JP2003270200A - 水素ガスセンサー及びそれを用いた水素ガスセンシング方法 - Google Patents
水素ガスセンサー及びそれを用いた水素ガスセンシング方法Info
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Abstract
左右されず、特に乾燥状態においても敏速に正常作動
し、かつ幅広い温度領域において使用可能で、従来にな
い低消費電力とガス選択性を実現することができる、水
素ガスセンサー及びそれを用いた水素ガスセンシング方
法を提供すること。 【解決手段】 炭素原子を主成分とするクラスターの炭
素原子に少なくとも一つのプロトン解離性の基を導入
し、これによって得られたクラスター誘導体によって構
成されたプロトン伝導体を用いることを特徴とする水素
ガスセンサー。水素含有ガスを供給する工程と;前記水
素をプロトンに分解する工程と;前記プロトンが、炭素
原子を主成分とするクラスターの炭素原子に少なくとも
一つのプロトン解離性の基を導入し、これによって得ら
れたクラスター誘導体によって構成されたプロトン伝導
体を移動することにより生じた起電力を測定する工程
と;を有する水素ガスセンシング方法。
Description
及びそれを用いた水素ガスセンシング方法に関するもの
である。
はもちろん、電力発生など多岐に渡ってガソリン、軽油
などの化石燃料が用いられてきた。この化石燃料の利用
により、人類は飛躍的な生活水準の向上や産業の発展を
享受した。
破壊の脅威にさらされ、さらに化石燃料の長期的安定供
給にも疑問が投げかけられている。そこで、化石燃料に
代わる代替クリーンエネルギーとして水素燃料が注目さ
れている。これは水素燃料が燃焼後には水のみを発生さ
せるためである。
テムを構成するうえで、水素の濃度を検出する必要性は
高い。特に、システムの安全性を確保する上での役割は
重要で、水素ガスの漏れ検出や水素の希釈ガスが爆発限
界以下であることをチェックする等の局面は多分にでて
くると考えられる。
うに、酸化物半導体の一つである酸化スズの表面に吸着
している酸素(電気抵抗が大きい)と、水素ガスとの反
応に伴い生成される酸化スズ(電気抵抗が小さい)との
電気抵抗の変化を検出し、水素の濃度を算出している。
素ガスセンサーは、上述したように、酸化物半導体の一
つである酸化スズの表面に吸着している酸素と、水素ガ
スとの反応に伴う酸化スズとの電気抵抗の変化を検出し
ているが、このために酸素分子の吸脱着を十分に起こさ
せることが重要であり、これにはセンサー素子を400
℃程度に加熱する必要がある。これは、消費電力を大幅
に増加させると同時に、素子を耐熱構造にする必要があ
る等の問題が避けられない。さらに、水素ガスの他にも
メタンガス、一酸化炭素等の可燃性ガスにも応答してし
まうという問題も抱えている。
(水素イオン)伝導体を用いた水素ガスセンサーも知ら
れているが、この場合は素子全体を高温に曝す必要があ
り、これにより材料特性が劣化することあり、また、炭
化水素ガス等と容易に反応して分解し、水素濃度の測定
精度が低下する或いは測定が不可能になるといった問題
がある。
構成するには、常温で安定に動作する固体プロトン伝導
体が不可欠である。この固体プロトン伝導体としては、
パーフルオロスルホン酸樹脂(例えばDoPont社
製、商品名Nafion(R)等)に代表される高分子
固体電解質が挙げられ、これは湿潤状態に置かれると、
常温付近で高いプロトン伝導性を示す。
とると、そのスルホン酸基より電離したプロトンは、高
分子マトリックス中に大量に取り込まれている水分と結
合(水素結合)してプロトン化した水、つまりオキソニ
ウムイオン(H3O+)を生成し、このオキソニウムイオ
ンの形態をとってプロトンが高分子マトリックス内をス
ムーズに移動することができるので、この種のマトリッ
クス材料は常温下でもかなり高いプロトン伝導効果を発
揮できる。
脂は、湿潤状況下でのみプロトン伝導性を示すために乾
燥条件下では機能させることができない。
ることが期待されるが、乾燥条件下で保存された後に使
用する場合には、電解質全体を湿潤させるための時間が
かかり、始動特性が重視されるセンサーには不適であ
る。また、ナフィオン等のパーフルオロスルホン酸樹脂
は、水のドリフト(流動)や回転がプロトン伝導に本質
的に寄与しているため、氷点下の環境下では水分の凍結
が起こり、一方100℃以上の環境下では水分の沸騰が
起こるためにプロトン伝導性を殆ど示さず、センサーの
使用温度範囲が限定されるという問題もある。さらに、
ナフィオンは水素透過性があり、かつ湿度依存性を持つ
ために、特に水素濃度の高い領域でのセンサーの定量性
に影響を及ぼす。
るためになされたものであって、その目的は、極めてシ
ンプルな構造であり、水分の有無に左右されず、特に乾
燥状態においても敏速に正常作動し、かつ室温付近から
300℃程度の幅広い温度領域において使用可能で、従
来にない低消費電力とガス選択性を実現することができ
る、水素濃度を測定する水素ガスセンサーを提供するこ
とにある。
子を主成分とするクラスターの炭素原子に少なくとも一
つのプロトン(H+)解離性の基を導入し、これによっ
て得られたクラスター誘導体によって構成されたプロト
ン伝導体を用いることを特徴とする水素ガスセンサーに
係るものである。
記水素をプロトンに分解する工程と;前記プロトンが、
炭素原子を主成分とするクラスターの炭素原子に少なく
