JP2003277632A - 樹脂組成物 - Google Patents

樹脂組成物

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JP2003277632A
JP2003277632A JP2003003091A JP2003003091A JP2003277632A JP 2003277632 A JP2003277632 A JP 2003277632A JP 2003003091 A JP2003003091 A JP 2003003091A JP 2003003091 A JP2003003091 A JP 2003003091A JP 2003277632 A JP2003277632 A JP 2003277632A
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filler
resin
acid
weight
resin composition
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JP2003003091A
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Naoya Nakamura
直也 中村
Atsushi Ishio
敦 石王
Kazuki Miyamoto
和樹 宮本
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高フィラー含有樹脂組成物の溶融流動性を顕著
に改善する。 【解決手段】熱可塑性樹脂1〜50重量%とフィラー9
9〜50重量%との混合物100重量部に対し、下記構
造を有するターフェニルから選ばれた1種または2種以
上を0.1〜30重量部配合してなる樹脂組成物。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フィラーが高充填
され、かつ溶融流動性に優れた樹脂組成物とこれを用い
た成形品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、デザインの多様化から、成形品の
形状の自由度が要求されるようになってきた。しかし、
従来使用していた金属では成形品の自由度に限界があ
る。そこで金属代替のため、フィラー強化熱可塑性樹脂
での検討が行われている。しかし例えば、熱伝導性、電
磁波シールド性、高温時の寸法精度をはじめとする各用
途で必要とされる特性が従来のフィラー強化熱可塑性樹
脂では満足されず、限りなくフィラー単体に近い特性が
要求されるようになってきた。
【0003】しかしながらフィラーを高充填した樹脂組
成物は溶融流動性が大きく損なわれ、成形性が悪化する
との問題点があった。
【0004】樹脂組成物の溶融流動性を向上させる目的
でこれまでにも種々の検討がなされてきた。例えば特開
昭61−19657号公報には、ポリフェニレンスルフ
ィドに特定のシアヌレートを配合する方法が開示されて
おり、また特開平8−231850号公報には、ポリフ
ェニレンスルフィド樹脂に特定のビスイミド化合物とエ
ステル化合物を添加する方法が開示されている。
【0005】しかし本発明者等の検討では、上記特開昭
61−19657号公報及び特開平8−231850号
公報いずれの方法も、高フィラー含有樹脂組成物の溶融
流動性を向上させるには不十分な結果であった。
【0006】また熱可塑性樹脂にターフェニルを配合し
た組成物としては、例えば特開平2−311543号公
報には、エンジニアリングプラスチックに特定のp−タ
ーフェニル誘導体を配合した組成物が開示されており、
その効果は溶融粘度の著しい減少を示すものであるが、
多量のフィラーと共に特定量のターフェニル化合物を併
用することにより、優れた溶融流動性が得られることに
ついては何ら開示されていない。
【0007】
【特許文献1】特開昭61−19657号公報
【0008】
【特許文献2】特開平8−231850号公報
【0009】
【特許文献3】特開平2−311543号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は上記
問題点を鑑み、高フィラー含有樹脂組成物の溶融流動性
を顕著に改善することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
点を解決するために鋭意検討を重ねた結果、熱可塑性樹
脂にフィラーを高充填する際にターフェニルを配合する
ことにより、飛躍的に溶融流動性を改良しうることを見
出し、本発明に至った。
【0012】すなわち本発明は、熱可塑性樹脂1〜50
重量%とフィラー99〜50重量%との混合物100重
量部に対し、下記構造を有するターフェニルから選ばれ
た1種または2種以上を0.1〜30重量部配合してな
る樹脂組成物およびこれを用いた成形品である。
【0013】
【化2】
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
なお本発明において「重量」とは「質量」を意味する。
【0015】本発明において熱可塑性樹脂は、成形加工
できる合成樹脂のことである。
【0016】その具体例としては、例えば、非液晶性半
芳香族ポリエステル、非液晶性全芳香族ポリエステルな
どの非液晶性ポリエステル、液晶ポリマー(液晶性ポリ
エステル、液晶性ポリエステルアミド樹脂)、ポリカー
ボネート、脂肪族ポリアミド、脂肪族−芳香族ポリアミ
ド、全芳香族ポリアミドなどのポリアミド、ポリオキシ
メチレン、ポリイミド、ポリベンズイミダゾール、ポリ
ケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケ
トン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンオキシ
ド、ポリスルホン、フェノキシ樹脂、ポリアリーレンサ
ルファイド、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチ
レンなどのオレフィン系重合体、エチレン/プロピレン
共重合体、エチレン/1−ブテン共重合体、エチレン/
プロピレン/非共役ジエン共重合体、エチレン/アクリ
ル酸エチル共重合体、エチレン/メタクリル酸グリシジ
ル共重合体、エチレン/酢酸ビニル/メタクリル酸グリ
シジル共重合体およびエチレン/プロピレン−g−無水
マレイン酸共重合体、ABSなどのオレフィン系共重合
体、ポリエステルポリエーテルエラストマー、ポリエス
テルポリエステルエラストマー等のエラストマーから選
ばれる1種または2種以上の混合物が挙げられる
(“/”は共重合を表す。以下同じ)。
【0017】上記非液晶性半芳香族ポリエステルの具体
例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピ
レンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポ
リエチレン−2,6−ナフタレート、ポリブチレンナフ
タレート、ポリ1,4−シクロヘキシレンジメチレンテ
レフタレートおよびポリエチレン−1,2−ビス(フェ
ノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレートなどの
ほか、ポリエチレンイソフタレート/テレフタレート、
ポリブチレンテレフタレート/イソフタレート、ポリブ
チレンテレフタレート/デカンジカルボキシレートおよ
びポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート/イソ
フタレートなどの共重合ポリエステル等が挙げられる。
【0018】また、ポリアミドの具体例としては、例え
ば環状ラクタムの開環重合物、アミノカルボン酸の重縮
合物、ジカルボン酸とジアミンとの重縮合物などが挙げ
られ、具体的にはナイロン6、ナイロン4・6、ナイロ
ン6・6、ナイロン6・10、ナイロン6・12、ナイ
ロン11、ナイロン12などの脂肪族ポリアミド、ポリ
(メタキシレンアジパミド)、ポリ(ヘキサメチレンテ
レフタルアミド)、ポリ(ヘキサメチレンイソフタルア
ミド)、ポリノナンメチレンテレフタルアミド、ポリ
(テトラメチレンイソフタルアミド)、ポリ(メチルペ
ンタメチレンテレフタルアミド)などの脂肪族−芳香族
ポリアミド、およびこれらの共重合体が挙げられ、共重
合体として例えばナイロン6/ポリ(ヘキサメチレンテ
レフタルアミド)、ナイロン6・6/ポリ(ヘキサメチ
レンテレフタルアミド)、ナイロン6/ナイロン6・6
/ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)、ポリ(ヘ
キサメチレンイソフタルアミド)/ポリ(ヘキサメチレ
ンテレフタルアミド)、ナイロン6/ポリ(ヘキサメチ
レンイソフタルアミド)/ポリ(ヘキサメチレンテレフ
タルアミド)、ナイロン12/ポリ(ヘキサメチレンテ
レフタルアミド)、ポリ(メチルペンタメチレンテレフ
タルアミド)/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミ
ド)などを挙げることができる。なお、共重合の形態と
してはランダム、ブロックいずれでもよいが、ランダム
が好ましい。
【0019】また、液晶ポリマーとは、異方性溶融相を
形成し得る樹脂であり、エステル結合を有するものが好
ましい。例えば芳香族オキシカルボニル単位、芳香族ジ
オキシ単位、芳香族および/または脂肪族ジカルボニル
単位、アルキレンジオキシ単位などから選ばれた構造単
位からなり、かつ異方性溶融相を形成する液晶性ポリエ
ステル、あるいは、上記構造単位と芳香族イミノカルボ
ニル単位、芳香族ジイミノ単位、芳香族イミノオキシ単
位などから選ばれた構造単位からなり、かつ異方性溶融
相を形成する液晶性ポリエステルアミドなどが挙げら
れ、具体的には、p−ヒドロキシ安息香酸および6−ヒ
ドロキシ−2−ナフトエ酸から生成した構造単位からな
る液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生
成した構造単位、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から
生成した構造単位、芳香族ジヒドロキシ化合物および/
または脂肪族ジカルボン酸から生成した構造単位からな
る液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生
成した構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニルか
ら生成した構造単位、テレフタル酸、イソフタル酸等の
芳香族ジカルボン酸および/またはアジピン酸、セバシ
ン酸等の脂肪族ジカルボン酸から生成した構造単位から
なる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から
生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構
造単位、テレフタル酸から生成した構造単位からなる液
晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成し
た構造単位、エチレングリコールから生成した構造単
位、テレフタル酸およびイソフタル酸から生成した構造
単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息
香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生
成した構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニルか
ら生成した構造単位、テレフタル酸および/またはアジ
ピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸から生成し
た構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキ
シ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコール
から生成した構造単位、芳香族ジヒドロキシ化合物から
生成した構造単位、テレフタル酸、イソフタル酸、2,
6−ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸
から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステルな
ど、また液晶性ポリエステルアミドとしては、芳香族オ
キシカルボニル単位、芳香族ジオキシ単位、芳香族およ
び/または脂肪族ジカルボニル単位、アルキレンジオキ
シ単位などから選ばれた構造単位以外にさらにp−アミ
ノフェノールから生成したp−イミノフェノキシ単位を
含有した異方性溶融相を形成するポリエステルアミドな
どが挙げられる。
【0020】上記液晶性ポリエステルは、フィラーを高
充填した場合の流動性低下を抑制するため、溶融粘度は
0.5〜80Pa・sが好ましく、特に1〜50Pa・
sがより好ましい。また、流動性がより優れた樹脂組成
物を得ようとする場合には、溶融粘度を40Pa・s以
下とすることが好ましい。
【0021】なお、この溶融粘度は融点(Tm)+10
℃の条件で、ずり速度1,000(1/秒)の条件下で
高化式フローテスターによって測定した値である。
【0022】ここで、融点(Tm)とは示差熱量測定に
おいて、重合を完了したポリマーを室温から20℃/分
の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度
(Tm1)の観測後、Tm1+20℃の温度で5分間保
持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却し
た後、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測さ
れる吸熱ピーク温度(Tm2)を指す。
【0023】さらに上記ポリアリーレンサルファイド樹
脂とは、下記構造式で示される繰り返し単位を70モル
%以上、好ましくは90モル%以上を含む重合体であ
り、上記繰り返し単位が70モル%未満では、耐熱性が
損なわれる傾向にある。
【0024】
【化3】
【0025】また、ポリアリーレンサルファイド樹脂
は、その繰り返し単位の30モル%以下を、下記の構造
【0026】
【化4】
【0027】を有する繰り返し単位などで構成すること
が可能である。
【0028】これらポリアリーレンサルファイド樹脂の
代表例としては、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェ
ニレンスルフィドスルホン、ポリフェニレンスルフィド
ケトン、これらのランダム共重合体、ブロック共重合体
およびそれらの混合物などが挙げられ、中でもポリフェ
ニレンスルフィドが特に好ましい。
【0029】かかるポリアリーレンサルファイド樹脂
は、通常公知の方法、例えば、特公昭45−3368号
公報に記載される比較的分子量の小さな重合体を得る方
法あるいは特公昭52−12240号公報や特開昭61
−7332号公報に記載される比較的分子量の大きな重
合体を得る方法などによって製造することができる。
【0030】本発明においては、上記のようにして得ら
れたポリアリーレンサルファイド樹脂を、空気中加熱に
よる架橋/高分子量化、窒素などの不活性ガス雰囲気下
あるいは減圧下での熱処理、有機溶媒、熱水、酸もしく
は酸水溶液などによる洗浄、酸無水物、アミン、イソシ
アネート、官能基含有ジスルフィド化合物などの官能基
含有化合物による活性化などの種々の処理を施した上で
使用することももちろん可能である。
【0031】ポリアリーレンサルファイド樹脂を加熱に
より架橋/高分子量化する場合の具体的方法としては、
空気、酸素などの酸化性ガス雰囲気下あるいは前記酸化
性ガスと窒素、アルゴンなどの不活性ガスとの混合ガス
雰囲気下で、加熱容器中で所定の温度において希望する
溶融粘度が得られるまで加熱を行う方法を例示すること
ができる。この場合の加熱処理温度としては、通常15
0〜280℃の範囲が選択され、好ましくは200〜2
70℃であり、処理時間としては、通常0.5〜100
時間の範囲が選択され、好ましくは2〜50時間である
が、この両者をコントロールすることによって目標とす
る粘度レベルを得ることができる。加熱処理の装置は通
常の熱風乾燥機でもまた回転式あるいは撹拌翼付の加熱
装置であってもよいが、効率よくしかもより均一に処理
する場合は、回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置を用い
るのがより好ましい。
【0032】ポリアリーレンサルファイド樹脂を窒素な
どの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下で熱処理する場
合の具体的方法としては、窒素などの不活性ガス雰囲気
下あるいは減圧下で、加熱処理温度150〜280℃、
好ましくは200〜270℃、加熱時間0.5〜100
時間、好ましくは2〜50時間の条件で加熱処理する方
法を例示することができる。加熱処理の装置は、通常の
熱風乾燥機でもまた回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置
であってもよいが、効率よくしかもより均一に処理する
場合は、回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置を用いるの
がより好ましい。
【0033】ポリアリーレンサルファイド樹脂を有機溶
媒で洗浄する場合の具体的方法としては、以下の方法を
例示することができる。すなわち、洗浄に用いる有機溶
媒としては、ポリアリーレンサルファイド樹脂を分解す
る作用などを有しないものであれば特に制限はなく、例
えばN−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジ
メチルアセトアミドなどの含窒素極性溶媒、ジメチルス
ルホキシド、ジメチルスルホンなどのスルホキシド・ス
ルホン系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチ
ルケトン、アセトフェノンなどのケトン系溶媒、ジメチ
ルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフラン
などのエーテル系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、
トリクロロエチレン、2塩化エチレン、ジクロルエタ
ン、テトラクロルエタン、クロルベンゼンなどのハロゲ
ン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、ブ
タノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピ
レングリコール、フェノール、クレゾール、ポリエチレ
ングリコールなどのアルコール・フェノール系溶媒、お
よびベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水
素系溶媒などが挙げられる。これらの有機溶媒のなかで
も、特にN−メチルピロリドン、アセトン、ジメチルホ
ルムアミドおよびクロロホルムなどの使用が好ましい。
また、これらの有機溶媒は、1種類または2種類以上の
混合で使用される。
【0034】有機溶媒による洗浄の方法としては、有機
溶媒中にポリアリーレンサルファイド樹脂を浸漬せしめ
るなどの方法があり、必要により適宜撹拌または加熱す
ることも可能である。有機溶媒でポリアリーレンサルフ
ァイド樹脂を洗浄する際の洗浄温度については特に制限
はなく、常温〜300℃程度の任意の温度が選択でき
る。洗浄温度が高くなるほど洗浄効率が高くなる傾向が
あるが、通常は常温〜150℃の洗浄温度で十分な効果
が得られる。なお、有機溶媒洗浄を施されたポリアリー
レンサルファイド樹脂は、残留している有機溶媒を除去
するため、さらに水または温水で数回洗浄することが好
ましい。
【0035】ポリアリーレンサルファイド樹脂を熱水で
処理する場合の具体的方法としては、以下の方法を例示
することができる。すなわち、熱水洗浄によるポリアリ
ーレンサルファイド樹脂の好ましい化学的変性の効果を
発現するために、使用する水は蒸留水あるいは脱イオン
水であることが好ましい。熱水処理の操作は、通常、所
定量の水に所定量のポリアリーレンサルファイド樹脂を
投入し、常圧であるいは圧力容器内で加熱、撹拌するこ
とにより行われる。ポリアリーレンサルファイド樹脂と
水との割合は、水の多いほうが好ましいが、通常、水1
リットルに対し、ポリアリーレンサルファイド樹脂20
0g以下の浴比が選択される。
【0036】ポリアリーレンサルファイド樹脂を酸処理
する場合の具体的方法としては、以下の方法を例示する
ことができる。すなわち、酸または酸の水溶液にポリア
リーレンサルファイド樹脂を浸漬せしめるなどの方法が
あり、必要により適宜撹拌または加熱することも可能で
ある。用いられる酸はポリアリーレンサルファイド樹脂
を分解する作用を有しないものであれば特に制限はな
く、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸などの脂肪族飽和
モノカルボン酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸などのハロ
置換脂肪族飽和カルボン酸、アクリル酸、クロトン酸な
どの脂肪族不飽和モノカルボン酸、安息香酸、サリチル
酸などの芳香族カルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハ
ク酸、フタル酸、フマル酸などのジカルボン酸、および
硫酸、リン酸、塩酸、炭酸、珪酸などの無機酸性化合物
などが挙げられる。これらの酸のなかでも、特に酢酸、
塩酸がより好ましく用いられる。酸処理を施されたポリ
アリーレンサルファイド樹脂は、残留している酸または
塩などを除去するため、さらに水または温水で数回洗浄
することが好ましい。この時、洗浄に用いる水は、酸処
理によるポリアリーレンサルファイド樹脂の好ましい化
学的変性の効果を損なわない意味で、蒸留水または脱イ
オン水であることが好ましい。
【0037】上記ポリアリーレンサルファイド樹脂の溶
融粘度は、よりすぐれた溶融流動性を得る上で、316
℃、剪断速度1000/秒の条件下で80Pa・s以下
であることが好ましく、50Pa・s以下がより好まし
く、2〜20Pa・sが更に好ましい。
【0038】また上記ポリアリーレンサルファイド樹脂
は、その全灰分量が0.1重量%以上、更には0.2重
量%以上のものが、より優れた溶融流動安定性を得る観
点から好ましく用いられる。なお、全灰分量は150℃
で1時間乾燥した樹脂約5gをるつぼに入れ、540
℃、6時間燃焼させた残渣重量を測定し、乾燥後の樹脂
(約5g)に対する残渣重量の割合を算出したものであ
る。
【0039】上述した熱可塑性樹脂のうち機械的性質、
成形性などの点からポリブチレンテレフタレート、ポリ
ブチレンナフタレート、ポリ1,4−シクロヘキシレン
ジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナ
フタレートおよびポリエチレンテレフタレートなどの非
液晶性ポリエステル、ナイロン6、ナイロン6・6、ナ
イロン12、ナイロン4・6、ポリノナンメチレンテレ
フタルアミド、ナイロン6/ポリ(ヘキサメチレンテレ
フタルアミド)、ナイロン6・6/ポリ(ヘキサメチレ
ンテレフタルアミド)、ナイロン6/ナイロン6・6/
ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)、ポリ(ヘキ
サメチレンイソフタルアミド)/ポリ(ヘキサメチレン
テレフタルアミド)、ナイロン6/ポリ(ヘキサメチレ
ンイソフタルアミド)/ポリ(ヘキサメチレンテレフタ
