ドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられ
る。
【0041】多官能ビニル系モノマーとしては、ジビニ
ルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘ
キサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレング
リコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコ
ールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレー
ト、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、
ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等のジビ
ニル化合物が挙げられ、ペンタエリスリトールトリ(メ
タ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メ
タ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メ
タ)アクリレート等も挙げられる。
【0042】上記架橋性モノマーは1種又は2種以上を
用いることができる。上記架橋性モノマーの中でも、カ
ルボニル基含有モノマー、加水分解性シリル基含有モノ
マーが、得られる塗膜の耐溶剤性向上効果の点から好ま
しい。
【0043】架橋性モノマーを用いる場合には、モノマ
ー混合液A及びモノマー混合液Bのいずれにおいても、
上記酸基含有重合性不飽和モノマー、上記水酸基含有重
合性不飽和モノマー及び上記その他の重合性不飽和モノ
マーの合計量に対して、架橋性モノマーを0.5〜10
重量%、好ましくは1〜8重量%の範囲で用いるとよ
い。モノマーの種類にも依るがこの範囲の使用量で、乳
化重合用樹脂A又はコア樹脂Bの架橋構造が得られ、塗
膜の耐溶剤性向上効果が得られる。この範囲よりも少な
い使用量では、塗膜の耐溶剤性向上効果が得られにく
く、一方、この範囲よりも多い使用量では、樹脂の製造
工程でゲル化などの不都合が生ずるか、樹脂の製造工程
上は問題がなくても、塗膜の形成が不均一となる不都合
を生じることがある。
【0044】乳化重合用樹脂A又はコア樹脂Bの双方に
架橋構造の導入を行ってもよく、いずれか一方のみに行
ってもよい。いずれか一方のみに架橋構造を導入するに
は、Bw≧Awの場合には、樹脂Bに架橋構造を導入す
ると樹脂Aに架橋構造を導入するよりも大きな塗膜の耐
溶剤性向上効果が得られる。樹脂A及び樹脂Bの双方に
架橋構造の導入を行う場合において、架橋性モノマーと
してカルボニル基含有モノマーを用いた場合には、塗膜
形成時にヒドラジン系化合物の作用により樹脂Aと樹脂
Bとの間にも架橋構造が形成されやすい。
【0045】このようにして本発明の水性塗料組成物に
含まれる水性樹脂分散液を得ることができる。
【0046】さらに、本発明の水性塗料組成物は光輝材
を含んでいる。上記光輝材は、得られる塗膜に美観及び
意匠性を付与するものである。このような光輝材として
は、形状は特に限定されず、また着色されていてもよい
が、例えば、平均粒径(D50)が2〜50μmであり、
かつ厚さが0.1〜5μmである鱗片状光輝材が好まし
い。また、平均粒径が10〜35μmの範囲のものが光
輝感に優れていて更に好ましい。具体的には、アルミニ
ウム、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、スズ、酸化アルミニウ
ム等の金属又は合金等の無着色あるいは着色された金属
製光輝材及びその混合物が挙げられる。この他に干渉マ
イカ顔料、ホワイトマイカ顔料、グラファイト顔料など
もこの中に含まれるものとする。上記光輝材の濃度とし
ては、塗料樹脂固形分(塗料中に含まれる全ての樹脂の
固形分)に対して、一般的に上限18.0重量%であ
り、下限0.01重量%、上限15.0重量%であるこ
とが好ましく、下限0.01重量%、上限13.0重量
%であることが更に好ましい。
【0047】上記光輝材が鱗片状光輝材である場合、本
発明の水性塗料組成物は、更に、リン酸基含有アクリル
樹脂を含有することが好ましい。このリン酸基含有アク
リル樹脂は、下記の一般式(3)で表される重合性不飽
和モノマーとその他の重合性不飽和モノマーとを共重合
して得られるアクリル樹脂である。
【0048】
【化5】
【0049】(式(3)中、Xは水素原子又はメチル
基、Yは炭素数2〜4のアルキレン基、hは3〜30の
整数を表す。)
【0050】上記リン酸基含有アクリル樹脂は、上記鱗
片状光輝材を良好に分散するために使用される。上記リ
ン酸基含有アクリル樹脂は、数平均分子量が下限100
0、上限50000であることが好ましい。上記数平均
分子量が1000未満である場合、鱗片状光輝材の分散
を充分に行うことができない場合があり、数平均分子量
が50000を超える場合、得られる塗膜の外観が悪化
する恐れがある。
【0051】また、上記リン酸基含有アクリル樹脂は、
固形分酸価が下限15、上限200であり、更に、その
酸価のうちリン酸基による酸価が下限10、上限150
であることが好ましい。酸価が15未満である場合、鱗
片状光輝材の分散を充分に行うことができない恐れがあ
り、また、酸価が200を超える場合、水性塗料組成物
の貯蔵安定性が低下する恐れがある。更に、上記リン酸
基含有アクリル樹脂は、硬化性確保のための水酸基価を
有していてもよく、その値は下限20、上限200であ
ることが好ましい。
【0052】上記リン酸基含有アクリル樹脂は、塗料樹
脂固形分100重量部に対し、下限0.01重量部、上
限5重量部含有されていることが好ましく、更に好まし
くは下限0.1重量部、上限4重量部、特に好ましくは
下限0.2重量部、上限3重量部含有される。リン酸基
含有アクリル樹脂の含有量が少なすぎると、塗膜の諸性
能が低下する場合がある。またリン酸基含有アクリル樹
脂の含有量が多すぎると、塗料の貯蔵安定性が悪くな
る。
【0053】上記一般式(3)で表される重合性不飽和
モノマーとしては、例えば、アシッドホスホオキシヘキ
サ(オキシプロピレン)モノメタクリレート、アシッド
ホスホオキシドデカ(オキシプロピレン)モノメタクリ
レート等を挙げることができる。上記その他の重合性不
飽和モノマーは、上記一般式(3)で表される重合性不
飽和モノマーと共重合し得る重合性不飽和モノマーであ
り、2種以上を用いてもよい。また、得られた共重合
体、すなわちアクリル樹脂が硬化剤により硬化し得るた
めに、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基等の酸性基