とも一つのプロトン(H+)解離性の基を導入し、これ
によって得られたクラスター誘導体によって構成された
プロトン伝導体を移動することにより生じた起電力を測
定する工程と;を有する水素ガスセンシング方法に係る
ものである。
+)の解離」とは、電離によりプロトンが官能基から離
れることを意味し、「プロトン解離性の基」とは、プロ
トンが電離により離脱し得る官能基を意味する。
炭素原子を主成分とするクラスターの炭素原子に少なく
とも一つのプロトン解離性の基を導入し、これによって
得られたクラスター誘導体によって構成されているの
で、乾燥環境下でも良好なプロトン伝導特性を示す。従
って、本発明の水素ガスセンサーの動作及びその始動特
性において湿度に関する制約がなく、真空を含む乾燥環
境下での使用が可能となる。但し、前記プロトン伝導体
は、乾燥状態で十分なプロトン伝導性を示すが、水分が
存在していても差支えない(この水分は外部から浸入し
たものでもよい)。
い温度域(少なくとも約160℃〜−40℃の範囲)に
わたって高プロトン伝導性を発揮することが可能であ
り、より広い温度領域においてセンサーを動作させるこ
とができる。
あり、基本的に化学的にも安定である。このクラスター
の炭素原子に少なくとも一つの前記基を導入して得られ
る前記クラスター誘導体の中には、300℃以上の状況
下においても構造・化学的な安定性を有するものもあ
り、過酷な高温下でのセンサー動作も可能となる。
働くために、例えば緻密な膜を形成することができる。
その結果、水素ガスの透過を最小限に抑えることがで
き、幅広い水素濃度領域において正確な測定を行うこと
が可能となる。
めてシンプルな構造であり、水分の有無に左右されず、
特に乾燥状態でも敏速に正常作動し、かつ幅広い温度領
域において使用可能であり、従来にない低消費電力とガ
ス選択性を実現する、高機能な水素ガスセンサーであ
る。
は、水素ガスをプロトンに分解する触媒と、前記触媒に
より分解されたプロトンが前記プロトン伝導体を移動す
ることによって生じる起電力を測定する起電力測定手段
とを有することが望ましい。
る前記触媒、例えば白金などを有する第1極と、第2極
と、これらの両極間に挟持された前記プロトン伝導体
と、前記第1極と第2極の間に生じた起電力を測定する
前記起電力測定手段とを有する構造であることが望まし
い。そして、前記第1極の前記プロトン伝導体が配され
ていない面側に、測定対象となる水素含有ガスが供給さ
れるか或いは水素含有ガスで満たされることが好まし
い。
前記プロトン伝導体を移動してきた前記プロトンを水素
ガスに還元する触媒を有していることが好ましく、前記
触媒としては、例えば白金などが挙げられる。
とが好ましく、前記クラスター間には強い凝集力が働
き、緻密な膜を形成することができるので、例えば、厚
さ300μm以下の薄膜としても、水素ガスの透過を最
小限に抑えることができ、より幅広い水素濃度領域にお
いて正確な測定を行うことができる。
1の概略断面図である。
ロトン伝導体2としての例えばC60(OSO3H)m(O
H)n(但し、m+n=10〜12)の両側に、前記第
1極としての白金担持カーボン3及び前記第2極として
の白金担持カーボン4が配されている。また、第1極3
側には水素含有ガスが配され、第2極4側には1atm
の水素ガスが供給される。なお、第1極3上及び第2極
4上では下記に示すような反応が生じる。
プロトン(水素イオン)が、プロトン伝導体2中の図面
矢印方向に沿って第1極3から第2極4へと移動し、第
2極4上で再び水素ガスへと還元される。
2極4のプロトン伝導体2が配されていない側に接触す
るガスの水素分圧値が予め分っており、また、前記プロ
トンを水素ガスに還元する反応の参照電位が規定可能で
あり、第1極3及び第2極4の間の起電力を測定し、前
記水素含有ガス中の水素濃度を算出する手段を有するこ
とが好ましい。
或いは抵抗を介して接続し、その際に誘起される電流値
を測定する手段を有していてもよい。
極3の隣接領域に、水素の拡散律速を起こす拡散層を有
し、第1極3及び第2極4の間に一定の電圧を印加した
際の限界電流値を測定することで、前記水素含有ガス中
の水素濃度を算出する手段を有していてもよい。前記拡
散層を設置することにより、第1極3に供給される前記
水素含有ガス量が一定となり、より効果的に水素濃度の
測定を行うことが可能となる。
電池への水素リーク量又は水素供給濃度、或いは水素配
管からの水素リーク量を検出するために、前記燃料電池
又は前記水素配管に近接配置されることが好ましい。
1の使用例を示す概略図である。
を構成する、水素極5と空気極6の間に膜状のプロトン
伝導体2’が挟持されてなる、メンブレン(薄膜)と電
極との多層膜(MEA膜:membrane & electro assembl
y)7において、空気極6側の近接領域に、本発明に基
づく水素ガスセンサー1を設置することができる。
トン伝導体2が、炭素原子を主成分とする前記クラスタ
ーの炭素原子に少なくとも一つの前記プロトン解離性の
基を導入し、これによって得られた前記クラスター誘導
体によって構成されているので、特に、乾燥雰囲気下及
び広い温度領域においても、燃料電池への水素リーク量
の測定を効果的に行うことが可能となる。
働くために、例えば緻密な膜を形成することができるの
で、水素ガスの透過を最小限に抑えることができ、幅広
い水素濃度領域において正確な測定を行うことが可能と
なる。
