JP2004035955A - 気密性を有する焼結体とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】気密性を要求される製品に対応可能な焼結体を提供する。
【解決手段】金属を主成分とする原料粉末を成形すると共に焼結してなる焼結体1において、原料粉末が還元鉄粉を含み、開放気孔率が12%以下、平均結晶粒径が40μm以下で、窒素を含む。焼結時に窒素が核となって鉄粉の結晶の成長が抑制されるため、焼結時に窒素が核となって鉄粉の結晶の成長が抑制されるため、強度とじん性が向上すると共に、表面処理層3との密着性に優れ、開放気孔率を12%以下とすることにより、封孔処理することなく、表面処理層3を設けることができ、この表面処理層3により気密性を確保することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】金属を主成分とする原料粉末を成形すると共に焼結してなる焼結体1において、原料粉末が還元鉄粉を含み、開放気孔率が12%以下、平均結晶粒径が40μm以下で、窒素を含む。焼結時に窒素が核となって鉄粉の結晶の成長が抑制されるため、焼結時に窒素が核となって鉄粉の結晶の成長が抑制されるため、強度とじん性が向上すると共に、表面処理層3との密着性に優れ、開放気孔率を12%以下とすることにより、封孔処理することなく、表面処理層3を設けることができ、この表面処理層3により気密性を確保することができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、気密性有する焼結体とその製造方法に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
粉末冶金では、金属を主原料とする原料粉末を圧縮して圧粉体を形成した後、この圧粉体を加熱して焼結し、これにより所定形状の焼結体を成形することが知られいる。
【0003】
このように原料粉末を圧縮成形した後、焼結する焼結体は多数の気孔を有する。このため、従来、一般に気密性及び耐圧性が要求される油圧ポンプや可変バルブタイミング機構のハウジング、エヤコンさらにはコンプレッサー等の構造部品に焼結体を用いる場合、Cuや樹脂含浸などの封孔処理を行っていた。また、耐食性や表面硬度を向上させる表面処理であるNi,Zn及びCrメッキ、TiN及びCrNコーティングを施す場合も、表面処理の前処理として、前記封孔処理が必要であった。
【0004】
このような問題を考慮して、特開昭55−122803号公報には、還元鉄粉と、リン量が0.5〜2.0重量%になる様リン化鉄粉を配合し、この粉末を圧縮成形した後に焼結してなる気密性を有する焼結部材が提案され、この焼結部材では、気密性及び耐圧性を要求される用途に使用する場合、焼結密度が7.0g/cm3以上であることが好ましいと記載されている。
【0005】
しかし、近年、耐圧機器の部品に対して高性能化及び小型化の要求が高まり、これに伴い、気密性及び表面処理層との高い密着性が要求されるが、従来の方法で製造した焼結体では、この要求に対応する気密性及び表面処理層との密着性を得ることが困難であった。
【0006】
また、従来技術を踏まえて、発明者はさらに気密性及び表面処理層との密着性を有する焼結体とその製造方法を得るため、各種の実験を行ったが、単に焼結部材の焼結密度を高めただけでは気密性及び表面処理層との密着性を効果的に向上することができないことが分かった。
【0007】
そこで、本発明は、気密性を有する焼結体とその製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の気密性を有する焼結体は、前記目的を達成するために、金属を主成分とする原料粉末を成形すると共に焼結してなる気密性を有する焼結体において、前記原料粉末が還元鉄粉を含み、開放気孔率が12%以下、平均結晶粒径が40μm以下で、窒素を含み、表面処理層を設けたものである。
【0009】
焼結時に窒素が核となって鉄粉の結晶の成長が抑制されるため、強度とじん性が向上すると共に、表面処理層との密着性に優れ、開放気孔率を12%以下とすることにより、封孔処理することなく、表面処理層を設けることができ、この表面処理層により気密性を確保することができる。
【0010】
特に、平均結晶粒径が40μm以下であるため、結晶粒界の割合が大となり、表面処理層との密着性を確保することができる。また、原料粉末には還元鉄粉以外にアドマイズ鉄粉(噴霧鉄粉)等を用いることができるが、少なくとも還元鉄粉を含むことにより焼結体の開放気多孔率を低減することができる。
【0011】
請求項2の発明は、金属を主成分とする原料粉末を成形すると共に焼結してなる気密性を有する焼結体において、前記原料粉末が鉄粉を含み、開放気孔率が12%以下で、窒素量が60〜300ppmであり、表面処理層を設けたものである。
【0012】
焼結時に窒素が核となって鉄結晶粒の成長が抑制されるため、強度とじん性が向上すると共に、表面処理層との密着性に優れ、開放気孔率を12%以下とすることにより、封孔処理することなく、表面処理層を設けることができ、この表面処理層により気密性を確保することができる。
【0013】
特に、焼結時における鉄粉結晶の成長を抑制するには、窒素量を60ppm以上とすることが好ましく、一方、窒素量が300ppmを超えると焼結の進行が窒化により妨げられ、急激に強度が低下するため、上記の窒素量とすることが好ましい。
【0014】
また、請求項3の発明は、請求項1の焼結体において、前記焼結体の窒素量が60〜300ppmであるものである。
【0015】
焼結時における鉄粉結晶の成長を抑制するには、窒素量を60ppm以上とすることが好ましく、一方、窒素量が300ppmを超えると焼結の進行が窒化により妨げられ、急激に強度が低下するため、上記の窒素量が好ましい。
【0016】
また、請求項4の発明は、請求項1又は2の焼結体において、前記表面処理層がスチーム処理により形成されたものである。
【0017】
スチーム処理により気密性を確保することができる。
【0018】
また、請求項5の発明は、請求項1又は2の焼結体において、前記表面処理層がメッキ処理により形成されたものである。
【0019】
メッキ処理により気密性を確保することができる。尚、メッキ処理の例としては、Ni,Zn及びCrメッキなどが挙げられる。
【0020】
また、請求項6の発明は、請求項1又は2の焼結体において、前記表面処理層がコーティング処理により形成されたものである。
【0021】
コーティング処理により気密性を確保することができる。尚、コーティング処理の例としては、TiN及びCrNコーティングなどが挙がられる。
【0022】
また、請求項7の発明は、請求項1〜6の焼結体において、前記原料粉末が0.2〜1.0質量%のリンを含むものである。
【0023】
リンを含むことにより、一層、緻密な焼結体が得られる。そして、リンが0.2質量%未満であると、緻密化の効果が得られず、一方、リンが1.0質量%を超えると、焼結体の強度とじん性が低下するため、含まれるリンは0.2〜1.0質量%とした。
【0024】
また、請求項8の発明は、請求項1〜7の焼結体において、前記焼結体の酸素量が100〜1000ppmである。
