JP2003277565A - ポリビニルアルコール系樹脂組成物および成形物 - Google Patents

ポリビニルアルコール系樹脂組成物および成形物

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JP2003277565A
JP2003277565A JP2002086127A JP2002086127A JP2003277565A JP 2003277565 A JP2003277565 A JP 2003277565A JP 2002086127 A JP2002086127 A JP 2002086127A JP 2002086127 A JP2002086127 A JP 2002086127A JP 2003277565 A JP2003277565 A JP 2003277565A
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polyvinyl alcohol
molded product
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molding
alcohol resin
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Yoshimi Umemura
芳海 梅村
Toshiyuki Akazawa
敏幸 赤沢
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Kuraray Co Ltd
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Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱溶融成形性、耐湿性、水崩壊性、耐久性、
強度、形態安定性等に優れた成形物を作製し得るポリビ
ニルアルコール系樹脂組成物を提供すること。 【解決手段】 炭素数3または4のα−オレフィンを1
〜19モル%の割合で主鎖に含有する熱溶融性のポリビ
ニルアルコール系樹脂(A)、ポリアミド樹脂(B)、
エチレン−不飽和カルボン酸共重合体またはその金属塩
(C)からなり、(A)/(A+B+C)=0.5〜
0.99(重量比率)であり、かつ(B)/(B+C)
=0.02〜0.98(重量比率)であるポリビニルア
ルコール系樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリビニルアルコー
ル系樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、本発明は熱
溶融成形性、水崩壊性、耐衝撃性、耐湿性、耐久性、強
度、形態安定性等に優れた成形物を作製し得るポリビニ
ルアルコール系樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリビニルアルコールから得られる成形
物は、水崩壊性、力学物性、耐油性、生分解性等に優れ
ており、農業用、土木用、工業用、医療用、包装用、レ
ジャー用、玩具、雑貨、日用品、容器、部品等の幅広い
分野で使用されている。しかしながら、ポリビニルアル
コールは耐衝撃性や柔軟性に劣るという欠点を有してお
り、例えば、成形物を落下させたり、曲げたりした場
合、成形物が割れやすいという問題があった。この問題
を解決するために、これまで種々の検討がなされてきて
おり、例えば、可塑剤を添加したりエラストマー成分を
添加することで耐衝撃性や柔軟性を付与する方法等が検
討されてきた。
【0003】しかしながら、ポリビニルアルコールに可
塑剤を添加する場合には、得られた成形物を高湿下に放
置した際に強度や弾性率が大きく低下したり、変形した
りすることがあるばかりか、可塑剤が成形物表面に滲み
出たりすることがあり、その工業的利用には問題となる
ことが多い。
【0004】また、一般的に、ポリオレフィン等に代表
されるエラストマーは、元来ポリビニルアルコールとは
相容性が悪く、添加しても均一に分散せず、耐衝撃性や
柔軟性の改良効果が十分でないばかりか、成形品の透明
性が著しく低下するという欠点があり、このことは特に
成形物がフィルムの場合に問題となっていた。近年、ポ
リビニルアルコール系樹脂と反応する官能基を有するエ
ラストマーを添加し、相容性を向上させる試みもなされ
ているが、官能基との反応により、成形時の流動性が著
しく低下するという問題を有していた。また、可塑剤、
界面活性剤、防曇剤、熱安定剤等の添加剤を配合する場
合、これらのエラストマーの官能基と添加剤が反応し
て、お互いの効果を低減させる場合があり、問題となる
ことがあった。
【0005】さらに、ポリビニルアルコールのけん化度
を下げたり共重合することにより、耐衝撃性や柔軟性を
