JP2003282006A - ガス放電パネル - Google Patents

ガス放電パネル

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JP2003282006A
JP2003282006A JP2003122367A JP2003122367A JP2003282006A JP 2003282006 A JP2003282006 A JP 2003282006A JP 2003122367 A JP2003122367 A JP 2003122367A JP 2003122367 A JP2003122367 A JP 2003122367A JP 2003282006 A JP2003282006 A JP 2003282006A
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electrode
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pdp
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JP2003122367A
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English (en)
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Akira Shiokawa
塩川  晃
Ryuichi Murai
隆一 村井
Hiroyoshi Tanaka
博由 田中
Yoshiki Sasaki
良樹 佐々木
Masatoshi Kudo
眞壽 工藤
Masaki Aoki
正樹 青木
Hidetaka Tono
秀隆 東野
Kinzo Nonomura
欽造 野々村
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 PDPなどのガス放電パネルにおいて、駆動
時の消費電力を低く抑えつつ、良好な放電効率を行うこ
とが可能なガス放電パネルを提供することを目的とす
る。 【解決手段】フロントパネルガラス21上に、一対の表示
電極22、23(X電極22、Y電極23)のそれぞれを、複数
の電極肢X1、X2またはY1、Y2、Y3を備えたフォー
ク型に形成する。そしてY1とX2(X2とY2)の間隙を
約20μmの第一放電間隙39、Y1とX1(X2とY3)の間
隙を約40μmの第二放電間隙40とし、放電開始時には第
一放電間隙39で、維持放電時には第二放電間隙40でそれ
ぞれ放電させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表示デバイスなど
に用いるガス放電パネルに関するものであって、特にP
DPに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ハイビジョンなどに代表される高
品位で大画面の表示デバイスに対する期待が高まってお
り、CRT、液晶ディスプレイ(以下LCDと記載す
る)、プラズマディスプレイパネル(Plasma Display P
anel、以下PDPと記載する)といった各表示デバイス
についての研究開発がなされている。このような表示デ
バイスにはそれぞれ次のような特徴がある。
【0003】CRTは、解像度・画質の点で優れてお
り、従来からテレビなどに広く使用されている。しか
し、大画面化すると奥行きのサイズや重量が増大し易い
性質があり、この問題をどう解決するかがポイントとさ
れている。このことから、CRTで40インチを超す大画
面のものは作りにくいと考えられている。一方、LCD
はCRTに比べて消費電力が少なく、サイズが小さくて
重量も軽いという優れた性能を有しており、現在ではコ
ンピュータのモニタとして普及が進んでいる。しかしL
CDは、自ら発光して画面表示することができないた
め、画面を大型化すると表示が薄く見にくくなったり、
画面の上下で階調レベルや色調が乱れ易くなるなどの技
術上の問題が生じ易い。さらに、大画面化する場合には
LCD特有の視野角が狭いという欠点を積極的に解決す
る必要が生じると考えられる。
【0004】これに対しPDPは、上記のようなCRT
やLCDとは違って、比較的軽量で大画面を実現するこ
とに有利であり、しかも自ら発光して画面表示する駆動
方式でありながら、消費電力も少ないというメリットを
持っている。したがって次世代の表示デバイスが求めら
れる現在では、PDPをはじめとするガス放電パネルを
大画面化するための研究開発が特に積極的に進められて
おり、既に50インチを超える製品も開発されるに到って
いる。
【0005】このようなPDPは、駆動方式の違いから
DC(直流)型とAC(交流)型に分けられる。このう
ちAC型が大画面化に適していると考えられており、こ
れが一般的になりつつある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、多様な目的
にわたり、できるだけ消費電力を抑えた電気製品の開発
が望まれる今日では、PDPなどのガス放電パネルにお
いても駆動時の消費電力を低くする期待が寄せられてい
る。特に昨今の大画面化・高精細化の動向によって、消
費電力が増加する傾向にあるPDPなどのガス放電パネ
ルは、この消費電力に対する対策を疎かにできない。こ
の要望に応えるためには、主としてPDPの性能を大き
く左右する放電効率を向上させる必要がある。
【0007】PDPなどのガス放電パネルにおいて、放
電効率を向上させることによって消費電力を抑制するた
めの技術問題は、このように現在でも改善の余地が多い
とされている。
【0008】
【課題を解決する手段】本発明は上記問題に鑑みてなさ
れたものであって、消費電力を適切に抑えつつ、優れた
放電効率を確保することにより、高性能な表示機能をも
つPDPなどのガス放電パネルを提供することを目的と
する。上記目的は、マトリックス表示のための放電間隙
を形成する互いに平行な第一極性電極と第二極性電極の
複数の表示電極を有するガス放電パネルにおいて、マト
リックス表示のための一のセルに対応する第一極性電極
の数と第二極性電極の数が異なることによって実現でき
