JP2007157329A - 情報記録担体及び情報記録担体の再生方法 - Google Patents

情報記録担体及び情報記録担体の再生方法 Download PDF

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Abstract

【課題】記録容量を減少させずに、埋め込まれたアドレス情報と信号トラックのユーザ記録マークとの相互干渉が生じないようにアドレスが記録された情報記録担体を提供する。
【解決手段】第1の周波数からなる位相変移変調波、及び異なる第2の周波数を有した単一周波数波の重畳波形を溝波形形状として有する蛇行溝領域と直線溝領域とが半径方向に互いに交互に隣接して配置され、特に単数または複数波が1チャネルビットとしてデジタル記録される情報記録担体。
【選択図】図4

Description

本発明は、特に光学的手段によって情報を記録及び/又は再生するシステムに使用される情報記録担体及び情報記録担体の再生方法及び情報記録担体の再生装置に関するものである。
従来から情報記録担体を相対運動させて情報を読み出すシステムがあり、その再生には光学的手段、磁気的手段、静電容量的手段などが用いられている。このうち光学的手段によって記録及び/又は再生を行うシステムは日常生活に深く浸透している(ここで「記録及び/又は再生」は記録だけ、再生だけ、記録及び再生の3態様を意味する)。例えば波長λ=650nmの光を利用した記録再生型情報記録担体としてはDVD−RAMやDVD−RWなどがある(「DVD」はデジタルバーサタイルディスクを意味する)。このように記録再生型情報記録担体は実用化されて、市場に登場してきているものの、記録再生型情報記録担体にアドレス情報を効率良く埋め込む技術の開発についてはいまだ発展途上であり、次世代情報記録担体では従来型アドレス記録技術の改良または新しいアドレス記録技術が必要となっている。
ここで効率良くアドレス情報を埋め込む目的は、第1に記録再生に供される面積を実効的に減らすことなくアドレス情報を低いエラーレートで埋め込むことであり、第2に埋め込んだアドレス情報が、主たる記録再生領域へ干渉せず、記録マークのエラーレートを低く抑えて埋め込むことである。
第1の目標に関していえば、例えばDVD−RAM(DVDリライタブル)に代表されるヘッダ型アドレスを採用する情報記録担体では、アドレス情報は主たる記録再生領域を切断して、ピット列(ヘッダという)により記録されている。ヘッダは再生専用型情報記録担体と同様な形式であるから、アドレス情報のエラーレートは非常に低く抑えられる。しかしながらこのヘッダ領域には記録が行えないため、面積の限定された情報記録担体では、その全体容量は低下してしまう。従って、ヘッダを使用しないアドレス記録方式が必要である。
第2の目標に関していえば、例えばDVD−RW(DVDリレコーダブル)に代表される溝間アドレスピットを採用する情報記録担体では、記録再生領域は連続しており、切断された領域はないので第1の目標をクリアできる。しかしながら溝間アドレスピットと記録再生領域である溝へ記録したマークが再生時に干渉して互いにエラーレートが上昇する。
図16はこのDVD−RWの微細パターンを拡大した平面図である。情報記録担体(図示せず)には微細パターンとして、略平行な複数の溝連続体150が形成される。その連続体150は、溝151と溝間部152とから構成され、互いに略平行に構成されている。なお溝151と溝間部152とは互いに異なる高さ(高低差は、記録波長をλ、記録光透過部材の屈折率をnとすると例えばλ/14n)を有している。アドレス情報はピットの形状として用意され、溝間部152の中に広域に分散されて記録される。言い換えれば、溝間アドレスピット153が溝間部152の中に配置されることによって、アドレス情報が記録されている。一方、ユーザによる記録は溝151に対して行われるものであり、物理的に直接重なることはないから、ユーザーの記録容量は減じられることがない。しかしながら、ユーザ記録マークと溝間アドレスピット153が平行となる瞬間があり、そのような場合にこれらは互いに干渉する。従ってユーザ記録のエラーレート及びアドレスエラーレートが共に劣化することになり、第2の目標が達成されなくなってしまう。
本発明が解決しようとする課題は、第1に記録再生に供される面積を実効的に減じないでアドレス情報を低いエラーレートで埋め込むことであり、第2に埋め込んだアドレス情報とユーザ記録マークが互いに干渉しないよう埋め込むことである。特にDVD−RAMに使用されるヘッダーピットや、DVD−RWに使用される溝間アドレスピットを用いない、新規なアドレス記録方法を提案するものである。この時埋め込んだアドレスが、隣接するアドレスへ干渉しないように構成することを考慮する。
また本発明では近年、情報記録担体の記録密度を上げるために開発された窒化ガリウム系化合物半導体発光素子(例えば特許2778405号公報記載)、すなわちλ=350〜450nm近傍で発光する短波長レーザが、従来型のレーザと比べノイズが高いことも考慮する。
また記録容量を増やすために情報記録担体を多層化する技術が知られているが、この多層化により再生系のノイズが増加することも考慮する。
また本発明は、近年開発された透光層入射型情報記録担体に対して、物理構造的に対応することも考慮する。
そこで、本発明はこのような最新の技術的背景も考慮しつつ、効率良くアドレスを埋め込んだ情報記録担体及び情報記録担体の再生方法及び情報記録担体の再生装置を提供することを目的とする
本発明は上述した課題を解決するために、下記の構成を有する情報記録担体及び情報記録担体の再生方法を提供する。
(1) 同芯円状または螺旋状のトラックからなる微細パタ−ンを有した支持体と、
前記微細パタ−ン上に形成された記録層と、
前記記録層上に形成された透光層とから少なくともなり、
レーザ光を対物レンズにより集光した光ビームを用い、前記透光層を通して前記記録層に照射し、再生を行う情報記録担体であって、
前記トラックは、360度連続したトラックであると共に、蛇行溝領域と直線溝領域を有しており、
前記蛇行溝領域と前記直線溝領域とは、半径方向に互いに交互に隣接して配置されており、
前記蛇行溝領域は、蛇行溝からなり、
前記蛇行溝は、第1の周波数からなる位相変移変調波、及び前記位相変移変調波とは異なる第2の周波数を有した単一周波数波の重畳波形を溝波形形状として有した蛇行溝であり、
前記第2の周波数は、前記第1の周波数の2分の1であり、
かつ前記位相変移変調波の振幅方向と前記単一周波数波の振幅方向は共に前記情報記録担体の半径方向であることを特徴とする情報記録担体。
(2) 同芯円状または螺旋状のトラックからなる微細パタ−ンを有した支持体と、
前記微細パタ−ン上に形成された記録層と、
前記記録層上に形成された透光層とから少なくともなり、
レーザ光を対物レンズにより集光した光ビームを用い、前記透光層を通して前記記録層に照射し、再生を行う情報記録担体であって、
前記トラックは、360度連続したトラックであると共に、蛇行溝領域と直線溝領域を有しており、
前記蛇行溝領域と前記直線溝領域とは、半径方向に互いに交互に隣接して配置されており、
前記蛇行溝領域は、蛇行溝からなり、
前記蛇行溝は、第1の周波数からなる位相変移変調波、及び前記位相変移変調波とは異なる第2の周波数を有した単一周波数波の重畳波形を溝波形形状として有した蛇行溝であり、
前記第2の周波数は、前記第1の周波数の2分の1であり、かつ前記位相変移変調波の振幅方向と前記単一周波数波の振幅方向は共に前記情報記録担体の半径方向であり、
前記位相変移変調波の振幅と、前記単一周波数波の振幅は異なっているとともに1:5〜5:1の間であり、
前記透光層の厚みは、0.02〜0.12mmであることを特徴とする情報記録担体。
(3) 同芯円状または螺旋状のトラックからなる微細パタ−ンを有した支持体と、
前記微細パタ−ン上に形成された記録層と、
前記記録層上に形成された透光層とから少なくともなり、
レーザ光を対物レンズにより集光した光ビームを用い、前記透光層を通して前記記録層に照射し、再生を行う情報記録担体であって、
前記蛇行溝領域は、蛇行溝からなり、
前記蛇行溝は、第1の周波数からなる位相変移変調波、及び前記位相変移変調波とは異なる第2の周波数を有した単一周波数波の重畳波形を溝波形形状として有した蛇行溝であり、 かつ前記位相変移変調波の振幅方向と前記単一周波数波の振幅方向は共に前記情報記録担体の半径方向であり、
前記位相変移変調波の振幅と、前記単一周波数波の振幅は異なっているとともに1:5〜5:1の間であることを特徴とする情報記録担体。
(4) 前記第2の周波数は、前記第1の周波数の2分の1であることを特徴とする請求項3記載の情報記録担体。
(5) 前記透光層の厚みは、0.02〜0.12mmであることを特徴とする請求項3または4記載の情報記録担体。
(6) 前記記録層は、相変化材料であることを特徴とする請求項3記載の情報記録担体。
(7) 前記記録層は、光磁気材料であることを特徴とする請求項3記載の情報記録担体。
(8) 請求項1乃至7に記載の情報記録担体を再生する情報記録担体の再生方法であって、
前記光ビームを、前記透光層を通過して、前記記録層に照射するステップと、
