JP2003286268A - シス−2,6−ジメチルピペラジンの製造方法 - Google Patents
シス−2,6−ジメチルピペラジンの製造方法Info
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- JP2003286268A JP2003286268A JP2003031917A JP2003031917A JP2003286268A JP 2003286268 A JP2003286268 A JP 2003286268A JP 2003031917 A JP2003031917 A JP 2003031917A JP 2003031917 A JP2003031917 A JP 2003031917A JP 2003286268 A JP2003286268 A JP 2003286268A
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Abstract
(57)【要約】
【構成】 ジイソプロパノールアミンとアンモニアとの
反応を触媒の存在下で行うにあたり、溶媒に有機溶剤を
用いるシス−2,6−ジメチルピペラジンの選択的製造
方法、及び有機溶剤で結晶化を行う高純度のシス−2,
6−ジメチルピペラジンの単離法、並びに、副生成物で
あるトランス−2,6−ジメチルピペラジンを触媒の存
在下、180℃以上の温度で異性化させるシス−2,6
−ジメチルピペラジンの製造方法に関する。 【効果】 本発明の方法によれば、副生成物であるトラ
ンス−2,6−ジメチルピペラジンの生成を抑制するこ
とができ、また医薬、農薬の原料として有用な高純度の
シス−2,6−ジメチルピペラジンを単離することがで
きる。
反応を触媒の存在下で行うにあたり、溶媒に有機溶剤を
用いるシス−2,6−ジメチルピペラジンの選択的製造
方法、及び有機溶剤で結晶化を行う高純度のシス−2,
6−ジメチルピペラジンの単離法、並びに、副生成物で
あるトランス−2,6−ジメチルピペラジンを触媒の存
在下、180℃以上の温度で異性化させるシス−2,6
−ジメチルピペラジンの製造方法に関する。 【効果】 本発明の方法によれば、副生成物であるトラ
ンス−2,6−ジメチルピペラジンの生成を抑制するこ
とができ、また医薬、農薬の原料として有用な高純度の
シス−2,6−ジメチルピペラジンを単離することがで
きる。
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医薬、農薬の原料
として有用な、シス−2,6−ジメチルピペラジンの製
造法、分離方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来2,6−ジメチルピペラジンの製造
方法としては、ジイソプロパノールアミンとアンモニア
をニッケル触媒の存在下、水溶媒又は無溶媒にて反応さ
せて得る方法(英国特許第902570号明細書、米国
特許第2911407号明細書、有機合成化学協会誌第17巻
1号17〜28頁(1959) )が知られている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】2,6−ジメチルピペ
ラジンは、その構造から立体異性体であるシス−及びト
ランス−2,6−ジメチルピペラジンが存在する。これ
らの立体異性体のうちシス体の需要の方が多く、特に医
薬、農薬の原料としてはシス体が使用されるため、工業
的なシス体の高選択的製造法の開発が望まれている。 【0004】上記文献には、その方法によって生成する
シス体とトランス体の比が記載されていない。本発明者
らが従来の方法に従って反応を行なったところ、生成す
る2,6−ジメチルピペラジンはシス体の割合が多かっ
たが十分ではなく、さらにシス選択率を向上させる必要
があった。 【0005】こうして得られた反応生成物を上記文献と
同様にして蒸留に付してシス体の分離を試みた。しか
し、得られるものはシス体及びトランス体を含む混合物
であり、シス体とトランス体との分離は蒸留では困難で
あった。これまで、この立体異性体の混合物からシス体
を高純度で分離する方法は知られていない。さらに、ト
