JP2003272639A - 固体酸化物型燃料電池 - Google Patents

固体酸化物型燃料電池

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JP2003272639A
JP2003272639A JP2002068490A JP2002068490A JP2003272639A JP 2003272639 A JP2003272639 A JP 2003272639A JP 2002068490 A JP2002068490 A JP 2002068490A JP 2002068490 A JP2002068490 A JP 2002068490A JP 2003272639 A JP2003272639 A JP 2003272639A
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Takashi Yamada
喬 山田
Jun Akikusa
順 秋草
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Kansai Electric Power Co Inc
Mitsubishi Materials Corp
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Kansai Electric Power Co Inc
Mitsubishi Materials Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 固体酸化物型燃料電池の耐久性を向上する。 【解決手段】 固体電解質層3の両面に燃料極層4と空
気極層2を配して構成した発電セル1を備える固体酸化
物型燃料電池において、前記燃料極層4の配合組成比を
層方向に傾斜させて構成する。上記燃料極層4の構成に
より、燃料極層4と固体電解質層3との耐剥離性が改善
されると共に、Ni等、燃料極層4の金属材料が固体電
解質層側へ拡散されるのが抑制されるため発電セル1の
発電特性が改善され、固体酸化物型燃料電池の耐久性が
向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、固体電解質層の両
面に燃料極層と空気極層を配して構成した発電セルを備
える固体酸化物型燃料電池に関し、特に、固体酸化物型
燃料電池の耐久性向上に関するものである。
【0002】
【従来の技術】酸化物イオン伝導体からなる固体電解質
層を空気極層(酸化剤極層)と燃料極層との間に挟んだ
積層構造を持つ固体電解質型燃料電池は、第三世代の発
電用燃料電池として開発が進んでいる。固体電解質型燃
料電池では、空気極側に酸素(空気)が、燃料極側には
燃料ガス(H2 、CO等)が供給される。空気極と燃料
極は、ガスが固体電解質との界面に到達することができ
るように、いずれも多孔質とされている。
【0003】空気極側に供給された酸素は、空気極層内
の気孔を通って固体電解質層との界面近傍に到達し、こ
の部分で、空気極から電子を受け取って酸化物イオン
(O2-)にイオン化される。この酸化物イオンは、燃料
極の方向に向かって固体電解質層内を拡散移動する。燃
料極との界面近傍に到達した酸化物イオンは、この部分
で、燃料ガスと反応して反応生成物(H2 O、CO2
等)を生じ、燃料極に電子を放出する。
【0004】燃料に水素を用いた場合の電極反応は次の
ようになる。 空気極: 1/2 O2 + 2e- → O2- 燃料極: H2 + O2- → H2 O+2e- 全体 : H2 + 1/2 O2 → H2
【0005】固体電解質層は、酸化物イオンの移動媒体
であると同時に、燃料ガスと空気を直接接触させないた
めの隔壁としても機能するので、ガス不透過性の緻密な
構造となっている。この固体電解質層は、酸化物イオン
伝導性が高く、空気極側の酸化性雰囲気から燃料極側の
還元性雰囲気までの条件下で化学的に安定で、熱衝撃に
強い材料から構成する必要があり、かかる要件を満たす
材料として、イットリアを添加した安定化ジルコニア
(YSZ)が一般的に使用されている。
【0006】一方、電極である空気極(カソード)層と
燃料極(アノード)層はいずれも電子伝導性の高い材料
から構成する必要がある。空気極材料は、700℃前後
の高温の酸化性雰囲気中で化学的に安定でなければなら
ないため、金属は不適当であり、電子伝導性を持つペロ
ブスカイト型酸化物材料、具体的にはLaMnO3 もし
くはLaCoO3 、または、これらのLaの一部をS
r、Ca等に置換した固溶体が一般に使用されている。
また、燃料極材料は、Ni、Coなどの金属、或いはN
i−YSZ、Co−YSZなどのサーメットが一般的で
ある。尚、上記固体電解質層の素材については従来より
多くの研究が成され、且つ、燃料極層についても様々な
改良が成されながら現在に至っている。
【0007】図4は、従来の固体酸化物型燃料電池にお
ける発電セルの内部構造を示しており、図中、符号2は
空気極層、符号3は固体電解質層、符号4は燃料極層で
ある。従来では、本図に示すように固体電解質層3上に
1層で成る燃料極層4を形成した構造の発電セル1が一
般的である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記単層構
