JP2003285165A - アーク溶接用溶接チップおよびアーク溶接装置 - Google Patents
アーク溶接用溶接チップおよびアーク溶接装置Info
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Abstract
ップの耐久性を向上する。 【解決手段】 溶接チップの給電チップ(52)は、溶
接トーチ本体に装着可能なチップ本体(62)とこれと
一体に形成されたチップ先端部材(64)とを備え、チ
ップ先端部材は、その軸心に沿って形成されたスリット
(65)により第1及び第2半部(66、68)の2つ
に分割され、第1半部は所定の剛性を有してチップ本体
との結合部の回りで移動可能である。スプリング部材
(58)はチップ先端部材に外嵌されて同部材にばね力
を加える。
Description
チップに関し、特に、I2R法による突出し長さを長く
するための絶縁ガイドを具備した給電チップ、絶縁ガイ
ドおよび金属ガイドから構成される諸部品において、給
電チップの耐久性に優れた溶接チップおよびこれを備え
たアーク溶接装置に関する。
置から送り出される溶接ワイヤを溶接トーチに装着され
た溶接チップが備える給電チップ内へ導き、この給電チ
ップを介して溶接ワイヤに溶接電流を供給し、これによ
りワークと溶接ワイヤとの間にアークを発生させ、その
結果生じるアーク熱で溶接を行うようになっている。
置において、溶接ワイヤとの摩擦による給電チップの摩
耗が進行すると、溶接ワイヤと給電チップとが接触する
給電点の位置が不安定になってアークが不安定になる。
また、溶接ワイヤが溶接チップ内を通過する間にワイヤ
屑やチップ屑が発生して溶接チップのワイヤ挿通孔内に
堆積し、円滑なワイヤ送りを阻害する。
避であるので、その様な摩耗が進行しても溶接ワイヤへ
の給電を安定に行える耐久性に優れた溶接チップの提供
が望まれている。また、ワイヤ送りの円滑化のため、溶
接チップ内での堆積物の堆積を低減すべきとの要請もあ
る。本発明の目的は、給電チップの耐久性を向上させた
アーク溶接用溶接チップおよびその様な溶接チップを備
えたアーク溶接装置を提供することにある。
可能なアーク溶接用溶接チップ及びこれを備えたアーク
溶接装置を提供することにある。
は、溶接ワイヤを挿通させるワイヤ挿通孔が形成され且
つ溶接トーチ本体に装着可能な給電チップと、給電チッ
プの先端側に装着された金属ガイドと、金属ガイド内に
収容され且つ溶接ワイヤを挿通させるワイヤガイド孔が
形成された絶縁ガイドとを備える。この溶接チップは、
給電チップが、溶接トーチ本体に装着可能なチップ本体
とこれと一体に形成されたチップ先端部材とを備え、チ
ップ先端部材が、その軸心に沿ってその全長にわたって
形成され且つワイヤ挿通孔に連通したスリットにより、
少なくとも第1及び第2部分に分割され、第1部分が所
定の剛性を有してチップ本体との結合部の回りで移動可
能であり、また、溶接チップが、給電チップのチップ先
端部材に外嵌されてチップ先端部材にばね力を加えるス
プリング部材を備えることを特徴とする。
プのチップ先端部材の第1部分が所定の剛性を有して移
動可能であると共にスプリング部材によりチップ先端部
材にばね力が常時加えられるので、給電チップのワイヤ
挿通孔を通る溶接ワイヤによる給電チップの摩耗が相当
に進行した場合にも給電チップと溶接ワイヤとの接触が
確保され、給電点の位置が安定になる。すなわち、アー
クの安定化および給電チップの耐久性向上が図られる。
また、給電チップのワイヤ挿通孔内の堆積物がワイヤ挿
通孔に連通したスリットを介して排出され、堆積物によ
りワイヤ送りが阻害されるおそれが低減する。
ップ先端部材が第1及び第2部分から構成され、第2部
分が所定の剛性を有してチップ本体との結合部の回りで
移動可能であることを特徴とする。請求項2の溶接チッ
プによれば、給電チップのチップ先端部材を2つの部分
に分割すれば良く、従って、3つ以上の部分に分割する
場合に比べて給電チップの加工が容易である。例えば、
チップ本体と一体の平板部およびこれと一体の円筒部と
で構成したチップ先端部材にその軸心に沿ってスリット
を形成することにより、チップ先端部材を第1部分と第
2部分とに2分割することができる。また、請求項2の
給電チップではチップ先端部材の第1及び第2部分が所
定の剛性を有して移動自在であるので、給電チップの摩
耗が進行した場合もスプリング部材の作用と相俟って溶
接ワイヤとの接触力が適正値に維持され、アークの安定
化および給電チップの耐久性向上が図られる。
の第1部分の剛性が3.92N以上かつ39.2N以下
であることを特徴とする。請求項4の溶接チップは、チ
ップ先端部材の第1及び第2部分の各々の剛性が、3.
