JP2003277314A - ジカルボン酸の製法 - Google Patents

ジカルボン酸の製法

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JP2003277314A
JP2003277314A JP2002083208A JP2002083208A JP2003277314A JP 2003277314 A JP2003277314 A JP 2003277314A JP 2002083208 A JP2002083208 A JP 2002083208A JP 2002083208 A JP2002083208 A JP 2002083208A JP 2003277314 A JP2003277314 A JP 2003277314A
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dicarboxylic acid
ketone
light
oxygen
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JP2002083208A
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Morimasa Arakawa
守正 荒川
Honritsu Ryu
本立 龍
Kazuhiro Maruyama
和博 丸山
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Nard Institute Ltd
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Nard Institute Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アジピン酸などに代表される両末端脂肪族ジ
カルボン酸を、簡便な方法で効率よく安価に製造するこ
とのできる方法を提供すること。 【解決手段】 シクロアルカンを骨格成分として含む脂
環族化合物をケトン系溶剤に溶解乃至分散させ、これ
に、酸素の存在下で200〜400nm程度の波長域の
光を照射することにより、開環と酸化を行ってジカルボ
ン酸を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規なジカルボン酸
の製法に関し、特に、脂環族化合物を出発原料として簡
便な方法で分子の両末端にカルボキシル基を有する脂肪
族ジカルボン酸を効率よく製造することのできる方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えばアジピン酸等の脂肪族ジカルボン
酸を製造する方法としては、例えば下記式に示す如く、
ベンゼンをNi触媒などの存在下で水素化してシクロア
ルカンであるシクロヘキサンとした後、これをコバルト
触媒等の存在下に酸化性雰囲気中で加熱することにより
酸化してシクロヘキサノールとシクロヘキサノンの混合
物を得、これを硝酸の如き酸化性の酸で開環・酸化させ
る方法、などが古くから知られている(「有機工業化学
概論」培風館より昭和58年6月15日発行、第96頁
など)。
【0003】
【化1】
【0004】しかしこれらの方法は、工程数が多く且つ
金属触媒や強酸などの使用に伴う操作の煩雑性などに加
えて、工程毎に行われる分離・精製で目的物の収率がか
なり低くなるなど、多くの問題を抱えており、結果とし
て脂肪族ジカルボン酸の製造コストは意外に高い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の様な状
況の下でなされたものであって、その目的は、アジピン
酸などに代表される飽和脂肪族ジカルボン酸を簡便な方
法で効率よく安価に製造することのできる方法を提供す
ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すること
のできた本発明にかかるジカルボン酸の製法とは、シク
ロアルカンを骨格成分として含む脂環族化合物をケトン
系溶剤に溶解乃至分散させ、これに、酸素の存在下で光
照射するところに特徴を有している。
【0007】この方法を実施するに当っては、照射光と
して200〜400nmの波長領域のものを使用するの
がよく、またこの反応は、ケトン系溶剤中への酸素の溶
存量を高めるため、0℃以上35℃以下の温度域で行う
ことが望ましい。更に、反応雰囲気を適度に加圧し、ケ
トン系溶剤中への酸素の溶解度を高めることは、反応効
率を高める上で極めて有効である。
【0008】また、ケトン系溶剤として最も汎用性の高
いのは、アセトン、メチルエチルケトン、アセトフェノ
ン、ベンゾフェノン、ジ−t−ブチルケトンであり、こ
れらのケトン系溶剤は、単独で使用し得ることは勿論の