前記照射された光ビームの前記記録層反射光からプッシュプル信号を生成するステップと、
前記プッシュプル信号から、位相変移変調の復調を行うステップとを少なくとも有することを特徴とする情報記録担体の再生方法。
本発明によれは、位相変移変調によって変調した蛇行溝領域を有したトラックと直線溝領域を有したトラックとを交互に配置するので、蛇行溝領域を有したトラックと直線溝領域を有したトラックとを再生したデータから低いエラーレートでクロストークなしにアドレス情報等のデジタルデータを良好に読み出すことができ、また蛇行溝領域を有したトラックと直線溝領域を有したトラックとの間の溝間部にユーザデータ等のマークを記録した場合にも、この溝間部に隣接する蛇行溝領域を有したトラックと直線溝領域を有したトラックとの相互干渉がほとんどないので、溝間部にある各トラックに記録するユーザ記録容量を低下することなく、高密度記録容量を維持確保可能な情報記録担体を提供することができる。
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図1乃至図15及び図17乃至図20に沿って説明する。
まず本発明の実施形態について図1及び図2を用いて説明する。本発明の実施形態の情報記録担体1は、記録、再生の少なくとも1つが主に光学的な手段により行われる情報記録担体である。例えば相変化記録型情報記録担体、色素型情報記録担体、光磁気型情報記録担体、光アシスト磁気型情報記録担体などである。
図1に示すように、情報記録担体1の表面(レーザ光照射面)または内部には、その記録再生領域として凹凸状の微細パターンが形成され、その平面構造は略平行な複数の溝が互いに近接して形成される平行溝連続体100を構成している。図1の例では平行溝連続体100をそのごく一部について円弧状に描いているが、この円弧が同心円状あるいは螺旋状に360度連続して接続されたものであってもよい。
また図1では情報記録担体1が円形として描かれているが、本発明はその形状に限定されるものではない。図2に記載されたカード状の情報記録担体1であってもよく、特に平行溝連続体100がカードの一辺に対して平行に形成されていてもよい。また図3に記載されたカード状の情報記録担体1であってもよく、図1と同様に、平行溝連続体100が円状に形成されていてもよいものである。このほか図示はしないが、情報記録担体1がテープ状であっても構わないし、穴が開けられていてもよいものである。
なお本発明で記録しようとするデータはデジタルデータであり、平行溝連続体100の少なくとも一部に、溝の形状として記録される。従って書き換えのできない永久データである。データの種類は特に問わないが、アドレス情報、複製防止情報、暗号化した情報、暗号鍵などを扱うことができる。なおここでアドレス情報とは、情報記録担体1全面に対して割り当てられた絶対アドレス、部分領域について割り当てられた相対アドレス、トラック番号、セクタ番号、フレーム番号、フィールド番号、時間情報、エラー訂正コードなどから選ばれるデータであり、例えば10進法または16進法によって記述されたものを2進法(BCDコードやグレイコードの例を含む)に変換したデータである。なお以下の説明では理解を容易にするために、記録するデジタルデータをアドレスデータとして説明する。
図4は図1〜図3に記載された平行溝連続体100を拡大して、その平面微細構造を示したものである。平行溝連続体100は少なくとも蛇行溝領域を有したトラック201と、少なくとも直線溝領域を有したトラック203からなり、これらはマクロ的には略平行に、そして互いに交互に構成されている。なおここで説明のために蛇行溝領域を有したトラック201と、直線溝領域を有したトラック203の間は、溝間部202と呼ぶことにする。そして蛇行溝領域を有したトラック201と、直線溝領域を有したトラック203は高さが同じであり、溝間部202の高さとは異なっている。
ここで蛇行溝領域を有したトラック201と、直線溝領域を有したトラック203とのピッチをPとし、本発明になる情報記録担体1を再生する再生光の波長をλ、対物レンズの開口数をNAとする時、P<λ/NAの関係を有して構成されている。例えばDVD同様λ=650nm、NA=0.6とした時P<1083nmで構成される。また例えば窒化ガリウム系化合物半導体発光素子と高NAピックアップを使用した時は、λ=405nm、NA=0.85としたときP<476nmで構成されている。
なお図面では蛇行溝領域を有したトラック201と直線溝領域を有したトラック203は、溝間部202より狭く描写されているが、それぞれの溝幅に制限はない。また蛇行溝領域を有したトラック201の幅と、直線溝領域を有したトラック203の幅は、同じであっても、異なっていてもよい。
また蛇行形状の基本波は、正弦波に限らず、三角波、矩形波などから選ぶことができる。また蛇行溝領域を有したトラック201、直線溝領域を有したトラック203は共にライン状、同芯円状、スパイラル状のいずれであってもよい。特に図1や図3のような円形または円弧状の平行溝連続体100の場合、蛇行溝領域を有したトラック201は角速度一定(constant angular velocity、CAV)や線速度一定(constant linear velocity、CLV)の様式、あるいは半径毎に異なるゾーンを形成し、各ゾーン毎で制御が異なるZCAV(zone constant angular velocity)やZCLV(zone constant linear velocity)の様式により記録されている。また直線溝領域を有したトラック203は、360度に渡る連続線であってもよい。いずれにしても肝要なのは、蛇行溝領域と、直線溝領域とが順次交互に隣接して配置されていることであり、特にディスク状情報記録担体の場合は、これらが半径方向に順次交互に隣接していることである。
蛇行溝領域を有したトラック201は、データを位相変移変調によって形状記録するものであり、具体的には溝を一定の周波数で蛇行させた複数の部分よりなる。具体的には、2値(バイナリ)データの場合は、前進位相部分と後退位相部分の2種類で構成し、n値データの多値とする場合は、n種類の位相にそれぞれ対応するn個の位相部分で構成する。以下データがバイナリである例について、図5を用いて説明する。
図5はデータ1,0,1,1,0を形状記録した一例であり、前進位相部分301と後進位相部分300とからなっている。そして前進位相部分301と後進位相部分300はデータビットの1と0にそれぞれ対応し、1チャネルビット毎に位相が切り替わってデジタル記録されている。具体的には前進位相部分301は正弦波のsin0で表され、後進位相部分300は正弦波のsin(−π)で表される。前進位相部分301と後進位相部分300はそれぞれ1波で構成されているが、位相差はπもあるので、エンベロープ検波や同期検波によって充分分離再生することができる。
ここで前進位相部分301と後進位相部分300の周波数はいずれも同じであるが、それぞれを構成する波の数に制限はなく、1波以上の波で構成される。しかし再生装置において位相を正しく検知すること、及びデータ転送速度をある程度得るため、冗長になりすぎないことを考慮すると、1〜100波、望ましくは1〜30波の範囲で、前記した各データビットに対応した周波数部分のそれぞれを構成するのが望ましい。
また前進位相部分301と後進位相部分300とのそれぞれの物理長さは同じであっても異なっていてもよい。しかしぞれぞれの物理長さを同じとすると、再生時にシリーズ化したデータ1つ1つを一定の時間(クロック)で区切ることができるので、再生回路が簡単になる。また再生データにジッタ(時間軸方向の揺らぎ)があった場合にも、その影響を最小にできるというメリットがある。
また前進位相部分301と後進位相部分300それぞれの振幅は一致していても異なっていてもよいが、再生のしやすさを考慮すると一致していることが望ましい。ただしいずれの場合にしても、振幅ΔはピッチPとの間にΔ<Pの関係を有して形成することが必要である。このようにすると、蛇行溝領域を有したトラック201と、直線溝領域を有したトラック203とが一切接することなく構成されるので、異なるトラック201に位相変移変調されたアドレスどおしが、再生時に混信することを避けられる。なおここで振幅Δとは、位相変移変調の中心線から、波の極大点、または極小点までの偏移量のことを指す。なお記録されたデータの読み取りには、DVD−RW方式と同様にプッシュプル法を用いることができる。
なお本発明になる情報記録担体1は、バイナリーデータのみならず多値データも扱うことができる。何種類の位相まで扱えるかは、各データビットの位相差をどの程度の細かさまで分離できるかに依っている。本発明者は情報記録担体1を光ディスクに適応して、実験的にその分離限界を求めたところ、位相差がπ/8まで分離できることを確かめた。言い換えると、多値のチャネルビットは、それを構成する多種の位相部分は、それぞれの最小位相差をπ/8〜πまで扱うことが可能である(πはバイナリの最小位相差に相当)。すなわち2値から16値のデータまで扱うことができる。