又は水酸基を有する重合性不飽和モノマーであってもよ
い。
【0054】本発明の水性塗料組成物は、着色成分とし
て金属製の光輝材を含んでいる場合、光輝材に対する腐
食防止剤として、あるいは光輝材のぬれ性を良くし、得
られる複層塗膜の物性を向上するために、アルキル基を
有するリン酸基含有化合物を含むことが好ましい。上記
アルキル基の炭素数としては下限8、上限18であるこ
とが好ましく、下限10、上限14であることが更に好
ましい。上記炭素数が8未満である場合、ぬれ性が低下
して密着性が低下し、18を超える場合、塗料中で化合
物の結晶が析出し、不具合が生じる恐れがある。
【0055】また、上記化合物の親水親油バランスHL
Bは、下限3、上限12であることが好ましく、下限
4、上限8であることが更に好ましい。上記HLBが上
記範囲外である場合、ぬれ性の低下が起こる恐れがあ
る。なお、HLBは、重量分率に基づくグリフィン式:
HLB=20×(MH/M)[式中、MHは親水基部分
の分子量、Mは活性剤の分子量を意味する]から求める
ことができる。また、親水基部分の分子量はリン酸エス
テル、スルホン酸、カルボン酸の分子量を用いて求める
ことができる。
【0056】このような化合物として、具体的には、2
−エチルヘキシルアシッドホスフェート、モノ−又はジ
−ジイソデシルアシッドホスフェート、モノ−又はジ−
トリデシルアシッドホスフェート、モノ−又はジ−ラウ
リルアシッドホスフェート、モノ−又はジ−ノニルフェ
ニルアシッドホスフェート等が挙げられる。
【0057】本発明の水性塗料組成物が上記化合物を含
む場合、上記化合物の含有量は、塗料樹脂固形分に対し
て下限0.1重量%、上限5重量%であることが好まし
く、下限0.2重量%、上限2重量%であることが更に
好ましい。上記含有量が0.1重量%未満である場合、
密着性が低下し、5重量%を超える場合、耐水性が低下
する恐れがある。
【0058】本発明の水性塗料組成物は、上記一般式
(1)又は(2)で表されるウレタン系化合物を含むこ
とができる。このウレタン系化合物を含むことによっ
て、得られる塗膜のフリップフロップ性をさらに向上す
ることができる。ここで、式(1)又は(2)中、
1 、R2 、R3 、R4 、R5 は、互いに同一でも異な
ってもよい炭化水素基を表し、R1 は、ウレタン結合を
有していてもよい炭化水素基を表し、R3 は分岐鎖又は
2級の炭化水素基を表し、nは2以上の数であり、jは
一般式(1)において1以上、一般式(2)において2
以上の数であり、k及びmはそれぞれ1〜500の範囲
内の数である。
【0059】上記一般式(1)で表されるウレタン系化
合物は、例えば、脂肪族系、芳香族系及び脂環族系のR
1 −(NCO)j で表される1種又は2種以上のモノ又
はポリイソシアネートと、HO−(R2 −O)k −R3
で表される1種又は2種以上のポリエーテルモノアルコ
ールとを原料として反応させることによって得ることが
できる。この場合、式中のR1 〜R3 は、上記R1
(NCO)j 及びHO−(R2 −O)k −R3 によって
決定される。
【0060】上記一般式(1)で表されるウレタン系化
合物を得る方法としては、例えば、R1 −(NCO)j
で表されるモノ又はポリイソシアネートと、HO−(R
2 −O)k −R3 で表されるポリエーテルモノアルコー
ルとを、各化合物からの水酸基価とイソシアネート価と
の比が1.05/1〜1.4/1となるように配合し、
通常のポリエーテルとイソシアネートとの反応と同様
に、例えば、80〜90℃で1〜3時間加熱して反応さ
せる方法を挙げることができる。
【0061】上記一般式(2)で表されるウレタン系化
合物は、例えば、上記一般式(1)を得るための原料で
あるR1 −(NCO)j で表されるモノ又はポリイソシ
アネートのうちのjが2以上であるポリイソシアネート
と、HO−(R2 −O)k −R3 で表されるポリエーテ
ルモノアルコールと、更に、R4 −[(O−R5 m
OH]n で表される1種又は2種以上のポリエーテルポ
リオールとを原料として反応させることによって得るこ
とができる。この場合、式中のR1 〜R5 は上記R4
[(O−R5 m −OH]n 、R1 −(NCO)j 、H
O−(R2 −O)k −R3 によって決定される。
【0062】上記R1 −(NCO)j で表されるモノ又
はポリイソシアネートのうちのjが2以上であるポリイ
ソシアネートは、1分子中に2個以上のイソシアネート
基を有するものであり、具体的には、上記一般式(1)
のところで述べたR1 −(NCO)j (式中jは2以上
である)で表されるポリイソシアネートを挙げることが
できる。また、上記HO−(R2 −O)k −R3 で表さ
れるポリエーテルモノアルコールは、分岐鎖又は2級の
1価アルコールのポリエーテルであれば特に限定され
ず、具体的には、上記一般式(1)のところで述べたも
のを挙げることができる。
【0063】上記R4 −[(O−R5 m −OH]n
表されるポリエーテルポリオールとしては、後述するポ
リエーテルポリオールで述べるものを挙げることができ
る。ここで、付加させるアルキレンオキサイドやスチレ
ンオキサイド等によってR5が決定されるが、工業的入
手が容易である点から、炭素数が2〜4のアルキレンオ
キサイド又はスチレンオキサイドであることが好まし
い。付加させるアルキレンオキサイドやスチレンオキサ
イド等は単独重合、2種類以上の重合又はブロック重合
されたものであってもよい。また重合度mは1〜500
であることが好ましく、1〜200であることがより好
ましく、10〜200であることが更に好ましい。ま
た、R5 に占めるエチレン基の割合は、得られる塗膜の
外観の観点から、R5 全体の50〜100重量%である
ことが好ましく、65〜100重量%であることが更に
好ましい。このようなポリエーテルポリオールの分子量
としては、500〜50000であることが好ましく、
1000〜20000であることが更に好ましい。
【0064】上記一般式(2)で表されるウレタン系化
合物を得る方法としては、例えば、上記R1 −(NC
O)j で表される1種又は2種以上のポリイソシアネー
トとHO−(R2 −O)k −R3 で表される1種又は2
種以上のポリエーテルモノアルコールと、R4 −[(O
−R5 m −OH]n で表される1種又は2種以上のポ
リエーテルポリオールとを、各化合物からの水酸基価と
イソシアネート価との比が1.05/1〜1.4/1と
なるように配合し、通常のポリエーテルとイソシアネー
トとの反応と同様に、例えば、80〜90℃で1〜3時
間加熱して反応させる方法を挙げることができる。
【0065】本発明の水性塗料組成物が上記一般式
(1)又は(2)で表されるウレタン系化合物を含む場
合、その含有量は、塗料樹脂固形分に対して、下限0.
