JP2003277895A - 気密性を有する焼結体とその製造方法 - Google Patents
気密性を有する焼結体とその製造方法Info
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Abstract
を提供する。 【解決手段】 金属を主成分とする原料粉末を成形する
と共に焼結してなる焼結体1において、原料粉末が還元
鉄粉を40質量%以上含み、開放気孔率が1.5%以下
で、窒素を含む。焼結時に窒素が核となって鉄粉の結晶
の成長が抑制されるため、強度とじん性が向上すると共
に、メッキ,コーティングやスチーム処理などによる表
面処理層との密着性を向上することできる。また、焼結
密度でなく、実際の開放気孔率が低いから、気密性を必
要とする製品に対応可能な焼結体1が得られる。
Description
結体とその製造方法に関する。
主原料とする原料粉末を圧縮して圧粉体を形成した後、
この圧粉体を加熱して焼結し、これにより所定形状の焼
結体を成形することが知られいる。
結する焼結体は多数の気孔を有する。このため、従来、
一般に気密性及び耐圧性が要求される油圧ポンプやエヤ
コンさらにはコンプレッサー等の構造部品に焼結体を用
いる場合、Cuや樹脂含浸などの封孔処理を行ってい
た。また、耐食性や表面硬度を向上させる表面処理であ
るNi,Zn及びCrメッキ、TiN及びCrNコーテ
ィングを施す場合も、表面処理の前処理として、前記封
孔処理が必要であった。
122803号公報には、還元鉄粉と、リン量が0.5〜
2.0質量%になる様リン化鉄粉を配合し、この粉末を圧
縮成形した後に焼結してなる気密性を有する焼結部材が
提案され、この焼結部材では、気密性及び耐圧性を要求
される用途に使用する場合、焼結密度が7.0g/cm3以上
であることが好ましいと記載されている。
性能化及び小型化の要求が高まり、これに伴い、気密性
及び表面処理層との高い密着性が要求されるが、従来の
方法で製造した焼結体では、この要求に対応する気密性
及び表面処理層との密着性を得ることが困難であった。
に気密性及び表面処理層との密着性を有する焼結体とそ
の製造方法を得るため、各種の実験を行ったが、単に焼
結部材の焼結密度を高めただけでは気密性及び表面処理
層との密着性を効果的に向上することができないことが
分かった。
との密着性を有する焼結体とその製造方法を提供するこ
とを目的とする。
る焼結体は、前記目的を達成するために、金属を主成分
とする原料粉末を成形すると共に焼結してなる気密性を
有する焼結体において、前記原料粉末が還元鉄粉を40
質量%以上含み、開放気孔率が1.5%以下で、窒素を
含むものである。
長が抑制されるため、強度とじん性が向上すると共に、
表面処理層との密着性に優れる。
マイズ鉄粉(噴霧鉄粉)等を用いることができるが、還
元鉄粉が40質量%未満になると、条件により焼結体の
開放気孔率が好ましい範囲を外れる場合があるため、還
元鉄粉を40質量%以上とし、開放気孔率が1.5%以
下であるから、気密性が高く、表面処理の前処理として
封孔処理を必要としない焼結体が得られる。
Zn及びCrメッキ、TiN及びCrNコーティング、
スチーム処理などの表面処理層との密着性に優れ、前処
理として封孔処理を必要としない。
目的を達成するために、金属を主成分とする原料粉末を
成形すると共に焼結してなるろう付け用焼結体におい
て、前記原料粉末が鉄粉を含み、開放気孔率が1.5%
以下で、窒素量が60〜300ppmである。
が抑制されるため、強度とじん性が向上すると共に、表
面処理層との密着性に優れる。特に、焼結時における鉄
粉結晶の成長を抑制するには、窒素量を60ppm以上
とすることが好ましく、一方、窒素量が300ppmを
超えると焼結の進行が窒化により妨げられ、急激に強度
が低下するため、上記の窒素量とすることが好ましい。
ズ鉄粉(噴霧鉄粉)、カルボニル鉄粉等を用いることが
でき、開放気孔率が1.5%以下であるから、気密性が
高く、表面処理の前処理として封孔処理を必要としない
焼結体が得られる。
体において、前記焼結体の窒素量が60〜300ppm
