JP2003281739A - 情報記録担体 - Google Patents

情報記録担体

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JP2003281739A
JP2003281739A JP2002298453A JP2002298453A JP2003281739A JP 2003281739 A JP2003281739 A JP 2003281739A JP 2002298453 A JP2002298453 A JP 2002298453A JP 2002298453 A JP2002298453 A JP 2002298453A JP 2003281739 A JP2003281739 A JP 2003281739A
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JP2002298453A
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Tetsuya Kondo
哲也 近藤
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Victor Company of Japan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 再生専用領域と記録再生領域を併せ持つ情報
記録担体において、2領域間の横断再生をスムースに実
施する。 【解決手段】 支持体13上に順次設けられた記録層1
2と、透光層11と、からなり、かつ平面的に見て再生
専用領域30と記録再生領域40とを有する情報記録担
体1であって、支持体13には再生専用領域30に相当
する蛇行溝と、記録再生領域40に相当する蛇行溝とが
互いに重なることなく形成されており、記録層12と透
光層11は、少なくとも再生専用領域30と記録再生領
域40の二つの領域を連続して被着すると共に、記録層
12の反射率は5%以上であり、再生専用領域30から
再生されるプッシュプル信号出力T3と、記録前の記録
再生領域40から再生されるプッシュプル信号出力T4
とが、T3≧0.1、T4≧0.1且つ1.5≧T3/
T4≧0.5であることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、情報記録担体に対
して相対運動をさせて情報を読み出す、光学的記録再生
装置に用いられる情報記録担体に関するものであって、
情報の読み出しが可能な再生専用領域と、情報の記録と
再生が可能な記録再生領域を併せもつ情報記録担体に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、相対運動をさせて情報を読み出す
光学的情報記録担体のシステムとして、ディスク状やカ
ード状、テープ状の情報記録担体が用いられている。記
録または再生のメカニズムから、再生専用型のものと、
記録再生型(追記型及びオーバーライト可能型)のもの
に二分されている。すなわち前者はあらかじめ記録され
た状態で出荷され、ユーザはそれを再生するものであ
る。また後者は未記録状態で出荷され、ユーザはそれに
新たに記録を行い、再生を行うものである。
【0003】一方、社会のマルチメディア化に伴い、著
作権が電子的な手段によって侵害される機会が増え、問
題化している。これに伴い、ユーザが自由に記録を行え
る記録再生型情報記録担体においても、このような侵害
を予防すべく、ユーザが書き換えのできない特定コード
を埋め込む工夫が必要とされてきている。
【0004】このような観点から、書き換え不可な永久
データ記録を有した再生専用領域と、書き込み可能な記
録再生領域(または繰り返し書き換え可能な記録再生領
域)の2領域を併せ持った情報記録担体が数々提案され
ている。例えば再生専用領域をピット列で構成して、特
定データを事前に記録しておき、記録再生領域を溝の連
続体で構成した情報記録担体は一般的であり、DVD−
RAMやDVD−RWのような相変化型情報記録担体が
実用化され、ユーザは記録再生領域に対してユーザ記録
を行っている。
【0005】ところで再生専用領域をピット列で構成す
る代わりに、再生専用領域を溝で構成すると共に、溝形
状の蛇行を利用して永久データを記録する方法が考えら
れる。このように溝蛇行により永久データを記録すれ
ば、悪意を持った偽造者が行いうる改ざん手段は所詮相
変化記録による記録、すなわち反射率などの差を利用し
たピット列記録であるから、これらは区別でき、容易に
侵害の事実が露呈する。従って、このように再生専用領
域を溝で構成することは、従来のピット列記録以上にコ
ピープロテクションが図れることになる。
【0006】
【特許文献1】特開2001−229547号公報(第
3−6頁、第1−6図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述した情報記録担体
を実際に試作し、再生及び記録再生したところ、再生上
の不具合が見つかった。図1は試作した情報記録担体9
0の平面図であり、再生専用領域30と記録再生領域4
0からなる。そして再生専用領域30及び記録再生領域
40は共に溝からなっている。このうち、再生専用領域
30には偽造防止用の特定コードデータを溝の蛇行によ
って記録し、また記録再生領域40には記録時に必要な
参照データである位置データを溝の蛇行によって記録し
た。なおこのとき、再生専用領域30では特定コードデ
ータの出力が最大となるように溝形状を最適化し、また
記録再生領域40では位置データを読み取りつつ、ユー
ザ記録を行い、その時の再生エラーレートが少なくなる
ように溝形状を最適化した。そして、このように構成し
た情報記録担体90を、様々な記録再生プレーヤに装着
し、動作させたところ、2つの領域の横断がスムースに
行えず、トラッキングが外れるケースが発生した。すな
わち再生専用領域30から偽造防止用の特定コードデー
タを読み取った後、記録再生領域40に移動し位置デー
タを読み取ろうとするとトラッキングが外れることが多
発した。
【0008】これはそれぞれの領域の機能が異なり、更
にあらかじめ記録するデータの性質も違うためであり、
それぞれの用途に合わせて最適化すると、2つの領域の
溝形状は異なってしまい、両領域を横断して連続した再
生は行えないことが分ったのである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は上述した課題を
解決した情報記録担体であり、以下の構成からなる。
【0010】支持体と、情報の記録再生を行うために前
記支持体上に設けられた記録層と、透光性を有し前記記
録層上に設けられた透光層とから少なくともなり、再生
専用領域と記録再生領域とを少なくとも有する情報記録
担体であって、前記支持体には前記再生専用領域に相当
する蛇行溝と、前記記録再生領域に相当する蛇行溝とが
互いに重なることなく形成されており、前記記録層と前
記透光層は、少なくとも前記再生専用領域と前記記録再
生領域の二つの領域を連続して被着すると共に、前記記
録層の反射率は5%以上であり、前記再生専用領域から
再生されるプッシュプル信号出力T3と、記録前の記録
再生領域から再生されるプッシュプル信号出力T4と
が、T3≧0.1、T4≧0.1且つ1.5≧T3/T
4≧0.5であることを特徴とする情報記録担体を提供
する。
【0011】また、前記再生専用領域に相当する蛇行溝
及び前記記録再生領域に相当する蛇行溝には、周波数変
移変調、位相変移変調、振幅変移変調のいずれかの変調
方式でデータが蛇行記録されていることを特徴とする請
求項1に記載の情報記録担体を提供する。
【0012】更に、前記変調方式が周波数変移変調であ
るときに、その位相差を360±15度〜±240度と
したことを特徴とする請求項2に記載の情報記録担体を
提供する。
【0013】また更に、前記周波数変移変調は、位相差
が360±72度であることを特徴とする請求項3に記
載の情報記録担体を提供する。
【0014】更にまた、前記変調方式が周波数変移変調
であるときに、前記周波数変移変調は周波数の切り替え
点で波が連続するよう位相が選択されることを特徴とす
る請求項2乃至4のいずれか1項に記載の情報記録担体
を提供する。
【0015】また、前記変調方式が位相変移変調である
ときに、その位相差をπ/8〜πとしたことを特徴とす
る請求項2に記載の情報記録担体を提供する。