ルアミド)、ナイロン12/ポリ(ヘキサメチレンテレ
フタルアミド)、ナイロン6/ナイロン6・6/ポリ
(ヘキサメチレンイソフタルアミド)、ポリ(メチルペ
ンタメチレンテレフタルアミド)/ポリ(ヘキサメチレ
ンテレフタルアミド)などのポリアミド、p−ヒドロキ
シ安息香酸および6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から
生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒ
ドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリ
コールから生成した構造単位、4,4’−ジヒドロキシ
ビフェニルから生成した構造単位、テレフタル酸および
/またはアジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン
酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、
p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレ
ングリコールから生成した構造単位、芳香族ジヒドロキ
シ化合物から生成した構造単位、テレフタル酸、イソフ
タル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などの芳香族
ジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリ
エステルなどや、ポリカーボネート、ポリアリーレンサ
ルファイド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチ
レン、ABS、ポリフェニレンオキシド、フェノキシ樹
脂、から選ばれる1種または2種以上の混合物が好まし
く用いられる。
【0040】なかでもナイロン6などのポリアミド樹
脂、ポリブチレンテレフタレートなどの非液晶性ポリエ
ステル樹脂、p−ヒドロキシ安息香酸および6−ヒドロ
キシ−2−ナフトエ酸から生成した構造単位からなる液
晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成し
た構造単位、エチレングリコールから生成した構造単
位、芳香族ジヒドロキシ化合物から生成した構造単位、
テレフタル酸から生成した構造単位の液晶性ポリエステ
ル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エ
チレングリコールから生成した構造単位、テレフタル酸
から生成した構造単位の液晶性ポリエステル、ポリアリ
ーレンサルファイド樹脂を特に好ましく用いることがで
きる。
【0041】本発明の樹脂組成物に配合されるフィラー
としては、繊維状もしくは、板状、鱗片状、粒状、不定
形状、破砕品など非繊維状の充填剤が挙げられ、具体的
には例えば、ガラス繊維、PAN系やピッチ系の炭素繊
維、ステンレス繊維、アルミニウム繊維や黄銅繊維など
の金属繊維、芳香族ポリアミド繊維などの有機繊維、石
膏繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、ジルコニア
繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、酸化チタン繊維、炭
化ケイ素繊維、ロックウール、チタン酸カリウムウィス
カー、チタン酸バリウムウィスカー、ほう酸アルミニウ
ムウィスカー、窒化ケイ素ウィスカー、マイカ、タル
ク、カオリン、シリカ、炭酸カルシウム、ガラスビー
ズ、ガラスフレーク、ガラスマイクロバルーン、クレ
ー、二硫化モリブデン、ワラステナイト、酸化チタン、
酸化亜鉛、アルミナ、酸化マグネシウム、ポリリン酸カ
ルシウム、グラファイト、金属粉、金属フレーク、金属
リボン、金属酸化物、カーボン粉末、黒鉛、カーボンフ
レーク、鱗片状カーボン、カーボンナノチューブなどが
挙げられる。
【0042】金属粉、金属フレーク、金属リボンの金属
種の具体例としては銀、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニ
ウム、ステンレス、鉄、黄銅、クロム、錫などが例示で
きる。ガラス繊維あるいは炭素繊維の種類は、一般に樹
脂の強化用に用いるものなら特に限定はなく、例えば長
繊維タイプや短繊維タイプのチョップドストランド、ミ
ルドファイバーなどから選択して用いることができる。
【0043】本発明においては、上記フィラーのうち、
繊維状、板状、鱗片状の形状および破砕品がより優れた
溶融流動性と機械的強度を得る上で好ましく用いられ、
さらに成形品の強度等の点から板状、鱗片状が好まし
い。
【0044】なお、本発明において繊維状とは、通常繊
維状と呼ばれるものであって、ウィスカー形状のものも
含み、例えば、平均繊維長あるいは平均長径/平均繊維
径あるいは平均短径(アスペクト比)3〜10000程
度の形状を有するものが挙げられる。また板状、鱗片状
とは、通常、板状、鱗片状と呼ばれるものであって、長
径に対し厚みを有する形状を有し、例えば平均長径/平
均厚みが3〜5000程度のものが挙げられる。粒状
は、比較的球状に近い形状をなす粒状のものであって、
例えば、平均長径/平均短径が2未満程度のものが挙げ
られる。不定形状は、粉砕品等の形が定まっていないも
のである。なお、これらのフィラーの形状(平均繊維長
/平均繊維径、平均長径/平均厚み、平均長径/平均短
径)は、走査型電子顕微鏡(SEM)により繊維長、繊
維径、長径、短径あるいは厚みを各100個測定し、そ
の数平均をもとめ、算出することができる。
【0045】また、上記のフィラーは機械強度と成形品
そりのバランスを得るために2種以上を併用して使用す
ることもでき、例えば、ガラス繊維とマイカあるいはカ
オリン、ガラス繊維とガラスビーズ、炭素繊維とマイカ
あるいはカオリン、炭素繊維と黒鉛、黒鉛とカーボンブ
ラック等の組み合わせが挙げられる。
