JP2003286348A - 樹脂複合材料の製造方法 - Google Patents

樹脂複合材料の製造方法

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JP2003286348A
JP2003286348A JP2002092290A JP2002092290A JP2003286348A JP 2003286348 A JP2003286348 A JP 2003286348A JP 2002092290 A JP2002092290 A JP 2002092290A JP 2002092290 A JP2002092290 A JP 2002092290A JP 2003286348 A JP2003286348 A JP 2003286348A
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clay mineral
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JP2002092290A
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English (en)
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Mitsumasa Matsushita
光正 松下
Makoto Kato
誠 加藤
Kenzo Fukumori
健三 福森
Hirotaka Okamoto
浩孝 岡本
Norio Sato
紀夫 佐藤
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Toyota Central R&D Labs Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 層状粘土鉱物に対する親和性が低い樹脂を用
いる場合であっても、クレイ分散剤を使用せずに層状粘
土鉱物を樹脂中に均一に且つ微細に分散することが可能
な樹脂複合材料の製造方法を提供すること。 【解決手段】 本発明の樹脂複合材料の製造方法は、樹
脂と層状粘土鉱物とを混練するに際し、層状粘土鉱物の
層間イオンの少なくとも一部をプロトン又は水酸化物イ
オンに置換することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、樹脂複合材料の製
造方法に関するものであり、詳しくは、樹脂と層状粘土
鉱物(クレイ)との複合材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、樹脂に層状粘土鉱物を混合して樹
脂の特性を改良することが行われている。しかし、樹脂
と層状粘土鉱物とは親和性が低いため、両者の分散、混
合する際には種々の改良策が講じられている。
【0003】例えば特開平11−310643号公報に
は、水又はプロトン供与体を含む溶媒と、クレイと、熱
可塑性樹脂とを、熱可塑性樹脂の溶融温度以上の温度で
接触させる樹脂複合材料の製造方法が開示されている。
また、特開2000−239397号公報には、上記公
報記載の製造方法において、原料混合物にクレイ分散剤
をさらに添加する製造方法が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記特
開平11−310643号公報に記載の製造方法におい
ては、層状粘土鉱物との親和性が比較的高いナイロン6
やポリフェニレンスルフィド等に対して層状粘土鉱物を
分散させることはできるが、層状粘土鉱物との親和性が
低いポリプロピレン等をベースにして樹脂材料を製造す
る場合には分散性が不十分となることがあった。
【0005】また、上記特開2000−239397号
公報に記載の製造方法では、層状粘土鉱物分散剤の添加
により層状粘土鉱物と樹脂との相溶性の改善が図られて
いるが、クレイ分散剤の使用は製造コストの点から必ず
しも好ましいとは言えない。
【0006】本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑
みてなされたものであり、層状粘土鉱物に対する親和性
が低い樹脂を用いる場合であっても、クレイ分散剤を使
用せずに層状粘土鉱物を樹脂中に均一に且つ微細に分散
することが可能な樹脂複合材料の製造方法を提供するこ
とを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の樹脂複合材料の製造方法は、樹脂と層状粘
土鉱物とを混練するに際し、層状粘土鉱物の層間イオン
の少なくとも一部をプロトン又は水酸化物イオンに置換
することを特徴とする。
【0008】本発明の製造方法では、樹脂と層状粘土鉱
物とを混練する際に、層状粘土鉱物の層間イオンの少な
くとも一部をプロトン又は水酸化物イオンに置換するこ
とによって、層状粘土鉱物の層間の化学的結合力が十分
に低減されるので、層状粘土鉱物の凝集を防止すると共
に、混練する際のせん断力により層状粘土鉱物の樹脂中
への微細分散化を促進することが可能となる。
【0009】本発明の樹脂複合材料の製造方法は、層状
粘土鉱物を水又はプロトン供与体を含む溶媒に加えて膨
潤化させる膨潤化工程と、膨潤化工程で得られる層状粘
土鉱物をイオン交換体と混合し、層状粘土鉱物の層間イ
オンの少なくとも一部をプロトン又は水酸化物イオンに
置換するイオン交換工程と、イオン交換工程で得られる