であるものである。
には、窒素量を60ppm以上とすることが好ましく、
一方、窒素量が300ppmを超えると焼結の進行が窒
化により妨げられ、急激に強度が低下するため、上記の
窒素量が好ましい。
焼結体において、前記原料粉末が0.2〜1.0質量%
のリンを含むものである。
体が得られる。そして、リンが0.2質量%未満である
と、緻密化の効果が得られず、一方、リンが1.0質量
%を超えると、焼結体の強度とじん性が低下するため、
含まれるリンは0.2〜1.0質量%とした。
焼結体において、前記焼結体の酸素量が100〜100
0ppmである。
には、酸素量を100ppm以上とすることが好まし
く、一方、酸素量が1000ppmを超えると焼結の進
行が酸化により妨げられ、急激に強度が低下するため、
上記の酸素量とすることが好ましい。
焼結体において、前記焼結体の平均結晶粒径が40μm
以下である。
密な組織となり、気密性の高い焼結体となる。
を達成するために、金属を主成分とする原料粉末を加圧
して圧粉体を形成した後、この圧粉体を雰囲気ガス中で
焼結し、開放気孔率が1.5%以下で気密性を有する焼
結体の製造方法であって、前記原料粉末が還元鉄粉を4
0質量%以上含み、前記雰囲気ガスが90容積%以上の
窒素を含み、開放気孔率を1.5%以下にする方法であ
る。
性が向上すると共に、表面処理層との密着性に優れた焼
結体が得られ、この焼結体は、開放気孔率が低く、気密
性及び表面処理層との密着性を必要とする製品に対応可
能となる。
体の製造方法において、前記原料粉末が0.2〜1.0
質量%のリンを含む方法である。
体が得られる。
を参照して説明する。図1〜図5は本発明の一実施形態
を示す。
のフローチャートに示すように、金属である鉄を主とし
た原料粉末を混合(S1)し、この原料粉末を圧縮して
圧粉体を成形(S2)し、この圧粉体を焼結炉により焼
結(S3)して前記焼結体1が得られる。本発明では、
原料粉末に所定量以上の還元鉄粉を使用することが好ま
しい。また、その還元鉄粉は各種方法により還元された
ものを用いることができる。
造方法を得るため、各種の実験を行った結果、焼結体の
焼結密度を上げると、開放気孔率が一般に低下するもの
の、同程度の焼結密度を持つものであっても、開放気孔
率が大きく異なることがあることを見出し、本発明に至
ったものである。
明する。
還元鉄粉の割合が異なる以外は同一条件で製造した鉄系
焼結体1の開放気孔率を示し、実験例,実験例で
は、原料粉末に対して還元鉄粉を40質量%,70質量
%混合し、残りをアトマイズ鉄粉と、0.6質量%のリン
(P)とする。また、実験例では原材粉末は還元鉄粉
を使用し、リンを0.6質量%含み、アドマイズ鉄粉は含
まれていない。一方、比較例は、原料粉末にアトマイズ
鉄粉を使用し、還元鉄粉は含まれていない。尚、各実験
例及び比較例では上記の原料粉末を用いたが、その他に
C,Cu等を混合してもよい。
をそれぞれ窒素雰囲気ガス(N2ベースガス:N2−3vo
l%H2)中で焼結(S3)し、各焼結体の開放気孔率を
計測し、これを図2のグラフに示す。尚、各例に付記し
た数値は、括弧内の数値が前記圧縮による成形(S2)
後の圧粉体の成形密度であり、また、各例には焼結密度
も記載し、これら密度の単位はいずれも「g/cm3」であ
る。尚、リンは焼結体1の緻密化に寄与するが、0.2〜
1質量%の範囲でその効果が顕著に得られる。
のものであれば、上記の製造方法を用いることにより、
開放気孔率が1.5%以下となり、気密性に優れた焼結
体1が得られ、還元鉄粉が40質量%のものであれば、
開放気孔率が1.5%以下となり、気密性及び耐圧性が
要求される製品に対応可能となる。また、実験例
による焼結体の拡大組織写真により、鉄粉の結晶の成長
が抑制されるていることが確認され、これは焼結(S
2)時の雰囲気ガスに窒素雰囲気ガスを用いることによ
り、窒素が核となって鉄粉の結晶の拡大成長が抑制され
たためである。
Z 2501(2000)の焼結金属材料−密度,含油率
及び開放気孔率試験方法により算出される。この試験方
法の概略について説明すると、装置としては、十分な測