【0046】なお、本発明に使用する上記のフィラーは
その表面を公知のカップリング剤(例えば、シラン系カ
ップリング剤、チタネート系カップリング剤など)、そ
の他の表面処理剤で処理して用いることもできる。ま
た、上記のフィラーは、導電性物質で被覆して用いるこ
ともできる。
【0047】また、ガラス繊維はエチレン/酢酸ビニル
共重合体などの熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬
化性樹脂で被覆あるいは集束されていてもよい。
【0048】本発明において熱可塑性樹脂とフィラーと
の配合比率は、用いるフィラーの特性を発揮し、かつ溶
融加工性とのバランスの点から、配合される熱可塑性樹
脂とフィラーの合計量における配合比率が、熱可塑性樹
脂1〜50重量%、フィラー99〜50重量%である必
要があり、熱可塑性樹脂1〜30重量%、フィラー99
〜70重量%が好ましく、熱可塑性樹脂5〜30重量
%、フィラー95〜70重量%であることがさらに好ま
しい。
【0049】本発明の樹脂組成物に配合されるターフェ
ニルとは下記構造を有する化合物である。これらは単独
で用いても良く、また2種以上の混合物として用いても
良い。
【0050】
【化5】
【0051】中でも上記3種(オルト、メタ、パラ)の
混合物で、各組成比(重量比)1〜3:40〜70:2
0〜40の混合物が特に好ましく用いられる。
【0052】上記ターフェニルは市場で入手可能であ
り、具体的な商品名としては、新日鐵化学(株)社製ト
リフェニル等が例示できる。
【0053】本発明においてターフェニルが熱可塑性樹
脂にフィラーを高充填する際に、何故溶融流動性を飛躍
的に改良し得るか定かではないが、ターフェニルが溶融
し、熱可塑性樹脂とフィラーの滑剤的な作用するため、
熱可塑性樹脂やフィラーの種類にかかわらず、溶融流動
性改良効果を発現するものと推定される。
【0054】上記ターフェニルの配合量は、本発明の樹
脂組成物に配合される熱可塑性樹脂とフィラーの合計量
100重量部に対し、0.1〜30重量部であり、好ま
しくは0.1〜25重量部、より好ましくは1〜20重
量部、さらに好ましくは2〜15重量部である。なかで
も3〜13重量部が、特に好ましい。
【0055】ターフェニルの配合量が30重量部を超え
ると、得られた成形品表面にブリードアウトしてくると
共に、それによって熱可塑性樹脂とフィラー界面の剥離
を引き起こし、機械物性が低下する。0.1重量部未満
であると、十分な溶融流動性向上効果が得られない。
【0056】本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を
損なわない範囲で上記成分以外の他の化合物、例えば酸
化防止剤や耐熱安定剤、耐候剤、離型剤及び滑剤、顔
料、染料、結晶核剤、可塑剤、帯電防止剤、難燃剤、他
の重合体を添加することができる。
【0057】本発明の樹脂組成物の調製方法には特に制
限はないが、原料の混合物を単軸あるいは2軸の押出
機、バンバリーミキサー、ニーダーおよびミキシングロ
ールなど通常公知の溶融混合機に供給して、樹脂の融点
以上の温度で混練する方法などを代表例として挙げるこ
とができる。原料の混合順序にも特に制限はなく、全て
の原料を配合後上記の方法により溶融混練する方法、一
部の原料を配合後上記の方法により溶融混練し、さらに
残りの原料を配合し溶融混練する方法、あるいは一部の
原料を配合後単軸あるいは2軸の押出機により溶融混練
中にサイドフィーダーを用いて残りの原料を混合する方
法などのいずれの方法を用いてもよい。また、少量添加
剤成分については、他の成分を上記の方法などで混練し
ペレット化した後、成形前に添加して成形に供すること
ももちろん可能である。
【0058】さらに本発明の樹脂組成物の調製方法とし
ては、粉末状の原料を圧縮成形することにより錠剤化す
る方法も挙げられる。圧縮成形には、打錠機を用いるこ
とが好ましい。上記粉末状の原料としては、樹脂組成物
中に含有せしめるべき、熱可塑性樹脂の粉末(熱可塑性
樹脂粉末)、フィラー、ターフェニルが挙げられるが、
予め熱可塑性樹脂とフィラー、あるいは熱可塑性樹脂と
フィラーおよび粉末状のターフェニルとを溶融混練して
得られる組成物を粉末化し、これを錠剤化して用いるこ
ともできる。
【0059】具体的な錠剤化樹脂組成物の製造方法とし
ては、たとえば熱可塑性樹脂粉末、フィラーおよびター
フェニルをバンバリーミキサー、ニーダー、ロール、リ
ボンブレンダー、単軸もしくは二軸の押出機などを用
い、固相状態で均一ブレンドし、打錠機により錠剤(タ
ブレット)化する方法が挙げられる。
【0060】また、熱可塑性樹脂、フィラーおよびター
フェニルとをバンバリーミキサー、ニーダー、ロールを
用いて予めドライブレンドし、もしくはドライブレンド
しないで、単軸もしくは二軸の押出機などを用い、一度
溶融混練し、冷却粉砕して粉末状としたのち、打錠機に
より錠剤(タブレット)化することも可能である。この
場合、溶融混練に供する熱可塑性樹脂およびターフェニ
ルは、溶融混練が可能であれば、粉末状でもペレット状
でも特に制限はないが、フィラーの分散不良による特性
のバラツキを低減する点から粉末状あるいは粉砕品であ
ることが好ましい。
【0061】特に、単軸もしくは2軸押出機を用いて、
予め溶融混練した樹脂組成物を粉末状とする場合、フィ
ラーの使用量が多いと、溶融流動性が悪化するため、ダ
イからの押出ができずペレット化が困難になる場合があ
るが、その場合には、特開平8−1663号公報に記載
の如く、押出機のヘッド部を開放した状態で混練・押出
すことも可能である。フィラーが多量である場合、フレ
ーク状の樹脂組成物が得られることもある。本発明にお
いてはこれらの方法で予め溶融混練して得られたペレッ
トもしくはフレーク状の樹脂組成物を必要により、冷却
粉砕して粉末状とした後、錠剤化することも可能であ
る。
【0062】上記方法のうち、工程が簡素である点で、
熱可塑性樹脂粉末、フィラーおよびターフェニル化合物