層状粘土鉱物と、樹脂とを混練する混練工程とを含むこ
とを特徴としてもよい。上記の膨潤化工程により層状粘
土鉱物の層間に水又はプロトン供与体が介入し、層状粘
土鉱物の層間距離が広がり層状粘土鉱物の層間の化学的
結合力が弱められる。従って、その後のイオン交換工程
において層間イオンのプロトン又は水酸化物イオンへの
イオン交換を効率よく且つ確実に行うことができ、その
結果、混練工程における層状粘土鉱物の凝集防止効果及
び微細分散促進効果を高めることができる。
【0010】また、本発明の樹脂複合材料の製造方法
は、層状粘土鉱物を水又はプロトン供与体を含む溶媒に
加えて膨潤化させる膨潤化工程と、膨潤化工程で得られ
る層状粘土鉱物と、イオン交換体と、樹脂とを混練する
混練工程とを含むことを特徴としてもよい。これによ
り、層状粘土鉱物の層間距離が広がり層状粘土鉱物の層
間の化学的結合力が弱められ、層状粘土鉱物の凝集防止
効果及び微細分散促進効果を高めることができる点は上
記の製造方法と同様である。さらに、イオン交換と混練
とを混練工程において行うことによって、製造工程の簡
便性をより高めることができる。
【0011】また、本発明の樹脂複合材料の製造方法
は、層状粘土鉱物と、水又はプロトン供与体を含む溶媒
と、イオン交換体と、樹脂とを混練する混練工程を含む
ことを特徴としてもよい。これにより、層状粘土鉱物の
層間距離が広がり層状粘土鉱物の層間の化学的結合力が
弱められ、層状粘土鉱物の凝集防止効果及び微細分散促
進効果を高めることができる点は上記の製造方法と同様
である。さらに、層状粘土鉱物の膨潤化、イオン交換及
び混練を混練工程において行うことによって、製造工程
の簡便性をさらに高めることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施形態に
ついて詳細に説明する。
【0013】本発明において用いられる樹脂は、熱可塑
性樹脂、熱硬化性樹脂、水溶性高分子のいずれであって
もよく、これらの2種以上を組み合わせて用いてもよ
い。
【0014】熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポ
リプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、
ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレ
ート、ポリスチレン、ABS樹脂(アクリロニトリル−
ブタジエン−スチレン共重合樹脂)、AS樹脂(アクリ
ロニトリル−スチレン共重合樹脂)ポリメチルメタクリ
レート、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネー
ト、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテ
ル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルフォン、ポ
リエーテルサルフォン、ポリアミドイミド、ポリエーテ
ルイミド、酢酸セルロース、エチルセルロース等のセル
ロースプラスチック、ジアリルフタレート樹脂、エチレ
ン酢酸ビニル共重合樹脂、液晶プラスチック、ポリメチ
ルペンテン、生分解性樹脂、熱可塑性ポリイミド、天然
ゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、スチレンゴ
ム、ニトリルゴム、エチレン−プロピレンゴム、ブタジ
エンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブチルゴム、エ
ピクロルヒドリンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、
フッ素ゴム、シリコーンゴム、さらにはスチレン−ブタ
ジエン系、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリウ
レタン系、ポリアミド系、天然ゴム系、フッ素ゴム系等
のエラストマ等が挙げられる。
【0015】また、熱硬化性樹脂としては、ジグリシジ
ルエーテル型エポキシ樹脂、ジグリシジルエステル型エ
ポキシ樹脂、ジグリシジルアミン型エポキシ樹脂、オレ
フィン酸化型(脂環式)エポキシ樹脂等の各種エポキシ
樹脂、アルキッド樹脂、不飽和ポリエステル等のビニル
系樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂
や尿素樹脂等のアミノ樹脂、シリコーン樹脂、熱硬化性
ポリイミド等が挙げられる。
【0016】また、水溶性高分子としては、ポリアクリ
ルアミド、ポリアクリル酸系ポリマー、ポリエチレンオ
キサイド、ポリビニルアルコール等が挙げられ、さらに
は水性塗料等のエマルションを用いることもできる。
【0017】本発明にかかる層状粘土鉱物(クレイ)
は、層状構造を有するケイ酸塩鉱物等であり、多数のシ
ート(ケイ酸で構成された四面体シート、AlやMg等
をさらに含んで構成された八面体シート等)が積層され
たものである。
【0018】かかる層状粘土鉱物としては、具体的に
は、モンモリロナイト、ハイドロタルサイト、サポナイ
ト、ヘクトライト、バイデライト、スティブンサイト、
ノントロナイト、バーミキュライト、ハロイサイト、マ
イカ、フッ素化マイカ、カオリナイト、パイロフィロラ
イト等が挙げられる。これらの層状粘土鉱物は、天然鉱
