JP2003277924A - ルテニウムスパッタリングターゲットの製造方法及びそれにより得られたターゲット - Google Patents

ルテニウムスパッタリングターゲットの製造方法及びそれにより得られたターゲット

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JP2003277924A
JP2003277924A JP2003011930A JP2003011930A JP2003277924A JP 2003277924 A JP2003277924 A JP 2003277924A JP 2003011930 A JP2003011930 A JP 2003011930A JP 2003011930 A JP2003011930 A JP 2003011930A JP 2003277924 A JP2003277924 A JP 2003277924A
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Junichi Nagata
純一 永田
Toshiyuki Osako
敏行 大迫
Yuji Takatsuka
裕二 高塚
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Sumitomo Metal Mining Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 半導体メモリーのキャパシタ用電極などの形
成に利用され、熔解工程での不純物混入が抑制された、
大型のルテニウムスパッタリングターゲット及びその製
造方法の提供。 【解決手段】 水素を含有するガス雰囲気下で、ルテニ
ウム原料をプラズマアーク熔解又はアーク熔解させ、イ
ンゴットを作製する第1の工程と、このインゴットを所
定のサイズの板材に加工する第2の工程と、この板材を
複数枚接合する第3の工程とを含むことを特徴とするル
テニウムスパッタリングターゲットの製造方法;また、
この製造方法により得られる、実質的にルテニウムから
なり、水素の含有量が5重量ppm以下でかつタングス
テン又はタンタルの含有量が5重量ppm以下であるこ
とを特徴とするルテニウムスパッタリングターゲットに
よって提供。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ルテニウムスパッ
タリングターゲットの製造方法及びそれにより得られた
ターゲットに関し、さらに詳しくは、半導体メモリーの
キャパシタ用電極などの形成に利用され、熔解工程での
不純物混入が抑制された、大型のルテニウムスパッタリ
ングターゲットの製造方法及びそれにより得られたター
ゲットに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、半導体メモリーのキャパシタ用電
極膜、或いは巨大磁気抵抗効果型(GMR)ヘッドやハ
ードディスクなど磁気メディアに使用される積層フェリ
の構成要素である非磁性中間膜などの材料としてルテニ
ウムが用いられるようになり、これら電極膜などのルテ
ニウム薄膜はスパッタリング法により形成されている。
【0003】デバイスの高集積化・高密度化が進むにつ
れ、各種材料の純度が見直され、ルテニウムスパッタリ
ングターゲット(以下、スパッタリングターゲット、或
いは単にターゲットともいう)にもさらなる高純度化が
求められている。また、製品歩留り向上のため、スパッ
タリングターゲットは大型化する傾向にある。
【0004】従来、大型ターゲットの製造方法として、
ホットプレスなどによる焼結法が検討されている。しか
し、焼結法により作製されたターゲットは、原料粉末の
純度よりも高純度になることはなく、また密度が低いと
いう欠点があった。
【0005】こうした課題を解決するものとして、ホッ
トプレス成形体の一部分を電子ビーム熔解又はアーク熔
解処理する方法(例えば、特許文献1参照)や、ルテニ
ウムをアーク熔解、真空プラズマ溶解してインゴットと
し、これを板材とした後に、それら複数枚を電子ビーム
溶接、アーク溶接あるいは真空プラズマ溶接する方法
(例えば、特許文献2参照)などが提案されている。
【0006】しかし、特許文献1により提案された方法
