JP2003286221A - 1,4−ナフタレンジカルボン酸の製造方法 - Google Patents

1,4−ナフタレンジカルボン酸の製造方法

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JP2003286221A JP2002094873A JP2002094873A JP2003286221A JP 2003286221 A JP2003286221 A JP 2003286221A JP 2002094873 A JP2002094873 A JP 2002094873A JP 2002094873 A JP2002094873 A JP 2002094873A JP 2003286221 A JP2003286221 A JP 2003286221A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 酢酸溶媒中に触媒のコバルト化合物、マンガ
ン化合物および臭素化合物を含有する触媒液中で、出発
物質の1,4−ジメチルナフタレンを空気中の酸素により
酸化して1,4−ナフタレンジカルボン酸を製造する方法
において、ガスクロマトグラフィー分析値から内部標準
法で求めた純度が95%以上の高純度の生成物を収率よく
製造する。 【解決手段】 出発物質と空気を、空気中の酸素/出発
物質のモル比が 3.1〜3.5 となり、且つ排出ガス中の酸
素濃度が2%以下になるように連続的に供給しながら酸
化反応を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、染料などの合成中
間体として有用な1,4−ナフタレンジカルボン酸(以
下、1,4-NDCAと略す) の製造方法に関する。より詳しく
は、本発明は、1,4−ジ低級アルキルナフタレンを分子
状酸素により液相酸化して1,4-NDCAを製造する方法の改
良に関する。
【0002】
【従来の技術】1,4-NDCAはの製造方法としては、1−メ
チル−4−アセチルナフタレンをクロム酸酸化する方法
(英国特許1,173,704 号) や、1,4−ジシアノナフタレ
ンを加水分解する方法が知られている。しかし、前者の
方法では、6価クロム酸化物であるクロム酸を多量に使
用するので、排水処理に多大の費用を必要とする。後者
の方法も、有毒なシアノ化合物を出発出発物質とする関
係から、排水処理が煩雑となる。
【0003】そのため、工業的に実施可能な方法とし
て、1,4−ジ低級アルキルナフタレンを触媒の存在下、
空気中の分子状酸素により酸化して1,4-NDCAを製造する
方法が開発された(例:特公昭48−43893 号公報) 。
【0004】特開昭63−159344号公報には、有機カルボ
ン酸溶媒中に触媒のコバルト塩、マンガン塩及び臭素化
合物を溶解させた触媒液中で、1,4−ジ低級アルキルナ
フタレンを120 ℃〜160 ℃の比較的低温で分子状酸素に
より液相酸化する1,4-NDCAの製造方法が記載されてい
る。
【0005】この公報には、1,4−ジ低級アルキルナフ
タレンの分子状酸素による酸化反応は、広く行われてい
るアルキルベンゼンや2,6−ジ低級アルキルナフタレン
を出発物質とする同様の分子状酸素による酸化反応とは
挙動を異にするため、これらの酸化反応に関する知見を
転用することができないことが示唆されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】例えば、特開平 6−34
5685号公報に記載されているように、上記触媒液中での
1,4−ジ低級アルキルナフタレンの分子状酸素による酸
化反応は水分に敏感で、触媒液中に多量の水が存在する
と酸化反応が著しい悪影響を受け、副反応が増大して、
酸化生成物である1,4-NDCAの収率と品質(純度、色な
ど) が悪化する。このような水分による酸化反応への悪
影響は、アルキルベンゼンや2,6−ジ低級アルキルナフ
タレンを出発物質とする同様の酸化反応では顕著には見
られない現象である。
【0007】特開平 6−345685号公報では、反応圧力が
低いほど少量の水分で酸化反応が阻害されるとの知見に
基づき、(P+1) /W≧3 [P:反応圧力 (Kg/cm2.