01重量%、上限20重量%であり、下限0.1重量
%、上限10重量%であることが好ましい。上記含有量
が0.01重量%未満である場合、得られる塗膜の外観
の向上が不充分であったり、水性塗料組成物が後述の着
色成分として光輝材を含む場合、得られる塗膜のフリッ
プフロップ性の向上が不充分であったり、また、20重
量%を超える場合、得られる塗膜の諸性能が低下する恐
れがある。
【0066】本発明の水性塗料組成物は、更に、ポリエ
ーテルポリオールを含むことができる。このようなポリ
エーテルポリオールは、1分子中に有する1級水酸基が
平均下限0.02個であり、下限0.04個であること
が好ましく、下限1個であることが更に好ましい。上記
1級水酸基が0.02個未満である場合、得られる塗膜
の諸性能が低下する。また、上記ポリエーテルポリオー
ルはこの1級水酸基の他、2級及び3級水酸基を有して
いてもよく、得られる塗膜の諸性能の観点から、これら
を含めた1分子中の全水酸基の個数は3個以上であるこ
とが好ましい。また、上記ポリエーテルポリオールの水
酸基価としては、下限30、上限700であることが好
ましく、下限50、上限500であることが好ましい。
上記水酸基価が上記範囲外である場合、塗料の貯蔵安定
性が低下したり、得られる塗膜の諸性能が低下したりす
る恐れがある。
【0067】また、上記ポリエーテルポリオールの数平
均分子量は、下限300、上限3000であり、下限4
00、上限2000であることが好ましい。上記数平均
分子量が上記範囲外である場合、300未満である場
合、得られる塗膜の諸性能が低下する。なお、上記数平
均分子量は、ポリスチレンを標準とするGPC(ゲルパ
ーミエーションクロマトグラフィ)にて決定することが
できる。
【0068】更に、上記ポリエーテルポリオールの水ト
レランス値は下限2.0であり、下限3.0であること
が好ましい。上記水トレランス値が2.0未満である場
合、塗料の安定性が低下し得られる塗膜の外観が低下す
る。なお、上記水トレランス値とは、親水性の度合を評
価するためのものであり、その値が高いほど親水性が高
いことを意味する。上記水トレランス値の測定方法は、
25℃の条件下で、100mlビーカー内に上記ポリエ
ーテルポリオール0.5gをアセトン10mlに混合し
て分散させ、この混合物にビュレットを用い、イオン交
換水を徐々に加え、この混合物が白濁を生じるまでに要
するイオン交換水の量(ml)を測定する。このイオン
交換水の量(ml)を水トレランス値とする。
【0069】この方法では、例えば、ポリエーテルポリ
オールが疎水性である場合、最初はポリエーテルポリオ
ールとアセトンとが良相溶状態であったものが、少量の
イオン交換水の添加により、不相溶状態となり、測定系
に白濁を生じる。逆に、ポリエーテルポリオールが親水
性である場合、ポリエーテルポリオールの親水性が高い
ものほど白濁を生じるまでに多くのイオン交換水を要す
る。従って、この方法によりポリエーテルポリオールの
親水性/疎水性の度合を測定することができる。
【0070】本発明の水性塗料組成物が上記ポリエーテ
ルポリオールを含む場合、その含有量は、塗料樹脂固形
分中に下限1重量%、上限40重量%であることが好ま
しく、下限3重量%、上限30重量%であることが更に
好ましい。上記含有量が1重量%未満である場合、得ら
れる塗膜の外観が低下し、40重量%を超える場合、得
られる塗膜の諸性能が低下する恐れがある。
【0071】このようなポリエーテルポリオールとして
は、具体的には、活性水素原子含有化合物にアルキレン
オキサイドが付加した化合物を挙げることができる。上
記活性水素原子含有化合物としては、多価アルコール、
多価フェノール、多価カルボン酸類等を挙げることがで
き、例えば、水;1,6−ヘキサンジオール、ネオペン
チルグリコール等の多価アルコール成分や、ジグリセリ
ン、ソルビタン等の4価アルコール;アドニトール、ア
ラビトール、キシリトール、トリグリセリン等の5価ア
ルコール;ジペンタエリスリトール、ソルビトール、マ
ンニトール、イジトール、イノシトール、ダルシトー
ル、タロース、アロース等の6価アルコール;蔗糖等の
8価アルコール;ポリグリセリン等の多価アルコール
類、ピロガロール、ヒドロキノン、フロログルシン等の
多価フェノールやビスフェノールA、ビスフェノールス
ルフォン等のビスフェノール類の多価フェノール類;ア
ジピン酸、無水マレイン酸等の多価カルボン酸成分及び
これらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0072】特に1分子中に有する全水酸基が3個以上
であるポリエーテルポリオールを形成するのに用いられ
る3価以上のアルコールとしては、グリセリン、トリメ
チロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリ
スリトール、ソルビタン、ソルビトール等が好ましい。
【0073】上記アルキレンオキサイドとしては、具体
的には、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、
ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドが挙げら
れ、これらは2種以上を併用することができる。2種以
上を併用する場合の付加形式はブロックもしくはランダ
ムのいずれでもよい。
【0074】このようなポリエーテルポリオールで、市
販されているものとしては、例えば、プライムポールP
X−1000、サンニックスSP−750、PP−40
0(上記いずれも三洋化成工業社製)、PTMG−65
0(三菱化学社製)等を挙げることができる。上記ポリ
エーテルポリオールは、通常アルカリ触媒の存在下、上
記活性水素含有化合物に対して上記アルキレンオキサイ
ドを、常法により常圧又は加圧下、60〜160℃の温
度で付加反応を行うことにより得られる。
【0075】更に、上記ポリエーテルポリオールは、顔
料分散性を向上させるために特開昭59−138269
号公報で示されるように、後述するアミノ樹脂やヒドロ
キシエチルエチレンイミン(例えば、相互薬工の「HE
A」)、2−ヒドロキシプロピル−2−アジリジニルエ
チルカルボキシレート(例えば相互薬工「HPAC」)
などの塩基性物質を変性剤として変性することができ
る。上記変性剤の量は上記ポリエーテルポリオールに対
し1〜10重量%であることが好ましい。上記変性剤の
量が1重量%未満である場合、充分な変性効果が得られ