【0016】更に、前記データは、予め同一ビットの連
続が一定値以下に制限されるようにベースバンド変調さ
れたものであることを特徴とする請求項2乃至6のいず
れか1項に記載の情報記録担体を提供する。
【0017】また更に、前記ベースバンド変調は、マン
チェスタ符号であることを特徴とする請求項7に記載の
情報記録担体を提供する。
【0018】また、前記変調方式が周波数変移変調であ
り、その位相差を360±120度としたことを特徴と
する請求項8に記載の情報記録担体を提供する。
【0019】更にまた、前記再生専用領域に相当する蛇
行溝には、コントロールデータが蛇行記録されているこ
とを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に
記載の情報記録担体を提供する。
【0020】また、前記記録再生領域に相当する蛇行溝
には、少なくとも位置データが記録されていることを特
徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載
の情報記録担体を提供する。
【0021】更に、前記記録再生領域に相当する蛇行溝
には、記録開始時及び記録中に参照する位置データが記
録され、且つ、前記位置データが記録された蛇行溝の間
には単一周波数からなるクロックデータが蛇行記録され
ていることを特徴とする請求項11に記載の情報記録担
体を提供する。
【0022】また更に、前記再生専用領域には、前記記
録再生領域の適正再生パワー値が記録されていることを
特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記
載の情報記録担体を提供する。
【0023】更にまた、前記再生専用領域に相当する蛇
行溝と、前記記録再生領域に相当する蛇行溝とは、共に
グルーブ側に形成されていることを特徴とする請求項1
乃至請求項13のいずれか1項に記載の情報記録担体を
提供する。
【0024】また、前記再生専用領域に相当する蛇行溝
のトラックピッチがP3であり、前記記録再生領域に相
当する蛇行溝のトラックピッチがP4であり、再生波長
λ、再生対物レンズNAとの間に、P3≦λ/NA、P
4≦λ/NA、P3>P4なる関係を有したことを特徴
とする請求項1乃至請求項14のいずれか1項に記載の
情報記録担体を提供する。
【0025】更に、前記透光層は、0.02〜0.12
mmの厚みを有することを特徴とする請求項1乃至請求
項15のいずれか1項に記載の情報記録担体を提供す
る。
【0026】
【発明の実施の形態】本発明は上述した課題、すなわち
2つの異なる領域を横断する際に発生する、トラッキン
グ外れの問題を解決することを目的としている。以下、
図面を用いながら本発明を説明する。
【0027】図1は本発明なる情報記録担体1の外観を
示したものであり、情報記録担体1がディスク形状であ
る場合の平面図である。すなわち再生専用領域30と、
記録再生領域40が少なくとも備えられており、中心に
は中心孔Qが設けられている。この図の例では、内周側
に再生専用領域30、外周側に記録再生領域40が配置
されているが、逆であってもよい。そしてこれら2つの
領域は互いに重なることなく形成されており、この場合
連続して形成されている。なお図面では再生専用領域3
0と記録再生領域40をそれぞれ1つずつ有している
が、それぞれ複数ずつ配置してもよい。
【0028】図2は本発明なる情報記録担体1の断面図
で、本発明の実施例の最も基本的な構成を図示したもの
である。すなわち情報記録担体1は支持体13、記録層
12、透光層11から少なくとも構成されている。そし
て支持体表面(記録層12との界面)には再生専用領域
30及び記録再生領域40に相当する微細パターンが互
いに重なることなく形成されている。このうち再生専用
領域30を構成する蛇行溝として、図2では例えばトラ
ックTr31、Tr32が形成されている。また記録再
生領域40を構成する蛇行溝として、図2では例えばト
ラックTr41、Tr42、Tr43などが形成されて
いる。これら2つの領域の溝は、再生専用領域30は深
さd3、記録再生領域40は深さd4を有している。こ
れら2つの深さは同一であっても異なっていてもよい
が、後述するプッシュプル出力範囲が得られるような深
さとする。ここで支持体13と記録層12と透光層11
とは互いに平行に形成されており、記録層12と透光層
11は、再生専用領域30と記録再生領域40の少なく
とも全領域を、途切れることなく連続して被着してい
る。
【0029】ここで支持体13は、この上に形成されて
いる記録層12及び透光層11を機械的に保持する機能
を有するベースである。この材料としては、合成樹脂、
セラミック、金属のいずれかが用いられる。合成樹脂の
代表例としては、ポリカーボネートやポリメチルメタク
リレート、ポリスチレン、ポリカーボネート・ポリスチ
レン共重合体、ポリビニルクロライド、脂環式ポリオレ
フィン、ポリメチルペンテンなどの各種熱可塑性樹脂や
熱硬化樹脂、各種エネルギー線硬化樹脂(紫外線硬化樹
脂、可視光硬化樹脂、電子線硬化樹脂の例を含む)を好
適に用いることができる。なお、これらは金属粉または
セラミック粉などを配合した合成樹脂であってもよい。
また、セラミックの代表例としてはソーダライムガラ
ス、ソーダアルミノ珪酸ガラス、ホウ珪酸ガラス、石英
ガラスなどを用いることができる。また、金属の代表例
としてはアルミニウムのような透光性を有しない金属板
も用いることもできる。なお機械的に保持する必要性か
ら支持体13の厚みは0.3〜3mm、望ましくは0.
5〜2mmが好適に用いられる。情報記録担体1が円盤
状である場合には、従来の光ディスクとの互換性から、
支持体13、記録層12,透光層11等の合計厚みが
1.2mmとなるように、支持体13の厚みを設計する
のが望ましい。なお必要に応じ支持体13の記録層12
と反対側に、情報記録担体1の内容や商標を表示するた
めの印刷を施してもよい。
【0030】記録層12は、情報を読み出し、あるいは
情報を記録ないしは書き換える機能を有し、波長λにお
いて反射率5%以上の記録材料からなる薄膜層である。
この記録層12の材料としては、相変化材料に代表され
る記録前後において反射率変化や屈折率変化を起こす材
料、あるいは光磁気材料に代表される記録前後において
カー回転角変化を起こす材料、あるいは色素材料に代表
される記録前後において屈折率変化や深さ変化を起こす
材料が用いられる。
【0031】相変化材料の具体例としては、インジウ
ム、アンチモン、テルル、セレン、ゲルマニウム、ビス
マス、バナジウム、ガリウム、白金、金、銀、銅、アル
ミニウム、シリコン、パラジウム、錫、砒素などの合金
(合金とは酸化物、窒化物、炭化物、硫化物、フッ化物
の例を含む)を用いることができ、特にGeSbTe
系、AgInTeSb系、CuAlSbTe系、AgA
lSbTe系などの合金が好適である。これらの合金に
微量添加元素としてCu、Ba、Co、Cr、Ni、P
t、Si、Sr、Au、Cd、Li、Mo、Mn、Z
n、Fe、Pb、Na、Cs、Ga、Pd、Bi、S
n、Ti、V、Ge、Se、S、As、Tl、In、N
iの群から選ばれる少なくとも1種以上の元素を合計で
0.01原子%以上10原子%未満含有することもでき
る。なお、各元素の組成は、例えばGeSbTe系とし
てGe2Sb2Te5、Ge1Sb2Te4、Ge8Sb69
23、Ge8Sb74Te18、Ge5Sb71Te24、Ge5
Sb76Te19、Ge10Sb68Te22、Ge10Sb72Te
18、GeSbTe系にSn、In等の金属を添加した
系、AgInSbTe系として、Ag4In4Sb66Te
26、Ag4In4Sb64Te28、Ag2In6Sb64
28、Ag3In5Sb64Te28、Ag2In6Sb66Te
26、AgInSbTe系にCu、Fe、Ge等の金属や
半導体を添加した系などがある。
【0032】また、光磁気材料の具体例としては、テル
ビウム、コバルト、鉄、ガドリニウム、クロム、ネオジ
ム、ジスプロシウム、ビスマス、パラジウム、サマリウ
ム、ホルミウム、プロセオジム、マンガン、チタン、パ
ラジウム、エルビウム、イッテルビウム、ルテチウム、
錫などの合金(合金とは酸化物、窒化物、炭化物、硫化
物、フッ化物の例を含む)を用いることができ、特にT
bFeCo、GdFeCo、DyFeCoなどに代表さ
れるように遷移金属と希土類の合金で構成するのが好適