図6は蛇行領域を有したトラック211に4値のデータを記録した例を示すもので、位相部分[sin(−3π/4)]310、位相部分[sin(−π/4)]311、位相部分[sin(π/4)]312、位相部分[sin(3π/4)]313の4種類の位相を扱う。それぞれの位相部分の最小位相差はπ/2であるので、充分データを分離取得することができる。なおここで、便宜上位相部分[sin(−3π/4)]310はデータ「1」、位相部分[sin(−π/4)]311はデータ「2」、位相部分[sin(π/4)]312はデータ「3」、位相部分[sin(3π/4)]313はデータ「4」に対応させている。なおこのような多値データの記録にあたっては、多値データを多次元データとしてもよい。例えばデータを2次元の「x,y」とすると、データ「1」をデータ「0,0」、データ「2」をデータ「0,1」、データ「3」をデータ「1,0」、データ「4」をデータ「1,1」と置き換えて扱ってもよい。
また図7は本発明になる情報記録担体1でバイナリデータを扱う別の例を示した図である。すなわち基本波が鋸波になっており、立ち上がりと立ち下がりの非対称な形状と捉える。そしてそれぞれを別々に制御することで位相の違いを表現している。すなわち図7の例では、データ「1」を立ち上がり緩やか、立ち下がり急峻部分321(以下、下り急峻部分321と呼ぶ)、データ「0」を立ち上がり急峻、立ち下がり穏やか部分320(以下、登り急峻部分320と呼ぶ)として記録している。そしてアドレスデータの例として10110を記録する場合においては、図7のように、下り急峻部分321、登り急峻部分320、下り急峻部分321、下り急峻部分321、登り急峻部分320の順で形状記録される。このような登りと下りの角度の違いによってデータを記録する方法は、高帯域フィルターに入力し、微分成分を抽出することで復調でき、低いC/N環境下でも再生できる利点がある。
上述したように本発明になる情報記録担体1は、少なくともによる蛇行溝領域を有したトラック201(201,211,221)と、溝間部202と少なくとも直線溝領域を有したトラック203から少なくともなり、これらはマクロ的には略平行に、そして互いに交互に形成されて、平行溝連続体100を構成している。また蛇行溝領域を有したトラック201と、直線溝領域を有したトラック203とのピッチをPとし、本発明になる情報記録担体1を再生する再生レーザ光の波長をλ、対物レンズの開口数をNAとする時、P<λ/NAの関係を有して構成されているものである。このうち蛇行溝領域を有したトラック201(201,211,221)は位相変移変調によって蛇行しており、その物理構造はデータがバイナリの場合は2値(前進位相部分301、下り急峻部分321と後進位相部分300、登り急峻部分320)からなるものである。また最小位相差がπ/8〜πまでの範囲で多値化することができるものである。
このように本発明になる情報記録担体1には位相変移変調によりデジタルデータが記録される。蛇行位相の変化に対応して、0,1を記録するので0,1の判別能力には優れたものがある。特に位相変移変調は周波数が一定であるために、アドレス復調回路の前段に設けるフィルタを、1つの周波数に特化したバンドパスフィルタとすることができ、ユーザー記録により生じたノイズを含め、あらゆるノイズを効果的に除去することができる。つまりアドレスデータは比較的少ないC/Nであっても低いエラーレートを得ることができる。
またアドレス信号には、DVD−RWに採用されている溝間アドレスピット153のような記録マークと類似したパターンを含まないので、ユーザ記録において相互干渉することがない。
また隣り合った溝のアドレスデータどおしの相互干渉(クロストーク)に関しては、蛇行溝領域を有したトラック201(211,221)どおしの間に、直線溝領域を有したトラック203が挿入されているので、隣接トラックアドレスのクロストークは生じない。従って、クロストークによるデータエラーの発生はほとんどない。
以上本発明になる情報記録担体1の構成及び効果について縷々説明してきた。なお本発明は図1〜図7で説明した情報記録担体1に限定されるものではなく、本発明の趣旨に則った種々変形、応用が可能である。例えば図5〜図7を用いた位相変移変調の説明では、基本波を正弦波とし、それに対する位相差を用いて記録する例を説明していたが、余弦波を基本波とした記録であってもよい。
本発明は、少なくとも蛇行溝領域を有したトラック201と、溝間部202と、少なくとも直線溝領域を有したトラック203とが交互に形成され、蛇行溝領域は、少なくとも位相変移変調により構成される情報記録担体1を提供するものであるが、これをディスク状の情報記録担体に適応する様式には様々なものがある。例えば先述したように、同心円状にこれらトラックが構成され、360度で自己閉塞した多数のトラックを有した構成の情報記録担体でもよい。またこれらトラックが螺旋状に構成され、トラック201、溝間部202、トラック203が互いに重なったり、接続したりすることなく構成された情報記録担体であってもよい。なおこの時、情報記録担体全体でみると、トラック201、溝間部202、トラック203の3つの螺旋からなることになる。また、このパターンの変
形として、蛇行溝領域と直線溝領域が所定角度毎に反転するように構成された情報記録担体であってもよい。
また、例えばこれまでの説明では記録方法として、データをそのまま直接記録する方法を用いて説明してきたが、本発明はこの直接記録に限定されない。すなわち直接記録では長いアドレスデータ列を記録する場合、0が連続するまたは1が連続する可能性があり、データに直流成分が生じる可能性がある。これを回避するためにあらかじめデータをベースバンド変調して記録する方法を取ってもよい。すなわち0と1をあらかじめ別のコードに置き換えて、0と1の連続を一定値以下にする。そのような方法として、マンチェスタ符号、PE変調、MFM変調、M2変調、NRZI変調、NRZ変調、RZ変調、微分変調などを単独または組み合わせて用いることができる。
本発明になる情報記録担体1に特に相応しいベースバンド変調の方法として、マンチェスタ符号(バイフェイズ変調、二相変調)がある。これは記録しようとするデータ1ビットに対して、図8のように2ビットを当てはめる方法である。すなわち記録しようとするデータ0に対して00または11を、データ1に対して01または10を割り当てる。そしてデータの接続に際しては、必ず前の符号の反転符号から入るようにする。
図9に記載したように、100001というアドレスデータは、010011001101という符号列になる。オリジナルのアドレスデータは0の連続を4つ含み、また0の出現確率は1の2倍となった非対称なデータである。それに対し変調を行うと、0または1の連続は最大2つで済み、また0と1の出現確率は等しい対称なデータに変換される。このように同一ビットの連続が一定値以下に制限されるようなベースバンド変調は、その読み取りの安定性を向上させる効果があるので、長いアドレスデータを扱う際に相応しい前処理となる。
またアドレスデータを高度に分解して、分散記録する方法もある。例えばアドレス分散記録の第1実施形態として、ダミーデータ「101」と組み合わせて、「101X」(Xは0か1)というデータの組み合わせで記録し、一定間隔毎にこのデータ列を配置する記録方法がある。すなわち図17に示すように、データトリガTrとして「101」が一定間隔ごと(ここでは11ビットごと)に配置され、それに続けてXが配置されている。つまり「101」をデータトリガTrとして、データトリガTr直後のXのみを抽出すれば、データを復元できる。この例では、「1」をデータと考えると、データ有、無、有の順に復元できるので、アドレス情報としては「101」が再生できる。この方法は、扱うデータ列を時間をかけて読み込んでもよいフォーマットの場合に有効である。なおここで、一定間隔ごとに抽出される1ビットデータをワードとして定義し、ワードが集積されてアドレス情報が構成されるとする。
このことを換言するならば、位相変移変調により記録されるデータはアドレス情報であり、一定間隔毎に設けられたデータトリガと、このデータトリガ間の所定位置に割り当てられたデータとから少なくとも構成されており、このデータの有無によって、アドレス情報が記録されている情報記録担体である。
なお、この方式の変形として、図18に示すようにデータトリガTrと、データを所定のビット間隔分、離して形成してもよい(アドレス分散記録の第2実施形態)。ここではデータトリガTrが「11」であり、11ビットごとに配置されている。そしてデータは「101」の有無で一定間隔ごとに記録されている。すなわちデータトリガTrに続いて、4ビットめから6ビットめのデータを取り込むことによって、1ビットのデータが復元される。できる。この例では、データ有、無、有の順に復元できるので、アドレス情報としては「101」が再生できる。この記録方法は、データトリガTrと、データが離れているので、読み誤りを減らすことができる。