付与することも検討されているが、いずれの方法におい
ても工業的観点から利用を図るには十分とは言えないば
かりか、けん化度を下げたり共重合した場合には、得ら
れた成形物を高湿度下に放置した際に、強度の大幅な低
下や変形が生ずる場合が多くなることが問題となってお
り、熱溶融成形性、水崩壊性、形態安定性、強度等を維
持しつつ、耐衝撃性、柔軟性のある成形物を作製しうる
樹脂組成物が望まれていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、この
ような背景下において、熱溶融成形性、耐湿性、水崩壊
性、耐久性、強度、形態安定性に優れた成形物を作製し
得る樹脂組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、上記目
的は、炭素数3または4のα−オレフィンを1〜19モ
ル%の割合で主鎖に含有する熱溶融性のポリビニルアル
コール系樹脂(A)、ポリアミド樹脂(B)、エチレン
−不飽和カルボン酸共重合体またはその金属塩(C)か
らなり、(A)/(A+B+C)=0.5〜0.99
(重量比率)であり、かつ(B)/(B+C)=0.0
2〜0.98(重量比率)であるポリビニルアルコール
系樹脂組成物により達成することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明において用いられるポリビ
ニルアルコール系樹脂(A)は、炭素数3または4のα
−オレフィンとビニルエステルとの共重合体をけん化す
ることによって得ることができる。ここで、ビニルエス
テルの代表例としては酢酸ビニルが挙げられ、この他に
プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バレリン酸ビ
ニル、カプリン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエ
ステルを例示することができる。これらのビニルエステ
ルは一種または二種以上を使用することができる。炭素
数3または4のα−オレフィンとしては、プロピレン、
n−ブテン、イソブチレンなどを挙げることができる
が、中でも、得られる成形物の耐水性および形態安定
性、さらには成形性の点でプロピレンが有利に用いられ
る。
【0009】本発明において用いられるポリビニルアル
コール系樹脂(A)は、本発明の効果を損なわない範囲
で、変性されていてもよい。ビニルエステルと共重合可
能なビニルモノマーの例としては、アクリルアミド、N
−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、
N,N−ジメチルアクリルアミド等のアクリルアミド系
単量体;メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミ
ド、N−エチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメ
タクリルアミド等のメタクリルアミド系単量体;メチル
ビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピル
ビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、t−ブ
チルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル等のビニ
ルエーテル系単量体のほか、α−オレフィン、アリルア
ルコール、ビニルトリメトキシシラン、N−ビニル−2
−ピロリドン、イソプロペニルアルコール、7−オクテ
ン−1−オール、アリルアセテート、イソプロペニルア
セテート等を挙げることができる。
【0010】上記したポリビニルアルコール系樹脂
(A)において、炭素数3または4のα−オレフィンの
含有量は1〜19モル%であることが好ましく、2〜1
5モル%であることがさらに好ましく、3〜12モル%
であることが特に好ましい。α−オレフィンの含有量が
1モル%未満の場合には、α−オレフィンを共重合させ
たことによる効果が顕著に現れず、熱溶融性が低下する
場合がある。一方、α−オレフィンの含有量が19モル
%を超えると、得られた成形物の水崩壊性が低下し、使
用が制限されることがある。
【0011】本発明において用いられるポリビニルアル
コール系樹脂(A)の重合度は、組成物および成形物の
用途、並びに要求物性、成形物の形状、成形方法等によ
り適宜選択されるが、重合度が低いと得られた成形物の
物性、特に耐衝撃性や力学物性が低下する場合があり、
一方、重合度が高いと、溶融粘度が高くなり、熱溶融成
形が著しく困難となる場合がある。したがって、成形物
の物性、溶融成形性を考慮すると、ポリビニルアルコー
ル系樹脂の重合度は、通常200〜2000の範囲にあ