G) 、W:触媒液の水分(wt%)]、を満たす条件で酸化反
応を行うことを提案している。即ち、触媒液中の水の量
に応じて反応圧力を調整するか、あるいは反応圧力に応
じて触媒液中の水の量を調整することによって、水分に
よる反応への悪影響を抑制し、副反応を減少させて収率
を向上させ、着色の少ない高純度の生成物を得ることが
できる。
【0008】しかし、本発明者らが検討した結果、水分
と反応圧力の制御だけでは、生成物の1,4-NDCAが十分に
は高純度になっていないことが判明した。即ち、この生
成物は、ガスクロマトグラフィー(以下、GCと略す)
分析法により内部標準物質としてキサントンを使用して
求めた内部標準純度(以下、IS純度と略す) が十分な
高純度には達していない。
【0009】特開平 6−345685号公報でも、生成物につ
いてGC分析による純度を測定している。しかし、この
GC分析による純度は、面積百分率 (面百) 純度であ
る。一方、内部標準法 (IS) 純度は、正確な定量分析
方法である。
【0010】まず、目的成分(1,4-NDCA)の標準物質と内
部標準物質との量比が既知の混合物を複数作成し、GC
分析する。 (標準物質量)/ (内部標準物質質量) に対す
る(標準物質のピーク面積)/ (内部標準物質のピーク面
積) の関係をグラフ用紙上にプロット、検量線を作成す
る。次に未知試料の既知量に、内部標準物質の既知量を
添加し、GC分析を行う。ピーク面積比をグラフに当て
はめ、試料中の目的成分と内部標準物質との量比をもと
め、目的成分(1,4-NDCA)量を求める方法である。
【0011】このように、1,4-NDCAの真の純度を示すの
はIS純度であり、IS純度が例えば95%以上と十分に
高くないと、不純物の上昇および、収率低下につなが
る。そこで、本発明は、IS純度の高い1,4-NDCAを確実
に製造できる方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため鋭意検討した結果、1,4−ジ低級アルキ
ルナフタレンの分子状酸素による液相酸化では、酸化剤
である分子状酸素を過剰に供給すると、生成物の分解反
応が起こって、分解生成物が発生し、さらにはこの分解
生成物が触媒中の金属と錯体を形成して、生成物である
1,4-NDCAのIS純度や色に悪影響を及ぼしていることを
究明した。
【0013】分子状酸素の供給源は普通は空気であり、
従来は未反応を防ぐため、材料費のいらない空気は過剰
に供給するのが一般的であった。しかし、1,4−ジ低級
アルキルナフタレンの酸化では、この過剰に供給される
空気により酸化反応の収率や生成物の純度が阻害され
る。
【0014】より詳しく説明すると、1,4−ジ低級アル
キルナフタレンの酸化反応では、過剰の分子状酸素が供
給されると、ベンゼンテトラカルボン酸のような、生成
物の1,4-NDCAが分解して生ずる分解生成物が生成するこ
とが確認された。また、生成物の純度に関しては、触媒
に由来する金属分(コバルト、マンガン、カリウム等)
の含有量が増加することも確認された。金属含有率が1
%増加するとGC分析法によるIS純度が約10%低下し
ていることから、金属、特に遷移金属は、分子量の大き
い有機物と錯体を形成していると考えられる。
【0015】本発明は、低級脂肪族カルボン酸溶媒中に
溶解した遷移金属化合物および臭素化合物を含有する触
媒液中で、出発物質の1,4−ジ低級アルキルナフタレン
を分子状酸素により酸化して1,4−ナフタレンジカルボ
ン酸を製造する方法において、分子状酸素を含有するガ
スを、酸素/出発物質のモル比が 3.1〜3.5 となり、且
つ排出ガス中の酸素濃度が2%以下になるように供給し
ながら酸化反応を行うことを特徴とする、1,4-NDCAの製
造方法である。
【0016】1態様において、本発明は、低級脂肪族カ
ルボン酸溶媒中に溶解した遷移金属化合物および臭素化
合物を含有する触媒液中で、出発物質の1,4−ジ低級ア
ルキルナフタレンを分子状酸素により酸化して1,4−ナ
フタレンジカルボン酸を製造する方法において、出発物
質および分子状酸素を含有するガスを、酸素/出発物質
のモル比が 3.1〜3.5 となり、且つ排出ガス中の酸素濃
度が2%以下になるように連続的に供給しながら酸化反
応を行うことを特徴とする、1,4-NDCAの製造方法であ
る。
【0017】好適態様においては、1,4−ジ低級アルキ
ルナフタレンが1,4−ジメチルナフタレンであり、遷移
金属化合物がコバルト化合物およびマンガン化合物から