る。
【0009】より具体的には、放電ガス圧をP、放電間
隙をdとするとき、前記第一放電間隙は、Pd積と開始
放電電圧との関係を示すパッシェン曲線において、放電
開始電圧の極小またはその付近となる間隙に相当するも
のとし、前記第二放電間隙は、Pd積と放電効率との関
係を示す放電効率曲線において、放電効率が極大となる
間隙に相当するものを含むものとすることによって実現
できる。
【0010】このようにすれば、表示電極に給電する
と、第一放電間隙において従来より低い電圧値で放電が
開始され、PDPの発光効率が向上する。また放電が開
始した後は、第二放電間隙で維持放電が効率よく行わ
れ、良好な表示が可能となる。
【0011】
【発明の実施の形態】<実施の形態1>図1は、実施の形
態1の交流面放電型PDPの部分的な断面斜視図であ
る。図中、z方向がPDPの厚み方向、xy平面がPD
P面に平行な平面に相当する。当図のように、本PDP
の構成はフロントパネル20とバックパネル26の2つのユ
ニットに大別される。
【0012】フロントパネル20の基板となるフロントパ
ネルガラス21はソーダライムガラスからなる。そして、
フロントパネルガラス21のバックパネル26と対向する面
には、電極肢X1、X2またはY1、Y2、Y3をそれぞれ
有する一対のフォーク型表示電極22、23(X電極22、Y
電極23)がx方向に延伸され、y方向に一定の間隔で各
電極肢がY1、X1、Y2、X2、Y3の組合せになるよう
に交互に配設される。ここでは各実施の形態に共通し
て、X電極22がアドレス放電時に走査電極として作動す
るものとする。表示電極22、23の全体図については後に
示す。
【0013】このような表示電極22、23を配設したフロ
ントパネルガラス20の面上には、酸化鉛系ガラスからな
る誘電体層24がコートされる。これによって、表示電極
22、23は誘電体層24中に埋設される状態になっている。
誘電体層24の表面上には、さらに酸化マグネシウム(M
gO)からなる保護層25がコートされている。バックパ
ネル26の基板となるバックパネルガラス27もフロントパ
ネルガラス21と同様に作製されたものであって、フロン
トパネル20と対向する側の面には、複数のアドレス電極
28がy方向に延伸されて配設され、z方向に一定間隔を
挟んで、前記フロントパネル20の表示電極22、23と格子
状の電極配設パターンを形成するようになっている。ア
ドレス電極28を配設したバックパネルガラス27の面上に
は、誘電体層24と同様の材料からなる誘電体膜29がアド
レス電極28を包むように形成され、さらに誘電体膜29の
面上に、隣り合う2つのアドレス電極28の間隔に合わせ
て、一定の高さと厚みを持つ複数の隔壁30がy方向に沿
って形成されている。隔壁30の側面と誘電体膜29の表面
には、RGBの各色に合わせた蛍光体層31、32、33の何
れかが塗布される。
【0014】フロントパネル20側の保護層25とバックパ
ネル26側の隔壁30の頂部は、封着ガラスで互いに貼り合
わされる。そして、複数の隔壁30で仕切られた各空間毎
に希ガスを含む放電ガスが封入され、それぞれの空間が
y方向に長い帯状の放電空間38となる。この放電空間38
において、一対の表示電極22、23(ここでは電極肢X
1、X2、Y1、Y2、Y3)と一本のアドレス電極28との
交叉箇所を一箇所ずつ含む領域が、画面表示のためのセ
ル11、12、13、14(後述する)となる。当該セル11、・
・・はx方向を行方向、y方向を列方向とするマトリッ
クス状に配列するように形成されるので、本PDPでは
各セル11、・・・を適時点滅することによって、マトリ
ックス表示ができるようになっている。
【0015】なお、駆動時には各電極22、23、28に適宜
給電することで2種類の放電がなされる。一つは、セル1
1、・・・の点灯のON/OFFを制御するアドレス放電
であって、X電極22もしくはY電極23の何れかと、アド
レス電極28との間に給電することによって行われる。も
う一つはPDPの画面表示に直接寄与する維持放電(面
放電)であって、X電極22とY電極23との間に給電する
ことによって行われる。
【0016】図2は、本PDPの表示電極パターンをz
方向から見下ろした場合の平面図である。ここでは図の
複雑化を避けるために隔壁30の図示を省略してある。放
電空間38を破線で区切った領域のそれぞれがセル11、1
2、13、14に相当する。このようなセルの一つであるセ
ル11(セル12)に対応して、Y1、X1、Y2、X2、Y3
(Y’1、X’1、Y’2、X’2、Y’3)の順に設けら
れた各電極肢は、その幅が約20μmのサイズに設定され
ており、隣り合う電極肢の間で、放電間隙が次の2種の
値のどちらかの値を取るように設定される。
【0017】すなわち、この2種の値のうちの1つは、X
1とY2、Y2とX2(Y’1とX’1、Y’2とX’2)の間
隙に存在する第一放電間隙39の間隙値であり、約20μm
に設定されている。第一放電間隙39は、放電開始電圧を
従来より低く抑える目的で設定されるものである。もう
1つの値は、Y1とX1、X2とY3(Y’1とX’1、X’2
とY’3)の間隙に存在する第二放電間隙40の間隙値で
あり、約40μmに設定されている。この第二放電間隙40
は、放電開始後に高い発光効率を確保するための間隙と
して設定したものである。このように第一放電間隙39お
よび第二放電間隙40の各間隙値を選択した理由について
は後述する。
【0018】なお、y方向に隣接する2つのセル11、12
(セル13、14)の間隙35、すなわちY電極肢Y3、Y’1
の間隙は、約120μmに設定されている。以上の構成を
有する本PDPによれば、放電期間において表示電極2
2、23に給電が開始され、パルスが印加される。このと
き第一放電間隙39で面放電(開始放電)が開始される
が、第一放電間隙39が約20μmと比較的狭いため、放電
開始電圧は従来より低い値となる。これによって、PD
Pの開始放電時の消費電力が効果的に抑制される。
【0019】そして開始放電が開始されると、第一放電
間隙39に加えて第二放電間隙40でも放電が行われるよう
になり、十分な維持放電によって良好な発光効率が得ら
れる。このように本実施の形態のPDPは、開始放電と