ず、10重量%を超える場合、変性後のポリエーテルポ
リオールの安定性が悪くなる恐れがある。
【0076】本発明の水性塗料組成物には、必要により
その他の塗膜形成性樹脂を含んでいてもよい。このよう
なものとしては特に限定されず、アクリル樹脂、ポリエ
ステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹
脂等を挙げることができるが、特に、本発明の水性塗料
組成物が鱗片状光輝材を含有する場合、得られる塗膜の
フリップフロップ性を向上させる目的として、ポリエス
テル樹脂及び/又はアルキド樹脂を含むことが好まし
い。
【0077】このようなポリエステル樹脂及びアルキド
樹脂は、数平均分子量が下限3000、上限50000
であることが好ましく、下限3000、上限30000
であることが更に好ましい。上記数平均分子量が300
0未満である場合、塗装作業性及び硬化性が充分でな
く、また、50000を超える場合、塗装時の不揮発分
が低くなりすぎ、逆に塗装作業性が低下する恐れがあ
る。
【0078】また、上記ポリエステル樹脂及びアルキド
樹脂は酸基を有していることが好ましく、樹脂固形分酸
価が下限10、上限100であることが好ましく、下限
20、上限80であることが更に好ましい。上記酸価が
10未満である場合、樹脂の水分散性が低下し、100
を超える場合、得られる塗膜の諸性能が低下する恐れが
ある。また、上記ポリエステル樹脂及びアルキド樹脂は
水酸基を有していることが好ましく、水酸基価が下限1
0、上限180であることが好ましく、下限20、上限
160であることが更に好ましい。上記水酸基価が10
未満である場合、得られる塗膜の硬化性が低下し、18
0を超える場合、得られる塗膜の諸性能が低下する恐れ
がある。このようなポリエステル樹脂及びアルキド樹脂
を得る方法としては特に限定されず、多価カルボン酸成
分及び多価アルコール成分、必要に応じて油脂成分を常
法によって縮重合することで得ることができる。
【0079】上記ポリエステル樹脂及び/又はアルキド
樹脂を含む場合、樹脂固形分の重量を基準にして、上記
水性樹脂分散液/ポリエステル樹脂及びアルキド樹脂の
配合比は、下限5/95、上限95/5であることが好
ましく、下限10/90、上限85/15であることが
より好ましく、下限20/80、上限70/30である
ことが更に好ましい。上記範囲外である場合、塗装時の
タレの抑制や塗膜外観が低下する恐れがある。上記ポリ
エステル樹脂及び/又はアルキド樹脂を配合する場合
は、貯蔵安定性の観点から、予め中和塩基によって水性
媒体中に溶解又は分散した後、行うことが好ましい。
【0080】また、本発明の水性塗料組成物には、硬化
剤を含むことができる。上記硬化剤としては、塗料一般
に用いられているものを挙げることができ、具体的に
は、アミノ樹脂、ブロックイソシアネート、エポキシ化
合物、アジリジン化合物、カルボジイミド化合物、オキ
サゾリン化合物、金属イオン等を挙げることができる
が、得られる塗膜の諸性能、コストの点からアミノ樹脂
及び/又はブロックイソシアネートが好ましい。
【0081】上記硬化剤としてのアミノ樹脂は、特に限
定されるものではなく、水溶性メラミン樹脂あるいは非
水溶性メラミン樹脂を用いることができる。更に、水性
塗料組成物の安定性の観点から、メラミン樹脂のなかで
も水トレランス値が3.0以上のものを用いることが好
ましい。なお、上記水トレランス値は、先のポリエーテ
ルポリオールで述べた方法と同様にして測定することが
できる。
【0082】また、上記ブロックイソシアネートとして
は、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジ
イソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホ
ロンジイソシアネート等のポリイソシアネートに活性水
素を有するブロック剤を付加させることによって得るこ
とができるものであり、加熱によりブロック剤が解離し
てイソシアネート基が発生し、上記樹脂成分中の官能基
と反応し硬化するものを挙げることができる。
【0083】本発明の水性塗料組成物にこれらの硬化剤
が含まれる場合、その含有量は水性塗料組成物中の樹脂
固形分100重量部に対して、硬化性の観点から、下限
20重量部、上限100重量部であることが好ましい。
【0084】本発明の水性塗料組成物は上記成分以外
に、さらに顔料を含んでいてもよい。上記顔料として
は、例えば有機系のアゾキレート系顔料、不溶性アゾ系
顔料、縮合アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、インジ
ゴ顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、ジオキサン
系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔
料、金属錯体顔料等が挙げられ、無機系では黄鉛、黄色
酸化鉄、ベンガラ、カーボンブラック、二酸化チタン等
の着色顔料やタルク、クレー、硫酸バリウム、炭酸カル
シウム等の体質顔料を挙げることができる。
【0085】上記水性塗料組成物に含まれる固形分中の
上記顔料の濃度としては、下限0.1重量%、上限50
重量%であることが好ましく、下限0.5重量%、上限
40重量%であることがより好ましく、下限1.0、上
限30重量%であることが更に好ましい。
【0086】本発明の水性塗料組成物中には、上記成分
の他に塗料に通常添加される添加剤、例えば、表面調整
剤、増粘剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、消泡剤等を配
合してもよい。これらの配合量は当業者の公知の範囲で
ある。本発明の水性塗料組成物の製造方法は、特に限定
されず、顔料等の配合物をニーダーやロール等を用いて
混練、サンドグラインドミルやディスパー等を用いて分
散する等の当業者に周知の全ての方法を用いることがで
きる。
【0087】次に、本発明の複層塗膜形成方法について
説明する。本発明の複層塗膜形成方法は、必要により電
着塗膜及び中塗り塗膜を形成した被塗装物に対して水性
ベース塗料を塗装し、その上にクリアー塗料を塗装した
後、加熱硬化することによって複層塗膜を形成する方法
であって、上記水性ベース塗料が、先の水性塗料組成物
であることを特徴とするものである。
【0088】上記被塗装物としては、種々の基材、例え
ば金属成型品、プラスチック成型品、発泡体等に用いる