92N以上かつ39.2N以下であることを特徴とす
る。請求項3または請求項4の溶接チップによれば、給
電チップの摩耗が進行した場合にも、チップ先端部材の
第1部分または第1及び第2部分がスプリング部材のば
ね力により溶接ワイヤに適度の力で接触する。すなわ
ち、第1部分または第1及び第2部分の剛性が過小であ
る場合はスプリング部材の作用下で溶接ワイヤに過大な
力で接触して発熱する一方、剛性が過大である場合には
給電チップが摩耗すると溶接ワイヤとの接触不良による
給電の不安定化もしくは給電不能を招来するおそれがあ
るが、請求項3または請求項4の給電チップのチップ先
端部材の第1部分または第2部分は、その剛性が適正範
囲内にあるのでその様な不具合を解消することができ、
また、所要の機械的強度を有し、機械加工可能でもあ
る。つまり、剛性が過小であるチップ先端部材の場合、
その第1部分や第2部分とチップ本体との結合部の断面
積が小さくて機械的強度が低下すると共に加工が困難に
なる。
方向にみてチップ先端部材の第1部分の上流部に排出孔
を形成したことを特徴とする。また、請求項6の溶接チ
ップは、溶接ワイヤ送り方向にみてチップ先端部材の第
1及び第2部分の上流部に排出孔をそれぞれ形成するこ
とを特徴とする。請求項5または請求項6の溶接チップ
によれば、給電チップのワイヤ挿通孔内に堆積した堆積
物が、溶接ワイヤがワイヤ挿通孔内を送られるにつれて
第1部分または第1及び第2部分の排出孔を介して給電
チップの外部へ排出され、これにより溶接ワイヤが円滑
に送られる。
成されたワイヤ挿通孔が、溶接ワイヤ送り方向下流側ほ
ど小径になるようなテーパ部を排出孔の下流側に有する
ことを特徴とする。請求項7の溶接チップでは、テーパ
部の上流側において給電チップのワイヤ挿通孔を大径に
して溶接ワイヤによる給電チップの摩耗を抑制する一
方、テーパ部の下流側においてワイヤ挿通孔を小径にし
て給電点位置の変動および溶接ワイヤの芯ぶれを抑制す
ることができる。また、テーパ部の下流側におけるワイ
ヤ挿通孔をワイヤ径よりも小径にすることにより、給電
点位置変動およびワイヤ芯ぶれの抑制作用を高くするこ
とができる。この場合、溶接ワイヤは、給電チップのチ
ップ先端部材の少なくとも第1部分を半径方向外方へ押
圧しつつチップ先端部材の第1部分と第2部分との間に
画成されるワイヤ挿通孔を通過することになる。この結
果、給電チップは溶接ワイヤに対して適正圧力で接触可
能であり、溶接ワイヤの引き出し抵抗も適正化されて溶
接ワイヤの送りが円滑になる。
イヤ挿通孔のテーパ部におけるテーパ角度が45度以下
であることを特徴とする。通常はテーパ角度を60度に
することによりワイヤ挿通孔を容易に形成可能である
が、請求項8のようにテーパ角度を45度以下にするこ
とにより前記排出孔からの堆積物の排出が促進される。
いし8のいずれかに記載の溶接チップを装着した溶接ト
ーチ本体を有する溶接トーチと、溶接トーチに溶接ワイ
ヤを供給するワイヤ送給装置と、溶接チップの給電チッ
プに電力を供給する溶接電源とを備えることを特徴とす
る。請求項9のアーク溶接装置によれば、請求項1ない
し8のいずれかに記載の溶接チップにより既述の効果が
奏される。アーク溶接装置は、作業者が溶接トーチを保
持する半自動式のものとして構成可能であり、或いは、
溶接トーチ、ワイヤ送給装置および溶接電源を走行台車
に搭載した自動式のものや、溶接トーチをロボットハン
ドに装着してなる溶接ロボットとして構成可能である。
また、アーク溶接装置は、溶接チップとこれを包囲して
設けたノズルとの間にシールドガスを供給するようにし
たガスシールド式に構成可能であり、或いは、その様な
シールドガスを供給しないノンガスシールド式のものに
構成することもできる。
溶接チップを有する溶接トーチを備えたアーク溶接装置
について説明する。図1に示すように、本実施形態のア
ーク溶接装置は、例えば、ロボット本体2のロボットハ
ンドに装着された溶接トーチ4と、この溶接トーチ4に
溶接ワイヤ6を供給するワイヤ送給装置8と、溶接トー
チ4に電力を供給する溶接電源10と、シールドガスを
溶接トーチ4に供給するガス供給装置12とを備えるガ