ることが好ましく、250〜1500の範囲がより好ま
しい。
【0012】本発明において用いられるポリビニルアル
コール系樹脂(A)のけん化度は、組成物の用途、要求
物性および成形方法、並びに成形物の用途、要求物性お
よび形状等により適宜選択されるが、けん化度が低い
と、得られた成形物の耐水性、耐湿性、形態安定性が低
下するばかりか、成形時の熱安定性が悪くなり、酢酸臭
を発生したりすることがあり、一方、けん化度が高い
と、成形物の水崩壊性が低下する。これらを考慮する
と、ポリビニルアルコール系樹脂のけん化度は、通常7
0〜99.9モル%の範囲にあることが好ましく、特に
80〜99.5モル%の範囲にあることが好ましい。
【0013】本発明において用いられるポリビニルアル
コール系樹脂(A)は、熱溶融性であることが必要であ
る。ここで熱溶融性とは、熱溶融成形時において著しい
劣化やゲル化等の変質をきたすことのない成形条件を設
定し得るものであり、融点が170〜230℃のポリビ
ニルアルコール系樹脂が好ましい。融点が170℃未満
の場合は、ポリビニルアルコール系樹脂の熱安定性や、
耐水性、耐湿性、形態安定性が低下するため、問題とな
ることがある。一方、融点が230℃を超えると、ポリ
ビニルアルコール系樹脂の熱分解温度と近くなるため、
成形が困難となる場合がある。また、190℃〜230
℃の範囲のいずれかの温度で、2160g荷重における
メルトフローインデックスが0.1〜500g/10分
のものが一般的に用いられる。
【0014】さらにポリビニルアルコール系樹脂(A)
は、これらのコモノマーの種類や量、けん化度、重合度
のうち少なくとも一つが異なるポリビニルアルコール系
樹脂を混合して使用してもよい。
【0015】本発明において用いられるポリアミド樹脂
(B)は、アミド結合を有する重合体であり、その具体
例として、ポリカプロアミド(ナイロン−6)、ポリウ
ンデカンアミド(ナイロン−11)、ポリラウリルラク
タム(ナイロン−12)、ポリヘキサメチレンアジパミ
ド(ナイロン−6,6)、ポリヘキサメチレンセバカミ
ド(ナイロン−6,12)の如き単独重合体、カプロラ
クタム/ラウリルラクタム共重合体(ナイロン−6/1
2)、カプロラクタム/アミノウンデカン酸重合体(ナ
イロン−6/11)、カプロラクタム/ω−アミノノナ
ン酸重合体(ナイロン−6,9)、カプロラクタム/ヘ
キサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイ
ロン−6/6,6)、カプロラクタム/ヘキサメチレン
ジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニ
ウムセバケート共重合体(ナイロン−6/6,6/6,
12)、アジピン酸とメタキシリレンジアミンとの重合
体、あるいはヘキサメチレンジアミンとm,p−フタル
酸との重合体である芳香族系ナイロンなどを挙げること
ができる。これらのポリアミド系樹脂は単独で用いるこ
ともできるし、2種以上を混合して用いることもでき
る。
【0016】ポリビニルアルコール系樹脂との相容性の
点から、これらのポリアミド樹脂(B)のうち、ナイロ
ン6成分を含むポリアミド、例えばナイロン−6、ナイ
ロン−6,12、ナイロン−6/12共重合体、ナイロ
ン−6/6,6共重合体等が好ましい。ナイロンは融点
が高いと、組成物を製造し、あるいは組成物を成形する
際に高温で溶融させる必要が生じることから、劣化およ
びゲル化が起こり易くなり、これを抑制する観点から、
ナイロンの融点は240℃以下であることが好ましく、
さらには230℃以下であるのが好ましい。また、本発
明において好適に用いることができるポリアミド樹脂
(B)のメルトインデックス(MI)(210℃、21
60g荷重下)は、0.1〜50g/10min.であ
り、最適には0.5〜30g/10min.である。上
記において、ポリアミド樹脂の融点が210℃付近ある
いは210℃を越える場合のMIは、2160g荷重
下、融点以上の複数の温度で測定し、片対数グラフで絶
対温度の逆数を横軸、MIの対数を縦軸にプロットし、
210℃に外挿した値で表す。
【0017】本発明において用いられるエチレン−不飽
和カルボン酸共重合体またはその金属塩(C)とは、エ
チレンと不飽和カルボン酸をランダム共重合して得られ
る重合体、またはそのカルボン酸成分を中和して得られ
る金属塩(いわゆるアイオノマー)である。ここで、エ
チレンと不飽和カルボン酸はランダムに共重合している
ことが重要であり、ポリエチレンに不飽和カルボン酸を
グラフト共重合させたのでは、本発明の効果を達成する
ことはできない。その理由は明らかでないが、グラフト
共重合体と比較してランダム共重合体の方がポリアミド
樹脂(B)に対する相溶性が優れていることが考えられ
る。成分(C)のうちでも、奏される作用効果の点でエ