また、高度分散記録の第3の例としては、第1の特定データパターン(例えば「11」)を一定間隔毎に配置(記録)しておく。そして第2の特定データパターン(例えば「101」)を、第1の特定データパターンの間に配置する。第2の特定データパターンを配置する位置は、第1の特定データパターンに対して、所定のビット(距離、時間)進んだ位置とし、特に2通りの位置を割り当てておく。すなわち図19の例(アドレス分散記録の第3実施形態)に示すように、第1の特定データパターンとして、データトリガTr「11」が一定間隔ごと(ここでは11ビットごと)に配置され、その間に第2の特定データパターン「101」が配置されている。この第2の特定データパターンの配置位置は、3ビットめから5ビットめ、または5ビットめから7ビットめの2通りが用意されていて、そのどちらの位置に配置されているか判定して復号を行う。この例では、3ビットめ開始、5ビットめ開始、3ビットめ開始の順に配置されているから、アドレス情報としては「101」が再生できる。この記録方法は、データ「101」が読み取れるかどうかを信頼性判定の基準の一つに追加できることから、特にアドレス情報に高い信頼性を持たせたい時に有効な方法である。
このことを換言するならば、位相変移変調により記録されるデータはアドレス情報であり、一定間隔毎に設けられたデータトリガと、このデータトリガ間の所定位置に割り当てられたデータとから少なくとも構成されており、このデータトリガと、データの相対距離によって、アドレス情報が記録されている情報記録担体である。
なお、上記高度分散記録の第3の例の説明では、第1の特定データパターンと第2の特定データパターンを用いて、その位置差を用いた分散記録の方法を説明したが、特定データパターンとして極めて読み取り精度の高いパターンを用意できる場合には、第1の特定データパターンと第2の特定データパターンは同じものとしてもよい。すなわち一定時間間隔で記録された特定データパターンに対して、その時間間隔よりも短い特定パターンを抽出し、さらにその距離間隔(時間間隔)を測定することによって、復号するようにしてもよい。具体的には例えば図20に示すアドレス分散記録の第4実施形態のように、第1の特定データパターンとして、データトリガTr「11」が一定間隔ごと(ここでは11ビットごと)に配置され、その間にTrと共通である第2の特定データパターン「11」が配置されている。この第2の特定データパターンの配置位置は、3ビットめから5ビットめ、または5ビットめから7ビットめの2通りが用意されていて、そのどちらの位置に配置されているかを判定して復号を行う。この例では、3ビットめ開始、5ビットめ開始、3ビットめ開始の順に配置されているから、アドレス情報としては「101」が再生できる。この記録方法は、特定データパターンを1つ用意すればよいだけであるので、再生回路を簡素化できる利点がある。
以上、各種高度分散記録について説明してきた。すなわちこの記録方法によれば、(いずれの方法にしても)アドレス情報は、1ビットずつに分解されたデータとして記録される。具体的には、まず数ビット程度のダミーデータをデータトリガTrとして用意する。続いて単一データの連続からなるデータ列(例えば0の連続)を用意し、データトリガTrが一定間隔ごとに配置されるように、一旦単一データ列で接続する。そして1ビットずつに分解されたアドレス情報は、単一データ列の一部を、所定の規則によって変換するように記録される。すなわち、そしてデータトリガTrより所定の距離進んだ位置のビットを所定の規則によって変換して記録される。
一方、再生にあたっては、周波数変移変調のデータ列より、一定間隔ごとに配置されたデータトリガTrが検出される。そしてデータトリガTrを除いたデータから、所定の規則と照合して、1ビットのデータ(図17〜20中の「ワード」に相当)を抽出する。そして抽出した1ビットデータを集積してアドレス情報が復元される。
なお、溝蛇行記録されるデータは、それが分散した記録方法であっても比較的多量のデータを扱えるので、アドレスデータに限らず、その他副情報をも扱うことができる。例えば情報記録担体の種別、情報記録担体のサイズ、情報記録担体の想定記録容量、情報記録担体の想定記録線密度、情報記録担体の想定記録線速度、情報記録担体のトラックピッチ、記録ストラテジ情報、再生パワー情報、製造者情報、製造番号、ロット番号、管理番号、著作権関連情報、暗号作成のためのキー、暗号解読のためのキー、暗号化されたデータ、記録許可コード、記録拒否コード、再生許可コード、再生拒否コードなどから少なくとも選ばれた特定データを挙げることができ、これらデータ用のエラー訂正コードを伴っていてもよい。
また、アドレスデータは主情報に対して少量であるので、図10に示すように蛇行溝領域を有したトラック231をマクロ的に2つの領域に分けてもよい。すなわちアドレスデータを記録した位相変移変調領域400と、クロックを抽出するための単一変調領域401である。以下、便宜上位相変移変調領域400をアドレス領域400、単一変調領域401をクロック領域401と呼ぶ。前者は今まで説明してきたように、バイナリデータの場合は前進位相部分と後進位相部分とから構成される。また後者は一定周波数部分のみから構成される。これら2領域の基本波形状、振幅量は異なってもよいが、記録回路、再生回路の簡素化及び安定化を考えると、同じであることが望ましい。また周波数に関して、前進位相部分と後進位相部分とクロック領域401の周波数は互いに異なっていてよいが、前進位相部分と後進位相部分のいずれかと、クロック領域401の単一周波数は同じである方が、クロックの抽出に用いる物理長さを若干拡大できることになるので、クロックの安定抽出がしやすくなり有利である。
またこれら2領域の境界には、その区分を明確化するためのスタートビット信号やストップビット信号、同期信号などを記録してもよい。例えばそのような信号の例としては、トラック231を切断して形成される単一のスペース(溝間部232と同じ高さになる)や、ピットとスペースの交互繰り返しパターンなどが相応しい。なお図10ではクロック領域401の基本波の形状を正弦波としているが、クロック領域の再生において安定したクロック抽出ができ、なお且つユーザデータ記録への高周波成分漏れ込みがない波形のため、好適に用いることができる。なおクロック領域401の基本波の形状は、余弦波としてもよいものである。
また、位相変移変調領域400に対し、クロック用の単一周波数を重畳記録してもよい。即ちクロック用の単一周波数として、位相変移変調アドレスを構成する周波数の整数倍、または整数分の1の周波数を重畳してもよい(例えばクロック用の単一周波数として、位相変移変調アドレスを構成する周波数の2分の1の周波数を重畳)。整数倍または整数分の1であれば、位相変移変調の位相関係を崩すことがなく、重畳することができる。
このように位相変移変調アドレスに対して、単一周波数からなるクロック周波数を重畳しても、アドレスとクロックを別々に分離、再生することは可能である
。例えば、アドレスとクロックが異なる周波数で構成されている場合には、バンドパスフィルターを用いて、それぞれを分離、再生することができる。従って、位相変移変調領域400が、仮に長い距離に渡って形成されていたとしても、クロックを連続して抽出することが可能なので、安定した再生が可能となる。
また、アドレスとクロックを別々に分離、再生する第2の方法として、再生時に再生装置内で単一周波数を生成し、再生波形から減算する方法がある。なお再生装置内で単一周波数を生成する方法であるが、別に設けたクロック領域401を再生した際に、そこから再生される単一周波数にPLLをロックさせ、PLL回路からの出力を用いて作り出す。クロック領域401の周波数と、位相変移変調領域400の重畳された単一周波数が同じである場合には、PLL回路から生成された単一周波数をそのまま用い、異なる周波数の場合には周波数変換をするよう演算して用いることができる。
ところで、位相変移変調領域400に対し、クロック用の単一周波数を重畳記録する際、位相変移変調アドレスを構成する周波数の振幅と、クロック用の単一周波数の振幅(溝蛇行幅に相当)は同じであっても、異なっていてもよい。例えば、位相変移変調アドレスを構成する周波数の振幅より、クロック用の単一周波数の振幅の方が大であっても構わない。具体的に各種振幅比で情報記録担体1を試作し、上述した再生方法を実際に試みたところ、2つの再生方法いずれであっても、アドレスの振幅と、クロックの振幅比は1:5〜5:1の範囲内であれば問題なく分離再生できることを確認した。しかし、これ以外の範囲で試作した情報記録担体については、振幅の大きい側は再生できるものの、他方はS/Nが低すぎて再生することができなかった。従って、位相変移変調領域400に対し、クロック用の単一周波数を重畳記録する際には、アドレスの振幅と、クロックの振幅比は1:5〜5:1の範囲内であることが必要である。
次に本発明になる情報記録担体1の別の応用として、近年開発された透光層入射型情報記録担体への適応について述べる。透光層入射型情報記録担体は、従来の情報記録担体と異なり、全厚1.2mmに対して、厚さ0.1mm前後の非常に薄い透光層を持ち、これに対して記録レーザ光または再生レーザ光を照射して、記録または再生を行うものである。このような構造とすると高い開口数NAに対応することができ、記録密度を上げられる。