スシールド式の溶接ロボットとして構成される。図1
中、参照符号6aはコンジットチューブである。なお、
溶接ロボットの構成は図示のものに限定されない。
トーチ本体42と、これに装着された溶接チップ44
と、溶接トーチ本体42に装着されたノズル46とを備
え、ガス供給装置12から溶接チップ44とノズル46
との間の通路にシールドガスを供給するようになってい
る。溶接チップ44は、中空の溶接トーチ本体42に装
着された給電チップ52と、この給電チップ52の先端
側に装着された中空の金属ガイド54と、この金属ガイ
ド54内に収容された絶縁ガイド56と、給電チップ5
2に外嵌されたスプリング部材58とを備えている。図
2中、参照符号57はワイヤガイド孔を示す。
ップ本体62と、このチップ本体62とそれぞれ一体に
形成されたネジ部63及びチップ先端部材64とから構
成され、チップ先端部材64は、その軸心に沿ってその
全長にわたって形成されたスリット65により第1半部
(第1部分)66と第2半部(第2部分)68とに2分
割されている。なお、チップ先端部分64を3つ以上の
部分に分割することも可能である。
トーチ本体42の内周面の雌ネジに螺合する雄ネジが形
成され、図2に示すように給電チップ52をトーチ本体
42に螺着できるようになっている。また、給電チップ
52のチップ本体62の、溶接ワイヤ送り方向にみて下
流部の外周面には、中空の金属ガイド54の内周面に形
成された雌ネジに螺合する雄ネジが形成され、図2に示
すように給電チップ52に金属ガイド54を螺着可能に
なっている。
イヤ挿通孔53が貫通して形成され、このワイヤ挿通孔
53はチップ先端部材64に形成されたスリット65に
連通している。好ましくは、ワイヤ挿通孔53の上流部
は溶接ワイヤ6(図1)の直径よりも大きい第1孔径を
有し、下流部は溶接ワイヤ径よりも小さい第2孔径を有
する。大径のワイヤ挿通孔は、給電チップ52のネジ部
63先端面からチップ先端部材64の中間部まで延び、
孔径が第1孔径から第2孔径まで漸減するテーパ部53
aを介して小径のワイヤ挿通孔に連通している。テーパ
部53aにおけるテーパ角度θは好ましくは45度以下
である。
プ先端部材64の第1半部66は、チップ本体62と一
体の平板部66aと、この平板部66aと一体の段付き
半円筒部66bとからなる。一方、チップ先端部材64
の第2半部68は、チップ本体62と一体の小径の半円
筒部68aと、これと一体の段付き半円筒部68bとか
らなる。第1半部66の段付き半円筒部66bと第2半
部68の段付き半円筒部68bは、図4に示すように全
体として段付き円筒部69を構成し、この段付き円筒部
69の先端小径部分の外周面には上記スプリング部材5
8が装着される。本実施形態のスプリング部材58は、
例えばステンレス材からなる平板状のばね材を平面視C
字状のリングに成形したものであり、そのばね力で円筒
部69の外周面に嵌着可能になっており、円筒部外周面
にスプリング部材を収容するための周溝を形成する必要
は特にない。
材64の第1半部66の平板部66aの厚さは、大径の
ワイヤ挿通孔53の直径からスリット幅を減じて得た値
の半分よりも小さい値を有し、これにより、ワイヤ挿通
孔53を通る溶接ワイヤ6が露出するようになってい
る。換言すれば、平板部66aには排出孔66cが形成
されている。ここで、テーパ部53aの上流側でワイヤ
挿通孔53が大径であるので、平板部66aの厚さを過
度に薄くせずに排出孔66cを形成可能である。本実施
形態では、第1半部66の平板部66aの厚さをこのよ
うに適度に薄くして、第1半部66に所定の剛性たとえ
ば3.92N以上且つ39.2N以下の範囲内の剛性を
もたせるようにしている。ここで、剛性は、例えば日本
電産シンポ株式会社製のデジタルフォースゲージを用い
て測定することができる。
接チップの変形例を示す。この変形例に係る溶接チップ
は、その給電チップ52’のチップ先端部材64をスリ
ット形成により第1半部66と第2半部68’とに2分
割した点で上記実施形態のものに共通するが、第2半部
を平板部68’aと半円筒部68’bとで構成して上記
所定の剛性をもたせた点が相違する。