なり、分子状酸素を含有するガスが空気である。
【0018】本発明の方法によれば、酸化反応における
分子状酸素の供給量を、当量より若干過剰な一定範囲に
管理して、排出ガス中の酸素濃度が2%以下になるよう
にすることで、未反応を防止しつつ、生成物の分解反応
を防止することができる。そのため、IS純度が高い1,
4-NDCAを収率よく製造することが可能となる。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明に係る1,4-NDCAの製造方法
で使用する出発物質は1,4−ジ低級アルキルナフタレン
である。「低級アルキル」とは、本明細書においては、
炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖アルキル基を意味する
ものとする。1,4−ジ低級アルキルナフタレンの具体例
としては、1,4−ジメチルナフタレン、1,4−ジエチルナ
フタレン、1,4−ジイソプロピルナフタレンなどが列挙
できるが、1,4−ジメチルナフタレン(以下、1,4-DMN
と略す) が最も好ましい出発物質である。
【0020】以下では、説明を簡略にするために、酸化
反応に用いる出発物質が1,4-DMN である場合について説
明するが、出発物質が他の1,4−ジ低級アルキルナフタ
レンであっても、反応方法は同様でよい。
【0021】出発物質として使用する1,4-DMN は、コー
ルタール、接触分解油、ナフサ分解油といった1,4-DMN
を含有する留分から精密蒸留などにより回収されたも
の、およびエチルベンゼン等を出発物質として合成によ
り得られたもの、のいずれも使用できる。1,4-DMN は必
ずしも高純度品である必要はなく、その酸化反応に直接
悪影響を及ばさない不純物(例えば、他のジ低級アルキ
ルナフタレン異性体、ジ低級アルキルテトラリン等)
を、酸化生成物の1,4-NDCAの品質に実質的な悪影響がな
い範囲内で含有していてもよい。出発物質の1,4-DMN の
純度は好ましくは90%以上、より好ましくは92%以上で
ある。
【0022】反応溶媒として使用する低級脂肪族カルボ
ン酸としては、酸化反応条件で液状であれば任意のもの
が使用できる。例えば、酢酸、プロピオン酸、クロル酢
酸等の1種もしくは2種以上使用できる。好ましい溶媒
は酢酸である。溶媒は、前回の反応で回収された再循環
品であってもよい。
【0023】溶媒の使用量は特に制限されないが、出発
物質 (1,4-DMN)に対して質量比で約6〜12倍、好ましく
は約8〜11倍である。酸化反応に使用する触媒は、遷移
金属化合物および臭素化合物からなる。遷移金属化合物
としては、コバルト、マンガン、セリウム、銅、鉄等の
1種もしくは2種以上の遷移金属の化合物が使用できる
が、好ましいのはコバルト化合物とマンガン化合物との
併用である。コバルト化合物およびマンガン化合物とし
ては、酢酸塩、炭酸塩、臭化物、アセチルアセトナト錯
体等がある。また、コバルトおよび/またはマンガンの
金属を、反応溶媒の酢酸 (または他の低級脂肪族カルボ
ン酸) に溶解させて、その場で触媒となるコバルトおよ
び/またはマンガンの酢酸塩 (または他の低級脂肪族カ
ルボン酸塩) を調製してもよい。臭素化合物としては、
臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化アンモニウム、臭
化水素酸または遷移金属臭化物 (例、臭化コバルト、臭
化マンガン) 等が挙げられる。ここでわかるように、遷
移金属臭化物は、遷移金属化合物と臭素化合物の両方を
兼ねることができる。
【0024】触媒のうち、遷移金属化合物の量は、出発
物質1,4-DMN 1モルに対して遷移金属の合計量が0.01〜
1グラム原子、特に 0.1〜0.5 グラム原子となる割合に
することが好ましい。遷移金属化合物がコバルト化合物
とマンガン化合物である場合、コバルト化合物の反応液
中の濃度は、反応液1kg当たりコバルトが0.05〜0.15グ
ラム原子の割合となることが好ましい。マンガン化合物
は、Mn/Coの原子比が約0.05〜2の範囲内となる量で用
いることが好ましい。
【0025】遷移金属化合物と一緒に触媒として使用さ
れる臭素化合物の量は、遷移金属1グラム原子当たり臭
素イオンの量が0.05〜20ミリモル、特に 0.1〜5ミリモ
ルとなる量とすることが好ましい。また、臭素イオン量
は、Brイオン/Co原子の比が約 0.5〜2.5 の範囲になる
ようにすることが好ましい。
