JP2003277976A - 耐熱部材およびその製造方法 - Google Patents

耐熱部材およびその製造方法

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JP2003277976A
JP2003277976A JP2002084966A JP2002084966A JP2003277976A JP 2003277976 A JP2003277976 A JP 2003277976A JP 2002084966 A JP2002084966 A JP 2002084966A JP 2002084966 A JP2002084966 A JP 2002084966A JP 2003277976 A JP2003277976 A JP 2003277976A
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nickel
copper
plating film
based plating
heat
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JP2002084966A
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Hiroaki Matsuyoshi
弘明 松好
Taichi Nagashima
太一 長嶋
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Osaka Gas Co Ltd
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Osaka Gas Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】酸化劣化および熱劣化の抑制に優れ、且つ浸炭
劣化の抑制にも優れた耐熱部材およびその製造方法を提
供する。 【解決手段】金属基体上に皮膜を有する耐熱部材であっ
て、皮膜が、1)ニッケル−銅系合金皮膜、または2)ニ
ッケル系メッキ皮膜と銅系メッキ皮膜である耐熱部材お
よびその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐熱部材およびそ
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、コージェネレーション等で用いら
れているエンジン、タービン等は、エネルギー変換効率
を向上するために、高温で運転されたり、稼働時間が長
期化されている。この様な過酷な運転状況下では、特
に、エンジン、タービン等の燃焼部、排気部、熱交換部
等の高温ガスが流通する部分の金属部材は、主に酸素に
よる腐食劣化、熱劣化等が発生して、実用上の大きな問
題となっている。
【0003】このため、金属部材としてニッケル系耐熱
合金などを使用することがある。
【0004】しかしながら、近年の過酷な運転状況下で
は、耐熱合金のみで高温強度と耐酸化性の両特性を持た
せることは困難になってきている。
【0005】そこで、これらの金属部材の腐食劣化、熱
劣化などを抑制するために金属部材の表面に様々なコー
ティングを施すことが提案されている。例えば、高温に
おいて耐酸化性に優れた部材として、金属部材に直接ア
ルミニウム拡散処理を施した部材が、一部実用化されて
いる。
【0006】しかしながら、この部材は、高温において
使用しているうちに、表面層のアルミニウムが、金属部
材の内部へ拡散していくので、金属材料が脆化するとい
う問題がある。
【0007】一方、浸炭劣化に対して耐久性を有する部
材の開発も望まれている。浸炭防止に優れた部材とし
て、例えば、金属材料に銅メッキ皮膜を施した部材が一
部実用化されている。
【0008】しかしながら、この部材は、高温における
耐酸化性がないという問題がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術の
問題点を鑑み成されたものであって、酸化劣化および熱
劣化の抑制に優れ、且つ浸炭劣化の抑制にも優れた耐熱
部材およびその製造方法を提供することを主な目的とす
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、鋭意研究の
結果、特定の皮膜を有する耐熱部材が、従来技術の問題
点を大幅に低減または解消し、上記目的を達成できるこ
とを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】即ち、本発明は、以下の耐熱部材およびそ
の製造方法に係るものである。 1.金属基体上に皮膜を有する耐熱部材であって、皮膜
が、1)ニッケル−銅系合金皮膜、または2)ニッケル系
メッキ皮膜と銅系メッキ皮膜である耐熱部材。 2.皮膜が、ニッケル系メッキ皮膜と銅系メッキ皮膜で
あり、金属基体上にニッケル系メッキ皮膜、銅系メッキ
皮膜の順序または銅系メッキ皮膜、ニッケル系メッキ皮
膜の順序でメッキ皮膜を有する上記1に記載の耐熱部
材。 3.ニッケル−銅系合金皮膜、ニッケル系メッキ皮膜ま
たは銅系メッキ皮膜が、クロム、モリブデン、タングス
テン、マンガン、テクネチウム、レニウム、鉄、ルテニ
ウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、
パラジウム、白金、銀、金、亜鉛およびカドミウムから
なる群から選択される少なくとも1種の金属を含んでい