【0025】
焼結時における鉄粉結晶の成長を抑制するには、酸素量を100ppm以上とすることが好ましく、一方、酸素量が1000ppmを超えると焼結の進行が酸化により妨げられ、急激に強度が低下するため、上記の酸素量とすることが好ましい。
【0026】
請求項9の焼結体の製造方法は、前記目的を達成するために、金属を主成分とする原料粉末を加圧して圧粉体を形成した後、この圧粉体を雰囲気ガス中で焼結する気密性を有する焼結体の製造方法において、前記原料粉末が還元鉄粉を含み、前記雰囲気ガスが90容積%以上の窒素を含み、焼結後に気密性を有する表面処理層を形成する方法である。
【0027】
この方法を用いることにより、強度とじん性が向上すると共に、表面処理層との密着性に優れた焼結体が得られ、この焼結体は、表面処理層との密着性を備え、その表面処理層により気密性を備えたものとなる。
【0028】
また、請求項10の発明は、請求項9の焼結体の製造方法において、前記原料粉末が0.2〜1.0質量%のリンを含む方法である。
【0029】
リンを含むことにより、一層、緻密な焼結体が得られる。
【0030】
また、請求項11の発明は、請求項9の焼結体の製造方法において、前記表面処理層をスチーム処理で形成する方法である。
【0031】
この方法によれば、表面処理の前処理として封孔処理を行うことなく、密着性に優れたスチーム処理を施すことができる。
【0032】
また、請求項12の発明は、請求項9の焼結体の製造方法において、前記表面処理層をメッキ処理で形成する方法である。
【0033】
この方法によれば、表面処理の前処理として封孔処理を行うことなく、密着性に優れたメッキを設けることができる。
【0034】
また、請求項13の発明は、請求項9の焼結体の製造方法において、前記表面処理層をコーティング処理で形成する方法である。
【0035】
この方法によれば、表面処理の前処理として封孔処理を行うことなく、密着性に優れたコーティングを設けることができる。
【0036】
【発明の実施形態】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して説明する。図1〜図2は本発明の一実施形態を示す。
【0037】
まず、本発明の製造方法においては、図1のフローチャートに示すように、金属である鉄を主とした原料粉末を混合(S1)し、この原料粉末を圧縮して圧粉体を成形(S2)し、この圧粉体を焼結炉により焼結(S3)し、この後、表面処理(S4)を施して前記焼結体1が得られる。本発明では、原料粉末に所定量以上の還元鉄粉を使用することが好ましい。また、その還元鉄粉は各種方法により還元されたものを用いることができる。
【0038】
発明者は、気密性に優れた焼結体とその製造方法を得るため、各種の実験を行った結果、開放気孔率と表面処理層の密着性との関係から、表面処理層により気密性が得られ、且つ所定のその表面処理層との密着性が得られるものを見出して、本発明に至ったものである。特に、比較的、開放気孔率が高くても気密性を得ることを可能とした。
【0039】
以下に、それを証明する実験例の一例を説明する。
【0040】
実験例
原料粉末(Fe−0.6%P)における還元鉄粉の割合などを異なる複数の鉄系焼結体1を製造し、原料粉末に対して還元鉄粉を混合し、残りをアトマイズ鉄粉と、0.6質量%のリン(P)とする。尚、上記の原料粉末の他にC,Cu等を混合してもよい。
【0041】
そして、窒素雰囲気ガス(N2ベースガス:N2−3vol%H2)中や分解アンモニア雰囲気ガス中で焼結(S3)し、各焼結体1の開放気孔率を計測した。測定後、焼結体1に表面処理(S4)としてスチーム処理を施した。
【0042】
そして、焼結体1の平均結晶粒径,窒素量,酸素量の測定並びに焼結体の拡大組織写真の撮影を行い、さらに、密着性についても試験を行い、以下のことが分かった。
【0043】
焼結体の拡大組織写真により、鉄粉の結晶の成長が抑制されるていることが確認され、これは焼結(S2)時の雰囲気ガスに窒素雰囲気ガスを用いることにより、窒素が核となって鉄粉の結晶の拡大成長が抑制されたためである。この窒素量については、焼結時に窒素が核となって鉄結晶粒の成長が抑制するから、60ppm以上とすることが好ましく、一方、窒素量が300ppmを超えると焼結の進行が窒化により妨げられ、急激に強度が低下する。窒素量を70〜200ppmとすることが、緻密化と強度の面から一層好ましい。
【0044】
リンは緻密性に寄与するから、リンの量については、原料粉末には0.2〜1.0質量%のリンを含むことが好ましい。
【0045】
酸素は鉄結晶粒の成長が抑制に関連し、酸素量については、鉄結晶粒の成長が抑制するためには、酸素量が100ppm以上であることが好ましく、一方、酸素量が多くなると、酸化により強度が低下するから、酸素量は1000ppm以下が好ましく、さらに、酸素量を200〜700ppmとすることが、緻密化と強度の面から一層好ましい。
【0046】
平均結晶粒径は、表面処理層との密着性に大きく関係するから、平均結晶粒径は40μm以下とすることが好ましい。さらに、表面処理層との密着性を考慮すれば、平均結晶粒径を25μm以下することが一層好ましい。
【0047】
尚、本発明における開放気孔率は、JIS Z 2501(2000)の焼結金属材料−密度,含油率及び開放気孔率試験方法により算出される。この試験方法の概略について説明すると、装置としては、十分な測定容量をもち、精度0.01%以内の分析用天びんと、ソックスレー抽出器(JIS Z 2501の付図1に例示)と、試験片の質量を空中と液中(液体は一般的に水)とで図るためのジグ(JIS Z 2501の付図2〜付図4に例示)と、試験片とそれを図るジグとを十分に入れられるだけの大きさで、0.05〜0.10vol%の界面活性剤が入った蒸留水か、なるべくなら脱気された水が入っている容器と、真空含油装置と、密度の分かっている含浸油と、精度±0.5℃の温度計を用いる。試験片は、通常は、試験片全体を試験する。できない場合には、操作を容易にするために試験片を切断又は破壊して小片にしてもよい。部品の代表部分だけの試験にも適用できる。試験片の質量が5gに満たない場合には、試験片を幾つか集めて測定することによって、平均値を得る。試験片の表面には、汚れ、油、その他の異物付着があってはならない。試験片の表面には、過剰表面油が付着していてはならない。油吸収剤で余分な油を取り除くときは、気孔部内の油まで取り除かないように注意しなければならない。試験方法は、(7−1)試験片の最初の質量測定として、受け入れたままの試験片の質量をひょう量し、m1(試験片の最初の質量:単位g)を得る。尚、試験片が油を含んでいないことが分かっている場合、後述する「(7−2)溶剤による試験片の油除去」と「(7−3)乾燥試験片の質量測定」に記載した方法は省略できる。
【0048】