である。更に、コバルトと白金の交互積層膜を用いて記
録層12としてもよい。
【0033】また、色素材料の具体例としては、ポルフ
ィリン色素、シアニン色素、フタロシアニン色素、ナフ
タロシアニン色素、アゾ色素、ナフトキノン色素、フル
ギド色素、ポリメチン色素、アクリジン色素などを用い
ることができる。
【0034】なお、記録層12には、これら記録を担う
材料以外に、記録性能または再生性能を増強する目的
で、補助材料を内蔵、または積層をしてもよい。例えば
ZnS、SiO、ZnSSiO、GeN、SiN、Si
C、AlO、AlN、MgF、ZrO、InOなどの誘
電体材料を先述の記録材料に積層することによって、書
き換え回数の向上や再生光量の増大をすることができ
る。また再生光量を著しく増大させるために光反射膜
(アルミニウム、金、銀、チタンなどのヒートシンク)
を併せて積層してもよいものである。また高密度記録再
生を行うために、公知の超解像膜(いわゆるマスク膜)
を併用して積層してもよい。
【0035】なお、光による記録や再生は記録層12に
対し行われるが、対物レンズ(開口数NA)によって絞
り込まれたレーザ光(波長λnm)は透光層11側から
入射される。すなわち透光層11は,収束した再生光を
光学的歪みの少ない状態で記録層12に導く機能を有す
る。例えば、再生波長λにおいて透過率を70%以上、
望ましくは80%以上有した材料を好適に用いることが
できる。また透光層11は波長λに対して所定の屈折率
nを持ち、従来の光ディスクとの互換性の点から、屈折
率nは1.4〜1.7であることが望ましく、更に望ま
しくは1.45〜1.65である。またその複屈折をダ
ブルパスにて100nm以下、望ましくは50nm以
下、更に望ましくは35nm以下とすれば、再生出力変
動が充分に抑えられるので更に望ましい。このような特
性を有する材料としてポリカーボネートやポリメチルメ
タクリレート、三酢酸セルロース、二酢酸セルロース、
ポリスチレン、ポリカーボネート・ポリスチレン共重合
体、ポリビニルクロライド、脂環式ポリオレフィン、ポ
リメチルペンテンなどを用いることができる。なお、透
光層11は、記録層12を機械的、化学的に保護する機
能を有するようにしても良い。このような機能を有する
材料として、剛性の高い材料を用いることができ、例え
ば透明セラミック(例えばソーダライムガラス、ソーダ
アルミノ珪酸ガラス、ホウ珪酸ガラス、石英ガラス)や
熱硬化性樹脂、エネルギー線硬化樹脂(例えば紫外線硬
化樹脂、可視光硬化樹脂、電子線硬化樹脂)、湿気硬化
樹脂、複数液混合硬化樹脂が好適に用いられる。なお透
光層11の厚みは、複屈折(光学異方性)を低減する意
味から2mm以下、特に1.2mm以下が望ましい。ま
た対物レンズ90の開口数NAが0.7以上の情報記録
担体再生装置に装着して使用する場合には、情報記録担
体1が傾斜した場合の光学収差を抑える観点から0.4
mm以下が望ましく、特にNAを0.85以上とする場
合には0.12mm以下が望ましい。また記録層12へ
のスクラッチ傷を防止する観点から0.02mm以上が
望ましい。すなわちNAを0.85以上とする場合の望
ましい範囲としては0.02〜0.12mmの範囲であ
る。また厚みの一面中でのバラツキは最大で±0.00
3mm、望ましくは±0.002mm以下とする。更に
望ましくは±0.001mm以下とする。なお透光層1
1は、図2に記したような単層構造に限らず、機能が同
様な複数の層の積層であってもよい。また透光層11へ
の埃付着を軽減させる目的として、透光層11の記録層
12とは反対側に、公知の静電気防止層を形成してもよ
い。
【0036】また、再生装置や記録装置のピックアップ
を構成する対物レンズが、透光層11へ偶発的に衝突し
た時の影響軽減を目的として、透光層11の記録層12
とは反対側に、ハードコート層、潤滑層などを形成して
もよい(図示せず)。ハードコート層の具体的な材料と
しては、波長λの光を70%以上透過する熱硬化樹脂、
各種エネルギー線硬化樹脂(紫外線硬化樹脂、可視光硬
化樹脂、電子線硬化樹脂を含む)、湿気硬化樹脂、複数
液混合硬化樹脂、溶剤含有熱可塑性樹脂を用いることが
できる。
【0037】前記ハードコート層は、透光層11の耐摩
耗性を考慮して、JIS規格K5400の鉛筆ひっかき
試験値がある一定以上値であることが望ましい。対物レ
ンズの最も硬い材料はガラスであり、これを考慮すると
ハードコート層の鉛筆ひっかき試験値は、H以上が特に
望ましい。この試験値以下であるとハードコート層が削
れることによる塵埃の発生が著しくなり、エラーレート
が急激に悪くなるからである。なお、このハードコート
層の厚みは、耐衝撃性を考慮して0.001mm以上が
望ましく、また情報記録担体1全体の反りを考慮して
0.01mm以下が望ましい。
【0038】また、ハードコート層の別の材料として、
波長λの光を70%以上透過し、鉛筆ひっかき試験値H
以上のカーボン、モリブデン、シリコンなどの単体やそ
の合金(酸化物、窒化物、硫化物、フッ化物、炭化物の
例を含む)を用いることもできる(膜厚1〜1000n
m)。
【0039】また、潤滑層の具体的な材料としては、炭
化水素高分子にシリコンやフッ素を修飾し、表面エネル
ギーを調整した液体潤滑剤を用いることができる。な
お、前記潤滑層の厚みは、0.1nm〜10nm程度が
望ましい。
【0040】なお、図示しないが、支持体13の記録層
12とは反対側にレーベル印刷を施してもよい。たとえ
ば、各種顔料や染料を含んだ各種エネルギー線硬化樹脂
(紫外線硬化樹脂、可視光硬化樹脂、電子線硬化樹脂を
含む)を好適に用いることができ、視認性を考慮して
0.001mm以上が望ましく、また、情報記録担体1
全体の反りを考慮して0.05mm以下が望ましい。印
刷方法としては、スクリーン印刷法、オフセット印刷法
などを用いることができる。
【0041】情報記録担体1は、再生装置への装着性や
ハンドリング上の保護性を向上するために、情報記録担
体全体をカートリッジに入れた構成としてもよい。
【0042】次に本発明なる情報記録担体1に永久デー
タとして溝蛇行記録されるデータ、及びその記録様式に
ついて説明する。本発明なる情報記録担体1の再生専用
領域30には、情報記録担体1のプレーヤ装着時、また
は記録再生領域40へのユーザ記録開始時に読み出しを
行うコントロールデータが収められている。すなわちコ
ントロールデータは、著作権関連情報、暗号作成のため
のキー、暗号解読のためのキー、暗号化されたデータ、
記録許可コード、記録拒否コード、再生許可コード、再
生拒否コード、製造番号、ロット番号、管理番号、製造
者情報、情報記録担体の種別、情報記録担体のサイズ、
情報記録担体の想定記録線密度、情報記録担体の想定記
録線速度、情報記録担体のトラックピッチ(後述するP
3、P4の少なくとも1つ)、記録ストラテジ情報、再
生パワー情報あるいは公知のリードインデータなどから
少なくとも選ばれた特定コードデータである。例えば1
0進法または16進法によって記述されたものを2進法
(BCDコードやグレイコードの例を含む)に変換した
データである。そして再生専用領域30内に、周波数変
移変調、位相変移変調、振幅変移変調のいずれかの様式
によって溝を蛇行させ、形状記録されている。なお、蛇
行溝はライン状、同芯円状、スパイラル状のいずれであ
ってもよい。また特に、再生専用領域30を構成する蛇
行溝がスパイラル状である場合、コントロールデータの
記録様式は、角速度一定(constant angular velocit
y:CAV)でもよいし、線速度一定(constant linear
velocity:CLV)で記録されてもよい。あるいは半
径毎に異なるゾーンを形成し、各ゾーン毎で制御が異な
るZCAV(zone constant angular velocity)やZC
LV(zone constant linear velocity)を採用しても
よい。データは溝の蛇行形状で記録され、さらにはピッ
ト列で記録されていないために、永久に改ざんのできな
いデータとなっている。なお、コントロールデータに
は、位置データやクロック情報が含まれていてもよい。
またデータの読み取り誤りを少なくするために、エラー
訂正コードを含んでもよいものである。
【0043】また、本発明なる情報記録担体1の記録再
生領域40には、記録再生領域40へのユーザ記録時に
常時読み出しを行う位置データが収められている。すな
わち位置データは、記録再生領域40全面に対して割り