図11は透光層入射型情報記録担体1の断面構造と、再生方式を模式的に図示したものである。透光層入射型情報記録担体1は、支持体13、記録層12,透光層11から少なくともなる。そして支持体13の記録層12と接する側に、グルーブGまたはランドLからなる前述した微細パターンが形成されている。そして記録または再生を担うレーザ光91は、対物レンズ90を介して、透光層11側から入射される。透光層11を通過した光は、記録層12に照射され、再生または記録・再生が行われる。従来の情報記録担体は、支持体13側から光が照射されていたが、透光層入射型情報記録担体1では逆の入射方向になっている。グルーブGとランドLの名称は、JIS(日本工業規格)の定義によれば、グルーブLは入射面に近い方の溝、ランドLは入射面から遠い方の溝となっている(例えばJIS−X6271−1991)。図11ではこの定義に従って、グルーブGとランドLの位置を図示しており、レーザ光91はこの例ではグルーブG側に照射されている。
このような構成の情報記録担体1に対して、前述したアドレス記録を適応した場合、グルーブGとランドLとに、前記した蛇行溝領域を有したトラック201と直線溝領域を有したトラック203と溝間部202とのいずれを配置するのが相応しいかを検討した。この課題は、アドレスデータのみならず、記録層12にユーザが記録再生するにはグルーブG、ランドLのいずれに記録するのが相応しいかという課題と深く関係してくる。そのような観点で検討したときに、記録層12へのユーザ記録はグルーブGにのみ選択的に記録するのが、再生ジッタ及びエラーレートを低く抑えられ、なおかつ記録の繰り返し性能にも優れることが判明した。この理由は、グルーブGがランドLよりもレーザ光91(対物レンズ90側)からみて手前に位置する(近接している)ために、ランドLよりもグルーブGにはレーザ光91の照射による熱が蓄積しやすい。この結果、グルーブGにおける記録感度は高感度になるばかりか、そこに形成される記録マークの形状が均一となり、よってグルーブGでは理想的記録が行えることが判明したからである。一方、ランドLに同様のマークを記録した場合には、レーザ光91の照射による熱がグルーブGよりも放熱しやすくなるので、そこに形成される記録マークの形状は不均一となるから、ランドLでは理想的記録が行えないことが判明したためである。
また記録再生をこのようにグルーブGに限定した場合、蛇行溝領域を有したトラック201(及び直線溝領域を有したトラック203)をランドL側に配置し、溝間部202をグルーブG側に配置するのが相応しいことが判明した。即ち、この構成が逆であると、蛇行溝領域を有したトラック201の中心にレーザ光91が照射されることになり、アドレスはランドL側に配置する場合の約2倍の出力で再生される。しかし次のトラックでは直線溝領域を有したトラック203の中心にやはりレーザ光が照射されることになり、アドレスは全く再生されなくなる。従ってアドレスは2周に1つしか再生されないことになり、情報記録担体1のアドレスとして役立たないことになるからである。
なお、ここでグルーブGとランドLの高さの差(換言すれば微細パターンの高さ)であるが、プッシュプル再生を行うことを考慮すると、λ/8n〜λ/20nが相応しい。なお、ここでnは透光層11のλにおける屈折率である。特に記録層12の反射率が微細パターン20の存在によって減少することから、ランドLの深さは浅い方が望ましく、再生信号のジッタを劣化させないための限界としてλ/10n以下が適切である。また、トラッキングを行う際のプッシュプル信号の出力がランドLの深さと共に増大するから、トラッキングの可能な限界値として、λ/18n以上が適切である。すなわちλ/10n〜λ/18nが好適である。
また、蛇行溝領域を有したトラック201と、直線溝領域を有したトラック203の間隔をピッチP(溝間部202と溝間部202の間隔も同様にピッチP)とすると、再生スポット径Sに対して、P≦Sの関係を満たすようになっている。なお、ここで再生スポット径Sは、再生に用いるレーザ光の波長λと対物レンズの開口数NAから、S=λ/NAで計算される。言い換えれば、ピッチPは、P≦λ/NAの関係を満たすようになっている。例えば先述の青紫レーザを使用するとλは350〜450nmの範囲であり、高NAレンズを使用するとNAは0.75〜0.9となるから、ピッチPは250〜600nmに設定される。さらにHDTV(High Definition Television)によるデジタル画像を2時間前後収録することを考慮した場合には、ピッチPは250〜450nmが望ましい。特にNAが0.85〜0.9とした場合には、250〜400nmが特に望ましい。特にNAが0.85〜0.9であるとともに、λを350〜410nmとした場合には、250〜360nmが特に望ましい。
なお記録層12への記録、すなわちユーザ記録に用いる信号方式は、例えばいわゆる(d,k)符号と呼ばれる変調信号を用いることができる。(d,k)変調信号は、固定長符号であっても可変長符号であっても用いることができる。例えば固定長符号の(d,k)変調の例としては、d=2、k=10としたEFM、EFMプラス(8−16変調)や特開2000−286709記載の変調信号(D8−15変調)、d=1、k=7としたD1,7変調(特願2001−80205に記載)、d=1、k=9とした特開2000−332613記載の変調信号(D4、6変調)、d=3、k=17とした(3,17)変調などがある。また可変長符号の(d,k)変調の例としては、d=1、k=7とした特開平11−346154記載の変調信号(1,7PP変調)、d=4、k=21とした(4,21)変調などを好適に用いることができる。
従って本発明になる情報記録担体1の断面構造及び再生方法は図13及び図12、図14のようになる。図13は、本発明になる情報記録担体1の断面構造を図示したものであり、支持体13、記録層12,透光層11から少なくともなる。ここではディスク状情報記録担体であるとして、半径方向に切断した断面図で図示している。そして支持体13の記録層12と接する側に、前記した微細パターン(図4)が形成されており、特に蛇行溝領域を有したトラック201及び直線溝領域を有したトラック203をランドL側に配置し、溝間部202をグルーブG側に配置している。
そして記録または再生を担うレーザ光91は、対物レンズ90を介して、透光層11側から入射される。透光層11を通過した光は、記録層12に照射され、再生または記録・再生が行われる。
図12は、再生方法を説明するための微細パターン100の平面図である。従って蛇行溝領域を有したトラック201及び直線溝領域を有したトラック203が交互に配置され、その間には溝間部202が設けられている。なお図13で示した断面図は図12を、線分CRで切断した断面図である。なお蛇行溝領域を有したトラック201及び直線溝領域を有したトラック203及び溝間部202は互いに略平行であり、半径方向には垂直、接線方向には平行の方向に伸びている。図12には再生レーザ光91も併せて図示しており、溝間部202(グルーブG側)にスポットが集光されており、再生または記録再生を行うことができる。再生レーザ光91は蛇行溝領域を有したトラック201及び直線溝領域を有したトラック203の両方の壁面も同時に照射している。従って溝間部202に記録再生が行われても、プッシュプル法により位相変移変調信号を再生することができる。
すなわち、再生ピックアップ(図示せず)に内蔵された4分割フォトディテクタの出力差を適当に選ぶことによって、プッシュプル信号を生成できる。図12のレーザ光91には4分割されるフォトディテクタをA,B,C,Dとして投影しているが、例えば半径方向の出力差、すなわち(A+B)−(C+D)を生成することによって、プッシュプル信号が得られる。これによって位相変移変調されたデータを良好に再生することができる。
このプッシュプル信号は同時に、データが溝間部202に対して、右側または左側(ディスク状情報記録担体であれば、内周側または外周側)のいずれかに記録されたものであるかを知る手段にもなる。例えば(A+B)信号と(C+D)信号を比較し、再生出力が変動している側を記録側と判定することができる。このことはデータ記録をアドレス記録に適応した場合に強く効力を発生する。すなわち本発明になる情報記録担体1では、アドレスデータは、直線溝領域を有したトラック203と交互に記録されているから、そのままではアドレスは2トラックに1トラック分しか出てこない。しかしながらプッシュプル信号により、右側または左側(ディスク状情報記録担体であれば、内周側または外周側)のいずれかに記録されたものであるかが判定できるのであれば、新たな2値情報を得ることになるので、1トラックに1トラック分のアドレスを得ることができる。
図14は、情報記録担体1に形成された微細パターン132について、そのようなアドレス情報の再生を行う方法を図示したものである。微細パターン132はマクロ的に2つの領域に分けられ、クロックを抽出するためのクロック領域401と、アドレスデータを記録したアドレス領域400からなる。そして後者は前進位相部分と後進位相部分から構成される。
この図14の基本的な平面構造は図10と同じである。再生光91は図14に図示したように、下から上側へトラックをトレースする。すなわちまずトラック1(Tr1、232)をトレースし、続いてトラック2(Tr2、232)をトレースする。この時、(A+B)−(C+D)信号を用いることにより、蛇行領域を有した溝231に記録された信号を得ることができるが、そのままではトラック1(Tr1、232)、トラック2(Tr2、232)共に同じ信号が出力される。従って(A+B)−(C+D)信号だけでは奇数トラックをトレースしているのか、偶数トラックをトレースしているかは分からない。