チレン−不飽和カルボン酸共重合体の金属塩を好ましく
用いることができる。エチレン−不飽和カルボン酸ラン
ダム共重合体よりもその金属塩の方が作用効果の点で優
れている理由は明確でないが、金属塩の方がナイロンに
対する相溶性が良好であるためと考えられる。
【0018】不飽和カルボン酸の含有量は、好ましくは
2〜15モル%、さらに好ましくは3〜12モル%であ
る。不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、
メタアクリル酸、エタアクリル酸、マレイン酸、マレイ
ン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、無水マレイン
酸などが例示され、特にアクリル酸あるいはメタアクリ
ル酸が好ましい。また、共重合体に含有されても良い他
の単量体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルの
ようなビニルエステル、アクリル酸メチル、アクリル酸
エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸イソブチ
ル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキ
シル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸イソブチ
ル、マレイン酸ジエチルのような不飽和カルボン酸エス
テル、一酸化炭素などが例示される。
【0019】アイオノマーにおける金属イオンとして
は、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金
属、亜鉛、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土
類金属が例示され、特に亜鉛を用いた場合がナイロンに
対する相溶性の点で好ましい。アイオノマーにおける中
和度は100%以下、特に90%以下、さらに70%以
下の範囲が望ましい。中和度の下限値については、通常
5%以上、特に10%以上、さらには30%以上が望ま
しい。本発明において好適に用いることができるエチレ
ン−不飽和カルボン酸ランダム共重合体またはその金属
塩のメルトインデックス(MI)(190℃、2160
g荷重下)は0.05〜50g/10分であり、さらに
好ましくは0.5〜30g/10分である。これらのエ
チレン−不飽和カルボン酸ランダム共重合体またはその
金属塩は、単独で用いることもできるし、2種以上を混
合して用いることもできる。
【0020】本発明のポリビニルアルコール系樹脂組成
物は(A)/(A+B+C)=0.5〜0.99(重量
比率)であり、かつ(B)/(B+C)=0.02〜
0.98(重量比率)であることが必要である。(A)
/(A+B+C)が0.5未満の場合には、組成物を溶
融成形して得られる成形物の水崩壊性や生分解性等のポ
リビニルアルコール系樹脂が本来有する優れた特性が大
きく損なわれる。一方、(A)/(A+B+C)が0.
99を超えると、得られる成形物の耐衝撃性、柔軟性が
低下する。(A)/(A+B+C)は0.55〜0.9
8(重量比率)であることがより好ましく、0.6〜
0.97(重量比率)であることが特に好ましい。
【0021】また、(B)/(B+C)が0.02未満
の場合には、ポリビニルアルコール系樹脂(A)とポリ
アミド樹脂(B)の相容性が低下するためか、成形物に
十分な耐衝撃性を付与することができなくなるうえに、
得られる成形物の透明性が低下することがある。一方、
(B)/(B+C)が0.98を超えると、反対に成形
物の耐衝撃性が悪くなるばかりか、成形時の熱安定性が
悪くなる。熱安定性が悪化する理由は明らかではない
が、ポリビニルアルコール系樹脂とポリアミド樹脂が反
応することが溶融安定性に悪影響を与えているものと考
えられる。耐衝撃性や熱安定性を考慮すると、(B)/
(B+C)は0.03〜0.8(重量比率)であること
が好ましく、さらには0.04〜0.6(重量比率)で
あることが好ましく、0.05〜0.5(重量比率)で
あることが特に好ましい。
【0022】本発明のポリビニルアルコール系樹脂組成
物は、ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対
し、さらに固体性可塑剤1〜50部が配合されているこ
とが望ましい。所定量の固体性可塑剤を添加すること
で、成形時の流動性をさらに改善することができる。こ
こで固体性可塑剤とは溶融成形時にはポリビニルアルコ
ール系樹脂の可塑剤として作用し、成形品を使用する際
には固体となる物質のことであり、具体的には20℃に
おいて固体であり、かつポリビニルアルコール系樹脂の
融点以上の温度においては液状となり、ポリビニルアル