当てられた絶対アドレス、部分領域について割り当てら
れた相対アドレス、トラック番号、セクタ番号、フレー
ム番号、フィールド番号、時間情報、エラー訂正コード
などから少なくとも選ばれるデータである。例えば10
進法または16進法によって記述されたものを2進法
(BCDコードやグレイコードの例を含む)に変換した
データである。そして記録再生領域40内に、周波数変
移変調、位相変移変調、振幅変移変調のいずれかの様式
によって溝を蛇行させ、形状記録されている。なお、再
生専用領域30にも位置データを記録した場合には、記
録再生領域40に記録する位置データは、これと連続し
ていてもよいし、不連続であってもよい。また記録再生
領域40に記録する位置データに、再生専用領域30に
記録したコントロールデータの内容を一部を追加して記
録してもよい。なお蛇行溝はライン状、同芯円状、スパ
イラル状のいずれであってもよい。また特に、記録再生
領域40を構成する蛇行溝がスパイラル状である場合、
位置データの記録様式は、角速度一定(constant angul
ar velocity、CAV)でもよいし、線速度一定(const
ant linear velocity、CLV)で記録されてもよい。
あるいは半径毎に異なるゾーンを形成し、各ゾーン毎で
制御が異なるZCAV(zone constant angular veloci
ty)やZCLV(zone constant linear velocity)を
採用してもよい。なお周波数変移変調、位相変移変調、
振幅変移変調については、後に詳述する。
【0044】なお、ここで情報記録担体1の平面構造に
ついて補足しておく。情報記録担体1の平面構造は、図
1で説明したように再生専用領域30と記録再生領域4
0とから少なくともなる。そしてこれら領域は図3のよ
うな平面構造を取っている。図3は情報記録担体1の再
生専用領域30と記録再生領域40の境界部分を拡大図
示したものである。ここでは代表的に、再生専用領域3
0を構成するトラックのうちトラックTr31、Tr3
2、及び記録再生領域40を構成するトラックのうちト
ラックTr41、Tr42、Tr43のみ描いている。
再生専用領域30を構成する複数のトラックは溝であ
り、コントロールデータが溝蛇行により記録されている
(ただし蛇行の図示は省略)。そして各トラックの中心
間のトラックピッチはP3となっている(図3ではトラ
ックTr31とTr32の間隔で図示)。また記録再生
領域40を構成する複数のトラックは溝であり、位置デ
ータが溝蛇行により記録されている(ただし蛇行の図示
は省略)。そして各トラック中心の間のトラックピッチ
はP4となっている(図3ではトラックTr41とTr
42の間隔で図示)。これらP3及びP4の値は、P3
≦λ/NA、P4≦λ/NAとなっている。またP3と
P4の値は互いに同じであっても、異なっていてもよ
い。例えば青紫色レーザーと高NAピックアップを使用
した時は、λ=405nm、NA=0.85とすれば、
P3≦476nm、P4≦476nmで構成されてい
る。
【0045】また、再生専用領域30と記録再生領域4
0の間隔、すなわち図3ではTr32とTr41の間隔
は、トラッキングの連続性を得る最低限の必須要件とし
て25μm以下である。また望ましい再生専用領域30
と記録再生領域40の間隔(Tr32とTr41の間
隔)は、P3またはP4のいずれか1つと同じであるこ
とである。また、P3とP4が大きく異なる場合には、
P3とP4の間の任意の値とするのが望ましい。特にP
3とP4の平均の値とするのが望ましい。
【0046】なお、特に最も望ましいのは、再生専用領
域30と記録再生領域40の間隔及びP3及びP4がす
べて同一であることである。
【0047】また、領域横断時のインパクトを最小限に
する意味で、再生専用領域30と記録再生領域40の間
に、1トラック以上の溝からなる遷移領域を設けてもよ
い。そしてこの遷移領域では、トラックピッチがP3か
らP4まで連続的に、または多段階的に可変するように
してもよい。なおこのこの遷移領域を構成する溝は、デ
ータの記録をしない非蛇行が基本であるが、ヌルデータ
(データ0)またはダミーデータを記録した蛇行溝であ
ってもよい。
【0048】なお、それぞれの領域(再生専用領域30
と記録再生領域40)の溝蛇行の振幅は、それぞれの領
域を構成するピッチ以下(すなわち再生専用領域30の
溝蛇行振幅はP3以下、記録再生領域40の蛇行振幅は
P4以下)の関係を有して形成されている。
【0049】なお、ここで情報記録担体1に対して、ユ
ーザが記録を行った場合の情報記録担体2の平面構造に
ついても触れておく。図4は情報記録担体2の再生専用
領域30と記録再生領域40の境界部分を拡大図示した
ものであり、図3の情報記録担体1に対して、ユーザが
データ記録を行った状態を示している。すなわちユーザ
は情報記録担体1のうち、記録再生領域40にのみ記録
を行うのであるが、ここでは代表的に相変化記録、特に
ハイトゥーローと呼ばれる様式により記録された状態を
示している。記録再生領域40のうち、例えばTr41
とTr42のみにユーザデータ記録が行われており、記
録マークMが複数書き込まれている。ハイトゥーローと
呼ばれる様式は、記録層12が、未記録では結晶質であ
り反射率が高く、記録時には非晶質となって反射率が下
がる様式を指す。このように、再生専用領域30と記録
再生領域40のうち、記録再生領域40の一部またはす
べてにマークMを断続的に形成することによってユーザ
データ記録がなされ、情報記録担体2が完成する。なお
ここで、ユーザデータ記録に用いる信号方式について触
れておくと、例えばいわゆる(d,k)符号と呼ばれる
変調信号を用いることができる。ここで(d,k)変調
信号は、固定長符号であっても可変長符号であっても用
いることができる。例えば固定長符号の(d,k)変調
の例としては、d=2、k=10としたEFM、EFM
プラス(8−16変調)や特開2000−286709
記載の変調信号(D8−15変調)、d=1、k=9と
した特願2001−80205号記載の変調信号(D
4、6変調)、d=1、k=7としたD1,7変調(特
開2000−332613記載)がある。また可変長符
号の(d,k)変調の例としては、d=1、k=7とし
た特開平11−346154記載の変調信号(17PP
変調)などを好適に用いることができる。
【0050】次に本発明なる情報記録担体1の主点であ
るプッシュプル出力について説明する。本発明なる情報
記録担体1は、再生専用領域30と記録再生領域40と
から少なくともなるが、これらはそれぞれの用途、すな
わち再生専用領域30ではコントロールデータの出力が
大きくなるように溝形状を最適化し、また記録再生領域
40では位置データを読み取りつつユーザ記録が行な
え、その時の再生エラーレートが小さくなるように溝形
状を最適化することが許される。ただしこの時、再生専
用領域から再生されるプッシュプル信号出力T3と、記
録前の記録再生領域から再生されるプッシュプル信号出
力T4とが、T3≧0.1、T4≧0.1を満たし、且
つ1.5≧T3/T4≧0.5なる関係を満たすように
する。ここでプッシュプル出力とは、それぞれの領域に
おいて、溝を横断する際の差分信号出力である。図5は
ディスク状情報記録担体の記録再生装置のピックアップ
に用いられる4分割フォトディテクタ10の模式図であ
り、この図を用いてプッシュプル出力を測定する方法を
説明する。図5の縦軸は半径方向(ラジアル方向、溝横
断方向)、横軸を接線方向(トラック方向)としてお
り、その縦横関係は図3がディスク状情報記録担体であ
った場合と対応する。ここで4分割フォトディテクタ1
0の再生出力はそれぞれIa、Ib、Ic、Idとなっ
ている。この時、AC結合によって内周側と外周側の差
分、すなわち|(Ia+Ib)−(Ic+Id)|を測
定し、続いてDC結合によって総和、すなわち|(Ia
+Ib+Ic+Id)|を測定する。プッシュプル出力
Tは、これらの比であり、T=|(Ia+Ib)−(I
c+Id)|/|(Ia+Ib+Ic+Id)で定義さ
れる。この定義によって、再生専用領域30のプッシュ
プル出力T3と、記録再生領域40のプッシュプル出力
T4は測定される。
【0051】さて本発明人は再生専用領域30と記録再
生領域40の領域横断再生を可能にするために、それぞ
れの領域の深さd3とd4を調節して、各種プッシュプ