定容量をもち、精度0.01%以内の分析用天びんと、ソッ
クスレー抽出器(JIS Z 2501の付図1に例
示)と、試験片の質量を空中と液中(液体は一般的に
水)とで図るためのジグ(JIS Z 2501の付図
2〜付図4に例示)と、試験片とそれを図るジグとを十
分に入れられるだけの大きさで、0.05〜0.10vol%の界
面活性剤が入った蒸留水か、なるべくなら脱気された水
が入っている容器と、真空含油装置と、密度の分かって
いる含浸油と、精度±0.5℃の温度計を用いる。試験片
は、通常は、試験片全体を試験する。できない場合に
は、操作を容易にするために試験片を切断又は破壊して
小片にしてもよい。部品の代表部分だけの試験にも適用
できる。試験片の質量が5gに満たない場合には、試験
片を幾つか集めて測定することによって、平均値を得
る。試験片の表面には、汚れ、油、その他の異物付着が
あってはならない。試験片の表面には、過剰表面油が付
着していてはならない。油吸収剤で余分な油を取り除く
ときは、気孔部内の油まで取り除かないように注意しな
ければならない。試験方法は、(7-1)試験片の最初
の質量測定として、受け入れたままの試験片の質量をひ
ょう量し、m1(試験片の最初の質量:単位g)を得
る。尚、試験片が油を含んでいないことが分かっている
場合、後述する「(7-2)溶剤による試験片の油除
去」と「(7-3)乾燥試験片の質量測定」に記載した
方法は省略できる。
て、溶剤に約3時間浸し、普通の密度で薄肉の試験片か
ら脂を取り除くには、およそ10回の溶剤交換が必要であ
る。肉厚で高密度の試験片に対しては、24時間まで浸す
場合がある。気孔の溶剤を蒸発させた後の質量が一定に
なるまで抽出を続ける。試験片が一定質量になるまで乾
燥する(最後の抽出での質量の減少が0.01%を超えては
ならない)。乾燥温度は溶剤の沸点より20℃高く設定
し、その後、デシケータ中で冷やしてから質量を計測す
る。油を完全に溶解する溶剤を選定する。それについて
は別途試験する必要がある。試験報告書には、使用した
溶剤名を明記する。実際上では、油を取り除く他の方法
が行われるかもしれない(例えば、保護雰囲気中で熱す
るような)。議論が起こる場合は、ソックスレー抽出法
を参考としなければならない。(7-3)乾燥試験片の
質量測定として、試験片を脱油,乾燥後にひょう量し、
m2(脱脂,乾燥後の試験片の質量:単位g)を得る。
真空状態に耐える適当な容器中の油に試験片を浸す。最
大70kPaまで、油表面の圧力を下げる。油表面に泡が
でなくなるまで、真空処理を続ける。真空部の圧力を周
囲の圧力になるまで戻す。10分間、試験片を油に浸し続
けてもよい。油は、水と絶対に混ざり合っては成らない
し、多孔質金属をぬらさなければならない。油から試験
片を取り出し、油切りし、過剰表面油を除去する。この
場合、試験片の表面には、過剰表面油が付着していては
ならない。油吸収剤で余分な油を取り除くときは、気孔
部内の油まで取り除かないように注意しなければならな
い。完全含浸した試験片の質量測定として、完全含浸後
の試験片をひょう量し、m3(完全含浸後の試験片の質
量:単位g)を得る。試験片の体積の測定として、試験
片の体積Vを求めるために、空中でひょう量し、m
a(含浸させた試験片と支持ジグ(例えば、つり針金)
との空中質量:単位g)を得、その後、既知の密度ρW
の水又は液体に浸してmW(含浸させた試験片と支持ジ
グ(例えば、つり針金)との水中質量:単位g)を得
る。体積Vcm3を次の式によって算出する。
いことが重要である。このため、気孔を油で含浸する。
また、一般に、ジグの質量と体積はできる限り小さくす
ることが望ましい。また、体積の測定において、試験片
を細い針金でつり、試験片と針金との合計質量を空中と
水中とでひょう量する。水中の針金の堆積で許容誤差を
生じるが、試験片の体積に比べれば小さいので問題はな
い。この許容誤差は、水中質量をひょう量した後、水中
での深さを正確にしてひょう量することによって把握で
きる。もう一つの求め方としては、針金の単位長さの体
積が既知であれば、水中部分の長さを測ることである。
試験片の表面と保持ジグから泡が全く出ていないことを