維持放電に応じて、複数の電極肢X1、・・・の間に存
在する各放電間隙を用いるものである。また誘電体層24
中において、例えばセル11に対応して、Y電極肢Y1、
Y2、Y3がX電極肢X1、X2よりも一本多く配設されて
いるので、X電極肢X2などが、隣接するセル12のY電
極肢Y1’などとクロストークを発生する危険が抑制さ
れる。これにより、走査電極としても作用するX電極22
がY電極23によって保護されるようにもなっている。
【0020】このようなPDPは、以下のようにして作
製したものである。 (実施の形態1のPDPの作製方法) i.フロントパネル20の作製 厚さ約2mmのソーダライムガラスからなるフロントパ
ネルガラス21の表面上に、銀を主成分とする導電体材料
を用いて、電極肢X1、X2またはY1、Y2、Y3をフォ
ーク状に有する表示電極22、23を作製する。この表示電
極22、23に関しては、スクリーン印刷法、フォトエッチ
ング法など公知の各作製法が適用できる。
【0021】次に、表示電極22、23の上に、鉛系ガラス
のペーストを厚さ約20〜30μmでフロントパネルガラス
21の全面にわたってコートし、焼成して誘電体層24を形
成する。次に、誘電体層24の表面に、厚さ約1μmの酸
化マグネシウム(MgO)からなる保護層25を蒸着法あ
るいはCVD(化学蒸着法)などにより形成する。
【0022】これで、フロントパネル20が完成される。 ii.バックパネル26の作製 厚さ約2mmのソーダライムガラスからなるバックパネ
ルガラス27の表面上に、スクリーン印刷法により、銀を
主成分とする導電体材料を一定間隔でストライプ状に塗
布し、厚さ約5μmのアドレス電極28を形成する。ここ
で、作製するPDPを40インチクラスのハイビジョンテ
レビとするため、隣り合う2つのアドレス電極28の間隔
を0.2mm程度以下に設定する。
【0023】続いてアドレス電極28を形成したバックパ
ネルガラス27の面全体にわたって、鉛系ガラスのペース
トを厚さ約20〜30μmで塗布して焼成し、誘電体膜29を
形成する。次に、誘電体膜29と同じ鉛系ガラス材料を用
いて、誘電体膜29の上に、隣り合う2つのアドレス電極2
8の間ごとに、高さ約100μmの隔壁30を形成する。この
隔壁30は、例えば上記ガラス材料を含むペーストを繰り
返しスクリーン印刷し、その後焼成して形成できる。
【0024】隔壁30が形成できたら、隔壁30の壁面と、
隔壁間で露出している誘電体膜29の表面に、赤色(R)
蛍光体、緑色(G)蛍光体、青色(B)蛍光体の何れか
を含む蛍光インクを塗布し、これを乾燥・焼成してそれ
ぞれ蛍光体層31、32、33を形成する。ここで、一般的に
PDPに使用されている蛍光体材料の例を以下に列挙す
る。
【0025】赤色蛍光体;(YGd1-x)BO:E
3+ 緑色蛍光体; Zn2SiO4:Mn 青色蛍光体; BaMgAl1017:Eu3+(或いはB
aMgAl1423:Eu3+) 以上で、バックパネル26が完成される。
【0026】なお、フロントパネルガラス21およびバッ
クパネルガラス27をソーダライムガラスからなるものと
したが、これは材料の一例として挙げたものであって、
これ以外の材料でもよい。さらに誘電体層24および保護
層25も上記材料に限定せず、適宜材料を変更してもよ
い。表示電極22、23も同様に、例えば良好な透明性を有
する透明電極とするために材料を選択することが可能で
ある。このような各材料の選択は、可能な範囲において
各実施の形態でも同様に行ってよい。
【0027】iii.PDPの完成 作製したフロントパネル20とバックパネル26を、封着用
ガラスを用いて貼り合わせる。その後、放電空間の内部
を高真空(8×10-7Torr)に脱気し、これに所定の
圧力(ここでは2000Torr)でNe-Xe(5%)の組
成からなる放電ガスを封入することによって、PDPの
完成とする。
【0028】なお放電ガスについては、この他にもHe
-Xe系やHe-Ne-Xe系などが使用可能である。ま
た、このPDPの作製方法は、各実施の形態のPDPご
とに形成する表示電極の形状や構造に違いがあるもの
の、それ以外のところで大体共通している。したがって
これ以降の各実施の形態におけるPDPの作製方法につ
いては、表示電極に関する特徴ついて主に説明する。
【0029】また本実施の形態では、Y電極肢が(n+
1)本とX電極肢がn本の組合せの例として、セル11、
・・・にY電極肢を3本、X電極肢を2本対応するように
設ける例をを示したが、nは任意の自然数であって、例
えばY電極肢が2本とX電極肢が1本の組合せであっても
よい。また本発明はこれに限定せず、第一および第二放
電間隙が一つのセル11、・・・ごとに確保でき、さらに
セル11と隣接するセル12の間でクロストークが生じない
ような電極肢の本数の組合せであればよい。このために
は、セル11、・・・の一つ当たりに対応するX電極とY
電極の本数が異なるようにするのが望ましいと思われ
る。
【0030】また実施の形態で、y方向に隣接するセル
11、12の間隙35を約120μmとしたが、電極肢をセル1
1、12の境界へ向かって増設し、これによって発光効率
を向上させるようにしてもよい。この場合、セル11、12
で極性の異なる電極肢を隣接させたりしてクロストーク
を発生させなければ、例えば前記セル11、12の間隙35を
なくすようにしてもよい。
【0031】さらに、本実施の形態ではX電極肢とY電
極肢のそれぞれの幅を同様に作製する例を示したが、X
電極肢を走査電極として良好に機能させるため、当該X
電極肢をY電極肢に対して1.5〜3倍程度の広い幅に作製
し、これによってアドレス放電のための静電容量を十分
確保させるようにしてもよい。また交流面放電型PDP
では一般に、放電期間において、通常数個〜数十個のパ
ルスを表示電極に印加することにより給電するが、本実
施の形態ではさらに、Y電極23の電極肢Y2またはY’2
を、その他の電極肢Y1、Y3またはY’1、Y’3と独立
した配線にして、開始放電に直接関わる電極肢(ここで
はY2またはY’2)に、例えば放電期間の最初の数パル
スにおいてのみ給電し、それ以降においては維持放電に
かかる電極肢(ここではY1、Y3またはY’1、Y’3)
にのみ給電するようにしてもよい。こうすることで、放