によれば、ホットプレス成形体の表面にルテニウム熔解
層を形成させるために、表面は高純度化するものの、そ
れ以外の部分は低純度の状態であり、表面部分しかター
ゲットとして利用できずロスが大きいという問題があっ
た。
【0007】また、特許文献2により提案された方法で
は、アーク熔解装置や真空プラズマ熔解装置の電極材
(タンタルやタングステン)からルテニウムインゴット
に不純物が混入するという問題があった。この場合、真
空プラズマ熔解は、1.33×10−1〜13.3Pa
(1×10−3〜0.1Torr)の中真空領域での熔
解法であることから、ルテニウム自体の蒸発損失が増加
するために、歩留りが悪いという欠点もある。
【0008】このようなことから、不純物の混入が少な
く、歩留まりよく製造でき、膜厚が均一なスパッタ膜が
形成できるルテニウムスパッタリングターゲットの出現
が切望されていた。
【0009】
【特許文献1】特開平8−302462号(段落001
0)
【特許文献2】特開平11−61393号(段落000
9)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前述
した従来技術の問題点に鑑み、半導体メモリーのキャパ
シタ用電極などの形成に利用され、熔解工程での不純物
混入が抑制された、大型のルテニウムスパッタリングタ
ーゲット及びその製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、ルテニウム原料に
対し、水素を含有するガス雰囲気下でプラズマアーク熔
解するか、アーク熔解すれば、単一熔解工程であっても
熔解装置の電極材からの汚染を抑制でき、さらに、熔解
により作製したインゴットや、これを加工した板材を熱
処理すると、脱水素されることで、熔接の際に板材に割
れが生じなくなり、大型で高純度なルテニウムスパッタ
リングターゲットが得られることを見出し、また、かか
る方法で得られたターゲットは、実質的にルテニウムか
らなり、水素、タングステンが特定量以下であって、優
れたスパッタリング性能が発揮されることを確認して、
本発明を完成するに至った。
【0012】すなわち、本発明の第1の発明によれば、
水素を含有するガス雰囲気下で、ルテニウム原料をプラ
ズマアーク熔解又はアーク熔解させ、インゴットを作製
する第1の工程と、このインゴットを所定のサイズの板
材に加工する第2の工程と、この板材を複数枚接合する
第3の工程とを含むことを特徴とするルテニウムスパッ
タリングターゲットの製造方法が提供される。
【0013】一方、本発明の第2の発明によれば、第1
の発明において、第1の工程が、不活性ガスに1〜50
体積%の水素を混合したガス雰囲気下で行われることを
特徴とするルテニウムスパッタリングターゲットの製造
方法が提供される。
【0014】また、本発明の第3の発明によれば、第2
の発明において、不活性ガスにアルゴンを用い、プラズ
マアーク熔解又はアーク熔解させることを特徴とするル
テニウムスパッタリングターゲットの製造方法が提供さ
れる。
【0015】また、本発明の第4の発明によれば、第3
の発明において、熔解中の炉内の圧力を1.33×10
〜2×10Paに調整することを特徴とするルテニ
ウムスパッタリングターゲットの製造方法が提供され
る。
【0016】また、本発明の第5の発明によれば、第1
の発明において、第3の工程が、電子ビーム熔接により
行われることを特徴とするルテニウムスパッタリングタ
ーゲットの製造方法が提供される。
【0017】また、本発明の第6の発明によれば、第1
の発明において、さらに、脱水素のために、第1の工程
の直後及び/又は第2の工程の直後に、インゴット又は
板材を真空中又は不活性ガス中で熱処理する工程を行う
ことを特徴とするルテニウムスパッタリングターゲット
の製造方法が提供される。
【0018】さらに、本発明の第7の発明によれば、第
6の発明において、熱処理における処理温度が、800
℃以上で、ルテニウムの融点よりも低い温度であること
を特徴とするルテニウムスパッタリングターゲットの製
造方法が提供される。
【0019】一方、本発明の第8の発明によれば、第1
〜7の発明のいずれかのルテニウムスパッタリングター