ランス−2,6−ジメチルピペラジンを異性化してシス
−2,6−ジメチルピペラジンを製造する方法も知られ
ていない。 【0006】本発明の目的は、シス−2,6−ジメチル
ピペラジンを高い選択率で製造する方法を提供すること
にある。本発明の他の目的は、シス−及びトランス−
2,6−ジメチルピペラジンの混合物から、高純度でシ
ス−2,6−ジメチルピペラジンを分離できる方法を提
供することにある。さらに本発明の目的は、トランス−
2,6−ジメチルピペラジンを異性化してシス−2,6
−ジメチルピペラジンを製造する方法を提供することに
ある。 【課題を解決するための手段】 【0007】そこで本発明者らは鋭意検討した結果、溶
媒として有機溶剤を用いて触媒存在下でジイソプロパー
ルアミンとアンモニアとの反応を行うと、シス−2,6
−ジメチルピペラジンの選択率が著しく改善されるこ
と、有機溶剤中のシス−及びトランス−2,6−ジメチ
ルピペラジンの混合物からシス体が高純度で結晶化する
こと、並びに触媒の存在下、180℃以上の温度でトラ
ンス体の異性化が起ることを見出し本発明に至った。 【0008】即ち本発明は、溶媒及び触媒の存在下でジ
イソプロパノールアミンとアンモニアとを反応させてシ
ス−2,6−ジメチルピペラジンを製造するにあたり、
溶媒に有機溶剤を使用することを特徴とするシス−2,
6−ジメチルピペラジンの製造方法、シス−2,6−ジ
メチルピペラジン、トランス−2,6−ジメチルピペラ
ジン及び有機溶剤を含有する混合液を結晶化処理するこ
とを特徴とするシス−2,6−ジメチルピペラジンの分
離方法、及び触媒の存在下、180℃以上の反応温度で
トランス−2,6−ジメチルピペラジンを異性化するこ
とを特徴とするシス−2,6−ジメチルピペラジンの製
造方法に係るものである。 【0009】 【発明の実施の形態】次に、本発明をさらに詳細に説明
する。本発明のシス−2,6−ジメチルピペラジンの製
造方法は、ジイソプロパノールアミンとアンモニアを触
媒の存在下で反応させるにあたり、溶媒に有機溶剤を使
用することを特徴とするものである。本発明に使用され
る有機溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレンの
ような芳香族系炭化水素が好ましい。有機溶剤の使用量
は工業的取扱の観点からジイソプロパノールアミン1重
量部に対して0.5〜5重量部が好ましい。 【0010】触媒は、ニッケル、コバルト等が好まし
く、特にニッケル触媒が好ましい。ニッケル触媒及びコ
バルト触媒としては、ラネーニッケル、ラネーコバルト
及び活性炭、シリカゲル、アルミナ等に担持されたニッ
ケル又はコバルト等が使用できる。触媒の使用量は、ジ
イソプロパノールアミン1重量部に対して0.01重量
部以上であればよく、経済性の面から0.01〜0.5
重量部の使用が好ましい。触媒量が0.01重量部より
少ないと反応の進行が遅く、長時間を要するため好まし
くない。 【0011】アンモニアの使用量は、ジイソプロパノー
ルアミン1モルに対して1.0〜2.0モルが好まし
く、さらに好ましくは1.2〜1.5モル用いるのが望
ましい。アンモニアの使用量が2.0モルを越えると反
応の進行が遅くなる。 【0012】反応は加圧下で行うのが好ましく、その圧
は特に限定はなく広く選択できるが、工業的な取扱の面
から1961.4〜5884.2kPa(20〜60k
g/cm2)とするのが好ましい。反応温度は150℃
以上が好ましく、工業的取扱の観点からさらに好ましく
は150℃以上200℃で行なわれるのがよい。反応温
度が150℃より低いと反応が進行しにくくなり、反応
に長時間を要するため好ましくない。 【0013】次に、シス−2,6−ジメチルピペラジン
とトランス−2,6−ジメチルピペラジンとの分離は、
両者を含有する有機溶剤との混合物を結晶化処理して行
なう。例えば、前述のようにして得られた反応液をろ過
して触媒を除去し、次いで共沸脱水を行ない水を除去し
た後、有機溶剤の量がシス−2,6−ジメチルピペラジ
ンの理論生成量の約2〜3重量倍となるようにさらに有
機溶剤を加え、加熱して結晶を完全に溶解し、これを冷
却して結晶化を行う。結晶化の温度と時間は種々選択で