近接領域に設置してもよく、この場合にも、水素ガスセ
ンサー1は乾燥雰囲気下及び広い温度領域において、燃
料電池への水素供給濃度の測定を効果的に行うことがで
きる。例えば、本発明に基づく水素ガスセンサー1を用
いることにより、水素極5側の水素供給濃度が一定値を
超えたときには水素ガスの供給を一時的に停止させ、一
定値以下となったときに再び供給を開始するなどの、よ
り高効率な燃料電池の駆動が実現可能となる。
8の近接領域に本発明に基づく水素ガスセンサー1を設
置してもよく、この場合は、水素配管8の接合部9から
の水素リーク量を検出することができる。
トン伝導体2が、炭素原子を主成分とする前記クラスタ
ーの炭素原子に少なくとも一つの前記プロトン解離性の
基を導入し、これによって得られた前記クラスター誘導
体によって構成されているので、特に、乾燥雰囲気下及
び広い温度領域においても、水素配管8の接合部9から
の水素リーク量の測定を効果的に行うことが可能とな
る。
が働くために、例えば緻密な膜を形成することができ
る。その結果、水素ガスの透過を最小限に抑えることが
でき、幅広い水素濃度領域において正確な測定を行うこ
とが可能となる。
素を主成分とする前記クラスターの炭素原子に少なくと
も一つの前記プロトン解離性の基を導入し、これによっ
て得られる前記クラスター誘導体を主成分として含むこ
とを特徴とする。
プロトン伝導性を付与するためには、炭素質にできるだ
け大量のプロトン伝導パス(移動サイト又はチャネル)
を形成する必要がある。そのため、好ましくはできるだ
け小さなクラスターを用いて、その外側に少なくとも一
つの前記プロトン解離性の基を導入すれば、バルク全体
として良好なプロトン伝導性が発揮されることを見出す
ことができた。
個の原子が結合又は凝集して形成されている集合体のこ
とであり、この凝集(集合)体によってプロトン伝導性
能が向上すると同時に、化学的性質を保持して膜強度が
十分となり、層を形成し易い。また、上記の「炭素を主
成分とするクラスター」とは、炭素原子が、炭素−炭素
間結合の種類は問わず数個から数百個結合して形成され
ている集合体のことである。但し、必ずしも100%炭
素クラスターのみで構成されているとは限らず、他原子
の混在もあり得る。このような場合も含めて、炭素原子
が多数を占める集合体を前記クラスターと呼ぶこととす
る。
状炭素クラスター分子Cm(mはCmが球殻状構造を形
成し得る自然数。)であることが望ましい。
象となる母体としてのフラーレン分子は、球殻状クラス
ター分子であれば特に限定しないが、通常はC36、C60
(図5(A)参照)、C70(図5(B)参照)、C76、
C78、C80、C82、C84などから選ばれるフラーレン分
子の単体、もしくはこれらの2種以上の混合物が好まし
く用いられる。
炭素のレーザアブレーションによるクラスタービームの
質量分析スペクトル中に発見された(Kroto, H.W.; Hea
th,J.R.; O'Brien, S.C.; Curl, R.F.; Smalley. R.E.
Nature 1985.318,162.)。実際にその製造方法が確立さ
れるのは更に5年後のことで、1990年に炭素電極の
アーク放電法による製造法が見出され、それ以来、フラ
ーレンは炭素系半導体材料等として注目されてきた。
つき、そのプロトン伝導性を種々検討した結果、フラー
レンの構成炭素原子に水酸基を導入して得られるポリ水
酸化フラーレンは、乾燥状態でも、常温域を挟む広い温
度範囲、即ち、水の凝固点や、沸点を超えた温度範囲
(少なくとも160℃〜−40℃)で高いプロトン伝導
性を示すことを見出すことができた。そして、このプロ
トン伝導性は水酸基に代えて硫酸水素エステル基−OS
O3Hをフラーレンの構成炭素原子に導入したときに、
より顕著になることが知見できた。
は、図3に示す如く、フラーレンに複数の水酸基を付加
した構造を持ったものの総称であり、通称「フラレノー
ル(Fullerenol)」と呼ばれている。当然の事ながら、
水酸基の数やその分子内配置などには幾つかのバリエー
ションも可能である。フラレノールは1992年にChia
ngらによって最初に合成例が報告された(Chiang, L.
Y.; Swirczewski, J.W.;Hsu, C.S.; Chowdhury, S.K.;
Cameron, S.; Creegan, K., J. Chem. Soc, Chem. Comm
un.1992,1791)。以来、一定量以上の水酸基を導入した
フラレノールは、特に水溶性である特徴が注目され、主
にバイオ関連の技術分野で研究されてきた。
(A)に概略図示するように凝集体とし、近接し合った
フラレノール分子(図中、○はフラーレン分子を示
す。)の水酸基同士に相互作用が生じるようにしたとこ
ろ、この凝集体はマクロな集合体として、高いプロトン
伝導特性(換言すれば、フラレノール分子のフェノール
性水酸基からのH+の解離性)を発揮することを初めて
知見することができた。
えば複数の−OSO3H基をもつフラーレンの凝集体を
プロトン伝導体として用いることによっても発揮され
る。前記OH基がOSO3H基と置き換わった図4
(B)に示すようなポリ水酸化フラーレン、即ち硫酸水
素エステル化フラレノールは、やはりChiangらによって
1994年に報告されている(Chiang, L.Y.; Wang, L.
Y.; Swirczewski, J.W.; Soled, S.; Cameron, S., J.