る上記1または2に記載の耐熱部材。 4.エンジン又はタービンの燃焼部、排気部若しくは熱
交換部用の部材である上記1〜3のいずれかに記載の耐
熱部材。 5.エンジン又はタービンのピストン頂面、ピストンリ
ング、シリンダーライナー、排気バルブかさ裏部、ター
ビン燃焼器、動翼、静翼、シュラウド、タービンケーシ
ング、ターボチャージャー排気タービン、ウエストゲー
トバルブ、排気マニホールド、排気煙道、オイルクーラ
ー若しくはアフタークーラー用の部材である上記4に記
載の耐熱部材。 6.上記1〜5のいずれかに記載の耐熱部材を備えたエ
ンジンまたはタービン。 7.工業炉の部材である上記1〜3のいずれかに記載の
耐熱部材。 8.バーナー、ラジアントチューブ、マッフル、レキュ
ペレーター、ローラーハース、搬送ベルト、スキッド金
物、遮熱板または金属溶解鍋用の部材である上記7に記
載の耐熱部材。 9.上記1〜3、7および8のいずれかに記載の部材を
備えた工業炉。 10.金属基体上にニッケル系メッキ皮膜を形成した
後、銅系メッキ皮膜を形成することを特徴とするニッケ
ル系メッキ皮膜と銅系メッキ皮膜を金属基体上に有する
耐熱部材の製造方法。 11.金属基体上に銅系メッキ皮膜を形成した後、ニッ
ケル系メッキ皮膜を形成することを特徴とするニッケル
系メッキ皮膜と銅系メッキ皮膜を金属基体上に有する耐
熱部材の製造方法。 12.金属基体上にニッケル系メッキ皮膜を形成した
後、銅系メッキ皮膜を形成し、次いで、加熱処理を行っ
て前記ニッケル系メッキ皮膜中に銅を拡散させることを
特徴とするニッケル−銅系合金皮膜を金属基体上に有す
る耐熱部材の製造方法。 13.金属基体上に銅系メッキ皮膜を形成した後、ニッ
ケル系メッキ皮膜を形成し、次いで、加熱処理を行って
前記銅系メッキ皮膜中にニッケルを拡散させることを特
徴とするニッケル−銅系合金皮膜を金属基体上に有する
耐熱部材の製造方法。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の耐熱部材は、金属基体上
に1)ニッケル−銅系合金皮膜、または2)ニッケル系メ
ッキ皮膜と銅系メッキ皮膜とを有する。
【0013】本発明の耐熱部材の基体となる金属の種類
は、エンジン、タービン、各種工業炉などにおいて耐熱
部材を形成する金属であれば特に制限されず、例えば、
鉄合金(炭素鋼、特殊鋼、耐熱鋼、ステンレス鋼な
ど)、銅、銅合金、ニッケル、ニッケル合金、コバル
ト、コバルト合金などが挙げられる。
【0014】ニッケル系メッキ皮膜と銅系メッキ皮膜の
両方を有する場合、2種の皮膜は、金属基体上に、ニッ
ケル系メッキ皮膜、銅系メッキ皮膜の順序、および銅系
メッキ皮膜、ニッケル系メッキ皮膜の順序のいずれの順
序で積層していてもよい。
【0015】基板上にニッケル系メッキ皮膜と銅系メッ
キ皮膜の両方を有する耐熱部材は、例えば、基体上にニ
ッケル系メッキ皮膜を形成した後、銅系メッキ皮膜を形
成する方法;基体上に銅系メッキ皮膜を形成した後、ニ
ッケル系メッキ皮膜を形成する方法などによって製造す
ることができる。
【0016】ニッケル系メッキ皮膜 金属基体上または銅系メッキ皮膜上にニッケル系メッキ
皮膜を形成する方法は、特に限定的ではなく、電解メッ
キ液、無電解メッキ液などを用いて、常法に従ってメッ
キ処理を行えばよい。
【0017】ニッケル系メッキ皮膜は、ニッケル金属単
独のメッキ皮膜だけではなく、ニッケルに加えて、クロ
ム、モリブデン、タングステン、マンガン、テクネチウ
ム、レニウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバル
ト、ロジウム、イリジウム、パラジウム、白金、銀、
金、亜鉛、カドミウムなどのニッケル以外の金属;ホウ
素;リンなどの合金元素の1種または2種以上を含有し
ていても良い。ニッケル以外の金属としては、クロム、
モリブデン、タングステン、鉄、コバルト、パラジウ
ム、亜鉛、カドミウムが好ましく、クロム、モリブデ
ン、タングステン、コバルトが特に好ましい。
【0018】ニッケル系メッキ皮膜中のニッケルの含有
率は、特に制限されないが、ニッケル系メッキ皮膜中、
通常50重量%程度以上、好ましくは50〜90重量%
程度である。
【0019】クロム、モリブデン、タングステン、マン
ガン、テクネチウム、レニウム、鉄、ルテニウム、オス
ミウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、パラジウ
ム、白金、銀、金、亜鉛、カドミウムなどのニッケル以
外の金属の含有量は、特に制限されないが、ニッケル系
メッキ皮膜中、通常1〜30重量%程度、好ましくは5
〜20重量%程度である。
【0020】例えば、無電解メッキ液を用いてメッキ皮
膜を製造する場合には、還元剤中の成分であるリン又は
ホウ素が、メッキ皮膜に含まれることがある。還元剤由
来のリン又はホウ素の含有量は、特に制限されないが、
リンについてはニッケル系メッキ皮膜中0.1〜15重
量%程度、ホウ素についてはニッケル系メッキ皮膜中
0.1〜10重量%程度とすることが好ましい。
【0021】ニッケル系メッキ皮膜は、更に、酸化アル
ミニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化
ケイ素、酸化チタン、炭化珪素、炭化タングステンなど
の無機微粒子を含んでいてもよい。これらの中では、酸
化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭化珪素などが好
