JP2003268549A - 製膜方法及び基材 - Google Patents

製膜方法及び基材

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JP2003268549A JP2002072086A JP2002072086A JP2003268549A JP 2003268549 A JP2003268549 A JP 2003268549A JP 2002072086 A JP2002072086 A JP 2002072086A JP 2002072086 A JP2002072086 A JP 2002072086A JP 2003268549 A JP2003268549 A JP 2003268549A
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航 水野
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和浩 福田
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清 大石
Yoshikazu Kondo
慶和 近藤
Yoshiro Toda
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 コストが低く、製膜速度が大きく、様々な種
類の金属について良質の膜を得ることができる製膜方法
を提供する。 【解決手段】 大気圧または大気圧近傍の圧力の下で、
対向する電極間に電圧を印加し放電させることにより、
反応性ガスをプラズマ状態とし、このプラズマ状態の反
応性ガスにより基材表面に製膜するための製膜方法であ
る。前記反応性ガスは金属原子を含む化合物を含有する
と共に、プラズマ雰囲気中に還元性を有する還元ガスを
供給し、さらに、プラズマ状態及びプラズマ状態後の少
なくともいずれかの時に、反応を促進させるエネルギー
を加えることにより基材表面に金属膜を形成する。前記
エネルギーは、電子線、放射線、紫外線、レーザーの中
から選択される。また、前記反応性ガスと前記還元ガス
をほぼ同時に供給すればよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、大気圧または大気
圧近傍の圧力下において反応ガスをプラズマ化し、基材
表面に金属膜を形成するための製膜方法及び該製膜方法
により形成した金属膜を有する基材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電極などとして用いられる金属膜
を基材上に形成する方法としては、電気めっき、無電解
めっきといった湿式めっき法、真空蒸着、スパッタリン
グ、イオンプレーティング、MOCVD(Metal organi
c chemical vapor deposition)等の乾式(気相)めっ
き法、プラズマ溶射法などが挙げられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、湿式め
っき法は、めっき可能な金属の種類が限られており、ま
ためっき作業に伴って面倒な廃水処理が必要とされる。
また、乾式めっき法は、一般に真空状態とするための大
掛かりな設備を必要とするのでコストが高い上に、製膜
速度が遅いという問題がある。プラズマ溶射法は、アー
ク放電を利用するもので緻密な膜ができにくいという問
題がある。また、近年では、大気圧付近の圧力下でプラ
ズマCVDで製膜する大気圧プラズマ方法も知られ、こ
の方法であれば真空状態よりは製膜速度が大きい。しか
し、これまでの大気圧プラズマ法で純粋な金属膜を形成
しようとしても、例えば真空スパッタリング法などと比
較して純度の点でおとり導電率が低いという問題があっ
た。
【0004】本発明の目的は、上記問題点に鑑み、従来
に比較してより簡単な設備や作業工程で済み、これによ
りコストが低く、製膜速度が大きく、様々な種類の金属
について良質の膜を得ることができる製膜方法及び該方
法により形成された金属膜を有する基材を提供すること
にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に記載
の発明は、大気圧または大気圧近傍の圧力の下で、対向
する電極間に電圧を印加し放電させることにより、反応