Org. Chem. 1994,59,3960)。硫酸水素エステル化され
たフラーレンには、一つの分子内にOSO3H基のみを
含むものもあるし、或いはこの基と水酸基をそれぞれ複
数、持たせることも可能である。
た時、それがバルク又はフラーレン誘導体の集合体とし
て示すプロトン伝導性は、分子内に元々含まれる大量の
水酸基やOSO3H基に由来するプロトンが移動に直接
関わるため、雰囲気から水蒸気分子などを起源とする水
素、プロトンを取り込む必要はなく、また、外部からの
水分の補給、とりわけ外気より水分等を吸収する必要も
なく、雰囲気に対する制約はない。
ては、一つのフラーレン分子中にかなり多くの水酸基及
びOSO3H基等を導入することができるため、伝導に
関与するプロトンの、伝導体の単位体積あたりの数密度
が非常に多くなる。これが、本発明に用いられる前記プ
ロトン伝導体が実効的な伝導率を発現する理由である。
いるフラーレン分子は特に求電子性の性質を持ち、この
ことが酸性度の高いOSO3H基のみならず、水酸基等
においても水素イオンの電離の促進に大きく寄与してい
ると考えられる。プロトンの伝導は、導入された基を介
したものが大きく寄与しているものと考えられるが、フ
ラーレン誘導体の場合には、フラーレン分子の求電子性
の性質により、外郭を経由した伝導も含まれる可能性が
あると思われる。これが、本発明に用いられる前記プロ
トン伝導体が優れたプロトン伝導性を示すもう一つの理
由である。
ラーレン分子の炭素原子で構成されているため、重量が
軽く、変質もし難く、また比較的清浄で、プロトン伝導
特性に悪影響を与えるような汚染物質も含まれていな
い。さらに、フラーレン分子の製造コストも急激に低下
しつつある。資源的、環境的、経済的又は上記の他の観
点からみて、フラーレン分子は他のどの材料にもまし
て、理想に近い炭素系材料であると考えられる。
トン解離性の基は、前述した水酸基やOSO3H基に限
定する必要はない。
で表され、Xは2価の結合手を有する任意の原子もしく
は原子団であればよい。更には、この基は式−OH又は
−YOHで表され、Yは2価の結合手を有する任意の原
子もしくは原子団であればよい。
ては、前記−OH、−OSO3H以外に−COOH、−
SO3H、−OPO(OH)2、−C6H4−SO3Hのい
ずれかが好ましい。
子に、前記プロトン解離性の基と共に、電子吸引基、例
えば、ニトロ基、カルボニル基、カルボキシル基、ニト
リル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン原子(フッ
素、塩素など)などが導入されていることが好ましい。
図4(C)に、前記プロトン解離性の基としての例えば
前記−OHの他に、Zを導入したフラーレン分子を示
す。このZは、具体的には、−NO2、−CN、−F、
−Cl、−COOR、−CHO、−COR、−CF3、
−SO3CF3などである(ここでRはアルキル基を表
す)。このように電子吸引基が併存していると、その電
子吸引効果のために、上記プロトン解離性の基からプロ
トンが解離し、これらの官能基を介して移動し易くな
る。
トン解離性の基の数は、フラーレン分子を構成する炭素
数の範囲内で任意でよいが、望ましくは5個以上とする
のがよい。なお、フラーレン分子のπ電子性を残し、有
効な電子吸引性を出すためには、前記基の数は、フラー
レン分子を構成する炭素数の半分以下が好ましい。
記フラーレン分子の粉末に対し、例えば酸処理や加水分
解等の公知の処理を適宜組み合わせて施すことにより、
前記フラーレン分子の構成炭素原子に所望の前記プロト
ン解離性の基を導入することができる。
誘導体の粉末を所望の形状、例えばペレットや薄膜に加
圧成形又はろ過による成形を行うことができる。この
際、バインダーは不必要であり、成形態は実質的にフラ
ーレン誘導体から成っており、このことは、プロトンの
伝導性を高める上でも、プロトン伝導体の軽量化を達成
する上でも有効である。
体は、一般に前記フラーレン誘導体(フラーレン分子を
構成する炭素原子に前記プロトン解離性の基を導入した
もの)と高分子材料とを含有していてよい。
有するポリマーから1種又は2種以上が用いられ、その
配合量は、通常、50重量%以下に抑える。50重量%
を越えると、プロトンの伝導性を低下させる恐れがある
からである。
フラーレン誘導体を含有するので、前記プロトン伝導体
とほぼ同様のプロトン伝導性を発揮することができる。
って高分子材料に由来する成膜性が付与されており、既
述したフラーレン誘導体の粉末圧縮成形品に比べ、強度
の大きい、ガス透過防止能を有する柔軟なプロトン伝導
性薄膜(厚みは通常300μm以下)として用いること
ができる。
性をできるだけ阻害(フラーレン誘導体との反応等によ
る)せず、成膜性を有するものなら、特に限定はしな
い。しかし、通常は電子伝導性を持たず、良好な安定性
を有するものが用いられる。その具体例を挙げると、ポ
リテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポ
リビニルアルコールなどからなる群より選ばれた1種又
は2種以上があり、これらは次に述べる理由からも、本
発明にとって特に好ましい高分子材料である。
しいのは、他の高分子材料に比べ、少量の配合量で強度
のより大きな薄膜を容易に成膜できるからである。この
場合の配合量は、3重量%以下、好ましくは0.5〜
1.5重量%と少量ですみ、薄膜の厚みは通常、100
μmから1μmまでと薄くできる。
アルコールが好ましいのは、より優れたガス透過防止能
を有する、プロトン伝導性の薄膜が得られるからであ
る。この場合の配合量は5〜15重量%の範囲とするの
がよい。
フッ化ビニリデンやポリビニルアルコールにせよ、それ