ル出力が得られるようなディスク状情報記録担体1を作
成し、実際に横断性能を調べて、プッシュプル出力の相
応しい範囲を求めたものである。その実験結果を図6、
図7、図8に示す。図6は再生専用領域30のプッシュ
プル出力T3を可変させたときの、再生専用領域30内
でのトラッキング安定性を調べた結果であり、クリーン
ルーム環境であり、ディスクの偏芯も充分に制限されて
いる状態での実験結果である。図6に示すように、T3
が0.08以下のときには、トラッキングは全く不可能
であった。
【0052】また図7は記録再生領域40のプッシュプ
ル出力T4を可変させたときの、記録再生領域40内で
のトラッキング安定性を調べた結果であり、クリーンル
ーム環境であり、ディスクの偏芯も充分に制限されてい
る状態での実験結果である。図7に示すように、T4が
0.08以下ではトラッキングは全く不可能であり、再
生専用領域30と同様な結果であった。
【0053】次に図8は再生専用領域30のプッシュプ
ル出力T3と、記録再生領域40のプッシュプル出力T
4を共に可変させたときの、2領域横断再生時のトラッ
キング安定性を調べた結果であり、ディスクの偏芯が充
分に制限されている状態での実験結果である。図8に示
すように、1.5≧T3/T4≧0.5の範囲において
のみ2領域横断再生が可能であることが分る。なお2領
域のプッシュプル出力比を一定値以下にしなければなら
ない理由は、プッシュプル出力差が大きいとサーボが追
従せず、トラッキングが外れてしまうからである。すな
わちプレーヤサーボ回路のダイナミックレンジに限界が
あることに起因している。
【0054】以上を総合すると、2領域横断再生を可能
とする条件は、 T3≧0.1 T4≧0.1 1.5≧T3/T4≧0.5 なる関係を同時に満たすものである。
【0055】なお、これらの実験はディスク状情報記録
担体1の偏芯が充分に制限されている理想的な状態につ
いて求めている。実際の量産ディスクでは中心孔の精度
は均一ではなく、現在の技術ではディスク状情報記録担
体1の偏芯が40〜70μm以内程度であることを考慮
すると、領域横断再生をより安定にするための望ましい
範囲としては、 T3≧0.15 T4≧0.15 1.45≧T3/T4≧0.6 なる関係を同時に満たす必要がある。
【0056】また、これらの実験はクリーンルーム環境
下で行っている。実際の量産ディスクや量産プレーヤは
一般大気中で扱うので、情報記録担体1に埃が付いた場
合を考慮すると、領域横断再生を更に安定にするための
望ましい範囲としては、 T3≧0.20 T4≧0.20 1.4≧T3/T4≧0.7 なる関係を同時に満たす必要がある。
【0057】なお、ここで、T3及びT4は、トラック
ピッチP3及びP4、再生専用領域30の溝の幅及び記
録再生領域40の溝の幅、溝深さd3及びd4によって
決定される。例えば図9は再生専用領域30について、
λを405nm、NAを0.85、nを1.6、P3を
0.32μm、溝の幅を0.16μmとした場合につい
て、T3の取りうる値を調べたものである。ここで溝深
さd3のみを可変させ、横軸にnd3/λ、縦軸にT3
を取っている。ここでnd3/λが0.125の時に極
大を迎え、T3は0〜0.45の値を取る。なおこの傾
向は、T4に関しても同じである。従ってこのようなパ
ラメータ下では、 0.45≧T3≧0.20 0.45≧T4≧0.20 1.4≧T3/T4≧0.7 が最も相応しい範囲であるといえる。
【0058】また、図9の関係より、再生専用領域30
及び記録再生領域40の溝深さd3及びd4をそれぞれ
可変することにより、この最も望ましい範囲を実現する
ことが可能であるともいえる。
【0059】また、再生専用領域30及び記録再生領域
40のトラックピッチP3及びP4をそれぞれ可変する
ことにより、この最も望ましい範囲を実現するようにし
てもよい。例えばトラックピッチP3を大きな値とすれ
ば、T3の値は増大されることができ、逆もまた可能で
ある。この時、特に再生専用領域30及び記録再生領域
40に記録されるデータの特徴を活かして最適化させる
こともできる。図10は再生専用領域30におけるTr
31及びTr32の溝蛇行の様子を図示したものであ
る。再生専用領域30ではコントロールデータが溝蛇行
で記録されている。先述したようにコントロールデータ
300は、情報記録担体1の装着時またはユーザ記録開
始時に読み取られるものであり、その記録容量自体は比
較的小さいものの、速やかに読み込めるよう同じデータ
を100〜1000回にわたって繰り返し書き込まれて
いるものである。従ってコントロールデータ300は少
なくとも1周以上の長さにわたって書き込まれている。
このような再生専用領域30においては、Tr31のデ
ータとTr32のデータが干渉する(クロストークす
る)ために、トラックピッチP3は大きめに設定するこ
とが望ましい。言い換えれば、上記範囲を満たすもので
あれば、トラックピッチP3はP4よりも大きく設定し
てよいから、例えばd4=d3=22nmとし、P4を
320nm、P3を350nmと設定することで、連続
再生の安定性を確保しつつ、クロストークの少ないコン
トロールデータ300を得ることができる。なおここで
再生の時の出力を大きくするために、d3はd4より大
きめに設定してもよい。すなわち、例えばP4を320
nm、P3を350nmと設定し、d4を22nm、d
3を28nmとすることで、連続再生の安定性を確保し
つつ、クロストークの少ないコントロールデータ300
を得ることができる。
【0060】また、図11は記録再生領域40における
Tr41及びTr42の溝蛇行の様子を図示したもので
ある。記録再生領域40では所定間隔ごとに位置データ
が溝蛇行で記録されている。先述したように位置データ
400は、ユーザ記録開始時及び記録中に読み取られる
ものであり、その記録容量自体は極めて小さい。また記
録時には正しい基準クロックを生成する必要があるため
に、クロックデータ450が位置データ400の隙間に
配置される。クロックデータ450は例えば単一周波数
による正弦波であり、その長さは位置データ400の1
0倍以上となっている。従って図11に示すように、位
置データ400は隣接トラックで重なり合う確率が極め
て低く、従ってデータはほとんど干渉しない(クロスト
ークしない)。つまりトラックピッチP4は小さめに設
定することができ、この結果高密度な情報記録担体1を
達成することもできる。なお溝深さd4に関しては、こ
こで位置データ400及びクロックデータ450の再生
の時の出力を大きくするために、大きめに設定してもよ
い。ただしユーザ記録の点では溝深さd4は浅い方が、
変調度を高くでき、エラーレートを下げられるので、小
さめが相応しい。
【0061】以上、情報記録担体1設計時に考慮する点
について説明をしてきたが、コントロールデータのクロ
ストーク、再生出力、位置データ400及びクロックデ
ータ450のクロストーク、再生出力、ユーザデータの
エラーレートなど総合的に考慮して、トラックピッチP
3及びP4、溝深さd3及びd4、再生専用領域30の
溝の幅及び記録再生領域40の溝の幅を決定すればよ
い。この時、T3及びT4が本発明なる所定範囲内であ
れば、2領域間の横断はスムースに行うことができる。
【0062】ところでこのような構成の情報記録担体1
は、トラック(例えばTr31やTr41)をいわゆる
グルーブGとランドLのいずれかに配置することにな
る。なおここでグルーブGとランドLの名称は、グルー
ブLは入射面に近い方の溝、ランドLは入射面から遠い
方の溝を表した名称である(例えば日本工業規格JIS
−X6271−1991)。そこでトラックをグルーブ
GとランドLのいずれに配置するのが相応しいかを検討
した。この課題は、コントロールデータや位置データの
みならず、記録層12にユーザが記録再生するにはグル
ーブG、ランドLのいずれに記録するのが相応しいかと
いう課題と深く関係してくる。そのような観点で検討し
たときに、記録層12へのユーザ記録はグルーブGに選
択的に記録すると、再生ジッタ及びエラーレートを低く
抑えられ、なおかつ記録の繰り返し性能にも優れること
が判明した。この理由は、グルーブGがランドLよりも
レーザ光からみて手前に位置する(近接している)ため
に、ランドLよりもグルーブGにはレーザ光の照射によ
る熱が蓄積しやすい。この結果、グルーブGにおける記
録感度は高感度になるばかりか、そこに形成される記録