性ガスをプラズマ状態とし、このプラズマ状態の反応性
ガスにより基材表面に製膜するための製膜方法であっ
て、前記反応性ガスは金属原子を含む化合物を含有する
と共に、プラズマ雰囲気中に還元性を有する還元ガスを
供給し、さらに、プラズマ状態及びプラズマ状態後の少
なくともいずれかの時に、反応を促進させるエネルギー
を加えることにより基材表面に金属膜を形成することを
特徴とする。請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の製膜方法において、前記エネルギーは、電子線、放射
線、紫外線、レーザー光の中から選択されることを特徴
とする。
【0006】請求項3に記載の発明は、大気圧または大
気圧近傍の圧力の下で、対向する電極間に電圧を印加し
放電させることにより、反応性ガスをプラズマ状態と
し、このプラズマ状態の反応性ガスにより基材表面に製
膜するための製膜方法であって、前記反応性ガスは金属
原子を含む化合物を含有すると共に、プラズマ雰囲気中
に還元性を有する還元ガスと、反応を促進させる触媒と
を供給することにより基材表面に金属膜を形成すること
を特徴とする。
【0007】請求項4に記載の発明は、大気圧または大
気圧近傍の圧力の下で、対向する電極間に電圧を印加し
放電させることにより、反応性ガスをプラズマ状態と
し、このプラズマ状態の反応性ガスにより基材表面に製
膜するための製膜方法であって、前記反応性ガスは金属
原子を含む化合物を含有すると共に、プラズマ雰囲気中
に還元性を有する還元ガスを供給し、さらに、プラズマ
状態及びプラズマ状態後の少なくともいずれかの時に、
反応を促進させるエネルギーを加え、かつ、反応を促進
させる触媒を供給することにより基材表面に金属膜を形
成することを特徴とする。
【0008】請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の
いずれかに記載の製膜方法において、前記反応性ガスと
前記還元ガスとをほぼ同時に供給することを特徴とす
る。
【0009】請求項6に記載の発明は、請求項1〜4の
いずれかに記載の製膜方法において、前記基材の表面
に、前記反応性ガス由来の金属酸化膜を形成した後に、
前記還元ガスを供給することで、金属酸化膜を還元して
金属膜を形成することを特徴とする。
【0010】請求項7に記載の発明は、請求項1〜6の
いずれか記載の製膜方法において、反応性ガスに含まれ
る金属成分が、Li、Be、B、Na、Mg、Al、S
i、P、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、F
e、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、As、S
e、Rb、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Pd、Ag、
Cd、In、Sn、Sb、Te、Cs、Ba、La、H
f、Ta、W、Ir、Pt、Au、Hg、Tl、Pb、
Bi、Ce、Pr、Nd、Pm、Eu、Gd、Tb、D
y、Ho、Er、Tm、Yb、Luから選択される一つ
又は複数種類であることを特徴とする。
【0011】請求項8に記載の発明は、請求項1〜7の
いずれか記載の製膜方法において、還元ガスとして、水
素、アンモニア、メタン、エタン、ヨウ化水素、硫化水
素、一酸化炭素、二酸化硫黄、過酸化水素、水のうち、
1つ又は複数を用いることを特徴とする。
【0012】請求項9に記載の発明は、請求項1〜8の
いずれか記載の製膜方法において、所定濃度の不純物を
含有する金属膜を形成することを特徴とする。請求項1
0に記載の発明は、請求項9に記載の製膜方法におい
て、前記不純物は、H、C、N、O、F、S、Cl、B
r、Iの各元素の内、一種または複数種類であることを
特徴とする。
【0013】請求項11に記載の発明は、請求項9また
は10に記載の製膜方法において、前記不純物の含有量
は前記電極間に印加される電圧の制御または還元ガス濃
度により調節されることを特徴とする。
【0014】請求項12に記載の発明は、請求項1〜1
1のいずれかに記載の製膜方法において、前記対向する
電極間にパルス電圧を印加し、そのデューティ比を調節
することでプラズマ状態を制御することを特徴とする。
【0015】請求項13に記載の発明は、請求項1〜1
2のいずれか記載の製膜方法において、プラズマ雰囲気
