JP2003282354A - 電子部品 - Google Patents

電子部品

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JP2003282354A
JP2003282354A JP2002089213A JP2002089213A JP2003282354A JP 2003282354 A JP2003282354 A JP 2003282354A JP 2002089213 A JP2002089213 A JP 2002089213A JP 2002089213 A JP2002089213 A JP 2002089213A JP 2003282354 A JP2003282354 A JP 2003282354A
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film
capacitor
dielectric film
electronic component
thin film
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JP2002089213A
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English (en)
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Yoshiaki Kai
義昭 貝
Noriyasu Echigo
紀康 越後
Kazuyoshi Honda
和義 本田
Hideki Okumura
英樹 奥村
Hisaaki Tachihara
久明 立原
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高湿度下や高温度下においても優れた特性を
示す電子部品を提供する。 【解決手段】 以下の化学式(1)で表されるチオエー
テル誘導体の異性体のうち少なくとも一種類を含む樹脂
モノマーを使用することにより、高湿度下や高温度下に
おいても優れた特性を示す電子部品を提供することがで
きる。本発明の電子部品は、たとえば、図1(a)また
は(b)に示すように、支持体11と、支持体11上に
形成された下部電極膜12と、下部電極膜12上に配置
された誘電体膜13と、誘電体膜13上に配置された上
部電極膜14とを備える。誘電体膜13は、樹脂モノマ
ーを含む薄膜を形成したのち、上記薄膜中で重合反応を
起こさせることによって形成された樹脂膜である。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、誘電体膜を備える
電子部品に関し、特にコンデンサに関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、コンデンサなどに用いられる
誘電体膜には、樹脂膜が用いられている。このような誘
電体膜は、特公昭63−32929号、特開平11−1
47272号公報およびUSP5,125,138号に示
されるように、基板に蒸着した樹脂モノマーに電子線や
紫外線を照射し、前記樹脂モノマーを重合(硬化)させ
ることによって形成されている。
【0003】上記誘電体膜を形成するための樹脂モノマ
ーとしては、たとえば、以下の化学式(A)で表される
ジメチロールトリシクロデカンジアクリレートや、以下
の化学式(B)で表される1,9−ノナンジオールジア
クリレートなどのアクリル酸エステル化合物が用いられ
てきた。
【化2】
【化3】
【0004】しかしながら、前記化学式(A)や(B)
の樹脂モノマーは、高湿度や高温度の条件に弱いという
問題があった。すなわち、前記樹脂モノマー分子中のエ
ステル基は吸湿性(親水性)であるため、前記樹脂モノ
マーによって形成された誘電体膜を用いた電子部品は、
高湿度下では十分な特性を発揮できないおそれがある。
また、前記樹脂モノマー分子中の直鎖炭化水素基や脂環
式炭化水素基は高温時に酸化分解しやすいため、前記樹
脂モノマーによって形成された誘電体膜を用いた電子部
品は、高温度下では十分な特性を発揮できないおそれが
ある。このように、従来の樹脂モノマーによって形成さ