電空間に電荷粒子が少ない(プライミング荷電粒子が少
ない)放電期間の初期にのみ第一放電間隙で放電がなさ
れ、それ以降には放電が第一放電間隙でなされなくなる
ので、発光効率が向上する。
【0032】また発光輝度をより向上させる対策として
は、例えば図3の表示電極の配設パターンを示す平面図
のように、Y電極肢Y3、Y’1の幅をセル11、12の境界
付近にまで広くして、これによって電極肢Y3、Y’1の
放電面積を広くしてやると、規模のより大きい維持放電
が得られる。この場合、当該Y電極肢Y3、Y’1のフロ
ントパネルガラス20側の面に、黒アルミもしくは黒色亜
鉛等の金属材料からなる黒色層を形成しておくと、表示
電極22、23が外光を反射して画面で白く浮き立つのが防
止され、PDP駆動時の際のコントラストが向上する。
なお、このような黒色層は、他の実施の形態のPDPの
表示電極にも適用することができる。
【0033】<実施の形態2>図4は、実施の形態2にか
かる交流面放電型PDPの部分的な断面斜視図である。
本PDPは、全体的には実施の形態1のPDPとほとん
ど同様の構造であるが、表示電極22、23は電極肢を有す
る代わりに、PDPの厚み方向(z方向)に積層された
構造を有している。
【0034】すなわち、図5に示す表示電極周辺のPD
P断面図のように、X電極22およびY電極23は、z方向
に沿ってそれぞれ第一層221、231および第二層222、232
からなる二段構造となっている。さらに第二層222、232
は第一層221、231より幅が狭く取られ、これによって表
示電極22、23間に複数の間隙値を有する放電間隙が確保
されている。すなわち本実施の形態では、Y電極第一層
231およびX電極第一層221間に第一放電間隙43が存在
し、Y電極第二層232およびX電極第二層222間に第二放
電間隙44が存在する。
【0035】各表示電極22、23の具体的なサイズは、第
一層221、231を幅約40〜80μm、厚み約300nm以下と
し、これに対して第二層222、232を幅約20μm、厚み約
500nm〜5000nm(5μm)としている。なお図中で
は、第一放電間隙43、第二放電間隙44は実施の形態1と
同じく、それぞれ約20μm、約40μmに設定している。
このような表示電極22、23は、各層をスクリーン印刷法
を複数回繰り返すことによって形成し、その後焼成して
形成することができる。
【0036】以上の構成を有する本PDPによれば、放
電期間において表示電極22、23に給電が開始され、パル
スが印加されると、まず第一放電間隙43で放電開始電圧
による開始放電が行われ、続いて第二放電間隙44で放電
維持電圧による維持放電が行われる。本PDPでもそれ
ぞれの電圧値によって、前記実施の形態1と同様の効果
を得ることができるが、本実施の形態では一対の表示電
極22、23の間において、第一放電間隙43と第二放電間隙
44が存在しているため、当該両間隙43、44を存在させる
ためのスペースを比較的抑えることができ、微細なセル
でも実現が容易な特徴がある。
【0037】なお本実施の形態では、第二層222、232を
第一層221、231よりも幅広にしたが、第一層と第二層を
同じ幅に作製して、互いの層を一定量だけずらして積層
し、これによって第一放電間隙と第二放電間隙を存在さ
せるようにしてもよい。また、表示電極はこのような二
段構造に限定せず、一対の表示電極22、23の間で、z方
向に第一放電間隙と第二放電間隙を含む複数の間隙値の
放電間隙が存在するような形態であればよいので、例え
ば図6の表示電極周辺のPDP断面図に示すように、X
電極22を単純な一層構造とし、Y電極23だけを第一層23
3および第二層234からなる積層構造とすることによっ
て、第一放電間隙45および第二放電間隙46をX電極22お
よびY電極23の間に存在させてもよい。
【0038】また図7の表示電極周辺のPDP断面図に
示すように、例えばX電極22の第一層221と第二層222を
z方向で分離してもよい。こうすると、この間の誘電体
層24によりY電極23の第二層234とX電極22の第二層222
が第二放電間隙48を挟んだ表示電極となる。この場合に
はX電極22の周囲における静電容量が増加するので、X
電極22を良好に作動させることができる。一方の第一放
電間隙47は、第一層221、233の間に確保される。
【0039】さらに、表示電極22、23は上記した二段構
造以外にも、例えば図8の表示電極周辺のPDP断面図
に示すように、X電極22とY電極23が斜面223、224また
は235、236をそれぞれ有するように三角形状断面にし
て、対向する各斜面223、235の間の最短間隙を第一放電
間隙49に一致させ、X電極22、Y電極23の頂点間を第二
放電間隙50に一致させるようにしてもよい。こうする
と、第一放電間隙49以外の維持放電にかかる放電間隙を
多く存在させることができ、放電効率が向上する。この
ような表示電極も、スクリーン印刷を多数回繰り返して
積層していき、焼成して形成することができる。
【0040】また図9のPDP断面図に示すように、対
向する斜面223、235をそれぞれ曲面225、237としてもよ
い。これにより、第一放電間隙53が確保される一方で、
第二放電間隙52以下の維持放電にかかる放電間隙の値が
増大するので、より効果的に開始放電と維持放電を行う
ことが可能となる。また上記のような三角形状断面の表
示電極22、23が作製しにくい場合には、例えば図10のP
DP断面図に示すように、まず直方断面を有する通常の
表示電極22、23を作製した後、この表示電極22、23のコ
ーナーの一部をカットすることにより、カット面227、2
39をそれぞれ設けるようにする。この場合、当該カット
面227、239の最短間隙と対向面226、238の間隙が第一放
電間隙53となり、カット面227、239の最長間隙が第二放
電間隙54になるように、カット量を調整する。このカッ
ト面227、239は、一旦X電極22とY電極23を形成した後
に、公知のオーバーエッチング処理で面取りすることに
よって形成することができる。
【0041】<実施の形態3>前記実施の形態2では一対
の表示電極に対して、PDPパネルの厚み方向(z方
向)に複数の間隙値を有する間隙を確保する例を示した