ゲットの製造方法により得られる、実質的にルテニウム
からなり、水素の含有量が5重量ppm以下でかつタン
グステン又はタンタルの含有量が5重量ppm以下であ
ることを特徴とするルテニウムスパッタリングターゲッ
トが提供される。
【0020】
【発明の実施の形態】以下に、本発明のルテニウムスパ
ッタリングターゲットの製造方法、それにより得られた
ターゲットについて詳細に説明する。
【0021】1.ルテニウムスパッタリングターゲット
の製造方法 本発明のルテニウムスパッタリングターゲットは、イン
ゴットを作製する第1の工程、得られたインゴットを板
材に加工する第2の工程、最後に板材を接合する第3の
工程を順次行うことで製造される。この第1の工程の直
後、及び/又は第2工程の直後には、必要に応じてイン
ゴット又は板材を熱処理する工程を追加することができ
る。
【0022】(1)インゴットの作製 先ず、ルテニウム原料を、少なくとも水素を含有するガ
ス雰囲気下でプラズマアーク熔解又はアーク熔解して、
ルテニウムインゴットとする。
【0023】これに用いられるルテニウム原料は、通常
市販されている純度3N程度のものでよく、特に高純度
化したものを用いる必要はない。原料中に混入していた
アルカリ(土類)金属元素、遷移金属元素は、それらの
大半がルテニウムの熔解とともに除去されるからであ
る。
【0024】プラズマアーク熔解には、プラズマ作動ガ
スとしてアルゴン、ヘリウムなどの不活性ガスを使用で
きるがヘリウムは高価であることから、特にアルゴンが
好ましい。プラズマ作動ガスに対しては水素を1〜50
体積%、好ましくは5〜30体積%添加する。水素が1
体積%未満では、熔解装置の電極材からの不純物の混入
を抑制できず、50体積%を越えるとアークが不安定と
なり、熔解装置を破損するなどの問題があり好ましくな
い。
【0025】アーク熔解は、水素を1〜50体積%含有
する不活性ガス雰囲気下において熔解することは、上記
プラズマアーク熔解と同様であり、電流密度が大きい点
で相違する。ルテニウムのような高融点金属の場合に
は、熔解効率が高められ、生産性を向上できることから
プラズマアーク熔解の方が効果的であり好ましい。
【0026】プラズマアーク熔解又はアーク熔解中は、
炉内圧を1.33×10〜2×10Pa(10To
rr〜2atm)に調整することが好ましい。特に好ま
しい炉内圧力は、2×10〜1×10Paである。
【0027】なお、ルテニウム原料が粉末状の場合は、
プレスやCIP(冷間等方加工プレス)、あるいはHP
(ホットプレス)などで塊状にしておけば、プラズマ作
動ガスにより粉末が飛散するのを抑制でき、生産効率が
向上するので好ましい。
【0028】所要時間は、ルテニウム原料の純度、量
(インゴットのサイズ)、投入電力(アーク出力)、プ
ラズマ作動ガス中の水素濃度などによっても異なるが、
30〜90分の間で適宜選定できる。
【0029】このように、水素を含有するガス雰囲気下
でプラズマアーク熔解又はアーク熔解するため、インゴ
ットへの熔解装置の電極材からの不純物の混入を大幅に
低減しうる。プラズマ作動ガスに水素を添加した場合に
は熱伝導度が大きくなり、プラズマそのものの温度は低
くなることが知られていることから、熔解装置の電極材
の温度も、水素を添加した方がアルゴンのみの場合と比
べて低くなるため、電極表面からの不純物の蒸発が抑制
されたと考えられる。
【0030】また、1.33×10〜2×10Pa
の炉内圧でルテニウムを熔解させることから、従来のよ
うな中真空領域(1.33×10−1〜13.3Pa)
で行う真空プラズマ熔解法に比して、蒸発損失が極めて
少なく、ルテニウムスパッタリングターゲットを高い歩
留りの下に製造することができる。
【0031】ただし、こうして得られたインゴットには
必要以上に水素が取り込まれている。本発明者らが行っ
た実験によると、ルテニウムインゴット中の水素濃度と
ビッカース硬さとは図1に示す関係にある。これによ
り、ルテニウムインゴット中に水素が高濃度含まれてい
ると強度が弱くなり、接合の際の熱衝撃でルテニウム板
材に割れが生じやすくなることが分かる。よって、引き
続き、真空中又は不活性ガス中で、800℃以上かつル
テニウムの融点(2310℃)よりも低い温度でインゴ