【0026】1,4-DMN の酸化反応は、上述した低級脂肪
族カルボン酸の溶媒中に遷移金属化合物 (好ましくはコ
バルト化合物とマンガン化合物) および臭素化合物を溶
解させた触媒液中において、分子状酸素により行われ
る。分子状酸素の供給源 (分子状酸素含有ガス) として
は、純酸素やこれを不活性ガスで希釈した混合ガスも使
用できるが、一般には空気が使用される。以下では、酸
化剤として空気を用いる酸化反応について説明する。
【0027】温度および圧力の反応条件は、従来技術と
ほぼ同様でよい。即ち、反応温度は、特開昭63−159344
号に記載されたように、2,6-異性体の場合より低めとす
ることが好ましい。好ましい反応温度は 100〜160 ℃で
あり、好ましくは 130〜140℃である。反応圧力は、常
圧〜約5MPa 、好ましくは約 2.5〜3.5 MPa である。反
応時間は通常は約 0.1〜20時間の範囲内である。
【0028】酸化反応は、回分式、半連続式、および連
続式のいずれの方式で実施してもよい。回分式は、1,4-
DMN と触媒液の全量を反応器に予め装入しておき、空気
を反応液に通気して酸化反応を行い、反応終了後に反応
液を一度に回収する方法である。半連続式は、例えば、
触媒液の全量を反応器に装入し、1,4-DMN と空気を連続
的に反応器に供給しながら酸化反応を行い、反応終了後
に反応液を一度に回収する方法である。連続式は、1,4-
DMN と触媒液と空気のすべてを連続的に反応器に供給し
ながら酸化反応を行い、反応液を連続的に回収する方法
である。工業的実施においては、連続式または半連続式
が操業効率の点から好ましい。
【0029】本発明によれば、酸化剤の空気を、空気中
の酸素/1,4-DMN(出発物質) のモル比が 3.1〜3.5 とな
り、且つ排出ガス中の酸素濃度が2%以下になるような
量で供給しながら、酸化反応を行う。酸化反応を半連続
式または連続式で行う場合には、酸素/1,4-DMN のモル
比が 3.1〜3.5 となり、且つ排出ガス中の酸素濃度が2
%以下になるように、酸化剤の空気と出発物質の1,4-DM
N を連続的に供給しながら酸化反応を行う。排出ガス中
の酸素濃度は、例えば、自動酸素濃度分析装置によって
連続的または定期的に監視すればよい。
【0030】本発明の方法では、空気の供給量を、酸化
反応に必要な当量 (酸素/1,4-DMNのモル比で3.0)より
ごく過剰な量に制限する。また、空気の流量は、排出ガ
ス中の酸素濃度が2%以下になるように調整する。それ
により、出発物質(1,4-DMN)の全量を酸化させつつ、過
剰な酸素により起こりうる生成物(1,4-NDCA)の分解や金
属錯体の形成を抑制して、IS純度で評価して高純度の
生成物を収率よく製造することが可能となる。
【0031】出発物質の1,4-DMN が不純物を含有してい
る場合、反応系への1,4-DMN の供給量は、1,4-DMN の使
用量に純度を乗じて算出する。この純度を考慮した1,4-
DMNの供給量に基づき、空気の供給量を上記範囲に制限
する。前述したように、1,4-DMN の酸化反応は一般に比
較的低温で行われ、そのような温度では不純物として含
まれる異性体やジアルキルテトラリンは酸化反応を実質
的に受けないので、不純物による酸素の消費は実質的に
無視できる。
【0032】このように、本発明では酸化剤として用い
る空気の供給量が制限されるので、加圧下で反応を行う
場合には、空気ではなく、窒素等の不活性ガスを用いて
所定の反応圧力に加圧する。また、反応圧力にかかわら
ず、反応開始 (少なくとも空気の供給) の前に、予め反
応器内を窒素等の不活性ガスで置換しておき、その後に
所定量または所定流量の空気を供給して、酸化反応を行
うことが好ましい。
【0033】回分式の反応の場合、空気の供給量が全体
として、酸素/1,4-DMN のモル比が3.1〜3.5 となる量
であっても、供給流量が高すぎると、排出ガス中の酸素
濃度が2%を超えることがある。そうなると、特に収率
が著しく低下するので、排出ガス中の酸素濃度が2%以
下となるような流量で空気を供給する。
【0034】1,4-DMN と空気を連続的に反応器に供給し
ながら連続式または半連続式により酸化反応を行う場合
には、同時に供給される1,4-DMN と空気の量を、酸素/
1,4-DMN のモル比が 3.1〜3.5 となる量とすればよい。
この場合、供給液の反応器内での滞留時間が十分であれ
ば、排出ガス中の酸素濃度は2%以下となる。連続式反