が、本実施の形態は一対の表示電極の間において、フロ
ントパネル20平面(xy平面)に沿って第一放電間隙と
第二放電間隙を含む複数の間隙値の放電間隙を存在させ
ている。
【0042】具体的には、実施の形態3にかかる交流面
放電型PDPの部分的な斜視図である図11のように、一
対のX電極22とY電極23(それぞれ幅約20μm)が単一
層の構造を有するように作製される。この表示電極22、
23には、表示電極の配設パターンを示す平面図の図12の
ように、セル11、13の内部に対応する領域において、三
角形状の突起部228、240(高さ約10μm)が対向するよ
うに備わっている。この突起部228、240の先端同士の間
で第一放電間隙55が確保され、突起部228、240以外の表
示電極22、23の間で第二放電間隙56が確保される。なお
図中では分かり易くするために、突起部228、240のサイ
ズを表示電極22、23に対して大きく図示している。
【0043】以上の構成を有する本PDPによれば、放
電期間において、表示電極22、23に給電が開始され、パ
ルスが印加されると、まず第一放電間隙55で放電開始電
圧による開始放電が発生する。突起部228、240を表示電
極22、23に備えることにより、これらの先端に電気量が
集中するので、放電開始電圧が効果的に低減され、開始
放電が積極的に発生する。また第一放電間隙55が突起部
228、240の先端同士の間隙で存在するので、これ以外の
放電間隙が維持放電に利用され、第二放電間隙56をはじ
めとする放電間隙において、良好な規模の維持放電が行
われる。
【0044】さらに本実施の形態では特に、例えばスク
リーン印刷法により突起部228、240を有する表示電極を
一度でパターニングして、簡単に作製できるという利点
がある。このことは製造上のコストダウンに有利であ
る。なお本実施の形態では、突起部228、240の先端を一
対の表示電極22、23の間で対向させる例を示したが、こ
れ以外にも図13のPDP電極パターンの平面図のよう
に、一対の表示電極22、23のどちらか一方にのみ(図中
ではX電極22にのみ)突起部229を配設して、突起部229
の先端と表示電極(図中ではY電極23)の間に第一放電
間隙57を存在させ、表示電極22、23同士の間に第二放電
間隙58を存在させてもよい。
【0045】さらに突起部は、その形状を三角形状に限
定しない。例えば図14のように放物線状の外縁を有する
突起部241、260とし、これによって第一放電間隙59、第
二放電間隙60を得るようにしてもよい。また本実施の形
態では、表示電極22、23の対向する位置に突起部の先端
を合わせる例を示したが、この2つの突起部の先端の位
置を互いに若干ずらし、突起部の高さを第二放電間隙の
半分よりも長くして(すなわち突起部の高さの二倍が第
二放電間隙よりも長くなるようにして)、両突起部の最
短間隙を第一放電間隙としてもよい。
【0046】さらに、セルのサイズに応じて適宜突起部
の個数を増やしてやってもよいし、特定の突起部だけ形
状を変えてやるなどの工夫をしてもよい。 <実施の形態4>本PDPは、図11の断面斜視図に示す
ものとほぼ同様の構成であるが、図15のPDPの電極パ
ターンを示す平面図のように、セル11、13中において一
対の表示電極であるX電極22、Y電極23を互いに平行か
つ対向させて配設し、各セル11、13のほぼ中央に、セル
11、13の各内部に収まるサイズの、電気的に絶縁された
導電体材料からなる中間電極61を配設したことを特徴と
する。
【0047】図16は、本PDPの断面図である。表示電
極22、23は厚み約5μm×幅約20μmに形成され、中間
電極61は表示電極22、23の間のほぼ中央において、厚み
(z方向)約5μm×幅(y方向)約20μm×長さ(x
方向)約20μmの直方体状に形成されている。これによ
り本実施の形態では、中間電極61とY電極23との間隙62
1とX電極22と中間電極61との間隙622の和(10μm+10
μm)を第一放電間隙62とし、一対の表示電極22、23同
士の間を第二放電間隙(約40μm)63とするものであ
る。なお中間電極61のフロントパネルガラス20に面した
底面611は、中間電極61によって対向する表示電極22、2
3同士の放電間隙が遮断されないように、表示電極22、2
3の各上面221、231とほぼ同様の高さに設定されてい
る。このような中間電極61は、表示電極22、23とほぼ同
様に、スクリーン印刷法により作製することが可能であ
る。
【0048】以上のような構成の本PDPによれば、放
電期間において表示電極22、23に給電が開始され、パル
スが印加されると、X電極22とY電極23が誘電体層24を
介して中間電極69と対向する位置付近の静電容量が比較
的増大するようになり、低い開始電圧値でも第一放電間
隙62で放電が起こり易くなる。このように開始放電が発
生すると、次に第二放電間隙63で維持放電が発生する。
このときは表示電極22、23の広い対向領域に亘って放電
が行われるので、良好な規模の維持放電を行うことが可
能となり、PDPの発光効率の向上に与することができ
る。
【0049】なお本実施の形態では、中間電極61の底面
611の位置を表示電極22、23の各上面261、242の高さ位
置と合わせるものとしたが、これは中間電極61によって
第二放電間隙63が遮断されるのを防ぐためであって、例
えば図17のPDPの断面図のように、表示電極22、23よ
り中間電極61の厚みを十分薄くして、第二放電間隙63が
確保できればよい。
【0050】また第一放電間隙の設定に関しては、中間
電極が一対の表示電極間のほぼ中央に配設されればよい
が、あまり片方の表示電極に偏った位置に配設すると、
放電開始電圧が上昇する危険があるため注意すべきであ
る。さらに中間電極の形状は、本実施の形態のように直
方体に限定せず、例えば楕円体として、その長軸方向を
x方向と平行に配設するようにしてもよい。
【0051】また中間電極のサイズ範囲としては、実施
の形態のサイズに限定しないが、x方向に隣接するセル
とのクロストークを避けるために、ある程度隔壁30付近
から離れることが可能なサイズが望ましい。 <実施の形態5>図18は、実施の形態5にかかる表示電極
周辺のPDP断面図である。
【0052】本PDPの表示電極の構造と、その配設パ