マークの形状が均一となり、よってグルーブGでは理想
的記録が行える。逆にランドLに同様のマークを記録し
た場合には、レーザ光の照射による熱がグルーブGより
も放熱しやすくなるので、そこに形成される記録マーク
の形状は不均一となり、ランドLでは理想的記録が行え
ない。従って図2に記載したように、記録再生領域40
のトラックTr41、Tr42、Tr43等は透光層1
1に近い側に配置するのが望ましい。また再生専用領域
30のトラックTr31,Tr32は、記録再生領域4
0との再生連続性から、やはり透光層11に近い側(グ
ルーブG)に配置するのが望ましい。
【0063】次に、本発明なる情報記録担体1に記録さ
れるコントロールデータや位置データなどの記録方法に
ついて説明する。先述したとおり、再生専用領域30及
び記録再生領域40には、コントロールデータ300、
位置データ400などが周波数変移変調、位相変移変
調、振幅変移変調のいずれかを用いて、溝蛇行によって
形状記録されている。コントロールデータ300と位置
データ400の変調方式は互いに異なっていてもよい
が、同じであることが望ましい。なおデータは2値(バ
イナリ)であっても、多値であってもよいが、ここでは
バイナリであるとして周波数変移変調、位相変移変調、
振幅変移変調を説明する。
【0064】周波数変移変調の具体的な記録は、例えば
図12のように、高周波数部分と低周波数部分とを用い
て形状記録される。図12はデータ1,0,1,1,0
を形状記録した一例であり、高周波数部分501と低周
波数部分500とからなっている。そして高周波数部分
501と低周波数部分500はデータビットの1と0に
それぞれ対応し、1チャネルビット毎に周波数が切り替
わってデジタル記録されている。ここでそれぞれの周波
数部分を構成する波の数に制限はなく、1波以上の波で
構成される。しかし再生装置において周波数を正しく検
知すること、及びデータ転送速度をある程度得るため、
冗長になりすぎないことを考慮すると、1〜100波、
望ましくは1〜30波の範囲で、前記した各データビッ
トに対応した周波数部分のそれぞれを構成するのが望ま
しい。また高周波数部分501と低周波数部分500そ
れぞれの振幅は一致していてよい。しかし振幅比に制限
はなく、再生装置の周波数特性を考慮して、高周波数部
分501の振幅を、低周波数部分500よりも大きく形
成してもよい。また高周波数部分501及び低周波数部
分500で構成されるチャネルビットの物理長さや、そ
の振幅の大きさについて制限はない。
【0065】ここで図12に記載したように、高周波数
部分501と低周波数部分500の振幅が、各々揃って
おり、且つ高周波数部分501の長さが、低周波数部分
500の長さと同じになっていてもよいものである。こ
のようにすると、再生時に0,1判定を充分な振幅閾値
で行うことができ、なおかつシリーズ化したデータを1
つの時間閾値で読み取ることができるので、再生回路が
簡単になる。また再生データにジッタ(時間軸方向の揺
らぎ)があった場合にも、その影響を最小にできるとい
うメリットがある。また記録するコードが理想的に対称
であったとすると、高周波数部分501の長さ総計と低
周波数部分302の長さ総計は等しくなり、再生信号に
直流成分がないことになる。これはデータのデコード及
びサーボに負担がかからないことになり、有利である。
【0066】また、高周波数部分501と低周波数部分
500のチャネルビットの切り替え点における位相は任
意に設定してよいが、位相ジャンプの発生を防止すべ
く、図12のようにチャネルビット切り替え点で位相連
続性が保たれるように、高周波数部分501と低周波数
部分302を配置してもよい。すなわち高周波数部分5
01の終了と低周波数部分500の開始が同じ位相方向
になるように低周波数部分500の開始位相を選択す
る。また逆も同じで、低周波数部分500の終了と高周
波数部分501の開始が同じ位相方向になるように高周
波数部分501の開始位相を選択する。このように選択
すると、位相の連続性は保たれ、電力効率が向上すると
ともに、再生エンベロープが一定となるので情報記録担
体1のデータエラーレートが向上する。
【0067】また高周波数部分501と低周波数部分5
00の周波数の選択は任意であるが、情報記録担体1に
ユーザがデータを記録する周波数帯との干渉を避けるた
めに、高周波数部分501は低周波数部分500と比
べ、著しく高い周波数にならないことが求められる。一
方アドレスデータの再生エラーレートを良好にするため
に高周波数部分501と低周波数部分500の周波数差
はある程度有し、分離性を良好に保つことが望ましい。
これらの観点から、高周波数部分501と低周波数部分
500の周波数比(高周波数/低周波数)は、1.09
〜5.0の範囲内であることが望ましい。言い換える
と、2つの周波数の位相差は、±π/12〜±π/0.
75(360±15度〜±240度)の範囲とすること
が望ましい。さらに望ましい範囲としては、360±1
6度〜±210度であり、特に望ましいのは360±1
6.5度〜±180度である。
【0068】このうち特に、図12の図面例で示すよう
に周波数比(高周波数/低周波数)を1.5倍とする
と、2つの周波数は単一波の位相を−π/2.5と+π
/2.5にずらした関係となる。言い換えると360±
72度にずらした関係となる。これら2つの周波数は単
一の周波数(ここでは0.5)の整数倍(ここでは3倍
と2倍)で表現できる。従って復調回路を簡単化できる
という利点が生じる。また0.5のウインドを持った回
路により、クロックの生成も容易になる。また、復調を
同期検波回路により行うこともでき、その場合はエラー
レートを著しく減少させることができる。
【0069】次に位相変移変調の具体的な記録について
説明する。図13はデータ1,0,1,1,0を位相変
移変調により形状記録した一例であり、前進位相部分5
11と後進位相部分510とからなっている。そして前
進位相部分511と後進位相部分510はデータビット
の1と0にそれぞれ対応し、1チャネルビット毎に位相
が切り替わってデジタル記録されている。具体的には前
進位相部分511は正弦波のsin0で表され、後進位
相部分510は正弦波のsin(−π)で表される。前
進位相部分511と後進位相部分510はそれぞれ1波
で構成されているが、位相差はπもあるので、エンベロ
ープ検波や同期検波によって充分分離再生することがで
きる。
【0070】ここで前進位相部分511と後進位相部分
510の周波数はいずれも同じであるが、それぞれを構
成する波の数に制限はなく、1波以上の波で構成され
る。しかし再生装置において位相を正しく検知するこ
と、及びデータ転送速度をある程度得るため、冗長にな
りすぎないことを考慮すると、1〜100波、望ましく
は1〜30波の範囲で、前記した各データビットに対応
した位相部分のそれぞれを構成するのが望ましい。
【0071】また前進位相部分511と後進位相部分5
10とのそれぞれの物理長さは同じであっても異なって
いてもよい。しかしぞれぞれの物理長さを同じとする
と、再生時にシリーズ化したデータ1つ1つを一定の時
間(クロック)で区切ることができるので、再生回路が
簡単になる。また再生データにジッタ(時間軸方向の揺
らぎ)があった場合にも、その影響を最小にできるとい
うメリットがある。なお位相変位変調は、公知の同期検
波回路によって低いエラーレートで再生できる。
【0072】また、前進位相部分511と後進位相部分
510それぞれの振幅は一致していても異なっていても
よいが、再生のしやすさを考慮すると一致していること
が望ましい。
【0073】また、前進位相部分511と後進位相部分
510の位相差であるが、情報記録担体1に適応して、
実験的にその分離限界を求めたところ、位相差がπ/8
まで分離できることを確かめた。言い換えると最小位相
差をπ/8〜πの範囲で設定することが可能である(π
はバイナリの最小位相差に相当)。すなわち多値記録の
場合には2値から16値のデータまで扱うことができ
る。
【0074】また、このコントロールデータ300また
は位置データ400に対し、基準クロックとなる単一周
波数を重畳記録してもよい。即ち、位相変移変調に対し
て、整数倍(1を含む)、または整数分の1の周波数の
単一周波数を重畳してもよい。このようにクロック周波
数を重畳する場合には、公知のバンドパスフィルタによ
って周波数分離が可能であるが、位相変移変調の周波数