らの配合量が上述したそれぞれの範囲の下限値を下回る
と、成膜に悪影響を及ぼすことがある。
押出し成形を始め、加圧成形、ろ過、塗布等の公知の成
膜手段を用いればよい。
スター誘導体からなるプロトン伝導体について説明す
る。
ターを母体とする炭素クラスター誘導体(炭素クラスタ
ーを構成する炭素原子に前記プロトン解離性の基を導入
したもの)を主成分として含有している。
いるのは、良好なプロトン伝導性を付与するためには、
大量の前記プロトン解離性の基を導入することが必要で
あり、これは前記炭素クラスターによって可能になるか
らである。しかし、このようにすると、固体状のプロト
ン伝導体の酸性度が著しく大きくなるが、前記炭素クラ
スターは他の通常の炭素質と違って酸化劣化し難く、耐
久性に優れており、構成原子間が密に結合し合っている
ために、酸性度が大であっても原子間の結合がくずれる
ことはなく(即ち、化学的に変化し難いため)、膜構造
を維持することができる。
状態で、上述したプロトン伝導体と類似した高いプロト
ン伝導性を発揮することができる。
素−炭素間結合の種類を問わず、数個から数百個結合し
て形成されている集合体のことである(但し、100%
炭素から構成されていなくてもよい)。この集合体を図
面で説明すると(但し、水酸基等の前記プロトン解離性
の基は図示省略)、図6〜図9に示すとおりであり、プ
ロトン伝導体の原料としての選択の幅が広いものであ
る。
個集合してなる、球体又は長球、又はこれらに類似する
閉じた面構造を有する種々の炭素クラスターである(但
し、分子上のフラーレンも併せて示す)。それに対し
て、それらの球構造の一部が欠損した炭素クラスターを
図7に種々示す。この場合は、構造中に開放端を有する
点が特徴的であり、このような構造体は、アーク放電に
よるフラーレンの製造過程で副生成物として数多く見ら
れるものである。炭素クラスターの大部分の炭素原子が
SP3結合していると、図8に示すようなダイヤモンド
の構造を持つ種々のクラスターとなる。
ラスターは、グラファイトの平面構造を持つか、或いは
フラーレンやナノチューブの全体又は一部の構造を有す
る。このうち、グラファイトの構造を有するものは、ク
ラスターに電子伝導性を持つものが多いため、プロトン
伝導体の母体としては好ましくない。
SP2結合は、一部にSP3結合の要素を含んでいるた
め、電子伝導性を持たないものが多く、プロトン伝導体
の母体として好ましい。
種々示すものであり、このような構造体でも、本発明に
適用できる。
構成する炭素原子に、上述したプロトン解離性の基を導
入することが必要である。このプロトン解離性の基の導
入手段としては、次の製造方法が好ましい。
てカーボン粉末からなる炭素クラスターを製造し、続い
てこの炭素クラスターを酸処理するか(硫酸などを用い
る)、或いは加水分解等の処理を行うか、又は更にスル
ホン化又はリン酸エステル化等を適宜行うことによっ
て、目的生成物であるクラスター誘導体を容易に得るこ
とができる。
ダーなしで膜状やペレットなどの形状に加圧成形するこ
とができる。本発明において、母体であるクラスターは
長軸の長さが100nm以下のもの、特に100Å以下
のものが好ましく、それに導入する前記プロトン解離性
の基は少なくとも一つとする。
(フラーレンなど)又は少なくとも一部に開放端を持つ
構造体が好ましい。このような欠陥構造のフラーレン
は、フラーレンの反応性を持つと同時に、加えて欠陥
部、即ち開放部は更に高い反応性を持つ。従って、酸処
理等によって酸(プロトン)解離性の置換基導入が促進
され、より高い置換基導入率が得られ、高いプロトン伝
導性が得られる。また、フラーレンに比べて大量に合成
することが可能となり、非常に安価に生産できる。
スターに導入する基の種類などは既述したものと共通し
ている。
筒状炭素質に前記プロトン解離性の基を導入し、これに
よって得られる線状又は筒状炭素質誘導体を主成分とし
て含有していてもよい。この線状又は筒状炭素質誘導体
は、乾燥状態でもプロトンが解離し易く、しかもこのプ
ロトン伝導体は常温を含む広い温度域(少なくとも約1
20℃〜40℃)にわたって高伝導性を発揮することが
可能である。上記のような材料がこのように優れた特性
を発揮できる第1の理由は、母材である前記線状又は筒
状炭素質が、それらの径に比べ軸方向が非常に長く、し
かも線状又は筒状炭素質同士が複雑に絡んだ独自の形態
若しくは構造を取ることができるため、その表面には前
記プロトン解離性の基、例えば水酸基やOSO3H基等
を多数導入できるからである(図10〜図12参照)。
のために、水分子等のキャリア分子を移動媒体とせずに
プロトンの単独移動が可能になるまでプロトンの安定サ
イトの数を増やすことができ、しかもその安定サイトを
材料全体にわたって連続的に配置することが可能であ
る。
て得られる前記線状又は筒状炭素質誘導体は、既述した
種々の誘導体と混合して用いてもよい。
ン化線状又は筒状炭素質(前記線状又は筒状炭素質をハ
ロゲン化処理して得られるもの)、若しくは非ハロゲン
化線状又は筒状炭素質を原料とし、これを加水分解(O
H基の導入の場合)、或いは加水分解及び酸処理(OS
O3H基の導入の場合)から選ばれる方法により処理す
ることにより、容易に製造することができる。なお、前
記ハロゲンの種類は限定しなくてもよいが、そのうちの
フッ素などは実用的観点から好ましい。
素質誘導体の製造方法であるが、この他にもプラズマを
用いる乾式製造法の手法も有効である。これはハロゲン
化線状又は筒状炭素質を例えば酸素ガス中にてプラズマ
処理し、次いで水素ガス中にてプラズマ処理するもので
(OH基の導入の場合)、この手法も、前記線状又は筒
状炭素質に前記プロトン解離性の基を効果的に導入する
ことができる。
して製造された線状又は筒状炭素質誘導体は、例えば水