れた誘電体膜によっては、高湿度や高温度の条件下でも
十分な特性を発揮する電子部品を作製することは困難で
あった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記問題を解決するた
め、本発明は、高湿度下や高温度下においても特性が良
好な電子部品を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の電子部品は、誘電体膜を備える電子部品で
あって、上記誘電体膜が、少なくとも一種以上の樹脂モ
ノマーを含む薄膜を形成したのち上記薄膜を重合反応さ
せることによって形成された膜であり、上記樹脂モノマ
ーが、以下の化学式(1)で表されるチオエーテル誘導
体の異性体のうち少なくとも一種類を含むことを特徴と
する。ただし、化学式(1)において、ベンゼン環上の
ビニル基の位置は、それぞれメチレン鎖のメタ位または
パラ位である。
【化4】
【0007】上記構成により、本発明の電子部品は、高
湿度下や高温度下においても優れた特性を有する。上記
本発明の電子部品では、上記誘電体膜の少なくとも一部
を挟んで対向して配置された一対の電極をさらに備える
ことが好ましい。
【0008】また、上記本発明の電子部品では、上記薄
膜が添加剤を含むことが好ましい。上記添加剤としては
酸化防止剤がさらに好ましい。酸化防止剤を含むことに
より、誘電体膜の酸化を防止することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。
【0010】(樹脂モノマーおよびその製造方法)本発
明の電子部品に使用する樹脂モノマーは、化学式(1)
で表されるチオエーテル誘導体の異性体のうち少なくと
も一種類を含む。ただし、化学式(1)において、ベン
ゼン環上のビニル基の位置は、それぞれメチレン鎖のメ
タ位またはパラ位である。
【化5】
【0011】前記化学式(1)のチオエーテル誘導体
は、たとえば、以下の方法によって製造することができ
る。すなわち、まず、以下の化学式(2)で表される
1,4−ジチア−シクロヘキサン−2,5−ジメチレン
チオールとアルカリ金属塩水溶液とを反応させ、1,4
−ジチア−シクロヘキサン−2,5−ジメチレンチオラ
ートを生成させる。反応温度は、たとえば40℃〜50
℃である。アルカリ金属塩としては、たとえばNaOH
やKOHなどが好ましい。次に、このチオラートと以下
の化学式(3)で表されるクロロメチルスチレン(メタ
体、パラ体または両者の混合物)とを、たとえば50℃
〜60℃の温度で反応させることによって、上述した化
学式(1)で表されるチオエーテル誘導体を容易に製造
することができる。
【化6】
【化7】
【0012】前記化学式(2)で表される1,4−ジチ
ア−シクロヘキサン−2,5−ジメチレンチオールは、
淀化学株式会社から販売されている。また、前記化学式
(3)で表されるクロロメチルスチレンは、セイミケミ
カル株式会社からCMS-P(メタ体50%、パラ体50
%)およびCMS-14(メタ体5%、パラ体95%)と
いう商品名で販売されている。
【0013】(電子部品)次に、本発明の電子部品につ
いて説明する。
【0014】本発明の電子部品は特に限定されないが、
たとえばコンデンサが好ましい。前記樹脂モノマーを用
いて、コンデンサの誘電体膜を形成することにより、高
湿度下および高温度下においても優れた特性のコンデン
サが得られる。
【0015】[実施形態1]図1(a)に、本発明のコ
ンデンサの一例の断面を示す。同図に示す通り、このコ
ンデンサ10は、支持体11と、支持体11上に形成さ
れた下部電極膜12と、下部電極膜12上に形成された
誘電体膜13と、誘電体膜13上に形成された上部電極
膜14とを備える。すなわち、コンデンサ10は、誘電
体膜13と、誘電体膜を挟んで対向して配置された一対
の電極(下部電極膜12および上部電極膜14)とを備
える。下部電極膜12および上部電極膜14は、それぞ
れ電気回路(図示せず)に接続されている。また、誘電
体膜13および上部電極膜14は、それぞれ、一部が支
持体11に接している。
【0016】なお、下部電極膜12が支持体を兼ねる場
合には、支持体11はなくても良い。
【0017】次に、前記コンデンサ10を構成する各構