確認する。水に0.05〜0.10vol%の界面活性剤を入れて
も差し支えない。試験片と水は同一温度とする。通常の
試験温度は18〜22℃で、この範囲の純水の密度ρWは0.0
998g/cm3である。
燥密度は次の式により求められる。
気密性と深くかかわる気孔の割合を示す開放気孔率を
1.5%以下と極めて低く設定しているから、焼結時の
窒素による鉄粉の結晶拡大抑制効果による優れた表面処
理層との密着性と合せて、気密性に優れた焼結体1を得
ることができる。
定することにより、気密性が向上し、さらに、Niメッ
キ,ZnメッキやCrメッキ等の各種メッキによる表面
処理層やTiNコーティング,CrNコーティング等の
各種合金コーティングによる表面処理層やスチーム処理
等による表面被膜である表面処理層などとの密着性が向
上する点について図面を参照して説明すると、図3は焼
結体1の要部の断面説明図であり、焼結体1の表面に例
えばメッキなどの表面処理層3が設けられ、原料粉末を
焼結してなる結晶粒4において、表面処理層3は境界す
なわち結晶粒界5に入り込み、この結晶粒界5に入り込
んだ表面処理層3は楔を打ち込んだような形状となり、
表面処理層3が焼結体1の表面に密着する。また、焼結
体1の表面の気孔6でも、気孔6の結晶粒界5に表面処
理層3が入り込み、この結晶粒界5に入り込んだ表面処
理層3は楔を打ち込んだような形状となり、表面処理層
3が焼結体1に密着する。そして、平均結晶粒径が小さ
い方が単位面積当りの結晶粒界5の数が多くなるから、
密着性に優れたものとなる。
のアトマイズ鉄粉、平均粒径5μmのカルボニル鉄粉、
平均粒径5μmのFe3P(P含有率15質量%)を表1に
示す配合比率とし、さらに、金型圧粉成形用潤滑剤とし
て平均粒径20μmのステアリン酸亜鉛粉末0.8質量%を添
加した後、混合し、成形圧力700MPaで、図4に示
すように、外径44mm、内径36mm、高さ10mmのリン
グ形状に圧粉成形した。得られた圧粉成形体を1140℃で
20分、表1で示す焼結雰囲気で焼結することによりリン
グ状の試験片11を得た。得られた試験片11を用いて開放
気孔率と密度(乾燥密度)及び窒素量、酸素量、平均結
晶粒径を測定した結果を表1に示す。前記開放気孔率と
密度とはJIS Z 2501(2000)に基いて測定し
た。尚、原料粉末において、還元鉄粉は、開放気孔率の
低減及び低コストの長所があり、一方、他の鉄粉に比べ
て、強度及び圧縮性が低く、アトマイズ鉄粉には、高強
度、高圧縮性、低コストという長所があるが、開放気孔
率の低減効果は低く、カルボニル鉄粉は、高強度、開放
気孔率の低減の長所があるが、低圧縮性、高コストの短
所がある。
に気密性が要求されるから、気密性の評価の一方法とし
てろう付けに係わる測定を行った。具体的には、図5に
示すように、前記リング状の試験片11の内側に、直径35
mm、高さ10mmのステンレス製円盤12を配置し、試験
片11と円盤12との境界にCu合金ろう材13を配置した
後、N2−90vol%H2雰囲気中1130℃で20分間の条件で
ろう付けをした。得られたろう付け体の接合強度を測定
した結果を表1に示す。、また、前記試験片11と同一条
件で、外径40mm、内径10mm、高さ5mmの焼結体を
作製した。蒸発源にTiを用い窒素雰囲気中アーク電流
100A、バイアス電圧150V、圧力1Paの条件で真空ア
ーク放電蒸着法により焼結体にTiNコーティング層を
形成させた。皮膜表面を先端曲率半径200μmの円錐ダイ
ヤモンド圧子で荷重を増加させながら引っかき試験を
し、皮膜が剥離した時点での荷重を測定することにより
焼結体とTiNコーティング層の密着力を測定した結果
を表1に示す。尚、表1の実験例1〜3は、上記実験例
〜とは異なる例である。
粉を40質量%用い、開放気孔率が1%では、接合強度
450MPa、密着力62Nと所望の性能が得られ、一
方、還元鉄粉が30質量%では、開放気孔率が2.1%
となり、「ろう付けせず」となり、還元鉄粉は開放気孔
率を低減するから、実験例5などのように還元鉄粉を4
0質量%用いることが好ましい。
気孔率が2%を超えると、「ろう付けせず」となる。ま