ましい。これらの微粒子は、メッキ皮膜の断熱性の向上
に寄与することができる。これらの微粒子の大きさは、
特に制限されないが、平均粒径として、通常0.01〜
20μm程度、好ましくは0.05〜10μm程度であ
る。これらの微粒子の含有率は、特に制限されないが、
メッキ皮膜中1〜20重量%程度とすることが好まし
い。
【0022】電解メッキ液、無電解メッキ液などのメッ
キ液の組成については特に限定はなく、ニッケル塩を必
須の成分として含有する公知の各種組成の電解メッキ
液、無電解メッキ液などを用いることができる。メッキ
条件は、用いるメッキ液の組成応じて適宜決定すること
ができる。
【0023】ニッケル系メッキ皮膜が、ニッケル以外の
金属を含む場合は、所望の金属の塩を含む公知の各種組
成の電解ニッケル系合金メッキ液、無電解ニッケル系合
金メッキ液などを使用して、メッキすればよい。例え
ば、ニッケルと合金を形成しうる所望の金属の塩を、公
知の電解ニッケルメッキ液、無電解ニッケルメッキ液な
どに添加したメッキ液を用いることができる。メッキ液
には、所望の金属のイオンをメッキ液中で安定化させる
錯化剤などの添加剤を必要に応じて加えてもよい。
【0024】無機微粒子を含むメッキ皮膜を形成する場
合には、所望の無機微粒子を公知の各種組成の電解ニッ
ケル系メッキ液、無電解メッキ液などに添加すればよ
い。メッキ液には、これらの無機微粒子をメッキ液中で
安定化させるための界面活性剤などの添加剤を必要に応
じて添加してもよい。
【0025】メッキ方法は、常法に従って行うことがで
き、例えば、脱脂、酸洗等の前処理を行った後、電解メ
ッキ又は無電解メッキを行ってもよい。また、基体に対
するニッケル系メッキ皮膜の密着性を向上させるため
に、必要に応じて、公知の方法によりストライクメッキ
を行った後、ニッケル系メッキ皮膜を形成しても良い。
無電解メッキに対する触媒活性のない基体上に直接無電
解メッキを行う場合には、常法に従って、触媒を付与し
た後、無電解メッキを行ってもよい。
【0026】ニッケル系メッキ皮膜の厚さは、基体の材
質及び形状、部材を使用する環境などにより適宜設定す
ることができ、通常10〜1000μm程度、好ましく
は20〜500μm程度である。
【0027】銅系メッキ皮膜の形成 金属基体上またはニッケル系メッキ皮膜上に銅系メッキ
皮膜を形成する方法は、特に限定的ではなく、電解メッ
キ液、無電解メッキ液などを用いて、常法に従ってメッ
キ処理を行えばよい。
【0028】銅系メッキ皮膜は、銅金属単独のメッキ皮
膜だけではなく、銅に加えて、クロム、モリブデン、タ
ングステン、マンガン、テクネチウム、レニウム、鉄、
ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジ
ウム、パラジウム、白金、銀、金、亜鉛、カドミウムな
どの銅以外の金属;ホウ素;リンなどの合金元素の1種
または2種以上を含有していても良い。ニッケル以外の
金属としては、クロム、モリブデン、タングステン、
鉄、コバルト、パラジウム、亜鉛、カドミウムが好まし
く、クロム、モリブデン、タングステン、コバルトが特
に好ましい。
【0029】銅系メッキ皮膜中の銅の含有率は、特に制
限されないが、銅系メッキ皮膜中、通常50重量%程度
以上、好ましくは50〜90重量%程度である。
【0030】クロム、モリブデン、タングステン、マン
ガン、テクネチウム、レニウム、鉄、ルテニウム、オス
ミウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、パラジウ
ム、白金、銀、金、亜鉛、カドミウムなどの銅以外の金
属の含有量は、特に制限されないが、銅系メッキ皮膜
中、通常1〜30重量%程度、好ましくは5〜20重量
%程度である。
【0031】例えば、無電解メッキ液を用いてメッキ皮
膜を製造する場合には、還元剤中の成分であるリン又は
ホウ素が、メッキ皮膜に含まれることがある。還元剤由
来のリン又はホウ素の含有量は、特に制限されないが、
リンについては銅系メッキ皮膜中0.1〜15重量%程
度、ホウ素については銅系メッキ皮膜中0.1〜10重
量%程度とすることが好ましい。
【0032】銅系メッキ皮膜は、更に、酸化アルミニウ
ム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ケイ
素、酸化チタン、炭化珪素、炭化タングステンなどの無
機微粒子を含んでいてもよい。これらの中では、酸化ア
ルミニウム、酸化ジルコニウム、炭化珪素などが好まし
い。これらの微粒子は、メッキ皮膜の断熱性の向上に寄
与することができる。これらの微粒子の大きさは、特に
制限されないが、平均粒径として、通常0.01〜20
μm程度、好ましくは0.05〜10μm程度である。
これらの微粒子の含有率は、特に制限されないが、メッ
キ皮膜中1〜20重量%程度とすることが好ましい。
【0033】電解メッキ液、無電解メッキ液などのメッ
キ液の組成については特に限定はなく、銅塩を必須の成
分として含有する公知の各種組成の電解メッキ液、無電
解メッキ液などを用いることができる。メッキ条件は、
用いるメッキ液の組成に応じて適宜決定することができ
る。
【0034】銅系メッキ皮膜が、銅以外の金属を含む場
合は、所望の金属の塩を含む公知の各種組成の電解銅系
合金メッキ液、無電解銅系合金メッキ液などを使用し
て、メッキすればよい。例えば、銅と合金を形成しうる
所望の金属の塩を、公知の電解銅メッキ液、無電解銅メ
ッキ液などに添加したメッキ液を用いることができる。