物であってもよく、水熱合成、溶融法、固相法などによ
る合成鉱物であってもよい。また、本発明では、上記の
層状粘土鉱物のうちの1種を単独で用いてもよく、2種
以上を組み合わせて用いてもよい。
【0019】これらの層状粘土鉱物の層間にはアルカリ
金属イオン、炭酸イオン(CO3 2-)等の層間イオンが
存在するが、これらの層間イオンはイオン交換体により
プロトン(水素イオン、H+)又は水酸化物イオン(O
-)に置換される。
【0020】イオン交換体としては、層間イオンをプロ
トン又は水酸化物イオンに置換することが可能であれば
特に制限されず、種々のイオン交換樹脂や無機イオン交
換体等を用いることができる。また、イオン交換体とし
て市販品を用いてもよい。
【0021】例えば層間イオンがNa+等のアルカリ金
属イオンである場合、オルガノ製アンバーライトIR1
20B−H−AG等のイオン交換樹脂や、東亞合成製I
XE−100、IXE−300等の無機イオン交換体を
用いることによって当該層間イオンをプロトンに置換す
ることができる。また、層間イオンが炭酸イオンである
場合、オルガノ製アンバーライトIR400−OH−A
G等のイオン交換樹脂や、東亞合成製IXE−500、
IXE−800等の無機イオン交換体を用いることによ
って当該層間イオンを水酸化物イオンに置換することが
できる。さらに、東亞合成製IXE−600等のように
両イオン交換性を有するイオン交換体は、上記いずれの
場合にも使用可能である。
【0022】本発明の製造方法において、層間イオンの
プロトン又は水酸化物イオンへの置換(イオン交換)を
行う方法は特に制限されないが、好ましい実施形態とし
て後述する第1〜3実施形態を例示することができる。
【0023】本発明にかかる第1実施形態は、層状粘土
鉱物を水又はプロトン供与体を含む溶媒に加えて膨潤化
させる膨潤化工程、膨潤化工程で得られる層状粘土鉱物
をイオン交換体と混合し、前記層状粘土鉱物の層間イオ
ンの少なくとも一部をプロトン又は水酸化物イオンに置
換するイオン交換工程、並びにイオン交換工程で得られ
る層状粘土鉱物と、樹脂とを混練する混練工程を含むも
のである。
【0024】膨潤化工程においては、層状粘土鉱物を水
又はプロトン供与体を含む溶媒に加えることによって、
溶媒により膨潤化した層状粘土鉱物を含むスラリー溶液
が得られる。すなわち、このスラリー溶液においては、
溶媒に含まれる水又はプロトン供与体が層状粘土鉱物の
層間に介入することによって、層状粘土鉱物の層間距離
が広げられて層間の化学的結合力が弱められている。膨
潤化工程における処理温度は特に制限されないが、溶媒
の凝固温度よりも高く、沸点より低い温度が望ましい。
例えば、水の場合は大気圧(0.1MPa)の開放状態
の処理であれば0℃よりも高く100℃未満であること
が好ましい。
【0025】本発明において用いられる溶媒は、水又は
プロトン供与体を含むものであれば特に制限されない
が、かかるプロトン供与体としては、ジエチレングリコ
ール、エチレングリコール、プロピレングリコール、エ
チレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコ
ールジエチルエーテル、エチレングリコールモノアセチ
レート、エチレングリコールジアセチレート、ポリエチ
レングリコール、ポリプロピレングリコール、エタノー
ル、ブタノール、イソブチルアルコール等のアルコール
類等が挙げられる。また、当該溶媒は水又はプロトン供
与体以外の溶媒を含んでいてもよい。
【0026】溶媒の添加量は、層状粘土鉱物1重量部に
対して0.01〜1000重量部であることが好まし
い。溶媒の添加量が0.01重量部未満の場合には、層
状粘土鉱物の膨潤度が不十分となり、層状粘土鉱物と樹
脂との分散性が低下する傾向にある。また、溶媒の添加
量が1000重量部を超えても、添加量に見合う膨潤度
(あるいはさらに分散性)の向上効果が認められず、却
って多量の溶媒を使用することによる製造コストの上
昇、得られる樹脂複合材料中への溶媒の残存などを招く
おそれがある。
【0027】また、溶媒の添加量は、層状粘土鉱物1重
量部に対して0.1〜500重量部であることがより好
ましい。溶媒の添加量が0.1重量部未満の場合には、
層状粘土鉱物を樹脂中に均一に分散させるために高い混
練力が必要となる可能性があり、混練工程を工夫する必
要が生じたり製造コストが上昇したりするおそれがあ
る。他方、溶媒の添加量が500重量部を超えると、混
練工程において溶媒の蒸発潜熱により樹脂が固化して混
練が困難となるおそれがある。また、溶媒の除去に多く
の時間を要し、作業効率が低下するおそれがある。
【0028】さらに、溶媒の添加量は、層状粘土鉱物1
重量部に対して1〜200重量部であることが特に好ま
しい。溶媒の添加量が1重量部未満であっても通常の混
練力で層状粘土鉱物を樹脂中に分散することができる
が、十分に均一に分散するためには長時間の混練が必要
となるおそれがある。また、スラリー溶液の粘性が高い
ため、作業性が低下する場合がある。他方、溶媒の添加
量が200重量部を超えると、混練工程において溶媒の
蒸発潜熱を補うための多くの熱量が必要となり、製造コ
ストの上昇を招くおそれがある。さらに、混練工程にお
ける混練物中の樹脂濃度が低下して作業効率が低下する
場合がある。
【0029】また、溶媒の添加量は、樹脂の使用量を考
慮して設定されることが好ましく、具体的には、樹脂1
00重量部に対して1000重量部以下であることが好