きるが、例えば5℃、2時間で結晶化を行なうことによ
り、実質的にシス−2,6−ジメチルピペラジンのみを
晶出させることができ、高純度のシス−2,6−ジメチ
ルピペラジンが得られる。この有機溶剤としては、ベン
ゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、n−ヘ
キサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、またはメ
タノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコー
ル類が使用される。 【0014】また、トランス−2,6−ジメチルピペラ
ジンのシス−2,6−ジメチルピペラジンヘの異性化
は、触媒の存在下、180℃以上の温度で行う。さらに
好ましくは180〜230℃で行なわれるのがよい。反
応温度が180℃より低いと反応が進行しにくく、トラ
ンス体からシス体への異性化が起りにくい。 【0015】異性化の触媒は、ニッケル及びコバルト等
が好ましく、特にニッケル触媒が好ましい。異性化触媒
の具体例は、前述したジイソプロパノールアミンとアン
モニアとの反応の触媒と同様である。触媒の使用量は、
トランス−2,6−ジメチルピペラジン1重量部に対し
て0.01重量部以上であればよく、経済性の面から
0.01〜0.5重量部の使用が好ましい。 【0016】異性化を行うにあたって、有機溶剤を溶媒
として使用することができる。使用される有機溶剤とし
ては、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭
化水素が好ましい。溶媒の使用量は特に限定はないが、
通常トランス−2,6−ジメチルピペラジン1重量部に
対して0.5〜5重量部である。 【0017】異性化は、アンモニア及び/又は水素の存
在下ないしは雰囲気下で行うことができる。アンモニア
の使用量は、トランス−2,6−ジメチルピペラジン1
モルに対して1.0〜2.0モルが好ましく、さらに好
ましくは1.1〜1.5モルである。反応の水素圧は特
に限定はなく広く選択できるが、通常1961.4〜5
884.2kPa(20〜60kg/cm2)である。 【0018】 【実施例】以下、具体的な実施例によって本発明を説明
するが、これらは例示的なものであり、本発明はこれら
に限定されるものではない。 【0019】実施例1 容量1リットルのオートクレープにジイソプロパノール
アミン220g(1.654モル)、トルエン220g、
ラネーニッケル(川研ファインケミカル(株)社製 商
品名NDT−65)110gを入れ、ここにアンモニア
42.2g(2.5モル)を加えさらに水素ガスを内圧
が441.3kPa(4.5kg/cm2)になるよう
に吹き込んだ。これを昇温し170℃で6時間反応を行
なった。反応終了後40℃まで冷却し、窒素ガスを吹き
込んでアンモニアを除き、容器内に析出した結晶を水1
37.3gを加えて溶解し反応液を取り出した。反応液
をろ過して触媒を除いた後、共沸により水を除去した。
これにトルエン280gを加え、70℃に加熱して結晶
を溶解した。温度を5℃まで冷却し、そのまま2時間結
晶化を行なった。晶出した結晶をろ過し、トルエンで洗
浄し乾燥して、純度99.9%のシス−2,6−ジメチ
ルピペラジンの結晶112.4gを得た。ろ液は蒸留を
行い、シス−及びトランス−2,6−ジメチルピペラジ
ンの混合物を回収した。結晶及び蒸留分を合わせた反応
生成物の組成は、原料ジイソプロパノールアミン1 1
. 8%、シス−2,6−ジメチルピペラジン71.7
%、トランス−2,6−ジメチルピペラジン5.9%で
あり、シス−2,6−ジメチルピペラジンの選択率は8
1.3%であった。 【0020】実施例2 実施例1において反応温度を190℃に変更した以外
は、実施例1と同様の反応及び後処理を行って、純度9
9.2%のシス−2,6−ジメチルピペラジンの結晶1
27.1gを得た。結晶及び蒸留分を合わせた反応生成
物の組成は、原料ジイソプロパノールアミン5.4%、
シス−2,6−ジメチルピペラジン76.1%、トラン
ス−2,6−ジメチルピペラジン5.4%であり、シス