メッキ液には、所望の金属のイオンをメッキ液中で安定
化させる錯化剤などの添加剤を必要に応じて加えてもよ
い。
【0035】無機微粒子を含むメッキ皮膜を形成する場
合には、所望の無機微粒子を公知の各種組成の電解銅系
メッキ液、無電解メッキ液などに添加すればよい。メッ
キ液には、これらの無機微粒子をメッキ液中で安定化さ
せるための界面活性剤などの添加剤を必要に応じて添加
してもよい。
【0036】メッキ方法は、常法に従って行うことがで
き、例えば、脱脂、酸洗等の前処理を行った後、電解メ
ッキ又は無電解メッキを行ってもよい。また、基体に対
する銅系メッキ皮膜の密着性を向上させるために、必要
に応じて、公知の方法によりストライクメッキを行った
後、銅系メッキ皮膜を形成しても良い。無電解メッキに
対する触媒活性のない基体上に直接無電解メッキを行う
場合には、常法に従って、触媒を付与した後、無電解メ
ッキを行ってもよい。
【0037】銅系メッキ皮膜の厚さは、基体の材質及び
形状、部材を使用する環境などにより適宜設定すること
ができ、通常10〜1000μm程度、好ましくは20
〜500μmである。
【0038】ニッケル−銅系合金皮膜 ニッケル−銅系合金皮膜におけるニッケルの含有率は、
合金皮膜中、通常10〜90重量%程度、好ましくは2
5〜75重量%程度である。銅の含有率は、合金皮膜
中、通常10〜90重量%程度、好ましくは25〜75
重量%程度である。
【0039】ニッケル−銅系合金皮膜は、ニッケルと銅
だけではなく、例えば、クロム、モリブデン、タングス
テン、マンガン、テクネチウム、レニウム、鉄、ルテニ
ウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、
パラジウム、白金、銀、金、亜鉛、カドミウムなどのニ
ッケルおよび銅以外の金属;ホウ素、リンなどの合金元
素の1種または2種以上を含有していても良い。ニッケ
ルおよび銅以外の金属としては、クロム、モリブデン、
タングステン、鉄、コバルト、パラジウム、亜鉛、カド
ミウムが好ましく、クロム、モリブデン、タングステ
ン、コバルトが特に好ましい。ニッケルと銅以外の金属
の含有量は、特に制限されないが、ニッケル−銅系合金
皮膜中、通常1〜30重量%程度、好ましくは5〜20
重量%程度である。
【0040】ニッケル−銅系合金皮膜は、更に、酸化ア
ルミニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸
化ケイ素、酸化チタン、炭化珪素、炭化タングステンな
どの無機微粒子を含んでいてもよい。これらの無機微粒
子は、メッキ皮膜の断熱性の向上に寄与する。上記無機
粒子の中では、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、
炭化珪素などが好ましい。これらの無機微粒子の大きさ
は、特に制限されないが、平均粒径として、通常0.0
1〜20μm程度、好ましくは0.05〜10μm程度
である。無機微粒子の含有率は、特に制限されないが、
メッキ皮膜中1〜20重量%程度とすることが好まし
い。
【0041】金属基体上にニッケル−銅系合金皮膜を形
成する方法は、特に制限されず、例えば、(1)公知のニ
ッケル−銅系合金メッキ液を用いて金属基体上に合金メ
ッキ皮膜を形成する方法、(2)金属基体上にニッケル系
メッキ皮膜を形成した後、銅系メッキ皮膜を形成し、次
いで加熱処理を施すことによってニッケル系メッキ皮膜
中に銅を拡散させる方法、(3)金属基板上に銅系メッキ
皮膜を形成した後、ニッケル系メッキ皮膜を形成し、次
いで加熱処理を施すことによって銅系メッキ皮膜中にニ
ッケルを拡散させる方法などを例示することができる。
上記(2)または(3)の具体例として、金属基体上にニッケ
ル系メッキ皮膜、銅系メッキ皮膜の順序でメッキ皮膜を
施した耐熱部材、または金属基体上に銅系メッキ皮膜、
ニッケル系メッキ皮膜の順序でメッキ皮膜を施した耐熱
部材を使用前などに加熱処理することにより皮膜を合金
化する方法を例示できる。即ち、上述した本発明のニッ
ケル系メッキ皮膜と銅系メッキ皮膜とを有する耐熱部材
を、使用前などに加熱処理することにより皮膜を合金化
することができる。
【0042】ニッケル系合金皮膜と銅系メッキ皮膜形成
後の加熱処理方法は、ニッケルと銅とを合金化できる限
り特に制限されない。加熱温度は、通常800〜120
0℃程度、好ましくは900〜1100℃程度である。
加熱時間は、通常1〜20時間程度、好ましくは5〜1
5時間程度である。加熱処理の雰囲気は、窒素、アルゴ
ン等の非酸化性雰囲気とすればよい。
【0043】ニッケル−銅系合金メッキ液を用いて金属
基体上に合金メッキ皮膜を形成する場合には、例えば、
ニッケル塩、銅塩、錯化剤を含む合金メッキ浴などを用
いることができる。メッキ浴の種類としては、例えば、
シアン浴、シュウ酸浴、アンモニア浴、チオ硫酸浴、ク
エン酸浴、ピロリン酸浴等がある。ニッケル−銅系合金
皮膜中のニッケルと銅の含有量は、メッキ浴中のニッケ
ル塩と銅塩の含有量を調節することにより、適宜設定で
きる。
【0044】無電解メッキ液を用いて合金皮膜を製造す
る場合、無電解メッキ液を用いてニッケル系メッキ皮膜
および銅系メッキ皮膜を形成し、熱処理を施す場合など
には、メッキ皮膜中に還元剤中の成分であるリン又はホ
ウ素が、含まれることがある。これらの還元剤由来のリ
ン又はホウ素の含有量は、リンについてはニッケル系メ
ッキ皮膜中0.1〜15重量%程度、ホウ素については
ニッケル系メッキ皮膜中0.1〜10重量%程度とする