た、実験例1の開放気孔率は1.8%であるから、高い
気密性を要求される気密性部品には不向きである。
核となって鉄結晶粒の成長が抑制するから、60ppm
以上とすることが好ましく、一方、窒素量が300pp
mを超えると焼結の進行が窒化により妨げられ、急激に
強度が低下する。表1に示すように、実験例5におい
て、窒素量70ppmで所定のろう付けに必要な性能が
えられ、また、実験例6において、窒素量230ppm
で所定のろう付けに必要な性能が得れ、さらに、窒素量
を70〜200ppmとすることが、緻密化と強度の面
から一層好ましい。
Fe3P(P含有率15質量%)を8質量%含むから、
1.2質量%のリンを含み、接合強度と密着力が他の例
に比べて低いことが分かる。また、比較例6は、0.1
5質量%のリンを含み、「ろう付けせず」となり、原料
粉末には0.2〜1.0質量%のリンを含むことが好ま
しい。
較例1と、酸素量70ppmの比較例2の接合強度及び
密着力が他の例に比べて低いことから分かるように、鉄
結晶粒の成長が抑制するためには、酸素量が100pp
m以上であることが好ましく、一方、酸素量が多くなる
と、酸化により強度が低下するから、酸素量は1000
ppm以下が好ましく、さらに、酸素量を200〜70
0ppmとすることが、緻密化と強度の面から一層好ま
しい。
ついては、平均粒径52μmの比較例1、平均粒径64
μmの比較例2、平均粒径45μmの比較例3、平均粒径
44μmの比較例4及び平均粒径47μmの比較例5の接
合強度及び密着力が他の例に比べて低いことと、平均粒
径36μmの実験例5で、比較的良好な接合強度と接着
力が得られたことから、平均結晶粒径は40μm以下と
することが好ましい。尚、40μmは36μmと44μm
の平均である。さらに、表面処理層との密着性を考慮す
れば、平均結晶粒径を25μm以下することが一層好ま
しい。これらは表1及び表1以外の実験に基く。
て、TiNコーティングを行ったが、これ以外にも、ろ
う付け後、Zn、Cr、Ni、Agメッキや、CrN、
TiC、TiCN、DLC(ダイヤモンドライクカーボ
ン)などのコーティングを行ってもよく、これらの表面
処理により気密性が向上する。
応して、金属を主成分とする原料粉末を成形すると共に
焼結してなる焼結体1において、原料粉末が還元鉄粉を
40質量%以上含み、開放気孔率が1.5%以下で、窒
素を含むから、焼結時に窒素が核となって鉄粉の結晶の
成長が抑制されるため、強度とじん性が向上すると共
に、気孔の発生を抑制することができる。そして、原料
粉末には還元鉄粉以外にアドマイズ鉄粉(噴霧鉄粉)等
を用いることができるが、還元鉄粉が40質量%未満に
なると、条件により焼結体の開放気孔率が好ましい範囲
を外れる場合があるため、還元鉄粉を40質量%以上と
し、開放気孔率が1.5%以下であるから、気密性が高
い焼結体が得られる。
応して、金属を主成分とする原料粉末を成形すると共に
焼結してなるろう付け用焼結体において、前記原料粉末
が鉄粉を含み、開放気孔率が1.5%以下で、窒素量が
60〜300ppmであるから、焼結時に窒素が核とな
って鉄結晶粒の成長が抑制されるため、強度とじん性が
向上すると共に、ろう材との密着性が高まる。特に、焼
結時における鉄粉結晶の成長を抑制するには、窒素量を
60ppm以上とすることが好ましく、一方、窒素量が
300ppmを超えると焼結の進行が窒化により妨げら
れ、急激に強度が低下するため、上記の窒素量とするこ
とが好ましい。
3に対応して、焼結体1の窒素量が60〜300ppm
であるから、焼結時における鉄粉結晶の成長を抑制し、
表面処理層3との密着性に優れた焼結体1を得ることが
できる。
4に対応して、前記原料粉末が0.2〜1.0質量%の
リンを含むから、緻密な焼結体1を得ることができる。
5に対応して、焼結体2の酸素量が100〜1000p
pmであるから、焼結時における鉄結晶粒の成長を抑制
し、開放気孔率の低い焼結体1を得ることができる。
6に対応して、焼結体2の平均結晶粒径が40μm以下
であるから、気密性の高いものとなる。
応して、金属を主成分とする原料粉末を加圧して圧粉体