ターンの形状は、基本的には実施の形態2にかかる二段
構造と同様であるが、表示電極の第一層を第二層に比べ
て高抵抗値を持つ材料で作製している点が異なる。これ
によって、開始放電以後は第一放電間隙での放電が維持
放電に関与しにくくなるので、さらに放電効率を向上さ
せることができる。詳しくは以下に説明する通りであ
る。
【0053】一般にPDPなどのガス放電パネルは、表
示電極に対して充電と放電が一定時間毎に交互に繰り返
されて駆動される。ガス放電パネルの負荷容量への充電
または放電に要する各時間は、ガス放電パネルとその駆
動回路の負荷容量によって多少変化するが、大体数十n
Secから1μSecとされている。しかしながら表示電極に
一定値以上の抵抗がある場合には、充電時間が長くなっ
て放電開始までの時間がかかり、放電が維持される時間
が短くなる。
【0054】図19と図20は、それぞれ電気抵抗が低い場
合(約10Ω以下)と高い場合(約120Ω)について、電
圧および電流の時間的変化を表したものである。この両
図によれば、電気抵抗の高低に関わらず最初の放電が発
生するまでの充電時間(期間1)では、電圧と電流の位
相は大体一致するが、一旦誘電体層中の一対の表示電極
の間で発生した放電が、放電空間における維持放電(こ
こでは空間放電と称す)にまで達すると、電気抵抗があ
る場合において急激に電流が流れにくくなる。これに伴
い充電にかかる時間が長くなり、結果として空間放電の
維持される時間が電気抵抗の低い場合に比べて短くな
る。このことは図20で、空間放電を開始した後の期間
(期間2)において、電圧波形と電流波形の位相が図19
の期間2と比べてずれを生じ、ピーク数も減少している
ことから窺える。
【0055】ここにおいて、放電開始時にのみ積極的に
放電させたい領域に抵抗値の高い材料、放電開始後に連
続的に維持放電させたい領域に抵抗値の低い材料をそれ
ぞれ用いれば、放電の種類によって放電領域を変えるこ
とが可能となる。本実施の形態は、このことを利用した
ものである。本実施の形態の具体的な構成は以下の通り
である。実施の形態2のように二段構造の表示電極22、2
3を作製するが、X電極22とY電極23の各第一層261、24
2をCa、Mgを主としてなる酸化物導電体の高抵抗材
料(約数十kΩ/□)で作製している。これにより、放
電期間の初期においてのみ第一放電間隙64で開始放電を
発生することが可能となる。また、放電を開始した後
は、抵抗値の低い第二層222、232間の第二放電間隙65で
積極的に行われ、良好な維持放電が行えるようになる。
このように本実施の形態では、第二層222、232による第
二放電間隙65での維持放電が、第一層261、241による第
一放電間隙64での開始放電よりも格段に生じやすくなっ
ている。
【0056】なお上記抵抗値は、上記酸化物導電体中に
含まれる酸素量を変えることによって調整可能である。
また上記以外の高抵抗材料としては、他にも厚さの薄い
ITOなどが考えられる。さらに抵抗値としては、数百
Ω/□以上で上記のような効果がある程度得られるが、
数十kΩ/□の抵抗値とする方が明確な効果が得られる
ので望ましい。
【0057】なお本実施の形態のバリエーションとして
は、例えば第一層に高抵抗値を持たせる代わりに、図21
のPDP断面図のようにY電極23の第一層231と第二層2
32との間に抵抗243を設け、Y電極23には第二層232側か
ら通電するようにしてもよい。さらに別のバリエーショ
ンとして、図22の表示電極の配設パターンを示す平面図
には、前記実施の形態3における表示電極22、23周辺の
構成を周到し、突起部260の底辺部分に抵抗262を挿設し
た様子を示している。本実施の形態5のバリエーション
としては、このように突起部を使用して第一および第二
放電間隙を存在させてもよい。
【0058】<PDPの放電間隙と放電ガス(封入ガ
ス)組成の設定>本発明ではその特徴として、第一放電
間隙と第二放電間隙を複数の表示電極の間に存在させる
ものである。ここでは前述した各実施の形態のPDPの
作製に先だって、これらの放電間隙の値を具体的に決定
した方法について説明する。 i.放電間隙と放電ガス組成 開始放電と維持放電のそれぞれに適した複数の表示電極
の放電間隙を考える場合、放電の特性が放電ガス(封入
ガス)の組成に大きく左右されることも同時に考慮する
必要がある。したがって、まずは放電ガスの成分をある
程度絞り込むことが望ましい。その一例として、ここで
は一般的なNe-Xe系放電ガスを使用するものとし、
このNe-Xe系放電ガス中におけるXeの比率を放電
間隙と平行して考えることにした。
【0059】放電ガスと放電間隙に関しては、一般に封
入ガス圧P(Torr)と放電間隙d(cm)によるP
d積として互いに関連づけることがなされている(「電
子ディスプレイデバイス」、オーム社、昭和59年、P.1
13〜114参照)。よって、このPd積を放電開始電圧V
fおよび放電効率(相対値)の関数として、各関数が示
す特性から適当なPd積の取りうる範囲を選出し、これ
により放電ガス中のXe比率と放電間隙を決定するよう
にした。
【0060】なお、具体的なPd積は以下の方法により
測定して求めた。 ii.Pd積に対する放電開始電圧および放電効率の測定 真空チャンバ内に、本発明のPDPと駆動方式が同様の
交流面放電型PDPモデル(一対の表示電極の間の放電
間隙が40μm、60μm、90μmの3種のPDPモデルを
使用)を載置し、当該真空チャンバの外部からエージン
グ回路(印加パルスを20kHzに設定)でPDPモデル
を駆動できるようにした。また、真空チャンバ外部から
ゲートバルブを介してガスボンベを接続し、放電ガスを
適時所定の圧力で真空チャンバ内に封入出来るようにし
た。測定に際しては、放電ガス中に占めるXeの比率を
2%、5%、10%の各場合に分けて、それぞれの場合でP
DPモデルを用意し、封入ガス圧Pを適宜変化させなが
ら(すなわちPd積を変化させながら)駆動した。な
お、これらの実験装置の図示を省略する。
【0061】続いて、駆動開始後にPDPモデルが発光
し始めるタイミングを、輝度計を用いて検出し、そのと
きの印加電圧を放電開始電圧Vfとして記録した。これ
により放電開始電圧Vfを縦軸、Pd積を横軸にした関