ットを熱処理することが好ましい。この熱処理により、
インゴット中の水素含有量は低減する。
【0032】熱処理方法としては、インゴットを炉内に
置き、ガス置換することのできる一般的な電気炉により
加熱する方法などが採用できる。熱処理における処理温
度としては、900〜1500℃、特に1000〜14
00℃とするのが好適である。1000℃であれば10
〜60分間必要であるが、1400℃であれば、5〜5
0分間かけて熱処理すればよい。このように高温で熱処
理することで、インゴットを脱水素できる。また、これ
により板材を接合する際に、その割れを生じ難くするこ
とができる。
【0033】(2)板材の作製 次に、第1の工程で得られたルテニウムインゴットを、
放電加工や機械加工などによって所定サイズの板材とす
る。放電加工や機械加工は、公知の手段であって、特別
な条件が要求されるわけではない。
【0034】第1の工程で熔解したインゴットを熱処理
しなかった場合、800℃以上かつルテニウムの融点よ
りも低い温度で熱処理して、板材を脱水素することが好
ましい。熱処理条件としては、第1の工程で示したイン
ゴットの場合とほぼ同じ条件(温度、時間)を採用でき
る。
【0035】すでにインゴットの段階で熱処理してあれ
ば、再び熱処理する必要はないが、熱処理を繰り返すこ
とで、さらに大きな効果を期待できる。板材は薄いため
に、インゴットの場合よりもやや低温で板材を熱処理す
る方が好ましいであろう。板材は800〜1200℃で
熱処理するのが好適である。800℃であれば10〜6
0分間必要であるが、1200℃であれば5〜50分間
だけ熱処理すればよい。これによってインゴットを脱水
素でき、また、板材を接合する際に、一層その割れが生
じ難くなるものと期待される。
【0036】(3)板材の接合 最後に、第2の工程によって得られた所定サイズの板材
を複数枚突き合わせて接合する。板材は、接合部への不
純物混入を抑制するために、電子ビーム熔接、或いは水
素を含有するガス雰囲気下でのプラズマアーク熔接又は
アーク熔接のいずれかで接合を行う。熔接幅をなるべく
狭くするためには電子ビーム熔接によることが好まし
い。電子ビーム熔接は、公知の手段であって、条件など
は特に限定されない。
【0037】以上により得られたルテニウムスパッタリ
ングターゲットは、熔解工程で装置電極材からの不純物
混入が抑制されるため高純度であり、透過X線写真や超
音波探傷によっても、割れなどの内部欠陥が検出されな
いほど高品質なものとなる。
【0038】2.ルテニウムスパッタリングターゲット 本発明のスパッタリングターゲットは、実質的にルテニ
ウムからなり、それに含有される水素、タングステン又
はタンタルがそれぞれ特定量以下であることを特徴とす
るルテニウムスパッタリングターゲットである。
【0039】実質的にルテニウムからなる、とはルテニ
ウムの純度が少なくとも99.99%であることを意味
する。そして、水素は5重量ppm以下、かつタングス
テン又はタンタルも5重量ppm以下でなければならな
い。水素が3重量ppm以下、かつタングステン又はタ
ンタルが2重量ppm以下であるターゲットが特に好ま
しい。水素が5重量ppmを越えると割れが生じ易いと
いう問題があり、またタングステンやタンタルが5重量
ppmを越えると異常放電が増加するという問題があり
好ましくない。
【0040】このようなルテニウムスパッタリングター
ゲットは、水素、タングステン或いはタンタルだけでな
く、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、或いはカル
シウムなどのアルカリ(土類)金属元素、クロム、マン
ガン、コバルト、ニッケル、或いは鉄、銅などの遷移金
属元素を含みうる。
【0041】しかし、本発明のターゲットは、それらの
含有量がいずれも少なく、透過X線写真や超音波探傷に
よっても、割れなどの内部欠陥が検出されず、優れたス
パッタ性能を有する。上記アルカリ(土類)金属元素、
遷移金属元素の含有量は1重量ppm以下、特に0.1
重量ppm以下であることが望ましい。これら金属元素
のいずれかが1重量ppmを越えても、良好なスパッタ
膜を得ることが困難となる。
【0042】
【実施例】以下、実施例及び比較例を示すが、本発明は