中の発光スペクトルに基づいて不純物量をモニタリング
することを特徴とする。
【0016】請求項14に記載の発明は、請求項1〜1
3のいずれか記載の製膜方法で形成された金属膜が表面
に設けられていることを特徴とする基材である。
【0017】以下、本発明について詳細に説明する。本
発明の製膜方法についての第1の発明は、大気圧または
大気圧近傍の圧力の下で、対向する電極間に電圧を印加
し放電させることにより、反応性ガスをプラズマ状態と
し、このプラズマ状態の反応性ガスにより基材表面に製
膜するための製膜方法であって、前記反応性ガスは金属
原子を含む化合物を含有すると共に、プラズマ雰囲気中
に還元性を有する還元ガスを供給し、さらに、プラズマ
状態及びプラズマ状態後の少なくともいずれかの時に、
反応を促進させるエネルギーを加えることにより基材表
面に金属膜を形成することを特徴とするものである。こ
こで、大気圧または大気圧近傍の圧力とは、20kPa
〜110kPaの圧力であり、さらに好ましくは93k
Pa〜104kPaである。
【0018】具体的には、前記金属膜の材料となる反応
性ガスとプラズマ源となる不活性ガスとを含有する反応
性混合ガスと、還元性を有する還元ガスと不活性ガスと
を含有する還元性混合ガスとを供給し、かつ、反応を促
進させるエネルギーを加えて、最終的に金属膜を形成す
る。工程としては、反応性混合ガスと還元性混合ガスを
ほぼ同時に供給してもよい。この場合、基材上に直接金
属膜が形成されると思われる。微視的には、一時的に金
属酸化膜が形成され、その後還元される工程も含まれる
と考えられる。また、本発明では、上記のような反応性
混合ガスと還元性混合ガスをほぼ同時に供給する方法で
はなく、前記基材の表面に、反応性ガス由来の金属酸化
膜を形成した後に、還元性混合ガスを供給することで、
金属酸化膜を還元して金属膜を形成してもよい。この場
合、金属酸化膜の形成(堆積)と還元処理(金属膜の形
成)を複数回繰り返してもよい。工程を複数回繰り返す
ことで、膜全体を十分に還元処理し金属膜を得ることが
できる上に、繰り返し堆積することで緻密な膜を得るこ
とができるようになる。
【0019】ところで、大気圧プラズマ法では、アルゴ
ン等の不活性ガスを導入することでプラズマを生じさせ
るが、還元ガスを導入するとその分不活性ガス成分の割
合が減少し、プラズマが発生しにくくなり膜の形成が少
し遅くなる。この影響は、反応性混合ガスと還元性混合
ガスとを同時に供給する場合に特に大きい。そこで、反
応を促進させるエネルギーを加えることで、還元ガスを
供給することによるプラズマ反応を抑制する効果が解消
され、高い製膜速度を得ることができる。反応を促進さ
せるために加えられるエネルギーとしては、電子線、放
射線、紫外線、レーザー光が挙げられる。電子線として
は10V〜90kVの電圧で加速された電子線を好適に
用いることができる。放射線としては、銅(Cu)、モ
リブデン(Mo)を放射線源として発せられた放射線が
好ましい。紫外線としては1〜360nmの範囲が好ま
しく、特に150nm以下であることが好ましい。ま
た、レーザー光としては、10〜900mJの照射エネ
ルギーを発揮するものが好適に用いられ、例えばエキシ
マレーザやNd:YAGレーザを光源とする光線が挙げ
られる。このようなエネルギーを加えることで、プラズ
マ放電が高い密度で安定化し、結果として製膜に関わる
様々な反応が促進される。
【0020】本発明のエネルギーアシストは、上記のよ
うに還元ガスを加えてもプラズマ反応を促進できるとい
う点で効果を発揮するものであるので、還元ガスの供給
とエネルギーアシストはほぼ同時であると効果的であ
る。しかし、「プラズマ状態及びプラズマ状態後の少な
くともいずれかの時に、反応を促進させるエネルギーを
加える」とは、還元ガスの供給やプラズマ反応と、エネ
ルギーアシストとが必ずしも同時である必要はないこと
を意味する。つまり、プラズマ状態の時にほぼ継続的に
加えてもよいし、プラズマ状態の中で一時的に加えても
よいし、プラズマ処理後において加えてもよい。プラズ
マ処理の後であっても、エネルギーを加えれば、雰囲気
中の残留成分により基材表面の膜の還元反応等の反応が
促進される可能性がある。
【0021】本発明で用いられる還元ガスとしては、還
元剤であってガス状あるいはミスト状でプラズマ装置内
に供給できるものであればよいが、例えば水素