−2,6−ジメチルビペラジンの選択率は82.1%で
あった。 【0021】比較例1 実施例1においてトルエンに代えて水220gを溶媒と
して使用した以外は、実施例1と同様の反応及び後処理
を行った。その結果、純度99.8%のシス−2,6−
ジメチルピペラジンの結晶110.1gを得た。結晶及
び蒸留分を合わせた反応生成物の組成は、原料ジイソプ
ロパノールアミン4.9%、シス−2,6−ジメチルピ
ペラジン68.2%、トランス−2,6−ジメチルピペ
ラジン11.0%であり、シス−2,6−ジメチルピペ
ラジンの選択率は71.8%であった。 【0022】実施例3 容量100ミリリットルのオートクレープに、シス体
9.9%、トランス体90.1%の組成の2,6−ジメ
チルピペラジン20g、ラネーニッケル(川研ファイン
ケミカル(株)社製 商品名NDHT−90)1g及び
トルエン20gを入れ、ここにアンモニア3gを加えさ
らに水素ガスを内圧が539.4kPa(5.5kg/
cm2)になるように吹き込んだ。これを昇温し200
℃で4時間反応を行った。冷却後ガスクロマトグラフィ
ーにより分析したところ、シス−2,6−ジメチルピペ
ラジンは10.8g、トランス−2,6−ジメチルピペ
ラジンは7.4gであった。 【0023】比較例2 実施例3において、反応温度を170℃にした以外は実
施例3と同様にして反応を行った。ガスクロマトグラフ
ィーにより分析したところ、シス−2,6−ジメチルピ
ペラジンは2.7g、トランス−2,6−ジメチルピペ
ラジンは16.9gであった。 【0024】 【発明の効果】本発明によれば、立体異性体のうちトラ
ンス−2,6−ジメチルピペラジンの生成を抑制し、医
薬、農薬の原料として有用なシス−2,6−ジメチルピ
ペラジンを高選択的に製造することができ、また高純度
のシス体を単離することができる。さらに、トランス体
をシス体へ良好な率で異性化することができる。
として有用な、シス−2,6−ジメチルピペラジンの製
造法、分離方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来2,6−ジメチルピペラジンの製造
方法としては、ジイソプロパノールアミンとアンモニア
をニッケル触媒の存在下、水溶媒又は無溶媒にて反応さ
せて得る方法(英国特許第902570号明細書、米国
特許第2911407号明細書、有機合成化学協会誌第17巻
1号17〜28頁(1959) )が知られている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】2,6−ジメチルピペ
ラジンは、その構造から立体異性体であるシス−及びト
ランス−2,6−ジメチルピペラジンが存在する。これ
らの立体異性体のうちシス体の需要の方が多く、特に医
薬、農薬の原料としてはシス体が使用されるため、工業
的なシス体の高選択的製造法の開発が望まれている。 【0004】上記文献には、その方法によって生成する
シス体とトランス体の比が記載されていない。本発明者
らが従来の方法に従って反応を行なったところ、生成す
る2,6−ジメチルピペラジンはシス体の割合が多かっ
たが十分ではなく、さらにシス選択率を向上させる必要
があった。 【0005】こうして得られた反応生成物を上記文献と
同様にして蒸留に付してシス体の分離を試みた。しか
し、得られるものはシス体及びトランス体を含む混合物
であり、シス体とトランス体との分離は蒸留では困難で
あった。これまで、この立体異性体の混合物からシス体
を高純度で分離する方法は知られていない。さらに、ト
ランス−2,6−ジメチルピペラジンを異性化してシス
−2,6−ジメチルピペラジンを製造する方法も知られ
ていない。 【0006】本発明の目的は、シス−2,6−ジメチル
ピペラジンを高い選択率で製造する方法を提供すること
にある。本発明の他の目的は、シス−及びトランス−
2,6−ジメチルピペラジンの混合物から、高純度でシ
ス−2,6−ジメチルピペラジンを分離できる方法を提
供することにある。さらに本発明の目的は、トランス−
2,6−ジメチルピペラジンを異性化してシス−2,6
−ジメチルピペラジンを製造する方法を提供することに