この実施例によって何ら限定されるものではない。
【0043】[実施例1] (1)インゴットの作製 表1に示した不純物品位(純度99.9重量%)のルテ
ニウム原料を、日本研究開発工業株式会社製の静水圧粉
末成型装置で固め、プラズマアーク熔解炉内の水冷銅坩
堝に充填した。炉内をArガスで置換してから、炉内圧
を1×10Pa(1atm)とした後、プラズマ作動
ガスをAr(5体積%H)に調節しながら、インゴッ
ト一個あたり60分間かけてプラズマアーク熔解を行
い、24個のインゴットを作製した。プラズマアーク熔
解には、大同特殊鋼株式会社製のプラズマ高融点金属熔
解炉を使用した。また、熔解時の電流値は550Aであ
った。得られたインゴットを大亜真空株式会社製の真空
焼結炉に入れ、炉内を1×10−2Paまで真空引きし
た後、1000℃で60分間熱処理した。
【0044】
【表1】
【0045】(2)板材の作製 こうして得た熔解後のインゴット(24個)を、放電加
工機により、厚さ3.5mm、一辺36mmの板材(正
六角形)に加工し、板材を計24枚作製できた。 (3)接合 得られた板材を酸洗・脱脂してから、突き合わせて電子
ビーム熔接を行った。放電加工機と平面研削盤で直径3
00mm、厚さ3mmに加工し、本発明のルテニウムス
パッタリングターゲットを得ることができた。得られた
ルテニウムスパッタリングターゲットの不純物含有量
を、水素は不活性ガス融解−熱伝導度測定法で、それ以
外の元素はグロー放電質量分析法により測定し、結果を
表2に示した。熔解装置の電極材はタングステンである
が、その混入が抑制され高純度なターゲットが得られ
た。また、得られたルテニウムスパッタリングターゲッ
トの内部を、透過X線写真や超音波探傷によって検査し
たが、割れなどの内部欠陥は検出されなかった。
【0046】
【表2】
【0047】次に、このルテニウムスパッタリングター
ゲットを用いてスパッタリングし、異常放電の発生状況
を調べた。スパッタガスとしては純度6NのArを用
い、ガス圧力は1.0Paとした。異常放電の発生回数
は、マイクロアークモニター(ランドマークテクノロジ
ー社製)にて、スパッタリング中のアーク発生回数を測
定した。結果を表3に示す。スパッタリング中に異常放
電が発生することなく、パーティクルが少なく、電極特
性も良好な薄膜を形成することができた。なお、表3に
おける異常放電の項目であるが、1回のアークエネルギ
ーが50mJ以上を「大」、50mJ未満10mJ以上
を「中」、また10mJ未満を「小」で表した。発生回
数は、1分間当たりに異常放電が発生した回数である。
【0048】
【表3】
【0049】[実施例2] (1)インゴットの作製 プラズマ作動ガスをAr(30体積%H)とした以外
は実施例1と同様にして、24個のルテニウムインゴッ
トを作製した。得られたインゴットを実施例1に示した
真空焼結炉に入れ、炉内を1×10 Paまで真空引
きした後、1400℃で50分間熱処理した。 (2)板材の作製 熱処理後のインゴットから、放電加工機で、厚さ3.5
mm、一辺36mmの正六角形の板材を24枚分作製し
た。 (3)接合 実施例1と同様にして板材を接合し、直径300mm、
厚さ3mmのルテニウムスパッタリングターゲットを得
た。得られたターゲットの不純物含有量を測定し、表2
に示した。熔解装置の電極材であるタングステンの混入
は抑制された。また、得られたターゲットを、透過X線
写真や超音波探傷によって内部を検査したが、割れなど
内部欠陥は検出されなかった。このターゲットを用い
て、実施例1と同様にスパッタリングし、異常放電の発
生状況を調べた。表3に示すとおり、スパッタリング中
に異常放電が発生することなく、パーティクルが少なく
て電極特性も良好な薄膜を形成することができた。
【0050】[実施例3] (1)インゴットの作製 実施例2と同様に、プラズマ作動ガスをAr(30体積
%H)としてプラズマアーク熔解により、24個のル
テニウムインゴットを作製した。 (2)板材の作製 熔解後のインゴット(24個)に熱処理を施さず、その
まま放電加工機で、厚さ3.5mm、一辺36mmの正
六角形の板材を計24枚分作製した。得られた板材を実
施例1に示した真空焼結炉に入れ、炉内を1×10−2