コール系樹脂の成形流動性を改善しうる物質のことであ
り、さらには水分散性であることが好ましく、ポリビニ
ルアルコールと溶融混練した際に、分散性、相溶性の良
い物質であることがさらに好ましい。このような固体性
可塑剤の具体例として、固体多価アルコール、ソルビト
ール、マンニトール、ペンタエリスリトール、ジペンタ
エリスリトール等を挙げることができる。
【0023】本発明のポリビニルアルコール系樹脂組成
物には、グリセリン、ジグリセリンやそれらの誘導体、
ポリエチレングリコール、水等公知の液体可塑剤を添加
することができる。液体可塑剤は、ポリビニルアルコー
ル系樹脂組成物の成形流動性や成形物の柔軟性を改善す
ることができるが、その添加量が多過ぎると、成形物の
耐水性や耐湿性が低下したり、可塑剤が成形品表面に滲
み出たりして問題になることがある。この観点から、液
体可塑剤の添加量は、ポリビニルアルコール系樹脂
(A)の100重量部に対し20重量部未満であること
が好ましく、15重量部未満であることがさらに好まし
い。また、他の添加剤(熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化
防止剤、着色剤、滑剤、離型剤、フィラー、増量材、界
面活性剤など)を本発明の目的が阻害されない範囲で添
加することもできる。
【0024】また本発明に用いるポリビニルアルコール
系樹脂組成物およびそれを溶融成形することにより得ら
れる成形物には、本発明の目的が阻害されない範囲で、
水崩壊性、生分解性、光分解性を有する生分解性樹脂や
汎用樹脂等の他の熱可塑性樹脂を配合したり、積層する
ことができる。これらの熱可塑性樹脂には特に制限はな
く、生分解性樹脂として、ポリ乳酸、ポリエチレンサク
シネート、ポリブチレンサクシネート、ポリカプロラク
トン等を挙げることができ、汎用樹脂として、ポリエチ
レン、ポリプロピレン等のポリオレフィンのほか、ポリ
スチレン、ABS樹脂、ナイロン、ポリエステル樹脂な
どを挙げることができる。
【0025】本発明のポリビニルアルコール系樹脂組成
物の製造方法は特に限定されず、上記した成分を溶融混
練する方法が通常用いられる。各成分の溶融混練は、例
えば、(1)ポリビニルアルコール系樹脂(A)、ポリ
アミド樹脂(B)、エチレン−不飽和カルボン酸共重合
体またはその金属塩(C)を同時に単軸または二軸スク
リュー押出機などでペレット化する方法、(2)まず最
初にポリアミド樹脂(B)とエチレン−不飽和カルボン
酸共重合体またはその金属塩(C)を溶融混合し、冷却
した後、ペレット化したものをポリビニルアルコール系
樹脂(A)にドライブレンドし、単軸または二軸スクリ
ュー押出機などでペレット化する方法等により行うこと
ができる。特に、上記した(2)の、ポリアミド樹脂
(B)とエチレン−不飽和カルボン酸共重合体またはそ
の金属塩(C)を先に溶融配合してから、 ポリビニル
アルコール系樹脂(A)と溶融配合する方法が得られた
成形物の耐衝撃性等の点で好ましい。その理由は必ずし
も明らかではないが、相溶化剤として働くポリアミド樹
脂(B)とエチレン−不飽和カルボン酸共重合体または
その金属塩(C)のブレンド物を予め作製しておくこと
により、ポリビニルアルコール系樹脂(A)との相容性
が向上し、3成分からなる樹脂組成物が安定したモルフ
ォロジーを形成するためと考えられる。
【0026】本発明のポリビニルアルコール系樹脂組成
物を用いて成形物を製造するにあたっては、熱溶融成形
法を採用することができる。成形物の形状および大きさ
について特に制限はなく、用途、目的により適宜選択す
ることができ、塊状、板状、棒状、箱状、円柱状、円筒
状、ボトル、容器、カップ、シート、キャップ等の成形
物に加工される。その際の成形方法としては、一般に用
いられている各種の成形方法を使用することができ、例
えば、射出成形法、押出成形法、Tダイ押出成形法、イ
ンフレーション成形法、プレス成形法、中空成形法、真
空成形法、圧空成形法などの任意の成形方法を採用する
ことができる。
【0027】本発明のポリビニルアルコール系樹脂組成
物は、他種の材料との積層構造体の製造に有効に使用す
ることができる。本発明のポリビニルアルコール系樹脂
組成物を積層させる他の材料の具体例としては、高密
度、中密度または低密度のポリエチレン、酢酸ビニル、
アクリル酸エステル、ブテン、ヘキセンなどのα−オレ
フィン類を共重合させたポリエチレン、アイオノマー樹
脂、ポリプロピレンホモポリマー、エチレン、ブテン、
ヘキセンなどのα−オレフィン類を共重合させたポリプ
ロピレン、ゴム系ポリマーをブレンドした変性ポリプロ
ピレンなどのポリオレフィン類、あるいはこれらの樹脂
に無水マレイン酸を付加またはグラフトさせた熱可塑性
樹脂を好適な例として挙げることができる。さらに使用
可能なその他の熱可塑性樹脂として、ポリアミド系樹
脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化
ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、
ポリカーボネート樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂などを挙
げることができる。
【0028】本発明のポリビニルアルコール系樹脂組成
物は熱溶融成形性に優れており、所望の成形方法を用い
て種々の成形物を製造することができ、また得られた成
形物は、耐衝撃性、水崩壊性、耐湿性、耐久性、強度、
形態安定性に優れているため、農業用、土木用、工業
用、医療用、包装用、レジャー用、玩具、雑貨、日用
品、容器、部品などの各種の用途分野において使用する
ことができる。本発明のポリビニルアルコール系樹脂組
成物を用いて製造される成形物は、成形性、耐衝撃性、
形態安定性を損なうことなく、水崩壊性を付与すること
ができ、また生分解性を有しており、環境への負荷が少
ないことから、このような特性を活かして、打ち上げ花
火の台として好適に用いることができる。
【0029】
【実施例】以下、実施例および比較例により本発明をさ
らに詳細に説明する。なお、以下の実施例および比較例
において「部」および「%」は、特に断らない限り重量
基準を意味する。以下の実施例および比較例において、
ポリビニルアルコールの分析は、特に断りのない限りJ
IS−K6726にしたがって行った。また、ポリビニ
ルアルコール系樹脂(A)のプロピレン変性度は、プロ
ピレンと酢酸ビニルとの共重合によって得られる変性ポ
リビニルエステルを用い、500MHz H−NMR
(JEOL GX−500)装置により測定して得られ
た結果から求めた。
【0030】以下の実施例および比較例において、ポリ
ビニルアルコール系樹脂組成物から成形物を成形した時
の成形性、および得られた成形物の評価は以下のように
して行った。 (1)流動性 ペレットを射出成形した時の成形品(打ち上げ花火の
台)への樹脂の充填の程度を目視で観察し、以下の基準
で評価した。 ◎:成形温度220℃で完全に充填した。 ○:成形温度220℃では一部の成形品で未充填となっ
たので、成形温度を230℃としたところ、全ての成形
品で完全に充填した。 △:成形温度220℃、230℃ともに、一部の成形品
で未充填となった。 ×:成形温度220℃、230℃ともに、全ての成形品
で未充填となった。 (2)熱安定性 得られた成形品(打ち上げ花火の台)の外観および射出
成形時における樹脂の劣化の程度を目視で観察し、以下
の基準で評価した。 ◎:成形品に着色やゲルがほとんど認められず、樹脂の
劣化による発煙や分解臭がほとんどない。 ○:成形品に着色またはゲルがわずかに認められるか、
または樹脂の劣化による発煙や分解臭がわずかに認めら
れるが、実用上の問題はない。 △:樹脂の劣化が見られる。 ×:樹脂の劣化が著しく、連続して成形することができ
ない。 (3)水崩壊性 得られた成形品(打ち上げ花火の台)を30℃の水中に
28日間浸漬し、崩壊の程度を目視で観察した。 ◎:成形品のほとんどが崩壊しており、形態をとどめて
いない。 ○:成形品のごく一部が崩壊しているが、形態をとどめ
ている。 ×:成形品はほとんど崩壊しておらず、膨潤も極めて少
ない。もしくは全く膨潤していない。 (4)耐衝撃性 打ち上げ花火の台に砂4gの入ったポリエチレン小袋を
装着し、高さ20cm、35mmφの紙管を糊付けした
後、2.5mの高さよりコンクリート地面に落下させた
後、花火台の外観の変化を目視で観察し、以下の基準で
評価した。 ◎:打ち上げ花火台に亀裂や破断がなく、白化も認めら
れない。 ○:ごく一部に亀裂や白化が認められるが、破断はな
く、実用上の問題はない。 ×:花火台が破断した。 (5)形態安定性 打ち上げ花火の台を20℃、65%RHで28日間放置
後、変形の程度を目視で観察し、以下の基準で評価し
た。 ◎:変形が全く認められない。 ○:極くわずかに変形が認められるが、実用上の問題は
ない。 ×:かなり変形している。
【0031】実施例1 ナイロン6/12共重合体(宇部興産(株)製UBEナ
イロン7024B、以下(B)成分と略記する)5重量
部とメタクリル酸含有率7.5モル%で亜鉛中和度40
%のエチレン−メタクリル酸共重合体(以下(C)成分
と略記する)15重量部をドライブレンドした後、2軸
押出機を用い設定温度215℃で混練してペレットを作
製した。次いで、このペレットに重合度420、けん化
度97.0モル%、プロピレン変性度7.0モル%のプ
ロピレン変性ポリビニルアルコール(以下(A)成分と
略記する)80重量部、固体性可塑剤としてペンタエリ
スリトール8重量部(10部/プロピレン変性ポリビニ
ルアルコール100部)を添加し、上記と同じ条件で再