こと、必要により2種以上を適宜組み合わせた混合溶剤
として使用することも可能である。
【0009】本発明によれば、シクロアルカンを骨格成
分として含む脂環族化合物を出発原料とし、これを開環
すると共に両末端にカルボキシル基を有するジカルボン
酸を一工程で簡単に製造することができ、また副生物を
殆ど生じることがなく、しかも金属系触媒や酸等を使用
しないので後処理も簡単で目的物を高収率で得ることが
できる。更に、ケトン系溶剤は回収して繰り返し使用で
きるので極めて経済的であるなど、従来法に較べて様々
の利益を享受できる。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明で出発物質として用いるシ
クロアルカンを骨格成分として含む脂環族化合物とは、
環状構造の飽和炭化水素を骨格成分とする化合物をい
い、骨格成分は単環状のほか、2以上の多環構造を含む
ものであってもよく、またシクロアルカン骨格に炭素数
1〜6程度の低級アルキル基などが置換されたものであ
ってもよい。
【0011】この様な脂環族化合物の具体例としては、
シクロブタン(C48)、シクロペンタン(C
510)、シクロヘキサン(C612)、シクロヘプタン
(C714)、シクロオクタン(C816)、シクロノナ
ン(C918)、シクロデカン(C1020)、シクロド
デカン(C1224)、シクロトリデカン(C1326)、
シクロテトラデカン(C1428)などの単環状シクロア
ルカン類;或いはノルボルナンなどの多環状シクロアル
カン類;更にはそれらのアルキル置換体(例えばメチル
シクロヘキサンなど)が例示される。
【0012】これらの中でも、出発原料として経済的で
且つ汎用性の高いのは、シクロペンタン、シクロヘキサ
ン、シクロヘプタン、シクロオクタン、ノルボルナンお
よびそれらのC1〜C5アルキル置換体である。
【0013】また、本発明で使用するケトン系溶剤とし
ては、アセトン、メチルエチルケトン、アセトフェノ
ン、ベンゾフェノン、メチルイソブチルケトン、ジ−t
−ブチルケトン、2−ペンタノン、2−ヘキサノン、2
−ヘプタノン、4−ヘプタノン、1,3−ジアセチルベ
ンゼンなどが例示され、これらは単独で使用し得るほ
か、必要により2種以上の混合溶剤として使用すること
もできる。上記ケトン系溶剤の中でも特に好ましいの
は、アセトン、メチルエチルケトン、アセトフェノン、
ベンゾフェノン、ジ−t−ブチルケトン等である。
【0014】本発明において、溶剤としてケトン系溶剤
を使用することで酸化による開環とカルボキシル化が効
率よく進行する理由は、現在のところ理論的に究明され
た訳ではないが、ケトンのカルボニル基が光で励起され
ることによって生じると考えられるC+−O-への分極反
応と、それによる−CH2−からのH引抜き反応、更に
は共存する酸素による酸化反応が、シクロアルカンの開
環反応とジカルボン酸の生成反応に何らかの影響を及ぼ
しているものと推測される。
【0015】いずれにしても、本発明者らが確認したと
ころでは、アルコール系溶剤やエステル系溶剤、芳香族
系溶剤を用いたのでは、たとえ酸素共存下で光照射を行
ったとしても、本発明で意図するような開環とカルボキ
シル化反応は殆ど進行しないことから、ケトン系溶剤が
上記反応に少なからず影響を及ぼしているものと思われ
る。
【0016】上記ケトン系溶剤の使用量は特に制限され
ないが、好ましいのは、基質となる前記脂環族化合物を
完全溶解し得る量であり、好ましくは、質量比で脂環族
化合物1に対し0.2以上、10以下、より好ましくは
0.5以上、2以下である。反応温度は0〜35℃の範
囲が好ましく、より好ましくは10〜20℃で、室温付
近でも反応は十分に進行する。この際、反応を促進させ
るため機械的攪拌や超音波を使用することも有効であ
る。
【0017】本発明で行われる開環・酸化反応は、酸素
の存在下で行うことが不可欠であり、反応系内を酸素置
換した状態で行ってもよいし、反応液中に酸素を吹込み
ながら反応を進めることも勿論有効である。特に、反応
を酸素加圧下で行えば、反応液中への酸素の溶解量が増
大し反応が一層効率よく進行するので好ましい。尚、酸
素ガスに代えて空気を使用することもできるが、反応を
効率よく進める上でより好ましいのは酸素ガスである。
【0018】本発明では、開環・酸化反応を進めるため
に光を照射しなければならず、該光には紫外線、可視光
線、或いはこれらを含む太陽光など含まれるが、反応を
促進する上で好ましいのは200〜400nm、より好
ましくは250〜350nmの波長域の紫外線である。
光照射法に格別の制限はなく、要は反応系に上記光を作
用せしめ得る限り、反応容器の上方から照射する方法、
透明な反応容器の側方から照射する方法、反応容器に光
照射用の窓を設けておき該窓から照射する方法など、ど
の様な方法を採用しても構わない。この際、集光装置を