ことができるが、カチオン電着塗装可能な金属成型品に
対して適用することが好ましい。上記金属成型品として
は、例えば、鉄、銅、アルミニウム、スズ、亜鉛等及び
これらの金属を含む合金による板、成型物を挙げること
ができ、具体的には、乗用車、トラック、オートバイ、
バス等の自動車車体及び部品を挙げることができる。こ
れらの金属は予めリン酸塩、クロム酸塩等で化成処理さ
れていることが好ましい。
【0089】上記化成処理された金属成型品上に電着塗
膜が形成されていてもよい。このような電着塗料として
は、カチオン型及びアニオン型を使用できるが、防食性
の観点から、カチオン型電着塗料であることが好まし
い。
【0090】上記プラスチック成型品としては、ポリプ
ロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ウレタン樹脂、
ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、塩
化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂等による板、成型物等を
挙げることができ、具体的には、スポイラー、バンパ
ー、ミラーカバー、グリル、ドアノブ等の自動車部品等
を挙げることができる。更に、これらのプラスチック成
型品は、トリクロロエタンで蒸気洗浄又は中性洗剤で洗
浄されたものが好ましい。また、更に静電塗装を可能に
するためのプライマー塗装が施されていてもよい。
【0091】上記基材上には更に必要に応じて、中塗り
塗膜が形成されていてもよい。中塗り塗膜の形成には中
塗り塗料が用いられる。この中塗り塗料には、塗膜形成
性樹脂、硬化剤、有機系や無機系の各種着色成分及び体
質顔料等が含有される。上記塗膜形成性樹脂及び硬化剤
は、特に限定されるものではなく、具体的には、先の水
性塗料組成物のところで挙げた塗膜形成性樹脂及び硬化
剤を挙げることができ、組み合わせて用いられるもので
ある。得られる中塗り塗膜の諸性能及びコストの観点か
ら、アクリル樹脂及び/又はポリエステル樹脂と、アミ
ノ樹脂及び/又はイソシアネートとが組み合わせて用い
られる。
【0092】上記中塗り塗料に含まれる着色成分として
は、先の水性塗料組成物で述べたものを挙げることがで
きる。一般的には、カーボンブラックと二酸化チタンと
を主としたグレー系中塗り塗料や上塗りとの色相を合わ
せたセットグレーや各種の着色成分を組み合わせた、い
わゆるカラー中塗り塗料を用いることが好ましい。更
に、アルミニウム粉、マイカ粉等の扁平顔料を添加して
もよい。これらの中塗り塗料中には、上記成分の他に塗
料に通常添加される添加剤、例えば、表面調整剤、酸化
防止剤、消泡剤等を配合してもよい。
【0093】また、本発明の複層塗膜形成方法において
用いられる上記クリアー塗料としては、特に限定され
ず、塗膜形成性樹脂及び硬化剤等を含有するクリアー塗
料を利用できる。更に下地の意匠性を妨げない程度であ
れば着色成分を含有することもできる。このクリアー塗
料の形態としては、溶剤型、水性型及び粉体型のものを
挙げることができる。
【0094】上記溶剤型クリアー塗料の好ましい例とし
ては、透明性あるいは耐酸エッチング性等の点から、ア
クリル樹脂及び/又はポリエステル樹脂と、アミノ樹脂
及び/又はイソシアネートとの組合わせ、あるいはカル
ボン酸/エポキシ硬化系を有するアクリル樹脂及び/又
はポリエステル樹脂等が挙げられる。
【0095】また、上記水性型クリアー塗料の例として
は、上記溶剤型クリアー塗料の例として挙げたものに含
有される塗膜形成性樹脂を、塩基で中和して水性化した
樹脂を含有するものが挙げることができる。この中和は
重合の前又は後に、ジメチルエタノールアミン及びトリ
エチルアミンのような3級アミンを添加することにより
行うことができる。
【0096】一方、粉体型クリアー塗料としては、熱可
塑性及び熱硬化性粉体塗料のような通常の粉体塗料を用
い得ることができる。良好な物性の塗膜が得られるた
め、熱硬化性粉体塗料が好ましい。熱硬化性粉体塗料の
具体的なものとしては、エポキシ系、アクリル系及びポ
リエステル系の粉体クリアー塗料等が挙げられるが、耐
候性が良好なアクリル系粉体クリアー塗料が特に好まし
い。
【0097】更に、上記クリアー塗料には、塗装作業性
を確保するために、粘性制御剤が添加されていることが
好ましい。粘性制御剤は、当業者によってよく知られて
いる、一般にチクソトロピー性を示すものを使用でき
る。
【0098】本発明の複層塗膜形成方法において、被塗
装物上に水性ベース塗料として用いられる先の水性塗料
組成物を塗装して形成されるベース塗膜は、被塗装物に
美観、意匠性を付与するものである。
【0099】自動車車体に対して、上記水性ベース塗料
を塗装する方法としては、外観向上の観点から、エアー
静電スプレー塗装による多ステージ塗装、好ましくは2
ステージで塗装するか、あるいは、エアー静電スプレー
塗装と、メタリックベルと言われる回転霧化式の静電塗
装機とを組み合わせた塗装方法を挙げることができる。
【0100】本発明の複層塗膜形成方法における水性ベ
ース塗料による塗装時の塗膜の膜厚は、所望の用途によ
り変化するが、一般的には乾燥膜厚で10〜30μmで
あることが好ましい。上記乾燥膜厚が10μm未満であ
る場合、下地を隠蔽することができず膜切れが発生し、
30μmを超える場合、鮮映性が低下したり、塗装時に
ムラあるいはタレ等の不具合が起こる恐れがある。
【0101】本発明の複層塗膜形成方法では、この水性
ベース塗料を塗装して得られるベース塗膜を焼き付けた
後、その上にクリアー塗料を塗装してもよいが、未硬化
のベース塗膜の上に更にクリアー塗料を塗装し、クリア
ー塗膜を形成することによって、ベース塗膜の焼き付け
乾燥工程を省略することができ、経済性及び環境面から
も好ましい。なお、良好な仕上がり塗膜を得るために、
クリアー塗料を塗装する前に、未硬化のベース塗膜を4
0〜100℃で2〜10分間加熱しておくことが望まし
い。
【0102】本発明の複層塗膜形成方法において、上記
ベース塗膜を形成した後に塗装されるクリアー塗膜は、
上記ベース塗膜に起因する凹凸、チカチカ等を平滑に
し、保護し、更に美観を与えるものである。上記ベース
塗膜に対して、先のクリアー塗料を塗装する方法として
は、具体的には、マイクロマイクロベル、マイクロベル
と呼ばれる回転霧化式の静電塗装機による塗装方法を挙
げることができる。
【0103】上記クリアー塗料を塗装することによって