ある。 【課題を解決するための手段】 【0007】そこで本発明者らは鋭意検討した結果、溶
媒として有機溶剤を用いて触媒存在下でジイソプロパー
ルアミンとアンモニアとの反応を行うと、シス−2,6
−ジメチルピペラジンの選択率が著しく改善されるこ
と、有機溶剤中のシス−及びトランス−2,6−ジメチ
ルピペラジンの混合物からシス体が高純度で結晶化する
こと、並びに触媒の存在下、180℃以上の温度でトラ
ンス体の異性化が起ることを見出し本発明に至った。 【0008】即ち本発明は、溶媒及び触媒の存在下でジ
イソプロパノールアミンとアンモニアとを反応させてシ
ス−2,6−ジメチルピペラジンを製造するにあたり、
溶媒に有機溶剤を使用することを特徴とするシス−2,
6−ジメチルピペラジンの製造方法、シス−2,6−ジ
メチルピペラジン、トランス−2,6−ジメチルピペラ
ジン及び有機溶剤を含有する混合液を結晶化処理するこ
とを特徴とするシス−2,6−ジメチルピペラジンの分
離方法、及び触媒の存在下、180℃以上の反応温度で
トランス−2,6−ジメチルピペラジンを異性化するこ
とを特徴とするシス−2,6−ジメチルピペラジンの製
造方法に係るものである。 【0009】 【発明の実施の形態】次に、本発明をさらに詳細に説明
する。本発明のシス−2,6−ジメチルピペラジンの製
造方法は、ジイソプロパノールアミンとアンモニアを触
媒の存在下で反応させるにあたり、溶媒に有機溶剤を使
用することを特徴とするものである。本発明に使用され
る有機溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレンの
ような芳香族系炭化水素が好ましい。有機溶剤の使用量
は工業的取扱の観点からジイソプロパノールアミン1重
量部に対して0.5〜5重量部が好ましい。 【0010】触媒は、ニッケル、コバルト等が好まし
く、特にニッケル触媒が好ましい。ニッケル触媒及びコ
バルト触媒としては、ラネーニッケル、ラネーコバルト
及び活性炭、シリカゲル、アルミナ等に担持されたニッ
ケル又はコバルト等が使用できる。触媒の使用量は、ジ
イソプロパノールアミン1重量部に対して0.01重量
部以上であればよく、経済性の面から0.01〜0.5
重量部の使用が好ましい。触媒量が0.01重量部より
少ないと反応の進行が遅く、長時間を要するため好まし
くない。 【0011】アンモニアの使用量は、ジイソプロパノー
ルアミン1モルに対して1.0〜2.0モルが好まし
く、さらに好ましくは1.2〜1.5モル用いるのが望
ましい。アンモニアの使用量が2.0モルを越えると反
応の進行が遅くなる。 【0012】反応は加圧下で行うのが好ましく、その圧
は特に限定はなく広く選択できるが、工業的な取扱の面
から1961.4〜5884.2kPa(20〜60k
g/cm2)とするのが好ましい。反応温度は150℃
以上が好ましく、工業的取扱の観点からさらに好ましく
は150℃以上200℃で行なわれるのがよい。反応温
度が150℃より低いと反応が進行しにくくなり、反応
に長時間を要するため好ましくない。 【0013】次に、シス−2,6−ジメチルピペラジン
とトランス−2,6−ジメチルピペラジンとの分離は、
両者を含有する有機溶剤との混合物を結晶化処理して行
なう。例えば、前述のようにして得られた反応液をろ過
して触媒を除去し、次いで共沸脱水を行ない水を除去し
た後、有機溶剤の量がシス−2,6−ジメチルピペラジ
ンの理論生成量の約2〜3重量倍となるようにさらに有
機溶剤を加え、加熱して結晶を完全に溶解し、これを冷
却して結晶化を行う。結晶化の温度と時間は種々選択で
きるが、例えば5℃、2時間で結晶化を行なうことによ
り、実質的にシス−2,6−ジメチルピペラジンのみを
晶出させることができ、高純度のシス−2,6−ジメチ
ルピペラジンが得られる。この有機溶剤としては、ベン
ゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、n−ヘ
キサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、またはメ
タノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコー
ル類が使用される。 【0014】また、トランス−2,6−ジメチルピペラ
ジンのシス−2,6−ジメチルピペラジンヘの異性化
は、触媒の存在下、180℃以上の温度で行う。さらに
好ましくは180〜230℃で行なわれるのがよい。反
応温度が180℃より低いと反応が進行しにくく、トラ
ンス体からシス体への異性化が起りにくい。 【0015】異性化の触媒は、ニッケル及びコバルト等
が好ましく、特にニッケル触媒が好ましい。異性化触媒
の具体例は、前述したジイソプロパノールアミンとアン
モニアとの反応の触媒と同様である。触媒の使用量は、
トランス−2,6−ジメチルピペラジン1重量部に対し
て0.01重量部以上であればよく、経済性の面から
0.01〜0.5重量部の使用が好ましい。 【0016】異性化を行うにあたって、有機溶剤を溶媒
として使用することができる。使用される有機溶剤とし
ては、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭
化水素が好ましい。溶媒の使用量は特に限定はないが、
通常トランス−2,6−ジメチルピペラジン1重量部に
対して0.5〜5重量部である。 【0017】異性化は、アンモニア及び/又は水素の存
在下ないしは雰囲気下で行うことができる。アンモニア
の使用量は、トランス−2,6−ジメチルピペラジン1
モルに対して1.0〜2.0モルが好ましく、さらに好
ましくは1.1〜1.5モルである。反応の水素圧は特
に限定はなく広く選択できるが、通常1961.4〜5
884.2kPa(20〜60kg/cm2)である。 【0018】 【実施例】以下、具体的な実施例によって本発明を説明
するが、これらは例示的なものであり、本発明はこれら
に限定されるものではない。 【0019】実施例1 容量1リットルのオートクレープにジイソプロパノール
アミン220g(1.654モル)、トルエン220g、
ラネーニッケル(川研ファインケミカル(株)社製 商
品名NDT−65)110gを入れ、ここにアンモニア
42.2g(2.5モル)を加えさらに水素ガスを内圧
が441.3kPa(4.5kg/cm2)になるよう
に吹き込んだ。これを昇温し170℃で6時間反応を行
なった。反応終了後40℃まで冷却し、窒素ガスを吹き
込んでアンモニアを除き、容器内に析出した結晶を水1
37.3gを加えて溶解し反応液を取り出した。反応液
をろ過して触媒を除いた後、共沸により水を除去した。
これにトルエン280gを加え、70℃に加熱して結晶
を溶解した。温度を5℃まで冷却し、そのまま2時間結
晶化を行なった。晶出した結晶をろ過し、トルエンで洗
浄し乾燥して、純度99.9%のシス−2,6−ジメチ
ルピペラジンの結晶112.4gを得た。ろ液は蒸留を
行い、シス−及びトランス−2,6−ジメチルピペラジ
ンの混合物を回収した。結晶及び蒸留分を合わせた反応
生成物の組成は、原料ジイソプロパノールアミン1 1
. 8%、シス−2,6−ジメチルピペラジン71.7
%、トランス−2,6−ジメチルピペラジン5.9%で
あり、シス−2,6−ジメチルピペラジンの選択率は8
1.3%であった。 【0020】実施例2 実施例1において反応温度を190℃に変更した以外
は、実施例1と同様の反応及び後処理を行って、純度9
9.2%のシス−2,6−ジメチルピペラジンの結晶1
27.1gを得た。結晶及び蒸留分を合わせた反応生成
物の組成は、原料ジイソプロパノールアミン5.4%、
シス−2,6−ジメチルピペラジン76.1%、トラン
ス−2,6−ジメチルピペラジン5.4%であり、シス
−2,6−ジメチルビペラジンの選択率は82.1%で
あった。 【0021】比較例1 実施例1においてトルエンに代えて水220gを溶媒と
して使用した以外は、実施例1と同様の反応及び後処理
を行った。その結果、純度99.8%のシス−2,6−
ジメチルピペラジンの結晶110.1gを得た。結晶及
び蒸留分を合わせた反応生成物の組成は、原料ジイソプ
ロパノールアミン4.9%、シス−2,6−ジメチルピ
ペラジン68.2%、トランス−2,6−ジメチルピペ
ラジン11.0%であり、シス−2,6−ジメチルピペ