ことが好ましい。
【0045】ニッケル−銅系合金皮膜が、ニッケルおよ
び銅以外の金属を含む場合は、例えば、所望の金属の塩
を含む公知のニッケル−銅系合金メッキ液を用いて合金
メッキ皮膜を形成する方法;所望の金属の塩を含む公知
のニッケル系メッキ液および/または所望の金属の塩を
含む公知の銅系メッキ液を用いて、ニッケル系および銅
系メッキ皮膜を形成し、加熱処理を施す方法などを例示
することができる。メッキ液には、所望の金属のイオン
をメッキ液中で安定化させる錯化剤などの添加剤を必要
に応じて加えてもよい。
【0046】無機微粒子を含む合金皮膜を形成する場合
には、例えば、所望の無機微粒子を含む公知のニッケル
−銅系合金メッキ液を用いて合金メッキ皮膜を形成する
方法;所望の無機微粒子を含む公知のニッケル系メッキ
液および/または所望の無機微粒子を含む公知の銅系メ
ッキ液を用いて、ニッケル系および銅系メッキ皮膜を形
成し、加熱処理を施す方法などを例示することができ
る。メッキ液には、これらの無機微粒子をメッキ液中で
安定化させるための界面活性剤などの添加剤を必要に応
じて添加してもよい。
【0047】ニッケル系メッキ皮膜および銅系メッキ皮
膜を形成するときと同様に、ニッケル−銅系合金メッキ
皮膜を形成する方法は、常法に従って行うことができ、
例えば、脱脂、酸洗等の前処理を行った後、電解メッキ
又は無電解メッキを行ってもよい。また、基体に対する
合金メッキ皮膜の密着性を向上させるために、必要に応
じて、公知の方法によりストライクメッキを行った後、
合金メッキ皮膜を形成しても良い。無電解メッキに対す
る触媒活性のない基体上に直接無電解メッキを行う場合
には、常法に従って、触媒を付与した後、無電解メッキ
を行ってもよい。
【0048】ニッケル−銅系合金皮膜の厚さは、基体の
材質及び形状、部材を使用する環境などにより適宜設定
することができ、通常10〜1000μm程度、好まし
くは20〜500μm程度である。
【0049】本発明の耐熱部材は、例えば、エンジン、
タービンなどの部材またはその材料として好適に用いる
ことができる。特に、エンジンまたはタービンの燃焼
部、排気部、熱交換部等として好適に用いることができ
る。燃焼部としては、例えば、ピストン頂面、ピストン
リング、シリンダーライナー、排気バルブかさ裏部、タ
ービン燃焼器、動翼、静翼、シュラウド、タービンケー
シング等が例示できる。また、排気部として、ターボチ
ャージャー排気タービン、ウエストゲートバルブ、排気
マニホールド、排気煙道等を例示できる。熱交換部とし
て、例えば、オイルクーラー、アフタークーラー等を例
示できる。
【0050】また、本発明の耐熱部材は、加熱炉、焼鈍
炉、熱処理炉、浸炭炉、窒化炉、焼成炉、焼却炉等の各
種工業炉の部材として使用できる。具体的には、例え
ば、バーナー、ラジアントチューブ、マッフル、レキュ
ペレーター、ローラーハース、搬送ベルト、スキッド金
物、各種遮熱板、金属溶解鍋、その他金属部品の部材と
して使用できる。
【0051】更に、本発明の部材は、石炭の液化・ガス
化、オイルシェール・タールサンドの精製装置、発電ボ
イラー、石油精製、石油化学工業、その他化成品工業の
反応容器、反応管、熱交換器、搬送管、その他種々の高
温部材としても使用でき、利用価値の極めて高い部材で
ある。
【0052】
【発明の効果】本発明によれば、酸化劣化、熱劣化およ
び浸炭劣化に対して、優れた耐久性を有する耐熱部材を
得ることができる。
【0053】本発明によれば、簡便な方法で優れた耐熱
部材を製造することができる。
【0054】本発明によれば、低コストで優れた耐熱部
材を製造することができる。
【0055】本発明によれば、複雑な形状の基体にも容
易に皮膜を形成することができる。
【0056】
【実施例】以下、本発明の実施例を比較例と共に挙げ、
本発明をより具体的に説明する。本発明は、以下の実施
例に制限されるものではない。
【0057】実施例1 先ず、下記のような電解メッキ液を調製した。 1)ニッケルストライクメッキ液の調製 以下の組成を有するメッキ液を調製した。 塩化ニッケル 245g/l 塩酸 120g/l 2)電解ニッケルメッキ液の調製 以下の組成を有するメッキ液を調製した。 硫酸ニッケル 280g/l 塩化ニッケル 45g/l ホウ酸 30g/l 3)電解銅メッキ液の調製 以下の組成を有するメッキ液を調製した。 ピロリン酸銅 100g/l ピロリン酸カリウム 350g/l 30容量%アンモニア水 4ml/l 基体として以下のものを用いた。 ・タービン動翼 材質:Ni耐熱合金MAR−M247(Co:10重量
%、Cr:9重量%、Mo:0.8重量%、W:10重
量%、Al:5.5重量%、Ti:1.2重量%、C:
0.1重量%含有) 寸法:高さ52mm、幅15mm、奥行き40mm ・タービン静翼 材質:Co耐熱合金MAR−M509(Ni:10重量
%、Cr:24重量%、W:7重量%、Ti:0.2重
量%含有) 寸法:高さ25mm、幅15mm、奥行き45mm ・試験片(材質SUS310S、50mm×50mm、
厚さ3mm) 上記の動翼、静翼及び試験片をアルカリ脱脂液で脱脂し
た後、負極として用いて、以下の方法でメッキを行っ
た。
【0058】まず、上記1)の組成のニッケルストライ
クメッキ液を含むニッケルストライク槽を用いて、液温
25℃、電流密度10A/dm2の条件下で2分間のニ
ッケルストライク処理を行った。
【0059】次いで、上記2)の組成の電解ニッケルメ
ッキ液を含むメッキ槽を用いて、液温50℃、pH4.