応における反応器内の滞留時間は、反応器に予め装入し
ておく触媒液の量に比例するので、この液量を調整して
反応に必要な滞留時間を確保する。それにより、酸素/
1,4-DMN のモル比が 3.1〜3.5 となる量で空気と1,4-DM
N を供給すれば、排出ガス中の酸素濃度は2%以下とな
る。
【0035】酸化反応終了後、回収された反応液を冷却
すると生成物の1,4-NDCAが析出するので、濾過、遠心分
離などの常法により、1,4-NDCAを容易に回収することが
できる。必要であれば、再結晶、クロマトグラフィー、
抽出などの常法により生成物を精製してもよいのはいう
までもない。
【0036】1,4-NDCAを分離した後に残る濾液(酸化反
応液の母液) は、溶媒および触媒の供給源として反応系
に再循環するのが経済的であり、工業的な操業ではこの
溶媒と触媒の再循環が一般に採用されている。この場
合、触媒と溶媒の不足分を補給するだけで、1,4-DMN の
酸化反応を継続することができる。
【0037】
【実施例】次に実施例により、本発明をさらに具体的に
説明する。但し、本発明は以下の実施例により何ら限定
されるものではない。実施例中、収率以外の%は、特に
指定のない限り質量%である。
【0038】[実施例1]内面がチタンライニングされ
た2.6 m3の高圧釜に、氷酢酸900 L 、酢酸コバルト四水
和物23.6 kg 、酢酸マンガン四水和物23.6 kg 、臭化カ
リウム11.3 kg を装入して、触媒液を調製した。この高
圧釜は変形櫂型翼の攪拌機を備え、これを140±10 rpm
で回転させて攪拌を行った。
【0039】窒素を導入して釜内加圧を行い、圧力2.5
MPa まで加圧した後、温度を130 ℃に調整した。出発物
質の1,4-DMN (1,4−ジメチルナフタレン、純度94%) の
供給を40±2 kg/hr の流量で開始するのとほぼ同時に、
3.0 MPa の圧縮空気を80〜90Nm3/hr の流量で高圧釜内
の液に吹き込むのも開始した。その後ただちに、上記と
同組成の触媒液を 380±20 L/hr の流量で高圧釜に連続
的に添加した。釜内の液量を一定に保つため、反応液を
バッチで定期的に釜より受槽へ排出した。
【0040】このようにして、内温 135〜140 ℃、圧力
3.0±0.1 MPa 、酸素/1,4-DMN モル比= 3.1〜3.5 の
条件において、1,4-DMN の連続式酸化反応を 168時間続
けた。この間、高圧釜から排出されるガス中の酸素濃度
を定期的に分析したところ 0.1〜2%の範囲内であっ
た。
【0041】反応釜から定期的に受槽に排出された反応
液は、受槽内で60℃以下に冷却して結晶を析出させた。
この冷却は、受槽に設けたジャケットへの通水による間
接水冷と、酸化反応からの排出ガスを受槽内の反応液に
吹き込む直接空冷の組合わせにより行った。
【0042】濾過能力8cc/cm2・sec のポリプロピレン
製(裏側ポリプロピレン製網付き)濾布を取り付けた遠
心分離機 (容量460 L)を用いて、受槽内で冷却した反応
液の遠心濾過を1000 rpmで行って、1回の遠心濾過当た
り約140 kgの湿潤ケーキを得た。この湿潤ケーキに対し
て、質量でほぼ同量の純水リンスを実施して (1回の濾
過当たり、湿潤ケーキ約140kg に純水リンス28 L/min×
5分を実施) 酢酸分を除去した。分離した湿潤ケーキを
フレキシブルコンテナーに受けた。
【0043】この湿潤ケーキを、内部標準物質にキサン
トンを使用したGC分析法により分析した結果、連続酸
化反応のどの時点で得られた生成物についても、IS純
度97%、Co<0.1 %、Mn<0.1 %、含液率24%(内、水
分14%) の湿潤1,4-NDCAであった(収率75%) 。なお、
生成物中の水分以外の液体は酢酸である。
【0044】[比較例1]高圧釜に吹き込む3.0 MPa の圧
縮空気の流量を75〜79 Nm3/hr に減らした以外は、実施
例1と同様にして、1,4-DMN の連続式酸化反応と遠心濾
過による反応液の分離を行った。
【0045】反応条件のうち、内温(135〜140 ℃) と圧
力(3.0±0.1 MPa)は実施例1と同様であったが、酸素/
1,4-DMN モル比は 2.7〜3.0 の範囲内となった。この酸
化反応の間、高圧釜から排出されるガス中の酸素濃度を
定期的に分析したが、常に0%であった。
【0046】反応液から1回の遠心濾過により分離され
た湿潤ケーキは約121 kgであった。この湿潤ケーキを実
施例1と同様に純水リンスした後、内部標準物質にキサ