などの液体中に分散させ、これをろ過プロセスに通すこ
とによって、容易にフィルム状とすることができる。
導体の分子同士が絡み合った、緻密で強度の大きな安定
性に富むプロトン伝導性の良好なフィルムである。従っ
て、本発明に基づく水素ガスセンサーの前記プロトン伝
導体として好適である。
メートル以上、巨大なものでは直径が1μmにも達する
カーボンナノファイバー(CNF)であることが好まし
い。また、前記筒状炭素質としては、直径がおおよそ数
ナノメートル以下、代表的には1から2ナノメートルの
カーボンナノチューブ(CNT)と呼ばれるものが好ま
しく、特に、単層のチューブからなるシングルウォール
カーボンナノチューブ(SWCNT)と、2つ以上の層
が同心円的に重なっているマルチウォールカーボンナノ
チューブ(MWCNT)の2種類が知られている。前記
SWCNTの分子模型図を図10に示す。いずれも本発
明における前記線状又は筒状炭素質に該当する代表例で
あり、本発明ではそれらに限定する必要はない。
子にさらに前記プロトン解離性の基を導入して、前記線
状又は筒状炭素質誘導体とすることが必要である。図1
0及び図111は水素基を導入してなる前記筒状炭素質
誘導体を示し、図12はOSO3H基を導入してなる前
記筒状炭素質誘導体を示す。
プロトン伝導のメカニズムは図13に示すようになり、
プロトン伝導部2は第1極(例えば負極側)3と第2極
(例えば正極側)4との間に挟持され、解離したプロト
ン(H+)は図面矢印方向に沿って第1極3側から第2
極4側へと移動する。
(部分エステル化)の合成>この合成は、文献(Chian
g, L.Y.; Wang, L.Y.; Swirczewski, J.W.; Soled,S.;
Cameron, S., J. Org. Chem. 1994,59,3960)を参考に
して行った。
混合物の粉末2gを発煙硫酸30ml中に投じ、窒素の
雰囲気中にて、60℃に保ちながら3日間攪拌した。得
られた反応物を、氷浴中で冷やしたジエチルエーテル中
に少しずつ投下した。但し、この場合のジエチルエーテ
ルは脱水処理を行っていないものを用いた。得られた沈
殿物を遠心分離で分別し、さらにジエチルエーテルで3
回、およびジエチルエーテルとアセトニトリルの2:1
混合液で2回洗浄した後、40℃にて減圧下で乾燥させ
た。このようにして得られた粉末のFT−IR測定を行
ったところ、前記文献に示されている、部分的に水酸基
とOSO3H基を含むフラーレン誘導体のIRスペクト
ルとほぼ一致し、この粉末が目的物質であると、確認で
きた。この反応は、例えばC60について次のように表す
ことができる。
は、文献(Chiang, L.Y.; Wang, L.Y.; Swirczewski,
J.W.; Soled,S.; Cameron, S., J. Org. Chem. 1994,5
9,3960)を参考にして行った。
混合物の粉末2gを発煙硫酸30ml中に投じ、窒素雰
囲気中で60℃に保ちながら3日間攪拌した。得られた
反応物を、氷浴内で冷やした無水ジエチルエーテル中に
少しずつ投下し、その沈殿物を遠心分離で分別し、さら
にジエチルエーテルで3回、およびジエチルエーテルと
アセトニトリルの2:1混合液で2回洗浄した後、40
℃にて減圧中で乾燥させた。更に、この乾燥物を60m
lのイオン交換水中に入れ、85℃で窒素によるバブリ
ングを行いながら10時間攪拌した。反応生成物は遠心
分離によって沈殿物を分離し、この沈殿物をさらに純水
で数回洗浄し、遠心分離を繰り返した後に、40℃で減
圧乾燥した。このようにして得られた茶色の粉末のFT
−IR測定を行ったところ、上記文献に示されているC
60(OH)12のIRスペクトルとほぼ一致し、この粉末
が目的物質であるポリ水酸化フラーレンと確認された。
上記の反応は、例えばC60について次のように表すこと
ができる。
硫酸水素エステルC60(OSO3H)m(OH)n(但
し、m+n=10〜12)を10時間室温で放置した
後、プロトン伝導度の時間依存性を測定した。結果を図
14(a)に示す。
のプロトン伝導度の時間依存性を測定した。結果を図1
4(b)に示す。
放置した後、気流ガスを加湿し、プロトン伝導度の時間
依存性を測定した。結果を図14(b)に併せて示す。
ラーレン誘導体は、乾燥雰囲気下において測定開始直後
から良好なプロトン伝導特性を示したのに対して、比較
例1aのNafionは乾燥雰囲気下では全くプロトン
伝導特性を示さなかった。また、比較例1bの場合、加
湿開始後35秒後にようやくプロトン伝導性が出現した
が、これは伝導体膜全体が湿潤状態になるまでの時間が
立ち上がり時間という形で現れたものである。
燥雰囲気中で長時間続けた結果、図15に示すように、
15時間以上にわたって良好なプロトン伝導特性を示し
続けた。
プロトン伝導度の時間依存性を測定したところ、図15
に併せて示すように、急激に伝導度が低下した。これ
は、時間の経過と共に水分が脱離し、これによって伝導
パスが確保できなくなったためである。
ラーレン硫酸水素エステルC60(OSO3H)m(OH)
n(但し、m+n=10〜12)のプロトン伝導特性の
温度依存性を測定した。結果を図16に示すように、本
発明に基づく水素ガスセンサーに用いられる前記プロト
ン伝導体としてのフラーレン誘導体は、0℃以下でもプ
ロトン伝導特性の不連続性はなく、良好に機能している
ことが分かった。
トン伝導特性の温度依存性を測定したところ、結果を図
16に併せて示すように、0℃以下で急激にプロトン伝
導度は低下しており、−20℃付近では殆ど伝導性を示
さなくなった。これは、Nafion中の水分が凍結
し、伝導パスが確保できなくなったためと考えられる。
対して熱重量分析を行ったところ、図17に示すよう