(7−2)溶剤による試験片の油除去として、溶剤に約3時間浸し、普通の密度で薄肉の試験片から脂を取り除くには、およそ10回の溶剤交換が必要である。肉厚で高密度の試験片に対しては、24時間まで浸す場合がある。気孔の溶剤を蒸発させた後の質量が一定になるまで抽出を続ける。試験片が一定質量になるまで乾燥する(最後の抽出での質量の減少が0.01%を超えてはならない)。乾燥温度は溶剤の沸点より20℃高く設定し、その後、デシケータ中で冷やしてから質量を計測する。油を完全に溶解する溶剤を選定する。それについては別途試験する必要がある。試験報告書には、使用した溶剤名を明記する。実際上では、油を取り除く他の方法が行われるかもしれない(例えば、保護雰囲気中で熱するような)。議論が起こる場合は、ソックスレー抽出法を参考としなければならない。(7−3)乾燥試験片の質量測定として、試験片を脱油,乾燥後にひょう量し、m2(脱脂,乾燥後の試験片の質量:単位g)を得る。
【0049】
完全含浸(開放気孔率の測定用)として、真空状態に耐える適当な容器中の油に試験片を浸す。最大70kPaまで、油表面の圧力を下げる。油表面に泡がでなくなるまで、真空処理を続ける。真空部の圧力を周囲の圧力になるまで戻す。10分間、試験片を油に浸し続けてもよい。油は、水と絶対に混ざり合っては成らないし、多孔質金属をぬらさなければならない。油から試験片を取り出し、油切りし、過剰表面油を除去する。この場合、試験片の表面には、過剰表面油が付着していてはならない。油吸収剤で余分な油を取り除くときは、気孔部内の油まで取り除かないように注意しなければならない。完全含浸した試験片の質量測定として、完全含浸後の試験片をひょう量し、m3(完全含浸後の試験片の質量:単位g)を得る。試験片の体積の測定として、試験片の体積Vを求めるために、空中でひょう量し、ma(含浸させた試験片と支持ジグ(例えば、つり針金)との空中質量:単位g)を得、その後、既知の密度ρWの水又は液体に浸してmW(含浸させた試験片と支持ジグ(例えば、つり針金)との水中質量:単位g)を得る。体積Vcm3を次の式によって算出する。
【0050】
V=(ma−mW)/ρW
多孔質金属では、使用した液体が気孔に吸収されていないことが重要である。このため、気孔を油で含浸する。また、一般に、ジグの質量と体積はできる限り小さくすることが望ましい。また、体積の測定において、試験片を細い針金でつり、試験片と針金との合計質量を空中と水中とでひょう量する。水中の針金の堆積で許容誤差を生じるが、試験片の体積に比べれば小さいので問題はない。この許容誤差は、水中質量をひょう量した後、水中での深さを正確にしてひょう量することによって把握できる。もう一つの求め方としては、針金の単位長さの体積が既知であれば、水中部分の長さを測ることである。試験片の表面と保持ジグから泡が全く出ていないことを確認する。水に0.05〜0.10vol%の界面活性剤を入れても差し支えない。試験片と水は同一温度とする。通常の試験温度は18〜22℃で、この範囲の純水の密度ρWは0.0998g/cm3である。
【0051】
上記の測定により得られた数値に基き、乾燥密度は次の式により求められる。
【0052】
乾燥密度(g/cm3)=m2/V
また、開放気孔率は下記の式により求められる。
【0053】
開放気孔率(vol%)=(m3−m2)/(ρ2V)×100
尚、ρ2は、含浸に使った油の密度である。
【0054】
本発明では、開放気孔率を12%以下に設定することを見出し、表面処理層と組み合わせることにより、気密性の確保を可能とした。そして、Niメッキ,ZnメッキやCrメッキ等の各種メッキによる表面処理層やTiNコーティング,CrNコーティング等の各種合金コーティングによる表面処理層やスチーム処理等による表面被膜である表面処理層などを用いることができ、焼結体1と表面処理層3との密着性について図面を参照して説明すると、図2は焼結体1の要部の断面説明図であり、焼結体1の表面に例えばスチーム処理などにより表面処理層3を設け、原料粉末を焼結してなる結晶粒4において、表面処理層3は境界すなわち結晶粒界5に入り込み、この結晶粒界5に入り込んだ表面処理層3は楔を打ち込んだような形状となり、表面処理層3が焼結体1の表面に密着する。すなわち、表面処理層3がスチーム処理によるものであれば、四三酸化鉄の被膜が密着状態で形成されていく。また、焼結体1の表面の気孔6でも、気孔6の結晶粒界5に表面処理層3が入り込み、この結晶粒界5に入り込んだ表面処理層3は楔を打ち込んだような形状となり、表面処理層3が焼結体1に密着する。そして、平均結晶粒径が小さい方が単位面積当りの結晶粒界5の数が多くなるから、密着性に優れたものとなる。
【0055】
尚、表面処理として、Zn、Cr、Ni、Agメッキや、TiN、CrN、TiC、TiCN、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)などのコーティングを行ってもよく、これらの表面処理層3と焼結体1とは所定の密着力が得られると共に、表面処理層3により気密性を確保することができる。
【0056】
また、原料粉末において、還元鉄粉は、開放気孔率の低減及び低コストの長所があり、一方、他の鉄粉に比べて、強度及び圧縮性が低く、アトマイズ鉄粉には、高強度、高圧縮性、低コストという長所があるが、開放気孔率の低減効果は低く、カルボニル鉄粉は、高強度、開放気孔率の低減の長所があるが、低圧縮性、高コストの短所があり、開放気孔率の低減及び低コストの面から、還元鉄粉を40質量%以上用いることが好ましい。
【0057】
このように本実施形態では、請求項1に対応して、金属を主成分とする原料粉末を成形すると共に焼結してなる気密性を有する焼結体において、前記原料粉末が還元鉄粉を含み、開放気孔率が12%以下、平均結晶粒径が40μm以下で、窒素を含み、表面処理層3を設けたものであるから、焼結時に窒素が核となって鉄粉の結晶の成長が抑制されるため、強度とじん性が向上すると共に、表面処理層3との密着性に優れ、開放気孔率を12%以下とすることにより、封孔処理することなく、表面処理層3を設けることができ、この表面処理層3により気密性を確保することができる。特に、平均結晶粒径が40μm以下であるため、結晶粒界の割合が大となり、表面処理層との密着性を確保することができる。また、原料粉末には還元鉄粉以外にアドマイズ鉄粉(噴霧鉄粉)等を用いることができるが、少なくとも還元鉄粉を含むことにより焼結体の開放気多孔率を低減することができる。
【0058】
このように本実施形態では、請求項2に対応して、金属を主成分とする原料粉末を成形すると共に焼結してなる気密性を有する焼結体において、前記原料粉末が鉄粉を含み、開放気孔率が12%以下で、窒素量が60〜300ppmであり、表面処理層を設けたものであるから、焼結時に窒素が核となって鉄結晶粒の成長が抑制されるため、強度とじん性が向上すると共に、表面処理層との密着性に優れ、開放気孔率を12%以下とすることにより、封孔処理することなく、表面処理層を設けることができ、この表面処理層により気密性を確保することができる。特に、焼結時における鉄粉結晶の成長を抑制するには、窒素量を60ppm以上とすることが好ましく、一方、窒素量が300ppmを超えると焼結の進行が窒化により妨げられ、急激に強度が低下するため、上記の窒素量とすることが好ましい。
【0059】
また、このように本実施形態では、請求項3に対応して、前記焼結体の窒素量が60〜300ppmであるものであるから、焼結時における鉄粉結晶の成長を抑制し、表面処理層3との密着性に優れた焼結体1を得ることができる。