造の燃料極層4を有する発電セル1にあっては、短期発
電試験においては優れた発電特性(電流−電圧−電力特
性)を示すものの、長期発電試験においては耐久性の面
で問題を残していた。
【0009】いわゆる、固体酸化物型燃料電池の発電セ
ルは、実用に供するには4〜5万時間の耐久性が必要と
されているが、図4に示す従来構造の発電セル1の場合
は100時間程度の耐久試験で発電特性の劣化が認めら
れる。劣化の主な原因としては、固体電解質層3と電極
層(特に燃料極層4)の剥離現象や、固体電解質層3と
電極層間における金属元素の相互拡散等が考えられる。
【0010】すなわち、燃料極層4の剥離については、
燃料極層4に含まれるNi等の金属が酸化物の状態で固
体電解質層に焼き付けられ、発電時の還元による焼結収
縮で燃料極層4が固体電解質層から剥離してしまうため
と考えられ、また、燃料極層4の材料であるNi等が固
体電解質層中を拡散することにより固体電解質層3の性
能が低下すると考えられる。
【0011】本発明は、上記した従来の問題点に鑑み、
発電セルの発電特性を改善し、耐久性の向上を図った固
体酸化物型燃料電池を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】すなわち、請求項1に記
載の本発明は、固体電解質層(3)の両面に燃料極層
(4)と空気極層(2)を配して構成した発電セル
(1)を備える固体酸化物型燃料電池において、前記燃
料極層(4)の配合組成比を層方向に傾斜させて成るこ
とを特徴としている。
【0013】また、請求項2に記載の本発明は、固体電
解質層(3)の両面に燃料極層(4)と空気極層(2)
を配して構成した発電セル(1)を備える固体酸化物型
燃料電池において、前記燃料極層(4)が、各々の配合
組成比が層方向に傾斜するように積層された2層以上の
燃料極層(4a、4b、4c)で構成されることを特徴
としている。
【0014】また、請求項3に記載の本発明は、請求項
1または請求項2の何れかに記載の固体酸化物型燃料電
池において、前記燃料極層(4)は、配合組成がNiと
CeSmO2 (サマリウム添加セリア)の混合体で成
り、且つ、前記固体電解質層(3)との境面近傍ではN
iの混合量をCeSmO2 より少なくし、徐々にNiの
混合比を増やしていくことを特徴としている。
【0015】上記構成により、燃料極層(4)と固体電
解質層(3)との耐剥離性が改善されると共に、Ni
等、燃料極層(4)の金属材料が固体電解質層側へ拡散
する現象が抑制されるため発電セルの発電特性が改善さ
れ、固体酸化物型燃料電池の耐久性が向上する。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、図1、図2に基づいて本発
明の一実施形態を説明する。ここで、図1は本発明が適
用された発電セルの構造を示す断面図、図2は図1の発
電セルの発電特性を示す図である。
【0017】図1に示すように、本実施形態の発電セル
1は、空気極層2、固体電解質層3、燃料極層4で構成
され、固体電解質層3を挟み込むようにその両面にそれ
ぞれ空気極層2と燃料極層4が配設されている。更に、
この燃料極層4は、各々配合組成比において層方向に傾
斜を持たせた燃料極層4a、燃料極層4b、燃料極層4
cの三層構造にて形成されている。本実施形態では、こ
の燃料極層4の組成としてNiとCeSmO2 (サマリ
ウム添加セリア)を混合したものを用い、固体電解質層
3との界面近傍の層ではNiの混合量をCeSmO2
り少なくし、層方向に向けて徐々にNiの混合比を増加
するようにしている。
【0018】尚、上記燃料極層4の形成には、ドクター
ブレード法、スクリーン印刷法、カーテンコート法、ス
ピンコート法等、従来公知の様々な成形方法が適用可能
である。
【0019】本実施形態では、燃料極層4aは、Niと
CeSmO2 の混合比において、Ni量がCeSmO2
に対し0〜60vol%とし、燃料極層4bは、燃料極
層4aに比べてNi量が多い5〜70vol%とし、燃
料極層4cは、更に燃料極層4bに比べてNi量が多い
10〜80vol%とした。
【0020】このように、固体電解質層3の界面近傍で
は燃料極材料のNi混合量を少なくして緻密構造とし、
固体電解質層3との接触性を向上することで、固体電解
質層3と燃料極層4の耐剥離性を改善することができ
る。また、緻密構造とすることにより、固体電解質層3
と燃料極層4との界面の接触抵抗が低下し発電セル1の
内部抵抗を減少できることと、界面近傍におけるNiの
混合量を少なくすることでNiの固体電解質層3への拡
散量が減少することにより、発電セル1の発電特性が改
善され、固体酸化物型燃料電池の耐久性を向上すること
ができる。そして、燃料極層4の配合組成を上記混合比
範囲内で層方向に傾斜させることにより、燃料極材料に
おける総合的なNiとCeSmO2 の組成量を発電効率
の良い好適な値に維持することができる訳である。
【0021】
【実施例】上記した本発明の効果を確認するため、実施
例と比較例で示す発電セルの耐久性試験を行い、各々の
発電特性を調査した。
【0022】〔実施例〕図1において、空気極層2の材
料をSm0.5 Sr0.5 CoO3 とし、固体電解質層3の