しかしながらここで、(A+B)信号と(C+D)信号を比較し、再生出力が一定周期で変動している側を記録側と判定する判定手段を用いれば、奇数トラックか偶数トラックかを判定し、トラックの特定ができることになる。図14の場合であれば、判定を加えた結果Tr1を再生したときには右0、1,0,1,1という信号列が得られ、Tr2を再生したときには左0、1,0,1,1という信号列が得られる。このような再生方法を用いることによって、アドレスとトラックは一義的に決定できる。なおこのような偶奇トラック判定は、必ずしもアドレス領域400で行わなくても良い。クロック領域401と連続しているから、アドレス領域400を読む前または読んだ後に、クロック領域401にて判定を行ってもよいものである。
またアドレス領域400、クロック領域401以外に、別途設けた例えばトラック偶奇判定用ピットによって、判定を行ってもよいものである。この時の判定手段は、ピットの配置の仕方、記録コードの種類によって変わるので(A+B)信号と(C+D)信号の比較に限るものではない。
ところでここで、図13中の支持体13、記録層12及び透光層11について詳細に説明しておく。支持体13は、この上に形成されている記録層12及び透光層11を機械的に保持する機能を有するベースである。この材料としては、合成樹脂、セラミック、金属のいずれかが用いられる。合成樹脂の代表例としては、ポリカーボネートやポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリカーボネート・ポリスチレン共重合体、ポリビニルクロライド、脂環式ポリオレフィン、ポリメチルペンテンなどの各種熱可塑性樹脂や熱硬化樹脂、各種エネルギー線硬化樹脂(紫外線硬化樹脂、可視光硬化樹脂、電子線硬化樹脂の例を含む)を好適に用いることができる。なお、これらは金属粉またはセラミック粉などを配合した合成樹脂であってもよい。
また、セラミックの代表例としてはソーダライムガラス、ソーダアルミノ珪酸ガラス、ホウ珪酸ガラス、石英ガラスなどを用いることができる。また、金属の代表例としてはアルミニウムのような透光性を有しない金属板も用いることもできる。なお機械的に保持する必要性から支持体13の厚みは0.3〜3mm、望ましくは0.5〜2mmが好適に用いられる。また、情報記録担体1が円盤状である場合には、従来の光ディスクとの互換性から、支持体13、記録層12,透光層11等の合計厚みが1.2mmとなるように、支持体13の厚みを設計するのが望ましい。
記録層12は、情報を読み出し、あるいは情報を記録ないしは書き換える機能を有した薄膜層である。この記録層12の材料としては、相変化材料に代表される記録前後において反射率変化や屈折率変化、或いはその両方の変化を起こす材料、あるいは光磁気材料に代表される記録前後においてカー回転角変化を起こす材料、あるいは色素材料に代表される記録前後において屈折率変化や深さ変化、或いはその両方の変化を起こす材料が用いられる。
相変化材料の具体例としては、インジウム、アンチモン、テルル、セレン、ゲルマニウム、ビスマス、バナジウム、ガリウム、白金、金、銀、銅、アルミニウム、シリコン、パラジウム、錫、砒素などの合金(合金とは酸化物、窒化物、炭化物、硫化物、フッ化物の例を含む)を用いることができ、特にGeSbTe系、AgInTeSb系、CuAlSbTe系、AgAlSbTe系などの合金が好適である。これらの合金に微量添加元素としてCu、Ba,Co,Cr,Ni,Pt,Si,Sr,Au,Cd,Li,Mo,Mn,Zn,Fe,Pb,Na,Cs,Ga,Pd,Bi,Sn,Ti、V、Ge、Se、S、As、Tl、In、Pd、Pt、Niの群から選ばれる少なくとも1種以上の元素を合計で0.01原子%以上10原子%未満含有することもできる。
なお各元素の組成は、例えばGeSbTe系としてGe2Sb2Te5、Ge1Sb2Te4、Ge8Sb69Te23、Ge8Sb74Te18、Ge5Sb71Te24、Ge5Sb76Te19、Ge10Sb68Te22、Ge10Sb72Te18があり、 GeSbTe系にSn、In等の金属を添加した系があり、AgInSbTe系として、Ag4In4Sb66Te26、Ag4In4Sb64Te28、Ag2In6Sb64Te28、Ag3In5Sb64Te28、Ag2In6Sb66Te26、AgInSbTe系にCu、Fe、Ge等の金属や半導体を添加した系がある。また、CuAlSbTe系、AgAlSbTe系などがある。
また、光磁気材料の具体例としては、テルビウム、コバルト、鉄、ガドリニウム、クロム、ネオジム、ジスプロシウム、ビスマス、パラジウム、サマリウム、ホルミウム、プロセオジム、マンガン、チタン、パラジウム、エルビウム、イッテルビウム、ルテチウム、錫などの合金(合金とは酸化物、窒化物、炭化物、硫化物、フッ化物の例を含む)を用いることができ、特にTbFeCo、GdFeCo、DyFeCoなどに代表されるように遷移金属と希土類の合金で構成するのが好適である。更に、コバルトと白金の交互積層膜を用いて記録層12としてもよい。
また、色素材料の具体例としては、ポルフィリン色素、シアニン色素、フタロシアニン色素、ナフタロシアニン色素、アゾ色素、ナフトキノン色素、フルギド色素、ポリメチン色素、アクリジン色素などを用いることができる。
なお記録層12には、これら記録を担う材料以外に、記録性能または再生性能を増強する目的で、補助材料を内蔵、または積層をしてもよい。例えば補助材料として、シリコン、タンタル、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、クロム、ジルコニウムなどの合金(酸化物、窒化物、炭化物、硫化物、フッ化物の例を含む)や高反射膜(アルミニウム、金、銀やこれらを1つ以上含む各種合金などのヒートシンク材料)を併用して積層してもよい。特に記録層12を相変化材料とした場合には、例えばZnS、SiO、SiN、SiC、AlO、AlN、MgF、ZrOなどの誘電体材料を先述の記録材料に積層することによって、反射率を適正化し(例えば反射率12〜24%)、再生光量の増大や、書き換え回数の向上、再生特性、記録特性、再生安定性、保存安定性をすることができる。
また透光層11は,収束した再生光を光学的歪みの少ない状態で記録層12に導く機能を有する。例えば、再生波長λにおいて透過率を70%以上、望ましくは80%以上有した材料を好適に用いることができる。この透光層11は、光学的な異方性が少ないことが必要であり、再生光の減少を抑制するために、具体的には複屈折が90度(垂直)入射ダブルパスにて±100nm以下、望ましくは±50nm以下とした材料が用いられる。このような特性を有する材料としてポリカーボネートやポリメチルメタクリレート、三酢酸セルロース、二酢酸セルロース、ポリスチレン、ポリカーボネート・ポリスチレン共重合体、ポリビニルクロライド、脂環式ポリオレフィン、ポリメチルペンテンなどの合成樹脂を用いることができる。
なお、透光層11は、記録層12を機械的、化学的に保護する機能を有するようにしても良い。このような機能を有する材料として、剛性の高い材料を用いることができ、例えば透明セラミック(例えばソーダライムガラス、ソーダアルミノ珪酸ガラス、ホウ珪酸ガラス、石英ガラス)や熱硬化性樹脂、エネルギー線硬化樹脂(例えば紫外線硬化樹脂、可視光硬化樹脂、電子線硬化樹脂)が好適に用いられる。なお透光層11の厚みは、複屈折(光学異方性)を低減する意味から2mm以下、特に1.2mm以下が望ましい。またNAが0.7以上の情報記録担体再生装置に装着して使用する場合には、情報記録担体1が傾斜した場合の光学収差を抑える観点から0.4mm以下が望ましく、特にNAを0.85以上とする場合には0.12mm以下が望ましい。また記録層12へのスクラッチ傷を防止する観点から0.02mm以上が望ましい。すなわちNAを0.85以上とする場合の望ましい範囲としては0.02〜0.12mmの範囲である。また厚みの一面中でのバラツキは、対物レンズのNAが大きいことから、最大で±0.003mm望ましい。特に対物レンズNAが0.85以上では、望ましくは±0.002mm以下とする。更に、特に対物レンズNAが0.9では望ましくは±0.001mm以下とする。
なお透光層11は、図13に記したような単層構造に限らず、機能が同様な複数の層の積層であってもよい。
また、図示しないが、透光層11の記録層12とは反対側に公知の静電気防止層、潤滑層、ハードコート層などを形成してもよい。潤滑層の具体的な材料としては、炭化水素高分子にシリコンやフッ素を修飾し、表面エネルギを調整した液体潤滑剤を用いることができる。なお潤滑層の厚みは、0.1nm〜10nm程度が望ましい。
また、ハードコート層の具体的な材料としては、波長λの光を70%以上透過する熱硬化樹脂、各種エネルギ線硬化樹脂(紫外線硬化樹脂、可視光硬化樹脂、電子線硬化樹脂の例を含む)、湿気硬化樹脂、複数液混合硬化樹脂、溶剤含有熱可塑性樹脂を用いることができる。