数曲線を作製し、Pd積に対する放電開始電圧Vfの関
係を示す曲線として知られているパッシェン(Pasche
n)曲線を得た。
【0062】一方、放電維持電圧Vmは、放電が維持放
電に移行した状態(輝度計の測定値がほぼ一定になった
状態)になった後、印加電圧値を徐々に下げて、発光が
消えたときの印加電圧値として記録した。そして各放電
維持電圧Vmを用いて放電効率の相対値を算出し、当該
放電効率の相対値を縦軸に、Pd積を横軸にして関数曲
線を作製し、Pd積に対する放電効率の関係を示す曲線
(放電効率曲線)を得た。なお各放電効率の値は、放電
維持電圧Vm、放電電流I、輝度L、発光面積Sから次
の数1により算出した。 [数1] 放電効率 η=π・S・L/(Vm・I) パッシェン曲線は下向きのカーブ、放電効率曲線は上向
きのカーブとなり、両曲線はそれぞれのカーブの方向に
放電開始電圧の最小値Vfminもしくは放電効率の最
大値のピークを有する。このそれぞれのピークに対応す
るPd積の値を中心に考えて、実際のPDPの作製上で
妥当と思われるPd積の値の範囲を求める。したがって
曲線中にピークがどれだけ明確に現れているかが、Pd
積を決定する上で第一のポイントとなる。
【0063】なお、このような形状のパッシェン曲線お
よび放電効率曲線は、Ne-Xe系放電ガス以外の放電
ガスでも得ることができる。またNe-Xe系ガスのよ
うな複数成分系の放電ガスにおいては、例えば放電ガス
中のXeガスの分圧(PXe)についても上記両曲線が
得られることが分かっている。 iii.測定結果 上記のようにして得た各パッシェン曲線を図23、放電効
率曲線を図24にそれぞれまとめた。各図中、(a)、
(b)、(c)はそれぞれXe比率が5%、10%、2%の
場合である。
【0064】Xe比率が5%の場合、そのパッシェン曲
線図23(a)は、Vfminの付近のPd積が1〜5(T
orr・cm)の範囲で比較的鋭いカーブを含み、明確
なピークがさらに2〜4(Torr・cm)の範囲に収ま
っているのが見られる。ピークに対応するPd積の範囲
はさらに、2.5〜3.5(Torr・cm)まで絞り込むこ
ともできる。しかも、ピークを含んだ付近の放電開始電
圧Vfが200Vより低い値となっている。このような曲
線はXe比率が10%の場合のパッシェン曲線図23(b)
でもほぼ同様にみられるが、この場合はピークに対応す
るPd積の範囲がやや小さい値(1〜3Torr・cm程
度)となる。
【0065】一方、Xe比率が5%の放電効率曲線図24
(a)では、その曲線のピークを含む周辺に対応するP
d積が4〜12(Torr・cm)の範囲となり、明確な
ピークはさらに6〜10(Torr・cm)の範囲に収ま
っている。ピークにごく近い位置だけをみると、その範
囲は7〜9(Torr・cm)の範囲に収まる。また、曲
線はPd積が4〜12(Torr・cm)の広範囲に亘る
段階から、ほぼ2.8以上の値となり、その最大値は3程度
に達する。これに対してXe比率が10%の場合、その放
電効率曲線図24(b)によれば、このときのピークはほ
ぼ3〜10(Torr・cm)の範囲で最大3.5程度に達す
る。このピークに対応するPd積は、約4〜7(Torr
・cm)の範囲に収まっているとみられる。
【0066】このように、Xe比率が5%または10%の
場合には、パッシェン曲線と放電効率曲線の各ピークが
比較的明確に確認できるので、放電開始電圧Vfと放電
効率の両方に対して容易に各Pd積の範囲を選出するこ
とが可能となり、その具体的な値を決定できる。またこ
れらのXe比率の場合には、パッシェン曲線と放電効率
曲線の各ピークに対応したPd積の値が、ともにそれほ
ど大きくないため、例えば第一放電間隙と第二放電間隙
をそれぞれ確保するためのスペースを少なく抑えること
ができる。
【0067】ところでXe比率が2%の場合には、パッ
シェン曲線図23(c)に示すように、ピークを含む周辺
の曲線の形状がPd積の4〜6(Torr・cm)程度の
範囲で緩やかにカーブを描く。このため放電開始電圧V
f対しては、明確なピークの位置が判断しにくい。また
曲線が全体的に比較的大きな値のPd積の範囲において
カーブするため、ピークに対応したPd積の値も大きく
なる。一方、放電効率曲線図24(c)においても、ピー
ク位置に対応するPd積の値が前記Xe比率が5%また
は10%の場合に比べて大きくなる(ほぼ12〜20(Tor
r・cm)の範囲)。
【0068】このように放電開始電圧Vfと放電効率の
ための各Pd積の値が大幅に増大すると、これに伴って
放電ガス圧Pや放電間隙dもかなり大きく確保しなけれ
ばならない。このことは微細なセルのPDPを作製する
上で障害となり、あまり望ましくないと思われる。 iv.放電間隙とXe比率の決定 以上のように、良好に使用することが可能なNe-Xe
系放電ガスとしては、その組成におけるXe比率が5%
または10%の場合が適当であると考えられる。そこで、
次にXe比率が5%の場合と10%の場合のどちらかを選
択することになるが、一般的に使用されているNe-X
e系放電ガスでは、Xe比率が5%前後とされているも
のが多い。従ってこの場合、上記実施の形態のPDPを
作製する上では、Xe比率が5%の放電ガスが適当であ
ると考えられる。
【0069】すなわち前述したように、放電開始電圧V
fの最小値Vfmin(および第一放電間隙)に適した
Pd積は、パッシェン曲線のピーク周辺に対応した範囲
によれば、望ましい範囲の順序に以下のようになる。 Pd積; 2.5〜3.5、2〜4、1〜5(Torr・cm) このPd積の代わりに、放電ガス中のXeガスの分圧P
XeによるPXed積で表現すると、望ましい範囲の順
序にほぼ次のようになる。なおここではP=20P Xe
する。
【0070】PXed積; 0.12〜0.18、0.10〜0.20、
0.05〜0.25(Torr・cm) また、放電効率(および第二放電間隙)に適したPd積
の範囲は、放電効率曲線のピーク周辺に対応した範囲に
よれば、望ましい範囲の順序に以下のようになる。 Pd積;7〜9、6〜10、4〜12(Torr・cm) このPd積をPXed積で表現すると、望ましい範囲の
順序にほぼ次のようになる。
【0071】PXed積;0.35〜0.45、0.30〜0.50、0.