0、電流密度2A/dm2の条件下にスクリュー攪拌し
つつ、膜厚が100μmとなるまで電解メッキを行っ
て、電解ニッケルメッキ皮膜を形成した。メッキ終了
後、水洗して乾燥させることなく、さらに電解ニッケル
メッキ皮膜を形成した被メッキ材料を上記3)の組成の
電解銅メッキ液を含むメッキ槽を用いて、液温50℃、
pH8.8、電流密度2A/dm2の条件下にスクリュ
ー攪拌しつつ、膜厚が100μmとなるまで電解メッキ
を行って、電解銅メッキ皮膜を形成した。メッキ終了
後、水洗して100℃で5分間乾燥させた。
【0060】上記ニッケル皮膜の上に銅メッキ皮膜を形
成した動翼と静翼を2000kWガスタービンのタービ
ン第一段(雰囲気温度1100℃)に設置して、100
0時間運転を行った。
【0061】1000時間運転後のニッケル皮膜の上に
銅メッキ皮膜を形成した動翼と静翼を切断し、断面を金
属顕微鏡で分析したところ、ニッケルメッキ皮膜と銅メ
ッキ皮膜によりNi合金基材及びCo合金基材が保護さ
れ、酸化スケール層はなく、Ni合金基材及びCo合金
基材の酸化劣化はなかった。
【0062】さらに上記ニッケル皮膜の上に銅メッキ皮
膜を形成したSUS310S試験片を固体浸炭剤(パー
カー熱処理工業(株)製KG−30)を満たしたアルミ
ナ製るつぼの中に埋没させ、電気炉中で950℃、10
00時間保持した。
【0063】1000時間保持後のニッケル皮膜の上に
銅メッキ皮膜を形成したSUS310S試験片を切断
し、断面を金属顕微鏡で分析したところ、ニッケルメッ
キ皮膜と銅メッキ皮膜によりSUS310S基材が保護
され、浸炭層はなく、SUS310S基材の浸炭劣化は
なかった。
【0064】実施例2 実施例1と同様の動翼、静翼及び試験片をアルカリ脱脂
液で脱脂した後、負極として用いて、以下の方法でメッ
キを行った。
【0065】まず、上記1)の組成のニッケルストライ
クメッキ液を含むニッケルストライク槽を用いて、液温
25℃、電流密度10A/dm2の条件下で2分間のニ
ッケルストライク処理を行った。次いで上記3)の組成
の電解銅メッキ液を含むメッキ槽を用いて、液温50
℃、pH8.8、電流密度2A/dm2の条件下にスク
リュー攪拌しつつ、膜厚が100μmとなるまで電解メ
ッキを行って、電解銅メッキ皮膜を形成した。メッキ終
了後、水洗して乾燥させることなく、さらに電解銅メッ
キ皮膜を形成した被メッキ材料を上記2)の組成の電解
ニッケルメッキ液を含むメッキ槽を用いて、液温50
℃、pH4.0、電流密度2A/dm2の条件下にスク
リュー攪拌しつつ、膜厚が100μmとなるまで電解メ
ッキを行って、電解ニッケルメッキ皮膜を形成した。メ
ッキ終了後、水洗して100℃で5分間乾燥させた。
【0066】上記銅メッキ皮膜の上にニッケルメッキ皮
膜を形成した動翼と静翼を2000kWガスタービンの
タービン第一段(雰囲気温度1100℃)に設置して、
1000時間運転を行った。
【0067】1000時間運転後のニッケル皮膜の上に
銅メッキ皮膜を形成した動翼と静翼を切断し、断面を金
属顕微鏡で分析したところ、ニッケルメッキ皮膜と銅メ
ッキ皮膜によりNi合金基材及びCo合金基材が保護さ
れ、酸化スケール層はなく、Ni合金基材及びCo合金
基材の酸化劣化はなかった。
【0068】さらに上記ニッケル皮膜の上に銅メッキ皮
膜を形成したSUS310S試験片を固体浸炭剤(パー
カー熱処理工業(株)製KG−30)を満たしたアルミ
ナ製るつぼの中に埋没させ、電気炉中で950℃、10
00時間保持した。1000時間保持後のニッケル皮膜
の上に銅メッキ皮膜を形成したSUS310S試験片を
切断し、断面を金属顕微鏡で分析したところ、ニッケル
メッキ皮膜と銅メッキ皮膜によりSUS310S基材が
保護され、浸炭層はなく、SUS310S基材の浸炭劣
化はなかった。
【0069】実施例3 実施例1と同様の動翼、静翼及び試験片をアルカリ脱脂
液で脱脂した後、負極として用いて、以下の方法でメッ
キを行った。
【0070】まず、上記1)の組成のニッケルストライ
クメッキ液を含むニッケルストライク槽を用いて、液温
25℃、電流密度10A/dm2の条件下で2分間のニ
ッケルストライク処理を行った。次いで下記4)の組成
の電解ニッケル−銅系合金メッキ液を含むメッキ槽を用
いて、液温60℃、pH9.0、電流密度2A/dm 2
の条件下にスクリュー攪拌しつつ、膜厚が100μmと
なるまで電解メッキを行って、電解ニッケル−銅系合金
メッキ皮膜を形成した。メッキ終了後、水洗して100
℃で5分間乾燥させた。
【0071】試験片を使用してEPMA分析装置(株)
日本電子製JXA−8900RLにて電解ニッケル−銅
系合金皮膜の定量を行ったところ、ニッケル75重量
%、銅25重量%であった。
【0072】上記ニッケル−銅系合金メッキ皮膜を形成
した動翼と静翼を2000kWガスタービンのタービン
第一段(雰囲気温度1100℃)に設置して、1000
時間運転を行った。
【0073】1000時間運転後のニッケル皮膜の上に
銅メッキ皮膜を形成した動翼と静翼を切断し、断面を金
属顕微鏡で分析したところ、ニッケル−銅系合金メッキ
皮膜によりNi合金基材及びCo合金基材が保護され、
酸化スケール層はなく、Ni合金基材及びCo合金基材
の酸化劣化はなかった。
【0074】さらに上記ニッケル−銅系合金メッキ皮膜