なお、ハードコート層は、透光層11の耐摩耗性を考慮して、JIS規格K5400の鉛筆ひっかき試験値がある一定以上値であることが望ましい。情報記録担体再生装置の対物レンズの最も硬い材料はガラスであり、これを考慮するとハードコート層の鉛筆ひっかき試験値は、H以上が特に望ましい。この試験値以下であるとハードコート層が削れることによる塵埃の発生が著しくなり、エラーレートが急激に悪くなるからである。また、ハードコート層の厚みは、耐衝撃性を考慮して0.001mm以上が望ましく、また情報記録担体1全体の反りを考慮して0.01mm以下が望ましい。
また、ハードコート層の別の材料として、波長λの光を70%以上透過し、鉛筆ひっかき試験値H以上のカーボン、モリブデン、シリコンなどの単体やその合金(酸化物、窒化物、硫化物、フッ化物、炭化物の例を含む)を用いることもできる(膜厚1〜1000nm)。
更にまた、図示しないが、支持体13の記録層12とは反対側にレーベル印刷を施してもよい。印刷材料には例えば、各種顔料や染料を含んだ各種エネルギ線硬化樹脂(紫外線硬化樹脂、可視光硬化樹脂、電子線硬化樹脂の例を含む)を好適に用いることができ、視認性を考慮して0.001mm以上が望ましく、また、情報記録担体1、2、3、4全体の反りを考慮して0.05mm以下が望ましい。
また更に、記録に用いる所定領域以外に、情報記録担体1を認識するためのホログラムや目視可能な微細パターンを形成してもよい。
また、情報記録担体1乃至4は、再生装置や記録装置への装着性やハンドリング上の保護性を向上するために、情報記録担体全体をカートリッジに入れた構成としてもよい。
また、情報記録担体1乃至4がディスク状の場合、その大きさに制限はなく、例えば直径20〜400mmの各種サイズを取ることができ、直径30、32、35、41、51、60、65、80、88、120、130、200、300、356mmなどであってもよい。
ところで本発明になる情報記録担体1の別の応用として、また本発明になる情報記録担体1を拡張して、多層のスタック状情報記録担体を構成することもできる。例えば図15に示すような二層の情報記録担体1においては、第1層のアドレス記録の位相を前進位相部分[sin0]と後退位相部分[sin−π]のバイナリ記録し、第2層のアドレス記録の位相を前進位相部分[sin(π/2)]と後退位相部分[sin(−π/2)]のバイナリ記録とすることができる。このように層毎に異なる位相とすると、位相角によって層判定ができ、効果的である。また第1層のアドレスを前進位相部分[sin(π/4)]と後退位相部分[sin(−3π/4)]のバイナリ記録し、第2層のアドレスを前進位相部分[sin(3π/4)]と後退位相部分[sin(−π/4)]としても同様な効果が得られる。特にこのように図6で示した4値記録のうち、位相差が最大となる2値を1つの面内で扱うことは、第1層と第2層のアドレス復調回路を共通化することができ、好適に用いることができる。
また副次的に第1層と第2層の層判定を、アドレスデータをデコードするよりも速く行うことができる効果もあり、記録、再生時のアクセス時間を短くするのに有利にはたらく。なお図13を補足しておくと、これは図11で説明した薄型透光層情報記録担体を2層化した担体をあらわす断面図である。図11と共通する説明は省略するが、情報記録担体1は支持体13,第1記録層17、第1透光層16、第2記録層15、第2透光層14の順に積層されている。第1記録層17及び第2記録層15の機能、構成材料、ならびに第1透光層16及び第2透光層14の機能、構成材料は、図11で説明した記録層12ならびに透光層11の機能、構成材料と基本的には同じである。ただし、レーザ91が第2記録層15を透過して第1記録層17に記録できるように、それぞれの構成材料を最適化したものを用いる。
次に、本発明の実施例について説明する。
(実施例1)
図10の構成になるディスク状情報記録担体1を製作した。蛇行溝領域を有したトラック231と直線溝領域を有したトラック233のピッチPは0.32μm、それぞれの溝の幅は0.16μm、溝間部232の幅は0.16μmである。蛇行溝領域を有したトラック231と直線溝領域を有したトラック233は図11のランド部Lに配置し、溝間部232はグルーブ部Gに配置した。蛇行溝領域を有したトラック231は、アドレス領域400(長さ5.5μm)とクロック領域401のみから構成し、アドレス領域を一周につき6個配置した。アドレス領域400及びクロック領域401はともに基本波を正弦波とした。また直線溝領域を有したトラック233は360度連続の連続直線溝とした。
なおアドレス領域400に関しては、図5に示すように前進位相部分301と後進位相部分300の位相差をπとした位相変移変調により、1波を1チャネルビットとする情報単位でアドレスデータを記録した。なおアドレス領域400の周波数はクロック領域401の単一周波数と一致させた。また前進位相部分301、後進位相部分300及びクロック領域401のそれぞれの振幅は同じとした。なお記録の前処理として、アドレスデータはマンチェスタ符号によりベースバンド変調を行った。
ディスク状情報記録担体1は、AgInSbTeを主たる記録材料とする記録層12を有した相変化書き換えディスクとし、0.1mm透光層11を通して記録再生できる情報記録担体1を完成させた。
このようなディスク状情報記録担体1に、波長λ405nm(窒化ガリウム発光素子)、NA0.85からなるピックアップ90によるレーザ光91をグルーブ部Gに照射して、ユーザデータの記録再生を行った。まず記録を行う前にクロック領域からプッシュプル法により、単一周波数を読み取り,C/Nを測定した。するとC/Nで35dBの良好なクロック信号が、隣接アドレスの干渉なく再生できた(RBW1kHz)。続いてプッシュプル法によりアドレス領域を選択的に再生して、アドレスのエラーレートを測定した。5E−5もの良好なエラーレートであった。またアドレスの内周側、外周側の判定も良好に行うことができ
た。
続いてディスク状情報記録担体1の溝間部232に対して、ユーザ記録を行った。具体的には特開平11−346154号公報記載の変調信号(17PP変調)を用いて、2T〜8Tからなるランダムユーザデータを10回重ね記録した。なおここで最短マーク長(2T)は0.151μmとした。この記録信号を再生したところ、ジッタ8.7%、エラーレート4E−6の良好なエラーレートが得られた。またアドレスのエラーレートを再測定したところ、7.3E−5であり、若干のエラー増加は認められるものの良好なエラーレートであった。アドレス情報とユーザデータの干渉は特に認められなかった。またアドレスの内周側、外周側の判定も乱されることなく、良好に行うことができた。
(実施例2)
図10の構成になるディスク状情報記録担体1を製作した。蛇行溝領域を有したトラック231と直線溝領域を有したトラック233のピッチPは0.32μm、それぞれの溝の幅は0.16μm、溝間部232の幅は0.16μmである。蛇行溝領域を有したトラック231と直線溝領域を有したトラック233は図11のランド部Lに配置し、溝間部232はグルーブ部Gに配置した。蛇行溝領域を有したトラック231は、アドレス領域400(長さ5.5μm)とクロック領域401のみから構成し、アドレス領域を一周につき6個配置した。アドレス領域400及びクロック領域401はともに基本波を正弦波とした。また直線溝領域を有したトラック233は360度連続の連続直線溝とした。
またアドレス領域400に関しては、図6に示した最小位相差をπ/2とした位相変移変調により1波を1チャネルビットとする情報単位で記録を行った。すなわちsin(−3π/4)310、sin(−π/4)311、sin(π/4)]312、sin(3π/4)313の4種類の位相部分により4値の2次元アドレスデータを記録した。なお位相部分の周波数はクロック領域401の単一周波数と一致させた。また4種類の位相部分(310,311,312,313)とクロック領域401のそれぞれの振幅は同じとした。なお記録の前処理として、アドレスデータはマンチェスタ符号によりベースバンド変調を行い、続いて公知の手法により2次元データを生成した。
ディスク状情報記録担体1は、AgInSbTeを主たる記録材料とする記録層12を有した相変化書き換えディスクとし、0.1mm透光層11を通して記録再生できる情報記録担体1を完成させた。
このようなディスク状情報記録担体1に、波長λ405nm(窒化ガリウム発光素子)、NA0.85からなるピックアップ90によるレーザ光91をグルーブ部Gに照射して、ユーザデータの記録再生を行った。まず記録を行う前にクロック領域からプッシュプル法により、単一周波数を読み取り,C/Nを測定した。するとC/Nで35dBの良好なクロック信号が、隣接アドレスの干渉なく再生できた(RBW1kHz)。続いてプッシュプル法によりアドレス領域を選択的に再生して、アドレスのエラーレートを測定した。1E−5もの良好なエラーレートであった。またアドレスの内周側、外周側の判定も良好に行うことができた。
続いてディスク状情報記録担体1の溝間部232に対して、ユーザ記録を行った。具体的には特願2000−80205号公報記載の変調信号(D4、6変調)を用いて、2T〜10T及び13T(同期信号)からなるランダムユーザデータを10回重ね記録した。なおここで最短マーク長(2T)は0.154μmとした。この記録信号を再生したところ、ジッタ8.6%、エラーレート3.5E−6の良好なエラーレートが得られた。またアドレスのエラーレートを再測定したところ、2.5E−5であり、若干のエラー増加は認められるものの良好なエラーレートであった。アドレス情報とユーザデータの干渉は特に認められなかった。またアドレスの内周側、外周側の判定も乱されることなく、良好に行うことができた。