ントンを使用したGC分析法により分析した結果、連続
酸化反応のどの時点で得られた生成物についても、IS
純度97%、Co<0.1 %、Mn<0.1 %、含液率24%(内、
水分14%) の湿潤l,4-NDCAであった(収率65%) 。
【0047】実施例1の結果と比較すると、酸素の供給
量が当量ギリギリであるか、それよりやや少ない場合に
は、生成物の純度は高いものの、収率が著しく低下する
ことがわかる。
【0048】[比較例2]高圧釜に吹き込む3.0 MPa の圧
縮空気の流量を95〜105 Nm3/hrに増やした以外は、実施
例1と同様にして、1,4-DMN の連続式酸化反応と遠心濾
過による反応液の分離を行った。
【0049】反応条件のうち、内温(135〜140 ℃) と圧
力(3.0±0.1 MPa)は実施例1と同様であったが、酸素/
1,4-DMN モル比は 3.8〜4.2 の範囲内となった。この酸
化反応の間、高圧釜から排出されるガス中の酸素濃度を
定期的に分析したところ、3〜4%になっていた。
【0050】反応液から1回の遠心濾過により分離され
た湿潤ケーキは約112 kgであった。この湿潤ケーキを実
施例1と同様に純水リンスした後、内部標準物質にキサ
ントンを使用したGC分析法により分析した結果、連続
酸化反応のどの時点で得られた生成物についても、IS
純度70%、Co=2%、Mn=2%、含液率24%(内、水分
14%) の湿潤1,4-NDCAであった(収率60%) 。
【0051】即ち、酸化剤の空気の供給量が当量よりか
なり多くなって、酸素/1,4-DMN(出発物質) のモル比が
3.5 を超え、排出ガス中の酸素濃度が2%を超えるよう
になると、収率が著しく低下するのみならず、生成物
(1,4-NDCA)の純度も著しく低下した。
【0052】
【発明の効果】本発明の方法によれば、従来の1,4-MDN
の液相酸化において酸化剤の空気の供給量または流量を
調整するだけで、IS純度で95%以上という高純度の1,
4-NDCAを収率よく製造することが可能となる。従って、
本発明は、染料等の中間体として有利な、高純度の1,4-
NDCAの工業的な製造方法を確立したものであって、その
工業的意義は大きい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 杉浦 一樹 和歌山県和歌山市湊1850番地 住金ケミカ ル株式会社和歌山事業所内 Fターム(参考) 4H006 AA02 AC46 BA02 BA05 BA08 BA16 BA19 BA20 BA37 BB17 BC10 BC11 BC31 BC32 BC34 BD20 BE30 BJ50 BS30 4H039 CA65 CC30

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 低級脂肪族カルボン酸溶媒中に溶解した
    遷移金属化合物および臭素化合物を含有する触媒液中
    で、出発物質の1,4−ジ低級アルキルナフタレンを分子
    状酸素により酸化して1,4−ナフタレンジカルボン酸を
    製造する方法において、分子状酸素を含有するガスを、
    酸素/出発物質のモル比が 3.1〜3.5 となり、且つ排出
    ガス中の酸素濃度が2%以下になるように供給しながら
    酸化反応を行うことを特徴とする、1,4−ナフタレンジ
    カルボン酸の製造方法。
  2. 【請求項2】 低級脂肪族カルボン酸溶媒中に溶解した
    遷移金属化合物および臭素化合物を含有する触媒液中
    で、出発物質の1,4−ジ低級アルキルナフタレンを分子
    状酸素により酸化して1,4−ナフタレンジカルボン酸を
    製造する方法において、出発物質および分子状酸素を含
    有するガスを、酸素/出発物質のモル比が 3.1〜3.5 と
    なり、且つ排出ガス中の酸素濃度が2%以下になるよう
    に連続的に供給しながら酸化反応を行うことを特徴とす
    る、1,4−ナフタレンジカルボン酸の製造方法。
  3. 【請求項3】 1,4−ジ低級アルキルナフタレンが1,4−
    ジメチルナフタレンであり、遷移金属化合物がコバルト
    化合物およびマンガン化合物からなり、分子状酸素を含
    有するガスが空気である、請求項1または2に記載の1,
    4−ナフタレンジカルボン酸の製造方法。
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