【0060】
また、このように本実施形態では、請求項4に対応して、表面処理層3がスチーム処理により形成されたものであるから、スチーム処理により気密性を確保することができる。
【0061】
また、このように本実施形態では、請求項5に対応して、表面処理層3がメッキ処理により形成されたものであるから、メッキ処理により気密性を確保することができる。
【0062】
また、請求項6の発明は、請求項1又は2の焼結体において、表面処理層3がコーティング処理により形成されたものであるから、コーティング処理により気密性を確保することができる。
【0063】
また、このように本実施形態では、請求項7に対応して、前記原料粉末が0.2〜1.0質量%のリンを含むものであるから、緻密で表面処理層3との密着性を備えた焼結体1を得ることができる。
【0064】
また、このように本実施形態では、請求項8に対応して、焼結体1の酸素量が100〜1000ppmであるから、焼結時における鉄結晶粒の成長を抑制し、開放気孔率の低い焼結体1を得ることができる。
【0065】
このように本実施形態では、請求項9に対応して、金属を主成分とする原料粉末を加圧して圧粉体を形成した後、この圧粉体を雰囲気ガス中で焼結する気密性を有する焼結体1の製造方法において、前記原料粉末が還元鉄粉を含み、前記雰囲気ガスが90容積%以上の窒素を含み、焼結後に気密性を有する表面処理層3を形成する方法であるから、強度とじん性が向上すると共に、表面処理層3との密着性に優れた焼結体1が得られ、この焼結体1は、表面処理層3との密着性を備え、その表面処理層3により気密性を備えたものとなる。
【0066】
また、このように本実施形態では、請求項10に対応して、前記原料粉末が0.2〜1.0質量%のリンを含む方法であるから、一層、緻密な焼結体1が得られる。
【0067】
また、このように本実施形態では、請求項11に対応して、表面処理層3をスチーム処理で形成するから、表面処理の前処理として封孔処理を行うことなく、密着性に優れたスチーム処理を施すことができる。
【0068】
また、このように本実施形態では、請求項12に対応して、表面処理層3をメッキ処理で形成するから、表面処理の前処理として封孔処理を行うことなく、密着性に優れたメッキを設けることができる。
【0069】
また、このように本実施形態では、請求項13に対応して、表面処理層3をコーティング処理で形成するから、表面処理の前処理として封孔処理を行うことなく、密着性に優れたコーティングを設けることができる。
【0070】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。例えば、表面処理層は各種のものに適用可能であり、また、表面処理層として例示したメッキの材質やコーティングの材質も適宜選定可能である。
【0071】
【発明の効果】
請求項1の気密性を有する焼結体は、原料粉末が還元鉄粉を含み、開放気孔率が12%以下、平均結晶粒径が40μm以下で、窒素を含み、表面処理層を設けたものであり、封孔処理することなく、表面処理層を設けることができ、この表面処理層により気密性を確保することができる。
【0072】
請求項2の気密性を有する焼結体は、原料粉末が鉄粉を含み、開放気孔率が12%以下で、窒素量が60〜300ppmであり、表面処理層を設けたものであり、封孔処理することなく、表面処理層を設けることができ、この表面処理層により気密性を確保することができる。
【0073】
また、請求項3の発明は、請求項1の効果に加えて、前記焼結体の窒素量が60〜300ppmであるものであり、焼結時における鉄粉結晶の成長を抑制することができ、表面処理層との密着性に優れた焼結体が得られる。
【0074】
また、請求項4の発明は、請求項1又は2の効果に加えて、前記表面処理層がスチーム処理により形成されたものであり、スチーム処理により気密性を確保することができる。
【0075】
また、請求項5の発明は、請求項1又は2の効果に加えて、前記表面処理層がメッキ処理により形成されたものであり、メッキ処理により気密性を確保することができる。
【0076】
また、請求項6の発明は、請求項1又は2の効果に加えて、前記表面処理層がコーティング処理により形成されたものであり、コーティング処理により気密性を確保することができる。
【0077】
また、請求項7の発明は、請求項1〜6の効果に加えて、前記原料粉末が0.2〜1.0質量%のリンを含むものであり、一層、緻密な焼結体が得られる。
【0078】
また、請求項8の発明は、請求項1〜7の効果に加えて、前記焼結体の酸素量が100〜1000ppmであり、一層、緻密な焼結体を得えることができる。
【0079】
請求項9の焼結体の製造方法は、原料粉末が還元鉄粉を含み、前記雰囲気ガスが90容積%以上の窒素を含み、焼結後に気密性を有する表面処理層を形成する方法であり、強度とじん性が向上すると共に、表面処理層との密着性に優れた焼結体が得られ、この焼結体は、表面処理層との密着性を備え、その表面処理層により気密性を備えたものとなる。
【0080】
また、請求項10の発明は、請求項9の効果に加えて、前記原料粉末が0.2〜1.0質量%のリンを含む方法であり、一層、緻密な焼結体が得られる。
【0081】
また、請求項11の発明は、請求項9の効果に加えて、前記表面処理層をスチーム処理で形成するから、表面処理の前処理として封孔処理を行うことなく、密着性に優れたスチーム処理を施すことができる。
【0082】
また、請求項12の発明は、請求項9の効果に加えて、前記表面処理層をメッキ処理で形成するから、表面処理の前処理として封孔処理を行うことなく、密着性に優れたメッキを設けることができる。
【0083】
また、請求項13の発明は、請求項9の効果に加えて、前記表面処理層をコーティング処理で形成するから、表面処理の前処理として封孔処理を行うことなく、密着性に優れたコーティングを設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す製造方法を説明するフローチャート図である。
【図2】同上、焼結体の要部の断面説明図であり、一部を拡大している。
【符号の説明】
1 焼結体
3 表面処理層
【発明の属する技術分野】
本発明は、気密性有する焼結体とその製造方法に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
粉末冶金では、金属を主原料とする原料粉末を圧縮して圧粉体を形成した後、この圧粉体を加熱して焼結し、これにより所定形状の焼結体を成形することが知られいる。
【0003】
このように原料粉末を圧縮成形した後、焼結する焼結体は多数の気孔を有する。このため、従来、一般に気密性及び耐圧性が要求される油圧ポンプや可変バルブタイミング機構のハウジング、エヤコンさらにはコンプレッサー等の構造部品に焼結体を用いる場合、Cuや樹脂含浸などの封孔処理を行っていた。また、耐食性や表面硬度を向上させる表面処理であるNi,Zn及びCrメッキ、TiN及びCrNコーティングを施す場合も、表面処理の前処理として、前記封孔処理が必要であった。
【0004】