20〜0.60(Torr・cm) これらのPd積の値の範囲を考慮した結果、本発明の実
施の形態では、放電開始電圧に適したPd積の値を4、
放電効率に適したPd積の値を8にそれぞれ設定するよ
うにした。具体的には放電ガス圧Pを2000Torrと
し、これに対して第一放電間隙を20μm(20×10-4
m)、第二放電間隙を40μm(40×10-4cm)とし
た。
【0072】なお、複数成分系の放電ガスにおいてXe
を含む場合には、前記両曲線がNe-Xe系放電ガスと
同じ傾向を示すことが別の実験から分かった。
【0073】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、PDPを
はじめとするガス放電パネルにおいて、表示電極におけ
る開始放電および維持放電のそれぞれに合わせて放電間
隙を確保することにより、発光効率を向上させ、かつ良
好な放電効率を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1におけるPDPの部分的な断面斜視
図である。
【図2】実施の形態1における表示電極の配設パターンを
示す平面図である。
【図3】実施の形態1のバリエーションにおける表示電極
の配設パターンを示す平面図である。
【図4】実施の形態2におけるPDPの部分的な断面斜視
図である。
【図5】実施の形態2における表示電極周辺のPDP断面
図である。
【図6】実施の形態2のバリエーションにおける表示電極
周辺のPDP断面図である。
【図7】実施の形態2のバリエーションにおける表示電極
周辺のPDP断面図である。
【図8】実施の形態2のバリエーションにおける表示電極
周辺のPDP断面図である。
【図9】実施の形態2のバリエーションにおける表示電極
周辺のPDP断面図である。
【図10】実施の形態2のバリエーションにおける表示電
極周辺のPDP断面図である。
【図11】実施の形態3におけるPDPの部分的な断面斜
視図である。
【図12】実施の形態3における表示電極の配設パターン
を示す平面図である。
【図13】実施の形態3のバリエーションにおける表示電
極の配設パターンを示す平面図である。
【図14】実施の形態3のバリエーションにおける表示電
極の配設パターンを示す平面図である。
【図15】実施の形態4における表示電極の配設パターン
を示す平面図である。
【図16】実施の形態4における表示電極周辺のPDP断
面図である。
【図17】実施の形態4のバリエーションにおける表示電
極周辺のPDP断面図である。
【図18】実施の形態5における表示電極周辺のPDP断
面図である。
【図19】表示電極の抵抗値が低い場合の印加電流と印加
電圧の経時変化を示すグラフである。
【図20】表示電極の抵抗値が高い場合の印加電流と印加
電圧の経時変化を示すグラフである。
【図21】実施の形態5のバリエーションにおける表示電
極周辺のPDP断面図である。
【図22】実施の形態5のバリエーションにおける表示電
極の配設パターンを示す平面図である。
【図23】Pd積に対する放電開始電圧の特性(パッシェ
ン曲線)を示すグラフである。図23の(a)は、放電ガ
ス中のXe比率が5%の場合のパッシェン曲線である。
図23の(b)は、放電ガス中のXe比率が10%の場合の
パッシェン曲線である。図23の(c)は、放電ガス中の
Xe比率が2%の場合のパッシェン曲線である。
【図24】Pd積に対する放電効率の特性(放電効率曲
線)を示すグラフである。図24の(a)は、放電ガス中
のXe比率が5%の場合の放電効率曲線である。図24の
(b)は、放電ガス中のXe比率が10%の場合の放電効
率曲線である。図24の(c)は、放電ガス中のXe比率
が2%の場合の放電効率曲線である。
【符号の説明】
10、11、12、13 セル 20 フロントパネル 22 表示電極(X電極) 23 表示電極(Y電極) 24 誘電体層 28 アドレス電極 39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、62、6
4、66、71 第一放電間隙 40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、63、6
5、67、72 第二放電間隙
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 博由 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 佐々木 良樹 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 工藤 眞壽 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 青木 正樹 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 東野 秀隆 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 野々村 欽造 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 5C040 FA01 FA04 GB03 GB14 GC02 GJ08 LA05 LA10 LA12 MA03 MA12

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マトリックス表示のための放電間隙を形
    成する互いに平行な第一極性電極と第二極性電極の複数
    の表示電極を有するガス放電パネルにおいて、マトリッ
    クス表示のための一のセルに対応する第一極性電極の数
    と第二極性電極の数が異なることを特徴とするガス放電
    パネル。
  2. 【請求項2】 前記一のセルに対応する複数の表示電極
    のうち、データ書き込みに関与しない極性の表示電極
    が、マトリックスの列方向のセルの両最端に配設されて
    いることを特徴とする請求項1記載のガス放電パネル。
  3. 【請求項3】 一のセルの両最端に配設された表示電極
    と、前記列方向の隣接するセル側の表示電極とが、前記
    マトリックスの列方向に平行に、密着または非常に小さ
    い間隙で配設されていることを特徴とする請求項2記載
    のガス放電パネル。
  4. 【請求項4】 マトリックス表示のための放電間隙を形
    成する互いに平行な第一極性電極と第二極性電極の複数
    の表示電極を有するガス放電パネルにおいて、同一の極
    性の表示電極がマトリックスの列方向のセルの両最端に
    配設されていることを特徴とするガス放電パネル。
  5. 【請求項5】 前記一のセルに対応する複数の表示電極
    のうち、データ書き込みに関与しない極性の表示電極
    が、マトリックスの列方向のセルの両最端に配設されて
    いることを特徴とする請求項4記載のガス放電パネル。
  6. 【請求項6】 一のセルの両最端に配設された表示電極
    と、前記列方向の隣接するセル側の表示電極とが、前記
    マトリックスの列方向に平行に、密着または非常に小さ
    い間隙で配設されていることを特徴とする請求項5記載
    のガス放電パネル。
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