使用し照射光を収束して照射すれば、反応を一層加速さ
せることができるので好ましい。窓やレンズを用いて光
照射を行う際には、紫外線吸収性の小さい石英ガラスを
使用すれば、照射光による反応が一段と効率よく進行す
るので好ましい。
【0019】反応時間は、反応系の出発物質の濃度や反
応温度、圧力、照射光量、酸素吹込み量等によっても変
わってくるので一律に決めることはできないが、開環と
ジカルボン酸生成反応は20〜200時間程度、通常は
100時間程度で完了する。反応を酸素加圧下に石英ガ
ラスを通して光照射すれば、反応速度は更に高められ
る。
【0020】本発明では、前述の如くケトン系溶剤と酸
素および光のみを用いて反応を行う方法であるから、反
応生成物は実質的に目的物と未反応の脂環族化合物のみ
で、副反応物は殆ど生成せず、脂環族化合物はケトン系
溶剤に可溶性であるから、反応終了後は、目的物が固体
の場合は濾過するだけで回収することができる。よって
目的物がケトン系溶剤に不溶性である場合は、ケトン系
溶剤と未反応物を揮発除去するだけで目的物を回収でき
る。目的物が比較的結晶化し難いジカルボン酸である場
合は、常法に従って精製することによってより高純度の
目的物を得ることも勿論可能である。
【0021】なお、反応液から回収したケトン系溶剤の
大半は精製して繰り返し使用できるし、未反応物も再使
用できる。従って、例えば結晶性のジカルボン酸を濾過
分離した後の濾液として得られる未反応物を含むケトン
系溶剤もそのまま再利用することができる。
【0022】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限
を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範
囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、そ
れらは何れも本発明の技術的範囲に包含される。
【0023】実施例1 100mlのナス型フラスコに、シクロヘキサン1.6
8gとアセトン1.68gを仕込んで酸素の入ったゴム
風船につなぎ、外気温10〜15℃の屋上に2週間放置
したところ、結晶状のアジピン酸1.4gが得られた。
融点;149〜150℃。
【0024】実施例2 100mlのエルレンマイヤーフラスコに、シクロオク
タン1.12gとアセトフェノン1.20gを仕込んで
50mlのビーカーで蓋をし、外気温10〜15℃の屋
上に2週間放置したところ、結晶状のスベリン酸1.2
gが得られた。融点;139〜140℃。
【0025】
【発明の効果】本発明は以上のように構成されており、
シクロアルカンを骨格成分として含む脂環族化合物を出
発原料とし、ケトン系溶剤を用いた簡便な方法で分子両
末端にカルボキシル基を有する高純度のジカルボン酸を
高収率で製造することができる。
【0026】特に本発明によれば、原料として用いるケ
トン系溶剤と少量残存することのある未反応物以外は実
質的に脂環族化合物のみであるから、その精製なども著
しく簡素化でき、また、ケトン系の反応溶剤の大半と未
反応物は繰り返し使用できるので、使用原料のロスが極
めて少なく工業的にも極めて有用な方法である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 丸山 和博 京都市左京区静市市原町910−53 Fターム(参考) 4H006 AA02 AB46 AC46 BA95 BB16 BC11 BE30 BS10

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シクロアルカンを骨格成分として含む脂
    環族化合物をケトン系溶剤に溶解乃至分散させ、これ
    に、酸素の存在下で光照射することを特徴とするジカル
    ボン酸の製法。
  2. 【請求項2】 照射光として、波長200〜400nm
    の光を使用する請求項1に記載の製法。
  3. 【請求項3】 加圧下で反応を行う請求項1または2に
    記載の製法。
  4. 【請求項4】 ケトン系溶剤としてアセトン、メチルエ
    チルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ジ−t
    −ブチルケトンよりなる群から選択される少なくとも1
    種を使用する請求項1〜3のいずれかに記載の製法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114573441A (zh) * 2020-12-02 2022-06-03 中国科学院大连化学物理研究所 一种催化环己烯氧化制备己二酸的方法

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