Paまで真空引きした後、1150℃で60分間熱処理
した。 (3)接合 実施例1と同様にして、板材を電子ビーム熔接で接合
し、直径300mm、厚さ3mmのルテニウムスパッタ
リングターゲットを得た。得られたターゲットの不純物
含有量を測定し、結果を表2に示した。熔解装置の電極
材であるタングステンの混入は抑制された。また、得ら
れたターゲットを、透過X線写真や超音波探傷によって
内部を検査したが、割れなど内部欠陥は検出されなかっ
た。このターゲットを用いて、実施例1と同様に、スパ
ッタリングを行って異常放電の発生状況を調べた。表3
に示すとおり、スパッタリング中にほとんど異常放電が
発生することなく、パーティクルが少なく電極特性も良
好な薄膜を形成することができた。
【0051】[実施例4] (1)インゴットの作製 実施例2と同様に、プラズマ作動ガスをAr(30体積
%H)としたプラズマアーク熔解によりインゴットを
作製し、続いて、得られたインゴットを実施例2と同様
に、1400℃で50分間熱処理した。 (2)板材の作製 熱処理後のインゴット(24個)から、放電加工機で、
厚さ3.5mm、一辺36mmの正六角形の板材を計2
4枚分作製した。得られた板材を実施例3と同様に、1
150℃で60分間熱処理した。 (3)接合 実施例1と同様に板材を接合し、直径300mm、厚さ
3mmのルテニウムスパッタリングターゲットを得た。
得られたターゲットの不純物含有量を測定し、結果を表
2に示した。熔解装置の電極材であるタングステンの混
入は抑制された。また、得られたターゲットを、透過X
線写真や超音波探傷によって内部を検査したが、割れな
どの内部欠陥は検出されなかった。このターゲットを用
いて、実施例1と同様に、スパッタリングを行って異常
放電の発生状況を調べた。表3に示すとおり、スパッタ
リング中に全く異常放電が発生せず、パーティクルが少
ない、電極特性も良好な薄膜を形成することができた。
【0052】[比較例1] (1)インゴットの作製 実施例2と同様に、プラズマ作動ガスをAr(30体積
%H)としたプラズマアーク熔解により、24個のル
テニウムインゴットを作製した。 (2)板材の作製 熔解後のインゴット(24個)に熱処理を施さず、その
まま放電加工機により、厚さ3.5mm、一辺36mm
(正六角形)の板材を計24枚分作製した。 (3)接合 板材に熱処理を施さず、実施例1と同様にして接合し、
直径300mm、厚さ3mmのルテニウムスパッタリン
グターゲットを得た。得られたルテニウムスパッタリン
グターゲットに含まれる不純物の量を測定し、結果を表
2に示した。熔解装置の電極材であるタングステンの混
入は抑制された。しかし、ターゲットには水素が過剰に
含有されているため、透過X線写真や超音波探傷によっ
て内部を検査したところ、内部に割れが検出された。こ
のルテニウムスパッタリングターゲットを用いて、それ
ぞれスパッタリングを行って、実施例1と同様にして異
常放電の発生状況を調べた。結果を表3に示す。スパッ
タリング中に頻繁に異常放電が発生し、得られた薄膜は
パーティクルが多く、膜厚も不均一であった。
【0053】[比較例2] (1)インゴットの作製 プラズマ作動ガスをAr(Hを添加せず)とした以外
は実施例1と同様にして、24個のインゴットを作製し
た。 (2)板材の作製 得られたインゴット(24個)から、放電加工機によ
り、厚さ3.5mm、一辺36mm(正六角形)の板材
を計24枚分作製した。 (3)接合 実施例1と同様にして板材を接合し、直径300mm、
厚さ3mmのルテニウムスパッタリングターゲットを得
た。得られたターゲットの不純物含有量を測定し、結果
を表2に示した。水素の含有量は少ないものの、熔解装
置の電極材からタングステンが混入していた。また、得
られたスパッタリングターゲットを、透過X線写真や超
音波探傷によって内部を検査したが、割れなど内部欠陥
は検出されなかった。このターゲットを用いてスパッタ
リングを行ない、実施例1と同様に異常放電の発生状況
を調べた。結果を表3に示す。スパッタリング中に頻繁
に異常放電が発生し、得られた薄膜はパーティクルが多
く、膜厚も不均一であった。
【0054】以上の結果から、実施例1〜4のように、
インゴットを熔解する際、プラズマ作動ガスに水素を1