形成されるクリアー塗膜の乾燥膜厚は、一般に10〜8
0μm程度が好ましく、20〜60μm程度であること
がより好ましい。上記乾燥膜厚が10μm未満である場
合、下地の凹凸を隠蔽することができず、80μmを超
えると塗装時にワキあるいはタレ等の不具合が起こる恐
れがある。
【0104】このようにして形成されたクリアー塗膜
は、先に述べたように未硬化のベース塗膜とともに焼き
付ける、いわゆる2コート1ベークによって塗膜形成を
行うことが好ましい。上記焼き付け温度は、架橋密度及
び得られる複層塗膜の物性の観点から、80〜180℃
に設定されていることが好ましく、120〜160℃に
設定されていることが更に好ましい。焼き付け時間は焼
き付け温度に応じて任意に設定することができるが、焼
き付け温度120℃〜160℃で焼き付け時間10〜3
0分であることが適当である。
【0105】本発明の複層塗膜形成方法によって形成さ
れる複層塗膜の膜厚は、一般的には30〜300μmで
あり、50〜250μmであることが好ましい。上記膜
厚が30μm未満である場合、膜自体の強度が低下し、
300μmを超える場合、冷熱サイクル等の膜物性が低
下する恐れがある。
【0106】
【実施例】以下に実施例により本発明をさらに詳しく説
明するが、本発明はこれらにより限定されるものではな
い。以下において、「部」及び「%」は特に断りのない
限り、すべて重量基準である。
【0107】[製造例1:水性樹脂分散液1の製造]ま
ず、反応容器に水350部を仕込み、75℃に昇温し
た。重合開始剤としてAPS(過硫酸アンモニウム)
0.5部を仕込み、攪拌しながらメタクリル酸メチル3
5.0部、アクリル酸エチル65.0部、アクリル酸2
−ヒドロキシエチル15.0部及びアクリル酸10.0
部からなるモノマー混合液A(酸価63、水酸基価5
8)を5時間にわたって滴下した。モノマーの滴下と併
行して、APS 0.3部を水5部に溶解した水溶液を
滴下した。滴下終了後、さらに80℃で2時間反応を継
続して乳化重合用水溶液樹脂を得た。
【0108】次に、反応容器に上記乳化重合用水溶液樹
脂360部、水400部及びニューコール293(日本
乳化剤社製)1部を仕込み、加熱、攪拌して75℃に達
してから、メタクリル酸メチル115.0部、アクリル
酸n−ブチル80.0部、アクリル酸2−ヒドロキシエ
チル15.0部及びアクリル酸1.0部からなるモノマ
ー混合液B(酸価4、水酸基価34)の5重量%と過硫
酸アンモニウム0.5部を水5部に溶かして投入し、2
0分間攪拌した。ついでモノマー混合液Bの残部95重
量%を、80℃で、2時間にわたって滴下し、滴下終了
後さらに80〜85℃に1時間保持した後、冷却した。
【0109】冷却後、ジメチルアミノエタノール3部と
水30部の混合液を投入し、不揮発分30重量%の水性
樹脂分散液1を得た。
【0110】[製造例2:水溶性アクリル樹脂の製造]
反応容器にジプロピレングリコールメチルエーテル2
3.9部及びプロピレングリコールメチルエーテル1
6.1部を加え、窒素気流中で混合攪拌しながら120
℃に昇温した。次いで、アクリル酸エチル54.5部、
メタクリル酸メチル12.5部、アクリル酸2−ヒドロ
キシエチル14.7部、スチレン10.0部及びメタク
リル酸8.5部の混合溶液と、ジプロピレングリコール
メチルエーテル10.0部及びt−ブチルパーオキシ−
2−エチルヘキサノエート2.0部からなる開始剤溶液
とを3時間にわたり並行して反応容器に滴下した。滴下
終了後、0.5時間同温度で熟成を行った。
【0111】更に、ジプロピレングリコールメチルエー
テル5.0部及びt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘ
キサノエート0.3部からなる開始剤溶液を0.5時間
にわたり反応容器に滴下した。滴下終了後、1時間同温
度で熟成を行った。
【0112】次いで、脱溶剤装置により、減圧下(70
Torr)110℃で溶剤を16.1部留去した後、イ
オン交換水187.2部及びジメチルアミノエタノール
8.8部を加えて、不揮発分は31%、重量平均分子量
が27000、数平均分子量が9000、固形分酸価5
6、水酸基価70の水溶性アクリル樹脂を得た。
【0113】[製造例3:リン酸基含有アクリル樹脂の
製造]反応容器にメトキシプロパノール23部を加え、
窒素気流中で混合攪拌しながら120℃に昇温した。次
いで、メトキシプロパノール7部に、ホスマーPP(ユ
ニケミカル社製アシッドホスホオキシヘキサ(オキシプ
ロピレン)モノメタクリレート)15部を溶解した溶液
22部と、アクリル酸2−エチルヘキシル12.3部、
メタクリル酸2−ヒドロキシエチル7.0部、メタクリ
ル酸ラウリル7.5部、スチレン4.4部及びメタクリ
ル酸3.8部の混合溶液と、メトキシプロパノール4.
5部及びアゾビスイソブチロニトリル0.9部からなる
開始剤溶液とを3時間にわたり並行して反応容器に滴下
した。滴下終了後、0.5時間同温度で熟成を行った。
【0114】更にメトキシプロパノール0.5部及びア
ゾビスイソブチロニトリル0.5部からなる開始剤溶液
を0.5時間にわたり反応容器に滴下した。滴下終了
後、1.5時間同温度で熟成を行った後、メトキシプロ
パノール13.7部を加え、不揮発分は50%、固形分
酸価61、水酸基価60、数平均分子量5000のリン
酸基含有アクリル樹脂を得た。
【0115】[製造例4:光輝材ペーストの調製]2−
エチルヘキサノール40部にアルペーストMH8801
(旭化成社製アルミニウム顔料ペースト)21部を溶解
し、次に卓上ディスパーで攪拌しながら、プライムポー
ルPX−1000(三洋化成社製2官能ポリエーテルポ
リオール)10部、製造例3で得られたリン酸基含有ア
クリル樹脂5部及びラウリルアシッドフォスフェート
0.3部を徐々に添加し、アルミニウムを含有した光輝
材ペーストを得た。
【0116】[実施例1]製造例1で得られた水性樹脂
分散液1を200.0部、製造例2で得られた水溶性ア
クリル樹脂を32.3部、製造例4で得られた光輝材ペ
ーストを66.3部、サイメル204を25.3部、ア
デカノールSDX−1014(旭電化社製ウレタン系化
合物、有効成分30重量%)を1.7部、及び2−エチ
ルヘキサノール40部を混合攪拌し、10重量%ジメチ
ルアミノエタノール水溶液を加えpH=8に調整し、均
一分散した水性塗料組成物1を得た。この塗料をイオン
交換水を用いて45秒(No.4フォードカップを使用
し、20℃で測定)に希釈した。
【0117】リン酸亜鉛処理した300×400×0.