ましい。これにより、層状粘土鉱物の樹脂への分散性を
高めることができ、また、得られる樹脂複合材料への溶
媒の残存を防止することができる。
【0030】また、溶媒の添加量は、樹脂100重量部
に対して500重量部以下であることがより好ましい。
溶媒の添加量が500重量部を超えると、混練工程にお
いて溶媒の蒸発潜熱により溶融樹脂が固化して混練が困
難となるおそれがある。また、溶媒の除去に多くの時間
を要し、作業効率が低下するおそれがある。
【0031】さらに、溶媒の添加量は、樹脂100重量
部に対して200重量部以下であることが特に好まし
い。溶媒の添加量が200重量部を超えると、混練工程
において溶媒の蒸発潜熱を補うための多くの熱量が必要
となり、製造コストの上昇を招くおそれがある。さら
に、混練工程における混練物中の樹脂濃度が低下して作
業効率が低下する場合がある。
【0032】イオン交換工程では、上記のスラリー溶液
にイオン交換体が加えられ、層状粘土鉱物の層間イオン
がプロトン又は水酸化物イオンに置換される。これによ
り、層状粘土鉱物の層間距離がさらに広げられて層間の
化学的結合力が一層弱められる。イオン化工程における
処理温度は特に制限されないが、下限はイオン交換に用
いる溶媒の凝固温度(例えば水の場合は大気圧(0.1
MPa)で0℃より高いことが好ましい。一方、上限は
溶媒の沸点より低い温度で、且つイオン交換樹脂の最高
使用温度より低い温度が好ましい。例えば、イオン交換
樹脂がアンバーライトTR120B HAGの場合は1
20℃が上限となる。また、無機イオン交換体IXE5
00の場合は400℃が上限となる。
【0033】例えばイオン交換樹脂を用いる場合、スラ
リー溶液をミキサーで撹拌し、その中にイオン交換樹脂
を徐々に添加する。このとき、スラリー溶液のpHをイ
オン交換量の指標とすることができる。目標のpHに達
したら撹拌を停止し、所定のメッシュが形成された金網
等で反応混合物を濾過してイオン交換樹脂を速やかに除
去することにより、層状粘土鉱物の層間イオンがプロト
ン又は水酸化物イオンで置換されたスラリー溶液が得ら
れる。
【0034】また、無機イオン交換体を用いる場合も同
様にしてイオン交換を行うことができる。なお、無機イ
オン交換体の除去は困難であることが多いため、無機イ
オン交換体を含むスラリー溶液をそのまま混練工程に供
してもよい。
【0035】さらに、イオン交換工程後のスラリー溶液
から溶媒を除去して得られる乾固物や、イオン交換体を
含むスラリー溶液の加圧濾過等で得られる濃縮物を後述
する混練工程に供してもよい。
【0036】イオン交換工程においては、層状粘土鉱物
のイオン交換容量の30〜300%(より好ましくは5
0〜200%、さらに好ましくは70〜150%)に相
当するイオン交換体を添加することが好ましい。イオン
交換体の添加量が前記下限値未満である場合には、層間
イオンが十分に置換されないおそれがある。また、イオ
ン交換体の添加量が前記上限値を超えても層間イオンの
置換の点では問題ないが、例えば無機イオン交換体を用
いる場合には上述のようにその分離が困難であることが
多いため、過剰の無機イオン交換体が残存することによ
り本発明の効果が損なわれるおそれがある。さらに、多
量のイオン交換体の使用により製造コストの上昇を招く
おそれがある。但し、イオン交換体を分離・除去する場
合は、300%より多くのイオン交換体を用いても繰り
返し利用できるので特に制限されない。
【0037】また、イオン交換工程においては、層間イ
オンの少なくとも一部がプロトン又は水酸化物イオンで
置換されればそのイオン交換量は制限されないが、層間
イオンの残存量は層状粘土鉱物のイオン交換容量の85
%以下であることが好ましく、70%以下であることが
より好ましく、50%以下であることがさらに好まし
く、40%以下であることが特に好ましく、30%以下
であることが最も好ましい。層間イオンの残存量が層状
粘土鉱物のイオン交換容量の85%を超えると、イオン
交換により奏される上述の効果が得られにくくなる。ま
た、当該残存量がイオン交換容量の70%を超えると、
層状粘土鉱物が部分的に凝集しやすくなり、分散性が低
下する傾向にある。さらに、当該残存量がイオン交換容
量の50%を超えると、得られる樹脂複合材料を成形す
る際の長時間放置による層状粘土鉱物の凝集が懸念され
る。さらに、当該残存量がイオン交換容量の40%を超
えると、得られる樹脂複合材料をフィルム成形、ブロー
成形等に供した場合に、フィルムゲルが形成されて薄物
・延伸時の成形特性が低下する場合がある。
【0038】イオン交換工程における混合溶液は酸性、
中性又は弱アルカリ性に保持することが好ましく、具体
的には、混合溶液のpHが1〜8の範囲内であることが
好ましい。混合溶液のpHが1未満の場合、アルミニウ
ム元素等が溶出して層状粘土鉱物の層状構造が崩れるお
それがある。また、樹脂の種類によっては劣化する可能
性があり、さらには装置の腐食が懸念される。他方、混
合溶液のpHが8を超えると、層間イオンの残存量が多
くなり、目的の効果が得られにくくなる傾向にある。
【0039】また、混合溶液のpHは2〜7であること
がより好ましい。混合溶液のpHが2未満の場合、スラ
リー溶液を乾固して用いる場合に層状粘土鉱物の溶媒に
対する膨潤性が低下する傾向にある。他方、混合溶液の
pHが7を超えると、層状粘土鉱物が樹脂中で凝集しや
すくなり、樹脂複合材料の特性向上効果が得られにくく
なる傾向にある。
【0040】さらに、混合溶液のpHは2.5〜6であ