に、300℃付近まで重量減少は観測されず、安定であ
った。
ろ、図17に併せて示すように、約100℃以上でNa
fion中の水分が蒸発し始め、急激な重量減少が観測
された。
粉末90mgを取り、直径15mmの円形ペレット状に
なるように一方方向へのプレスを行った。この時のプレ
ス圧は約5トン/cm2であった。その結果、このポリ
水酸化フラーレンの粉末は、バインダー樹脂等を一切含
まないにも拘わらず、成形性に優れており、容易にペレ
ット化することができた。このペレットは厚みが約30
0μmであった。
用いて、その両側に白金担持カーボンを塗布し、図1に
示すような本発明に基づく水素ガスセンサーを作製し
た。そして、第2極4側に1気圧の水素ガスを流しなが
ら、第1極3の側には測定ガスとしての水素含有ガス
(H2/N2)を供給し、前記測定ガス中の水素濃度(H
2/N2比)を変化させて、両電極間の起電力を測定し
た。この結果、図18に示すように、水素濃度の対数に
比例する起電力が得られた。
C60(OSO3H)m(OH)n(但し、m+n=10〜
12)の粉末80mgを取り、直径15mmの円形ペレ
ット状になるように一方方向へのプレスを行った。この
時のプレス圧は約5トン/cm2であった。その結果、
この粉末は、バインダー樹脂等を一切含まないにも拘わ
らず、成形性に優れており、容易にペレット化すること
ができた。このペレットは厚みが約300μmであっ
た。
ル凝集ペレットを用いて、その両側に白金担持カーボン
を塗布し、さらに一方の側に多孔質ガラスを配し、本発
明に基づく水素ガスセンサーを作製した。そして、他方
の側に1気圧の水素ガスを流しながら、前記多孔質ガラ
スを配した前記一方の側に測定ガスとしての水素含有ガ
ス(H2/N2)を供給し、前記測定ガス中の水素濃度
(H2/N2比)を変化させて、両電極間の電位差により
誘起される電流量の関係を調べた。その結果、図19に
示すように、電圧100mV以上で限界電流が発生し、
本発明に基づく水素ガスセンサーは、印加電圧に依存す
ることなく、水素ガス濃度と限界電流値を一対一に対応
させることが可能であった。
いて説明したが、上述の例は、本発明の技術的思想に基
づき種々に変形が可能である。
水酸化フラーレンC60(OH)12やポリ水酸化フラーレ
ン硫酸水素エステルC60(OSO3H)m(OH)n(但
し、m+n=10〜12)を用いた例を示したが、前記
プロトン解離性の基は、前記−OH、−OSO3H以外
に−COOH、−SO3H、−OPO(OH)2、−C6
H4−SO3Hのうちの少なくとも一つが好ましい。
となる母体は、前記フラーレン分子に限られず、炭素原
子を主成分とするクラスターであれば特に限定されず、
例えばカーボンナノファイバーやカーボンナノチューブ
等も好適に用いられる。
ラジウム等の水素選択透過膜(前記拡散層)を配しても
よい。
の構造、形状、大きさ等は、使用目的に応じて適宜選択
可能である。
は、炭素原子を主成分とするクラスターの炭素原子に少
なくとも一つのプロトン解離性の基を導入し、これによ
って得られたクラスター誘導体によって構成されている
ので、乾燥環境下でも良好なプロトン伝導特性を示す。
従って、本発明の水素ガスセンサーの動作及びその始動
特性において湿度に関する制約がなく、真空を含む乾燥
環境下での使用が可能となる。但し、前記プロトン伝導
体は、乾燥状態で十分なプロトン伝導性を示すが、水分
が存在していても差支えない(この水分は外部から浸入
したものでもよい)。
い温度域(少なくとも約160℃〜−40℃の範囲)に
わたって高プロトン伝導性を発揮することが可能であ
り、より広い温度領域においてセンサーを動作させるこ
とができる。
あり、基本的に化学的にも安定である。このクラスター
の炭素原子に少なくとも一つの前記基を導入して得られ
る前記クラスター誘導体の中には、300℃以上の状況
下においても構造・化学的な安定性を有するものもあ
り、過酷な高温下でのセンサー動作も可能となる。
働くために、例えば緻密な膜を形成することができる。
その結果、水素ガスの透過を最小限に抑えることがで
き、幅広い水素濃度領域において正確な測定を行うこと
が可能となる。
めてシンプルな構造であり、水分の有無に左右されず、
特に乾燥状態でも敏速に正常作動し、かつ幅広い温度領
域において使用可能であり、従来にない低消費電力とガ
ス選択性を実現する、高機能な水素ガスセンサーであ
る。
断面図である。
す概略図である。
トン伝導体として好適に用いられる、フラーレン誘導体
の一例であるポリ水酸化フラーレンの構造図である。
る。
ーボンクラスターの種々の例を示す模式図である。
レン構造)を示す模式図である。
ド構造)を示す模式図である。
ター同士が結合しているもの)を示す模式図である。
ロトン伝導体の一例を示す模式図である。
ロトン伝導度の時間依存性を比較して示すグラフであ
る。
間依存性を併せて示すグラフである。
温度依存性を比較して示すグラフである。
較して示すグラフである。
濃度による起電力変化を示すグラフである。
フである。
…第1極、4…第2極、5…水素極、6…空気極、7…
MEA膜、8…水素配管、9…接合部
Claims (33)
- 【請求項1】 炭素原子を主成分とするクラスターの炭
素原子に少なくとも一つのプロトン(H+)解離性の基
を導入し、これによって得られたクラスター誘導体によ
って構成されたプロトン伝導体を用いることを特徴とす
る水素ガスセンサー。 - 【請求項2】 水素ガスをプロトンに分解する触媒と、
前記触媒により分解されたプロトンが前記プロトン伝導
体を移動することによって生じる起電力を測定する起電
力測定手段とを有する、請求項1に記載した水素ガスセ
ンサー。 - 【請求項3】 水素ガスをプロトンに分解する触媒を有