する上で、以下に順次説明する種々の試験を行った。先
ず、図9は、給電チップのチップ先端部材半部の剛性と
給電チップの加工性及び機械的強度との関係を示す。図
9の最上部には、本出願人が平成13年9月28日付で
提出した特願2001−303551号において先に提
案した先行例による十文字スリット付き給電チップ(図
示略)においてバネ部材を備えないものについての上記
関係が示されている。また、図9中、上から2番目に示
した関係はその給電チップにおいてバネ部材を備えた場
合に対応し、上から3番目にしたものは上記実施形態に
係る一文字スリット付き給電チップ52に対応し、最下
方に示したものは変形例に係る給電チップ52’に対応
する。また、図9中、←→は給電チップの機械的強度が
良好かつ加工可能な範囲を示し、●−●は機械的強度が
過小かつ加工困難な範囲を示し、◆−◆は加工不能な範
囲を示す。
スリット付き給電チップは、チップ先端部材の剛性が約
28N未満または約13N未満の範囲では加工不能であ
るのに対して、本実施形態およびその変形例に係る一文
字スリット付き給電チップは、約4N未満または約6N
未満の剛性範囲で加工困難になるものの、それ以外の剛
性範囲では加工可能であると共に機械的強度に優れる。
材64へのスプリング部材58の装着前後におけるワイ
ヤ挿通孔53の有効孔径の変化範囲を示す。図10中、
□マークは上記実施形態に係る給電チップに対応し、○
マークは上記先行例に係る給電チップに対応する。図1
0から分かるように、上記実施形態による一文字スリッ
ト付き給電チップ52によれば、チップ先端部材64の
第1半部66の剛性が低いことからスプリング部材58
のばね力によりワイヤ挿通孔53の有効孔径の変化範囲
は先行例に係る十文字スリット付き給電チップの場合の
約5倍ないし約6倍と極めて広い。これは、上記実施形
態に係る給電チップ52の許容摩耗範囲が大きく、耐久
性に優れることを表している。
52におけるチップ先端部材64の第1半部66の剛性
とワイヤ挿通孔53の許容摩耗範囲との関係を示す。図
11中、□マークは、溶接ワイヤ6が0.9mmφのY
GW16からなり溶接電流が150A、溶接電圧が20
V及びワイヤ突き出し長さが22mmという溶接条件で
の試験結果を示し、○マークは、溶接ワイヤが1.2m
mφのYGW16からなり溶接電流が250A、溶接電
圧が26V及びワイヤ突き出し長さ(給電点とワイヤ先
端間の距離)が28mmという溶接条件での試験結果を
表し、また、◎マークは、1.6mmφのYGW11か
らなる溶接ワイヤを用いて溶接電流350A、溶接電圧
38V及びワイヤ突き出し長さ35mmという溶接条件
で行った試験の結果を表している。
部66の剛性が39.2N以下であれば、必要最小範囲
よりも広い摩耗許容範囲を得ることができる。そして、
その様なチップ先端部材半部を備えた給電チップ52の
場合、給電チップの摩耗が相当に進行しても給電チップ
が適正な接触力で溶接ワイヤに接触可能であり、従っ
て、耐久性に富む。
(図示略)では、39.2N以上の剛性を有する場合は
所要の許容摩耗範囲を得ることができるがワイヤ送給抵
抗が過大になり、また、剛性が39.2N未満の場合は
接触抵抗が過小になってアークが不安定になった。本実
施形態の給電チップによれば、所要の許容摩耗範囲を確
保しつつワイヤ送給抵抗が過大になることがない。
状態における給電チップ52のワイヤ挿通孔53の孔径
とアーク安定度との関係を、上記実施形態に係る一文字
スリット付き給電チップ52および先行例に係る十文字
スリット付き給電チップについて比較して示す。ここで
は、溶接ワイヤは1.2mmφのYGW16からなり、
溶接電流および溶接電圧は250A及び31Vに設定し
た。図12中、○マークはアークが安定していたことを
示す。
給電チップ52では0.82mmないし1.04mmと
いう広い孔径範囲で安定したアークが得られ、先行例に
係る給電チップでは1.06mmないし1.12mmと
いう比較的狭い孔径範囲でアークが安定であった。図1
3は、上記実施形態に係る給電チップ52について、チ
ップ先端部材64の第1半部66の平板部66aの厚さ
と給電チップ52の耐久回数との関係を○マークで示