を固相状態で均一ブレンドした混合物を打錠機により錠
剤(タブレット)化する方法が好ましい。
【0063】さらに本発明において使用される熱可塑性
樹脂および/またはターフェニルが粉末であり、その数
平均粒子径が1000μm以下であることは、より均一
な樹脂組成物を得る上で好ましい。
【0064】上記熱可塑性樹脂粉末としては、通常、粉
末状で入手できる熱可塑性樹脂の他、ペレットを冷凍粉
砕することによっても得ることができる。冷凍粉砕は、
ドライアイスあるいは液体窒素等で凍結させた後、一般
的に知られている通常の粉砕機あるいは石臼型の粉砕機
により行うことができる。本発明において用いる熱可塑
性樹脂粉末としては、より均一な樹脂組成物を得る観点
から、上記したように数平均粒子径が1000μm以下
であることが好ましく、800μm以下であることがよ
り好ましく、500μm以下であることがさらに好まし
い。下限については特に制限はないが、粉砕コストの点
から1μm以上であることが好ましく、10μm以上で
あることがより好ましい。かかる粒径を有する粉末を得
るには、粉砕などにより得られた粉体を適宜所望の大き
さの篩を用いてふるい分けすればよい。
【0065】また、フィラーについても溶融加工性、得
られる成形品の表面外観等を考慮した場合、フィラーの
サイズはJIS−K0069に基づく篩分け試験法に基
づき測定した場合、1000μmに相当する篩を通過す
るものであることが好ましく、より好ましくは800μ
mに相当する篩を通過するもの、特に500μmに相当
する篩を通過するものであることが好ましい。また、5
μmに相当する篩は実質的に通過しないものであること
が好ましい。なお、ここで「実質的に通過しない」と
は、95重量%以上が通過しないことを意味する。
【0066】かかるフィラーは市販されているものから
選択してもよいし、また、篩を用いて分級し、必要なサ
イズのものを取り出し使用することも可能である。
【0067】また、必要特性によっては、異なった粒子
径のものを2種以上併用しても良い。
【0068】ターフェニルについては、樹脂組成物中で
の分散を向上させる上で好ましくは上記熱可塑性樹脂と
同様に、数平均粒子径が1000μm以下の粉末である
ことが好ましく、800μm以下であることがより好ま
しく、500μm以下であることがさらに好ましい。下
限については特に制限はないが、粉砕コストの点から1
μm以上であることが好ましい。かかる粒径を有する粉
末は、粉砕または粉砕などにより得られた粉体を適宜所
望の大きさの篩を用いてふるい分けすることにより得る
ことができる。
【0069】さらに、熱可塑性樹脂とフィラーとの均一
混合性の点からフィラーの比重は3.5以下であること
が好ましく、特に3以下であることが好ましい。下限に
ついては特に制限はないが、熱可塑性樹脂との均一混合
性の点から1以上であることが好ましい。なお、複数種
のフィラーを用いる場合には、配合量の最も多いフィラ
ーの少なくとも1種の比重が上記範囲にあることが好ま
しい。
【0070】かくして得られた樹脂組成物は、溶融成形
が可能であり、射出成形、押出成形、プレス成形、イン
ジェクションプレス成形などの方法により、三次元成形
品、シート、容器状物などに加工することができる。特
に、生産性から、射出成形、プレス成形、射出圧縮成形
(インジェクションプレス成形)などが好ましく用いら
れるが、フィラーを特に多量に含有せしめる場合には、
生産性のメリットを損なわない点から、また成形が容易
に行える点から高速高圧射出成形、インジェクションプ
レス成形が特に好ましい。本発明の樹脂組成物を溶融成
形する前に、加熱処理すると成形性(計量性)が向上す
るので好ましい。加熱処理は、50〜250℃、好まし
くは80〜200℃、より好ましくは100〜160℃
で1時間以上、好ましくは2〜12時間、より好ましく
は3〜6時間の条件で、通常の熱風乾燥機やオーブンな
どで行う。
【0071】かくして得られる成形品は、用いるフィラ
ーの特徴を極限まで生かしつつ、かつ溶融成形可能であ
ることを生かし、例えば、高放熱用途、金属代替用途、
電磁波シールド用途、高精度部品(低寸法変化)、高電
気伝導用途等に有用であり、具体的には、パソコン、液
晶プロジェクター、モバイル機器、携帯電話等の放熱部
品、高電気伝導部材、シールド部材、あるいは筐体、そ
の他情報通信分野において電磁波などの遮蔽性を必要と
する設置アンテナなどの部品、自動車部品、機械機構部
品、屋外設置用機器あるいは建築部材で高寸法精度、電
磁波シールド性、気体・液体等のバリアー性、熱および
電気伝導性を必要とする用途、特に軽量化等で金属代替
が熱望されている自動車部品用途、電気・電子部品用
途、熱機器部品用途等に有用である。
【0072】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明す
るが、本発明は以下の実施例にのみ限定されるものでは
ない。
【0073】[溶融流動性の測定]穴径2.096m
m、長さ8.00mmのオリフィスを用いて、表1記載
の樹脂温度となるように温調したメルトインデクサー
(東洋精機(株)社製)中に、サンプル約2.5gを投
入後、ピストンを挿入し2分間放置し、その後37.4
55kgのおもりを載せ1分間ガス抜きを行った。おも
り重量を29.955kgに一旦減量し、そのまま2分
放置した。サンプル投入から5分経過後再びおもりを3
7.455kgに戻し、サンプル投入から5.5分〜
6.5分の間に吐出する樹脂量を測定し樹脂流動性の目
安とした。この量が多いほど溶融流動性に優れていると
言える。またその際に発生するガス量を目視観察した。
ガス量の目安 ○:少ない。△:多め。×:非常に多
い。
【0074】参考例1 熱可塑性樹脂 PPS(リニアタイプ):ポリフェニレンスルフィド樹
脂L4230粉末(東レ社製)。溶融粘度35Pa・s
(316℃、1000/s)、全灰分量0.21重量
%、重量平均粒子径150μm PA6:ポリアミド樹脂CM1001(東レ社製ナイロ
ン6)を液体窒素に浸し、サンプルミル(協立理工社製