(実施例3)
図10の構成になるディスク状情報記録担体1を製作した。蛇行領域を有した溝231と直線溝233のピッチPは0.32μm、それぞれの溝の幅は0.16μm、溝間部232の幅は0.16μmである。蛇行溝領域を有したトラック231と直線溝領域を有したトラック233は図11のランド部Lに配置し、溝間部232はグルーブ部Gに配置した。蛇行溝領域を有したトラック231は、アドレス領域400(長さ30μm)とクロック領域401のみから構成し、アドレス領域を一周につき3個配置した。アドレス領域400及びクロック領域401はともに基本波を正弦波とした。また直線溝領域を有したトラック233は360度連続の連続直線溝とした。
またアドレス領域400に関しては、図7に示すように、登り急峻部分320と下り急峻部分321からなる位相変移変調により、3波を1チャネルビットとする情報単位でアドレスデータを記録した。なおアドレス領域400の周波数はクロック領域401の単一周波数と一致させた。また登り急峻部分320、下り急峻部分321及びクロック領域401のそれぞれの振幅は同じとした。なお記録の前処理として、アドレスデータはマンチェスタ符号によりベースバンド変調を行った。
ディスク状情報記録担体1は、GeドーピングSbTeを主たる記録材料とする記録層12を有した相変化書き換えディスクとし、0.1mm透光層11を通して記録再生できる情報記録担体1を完成させた。
このようなディスク状情報記録担体1に、波長λ405nm(窒化ガリウム発光素子)、NA0.85からなるピックアップ90によるレーザ光91をグルーブ部Gに照射して、ユーザデータの記録再生を行った。まず記録を行う前にクロック領域からプッシュプル法により、単一周波数を読み取り,C/Nを測定した。するとC/Nで35dBの良好なクロック信号が、隣接アドレスの干渉なく再生できた(RBW1kHz)。続いてプッシュプル法によりアドレス領域を選択的に再生し、高帯域フィルターより微分成分を抽出復調し、アドレスのエラーレートを測定した。5E−5もの良好なエラーレートであった。またアドレスの内周側、外周側の判定も良好に行うことができた。
続いてディスク状情報記録担体1の溝間部232に対して、ユーザ記録を行った。具体的には特開2000−286709記載の変調信号(D8−15変調)を用いて、3T〜11T及び12T(同期信号)からなるランダムユーザデータを100回重ね記録した。なおここで最短マーク長(3T)は0.185μmとした。この記録信号を再生したところ、ジッタ7.7%、エラーレート8E−7の良好なエラーレートが得られた。またアドレスのエラーレートを再測定したところ、8E−5であり、若干のエラー増加は認められるものの良好なエラーレートであった。アドレス情報とユーザデータの干渉は特に認められなかった。またアドレスの内周側、外周側の判定も乱されることなく、良好に行うことができた。
本発明に係る情報記録担体の第一実施例を示す図である。 本発明に係る情報記録担体の第二実施例を示す図である。 本発明に係る情報記録担体の第三実施例を示す図である。 本発明に係る情報記録担体の平面微細構造を示す図である。 本発明に係る情報記録担体に形成された溝の構成を示す図である。 本発明に係る情報記録担体に形成された溝の他の構成を示す図である。 本発明に係る情報記録担体に形成された溝の更に他の構成を示す図である。 ベースバンド変調前とベースバンド変調後におけるデータの変化を示す図である。 ベースバンド変調前とベースバンド変調後におけるデータの変化の具体的な例を示す図である。 本発明に係る情報記録担体に形成された溝の別の構成を示す図である。 薄型透光層情報記録担体をあらわす断面図である。 本発明に係る情報記録担体及びその再生方法をあらわす平面図である。 薄型透光層情報記録担体及びその再生方法をあらわす断面図である。 本発明に係る情報記録担体及びその再生方法をあらわす平面図である。 図11で説明した薄型透光層情報記録担体を2層化した担体をあらわす断面図である。 DVD−RWディスクにおけるアドレス情報の記録状態の概念を示す図である。 アドレス情報分散記録の第1実施形態の具体的な例を示す図である。 アドレス情報分散記録の第2実施形態の具体的な例を示す図である。 アドレス情報分散記録の第3実施形態の具体的な例を示す図である。 アドレス情報分散記録の第4実施形態の具体的な例を示す図である。
符号の説明
1 情報記録担体
100 平行溝連続体
201,211,221 蛇行溝
202 溝間部
203,233 直線溝
300 後進位相部分
301 前進位相部分
400 位相変移変調領域(アドレス領域)
401 単一変調領域(クロック領域)

Claims (8)

  1. 同芯円状または螺旋状のトラックからなる微細パタ−ンを有した支持体と、
    前記微細パタ−ン上に形成された記録層と、
    前記記録層上に形成された透光層とから少なくともなり、
    レーザ光を対物レンズにより集光した光ビームを用い、前記透光層を通して前記記録層に照射し、再生を行う情報記録担体であって、
    前記トラックは、360度連続したトラックであると共に、蛇行溝領域と直線溝領域を有しており、
    前記蛇行溝領域と前記直線溝領域とは、半径方向に互いに交互に隣接して配置されており、
    前記蛇行溝領域は、蛇行溝からなり、
    前記蛇行溝は、第1の周波数からなる位相変移変調波、及び前記位相変移変調波とは異なる第2の周波数を有した単一周波数波の重畳波形を溝波形形状として有した蛇行溝であり、
    前記第2の周波数は、前記第1の周波数の2分の1であり、
    かつ前記位相変移変調波の振幅方向と前記単一周波数波の振幅方向は共に前記情報記録担体の半径方向であることを特徴とする情報記録担体。
  2. 同芯円状または螺旋状のトラックからなる微細パタ−ンを有した支持体と、
    前記微細パタ−ン上に形成された記録層と、
    前記記録層上に形成された透光層とから少なくともなり、
    レーザ光を対物レンズにより集光した光ビームを用い、前記透光層を通して前記記録層に照射し、再生を行う情報記録担体であって、
    前記トラックは、360度連続したトラックであると共に、蛇行溝領域と直線溝領域を有しており、
    前記蛇行溝領域と前記直線溝領域とは、半径方向に互いに交互に隣接して配置されており、
    前記蛇行溝領域は、蛇行溝からなり、
    前記蛇行溝は、第1の周波数からなる位相変移変調波、及び前記位相変移変調波とは異なる第2の周波数を有した単一周波数波の重畳波形を溝波形形状として有した蛇行溝であり、
    前記第2の周波数は、前記第1の周波数の2分の1であり、
    かつ前記位相変移変調波の振幅方向と前記単一周波数波の振幅方向は共に前記情報記録担体の半径方向であり、
    前記位相変移変調波の振幅と、前記単一周波数波の振幅は異なっているとともに1:5〜5:1の間であり、
    前記透光層の厚みは、0.02〜0.12mmであることを特徴とする情報記録担体。
  3. 同芯円状または螺旋状のトラックからなる微細パタ−ンを有した支持体と、
    前記微細パタ−ン上に形成された記録層と、
    前記記録層上に形成された透光層とから少なくともなり、
    レーザ光を対物レンズにより集光した光ビームを用い、前記透光層を通して前記記録層に照射し、再生を行う情報記録担体であって、
    前記蛇行溝領域は、蛇行溝からなり、
    前記蛇行溝は、第1の周波数からなる位相変移変調波、及び前記位相変移変調波とは異なる第2の周波数を有した単一周波数波の重畳波形を溝波形形状として有した蛇行溝であり、
    かつ前記位相変移変調波の振幅方向と前記単一周波数波の振幅方向は共に前記情報記録担体の半径方向であり、
    前記位相変移変調波の振幅と、前記単一周波数波の振幅は異なっているとともに1:5〜5:1の間であることを特徴とする情報記録担体。
  4. 前記第2の周波数は、前記第1の周波数の2分の1であることを特徴とする請求項3記載の情報記録担体。
  5. 前記透光層の厚みは、0.02〜0.12mmであることを特徴とする請求項3または4記載の情報記録担体。
  6. 前記記録層は、相変化材料であることを特徴とする請求項3記載の情報記録担体。
  7. 前記記録層は、光磁気材料であることを特徴とする請求項3記載の情報記録担体。
  8. 請求項1乃至7に記載の情報記録担体を再生する情報記録担体の再生方法であって、
    前記光ビームを、前記透光層を通過して、前記記録層に照射するステップと、
    前記照射された光ビームの前記記録層反射光からプッシュプル信号を生成するステップと、
    前記プッシュプル信号から、位相変移変調の復調を行うステップとを少なくとも有することを特徴とする情報記録担体の再生方法。
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