成要素について説明する。まず、誘電体膜13は、前記
チオエーテル誘導体を樹脂モノマーとして用いて形成し
た樹脂膜であり、この樹脂膜中には、添加剤などがさら
に含まれていてもよい。また、上記薄膜は、樹脂モノマ
ーとして、上記チオエーテルのみを用いたものでも良い
し、それ以外の樹脂モノマーを併用したものでも良い。
さらに、上記樹脂モノマーは、アミン系、フェノール系
等の重合禁止剤を有する。
【0018】支持体11の材質は特に限定されず、さま
ざまなものを用いることができる。具体的には、たとえ
ば、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETという
場合がある)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、
ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアミド
(PA)、またはポリイミド(PI)などの高分子フィ
ルムを用いることができる。支持体11の厚さは特に限
定されないが、たとえば、1μm〜75μmである。
【0019】下部電極膜12および上部電極膜14に
は、導電性を有する膜を用いることができ、たとえば金
属膜を用いることができる。金属膜は特に限定されない
が、たとえば、アルミ、亜鉛、銅などを主成分とする金
属膜を用いることができる。電極膜の膜厚についても特
に限定はないが、たとえば、膜厚が10nm〜150n
mの膜を用いることができ、好ましくは膜厚が20nm
〜50nmの膜を用いることができる。
【0020】このコンデンサ10は、たとえば図2およ
び3に示す方法により製造することができる。以下、こ
の製造方法について説明する。
【0021】まず、図2(a)に示すように、支持体1
1上に、下部電極膜12を形成する。下部電極膜12の
形成方法は特に限定されないが、たとえば、電子ビーム
蒸着、抵抗加熱蒸着、誘導加熱蒸着などの真空蒸着法、
イオンプレーティング法、スパッタリング法またはメッ
キ法などを使用することができる。なお、下部電極膜1
2を所定の形状に形成するには、メタルマスクを用いた
り、フォトリソグラフィーやエッチングなどの技術を用
いることができる。
【0022】次に、図2(b)に示すように、下部電極
膜12上に、樹脂モノマーを含む薄膜13aを形成す
る。薄膜13aは、重合反応によって誘電体膜13とな
る膜であり、上述した化学式(1)で表される樹脂モノ
マーや添加剤を含む。薄膜13aは、たとえば、図3に
示すようにして形成することができる。すなわち、同図
に示すように、真空下で薄膜13aを形成する樹脂モノ
マー31を入れた容器32を下部電極膜12に向けて配
置し、容器32を加熱して樹脂モノマーを蒸発させるこ
とによって形成できる。薄膜13aを所定の形状に形成
するには、メタルマスク(図示せず)を用いればよい。
ここで、樹脂モノマー31は、樹脂モノマーに加えて、
さらに添加剤を含んでいてもよい。このような添加剤と
しては、たとえば、重合開始剤、酸化防止剤、可塑剤、
界面活性剤、密着性向上剤などが挙げられる。重合開始
剤としては、たとえば、2−ベンジル−2−ジメチルア
ミノ−1−(4−モルフェリノフェニル)−ブタノン−
1、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェ
ニルフォスフィンオキサイド、2−メチル−1[4−
(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン
−1−オン(以上それぞれ、商品名イルガキュア36
9、819および907、チバスペシャルティケミカル
ズ製)を用いることができる。また、酸化防止剤として
は、たとえば、オクタデシル−3−(3,5−ジ−te
rt−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト、ベンゼンプロパン酸,3,5−ビス(1,1−ジメ
チルエチル)−4−ヒドロキシ,C7−C9側鎖アルキ
ルエステル、4,6ビス(オクチルチオメチル)−o−
クレゾール(以上それぞれ、商品名IRGANOX−1
076、1135および1520L、チバスペシャルテ
ィケミカルズ製)を用いることができる。