ラジンの選択率は71.8%であった。 【0022】実施例3 容量100ミリリットルのオートクレープに、シス体
9.9%、トランス体90.1%の組成の2,6−ジメ
チルピペラジン20g、ラネーニッケル(川研ファイン
ケミカル(株)社製 商品名NDHT−90)1g及び
トルエン20gを入れ、ここにアンモニア3gを加えさ
らに水素ガスを内圧が539.4kPa(5.5kg/
cm2)になるように吹き込んだ。これを昇温し200
℃で4時間反応を行った。冷却後ガスクロマトグラフィ
ーにより分析したところ、シス−2,6−ジメチルピペ
ラジンは10.8g、トランス−2,6−ジメチルピペ
ラジンは7.4gであった。 【0023】比較例2 実施例3において、反応温度を170℃にした以外は実
施例3と同様にして反応を行った。ガスクロマトグラフ
ィーにより分析したところ、シス−2,6−ジメチルピ
ペラジンは2.7g、トランス−2,6−ジメチルピペ
ラジンは16.9gであった。 【0024】 【発明の効果】本発明によれば、立体異性体のうちトラ
ンス−2,6−ジメチルピペラジンの生成を抑制し、医
薬、農薬の原料として有用なシス−2,6−ジメチルピ
ペラジンを高選択的に製造することができ、また高純度
のシス体を単離することができる。さらに、トランス体
をシス体へ良好な率で異性化することができる。
─────────────────────────────────────────────────────
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(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
B01D 9/02 610 B01D 9/02 610Z
619 619A
// C07M 7:00 C07M 7:00
(72)発明者 多賀野 務
大阪市中央区高麗橋4丁目6番17号 広栄
化学工業株式会社内
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】 シス−2,6−ジメチルピペラジン、ト
ランス−2,6−ジメチルピペラジン及び有機溶剤を含
有する混合液を結晶化処理することを特徴とするシス−
2,6−ジメチルピペラジンの分離方法。
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JP2003031917A JP2003286268A (ja) | 2003-02-10 | 2003-02-10 | シス−2,6−ジメチルピペラジンの製造方法 |
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WO2016021524A1 (ja) * | 2014-08-08 | 2016-02-11 | 東レ・ファインケミカル株式会社 | 光学活性2-メチルピペラジンの製造方法 |
-
2003
- 2003-02-10 JP JP2003031917A patent/JP2003286268A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2016021524A1 (ja) * | 2014-08-08 | 2016-02-11 | 東レ・ファインケミカル株式会社 | 光学活性2-メチルピペラジンの製造方法 |
JP2016037495A (ja) * | 2014-08-08 | 2016-03-22 | 東レ・ファインケミカル株式会社 | 光学活性2−メチルピペラジンの製造方法 |
CN105992760A (zh) * | 2014-08-08 | 2016-10-05 | 东丽精细化工株式会社 | 光学活性2-甲基哌嗪的制造方法 |
US9994530B2 (en) | 2014-08-08 | 2018-06-12 | Toray Fine Chemicals Co., Ltd. | Method of producing optically active 2-methylpiperazine |
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