とクロックの周波数の差は大きい方が望ましい。例え
ば、位相変移変調の周波数を1とし、クロックの周波数
を1/2とするとこれらの周波数は好適に分離され、デ
ータ、クロック共に安定した抽出が可能になる。
【0075】また、図示はしないが、基本波を鋸波とし
て、立ち上がりと立ち下がりそれぞれを別々に制御する
ことで位相の違いを表現してもよい。例えばデータ
「1」を立ち上がり緩やか、立ち下がり急峻部分、デー
タ「0」を立ち上がり急峻、立ち下がり穏やか部分とし
て形状記録してもよい。このような登りと下りの角度の
違いによってデータを記録する方法は、高域フィルター
に入力し、微分成分を抽出することで復調でき、簡単な
回路構成で、且つ低いC/N環境下でも再生できる利点
がある。
【0076】次に振幅変移変調の具体的な記録について
説明する。図14はデータ1,0,1,1,0を振幅変
移変調により形状記録した一例であり、溝を一定の周期
で蛇行させた振幅部分521と蛇行させない非振幅部分
520とからなる。そして振幅部分521と非振幅部分
520はデータビットの1と0にそれぞれ対応する。図
14では振幅部分521が3波から構成されているが、
その数には制限がない。しかし波が多すぎると非振幅部
分520の長さも必然的に長くなるので、再生時にゲー
トを生成する基本波を検出しにくくなる。従って2〜1
00波、望ましくは3〜30波が適当である。また、振
幅部分521と非振幅部分520のそれぞれの長さや、
振幅部分521の振幅の大きさについて制限を与えるも
のではない。図14に記載したように、振幅部分521
の振幅が、各々揃っており、且つ振幅部分521の長さ
が非振幅部分520の長さと同じとすると、再生時に
0,1判定を充分な振幅閾値で行うことができ、なおか
つシリーズ化したデータを1つの時間閾値で読み取るこ
とができるので、再生回路が簡単になる。再生データに
ジッタ(時間軸方向の揺らぎ)があった場合にも、その
影響を最小にできるというメリットもある。また記録す
るコードが理想的に対称であったとすると、振幅部分5
21の総計長さと非振幅部分520の総計長さは等しく
なり、再生信号に直流成分がないことになる。これはデ
ータのデコード及びサーボに負担がかからないことにな
り、有利である。
【0077】以上本発明なる情報記録担体1について、
縷々説明してきた。このように本発明は再生専用領域3
0と記録再生領域40を少なくとも有する情報記録担体
1であって、2領域横断再生を行うことを可能とするた
めに、プッシュプル信号出力をある所定の範囲としたも
のである。以上の説明は発明の基本事項を示すための簡
略化した説明であり、本発明は図1〜図14の説明なる
情報記録担体1に限定されるものではない。本発明の趣
旨に則った種々変形、応用が可能である。図面で示した
実施例はお互いに構成要素を入れ替えることも可能であ
るし、本文で記載した別の構成要素と交換することも可
能である。
【0078】例えば、蛇行溝の基本波を主に正弦波と
し、一部鋸波の例も含めて説明してきたが、これに限ら
ず、三角波や矩形波、台形波を基本波としてもよい。た
だし、これらは高調波成分を含むことになるので、記録
再生領域40に用いる際には、記録層12へユーザーが
行う記録周波数帯域と重ならないような周波数を選択す
ることが望ましい。また溝蛇行の基本波は、sin形状
を前提としたが、本発明はこれに限定されない。例えば
溝蛇行の基本波をcos形状としても同様な効果が認め
られることはいうまでもない。
【0079】例えばこれまでの説明では記録方法とし
て、データをそのまま直接記録する方法を用いて説明し
てきたが、本発明はこの直接記録に限定されない。すな
わち直接記録では長いデータ列を記録する場合、0が連
続するまたは1が連続する可能性があり、データに直流
成分が生じる可能性がある。これを回避するためにあら
かじめデータをベースバンド変調して記録する方法を取
ってもよい。すなわち0と1をあらかじめ別のコードに
置き換えて、0と1の連続を一定値以下にする。そのよ
うな方法として、マンチェスタ符号、PE変調、MFM
変調、M2変調、NRZI変調、NRZ変調、RZ変
調、微分変調などを単独または組み合わせて用いること
ができる。
【0080】本発明なる情報記録担体1に特に相応しい
ベースバンド変調の一例として、マンチェスタ符号(バ
イフェイズ変調、二相変調)がある。これは記録しよう
とするデータ1ビットに対して、図15のように2ビッ
トを当てはめる方法である。すなわち記録しようとする
データ0に対して00または11を、データ1に対して
01または10を割り当てる。そしてデータの接続に際
しては、必ず前の符号の反転符号から入るようにする。
【0081】図16に記載したように、100001と
いうデータは、010011001101という符号列
になる。オリジナルのデータは0の連続を4つ含み、ま
た0の出現確率は1の2倍となった非対称なデータであ
る。それに対し変調を行うと、0または1の連続は最大
2つで済み、また0と1の出現確率は等しい対称なデー
タに変換される。このように同一ビットの連続が一定値
以下に制限されるようなベースバンド変調は、その読み
取りの安定性を向上させる効果があるので、長い位置デ
ータを扱う際に相応しい前処理となる。なお、このよう
なマンチェスタ符号と特に相性の良い変調方式として、
周波数変移変調方式がある。特に高周波数部分501と
低周波数部分500の2つの周波数位相差を、±π/
1.5(360±120度)とした周波数変移変調にお
いては、それぞれの周波数比(高周波数/低周波数)は
2.0となるので、2ビットから1ビットデータを得る
マンチェスタ符号と親和性がよく、データ抽出時のエラ
ーが少なくできる。
【0082】また、位置データを高度に分解して、分散
記録する方法もある。例えばダミーデータと組み合わせ
て、「10X」(Xは0か1)というデータの組み合わ
せで記録し、一定間隔毎にこのデータ列を配置する記録
方法である。「10」をデータトリガとして、Xのみを
抽出すれば、データを復元できる。この方法は、扱うデ
ータ列を時間をかけて読み込んでもよいフォーマットの
場合に有効である。
【0083】また周波数変移変調や位相変移変調のよう
に、周波数または位相の切り替わり点が、データの切り
替わり点に対応する場合は、データ上も変化が明瞭であ
ることが望ましい。そのような観点から、データをあら
かじめ微分変調しておく方法もある。具体的には例えば
NRZI変調の信号を、RZ変調に変換することによ
り、NRZI信号の微分波形を生成することができる。
その過程はNRZI変調による原波形に対して、まず遅
延波形を作り、続いてこれらを差分してバイポーラ波形
を作成する。そしてバイポーラ波形の片側の極性を、他
方へ反転(折り返し)させることにより、RZ変調波形
が生成される。
【0084】なお、以上の説明ではディスク状の情報記
録担体1、2を例示したが、図17に示すようなバンド
状に形成された再生専用領域30と、バンド状に形成さ
れた記録再生領域40とを備えたカード状の情報記録担
体3であってもよい。また図18に示すようなリング状
に形成された再生専用領域30と、リング状に形成され
た記録再生領域40とを備えたカード状の情報記録担体
4であってもよい。
【0085】また図示はしないが、本発明なる情報記録
担体1を拡張して、多層のスタック状情報記録担体を構
成することもできる。例えば情報記録担体1を支持体1
3,第1記録層、第1透光層、第2記録層、第2透光層
の順に積層することにより、2層の情報記録担体1とす
ることができる。このようにすると第1記録層と第2記
録層に別々のユーザデータを記録することができ、記録
容量を倍増することができる。また、記録層12と透光
層11のセットの積層を複数回繰り返して、複層(例え
ば三層、四層)などに拡張した情報記録担体としてもよ
い。更に、ディスク状情報記録担体1、2の場合、その
大きさに制限はなく、例えば直径20〜400mmの各
種サイズを取ることができ、直径32、41、51、6
0、65、80、88、120、130、200、30
0、356mmなどであってもよい。
【0086】また、再生又は記録再生に使用するレーザ
波長は405nmとしたが、これに限定されるものでは
なく、例えば1300、980、830、780、65
0、635、515、460、442、430、41
3、370nmなどやその付近などでも可能である。ま
たレンズ開口数NAは,0.85以外に、0.4、0.