【0023】樹脂モノマー31が重合開始剤を含む場合
には、重合開始剤の含有量は、0.5重量%〜10重量
%であることが好ましく、1重量%〜3重量%であるこ
とが特に好ましい。重合開始剤の含有量を0.5重量%
以上とすることによって、次の工程における薄膜13a
の重合反応(硬化)速度を速めることができる。また、
重合開始剤の含有量を10重量%以下とすることによっ
て、樹脂モノマー31のポットライフが短くなりすぎる
のを防止できる。さらに、重合開始剤の含有量を1重量
%〜3重量%とすることによって、硬化速度を速めると
ともに、樹脂モノマー31のポットライフが短くなるこ
とを防止し、コンデンサ10の製造を容易にできる。
【0024】樹脂モノマー31が酸化防止剤を含む場合
には、酸化防止剤の含有量は、0.1重量%〜10重量
%であることが好ましく、0.5重量%〜5重量%であ
ることが特に好ましい。酸化防止剤の含有量を0.1重
量%以上とすることによって、誘電体膜13の酸化を防
止できる。また、酸化防止剤の含有量を10重量%以下
とすることによって、薄膜13aの硬化速度を実用的な
値にすることができる。さらに、酸化防止剤の含有量を
0.5重量%以上とすることによって、誘電体膜13の
酸化を顕著に防止できる。そして、酸化防止剤の含有量
を5%以下とすることによって、薄膜13aの硬化速度
を好ましい値にすることができる。
【0025】さらに、図2(c)に示すように、薄膜1
3a中で樹脂モノマーの重合反応(硬化)を起こさせる
ことによって、薄膜13aを誘電体膜13に変化させ
る。重合反応は、たとえば、薄膜13aに紫外線や電子
線を照射することによって起こさせることができる。
【0026】そして、図2(d)に示すように、誘電体
膜13の上に上部電極膜14を形成して、コンデンサ1
0を製造する。なお、上部電極膜14の形成方法は特に
限定されず、下部電極膜12と同様の方法によって形成
できる。また、下部電極膜12、誘電体膜13および上
部電極膜14を形成したのち、支持体11を除去しても
よい。
【0027】コンデンサ10の使用方法は特に限定され
ず、公知の方法により使用することができるが、通常、
下部電極膜12と上部電極膜14とをそれぞれ電気回路
に接続して使用する。電気回路に接続する方法として
は、たとえば、はんだ付け、金属溶射、クランプなどの
方法を用いることができる。コンデンサ10は、誘電体
膜13が、高湿度下や高温度下でも変質しにくいため、
高湿度下や高温度下においても特性が良好である。
【0028】[実施形態2]図1(b)に、本発明のコ
ンデンサのその他の一例の断面を示す。このコンデンサ
10aは、誘電体膜13および上部電極14が支持体1
1に接していない以外は、実施形態1で述べたコンデン
サ10と同様の構造を有している。製造方法および使用
方法についても、コンデンサ10と同様である。
【0029】[実施形態3]図4に、本発明のコンデン
サのさらにその他の一例を示す。図4(a)は、このコ
ンデンサの断面図であり、図4(b)は、このコンデン
サの斜視図である。
【0030】図4(a)に示す通り、コンデンサ40
は、誘電体膜41(ハッチングは省略する)と、複数の
電極42aおよび42bと、外部電極43aおよび43
bと、金属薄膜44とを備える。外部電極43aおよび
43bは互いに平行に配置されており、それらの間に
は、誘電体膜41と、電極42aおよび42bと、金属
薄膜44とが配置されている。電極42aは外部電極4
3aと、電極42bは外部電極43bとそれぞれ垂直に
接続されており、電極42aと電極42bとは互い違い
に平行に配置されている。そして、電極42aと42b
との間隙は、誘電体膜41で充填されている。すなわ
ち、コンデンサ40は、誘電体膜41の少なくとも一部
を挟んで対向して配置された少なくとも一対の電極を備
える。金属薄膜44は、外部電極43aおよび43bに
それぞれ垂直に接続されており、誘電体膜41中であっ
て電極42aおよび42bの外側に配置されている。金
属薄膜44と電極42aおよび42bとの間隙は誘電体
膜41で充填されており、金属薄膜44の外側は、さら
に誘電体膜41で被覆されている。
【0031】コンデンサ40のうち、複数の電極42a