このような問題を考慮して、特開昭55−122803号公報には、還元鉄粉と、リン量が0.5〜2.0重量%になる様リン化鉄粉を配合し、この粉末を圧縮成形した後に焼結してなる気密性を有する焼結部材が提案され、この焼結部材では、気密性及び耐圧性を要求される用途に使用する場合、焼結密度が7.0g/cm3以上であることが好ましいと記載されている。
【0005】
しかし、近年、耐圧機器の部品に対して高性能化及び小型化の要求が高まり、これに伴い、気密性及び表面処理層との高い密着性が要求されるが、従来の方法で製造した焼結体では、この要求に対応する気密性及び表面処理層との密着性を得ることが困難であった。
【0006】
また、従来技術を踏まえて、発明者はさらに気密性及び表面処理層との密着性を有する焼結体とその製造方法を得るため、各種の実験を行ったが、単に焼結部材の焼結密度を高めただけでは気密性及び表面処理層との密着性を効果的に向上することができないことが分かった。
【0007】
そこで、本発明は、気密性を有する焼結体とその製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の気密性を有する焼結体は、前記目的を達成するために、金属を主成分とする原料粉末を成形すると共に焼結してなる気密性を有する焼結体において、前記原料粉末が還元鉄粉を含み、開放気孔率が12%以下、平均結晶粒径が40μm以下で、窒素を含み、表面処理層を設けたものである。
【0009】
焼結時に窒素が核となって鉄粉の結晶の成長が抑制されるため、強度とじん性が向上すると共に、表面処理層との密着性に優れ、開放気孔率を12%以下とすることにより、封孔処理することなく、表面処理層を設けることができ、この表面処理層により気密性を確保することができる。
【0010】
特に、平均結晶粒径が40μm以下であるため、結晶粒界の割合が大となり、表面処理層との密着性を確保することができる。また、原料粉末には還元鉄粉以外にアドマイズ鉄粉(噴霧鉄粉)等を用いることができるが、少なくとも還元鉄粉を含むことにより焼結体の開放気多孔率を低減することができる。
【0011】
請求項2の発明は、金属を主成分とする原料粉末を成形すると共に焼結してなる気密性を有する焼結体において、前記原料粉末が鉄粉を含み、開放気孔率が12%以下で、窒素量が60〜300ppmであり、表面処理層を設けたものである。
【0012】
焼結時に窒素が核となって鉄結晶粒の成長が抑制されるため、強度とじん性が向上すると共に、表面処理層との密着性に優れ、開放気孔率を12%以下とすることにより、封孔処理することなく、表面処理層を設けることができ、この表面処理層により気密性を確保することができる。
【0013】
特に、焼結時における鉄粉結晶の成長を抑制するには、窒素量を60ppm以上とすることが好ましく、一方、窒素量が300ppmを超えると焼結の進行が窒化により妨げられ、急激に強度が低下するため、上記の窒素量とすることが好ましい。
【0014】
また、請求項3の発明は、請求項1の焼結体において、前記焼結体の窒素量が60〜300ppmであるものである。
【0015】
焼結時における鉄粉結晶の成長を抑制するには、窒素量を60ppm以上とすることが好ましく、一方、窒素量が300ppmを超えると焼結の進行が窒化により妨げられ、急激に強度が低下するため、上記の窒素量が好ましい。
【0016】
また、請求項4の発明は、請求項1又は2の焼結体において、前記表面処理層がスチーム処理により形成されたものである。
【0017】
スチーム処理により気密性を確保することができる。
【0018】
また、請求項5の発明は、請求項1又は2の焼結体において、前記表面処理層がメッキ処理により形成されたものである。
【0019】
メッキ処理により気密性を確保することができる。尚、メッキ処理の例としては、Ni,Zn及びCrメッキなどが挙げられる。
【0020】
また、請求項6の発明は、請求項1又は2の焼結体において、前記表面処理層がコーティング処理により形成されたものである。
【0021】
コーティング処理により気密性を確保することができる。尚、コーティング処理の例としては、TiN及びCrNコーティングなどが挙がられる。
【0022】
また、請求項7の発明は、請求項1〜6の焼結体において、前記原料粉末が0.2〜1.0質量%のリンを含むものである。
【0023】
リンを含むことにより、一層、緻密な焼結体が得られる。そして、リンが0.2質量%未満であると、緻密化の効果が得られず、一方、リンが1.0質量%を超えると、焼結体の強度とじん性が低下するため、含まれるリンは0.2〜1.0質量%とした。
【0024】
また、請求項8の発明は、請求項1〜7の焼結体において、前記焼結体の酸素量が100〜1000ppmである。
【0025】
焼結時における鉄粉結晶の成長を抑制するには、酸素量を100ppm以上とすることが好ましく、一方、酸素量が1000ppmを超えると焼結の進行が酸化により妨げられ、急激に強度が低下するため、上記の酸素量とすることが好ましい。
【0026】
請求項9の焼結体の製造方法は、前記目的を達成するために、金属を主成分とする原料粉末を加圧して圧粉体を形成した後、この圧粉体を雰囲気ガス中で焼結する気密性を有する焼結体の製造方法において、前記原料粉末が還元鉄粉を含み、前記雰囲気ガスが90容積%以上の窒素を含み、焼結後に気密性を有する表面処理層を形成する方法である。
【0027】
この方法を用いることにより、強度とじん性が向上すると共に、表面処理層との密着性に優れた焼結体が得られ、この焼結体は、表面処理層との密着性を備え、その表面処理層により気密性を備えたものとなる。
【0028】
また、請求項10の発明は、請求項9の焼結体の製造方法において、前記原料粉末が0.2〜1.0質量%のリンを含む方法である。
【0029】
リンを含むことにより、一層、緻密な焼結体が得られる。
【0030】
また、請求項11の発明は、請求項9の焼結体の製造方法において、前記表面処理層をスチーム処理で形成する方法である。
【0031】
この方法によれば、表面処理の前処理として封孔処理を行うことなく、密着性に優れたスチーム処理を施すことができる。
【0032】
また、請求項12の発明は、請求項9の焼結体の製造方法において、前記表面処理層をメッキ処理で形成する方法である。
【0033】
この方法によれば、表面処理の前処理として封孔処理を行うことなく、密着性に優れたメッキを設けることができる。
【0034】
また、請求項13の発明は、請求項9の焼結体の製造方法において、前記表面処理層をコーティング処理で形成する方法である。
【0035】
この方法によれば、表面処理の前処理として封孔処理を行うことなく、密着性に優れたコーティングを設けることができる。
【0036】
【発明の実施形態】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して説明する。図1〜図2は本発明の一実施形態を示す。
【0037】
まず、本発明の製造方法においては、図1のフローチャートに示すように、金属である鉄を主とした原料粉末を混合(S1)し、この原料粉末を圧縮して圧粉体を成形(S2)し、この圧粉体を焼結炉により焼結(S3)し、この後、表面処理(S4)を施して前記焼結体1が得られる。本発明では、原料粉末に所定量以上の還元鉄粉を使用することが好ましい。また、その還元鉄粉は各種方法により還元されたものを用いることができる。