SK−M型)にて粉砕し、篩にて42メッシュパス、8
0メッシュオンで分級して数平均粒子径300μmのも
のを得た。 LCP:液晶ポリエステル樹脂“シベラス”L201E
(東レ社製)を液体窒素に浸し、サンプルミル(協立理
工社製SK−M型)にて粉砕し、篩にて80メッシュパ
ス、150メッシュオンで分級して数平均粒子径150
μmのものを得た。なお、上記において数平均粒子径は
島津製作所社製レーザー回折式粒度分布測定装置を用い
て測定した。
【0075】参考例2 フィラー 炭素繊維(CF):MLD30(繊維状フィラー、繊維
径7μm、東レ社製) ガラス繊維(GF):EPDM70M10A(繊維状フ
ィラー、日本電気ガラス社製) グラファイト(KS):KS−75(鱗片状フィラー、
ティムカルジャパン社製) マイカ粉(MK):A−31(板状フィラー、山口雲母
工業社製) なお後述の表1中のフィラーサイズは、500gの試料
をとり、そのサイズに相当する粗さの篩を用いて分級し
た時、篩上に残留しなかったことを表す。
【0076】参考例3 ターフェニル(粉砕し、篩にて
42メッシュパスしたものを使用) B−1:新日鐵化学(株)社製”トリフェニル固体”、
組成比(重量比)(オルト:メタ:パラ=1.5:6
3.3:34.2) 分子量230.31。
【0077】実施例1〜5 参考例1の熱可塑性樹脂、参考例2に示したフィラーを
表1で示す比率で配合した混合物100重量部に対し、
参考例3に示したターフェニルを表1に示した割合(重
量部)でミキサーで粉末ブレンドした。得られた配合物
を手動式打錠機にて錠剤化した。この錠剤をハンマーで
圧壊後、メルトインデクサーに投入して上記方法に従
い、溶融流動性の評価を行った。
【0078】比較例1〜4 ターフェニルを添加しなかったこと以外は、実施例1〜
4と同様の方法で、ミキサーで粉末ブレンド、錠剤化、
メルトインデクサー評価を行った。
【0079】実施例と比較例との対比から判るように、
ターフェニルを添加することにより溶融流動性が大きく
向上する。
【0080】実施例6 参考例1の熱可塑性樹脂、参考例2に示したフィラーを
表1で示す比率で配合した混合物100重量部に対し、
参考例3に示したターフェニルを表1に示した割合(重
量部)でリボンブレンダーでブレンドし、月島機械製ロ
ータリー打錠機を用いて10mm径×5mm長のタブレ
ットを得た。ついで140℃の熱風乾燥機で3時間乾燥
した。
【0081】このタブレットを住友SG75M−III
射出成形機(住友重機械工業)に供給し、シリンダー温
度340℃、金型温度140℃で、80mm×80mm
×3mmの角板を射出成形し、表面外観が良好な角板を
得た。
【0082】比較例5 ターフェニル(B−1)のかわりにシアヌル酸トリアリ
ル(C−1)を用いた以外は、実施例4と同様の方法
で、ミキサーで粉末ブレンド、メルトインデクサー評価
を行った。
【0083】フィラーを高充填する際にシアヌル酸トリ
アリルを配合しても溶融流動性の向上は殆ど認められな
いことが判る。
【0084】
【表1】
【0085】
【発明の効果】本発明の樹脂組成物は、フィラーを多量
含みながら優れた溶融流動性を有する熱可塑性樹脂組成
物であり、用いるフィラーの特性を高効率に発揮するこ
とを可能とした。これにより、電気・電子関連機器、精
密機械関連機器、事務用機器、自動車・車両関連部品、
熱機器、建材などの各種用途に展開可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08K 5/01 C08K 5/01 C08L 67/00 C08L 67/00 77/00 77/00 81/02 81/02 // B29K 101:12 B29K 101:12 Fターム(参考) 4F070 AA47 AA54 AA58 AC04 AC27 AC28 AC32 AD02 AE30 DA41 DA46 DB09 DC07 4F204 AA24 AA29 AA34 AB11 AB20 AC04 FA01 FB01 FF01 FF06 4J002 CF001 CL001 CN011 DA016 DA026 DJ056 DL006 EA047 FD046 FD207 GT00

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱可塑性樹脂1〜50重量%とフィラー9
    9〜50重量%との混合物100重量部に対し、下記構
    造を有するターフェニルから選ばれた1種または2種以
    上を0.1〜30重量部配合してなる樹脂組成物。 【化1】
  2. 【請求項2】混合物中の熱可塑性樹脂とフィラーの組成
    比が熱可塑性樹脂5〜30重量%、フィラー95〜70
    重量%である請求項1記載の樹脂組成物。
  3. 【請求項3】熱可塑性樹脂がポリアミド樹脂、ポリエス
    テル樹脂、ポリアリーレンサルファイド樹脂から選ばれ
    た1種または2種以上である請求項1または2記載の樹
    脂組成物。
  4. 【請求項4】熱可塑性樹脂およびターフェニルがいずれ
    も粉末状のものを使用した請求項1〜3のいずれか1項
    に記載の樹脂組成物。
  5. 【請求項5】フィラーが板状または鱗片状である請求項
    1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  6. 【請求項6】請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂
    組成物を構成する熱可塑性樹脂、フィラーおよびターフ
    ェニルを圧縮成形してなる錠剤。
  7. 【請求項7】請求項1〜5いずれか1項に記載の樹脂組
    成物を射出成形、射出圧縮成形あるいはプレス成形して
    なる成形品。
  8. 【請求項8】請求項6に記載の錠剤を射出成形、射出圧
    縮成形あるいはプレス成形してなる成形品。
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