〜50体積%(好ましくは5〜30体積%)添加すれ
ば、ターゲットへのタングステンの混入を低減でき、実
施例2〜4のように、熔解したインゴット又は接合すべ
き板材の少なくとも一方を熱処理することで、脱水素で
き、異常放電を起こし難いターゲットが得られることが
分かる。
【0055】これに対して、比較例1のように、プラズ
マ作動ガスに水素を多量に(例えば、30体積%)添加
してルテニウム原料をプラズマアーク熔解したにも関わ
らず脱水素しない場合には、ターゲットの水素含有量が
大きくなりすぎ、一方、比較例2のように水素を全く添
加しないガス雰囲気下でインゴットを熔解すると、ター
ゲットへのタングステンの混入を抑制できず、異常放電
を起こすので好ましくないことが分かる。
【0056】
【発明の効果】本発明によれば、単一の熔解工程でも、
熔解装置の電極材などから不純物の混入が抑制でき、内
部欠陥のないルテニウムスパッタリングターゲットを提
供できる。また、1.33×10〜2×10Paの
炉内圧で行う熔解法なため、蒸発損失が極めて少なく、
高い歩留りの下にターゲットを製造でき、高純度ルテニ
ウムスパッタリングターゲットを安価に提供できること
から、その工業的価値は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】ルテニウムインゴット中の水素濃度とビッカー
ス硬さとの関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高塚 裕二 千葉県市川市中国分3−18−5 住友金属 鉱山株式会社中央研究所内 Fターム(参考) 4K029 BD02 DC03 DC07 DC08 4M104 BB04 DD40

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水素を含有するガス雰囲気下で、ルテニ
    ウム原料をプラズマアーク熔解又はアーク熔解させ、イ
    ンゴットを作製する第1の工程と、このインゴットを所
    定のサイズの板材に加工する第2の工程と、この板材を
    複数枚接合する第3の工程とを含むことを特徴とするル
    テニウムスパッタリングターゲットの製造方法。
  2. 【請求項2】 第1の工程が、不活性ガスに1〜50体
    積%の水素を混合したガス雰囲気下で行われることを特
    徴とする請求項1に記載のルテニウムスパッタリングタ
    ーゲットの製造方法。
  3. 【請求項3】 不活性ガスにアルゴンを用い、プラズマ
    アーク熔解又はアーク熔解させることを特徴とする請求
    項2に記載のルテニウムスパッタリングターゲットの製
    造方法。
  4. 【請求項4】 熔解中の炉内の圧力を1.33×10
    〜2×10Paに調整することを特徴とする請求項3
    に記載のルテニウムスパッタリングターゲットの製造方
    法。
  5. 【請求項5】 第3の工程が、電子ビーム熔接により行
    われることを特徴とする請求項1に記載のルテニウムス
    パッタリングターゲットの製造方法。
  6. 【請求項6】 さらに、脱水素のために、第1の工程の
    直後及び/又は第2の工程の直後に、インゴット又は板
    材を真空中又は不活性ガス中で熱処理する工程を行うこ
    とを特徴とする請求項1に記載のルテニウムスパッタリ
    ングターゲットの製造方法。
  7. 【請求項7】 熱処理における処理温度が、800℃以
    上で、ルテニウムの融点よりも低い温度であることを特
    徴とする請求項6に記載のルテニウムスパッタリングタ
    ーゲットの製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれかに記載のルテニ
    ウムスパッタリングターゲットの製造方法により得られ
    る、実質的にルテニウムからなり、水素の含有量が5重
    量ppm以下でかつタングステン又はタンタルの含有量
    が5重量ppm以下であることを特徴とするルテニウム
    スパッタリングターゲット。
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