【0038】
発明者は、気密性に優れた焼結体とその製造方法を得るため、各種の実験を行った結果、開放気孔率と表面処理層の密着性との関係から、表面処理層により気密性が得られ、且つ所定のその表面処理層との密着性が得られるものを見出して、本発明に至ったものである。特に、比較的、開放気孔率が高くても気密性を得ることを可能とした。
【0039】
以下に、それを証明する実験例の一例を説明する。
【0040】
実験例
原料粉末(Fe−0.6%P)における還元鉄粉の割合などを異なる複数の鉄系焼結体1を製造し、原料粉末に対して還元鉄粉を混合し、残りをアトマイズ鉄粉と、0.6質量%のリン(P)とする。尚、上記の原料粉末の他にC,Cu等を混合してもよい。
【0041】
そして、窒素雰囲気ガス(N2ベースガス:N2−3vol%H2)中や分解アンモニア雰囲気ガス中で焼結(S3)し、各焼結体1の開放気孔率を計測した。測定後、焼結体1に表面処理(S4)としてスチーム処理を施した。
【0042】
そして、焼結体1の平均結晶粒径,窒素量,酸素量の測定並びに焼結体の拡大組織写真の撮影を行い、さらに、密着性についても試験を行い、以下のことが分かった。
【0043】
焼結体の拡大組織写真により、鉄粉の結晶の成長が抑制されるていることが確認され、これは焼結(S2)時の雰囲気ガスに窒素雰囲気ガスを用いることにより、窒素が核となって鉄粉の結晶の拡大成長が抑制されたためである。この窒素量については、焼結時に窒素が核となって鉄結晶粒の成長が抑制するから、60ppm以上とすることが好ましく、一方、窒素量が300ppmを超えると焼結の進行が窒化により妨げられ、急激に強度が低下する。窒素量を70〜200ppmとすることが、緻密化と強度の面から一層好ましい。
【0044】
リンは緻密性に寄与するから、リンの量については、原料粉末には0.2〜1.0質量%のリンを含むことが好ましい。
【0045】
酸素は鉄結晶粒の成長が抑制に関連し、酸素量については、鉄結晶粒の成長が抑制するためには、酸素量が100ppm以上であることが好ましく、一方、酸素量が多くなると、酸化により強度が低下するから、酸素量は1000ppm以下が好ましく、さらに、酸素量を200〜700ppmとすることが、緻密化と強度の面から一層好ましい。
【0046】
平均結晶粒径は、表面処理層との密着性に大きく関係するから、平均結晶粒径は40μm以下とすることが好ましい。さらに、表面処理層との密着性を考慮すれば、平均結晶粒径を25μm以下することが一層好ましい。
【0047】
尚、本発明における開放気孔率は、JIS Z 2501(2000)の焼結金属材料−密度,含油率及び開放気孔率試験方法により算出される。この試験方法の概略について説明すると、装置としては、十分な測定容量をもち、精度0.01%以内の分析用天びんと、ソックスレー抽出器(JIS Z 2501の付図1に例示)と、試験片の質量を空中と液中(液体は一般的に水)とで図るためのジグ(JIS Z 2501の付図2〜付図4に例示)と、試験片とそれを図るジグとを十分に入れられるだけの大きさで、0.05〜0.10vol%の界面活性剤が入った蒸留水か、なるべくなら脱気された水が入っている容器と、真空含油装置と、密度の分かっている含浸油と、精度±0.5℃の温度計を用いる。試験片は、通常は、試験片全体を試験する。できない場合には、操作を容易にするために試験片を切断又は破壊して小片にしてもよい。部品の代表部分だけの試験にも適用できる。試験片の質量が5gに満たない場合には、試験片を幾つか集めて測定することによって、平均値を得る。試験片の表面には、汚れ、油、その他の異物付着があってはならない。試験片の表面には、過剰表面油が付着していてはならない。油吸収剤で余分な油を取り除くときは、気孔部内の油まで取り除かないように注意しなければならない。試験方法は、(7−1)試験片の最初の質量測定として、受け入れたままの試験片の質量をひょう量し、m1(試験片の最初の質量:単位g)を得る。尚、試験片が油を含んでいないことが分かっている場合、後述する「(7−2)溶剤による試験片の油除去」と「(7−3)乾燥試験片の質量測定」に記載した方法は省略できる。
【0048】
(7−2)溶剤による試験片の油除去として、溶剤に約3時間浸し、普通の密度で薄肉の試験片から脂を取り除くには、およそ10回の溶剤交換が必要である。肉厚で高密度の試験片に対しては、24時間まで浸す場合がある。気孔の溶剤を蒸発させた後の質量が一定になるまで抽出を続ける。試験片が一定質量になるまで乾燥する(最後の抽出での質量の減少が0.01%を超えてはならない)。乾燥温度は溶剤の沸点より20℃高く設定し、その後、デシケータ中で冷やしてから質量を計測する。油を完全に溶解する溶剤を選定する。それについては別途試験する必要がある。試験報告書には、使用した溶剤名を明記する。実際上では、油を取り除く他の方法が行われるかもしれない(例えば、保護雰囲気中で熱するような)。議論が起こる場合は、ソックスレー抽出法を参考としなければならない。(7−3)乾燥試験片の質量測定として、試験片を脱油,乾燥後にひょう量し、m2(脱脂,乾燥後の試験片の質量:単位g)を得る。
【0049】
完全含浸(開放気孔率の測定用)として、真空状態に耐える適当な容器中の油に試験片を浸す。最大70kPaまで、油表面の圧力を下げる。油表面に泡がでなくなるまで、真空処理を続ける。真空部の圧力を周囲の圧力になるまで戻す。10分間、試験片を油に浸し続けてもよい。油は、水と絶対に混ざり合っては成らないし、多孔質金属をぬらさなければならない。油から試験片を取り出し、油切りし、過剰表面油を除去する。この場合、試験片の表面には、過剰表面油が付着していてはならない。油吸収剤で余分な油を取り除くときは、気孔部内の油まで取り除かないように注意しなければならない。完全含浸した試験片の質量測定として、完全含浸後の試験片をひょう量し、m3(完全含浸後の試験片の質量:単位g)を得る。試験片の体積の測定として、試験片の体積Vを求めるために、空中でひょう量し、ma(含浸させた試験片と支持ジグ(例えば、つり針金)との空中質量:単位g)を得、その後、既知の密度ρWの水又は液体に浸してmW(含浸させた試験片と支持ジグ(例えば、つり針金)との水中質量:単位g)を得る。体積Vcm3を次の式によって算出する。
【0050】
V=(ma−mW)/ρW
多孔質金属では、使用した液体が気孔に吸収されていないことが重要である。このため、気孔を油で含浸する。また、一般に、ジグの質量と体積はできる限り小さくすることが望ましい。また、体積の測定において、試験片を細い針金でつり、試験片と針金との合計質量を空中と水中とでひょう量する。水中の針金の堆積で許容誤差を生じるが、試験片の体積に比べれば小さいので問題はない。この許容誤差は、水中質量をひょう量した後、水中での深さを正確にしてひょう量することによって把握できる。もう一つの求め方としては、針金の単位長さの体積が既知であれば、水中部分の長さを測ることである。試験片の表面と保持ジグから泡が全く出ていないことを確認する。水に0.05〜0.10vol%の界面活性剤を入れても差し支えない。試験片と水は同一温度とする。通常の試験温度は18〜22℃で、この範囲の純水の密度ρWは0.0998g/cm3である。