45、0.55、0.60、0.65、0.7、0.7
5、0.8、0.9などでも可能である。またソリッド
イマージョンレンズに代表される1以上の開口数でも可
能である。
【0087】ところで、本発明なる情報記録担体1の再
生専用領域30に、コントロールデータの1つとして、
再生パワー情報、すなわち記録再生領域の40を再生す
る時に最適な再生パワーをあらかじめ記録しておくこと
ができる。これは記録層12が相変化材料で構成された
相変化型情報記録担体1である時に特に有用である。相
変化材料は、ハイパワーレーザによって高密度なマーク
Mが容易に記録できるというメリットを持つ反面、再生
時の比較的低いレーザーパワーの連続照射によって、一
度書いたマークMが消えやすいという欠点を持つ。すな
わち、いわゆる再生光劣化が認められる。従ってマーク
Mが事実上消えない程度の低いレーザーパワーを選択す
るのが、再生装置として相応しいのであるが、レーザー
パワーが低いと、レーザーノイズが相対的に増加すると
いう欠点があり、特に窒化ガリウム系半導体素子を光源
とした、いわゆる青紫レーザーの場合に、それは顕著に
現れる。従って、青紫レーザーを用いた相変化記録にお
いては、その再生パワーの選択幅が非常に狭くなり、各
製造者で別々に製造した情報記録担体1を、単一の再生
パワーで良好に再生するというのは厳しくなる。従っ
て、情報記録担体1の所定領域、ここでは再生専用領域
30に最適再生パワーが記録されていれば、再生装置は
最初にその領域を読みに行き、最適な再生パワー値を収
集し、それを再生レーザーのパワードライバーに帰還す
ることによって、最適な再生を行えるようになる。収集
した再生パワー値は再生装置内部のメモリーに暫時記録
しておいてもよいものである。そして情報記録担体1を
ローディングまたは再生する毎に、前回の情報をリセッ
トし、新しい情報に更新することによって、常に最適な
再生を行うことができるようになる。なお最適な再生パ
ワー値を収集する手段、すなわちここでは再生専用領域
30から再生パワー値を含むコントロールデータを読み
出す手段については、そのデータは溝蛇行によって記録
されており、マークMによる記録ではないので、再生光
劣化はなく、かなり広いパワーレンジで読み取ることが
できる。従って、再生専用領域30を固定のレーザーパ
ワーによって読み取り、記録再生領域40を可変可能の
適正なレーザーパワーによって読み取るような再生装置
とすれば、本発明なる情報記録担体1を好適に再生する
ことができる。具体的には、再生専用領域30を固定の
やや高めのレーザーパワーによって読み取り、続いて収
集した最適再生パワーデータに基づいて、再生パワーの
設定を変更し、その定めた再生パワーによって記録再生
領域40を再生する方法を取る。なお2領域横断時にパ
ワーを可変することになるが、プッシュプル信号は半径
方向の差分信号であるので、その光量変化は比較的少な
く、横断時のインパクトはほとんどない。以上述べたよ
うな再生装置及び再生方法は、情報記録担体1乃至4の
性能を最大限に引き出すこととなり、本発明なる情報記
録担体を最適な条件で再生することができるとともに、
好適な記録再生システムを構築することができる。
【0088】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明に係る情報
記録担体は、再生専用領域と記録再生領域を少なくとも
有し、それぞれのプッシュプル信号出力をある所定の範
囲とすることによって、2領域間の横断再生をスムース
に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明及び従来技術に係るディスク状情報記録
担体を示す平面図である。
【図2】本発明に係る情報記録担体を示す断面図であ
る。
【図3】本発明に係る情報記録担体の再生専用領域と記
録再生領域の境界付近を示す平面図である。
【図4】本発明に係る情報記録担体の再生専用領域と記
録再生領域の境界付近を示す平面図である。
【図5】本発明なる情報記録担体の記録再生に用いる4
分割ディテクターを示す図である。
【図6】本発明に係る情報記録担体の再生専用領域のプ
ッシュプル出力T3とトラッキング性能の関係を示す図
である。
【図7】本発明に係る情報記録担体の記録再生領域のプ
ッシュプル出力T4とトラッキング性能の関係を示す図
である。
【図8】本発明に係る情報記録担体の再生専用領域と記
録再生領域のプッシュプル出力比T3/T4とトラッキ
ング性能の関係を示す図である。
【図9】本発明に係る情報記録担体の再生専用領域の溝
深さとプッシュプル出力T3の関係を示す図である。
【図10】本発明に係る情報記録担体の再生専用領域を
示す平面図である。
【図11】本発明に係る情報記録担体の記録再生領域を
示す平面図である。
【図12】周波数変移変調されたデジタルデータを示す
図である。
【図13】位相変移変調されたデジタルデータを示す図
である。
【図14】振幅変移変調されたデジタルデータを示す図
である。
【図15】ベースバンド変調前とベースバンド変調後に
おけるデータの変化を示す図である。
【図16】ベースバンド変調前とベースバンド変調後に
おけるデータの変化の具体的な例を示す図である。
【図17】本発明に係る情報記録担体の実施の形態であ
るカード状形情報記録担体を示す図である。
【図18】本発明に係る情報記録担体の実施の形態であ
る別のカード状形情報記録担体を示す図である。
【符号の説明】
1 情報記録担体 2 情報記録担体 11 透光層 12 記録層 13 支持体 30 再生専用領域 40 記録再生領域 300 コントロールデータ 400 位置データ 450 クロックデータ 500 低周波部分 501 高周波部分 M 記録マーク
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G11B 7/24 561 G11B 7/24 561N 561Q 20/10 341 20/10 341C Fターム(参考) 5D029 JB09 JB46 JB50 JC02 LB07 WA02 WB11 5D044 BC03 BC04 BC08 CC01 CC04 CC08 DE37 DE42 GL34 GL36 5D090 AA01 AA03 AA04 BB02 BB03 BB05 BB10 BB11 BB12 CC01 CC04 CC14 DD01 EE16 FF02 FF07 FF09 FF12 GG03 GG07 GG23 GG28 GG32 GG33 KK06 5D118 BA03 BA04 BB01 BB03 BB06 BB07 BC08 BD02 BD03 BD04 BF06 CA13 CA23 CC12 CD03 CF05

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】支持体と、情報の記録再生を行うために前
    記支持体上に設けられた記録層と、透光性を有し前記記
    録層上に設けられた透光層とから少なくともなり、再生
    専用領域と記録再生領域とを少なくとも有する情報記録
    担体であって、 前記支持体には前記再生専用領域に相当する蛇行溝と、
    前記記録再生領域に相当する蛇行溝とが互いに重なるこ
    となく形成されており、 前記記録層と前記透光層は、少なくとも前記再生専用領
    域と前記記録再生領域の二つの領域を連続して被着する
    と共に、 前記記録層の反射率は5%以上であり、 前記再生専用領域から再生されるプッシュプル信号出力
    T3と、記録前の記録再生領域から再生されるプッシュ
    プル信号出力T4とが、T3≧0.1、T4≧0.1且
    つ1.5≧T3/T4≧0.5であることを特徴とする
    情報記録担体。
  2. 【請求項2】前記再生専用領域に相当する蛇行溝及び前
    記記録再生領域に相当する蛇行溝には、周波数変移変
    調、位相変移変調、振幅変移変調のいずれかの変調方式
    でデータが蛇行記録されていることを特徴とする請求項
    1に記載の情報記録担体。
  3. 【請求項3】前記変調方式が周波数変移変調であるとき
    に、その位相差を360±15度〜±240度としたこ
    とを特徴とする請求項2に記載の情報記録担体。
  4. 【請求項4】前記周波数変移変調は、位相差が360±
    72度であることを特徴とする請求項3に記載の情報記
    録担体。
  5. 【請求項5】前記変調方式が周波数変移変調であるとき
    に、前記周波数変移変調は周波数の切り替え点で波が連
    続するよう位相が選択されることを特徴とする請求項2
    乃至4のいずれか1項に記載の情報記録担体。
  6. 【請求項6】前記変調方式が位相変移変調であるとき
    に、その位相差をπ/8〜πとしたことを特徴とする請
    求項2に記載の情報記録担体。
  7. 【請求項7】前記データは、予め同一ビットの連続が一
    定値以下に制限されるようにベースバンド変調されたも
    のであることを特徴とする請求項2乃至6のいずれか1
    項に記載の情報記録担体。
  8. 【請求項8】前記ベースバンド変調は、マンチェスタ符
    号であることを特徴とする請求項7に記載の情報記録担
    体。
  9. 【請求項9】前記変調方式が周波数変移変調であり、そ
    の位相差を360±120度としたことを特徴とする請
    求項8に記載の情報記録担体。
  10. 【請求項10】前記再生専用領域に相当する蛇行溝に
    は、コントロールデータが蛇行記録されていることを特
    徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の
    情報記録担体。
  11. 【請求項11】前記記録再生領域に相当する蛇行溝に
    は、少なくとも位置データが蛇行記録されていることを
    特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記
    載の情報記録担体。
  12. 【請求項12】前記記録再生領域に相当する蛇行溝に
    は、記録開始時及び記録中に参照する位置データが記録
    され、且つ、前記位置データが記録された蛇行溝の間に
    は単一周波数からなるクロックデータが蛇行記録されて
    いることを特徴とする請求項11に記載の情報記録担
    体。
  13. 【請求項13】前記再生専用領域には、前記記録再生領
    域の適正再生パワー値が記録されていることを特徴とす
    る請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載の情報
    記録担体。
  14. 【請求項14】前記再生専用領域に相当する蛇行溝と、
    前記記録再生領域に相当する蛇行溝とは、共にグルーブ
    側に形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求
    項13のいずれか1項に記載の情報記録担体。
  15. 【請求項15】前記再生専用領域に相当する蛇行溝のト
    ラックピッチがP3であり、 前記記録再生領域に相当する蛇行溝のトラックピッチが
    P4であり、 再生波長λ、再生対物レンズNAとの間に、 P3≦λ/NA、P4≦λ/NA、P3>P4なる関係
    を有したことを特徴とする請求項1乃至請求項14のい
    ずれか1項に記載の情報記録担体。
  16. 【請求項16】前記透光層は、0.02〜0.12mm
    の厚みを有することを特徴とする請求項1乃至請求項1
    5のいずれか1項に記載の情報記録担体。
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