ることが特に好ましい。混合溶液のpHが2.5未満の
場合、イオン交換工程における処理時間が長くなる場合
がある。他方、混合溶液のpHが6を超えると、得られ
る樹脂複合材料をフィルム成形、ブロー成形等に供した
場合に、フィルムゲルが形成されて薄物・延伸時の成形
特性が低下する場合がある。
【0041】混練工程では、層間イオンがプロトン又は
水酸化物イオンで置換された層状粘土鉱物を含むスラリ
ー溶液(又はその乾固物)と、樹脂とを混練することに
よって、層状粘土鉱物が樹脂中に均一に且つ微細に分散
した樹脂複合材料が得られる。
【0042】かかる混練工程は、例えば押出機、ロー
ル、ニーダーを用いて行うことができる。混練工程を行
う際には、密閉状態として溶媒の気散を防止することが
望ましい。また、密閉状態とすることで、加熱した場合
に溶媒蒸気が高圧の雰囲気を作り出して、分散を促進す
ることが期待できる。
【0043】混練工程では2軸押出機を用いることが好
ましい。これにより、溶媒の揮散を防止し、加圧状態で
の混練と共に、連続プロセスでの効率的な製造が可能と
なる。押出機による混練工程において、スクリュ直径
(D)に対する軸長さ(L)の比率(L/D)は3〜7
0であることが好ましく、5〜50であることがより好
ましい。L/Dが3未満の場合には混練力が小さく、層
状粘土鉱物の分散性が不十分となるおそれがある。一
方、L/Dが50を超えると、層状粘土鉱物が細かく破
壊されて目的の特性が得られないおそれがある。また、
スクリュの全長が長くなり装置の作製が困難となる場合
がある。そのため、スクリュの全長はL/Dで120以
下となるようにすることが望ましい。
【0044】押出機の混練工程は、直交ニーディング、
順送りニーディング、逆送りニーディング、ギヤーニー
ディング、ローターニーディング等の各種ニーディング
スクリュで構成し、圧力はシールリング、逆送りフルフ
ライト、逆送りニーディング等を用いて保持することが
好ましい。また、混練工程は、フルフライトスクリュを
挟んで複数箇所で構成してもよい。
【0045】スクリュの回転数は50〜2500rpm
(より好ましくは150〜1000rpm)であること
が好ましい。回転数が50rpm未満では混練力が低下
するおそれがあり、2500rpmを超えると混練力が
強すぎて粘土鉱物及び樹脂が変質するおそれがある。
【0046】なお、押出機の生産性を表す指標として、
比エネルギー(混練機の消費電力[kW]と機械効率と
の積を単位当たりの吐出量で除した値)が用いられる
が、比エネルギーがどの程度で消費されるのか明確でな
く、本発明における混練性の指標として用いるのは適当
でない。本発明では、混練工程でのせん断速度を100
〜10000S-1とすることが好ましく、300〜50
00S-1とすることがより好ましい。せん断速度が10
0S-1未満では、層状粘土鉱物、溶媒、イオン交換体及
び各種添加剤の混練力が低下して、目的とする樹脂複合
材料が得られない場合がある。また、せん断速度が10
000S-1を超えると、せん断力による樹脂の変質や粘
土鉱物の微細化が起こるおそれがある。このせん断速度
は、例えば押出機のようなスクリュタイプの混練機であ
れば、スクリュの周速度の値をスクリュとシリンダとの
クリアランスの値で除することにより算出できる。
【0047】また、混練工程における圧力の範囲は、溶
媒の蒸気圧を考慮して決めることが望ましく、好ましく
はその飽和蒸気圧の20%以上、より好ましくは50%
以上、さらに好ましくは80%以上、特に好ましくは飽
和蒸気圧以上の圧力を保持するとよい。圧力が飽和蒸気
圧の20%未満では、溶媒による粘土鉱物の膨潤効果が
期待できないおそれがある。また、圧力が飽和蒸気圧の
50%未満では、粘土鉱物が部分的に凝集する場合があ
る。さらに、圧力が飽和蒸気圧の80%未満では、処理
に長い時間が必要となる場合がある。またさらに、圧力
が飽和蒸気圧未満では、押出機の処理で内圧変動が生じ
て分散状態が安定しない場合がある。
【0048】例えば溶媒に水を用いて200℃で混練す
る場合、水の飽和蒸気圧は1.6MPaとなり、その2
0%以上に相当する0.32MPa以上の圧力を保持す
ることが好ましい。
【0049】また、混練工程における処理温度の範囲は
溶融温度以上で樹脂の変質温度未満である。但し、溶媒
(樹脂を膨潤、溶解させるものであれば水またはプロト
ン供与体であってもよく、それ以外の溶媒でもよい)を
用いて樹脂を可塑化した場合は、溶媒の凝固温度あるい
は樹脂の析出温度が下限であり、溶媒及び樹脂が変質し
ない温度が上限の温度となる。
【0050】また、スラリー溶液の乾固物や濃縮物を用
いる場合は、混練の際に水又はプロトン供与体を含む溶
媒をさらに添加することが好ましい。溶媒の添加方法と
しては、例えば押出機やニーダーを用いて乾固物又は濃
縮物と樹脂とを共存させた状態で混練し、その混練物に
溶媒を圧入添加する方法が挙げられる。これにより、層
状粘土鉱物が膨潤して層間結合をさらに弱めることがで
き、その結果、混練時のせん断力による層状粘土鉱物の
微細分散化が可能となる。
【0051】また、層状粘土鉱物の添加量は、樹脂10
0重量部に対して0.2〜200重量部であることが好
ましく、0.5〜100重量部であることがより好まし
く、1〜50重量部であることがさらに好ましい。層状
粘土鉱物の添加量が0.2重量部未満では目的とする効
果が得られない場合があり、200重量部を超えると溶
媒を除去した後の樹脂複合材料の流動性が低下する場合