と電極42aに対向するように配置された電極42bが
存在する部分が素子層40aとなる。また、コンデンサ
40のうち、金属薄膜44が形成されている部分が補強
層40bとなる。さらに、コンデンサ40のうち、金属
薄膜44の外側を被覆する誘電体膜41の部分が保護層
40cとなる。補強層40bおよび保護層40cは、素
子層40aが熱負荷や外力によって損傷を受けるのを防
止する層である。
【0032】なお、場合によっては、金属薄膜44およ
びその外側を被覆する誘電体膜41はなくても良い。す
なわち、補強層40bや保護層40cがないコンデンサ
であっても良い。
【0033】次に、前記コンデンサ40を構成する各構
成要素について説明する。誘電体膜41は、実施形態1
で説明した誘電体膜13と同様の誘電体膜である。電極
42aおよび42bは、実施形態1で説明した下部電極
膜12および上部電極膜14と同様であり、材質および
厚みは前記下部電極膜12および上部電極膜14と同様
で良い。外部電極43aおよび43bも、電極42aお
よび42bと同様の材質で形成されていて良い。また、
電極金属薄膜44bも電極42aおよび42bと同様で
良い。
【0034】前記コンデンサ40は、たとえば以下の方
法により製造することができる。すなわち、まず、誘電
体膜41と、電極42aおよび42bと、金属薄膜44
とを、所定の順番により交互に積層する。積層する方法
は、たとえば実施形態1で説明した方法と同様の方法を
使用することができる。そして、その外側に外部電極4
3aおよび43bを形成して、コンデンサ40を製造す
ることができる。外部電極43aおよび43bは、たと
えば、金属溶射法、バンプ電極形成法または導電性ペー
スト塗布法などによって形成できる。
【0035】コンデンサ40の使用方法は特に限定され
ないが、たとえば実施形態1と同様の方法により使用す
ることができる。コンデンサ40は、誘電体膜41が、
高湿度下や高温度下でも変質しにくいため、高湿度下や
高温度下においても特性が高い。
【0036】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に
説明する。
【0037】(実施例1)前記化学式(1)のチオエー
テル誘導体を合成し、さらに、それを樹脂モノマーとし
てコンデンサを作製した。
【0038】[樹脂モノマーの合成]以下に示す方法に
より、前記化学式(1)で表されるチオエーテル誘導体
を合成した。すなわち、まず、前記淀化学株式会社より
購入の1,4−ジチア−シクロヘキサン−2,5−ジメ
チレンチオール21.2g(0.10モル)と、5%苛
性ソーダ(NaOH)水溶液200g(0.25モル)
とを40℃〜50℃で反応させ、1,4−ジチア−シク
ロヘキサン−2,5−ジメチレンチオラートを生成させ
た。次に、この溶液に、前記CMS-P(メタ体50
%、パラ体50%のクロロメチルスチレン)30.5g
(0.20モル)を投入した後、50℃〜60℃で1時
間撹拌を続け、反応させた。反応終了後、得られた溶液
にトルエン300mを加え、次に、苛性ソーダ水層を除
去した。このトルエン溶液を5重量%塩化水素水(塩
酸)50mlで洗浄し、その後、さらに蒸留水300m
lでpHが7になるまで繰り返し洗浄した。洗浄後の溶
液を、無水硫酸ナトリウムで乾燥させたのち、重合禁止
剤であるp−メトキシフェノール0.015g(CMS
-Pに対して10000分の5重量部)を加えた。そし
て、この溶液から溶媒を留去して、目的のチオエーテル
誘導体を淡黄色透明の液体として得た(収量44g)。
【0039】上記で得られた液体が目的のチオエーテル
誘導体であることは、ゲルパーミエーションクロマトグ
ラフィ(GPC)および赤外分光分析(IR)の測定に
より確認した。なお、IRの測定は、島津製作所社の、
商品名FTIR−8100Mという測定機器を用いて行
った。図5にIRの測定結果を示す。図5からわかると
おり、前記液体は、ビニル基に基づく1630cm-1
吸収ピークと、芳香環に基づく1510cm-1、158
0cm-1および1600cm-1の吸収ピークを示した。
また、GPCによると、原料および副生成物は検出され
ず、目的物が純粋に得られていることがわかった。この
ことから、前記液体は、化学式(1)で表されるチオエ