材料をLa0.8 Sr0.2 Ga0.8 Mg0.15Co0.053
とし、燃料極層4aの配合組成をNi(0vol%)/
Ce0.8 Sm0.2 2(100vol%)とし、燃料極
層4bの配合組成をNi(10vol%)/Ce0.8
0.2 2 (90vol%)とし、燃料極層4cの配合
組成をNi(40vol%)/Ce0.8 Sm0.2
2 (60vol%)として発電セルを作製し、その発電
特性を図2に示した。
【0023】〔比較例〕図4において、空気極層2およ
び固体電解質層3の材料は、上記実施例と同様とし、燃
料極層4の配合組成をNi(60vol%)/Ce0.8
Sm0.2 2 (40vol%)として発電セルを作製
し、その発電特性を図5に示した。
【0024】図2と図5から明らかなように、耐久試験
の結果、従来の発電セルでは10時間未満で急激な性能
劣化(電圧低下)が認めらるが、本発明の発電セルでは
300時間を経ても性能の劣化は極めて小さいことか
ら、本発明の構成により耐久性が大幅に改善されること
が確認できた。
【0025】以上説明した実施形態では、燃料極層4を
各々配合組成の異なる三層構造としたが、燃料極層の構
造は三層に限定されるものではなく、要は配合組成比を
層方向に傾斜させた燃料極層を形成できれば良い。この
配合組成比の傾斜形態の例を示せば、図3(a)〜
(d)の通りである。図3中、(a)は積層傾斜(階段
状)、(b)は(a)の積層界面に形状(例えば、波
形)を付与、(c)は連続的組成傾斜(スロープ状)、
(d)は(a)と(c)の混在である。ここで、符号1
は発電セルを示し、符号2は空気極層を示し、符号3は
固体電解質層、符号4は燃料極層を示す。尚、各図の右
側に記した線図形は、それぞれ配合組成比の傾斜状態を
分かり易くするために図式的に示したものである。ま
た、Niと配合する材料としてCe0.8 Sm0.2 2
限定されるものではなく、要は酸化物イオン導電体また
は混合イオン導電体であれば良い。例えば、ランタンガ
レート、安定化ジルコニア等である。
【0026】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
燃料極層の配合組成比を層方向に傾斜させて構成したの
で、燃料極層と固体電解質層との耐剥離性が改善される
と共に、Ni等、燃料極層の金属材料が固体電解質層側
へ拡散されるのが抑制されることになり、これにより発
電セルの発電特性が改善され、固体酸化物型燃料電池の
耐久性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用された発電セルの構造を示す断面
図。
【図2】図1の発電セルの発電特性を示す図。
【図3】燃料極層の配合組成比の傾斜状態の例を示す
図。
【図4】従来の発電セルの構造を示す図。
【図5】図4の発電セルの発電特性を示す図。
【符号の説明】
1 発電セル 2 空気極層 3 固体電解質層 4(4a〜4c) 燃料極層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 秋草 順 茨城県那珂郡那珂町向山1002−14 三菱マ テリアル株式会社総合研究所那珂研究セン ター内 Fターム(参考) 5H018 AA06 AS02 DD10 EE02 EE13 HH05 5H026 AA06 EE02 EE13 HH05

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固体電解質層(3)の両面に燃料極層
    (4)と空気極層(2)を配して構成した発電セル
    (1)を備える固体酸化物型燃料電池において、前記燃
    料極層(4)の配合組成比を層方向に傾斜させて成るこ
    とを特徴とする固体酸化物型燃料電池。
  2. 【請求項2】 固体電解質層(3)の両面に燃料極層
    (4)と空気極層(2)を配して構成した発電セル
    (1)を備える固体酸化物型燃料電池において、前記燃
    料極層(4)が、各々の配合組成比が層方向に傾斜する
    ように積層された2層以上の燃料極層(4a、4b、4
    c)で構成されることを特徴とする固体酸化物型燃料電
    池。
  3. 【請求項3】 前記燃料極層(4)は、配合組成がNi
    とCeSmO2 (サマリウム添加セリア)の混合体で成
    り、且つ、前記固体電解質層(3)との界面近傍ではN
    iの混合量をCeSmO2 より少なくし、徐々にNiの
    混合比を増やしていくことを特徴とする請求項1または
    請求項2の何れかに記載の固体酸化物型燃料電池。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005235549A (ja) * 2004-02-19 2005-09-02 Mitsubishi Materials Corp 固体酸化物形燃料電池
JP2015053162A (ja) * 2013-09-06 2015-03-19 日本碍子株式会社 燃料電池
JP2017145445A (ja) * 2016-02-16 2017-08-24 国立大学法人九州大学 電気化学セル用電極及び電気化学セル

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