8mmのダル鋼板に、パワートップU−50(日本ペイ
ント社製カチオン電着塗料)を乾燥膜厚が20μmとな
るように電着塗装し、160℃で30分間焼き付けた塗
板に、25秒(No.4フォードカップを使用し、20
℃で測定)に予め希釈されたオルガP−2(日本ペイン
ト社製メラミン硬化型ポリエステル樹脂系グレー中塗り
塗料)を、乾燥膜厚35μmとなるようにエアスプレー
で2ステージ塗装し、140℃で30分間焼き付けた後
冷却して、電着基板を得た。
【0118】電着基板に先の水性塗料組成物1を、室温
25℃、湿度85%の条件下で、乾燥膜厚15μmとな
るようにCOPES−IV型(ABBインダストリー社
製水系塗料塗装用回転霧化式静電塗装機)で2ステージ
塗装した。2回の塗布の間に、1.5分間のインターバ
ルセッティングを行った。2回目の塗布後、5分間のイ
ンターバルをとって、セッティングを行った。その後、
80℃で3分間のプレヒートを行った。
【0119】プレヒート後、塗装板を室温まで放冷し、
クリアー塗料としてオルガTO−563クリアー(日本
ペイント社製メラミン硬化型アクリル樹脂系クリアー塗
料)を、乾燥膜厚40μmとなるようにマイクロマイク
ロベル(ABBランズバーグ社製回転霧化式静電塗装
機)にて1ステージ塗装し、7分間セッティングした。
更に、得られた塗装板を熱風乾燥炉にて140℃で30
分間焼き付けして、基板上に複層塗膜を得た。
【0120】[製造例5〜9:水性樹脂分散液2〜6の
製造]重合性不飽和モノマー混合液A及び重合性不飽和
モノマー混合液Bの配合を、それぞれ表1の配合とした
こと以外は製造例1と同様にして、水性樹脂分散液2〜
6を得た。各モノマー混合液の酸価及び水酸基価は表1
に示した。
【0121】[実施例2〜6]水性樹脂分散液1の代わ
りに、それぞれ水性樹脂分散液2〜6を用いたこと以外
は実施例1と同様にして、水性塗料組成物2〜6を得
た。また、実施例1と同様にして希釈した。さらに、実
施例1と同様に塗装して、複層塗膜を得た。
【0122】[製造例10:水性樹脂分散液7の製造]
イオン交換水130.0部を仕込んだ反応容器に、アデ
カリアソープNE−20(旭電化社製α−{1−[(ア
リルオキシ)メチル]−2−(ノニルフェノキシ)エチ
ル}−ω−ヒドロキシオキシエチレン、固形分80重量
%水溶液)0.2部と、アクアロンHS−10(第一工
業製薬社製ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェ
ニルエーテル硫酸エステル)0.2部とを加え、窒素気
流中で混合攪拌しながら80℃に昇温した。次いで、メ
タクリル酸メチル115.0部、アクリル酸n−ブチル
80.0部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル15.0
部、アクリル酸1.0部、アデカリアソープNE−20
を0.3部、アクアロンHS−10を0.2部、及びイ
オン交換水70部からなる第1段目の重合性不飽和モノ
マー混合液(酸価4、水酸基価34)と、過硫酸アンモ
ニウム0.2部及びイオン交換水7部からなる開始剤溶
液とを2時間にわたり並行して反応容器に滴下した。滴
下終了後、1時間同温度で熟成を行った。
【0123】更に、80℃で、メタクリル酸メチル3
5.0部、アクリル酸エチル65.0部、アクリル酸2
−ヒドロキシエチル15.0部、アクリル酸10.0
部、アクアロンHS−10を0.3部、及びイオン交換
水30部からなる第2段目の重合性不飽和モノマー混合
液(酸価63、水酸基価58)と、過硫酸アンモニウム
0.1部及びイオン交換水3部からなる開始剤溶液とを
0.5時間にわたり並行して反応容器に滴下した。滴下
終了後、2時間同温度で熟成を行った。
【0124】次いで、40℃まで冷却し、400メッシ
ュフィルターで濾過した。更に10重量%ジメチルアミ
ノエタノール水溶液を加えpH7に調整し、不揮発性分
30%の水性樹脂分散液7を得た。
【0125】[製造例11〜15:水性樹脂分散液8〜
12の製造]第1段目及び第2段目の重合性不飽和モノ
マー混合液の配合を、表2の配合としたこと以外は製造
例1と同様にして、水性樹脂分散液8〜12を得た。各
モノマー混合液の酸価及び水酸基価は表2に示した。
【0126】[比較例1〜6]水性樹脂分散液1の代わ
りに、それぞれ水性樹脂分散液7〜12を用いたこと以
外は実施例1と同様にして、水性塗料組成物7〜12を
得た。また、実施例1と同様にして希釈した。さらに、
同様に塗装して、複層塗膜を得た。
【0127】(評価試験)実施例1〜6及び比較例1〜
6で得られた複層塗膜について、IVメーター(関西ペ
イント社製)を用いてIV値を測定し、塗膜のフリップ
フロップ性を評価した。220以上を合格とした。ま
た、各複層塗膜の外観を目視にて評価したところ、いず
れも良好であった。
【0128】
【表1】
【0129】
【表2】
【0130】表1及び2より、実施例1〜6の水性塗料
組成物はいずれも、所定の工程によって合成される水性
樹脂分散液を含んでいるので、目視外観が良好で、かつ
得られる塗膜のフリップフロップ性が極めて高いことが
わかった。しかしながら、従来の一般的な乳化重合法に
よって得られる水性樹脂分散液を用いた場合は、フリッ
プフロップ性が不充分であることがわかった。
【0131】[製造例16:水性樹脂分散液13の製
造]まず、反応容器に水350部を仕込み、75℃に昇
温した。重合開始剤としてAPS(過硫酸アンモニウ
ム)0.5部を仕込み、攪拌しながらメタクリル酸メチ
ル35.0部、アクリル酸エチル65.0部、アクリル
酸2−ヒドロキシエチル15.0部及びアクリル酸1
0.0部からなるモノマー混合液A(酸価63、水酸基
価58)を5時間にわたって滴下した。モノマーの滴下
と併行して、APS 0.3部を水5部に溶解した水溶
液を滴下した。滴下終了後、さらに80℃で2時間反応
を継続して乳化重合用水溶液樹脂を得た。
【0132】次に、反応容器に上記乳化重合用水溶液樹
脂360部、水400部及びニューコール293(日本
乳化剤社製)1部を仕込み、加熱、攪拌して75℃に達
してから、メタクリル酸メチル112.0部、アクリル
酸n−ブチル77.0部、ジアセトンアクリルアミド
6.0部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル15.0部
及びアクリル酸1.0部からなるモノマー混合液B(酸
価4、水酸基価34)の5重量%と過硫酸アンモニウム
0.5部を水5部に溶かして投入し、20分間攪拌し
た。ついでモノマー混合液Bの残部95重量%を、80
℃で、2時間にわたって滴下し、滴下終了後さらに80
〜85℃に1時間保持した後、冷却した。
【0133】冷却後、ジメチルアミノエタノール3部と
水30部の混合液を投入し、さらにアジピン酸ジヒドラ
ジド3部を投入し、不揮発分30重量%の水性樹脂分散
液13を得た。
【0134】[製造例17:水性樹脂分散液14の製
造]重合性不飽和モノマー混合液Bの配合を表3に示す
ように変更し、アジピン酸ジヒドラジドの投入量を5部
とした以外は、製造例16と同様にして、水性樹脂分散