し、また、平板部厚さと堆積物量との関係を△マークで
示す。平板部厚さが0.7mm及び0.60mmのもの
は平板部66aに排出孔66cが形成されておらず、耐
久回数はそれぞれ500回及び550回であり、堆積物
量は55mg及び50mgであった。これに対して、平
板部厚さが0.45mmのものには排出孔が形成されて
おり、耐久回数は1000回であり、堆積物量は12m
gであった。ここで、給電チップの耐久回数は図18に
係る後述の耐久性試験と同様の方法で求めた。
mmないし0.7mmとした給電チップのいずれもが耐
久性および堆積物排出能力に優れていることを示し、ま
た、平板部厚さを薄くしてチップ先端部材64の第1半
部66の剛性を適度に低くすると共に平板部66aに排
出孔66cを設けることにより、給電チップ52の耐久
性が更に向上すると共に堆積物量を低減可能なことを表
している。
2’に係る同様の関係を、チップ先端部材の第1及び第
2半部66、68の各々の平板部厚さを0.7mm、
0.6mm及び0.45mmにした場合について示した
ものであり、この試験結果は図13の場合と同様の傾向
を表している。すなわち、平板部厚さの低減および平板
部への排出孔の形成により給電チップの耐久性向上およ
び堆積物量の低減が図られる。
1半部66の平板部66aの厚さが0.70mmである
と共にテーパ部53aの上流側及び下流側でのワイヤ挿
通孔53の孔径がそれぞれ1.60mmφ及び1.20
mmφである上記実施形態の給電チップ52におけるワ
イヤ挿通孔53のテーパ角度θと給電チップの耐久回数
との関係をテーパ角度30度、45度及び60度につい
て○マークで示すと共にテーパ角度θと堆積物量との関
係を△マークで示す。図15によれば、テーパ角度が4
5度の給電チップはテーパ角度が60度のものよりも耐
久回数および堆積物排出能力に優れ、また、テーパ角度
を30度にすることにより耐久性および堆積物排出能力
が更に向上する。
半部の各平板部66a、68’aの厚さが0.45mm
であると共にテーパ部上流側及び下流側でのワイヤ挿通
孔の孔径それぞれ1.60mmφ及び1.20mmφで
ある上記変形例に係る給電チップ52’について同様の
関係を示し、テーパ角度が小さいほど耐久回数が増大す
ると共に堆積物量が低減することを表している。また、
上記実施形態の給電チップ52に比べて変形例による給
電チップ52’が耐久性および堆積物排出能力に優れる
ことを表す。
耗に伴うワイヤ引き出し抵抗の変化とワイヤ挿通孔の孔
径との関係を、上記実施形態による一文字スリット付き
給電チップ52および先行例に係る十文字スリット付き
給電チップについて比較して示す。ここでは、1.2m
mφのYGW12からなる溶接ワイヤを用いた。上記実
施形態による給電チップのチップ先端部材の第1半部6
6は約11Nの剛性を有し、先行例に係る給電チップの
チップ先端部材の十文字スリットにより4つに分割され
た各部分は約34Nの剛性を有する。図17中、◆マー
クおよび●マークは上記実施形態および先行例に係る給
電チップにそれぞれ対応し、給電チップが摩耗するにつ
れてワイヤ引き出し抵抗が減少することを示している。
図17中、給電チップのチップ先端部材にスプリング部
材を装着した状態でのワイヤ挿通孔の孔径を横軸にとっ
ている。
係る給電チップの場合、約0.80mmないし約1.0
4mmという広い孔径範囲において、給電チップの摩耗
前後でのワイヤ引き出し抵抗が、安定なワイヤ送給を可
能とする許容範囲内で変化する。一方、上記提案に係る
給電チップの場合、約1.125mm以上の孔径範囲で
は給電チップが摩耗するとワイヤ引き出し抵抗が許容下
限値を下回る。これは、上記実施形態の給電チップがそ
の摩耗が相当に進行しても所要のワイヤ引き出し抵抗を
付与してワイヤ供給を安定に行えることを表している。
とくに溶接チップの作用を説明する。アーク溶接装置に
おいて、溶接ワイヤ6がワイヤ送給装置8から溶接トー
チ4の内部に供給され、更に、溶接トーチ本体42に装
着された溶接チップ44の給電チップ52のワイヤ挿通
孔53内に供給される。その一方で、シールドガスがガ