ーテル誘導体であることが判明した。
【化8】
【0040】[コンデンサの作製]次に、上記で合成し
たチオエーテル誘導体を用いて、図1(a)に示す構造
を有するコンデンサを作製した。このコンデンサ作製の
工程を、図2および図3を用いて説明する。まず、図2
(a)に示すように、厚さ25μmのPET(ポリエチ
レンテレフタレート)基板11を用意し、このPET基
板11上に、アルミからなる下部電極膜12(厚さ30
nm)を、100nm/秒の堆積速度で蒸着した。
【0041】次に、図2(b)に示すように、下部電極
膜12上に前記化学式(1)のチオエーテル誘導体を樹
脂モノマーとして蒸着することによって、樹脂モノマー
からなる薄膜13a(厚さ200nm)を形成した。図
3に、この薄膜13の形成方法の概略を示す。同図に示
すように、容器32に、前記化学式(1)のチオエーテ
ル誘導体31を樹脂モノマーとして入れ、これを加熱し
て下部電極膜12の表面に蒸着し、薄膜13aを形成し
た。なお、加熱温度は、500nm/秒の蒸着速度とな
るように調整した。また、下部電極膜12の表面はすべ
て薄膜13aで覆わず、一部は露出するようにした。
【0042】さらに、図2(c)に示すように、前記薄
膜13a中の樹脂モノマーを重合させることによって、
前記薄膜13aを誘電体膜13に変化させた。この重合
は、−15kVの加速電子を50μA/cm2の密度で
2秒間、薄膜13aに照射することにより行った。
【0043】そして、図2(d)に示すように、誘電体
膜13の上方であって下部電極膜12と接触しない位置
に、アルミからなる上部電極膜14を、100nm/秒
の堆積速度で蒸着して、コンデンサ10を作製した。
【0044】(実施例2)樹脂モノマー中に酸化防止剤
として前記IRGANOX1520Lを3重量%添加す
る以外は実施例1と同様にしてコンデンサを作製した。
【0045】(比較例1)樹脂モノマーとして前記化学
式(A)の化合物を用いる以外は実施例1と同様にして
コンデンサを作製した。
【0046】(比較例2)樹脂モノマーとして前記化学
式(B)の化合物を用いる以外は実施例1と同様にして
コンデンサを作製した。
【0047】(コンデンサの特性評価)上記実施例1お
よび2、比較例1および2の4種類のコンデンサについ
て、特性の評価を行った。具体的には、吸湿容量変化
率と、高温負荷容量変化率と、コンデンサを温水に
浸漬した時の厚さの変化を調べた。
【0048】吸湿容量変化率の評価は、以下のように
して行った。すなわち、まず、コンデンサを105℃の
環境下で10時間乾燥させ、その後、周波数1kHz、
電圧1Vrmsの正弦波を加えて初期容量C11を測定し
た。さらにその後、前記コンデンサを温度60℃、湿度
95%Rhの環境下で100時間放置し、放置後の容量
(吸湿時の容量)C12を、初期容量C11と同様の条件で
測定した。そして、下記式により、吸湿用量変化率
(%)を算出した。 吸湿容量変化率(%)=((C12−C11)/C11)×1
00 上記吸湿容量変化率が小さいほど、湿度環境下における
容量安定性が高く、製品として好ましい。したがって、
この吸湿容量変化率ができるだけ小さいことが特に重要
である。
【0049】高温負荷容量変化率の評価は、以下のよ
うにして行った。すなわち、まず、コンデンサを125
℃の環境下で10時間乾燥させ、その後、周波数1kH
z、電圧1Vrmsの正弦波を加えて初期容量C21を測
定した。さらにその後、前記コンデンサに温度125℃
の環境下で16Vの直流電圧を印加し、その状態で50
000時間放置し、放置後の容量C22を、前記初期容量
21と同様の条件で測定した。そして、高温負荷容量変
化率(%)を、下記式により算出した。 高温負荷容量変化率(%)=((C22−C21)/C21
×100 上記高温負荷容量変化率が小さいほど、高温時に酸化し
にくいことを示しており、製品として好ましい。特に、
近年はCPUの高速化などに伴う電子部品の耐高温性が
重要になってきており、高温負荷容量変化率が小さいこ
とが、コンデンサの評価の重要な指標となる。
【0050】温水に浸漬したときの厚さの変化は、以
下の様に評価した。すなわち、まず、コンデンサの厚さ
を測定した。次に、コンデンサを90℃の温水中に3.