がある。また、層状粘土鉱物の添加量が0.5重量部未
満ではガスバリヤ性の改善効果が得られない場合があ
り、100重量部を超えると樹脂複合材料が脆化する場
合がある。さらに、層状粘土鉱物の添加量が1重量部未
満では弾性率の改善効果が得られない場合があり、50
重量部を超えると表面品質が低下する場合がある。
【0052】また、層状粘土鉱物の添加量が多い樹脂複
合材料を作製する場合には、スラリー溶液の多量注入
や、高濃度(高粘度)のスラリー溶液の注入が必要であ
り、作業効率が低下することがある。一方、スラリー溶
液の乾固物又は濃縮物を用いる場合には、層状粘土鉱物
の高充填化が容易となる。
【0053】なお、上記第1実施形態における溶媒の種
類及び添加量、イオン交換体の添加量、混練方法等の諸
条件は、後述する第2実施形態及び第3実施形態におい
ても同様であるため、以下では重複する説明を省略す
る。
【0054】本発明にかかる第2実施形態は、層状粘土
鉱物を水又はプロトン供与体を含む溶媒に加えて膨潤化
させる膨潤化工程と、膨潤化工程で得られる層状粘土鉱
物と、イオン交換体と、樹脂とを混練する混練工程とを
含むものである。
【0055】第2実施形態における膨潤化工程は第1実
施形態における膨潤化工程と同様である。
【0056】また、第2実施形態における混練工程で
は、イオン交換体による層状粘土鉱物の層間イオンのイ
オン交換と、イオン交換された層状粘土鉱物と樹脂との
混練とが行われ、これにより層状粘土鉱物が樹脂中に均
一に且つ微細に分散した樹脂複合材料が得られる。
【0057】混練方法としては、具体的には、押出機や
ニーダーを用いて、膨潤化工程で得られる層状粘土鉱物
(又はそのスラリー溶液)と樹脂とを共存させた状態で
混練し、その混練物に無機イオン交換体のスラリー溶液
を圧入添加する方法、層状粘土鉱物を含むスラリー溶液
とイオン交換体とを撹拌混合し、その混合物を溶融樹脂
に圧入添加する方法等が挙げられる。また、膨潤化工程
で得られるスラリー溶液の濃縮物又は乾固物を用いる場
合は、当該濃縮物又は乾固物と、樹脂と、イオン交換体
とを共存させた状態で混練し、その混練物に水又はプロ
トン供与体を含む溶媒を圧入添加してもよい。さらに、
当該濃縮物又は乾固物と樹脂とを共存させた状態で混練
し、その混練物に水又はプロトン供与体を含む溶媒とイ
オン交換体とのスラリー溶液を圧入添加してもよい。
【0058】本発明にかかる第3実施形態は、層状粘土
鉱物と、水又はプロトン供与体を含む溶媒と、イオン交
換体と、樹脂とを混練する混練工程を含むものである。
すなわち第3実施形態では、混練工程において、層状粘
土鉱物の膨潤化と、層状粘土鉱物の層間イオンのイオン
交換と、層状粘土鉱物と樹脂との混練とが行われ、これ
により層状粘土鉱物が樹脂中に均一に且つ微細に分散し
た樹脂複合材料が得られる。
【0059】混練方法としては、具体的には、層状粘土
鉱物とイオン交換体と樹脂とを共存させた状態で混練
し、その混練物に水又はプロトン供与体を含む溶媒を圧
入添加する方法等が挙げられる。
【0060】このように第1〜第3実施形態では、それ
ぞれ層状粘土鉱物と樹脂とを混練するに際し、イオン交
換体により層状粘土鉱物の層間イオンをプロトン又は水
酸化物イオンに置換することによって、層状粘土鉱物と
樹脂との親和性の高低にかかわらず、また、クレイ分散
剤を添加することなく、層状粘土鉱物の凝集防止効果及
び微細分散促進効果を高めることができる。従って、得
られる樹脂複合材料においては、層状粘土鉱物が樹脂中
に均一に且つ微細に分散されており、またその分散状態
の熱安定性が十分に高められているので、引張り弾性
率、引張り強度、伸び、耐熱性、ガスバリヤ性、塗装
性、接着性などの特性の向上が可能となる。このように
して得られる樹脂複合材料は、上述のように優れた特性
を有しており、自動車、航空機の構造材、ホース類、ベ
ルト類、タンク等の機能部品、シート、ラップ等のフィ
ルム類等の各種成形品の材料として非常に有用である。
【0061】また、膨潤化工程、イオン交換工程及び混
練工程が別個に設けられた第1実施形態においては、層
状粘土鉱物の凝集防止及び微細分散促進の点でより高い
効果が得られるので、上述のように優れた樹脂複合材料
をより確実に得ることができるので好ましい。一方、混
練工程において層間イオンのイオン交換が行われる第2
実施形態、並びに混練工程において層状粘土鉱物の膨潤
化及び層間イオンのイオン交換が行われる第2実施形態
の場合は、工程数の低減による製造コストの低減及び製
造工程簡便性の向上の点で好ましい。
【0062】なお、本発明は上記の実施形態に限定され
るものではない。例えば第1〜第3実施形態では、クレ
イ分散剤を用いずとも層状粘土鉱物が樹脂中に均一に且
つ微細に分散した樹脂複合材料を得ることができるが、
混練工程において分散性向上剤を用いると層状粘土鉱物
の分散性をさらに高めることができる。かかる分散性向
上剤としては、具体的には、ラウリル酸アミド、エチレ
ンビスステアリン酸アミド等のアミド化合物、ポリラウ
リルアミン、ポリビニルアミン、ステアリルアミン等の
アミン化合物、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、酸変
性樹脂、アミド樹脂等の極性樹脂、アミノシラン等のシ
ラン化合物を用いることができる。
【0063】分散性向上剤の添加量は、樹脂100重量
部に対して30重量部以下であることが好ましく、10