を形成した後、この圧粉体を雰囲気ガス中で焼結し、開
放気孔率が1.5%以下で気密性を有する焼結体の製造
方法であって、前記原料粉末が還元鉄粉を40質量%以
上含み、前記雰囲気ガスが90容積%以上の窒素を含
み、開放気孔率を1.5%以下にするから、強度とじん
性が向上すると共に、表面処理層3との密着性に優れた
焼結体1が得られ、この焼結体1は、開放気孔率が1.
5%以下と低く、気密性を必要とする製品に対応可能と
なる。
8に対応して、前記原料粉末が0.2〜1.0質量%の
リンを含むから、緻密な焼結体1を得ることができる。
の製造方法において、表面処理層3との密着性に優れ、
表面処理の前処理として封孔処理を行うことなく、表面
処理層3を表面に形成する製造方法であり、強度とじん
性が向上すると共に、表面処理層3との密着性に優れた
焼結体1を製造することができる。また、前記表面処理
層3をメッキ処理で形成する製造方法であり、表面処理
の前処理として封孔処理を行うことなく、密着性に優れ
たメッキを設けることができる。また、前記表面処理層
3をコーティング処理で形成した製造方法であり、表面
処理の前処理として封孔処理を行うことなく、密着性に
優れたコーティングを設けることができる。また、前記
表面処理層3をスチーム処理で形成した製造方法であ
り、表面処理の前処理として封孔処理を行うことなく、
密着性に優れたスチーム処理の被膜層を施すことができ
る。また、請求項9〜12の製造方法により製造してな
るから、密着性に優れた表面処理層を備えた焼結体1を
提供できる。
るものではなく、種々の変形実施が可能である。例え
ば、表面処理層は各種のものに適用可能であり、また、
表面処理層として例示したメッキの材質やコーティング
の材質も適宜選定可能である。
属を主成分とする原料粉末を成形すると共に焼結してな
る気密性を有する焼結体において、前記原料粉末が還元
鉄粉を40質量%以上含み、開放気孔率が1.5%以下
で、窒素を含むものであり、焼結時に窒素が核となって
鉄粉の結晶の成長が抑制されるため、強度とじん性が向
上すると共に、表面処理層との密着性に優れ、気密性及
び耐圧性を要求される製品に対応可能な焼結体を提供す
ることができる。
を主成分とする原料粉末を成形すると共に焼結してなる
ろう付け用焼結体において、前記原料粉末が鉄粉を含
み、開放気孔率が1.5%以下で、窒素量が60〜30
0ppmであり、焼結時に窒素が核となって鉄粉の結晶
の成長が抑制されるため、強度とじん性が向上すると共
に、表面処理層との密着性に優れ、気密性及び耐圧性を
要求される製品に対応可能な焼結体を提供することがで
きる。
に加えて、前記焼結体の窒素量が60〜300ppmで
あるから、焼結時における鉄粉結晶の成長を抑制するこ
とができ、表面処理層との密着性に優れた焼結体が得ら
れる。
効果に加えて、前記原料粉末が0.2〜1.0質量%の
リンを含むものであるから、一層、緻密な焼結体を得え
ることができる。
効果に加えて、前記焼結体の酸素量が100〜1000
ppmであるから、一層、緻密な焼結体を得えることが
できる。
効果に加えて、前記焼結体の平均結晶粒径が40μm以
下であるから、気密性に高いものとなる。
を達成するために、金属を主成分とする原料粉末を加圧
して圧粉体を形成した後、この圧粉体を雰囲気ガス中で
焼結し、開放気孔率が1.5%以下で気密性を有する焼
結体の製造方法であって、前記原料粉末が還元鉄粉を4
0質量%以上含み、前記雰囲気ガスが90容積%以上の
窒素を含む方法であるから、強度とじん性が向上すると
共に、表面処理層との密着性に優れた焼結体が得られ、
この焼結体は、開放気孔率が低く、気密性を必要とする
製品に対応可能となる。
の効果に加えて、前記原料粉末が0.2〜1.0質量%
のリンを含む方法であるから、一層、緻密な焼結体を得
ることができる。
フローチャート図である。
ラフである。
を拡大している。
を説明する断面図である。
Claims (8)
- 【請求項1】 金属を主成分とする原料粉末を成形する
と共に焼結してなる気密性を有する焼結体において、前
記原料粉末が還元鉄粉を40質量%以上含み、開放気孔