ス供給装置12から溶接トーチ4に装着されたノズル4
6と溶接チップ44間の間隙に供給され、また、溶接電
源10から給電チップ52に電力が供給され、溶接ワイ
ヤ先端とワークとの間にアークが発生してアーク熱によ
り溶接が行われる。
からチップ先端部材64の中間部まで延びる大径のワイ
ヤ挿通孔内を送られてきた溶接ワイヤ6は、ワイヤ挿通
孔53のテーパ部53aを介して小径のワイヤ挿通孔へ
供給される。テーパ部下流のワイヤ挿通孔が溶接ワイヤ
径よりも小径であることから、溶接ワイヤ6は、チップ
先端部材の第1半部66を、その平板部66aとチップ
本体62との結合部回りに給電チップ半径方向外方へ移
動させつつテーパ部53aを通過するが、第1半部66
にはスプリング部材58により半径方向内方へ作用する
ばね力が加えられる。第1半部66の剛性およびスプリ
ング部材58のばね力が適宜の値に調節されており、チ
ップ先端部材の第1半部66は、溶接ワイヤ6に適度の
力をもって接触した状態に維持される。すなわち、第1
半部66の剛性が過小であってスプリング部材58の作
用下で溶接ワイヤ6に過大な力で接触する場合に生じる
発熱が防止され、また、過大な剛性に起因した溶接ワイ
ヤとの接触不良による給電の不安定化もしくは給電不能
が防止される。
とが接触する給電点の位置が安定に保たれ、アークの安
定化及び給電チップの耐久性向上が図られる。また、給
電チップ52のチップ本体側のワイヤ挿通孔内の堆積物
がワイヤ挿通孔に連通したスリット55を介して排出さ
れる。更に、堆積物は、第1半部の平板部の排出孔66
cを介して外部へ排出される。この結果、堆積物により
ワイヤ送りが阻害されるおそれが低減する。これに加え
て、ワイヤ挿通孔53のテーパ角度θが45度以下にな
っており、堆積物の排出が更に促進される。
のと基本的には同一であり、その説明を省略する。本発
明者は、上記実施形態に係る給電チップの耐久性を調べ
た。先ず、実施形態に係る給電チップを備えた半自動ア
ーク溶接機を製作し、同溶接機を用いて水冷ドラムに対
してビードオンドラム溶接を行った。そして、2分間の
溶接と30秒間の休止とをもって1回の溶接とし、合計
180回の溶接を行った。この溶接中、溶接10回毎に
溶接電流を測定した。
に示すとおりである。 溶接ワイヤ DD50S 1.2mmφ シールドガス Ar+20%CO2 溶接電流 250A ワイヤ送給速度 毎分1105cm アーク電圧 29V また、従来公知の給電チップを備えた半自動アーク溶接
機を用いて同様の溶接試験を同一の溶接条件で実施し
た。但し、ワイヤ送給速度を毎分890cmとした点が
異なる。
中、○マーク及び●マークは上記実施形態に係る給電チ
ップ52についての溶接回数と溶接電流振れ幅との関係
を示し、◇マーク及び◆マークは従来公知の給電チップ
についての同様の関係を示す。●マークおよび◆マーク
は、溶接を10回行う度にコンジットケーブルを60度
の角度をなす2つのケーブル固定位置間で揺動させた場
合の測定値を示す。図18から分かるように、従来公知
の給電チップの場合には溶接回数が90回に達した後に
溶接電流の振れ幅が増大したが、上記実施形態の給電チ
ップ52の場合には180回の溶接を行った間、溶接電
流振れ幅は特に大きく変動しなかった。これは、給電チ
ップ52を介する溶接ワイヤへの給電が安定に行われた
こと、換言すれば、給電チップの耐久性に優れることを
示している。
例に係る溶接チップを備えたアーク溶接装置についての
説明を終えるが、本発明の溶接チップおよびアーク溶接
装置はこれに限定されず、種々に変形可能である。例え
ば、上記実施形態では、ガスシールド式溶接ロボットと
して構成されたアーク溶接装置について説明したが、本
発明のアーク溶接装置は、作業者が溶接トーチを保持す
る半自動溶接装置あるいは溶接トーチ、ワイヤ送給装
置、溶接電源などを走行台車に搭載してなる自動溶接装
置として構成しても良く、また、ガス供給装置を備えな
いノンガスシールド式に構成可能である。また、アーク
溶接装置のロボット本体を図1に例示したような多関節
ロボット形式に構成することは必須でない。例えば、ロ
ボット本体は、溶接トーチを直線的に往復動可能に支持