する第1極と、第2極と、これらの両極間に挟持された
前記プロトン伝導体と、前記第1極と第2極の間に生じ
た起電力を測定する起電力測定手段とを有する、請求項
1に記載した水素ガスセンサー。 - 【請求項4】 前記第2極が、前記第1極で生成されか
つ前記プロトン伝導体を移動してきた前記プロトンを水
素ガスに還元する触媒を有する、請求項3に記載した水
素ガスセンサー。 - 【請求項5】 前記第1極の前記プロトン伝導体が配さ
れていない面側に、測定対象となる水素含有ガスが供給
されるか或いは水素含有ガスで満たされる、請求項3に
記載した水素ガスセンサー。 - 【請求項6】 前記プロトンを水素ガスに還元する反応
の参照電位が規定可能である、請求項5に記載した水素
ガスセンサー。 - 【請求項7】 前記第2極の前記プロトン伝導体が配さ
れていない側に接触するガスの水素分圧値が予め分って
いる、請求項3に記載した水素ガスセンサー。 - 【請求項8】 前記起電力測定手段により得られた起電
力値から、水素濃度を算出する、請求項1に記載した水
素ガスセンサー。 - 【請求項9】 前記第1極及び前記第2極を短絡するか
或いは抵抗を介して接続し、その際に誘起される電流値
を測定する手段を有する、請求項3に記載した水素ガス
センサー。 - 【請求項10】 前記第1極の隣接領域に、水素の拡散
律速を起こす拡散層を有し、前記第1極及び第2極の間
に電圧を印加した際の限界電流値を測定する手段を有す
る、請求項3に記載した水素ガスセンサー。 - 【請求項11】 燃料電池への水素リーク量又は水素供
給濃度、或いは水素配管からの水素リーク量を検出する
ために、前記燃料電池又は水素配管に近接配置される、
請求項1に記載した水素ガスセンサー。 - 【請求項12】 前記クラスターが、球殻状炭素クラス
ター分子Cm(mはCmが球殻状構造を形成し得る自然
数。)からなる、請求項1に記載した水素ガスセンサ
ー。 - 【請求項13】 前記クラスターが、籠状構造又は少な
くとも一部に開放端を持つ構造からなっている、請求項
1に記載した水素ガスセンサー。 - 【請求項14】 前記クラスターが炭素クラスターを主
成分とする、請求項1に記載した水素ガスセンサー。 - 【請求項15】 前記クラスターが線状又は筒状炭素質
からなる、請求項1に記載した水素ガスセンサー。 - 【請求項16】 前記線状炭素質がカーボンナノファイ
バーである、請求項15に記載した水素ガスセンサー。 - 【請求項17】 前記筒状炭素質がシングルウォールカ
ーボンナノチューブである、請求項15に記載した水素
ガスセンサー。 - 【請求項18】 前記筒状炭素質がマルチウォールカー
ボンナノチューブである、請求項15に記載した水素ガ
スセンサー。 - 【請求項19】 前記クラスターがダイヤモンド構造を
有する、請求項1に記載した水素ガスセンサー。 - 【請求項20】 前記プロトン解離性の基が、−XH
(Xは2価の結合手を有する任意の原子若しくは原子
団、Hは水素原子である。)である、請求項1に記載し
た水素ガスセンサー。 - 【請求項21】 前記プロトン解離性の基が、−OH又
は−YOH(Oは酸素原子である。また、Yは2価の結
合手を有する任意の原子若しくは原子団、Hは水素原子
である。)である、請求項20に記載した水素ガスセン
サー。 - 【請求項22】 前記プロトン解離性の基が、−OH、
−OSO3H、−COOH、−SO3H、−OPO(O
H)2、−C6H4−SO3Hのいずれかより選ばれる基で
ある、請求項21に記載した水素ガスセンサー。 - 【請求項23】 前記クラスターに、前記プロトン解離
性の基と、電子吸引基とが導入されている、請求項1に
記載した水素ガスセンサー。 - 【請求項24】 前記電子吸引基が少なくともニトロ
基、カルボニル基、カルボキシル基、ニトリル基、ハロ
ゲン化アルキル基及びハロゲン原子のいずれかを含む、
請求項23に記載した水素ガスセンサー。 - 【請求項25】 前記プロトン伝導体が、実質的に前記
クラスター誘導体のみからなる、請求項1に記載した水
素ガスセンサー。 - 【請求項26】 前記プロトン伝導体が、前記クラスタ
ー誘導体と高分子材料を含有する、請求項1に記載した
水素ガスセンサー。 - 【請求項27】 前記高分子材料が電子伝導性を示さな
い材料である、請求項26に記載した水素ガスセンサ
ー。 - 【請求項28】 前記高分子材料が、ポリテトラフルオ
ロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコ
ールから選ばれる少なくとも1種である、請求項26に
記載した水素ガスセンサー。 - 【請求項29】 前記高分子材料の含有量が50重量%
以下である、請求項26に記載した水素ガスセンサー。 - 【請求項30】 前記高分子材料がポリテトラフルオロ
エチレンであり、その含有量が3重量%以下である、請
求項26に記載した水素ガスセンサー。 - 【請求項31】 前記プロトン伝導体が厚さ300μm
以下の薄膜である、請求項1に記載した水素ガスセンサ
ー。 - 【請求項32】 水素含有ガスを供給する工程と;前記
水素をプロトンに分解する工程と;前記プロトンが、炭
素原子を主成分とするクラスターの炭素原子に少なくと
も一つのプロトン(H+)解離性の基を導入し、これに
よって得られたクラスター誘導体によって構成されたプ
ロトン伝導体を移動することにより生じた起電力を測定
する工程と;を有する水素ガスセンシング方法。 - 【請求項33】 請求項2〜31のいずれか1項に記載
した水素ガスセンサーを用いる、請求項32に記載した
水素ガスセンシング方法。
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