率が1.5%以下で、窒素を含むことを特徴とする気密
性を有する焼結体。 - 【請求項2】 金属を主成分とする原料粉末を成形する
と共に焼結してなるろう付け用焼結体において、前記原
料粉末が鉄粉を含み、開放気孔率が1.5%以下で、窒
素量が60〜300ppmであることを特徴とする気密
性を有する焼結体。 - 【請求項3】 前記焼結体の窒素量が60〜300pp
mであることを特徴とする請求項1記載の気密性を有す
る焼結体。 - 【請求項4】 前記原料粉末が0.2〜1.0質量%の
リンを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1
項に記載の気密性を有する焼結体。 - 【請求項5】 前記焼結体の酸素量が100〜1000
ppmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか
1項に記載の気密性を有する焼結体。 - 【請求項6】 前記焼結体の平均結晶粒径が40μm以
下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項
に記載の気密性を有する焼結体。 - 【請求項7】 金属を主成分とする原料粉末を加圧して
圧粉体を形成した後、この圧粉体を雰囲気ガス中で焼結
し、開放気孔率が1.5%以下で気密性を有する焼結体
の製造方法であって、前記原料粉末が還元鉄粉を40質
量%以上含み、前記雰囲気ガスが90容積%以上の窒素
を含むことを特徴とする気密性を有する焼結体の製造方
法。 - 【請求項8】 前記原料粉末が0.2〜1.0質量%の
リンを含むことを特徴とする請求項7記載の気密性を有
する焼結体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002195200A JP2003277895A (ja) | 2002-01-15 | 2002-07-03 | 気密性を有する焼結体とその製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002006723 | 2002-01-15 | ||
JP2002-6723 | 2002-01-15 | ||
JP2002195200A JP2003277895A (ja) | 2002-01-15 | 2002-07-03 | 気密性を有する焼結体とその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003277895A true JP2003277895A (ja) | 2003-10-02 |
Family
ID=29252899
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002195200A Abandoned JP2003277895A (ja) | 2002-01-15 | 2002-07-03 | 気密性を有する焼結体とその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003277895A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7726881B2 (en) * | 2004-08-05 | 2010-06-01 | Panasonic Corporation | Hydrodynamic bearing device |
-
2002
- 2002-07-03 JP JP2002195200A patent/JP2003277895A/ja not_active Abandoned
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US7726881B2 (en) * | 2004-08-05 | 2010-06-01 | Panasonic Corporation | Hydrodynamic bearing device |
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