を形成したSUS310S試験片を固体浸炭剤(パーカ
ー熱処理工業(株)製KG−30)を満たしたアルミナ
製るつぼの中に埋没させ、電気炉中で950℃、100
0時間保持した。
【0075】1000時間保持後のニッケル−銅系合金
メッキ皮膜を形成したSUS310S試験片を切断し、
断面を金属顕微鏡で分析したところ、ニッケル−銅系合
金メッキ皮膜によりSUS310S基材が保護され、浸
炭層はなく、SUS310S基材の浸炭劣化はなかっ
た。 4)電解ニッケル−銅系合金メッキ液の調製 以下のような組成を有するメッキ液を調製した。 塩化ニッケル 22.6g/l ピロリン酸銅 1.9g/l ピロリン酸カリウム 100g/l
【0076】実施例4 実施例1と同様の動翼、静翼及び試験片をアルカリ脱脂
液で脱脂した後、負極として用いて、以下の方法でメッ
キを行った。
【0077】まず、上記1)の組成のニッケルストライ
クメッキ液を含むニッケルストライク槽を用いて、液温
25℃、電流密度10A/dm2の条件下で2分間のニ
ッケルストライク処理を行った。次いで下記5)の組成
の電解ニッケル−銅系合金メッキ液を含むメッキ槽を用
いて、液温60℃、pH9.0、電流密度2A/dm 2
の条件下にスクリュー攪拌しつつ、膜厚が100μmと
なるまで電解メッキを行って、電解ニッケル−銅系合金
メッキ皮膜を形成した。メッキ終了後、水洗して100
℃で5分間乾燥させた。
【0078】試験片を使用してEPMA分析装置(株)
日本電子製JXA−8900RLにて電解ニッケル−銅
系合金皮膜の定量を行ったところ、ニッケル50重量
%、銅50重量%であった。
【0079】上記ニッケル−銅系合金メッキ皮膜を形成
した動翼と静翼を2000kWガスタービンのタービン
第一段(雰囲気温度1100℃)に設置して、1000
時間運転を行った。
【0080】1000時間運転後のニッケル皮膜の上に
銅メッキ皮膜を形成した動翼と静翼を切断し、断面を金
属顕微鏡で分析したところ、ニッケル−銅系合金メッキ
皮膜によりNi合金基材及びCo合金基材が保護され、
酸化スケール層はなく、Ni合金基材及びCo合金基材
の酸化劣化はなかった。
【0081】さらに上記ニッケル−銅系合金メッキ皮膜
を形成したSUS310S試験片を固体浸炭剤(パーカ
ー熱処理工業(株)製KG−30)を満たしたアルミナ
製るつぼの中に埋没させ、電気炉中で950℃、100
0時間保持した。
【0082】1000時間保持後のニッケル−銅系合金
メッキ皮膜を形成したSUS310S試験片を切断し、
断面を金属顕微鏡で分析したところ、ニッケル−銅系合
金メッキ皮膜によりSUS310S基材が保護され、浸
炭層はなく、SUS310S基材の浸炭劣化はなかっ
た。
【0083】5)電解ニッケル−銅系合金メッキ液の調
製 以下のような組成を有するメッキ液を調製した。 塩化ニッケル 21.4g/l ピロリン酸銅 3.7g/l ピロリン酸カリウム 100g/l
【0084】実施例5 実施例1と同様の動翼、静翼及び試験片をアルカリ脱脂
液で脱脂した後、負極として用いて、以下の方法でメッ
キを行った。
【0085】まず、上記1)の組成のニッケルストライ
クメッキ液を含むニッケルストライク槽を用いて、液温
25℃、電流密度10A/dm2の条件下で2分間のニ
ッケルストライク処理を行った。次いで下記6)の組成
の電解ニッケル−銅系合金メッキ液を含むメッキ槽を用
いて、液温60℃、pH9.0、電流密度2A/dm 2
の条件下にスクリュー攪拌しつつ、膜厚が100μmと
なるまで電解メッキを行って、電解ニッケル−銅系合金
メッキ皮膜を形成した。メッキ終了後、水洗して100
℃で5分間乾燥させた。
【0086】試験片を使用してEPMA分析装置(株)
日本電子製JXA−8900RLにて電解ニッケル−銅
系合金皮膜の定量を行ったところ、ニッケル25重量
%、銅75重量%であった。
【0087】上記ニッケル−銅系合金メッキ皮膜を形成
した動翼と静翼を2000kWガスタービンのタービン
第一段(雰囲気温度1100℃)に設置して、1000
時間運転を行った。
【0088】1000時間運転後のニッケル皮膜の上に
銅メッキ皮膜を形成した動翼と静翼を切断し、断面を金
属顕微鏡で分析したところ、ニッケル−銅系合金メッキ
皮膜によりNi合金基材及びCo合金基材が保護され、
酸化スケール層はなく、Ni合金基材及びCo合金基材
の酸化劣化はなかった。
【0089】さらに上記ニッケル−銅系合金メッキ皮膜
を形成したSUS310S試験片を固体浸炭剤(パーカ
ー熱処理工業(株)製KG−30)を満たしたアルミナ
製るつぼの中に埋没させ、電気炉中で950℃、100
0時間保持した。
【0090】1000時間保持後のニッケル−銅系合金
メッキ皮膜を形成したSUS310S試験片を切断し、
断面を金属顕微鏡で分析したところ、ニッケル−銅系合
金メッキ皮膜によりSUS310S基材が保護され、浸
炭層はなく、SUS310S基材の浸炭劣化はなかっ
た。
【0091】6)電解ニッケル−銅系合金メッキ液の調
製 以下のような組成を有するメッキ液を調製した。 塩化ニッケル 19.0g/l ピロリン酸銅 7.5g/l ピロリン酸カリウム 100g/l
【0092】比較例 実施例1と同様の動翼、静翼及び試験片をめっきするこ
となく、2000kWガスタービンのタービン第一段
(雰囲気温度1100℃)に設置して、1000時間運