5時間浸漬し、その後コンデンサを温水から取り出して
再度厚さを測定した。そして、温水浸漬前の厚さと浸漬
後の厚さとを比較した。この厚さの変化が大きいほど、
誘電体膜が吸湿し、金属からなる電極膜との密着性が低
下していることを示している。したがって、厚さの変化
が小さいほど、誘電体膜と電極膜との密着性が高く、製
品として好ましい。
【0051】上記による評価結果を表1に示す。
【表1】
【0052】表1からわかるとおり、実施例のコンデン
サは、〜のいずれの評価においても、比較例のコン
デンサよりも優れた特性を示した。すなわち、本発明に
よれば、前記チオエーテル誘導体を樹脂モノマーとして
用いてコンデンサの誘電体膜を形成することにより、高
湿度下および高温度下においても優れた特性のコンデン
サが得られることがわかる。
【0053】さらに、周波数1kHz、電圧1Vrms
の正弦波をコンデンサに加えて誘電正接(tanδ)を
測定した。誘電正接が小さいほど、コンデンサ自体で消
費する電力がより小さく、製品として好ましい。誘電正
接(tanδ)についても、実施例のコンデンサは比較
例のコンデンサよりも優れた特性を示した。
【0054】以上、本発明を実施の形態および実施例に
基づき説明したが、本発明は、これに限定されず、本発
明の技術的思想に基づき他の実施形態に適用することが
できる。たとえば、上記実施形態および実施例では、本
発明の電子部品がコンデンサである場合について説明し
たが、本発明の電子部品はこれに限定されず、上記実施
形態で説明した誘電体膜を備えるものであれば、いかな
るものであってもよい。具体的には、たとえば、コイ
ル、抵抗、容量性電池などに用いることができる。
【0055】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
高湿度下や高温度下においても優れた特性の電子部品が
得られる。特に、本発明をコンデンサに適用することに
よって、環境による特性変化が少ない高品質なコンデン
サが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のコンデンサの断面を示す図であり、
(a)は本発明のコンデンサの一例、(b)はその他の
一例を示す。
【図2】本発明のコンデンサの製造方法の一例を示す工
程図である。
【図3】図2に示した製造工程の一過程を示す図であ
る。
【図4】本発明のコンデンサのさらにその他の一例を示
す図であり、(a)は断面図、(b)は斜視図である。
【図5】本発明の電子部品の製造に用いられるチオエー
テル誘導体のIRスペクトルを示す図である。
【符号の説明】
10、10a、40 コンデンサ(電子部品) 11 支持体 12 下部電極膜 13、41 誘電体膜 13a 樹脂モノマーからなる薄膜 14 上部電極膜 31 樹脂モノマー 32 容器 42a、42b 電極 43a、43b 外部電極 44 金属薄膜 40a 素子層 40b 補強層 40c 保護層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 本田 和義 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 奥村 英樹 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 立原 久明 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 5E082 AB01 BB07 BC14 BC15 BC23 EE05 EE23 EE37 FG03 FG32 MM23 MM24

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 誘電体膜を備える電子部品であって、前
    記誘電体膜が、少なくとも一種以上の樹脂モノマーを含
    む薄膜を形成した後、前記薄膜を重合反応させることに
    よって形成された膜であり、前記樹脂モノマーが、以下
    の化学式(1)で表されるチオエーテル誘導体の異性体
    のうち少なくとも一種類を含むことを特徴とする電子部
    品。ただし、化学式(1)において、ベンゼン環上のビ
    ニル基の位置は、それぞれメチレン鎖のメタ位またはパ
    ラ位である。 【化1】
  2. 【請求項2】 前記薄膜が添加剤をさらに含む請求項1
    記載の電子部品。
  3. 【請求項3】 前記添加剤が酸化防止剤を含む請求項2
    記載の電子部品。
  4. 【請求項4】 前記誘電体膜の少なくとも一部を挟んで
    対向して配置された一対の電極をさらに備える請求項1
    〜3のいずれか一項に記載の電子部品。
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