【0051】
上記の測定により得られた数値に基き、乾燥密度は次の式により求められる。
【0052】
乾燥密度(g/cm3)=m2/V
また、開放気孔率は下記の式により求められる。
【0053】
開放気孔率(vol%)=(m3−m2)/(ρ2V)×100
尚、ρ2は、含浸に使った油の密度である。
【0054】
本発明では、開放気孔率を12%以下に設定することを見出し、表面処理層と組み合わせることにより、気密性の確保を可能とした。そして、Niメッキ,ZnメッキやCrメッキ等の各種メッキによる表面処理層やTiNコーティング,CrNコーティング等の各種合金コーティングによる表面処理層やスチーム処理等による表面被膜である表面処理層などを用いることができ、焼結体1と表面処理層3との密着性について図面を参照して説明すると、図2は焼結体1の要部の断面説明図であり、焼結体1の表面に例えばスチーム処理などにより表面処理層3を設け、原料粉末を焼結してなる結晶粒4において、表面処理層3は境界すなわち結晶粒界5に入り込み、この結晶粒界5に入り込んだ表面処理層3は楔を打ち込んだような形状となり、表面処理層3が焼結体1の表面に密着する。すなわち、表面処理層3がスチーム処理によるものであれば、四三酸化鉄の被膜が密着状態で形成されていく。また、焼結体1の表面の気孔6でも、気孔6の結晶粒界5に表面処理層3が入り込み、この結晶粒界5に入り込んだ表面処理層3は楔を打ち込んだような形状となり、表面処理層3が焼結体1に密着する。そして、平均結晶粒径が小さい方が単位面積当りの結晶粒界5の数が多くなるから、密着性に優れたものとなる。
【0055】
尚、表面処理として、Zn、Cr、Ni、Agメッキや、TiN、CrN、TiC、TiCN、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)などのコーティングを行ってもよく、これらの表面処理層3と焼結体1とは所定の密着力が得られると共に、表面処理層3により気密性を確保することができる。
【0056】
また、原料粉末において、還元鉄粉は、開放気孔率の低減及び低コストの長所があり、一方、他の鉄粉に比べて、強度及び圧縮性が低く、アトマイズ鉄粉には、高強度、高圧縮性、低コストという長所があるが、開放気孔率の低減効果は低く、カルボニル鉄粉は、高強度、開放気孔率の低減の長所があるが、低圧縮性、高コストの短所があり、開放気孔率の低減及び低コストの面から、還元鉄粉を40質量%以上用いることが好ましい。
【0057】
このように本実施形態では、請求項1に対応して、金属を主成分とする原料粉末を成形すると共に焼結してなる気密性を有する焼結体において、前記原料粉末が還元鉄粉を含み、開放気孔率が12%以下、平均結晶粒径が40μm以下で、窒素を含み、表面処理層3を設けたものであるから、焼結時に窒素が核となって鉄粉の結晶の成長が抑制されるため、強度とじん性が向上すると共に、表面処理層3との密着性に優れ、開放気孔率を12%以下とすることにより、封孔処理することなく、表面処理層3を設けることができ、この表面処理層3により気密性を確保することができる。特に、平均結晶粒径が40μm以下であるため、結晶粒界の割合が大となり、表面処理層との密着性を確保することができる。また、原料粉末には還元鉄粉以外にアドマイズ鉄粉(噴霧鉄粉)等を用いることができるが、少なくとも還元鉄粉を含むことにより焼結体の開放気多孔率を低減することができる。
【0058】
このように本実施形態では、請求項2に対応して、金属を主成分とする原料粉末を成形すると共に焼結してなる気密性を有する焼結体において、前記原料粉末が鉄粉を含み、開放気孔率が12%以下で、窒素量が60〜300ppmであり、表面処理層を設けたものであるから、焼結時に窒素が核となって鉄結晶粒の成長が抑制されるため、強度とじん性が向上すると共に、表面処理層との密着性に優れ、開放気孔率を12%以下とすることにより、封孔処理することなく、表面処理層を設けることができ、この表面処理層により気密性を確保することができる。特に、焼結時における鉄粉結晶の成長を抑制するには、窒素量を60ppm以上とすることが好ましく、一方、窒素量が300ppmを超えると焼結の進行が窒化により妨げられ、急激に強度が低下するため、上記の窒素量とすることが好ましい。
【0059】
また、このように本実施形態では、請求項3に対応して、前記焼結体の窒素量が60〜300ppmであるものであるから、焼結時における鉄粉結晶の成長を抑制し、表面処理層3との密着性に優れた焼結体1を得ることができる。
【0060】
また、このように本実施形態では、請求項4に対応して、表面処理層3がスチーム処理により形成されたものであるから、スチーム処理により気密性を確保することができる。
【0061】
また、このように本実施形態では、請求項5に対応して、表面処理層3がメッキ処理により形成されたものであるから、メッキ処理により気密性を確保することができる。
【0062】
また、請求項6の発明は、請求項1又は2の焼結体において、表面処理層3がコーティング処理により形成されたものであるから、コーティング処理により気密性を確保することができる。
【0063】
また、このように本実施形態では、請求項7に対応して、前記原料粉末が0.2〜1.0質量%のリンを含むものであるから、緻密で表面処理層3との密着性を備えた焼結体1を得ることができる。
【0064】
また、このように本実施形態では、請求項8に対応して、焼結体1の酸素量が100〜1000ppmであるから、焼結時における鉄結晶粒の成長を抑制し、開放気孔率の低い焼結体1を得ることができる。
【0065】
このように本実施形態では、請求項9に対応して、金属を主成分とする原料粉末を加圧して圧粉体を形成した後、この圧粉体を雰囲気ガス中で焼結する気密性を有する焼結体1の製造方法において、前記原料粉末が還元鉄粉を含み、前記雰囲気ガスが90容積%以上の窒素を含み、焼結後に気密性を有する表面処理層3を形成する方法であるから、強度とじん性が向上すると共に、表面処理層3との密着性に優れた焼結体1が得られ、この焼結体1は、表面処理層3との密着性を備え、その表面処理層3により気密性を備えたものとなる。
【0066】
また、このように本実施形態では、請求項10に対応して、前記原料粉末が0.2〜1.0質量%のリンを含む方法であるから、一層、緻密な焼結体1が得られる。
【0067】
また、このように本実施形態では、請求項11に対応して、表面処理層3をスチーム処理で形成するから、表面処理の前処理として封孔処理を行うことなく、密着性に優れたスチーム処理を施すことができる。
【0068】
また、このように本実施形態では、請求項12に対応して、表面処理層3をメッキ処理で形成するから、表面処理の前処理として封孔処理を行うことなく、密着性に優れたメッキを設けることができる。
【0069】
また、このように本実施形態では、請求項13に対応して、表面処理層3をコーティング処理で形成するから、表面処理の前処理として封孔処理を行うことなく、密着性に優れたコーティングを設けることができる。