重量部以下であることがより好ましく、5重量部以下で
あることがさらに好ましい。分散性向上剤の添加量が3
0重量部を超えると、樹脂複合材料の物性が低下するお
それがある。また、当該添加量が10重量部を超えると
コストが高くなる場合がある。さらに、分散性向上剤が
低分子量化合物である場合、その添加量が5重量部を超
えると成形表面への析出が懸念される。
【0064】
【実施例】以下、実施例及び比較例に基づいて本発明を
さらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何
ら限定されるものではない。
【0065】[樹脂複合材料の作製及び分散性の評価] (実施例1)ナトリウム型モンモリロナイト(クニミネ
工業製クニピアF)をその濃度が2重量%となるように
水に加え、室温(20℃)にて一夜間静置し、ホモジナ
イザーを用いて20分間撹拌してクレイスラリー溶液を
調製した。
【0066】このスラリー溶液10lを撹拌しながら、
イオン交換樹脂(オルガノ製、商品名アンバーライトI
R120B−H−A)300gを徐々に添加してナトリ
ウムイオンからプロトンイオンへの置換を行った。スラ
リー溶液のpHが3.5になったときに撹拌を停止し、
40メッシュの金網を用いてイオン交換樹脂を除去して
プロトン化クレイスラリー溶液を調製した。
【0067】二軸押出機(スクリュ径30mm)にポリ
プロピレン樹脂を投入して溶融状態とし、二軸押出機の
中央部に設けられた注入ノズル及び加圧ポンプにより上
記のプロトン化クレイスラリー溶液を圧入添加して、加
圧蒸気下でモンモリロナイトをポリプロピレン樹脂中に
分散させた。次いで、下流側に設置したベントから水
(蒸気)を排出し、混練物をストランド状に押出、冷却
後にカッタにより切断して樹脂複合材料のペレットを得
た。このときのシリンダ設定温度は200℃、スクリュ
回転数は300rpm、樹脂の供給量は4kg/h、プ
ロトン化クレイスラリー溶液の供給量は4kg/hとし
た。また、スクリュについては、注入部近傍における水
の気散を防止するために、スクリュのシールリングを多
段で設けた形状とし、これにより溶融樹脂によるセルフ
シール性を強化した。
【0068】このようにして得られた樹脂複合材料につ
いて、光学顕微鏡及び透過型電子顕微鏡、並びにX線回
折によりモンモリロナイトの分散状態を観察した。樹脂
複合材料について得られたX線回折スペクトルを図1に
示す。実施例1で得られた樹脂複合材料においては、ポ
リプロピレン樹脂中にケイ酸塩層が1〜5層ごとにナノ
レベルで分散していることがわかった。
【0069】(比較例1)イオン交換を行わずにナトリ
ウム型モンモリロナイトを含むスラリー溶液をそのまま
用いたこと以外は実施例1と同様にして、樹脂複合材料
を作製し、その分散性を評価した。樹脂複合材料につい
て得られたX線回折スペクトルを図2に示す。比較例1
で得られた樹脂複合材料においては、ポリプロピレン樹
脂中のケイ酸塩層の分散状態がサブミクロンレベルであ
り、十分な分散性を得ることができなかった。
【0070】[樹脂複合材料の作製及び引張り弾性率の
測定] (実施例2)先ず、実施例1と同様にしてプロトン化ク
レイスラリー溶液を調製し、ポリプロピレン樹脂との混
練を行った。なお、混練の際のシリンダ設定温度は20
0℃、スクリュ回転数は300rpm、樹脂の供給量は
10kg/hとした。また、プロトン化クレイスラリー
溶液は、樹脂に対するモンモリロナイトの添加量が2重
量%となるように供給した。
【0071】このようにして得られた樹脂複合材料を成
形温度200℃で射出成形してJIS1号試験片を作製
し、JIS K7113に準拠して引張り試験を行い引
張り弾性率を測定した。得られた結果を表1に示す。
【0072】(実施例3)実施例2と同様にして調製し
たプロトン化クレイスラリー溶液から水を除去して乾固
物を得た。この乾固物とポリプロピレン樹脂とを樹脂に
対するモンモリロナイトの添加量が5重量%となるよう
に二軸押出機に投入して溶融状態とし、その混練物に水
を1kg/hの速度で圧入添加して、加圧蒸気下でモン
モリロナイトをポリプロピレン樹脂中に分散させた。次
いで、下流側に設置したベントから水(蒸気)を排出
し、混練物をストランド状に押出、冷却後にカッタによ
り切断して樹脂複合材料のペレットを得た。このときの
シリンダ設定温度、スクリュ回転数等の条件は実施例2
と同様とした。
【0073】このようにして得られた樹脂複合材料につ
いて、実施例2と同様にして引張り弾性率を測定した。
得られた結果を表1に示す。
【0074】(比較例2)イオン交換を行わずにナトリ
ウム型モンモリロナイトを含むスラリー溶液をそのまま
用いたこと以外は実施例2と同様にして、樹脂複合材料
を作製し、その引張り弾性率を測定した。得られた結果
を表1に示す。
【0075】(比較例3)ナトリウム型モンモリロナイ
トの添加量を樹脂に対して5重量%としたこと以外は比
較例2と同様にして、樹脂複合材料を作製し、その引張
り弾性率を測定した。得られた結果を表1に示す。
【0076】(比較例4)イオン交換を行わずにナトリ
ウム型モンモリロナイトをそのまま用いたこと以外は実
施例3と同様にして、樹脂複合材料を作製し、その引張
り弾性率を測定した。得られた結果を表1に示す。
【0077】(比較例5)ナトリウム型モンモリロナイ
トの添加量を樹脂に対して5重量%としたこと以外は比
較例4と同様にして、樹脂複合材料を作製し、その引張
り弾性率を測定した。得られた結果を表1に示す。