する第1スライダとこれを高さ方向移動可能に支持する
第2スライダとを備えるもので良く、溶接トーチ移動軸
と直交する方向にワークを往復動可能に支持するワーク
台と組み合わせて使用可能である。
先端部材を上記実施形態の場合のように2分割すること
は必須でなく、例えば、本出願人が先に提案した先行例
の場合のようにチップ先端部材を十文字スリットにより
4分割するようにしても良く、この場合、チップ先端部
材の少なくとも一つの分割部分を所定の剛性を備えるよ
うに構成する。そのため、例えば、チップ先端の両部材
を円周方向に加工して薄肉化して所定の剛性を備えるよ
うにすることができる。
種々に変形可能である。
ップのチップ先端部材の第1部分が所定の剛性を有して
移動可能であると共にスプリング部材によりチップ先端
部材にばね力が常時加えられるので、給電チップのワイ
ヤ挿通孔を通る溶接ワイヤによる給電チップの摩耗が相
当に進行した場合にも給電チップと溶接ワイヤとの接触
が確保され、給電点の位置が安定になり、アークの安定
化および給電チップの耐久性向上が図られる。また、給
電チップのワイヤ挿通孔内の堆積物をワイヤ挿通孔に連
通したスリットを介して排出することができ、堆積物に
よりワイヤ送りが阻害されるおそれを低減することがで
きる。
プのチップ先端部材を2つの部分に分割すれば良く、従
って、その製造が容易である。また、給電チップの摩耗
が進行した場合も溶接ワイヤとの接触力を適正値に維持
でき、アークの安定化及び給電チップの耐久性向上を図
ることができる。請求項3または請求項4の溶接チップ
によれば、給電チップのチップ先端部材の第1部分また
は第1及び第2部分が適正な剛性を備えるので、給電チ
ップと溶接ワイヤとの接触力が適正値に維持され、安定
な給電を行える。また、チップ先端部材の第1部分また
は第1及び第2部分は所要の機械的強度を有し、機械加
工可能である。
れば、給電チップのワイヤ挿通孔内に堆積した堆積物を
第1部分または第1及び第2部分の排出孔を介して給電
チップの外部へ排出することができ、溶接ワイヤ送りを
円滑に行える。請求項7の溶接チップは、給電チップに
形成されたワイヤ挿通孔がテーパ部を排出孔の下流側に
有するので、溶接ワイヤによる給電チップの摩耗を抑制
すると共に給電点位置の変動および溶接ワイヤの芯ぶれ
を抑制することができる。また、溶接ワイヤに対して給
電チップを適正圧力で接触させることができ、溶接ワイ
ヤの引き出し抵抗を適正化して円滑な溶接ワイヤ送りを
実現することができる。
テーパ部におけるテーパ角度が45度以下であるので、
排出孔からの堆積物の排出を促進することができる。請
求項9のアーク溶接装置は、請求項1ないし8のいずれ
かに記載の溶接チップを装着した溶接トーチ本体を有す
る溶接トーチと、溶接トーチに溶接ワイヤを供給するワ
イヤ送給装置と、溶接チップの給電チップに電力を供給
する溶接電源とを備えるので、溶接チップにより既述の
効果を得ることができる。
略側面図である。
チのトーチ本体、溶接チップおよびノズルを示す拡大部
分断面図である。
その右半部を断面で示した拡大図である。
チップを示す図3と同様の図である。
る。
プならびに本出願人が先に提案した先行例による給電チ
ップについて、給電チップのチップ先端部材半部の剛性
と給電チップの加工性および機械的強度との関係を示す
図である。
る、チップ先端部材へのスプリング部材の装着前後での
ワイヤ挿通孔の有効孔径の変化範囲を示す図である。
チップ先端部材の第1半部の剛性とワイヤ挿通孔の許容
摩擦範囲との関係を示す図である。
行例に係る給電チップについて、スプリング部材装着状
態におけるワイヤ挿通孔の孔径とアーク安定度との関係
を示す図である。
て、チップ先端部材の第1半部の平板部の厚さと給電チ
ップの耐久回数および堆積物量との関係を示す図であ
る。
図13と同様の図である。
ーパ角度と給電チップの耐久回数及び堆積物量との関係
を示す図である。
図である。
ヤ引き出し抵抗の変化とワイヤ挿通孔の孔径との関係
を、本発明の実施形態による給電チップと先行例に係る
給電チップについて比較して示す図である。
来公知の給電チップにおける溶接回数と溶接電流振れ幅