【0070】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。例えば、表面処理層は各種のものに適用可能であり、また、表面処理層として例示したメッキの材質やコーティングの材質も適宜選定可能である。
【0071】
【発明の効果】
請求項1の気密性を有する焼結体は、原料粉末が還元鉄粉を含み、開放気孔率が12%以下、平均結晶粒径が40μm以下で、窒素を含み、表面処理層を設けたものであり、封孔処理することなく、表面処理層を設けることができ、この表面処理層により気密性を確保することができる。
【0072】
請求項2の気密性を有する焼結体は、原料粉末が鉄粉を含み、開放気孔率が12%以下で、窒素量が60〜300ppmであり、表面処理層を設けたものであり、封孔処理することなく、表面処理層を設けることができ、この表面処理層により気密性を確保することができる。
【0073】
また、請求項3の発明は、請求項1の効果に加えて、前記焼結体の窒素量が60〜300ppmであるものであり、焼結時における鉄粉結晶の成長を抑制することができ、表面処理層との密着性に優れた焼結体が得られる。
【0074】
また、請求項4の発明は、請求項1又は2の効果に加えて、前記表面処理層がスチーム処理により形成されたものであり、スチーム処理により気密性を確保することができる。
【0075】
また、請求項5の発明は、請求項1又は2の効果に加えて、前記表面処理層がメッキ処理により形成されたものであり、メッキ処理により気密性を確保することができる。
【0076】
また、請求項6の発明は、請求項1又は2の効果に加えて、前記表面処理層がコーティング処理により形成されたものであり、コーティング処理により気密性を確保することができる。
【0077】
また、請求項7の発明は、請求項1〜6の効果に加えて、前記原料粉末が0.2〜1.0質量%のリンを含むものであり、一層、緻密な焼結体が得られる。
【0078】
また、請求項8の発明は、請求項1〜7の効果に加えて、前記焼結体の酸素量が100〜1000ppmであり、一層、緻密な焼結体を得えることができる。
【0079】
請求項9の焼結体の製造方法は、原料粉末が還元鉄粉を含み、前記雰囲気ガスが90容積%以上の窒素を含み、焼結後に気密性を有する表面処理層を形成する方法であり、強度とじん性が向上すると共に、表面処理層との密着性に優れた焼結体が得られ、この焼結体は、表面処理層との密着性を備え、その表面処理層により気密性を備えたものとなる。
【0080】
また、請求項10の発明は、請求項9の効果に加えて、前記原料粉末が0.2〜1.0質量%のリンを含む方法であり、一層、緻密な焼結体が得られる。
【0081】
また、請求項11の発明は、請求項9の効果に加えて、前記表面処理層をスチーム処理で形成するから、表面処理の前処理として封孔処理を行うことなく、密着性に優れたスチーム処理を施すことができる。
【0082】
また、請求項12の発明は、請求項9の効果に加えて、前記表面処理層をメッキ処理で形成するから、表面処理の前処理として封孔処理を行うことなく、密着性に優れたメッキを設けることができる。
【0083】
また、請求項13の発明は、請求項9の効果に加えて、前記表面処理層をコーティング処理で形成するから、表面処理の前処理として封孔処理を行うことなく、密着性に優れたコーティングを設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す製造方法を説明するフローチャート図である。
【図2】同上、焼結体の要部の断面説明図であり、一部を拡大している。
【符号の説明】
1 焼結体
3 表面処理層
Claims (13)
- 金属を主成分とする原料粉末を成形すると共に焼結してなる気密性を有する焼結体において、前記原料粉末が還元鉄粉を含み、開放気孔率が12%以下、平均結晶粒径が40μm以下で、窒素を含み、気密性を有する表面処理層を設けたことを特徴とする気密性を有する焼結体。
- 金属を主成分とする原料粉末を成形すると共に焼結してなる気密性を有する焼結体において、前記原料粉末が鉄粉を含み、開放気孔率が12%以下で、窒素量が60〜300ppmであり、気密性を有する表面処理層を設けたことを特徴とする気密性を有する焼結体。
- 前記焼結体の窒素量が60〜300ppmであることを特徴とする請求項1記載の気密性を有する焼結体。
- 前記表面処理層がスチーム処理により形成されたものであることを特徴とする請求項1又は2記載の気密性を有する焼結体。
- 前記表面処理層がメッキ処理により形成されたものであることを特徴とする請求項1又は2記載の気密性を有する焼結体。
- 前記表面処理層がコーティング処理により形成されたものであることを特徴とする請求項1又は2記載の気密性を有する焼結体。
- 前記原料粉末が0.2〜1.0質量%のリンを含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の気密性を有する焼結体。
- 前記焼結体の酸素量が100〜1000ppmであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の気密性を有する焼結体。
- 金属を主成分とする原料粉末を加圧して圧粉体を形成した後、この圧粉体を雰囲気ガス中で焼結する気密性を有する焼結体の製造方法において、前記原料粉末が還元鉄粉を含み、前記雰囲気ガスが90容積%以上の窒素を含み、焼結後に気密性を有する表面処理層を形成することを特徴とする気密性を有する焼結体の製造方法。
- 前記原料粉末が0.2〜1.0質量%のリンを含むことを特徴とする請求項9記載の気密性を有する焼結体の製造方法。
- 前記表面処理層をスチーム処理で形成することを特徴とする請求項9記載の表面処理層との密着性を有する焼結体の製造方法。
- 前記表面処理層をメッキ処理で形成することを特徴とする請求項9記載の表面処理層との密着性を有する焼結体の製造方法。
- 前記表面処理層をコーティング処理で形成することを特徴とする請求項9記載の表面処理層との密着性を有する焼結体の製造方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN100395057C (zh) * | 2005-03-05 | 2008-06-18 | 富准精密工业(深圳)有限公司 | 多孔结构的制造方法 |
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US11427877B2 (en) * | 2017-09-21 | 2022-08-30 | Nucor Corporation | Direct reduced iron (DRI) heat treatment, products formed therefrom, and use thereof |
-
2002
- 2002-07-03 JP JP2002195203A patent/JP2004035955A/ja not_active Abandoned
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