【0078】(比較例6)ポリプロピレン樹脂をそのま
ま用いて実施例2と同様の引張り試験を行い、引張り弾
性率を測定した。得られた結果を表1に示す。
【0079】
【表1】 表1に示したように、実施例2、3の樹脂複合材料にお
いては、比較例2〜6に比べて優れた弾性率の向上効果
が認められた。
【0080】[スラリー溶液の元素分析] (実施例4〜8、比較例7、8)実施例4〜6において
は、それぞれイオン交換工程におけるスラリー溶液のp
Hを表2に示す値としたこと以外は実施例1と同様にし
て、プロトン化クレイスラリー溶液を調製した後、プロ
トン化クレイスラリー溶液から水を除去して乾固物を得
た。また、比較例7においては、ナトリウム型モンモリ
ロナイトのスラリー溶液から水を除去して乾固物を得
た。
【0081】また、実施例7、8においては、それぞれ
ナトリウム型モンモリロナイトの変わりにナトリウム型
ヘクトライトを用い、イオン交換工程におけるスラリー
溶液のpHを表2に示す値としたこと以外は実施例1と
同様にしてプロトン化クレイスラリー溶液を調製した
後、プロトン化クレイスラリー溶液から水を除去して乾
固物を得た。また、比較例8においては、ナトリウム型
ヘクトライトのスラリー溶液から水を除去して乾固物を
得た。
【0082】これらの乾固物について、誘導結合プラズ
マ(ICP)発光分析法により金属元素の分析を行っ
た。得られた結果を表2に示す。
【0083】
【表2】 表2に示した通り、実施例4〜6ではイオン交換工程を
行うことにより層間イオン(Naイオン)は減少する
が、ケイ酸塩層を構成するFe、Al、Mgの値は殆ど
変化しなかった。また、実施例7、8においても、Na
イオンは減少するが、ケイ酸塩層を構成するFe、A
l、Mg、Liの値は殆ど変化しなかった。これらの結
果から、実施例4〜8のいずれにおいてもモンモリロナ
イト又はヘクトライトの層状構造がイオン交換工程後も
保持されていることがわかる。
【0084】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明の製造方法に
よれば、樹脂と層状粘土鉱物とを混練する際に、層状粘
土鉱物の層間イオンの少なくとも一部をプロトン又は水
酸化物イオンに置換することによって、層状粘土鉱物の
凝集が防止されると共に層状粘土鉱物の樹脂中への微細
分散化が促進されるので、層状粘土鉱物に対する親和性
が低い樹脂を用いる場合であっても、クレイ分散剤を用
いずに層状粘土鉱物を樹脂中に均一に且つ微細に分散す
ることができ、その結果、樹脂複合材料の弾性率等の特
性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた樹脂複合材料のX線回折ス
ペクトルを示すグラフである。
【図2】比較例1で得られた樹脂複合材料のX線回折ス
ペクトルを示すグラフである。
フロントページの続き (72)発明者 福森 健三 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 岡本 浩孝 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 佐藤 紀夫 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 Fターム(参考) 4F070 AA12 AA15 AC12 AC27 AD01 FA03 FA14 FB06 FB07 FC06 4J002 BB031 BB121 BC051 BD041 BD101 BF031 BG001 BN151 CB001 CC031 CD001 CF061 CF071 CH041 CH071 CL001 CM041 CP031 DJ006 DJ036 DJ046 DJ056 FD016

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂と層状粘土鉱物とを混練するに際
    し、前記層状粘土鉱物の層間イオンの少なくとも一部を
    プロトン又は水酸化物イオンに置換することを特徴とす
    る樹脂複合材料の製造方法。
  2. 【請求項2】 層状粘土鉱物を水又はプロトン供与体を
    含む溶媒に加えて膨潤化させる膨潤化工程と、前記膨潤
    化工程で得られる層状粘土鉱物をイオン交換体と混合
    し、前記層状粘土鉱物の層間イオンの少なくとも一部を
    プロトン又は水酸化物イオンに置換するイオン交換工程
    と、前記イオン交換工程で得られる層状粘土鉱物と、樹
    脂とを混練する混練工程とを含むことを特徴とする、請
    求項1に記載の樹脂複合材料の製造方法。
  3. 【請求項3】 層状粘土鉱物を水又はプロトン供与体を
    含む溶媒に加えて膨潤化させる膨潤化工程と、前記膨潤
    化工程で得られる層状粘土鉱物と、イオン交換体と、樹
    脂とを混練する混練工程とを含むことを特徴とする、請
    求項1に記載の樹脂複合材料の製造方法。
  4. 【請求項4】 層状粘土鉱物と、水又はプロトン供与体
    を含む溶媒と、イオン交換体と、樹脂とを混練する混練
    工程を含むことを特徴とする、請求項1に記載の樹脂複
    合材料の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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