液14を得た。モノマー混合液Bの酸価及び水酸基価は
表3に示した。
【0135】[製造例18〜22:水性樹脂分散液15
〜19の製造]重合性不飽和モノマー混合液Bの配合を
それぞれ表3に示すように変更し、アジピン酸ジヒドラ
ジドを投入しなかった以外は、製造例16と同様にし
て、水性樹脂分散液15〜19を得た。各モノマー混合
液Bの酸価及び水酸基価は表3に示した。
【0136】[実施例7〜13]水性樹脂分散液1の代
わりに、それぞれ水性樹脂分散液13〜19を用いたこ
と以外は実施例1と同様にして、水性塗料組成物13〜
19を得た。また、実施例1と同様にして希釈した。さ
らに、実施例1と同様に塗装して、複層塗膜を得た。
【0137】実施例7〜13で得られた複層塗膜につい
て、IVメーター(関西ペイント社製)を用いてIV値
を測定し、塗膜のフリップフロップ性を評価した。22
0以上を合格とした。また、各複層塗膜の外観を目視に
て評価したところ、いずれも良好であった。
【0138】
【表3】
【0139】表3中の略号については、次の通りであ
る。その他の略号は、表1及び表2におけるのと同一で
ある。 DAAAm:ジアセトンアクリルアミド KBM−502:信越化学工業(株)製、アルコキシシ
リル基含有モノマー KBM−503:信越化学工業(株)製、アルコキシシ
リル基含有モノマー N−MAM:N−メチロールアクリルアミド GMA:グリシジルメタクリレート
【0140】表3より、実施例7〜13の水性塗料組成
物はいずれも、所定の工程によって合成される水性樹脂
分散液を含んでいるので、目視外観が良好で、かつ、得
られる塗膜のフリップフロップ性が極めて高いことがわ
かった。特に、架橋性モノマーとして、ジアセトンアク
リルアミド又は加水分解性シリル基含有モノマーを用い
た実施例7〜11の塗膜は、非常に良好な外観を示し
た。
【0141】
【発明の効果】本発明の水性塗料組成物は、所定の工程
によって合成される水性樹脂分散液を含んでいるため、
得られた塗膜のフリップフロップ性が高くなる。
【0142】さらに、本発明によれば、乳化重合用樹脂
及び/又はコア樹脂の調製において、共重合成分として
架橋性モノマーを用いることにより、優れた耐溶剤性を
塗膜に付与できる。その結果、非常に良好な外観を有す
る複層塗膜が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 5/00 C09D 5/00 Z (72)発明者 妹尾 親治 大阪府寝屋川市池田中町19番17号 日本ペ イント株式会社内 (72)発明者 西 忠彦 大阪府寝屋川市池田中町19番17号 日本ペ イント株式会社内 Fターム(参考) 4J011 HA02 HB14 KA15 KB14 KB19 KB29 4J038 CC021 CG141 CG161 CG171 DF001 DF012 DG001 GA08 HA036 HA066 HA546 KA08 KA18 MA03 MA08 MA10 PA07 PA19 PB07

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸価が30〜150で、水酸基価が10
    〜100であるモノマー混合液Aを水中で水溶液重合し
    て乳化重合用水溶液樹脂を得た後、 前記乳化重合用水溶液樹脂を保護コロイドとして用い、
    酸価が上限20で、水酸基価が上限100であるモノマ
    ー混合液Bを乳化重合して前記保護コロイド中にコア樹
    脂を合成することによって得られる水性樹脂分散液と、 光輝材とを含んでいることを特徴とする水性塗料組成
    物。
  2. 【請求項2】 さらに、一般式(1)又は(2): 【化1】 (式(1)中、R1 、R2 及びR3 は、互いに同一でも
    異なってもよい炭化水素基を表し、R1 は、ウレタン結
    合を有していてもよい炭化水素基を表し、R3 は分岐鎖
    又は2級の炭化水素基を表し、jは1以上の数であり、
    kは1〜500の範囲内の数である。) 【化2】 (式(2)中、R1 、R2 、R3 、R4 及びR5 は、互
    いに同一でも異なってもよい炭化水素基を表し、R
    1 は、ウレタン結合を有していてもよい炭化水素基を表
    し、R3 は分岐鎖又は2級の炭化水素基を表し、nは2
    以上の数であり、jは2以上の数であり、k及びmはそ
    れぞれ1〜500の範囲内の数である。)で表されるウ
    レタン系化合物の少なくとも1種を含有し、前記ウレタ
    ン系化合物の含有量は、塗料組成物中の樹脂固形分に対
    して、固形分で0.01〜20重量%である、請求項1
    に記載の水性塗料組成物。
  3. 【請求項3】 前記モノマー混合液A及びモノマー混合
    液Bはそれぞれ、(メタ)アクリル酸エステル類、スチ
    レン系モノマー、(メタ)アクリロニトリル及び(メ
    タ)アクリルアミドからなる群から選ばれる少なくとも
    1種の重合性不飽和モノマーを含んでいる、請求項1又
    は2に記載の水性塗料組成物。
  4. 【請求項4】 前記モノマー混合液Aの重量Awと、前
    記モノマー混合液Bの重量Bwとは、10/100≦A
    w/(Aw+Bw)≦50/100の関係を満たすもの
    である、請求項1〜3のうちのいずれか1項に記載の水
    性塗料組成物。
  5. 【請求項5】 前記モノマー混合液Aは、共重合成分と
    してさらに架橋性モノマーを含んでいる、請求項1〜4
    のうちのいずれか1項に記載の水性塗料組成物。
  6. 【請求項6】 前記モノマー混合液Bは、共重合成分と
    してさらに架橋性モノマーを含んでいる、請求項1〜5
    のうちのいずれか1項に記載の水性塗料組成物。
  7. 【請求項7】 さらに、1分子中に有する1級水酸基が
    平均0.02個以上であり、数平均分子量300〜30
    00であり、水トレランス値が2.0以上であるポリエ
    ーテルポリオールを含んでいる、請求項1〜6のうちの
    いずれか1項に記載の水性塗料組成物。
  8. 【請求項8】 前記ポリエーテルポリオールは、1分子
    中に1級水酸基を少なくとも1つ有し、かつ水酸基価が
    30〜700である、請求項7に記載の水性塗料組成
    物。
  9. 【請求項9】 被塗装物に対して水性ベース塗料を塗装
    し、その上にクリアー塗料を塗装した後、加熱硬化する
    ことによって複層塗膜を形成する方法であって、 前記水性ベース塗料は、請求項1〜8のうちのいずれか
    1つに記載の水性塗料組成物であることを特徴とする複
    層塗膜形成方法。
  10. 【請求項10】 請求項9に記載の方法によって形成さ
    れた複層塗膜。
JP2002186794A 2002-01-25 2002-06-26 水性塗料組成物及び複層塗膜形成方法 Pending JP2003286450A (ja)

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