度ペレット化した。このようにして得られたペレット
を、シリンダー温度およびノズル温度がともに220
℃、金型温度50℃の条件で射出成形を行い、縦5c
m、横5cm、高さ1cm、肉厚0.08cmの箱形形
状を有する打ち上げ花火の台を作製した。成形は1ショ
ットで成形品が6個取りの金型を用いて行った。ペレッ
トから成形品を成形した時の成形性、および得られた成
形物の評価を上記した方法で行った。評価結果を表2に
示す。
【0032】実施例2〜5および比較例1〜5 (A)成分、(B)成分、(C)成分およびペンタエリ
スリトールの配合比率を表1に示すように変化させた以
外は、実施例1と同様にして打ち上げ花火の台を作製し
評価を行った。評価結果を表2に示す。
【0033】実施例6〜10および比較例6 (A)成分であるプロピレン変性ポリビニルアルコール
の重合度、けん化度およびプロピレン変性度を表1に示
すように変化させた以外は、実施例1と同様にして打ち
上げ花火の台を作製し評価を行った。評価結果を表2に
示す。
【0034】実施例11 (A)成分、(B)成分、(C)成分およびペンタエリ
スリトールを一度にドライブレンドした後、同時にペレ
ット化した以外は、実施例1と同様にして打ち上げ花火
の台を作製し評価を行った。評価結果を表2に示す。
【0035】実施例12 (A)成分、(B)成分および(C)成分をドライブレ
ンドしてペレットを作製した後、該ペレットとペンタエ
リスリトールをドライブレンドしてペレットを作製した
以外は、実施例1と同様にして打ち上げ花火の台を作製
し評価を行った。評価結果を表2に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
【発明の効果】本発明のポリビニルアルコール系樹脂組
成物は熱溶融成形性に優れており、溶融成形をすること
によって任意の形状および大きさを有する成形物を製造
することができる。このようにして得られた成形物は、
耐衝撃性、水崩壊性、耐湿性、耐久性、強度、形態安定
性に優れているため、農業用、土木用、工業用、医療
用、包装用、レジャー用、玩具、雑貨、日用品、容器、
部品などの各種の用途分野において有効に使用すること
ができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 23:08) Fターム(参考) 4F071 AA15 AA28 AA29 AA54 AA55 AA78 AF02 AF05 AF14 AF43 AF54 AH19 BA01 BB05 BC05 BC07 4J002 BB233 BE021 CH024 CL012 CL032 CL052 EC056 FD024 FD026

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素数3または4のα−オレフィンを1
    〜19モル%の割合で主鎖に含有する熱溶融性のポリビ
    ニルアルコール系樹脂(A)、ポリアミド樹脂(B)、
    エチレン−不飽和カルボン酸共重合体またはその金属塩
    (C)からなり、(A)/(A+B+C)=0.5〜
    0.99(重量比率)であり、かつ(B)/(B+C)
    =0.02〜0.98(重量比率)であるポリビニルア
    ルコール系樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 ポリビニルアルコール系樹脂(A)10
    0重量部に対し、さらに固体性可塑剤が1〜50重量部
    添加されている請求項1に記載のポリビニルアルコール
    系樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載のポリビニルア
    ルコール系樹脂組成物を溶融成形することにより得られ
    る成形物。
  4. 【請求項4】 成形物が打ち上げ花火の台である請求項
    3に記載の成形物。
  5. 【請求項5】 エチレン−不飽和カルボン酸共重合体ま
    たはその金属塩(C)とポリアミド樹脂(B)を溶融混
    練した後、ポリビニルアルコール系樹脂(A)を溶融混
    合することを特徴とする請求項1に記載のポリビニルア
    ルコール系樹脂組成物の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105860255A (zh) * 2016-04-28 2016-08-17 湖南临空机电有限公司 一种烟花底座材料及烟花底座制备方法
WO2023127699A1 (ja) * 2021-12-27 2023-07-06 株式会社クラレ 変性ビニルアルコール系重合体およびその製造方法

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