転を行った。
【0093】1000時間運転後のめっきを行っていな
い動翼及び静翼を切断し、断面を金属顕微鏡で分析した
ところ、いずれも約100μmの酸化スケール層が見ら
れ、動翼のNi合金基材及び静翼のCo合金基材が酸化
劣化していた。
【0094】さらに、めっきを行っていないSUS31
0S試験片を固体浸炭剤(パーカー熱処理工業(株)製
KG−30)を満たしたアルミナ製るつぼの中に埋没さ
せ、電気炉中で950℃、1000時間保持した。
【0095】1000時間保持後のめっきを行っていな
いSUS310S試験片を切断し、断面を金属顕微鏡で
分析したところ、約100μmの浸炭層が見られ、SU
S310S基材が浸炭劣化していた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F01L 3/02 F01L 3/02 J 4K024 F01N 7/16 F01N 7/16 F02B 39/00 F02B 39/00 U F02C 7/00 F02C 7/00 C F02F 1/00 F02F 1/00 G 3/12 3/12 5/00 5/00 F Fターム(参考) 3G002 EA05 EA06 3G004 BA07 DA14 DA15 FA04 3G005 EA04 EA16 FA13 GB79 KA04 KA05 3G024 AA26 AA27 GA18 HA06 4K022 AA02 AA41 BA08 BA14 BA32 BA36 BA37 DA01 EA01 4K024 AA03 AA09 AA14 AB01 AB02 BA01 BA02 BA09 BB01 DA09 DB01 GA04 GA16

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属基体上に皮膜を有する耐熱部材であっ
    て、皮膜が、 1)ニッケル−銅系合金皮膜、または 2)ニッケル系メッキ皮膜と銅系メッキ皮膜である耐熱
    部材。
  2. 【請求項2】皮膜が、ニッケル系メッキ皮膜と銅系メッ
    キ皮膜であり、金属基体上にニッケル系メッキ皮膜、銅
    系メッキ皮膜の順序または銅系メッキ皮膜、ニッケル系
    メッキ皮膜の順序でメッキ皮膜を有する請求項1に記載
    の耐熱部材。
  3. 【請求項3】ニッケル−銅系合金皮膜、ニッケル系メッ
    キ皮膜または銅系メッキ皮膜が、クロム、モリブデン、
    タングステン、マンガン、テクネチウム、レニウム、
    鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イ
    リジウム、パラジウム、白金、銀、金、亜鉛およびカド
    ミウムからなる群から選択される少なくとも1種の金属
    を含んでいる請求項1または2に記載の耐熱部材。
  4. 【請求項4】エンジン又はタービンの燃焼部、排気部若
    しくは熱交換部用の部材である請求項1〜3のいずれか
    に記載の耐熱部材。
  5. 【請求項5】エンジン又はタービンのピストン頂面、ピ
    ストンリング、シリンダーライナー、排気バルブかさ裏
    部、タービン燃焼器、動翼、静翼、シュラウド、タービ
    ンケーシング、ターボチャージャー排気タービン、ウエ
    ストゲートバルブ、排気マニホールド、排気煙道、オイ
    ルクーラー若しくはアフタークーラー用の部材である請
    求項4に記載の耐熱部材。
  6. 【請求項6】請求項1〜5のいずれかに記載の耐熱部材
    を備えたエンジンまたはタービン。
  7. 【請求項7】工業炉の部材である請求項1〜3のいずれ
    かに記載の耐熱部材。
  8. 【請求項8】バーナー、ラジアントチューブ、マッフ
    ル、レキュペレーター、ローラーハース、搬送ベルト、
    スキッド金物、遮熱板または金属溶解鍋用の部材である
    請求項7に記載の耐熱部材。
  9. 【請求項9】請求項1〜3、7および8のいずれかに記
    載の部材を備えた工業炉。
  10. 【請求項10】金属基体上にニッケル系メッキ皮膜を形
    成した後、銅系メッキ皮膜を形成することを特徴とする
    ニッケル系メッキ皮膜と銅系メッキ皮膜を金属基体上に
    有する耐熱部材の製造方法。
  11. 【請求項11】金属基体上に銅系メッキ皮膜を形成した
    後、ニッケル系メッキ皮膜を形成することを特徴とする
    ニッケル系メッキ皮膜と銅系メッキ皮膜を金属基体上に
    有する耐熱部材の製造方法。
  12. 【請求項12】金属基体上にニッケル系メッキ皮膜を形
    成した後、銅系メッキ皮膜を形成し、次いで、加熱処理
    を行って前記ニッケル系メッキ皮膜中に銅を拡散させる
    ことを特徴とするニッケル−銅系合金皮膜を金属基体上
    に有する耐熱部材の製造方法。
  13. 【請求項13】金属基体上に銅系メッキ皮膜を形成した
    後、ニッケル系メッキ皮膜を形成し、次いで、加熱処理
    を行って前記銅系メッキ皮膜中にニッケルを拡散させる
    ことを特徴とするニッケル−銅系合金皮膜を金属基体上
    に有する耐熱部材の製造方法。
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