との関係を示す図である。
Claims (9)
- 【請求項1】 溶接ワイヤを挿通させるワイヤ挿通孔が
形成され且つ溶接トーチ本体に装着可能な給電チップ
と、前記給電チップの先端側に装着された金属ガイド
と、前記金属ガイド内に収容され且つ前記溶接ワイヤを
挿通させるワイヤガイド孔が形成された絶縁ガイドとを
備えるアーク溶接用溶接チップにおいて、 前記給電チップが、前記溶接トーチ本体に装着可能なチ
ップ本体とこれと一体に形成されたチップ先端部材とを
備え、 前記チップ先端部材が、その軸心に沿ってその全長にわ
たって形成され且つ前記ワイヤ挿通孔に連通したスリッ
トにより、少なくとも第1及び第2部分に分割され、 前記第1部分が所定の剛性を有して前記チップ本体との
結合部の回りで移動可能であり、 前記溶接チップが、前記給電チップの前記チップ先端部
材に外嵌されて前記チップ先端部材にばね力を加えるス
プリング部材を備えることを特徴とするアーク溶接用溶
接チップ。 - 【請求項2】 前記給電チップの前記チップ先端部材が
前記第1及び第2部分から構成され、前記第2部分が所
定の剛性を有して前記チップ本体との結合部の回りで移
動可能であることを特徴とする請求項1に記載のアーク
溶接用溶接チップ。 - 【請求項3】 前記チップ先端部材の前記第1部分の剛
性が3.92N以上かつ39.2N以下であることを特
徴とする請求項1に記載のアーク溶接用溶接チップ。 - 【請求項4】 前記チップ先端部材の前記第1及び第2
部分の各々の剛性が、3.92N以上かつ39.2N以
下であることを特徴とする請求項2に記載のアーク溶接
用溶接チップ。 - 【請求項5】 溶接ワイヤ送り方向にみて前記チップ先
端部材の前記第1部分の上流部に排出孔を形成したこと
を特徴とする請求項1に記載のアーク溶接用溶接チッ
プ。 - 【請求項6】 溶接ワイヤ送り方向にみて前記チップ先
端部材の前記第1及び第2部分の上流部に排出孔をそれ
ぞれ形成することを特徴とする請求項2に記載のアーク
溶接用溶接チップ。 - 【請求項7】 前記給電チップに形成された前記ワイヤ
挿通孔が、溶接ワイヤ送り方向下流側ほど小径になるよ
うなテーパ部を前記排出孔の下流側に有することを特徴
とする請求項1に記載のアーク溶接用溶接チップ。 - 【請求項8】 前記給電チップの前記ワイヤ挿通孔の前
記テーパ部におけるテーパ角度が45度以下であること
を特徴とする請求項7に記載のアーク溶接用溶接チッ
プ。 - 【請求項9】 請求項1ないし8のいずれかに記載の溶
接チップを装着した溶接トーチ本体を有する溶接トーチ
と、 前記溶接トーチに溶接ワイヤを供給するワイヤ送給装置
と、 前記溶接チップの前記給電チップに電力を供給する溶接
電源とを備えることを特徴とするアーク溶接装置。
Priority Applications (4)
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---|---|---|---|
JP2002083502A JP2003285165A (ja) | 2002-03-25 | 2002-03-25 | アーク溶接用溶接チップおよびアーク溶接装置 |
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---|---|
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Country | Link |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100617501B1 (ko) | 2004-12-08 | 2006-09-01 | 동남정밀 주식회사 | 용탕내 불순물 여과장치 |
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-
2002
- 2002-03-25 JP JP2002083502A patent/JP2003285165A/ja active Pending
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