(H2)、アンモニア(NH3)、メタン(CH4)、エ
タン(C26)、ヨウ化水素(HI)、硫化水素(H2
S)、一酸化炭素(CO)、二酸化硫黄(SO2)、過
酸化水素(H22)、水(H2O)が挙げられ、これら
の中から1つ又は複数を用いることができる。特に、H
2、NH3、CH4が好ましい。上記の還元ガスは、不活
性ガスとともに還元性混合ガスとして装置内に供給さ
れ、還元性混合ガスのうち、1〜10体積%含有させる
ことが好ましい。また、還元性混合ガスに含まれる不活
性ガスとしては、具体的には、ヘリウム、ネオン、アル
ゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等が挙げられる
が、プラズマの発生しやすさから、ヘリウム、アルゴ
ン、中でもアルゴンが好ましく用いられる。
【0022】これら還元ガスを供給することで、雰囲気
中の酸素が除去されたり、あるいは金属酸化膜が還元さ
れることで、純粋な金属膜を形成することができる。さ
らに、還元ガスによって酸素だけでなく、フッ素、塩素
などのハロゲン系の元素や硫黄、炭素や窒素等の不純物
も除去できる。例えば、還元ガスとして水素を用いれ
ば、酸素はH2Oとして、炭素は主にメタンとして、窒
素であればアンモニアとして除去することができる。
【0023】本発明で用いられる反応性ガスとしては、
金属を含むことが必須であり、有機金属化合物が好適に
用いられ、特にプラズマ空間内にガス状またはミスト状
で供給可能な化合物が好ましい。「ガス状またはミスト
状で供給可能」とは、常温・常圧でそのまま供給可能で
もよいし、常温・常圧で液体又は固定である場合には、
加熱、減圧、超音波照射等の方法で気化したり、適切な
溶剤に溶解してもよい。希釈時の溶剤はプラズマ中で分
子レベル、原子レベルで分解されるため、金属膜の形成
への影響はほとんど無視できる。有機金属化合物の一例
としては、有機珪素化合物、有機チタン化合物、有機ス
ズ化合物、有機亜鉛化合物、有機インジウム化合物、有
機アルミニウム化合物、有機銅化合物及び有機銀化合物
などが挙げられる。
【0024】また、有機金属化合物としては、金属の種
類に関わらず金属アルコキシドや有機金属錯体が好まし
く、例えば一般式(1)で表せる化合物が好ましい。こ
こで、Mは金属原子、X1、X2は炭素を含む官能基、n
は金属に対する結合数を示すもので1以上の整数を示
す。
【化1】
【0025】上記金属アルコキシドや有機金属錯体の例
としては、チタン化合物としてはチタニウムエトキシド
(TEOT)、チタニウムイソプロポキシド(TTI
P)、銅化合物としてはhfa・Cu・tmvs(下記
式(2))、インジウム化合物としてはトリス(2,
2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネー
ト)インジウムIII(下記式(3))、亜鉛化合物とし
てはDPM2Zn(Bisdipivaloylmethanatozinc)、す
ず化合物としてはジブチルスズジアセトナト(n-C4H9) 2S
n(OCOCH3)2が挙げられる。
【化2】
【0026】上記の反応性ガスは、反応性混合ガスのう
ち、0.01〜10体積%含有させることが好ましい。
また、反応性混合ガスに含まれる不活性ガスとしては、
周期表の第18属元素、具体的には、ヘリウム、ネオ
ン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等が挙げ
られるが、本発明に記載の効果を得るためには、ヘリウ
ム、アルゴンが好ましく用いられる。緻密で、高精度の
薄膜を形成するためには、不活性ガスとしてアルゴンを
用いることが最も好ましい。アルゴンを用いると、高密
度プラズマが発生しやすいと推定している。不活性ガス
の割合は、反応性混合ガス中、90体積%、好ましくは
95体積%以上である。
【0027】また、前述の金属酸化膜の堆積後還元処理
する場合(繰り返し処理も含む)には、反応性混合ガス
中に水素(H2)、酸素(O2)、オゾン(O3)、CHx
4- x(0≦x≦4)、CHxCl4-x(0≦x≦4)、
アンモニア(NH3)、ヨウ化水素(HI)、硫化水素
(H2S)、一酸化炭素(CO)、二酸化硫黄(S
2)、過酸化水素(H22)、水(H2O)等から選択
される添加成分を0.01〜1体積%含有させることに
より、反応が促進され、且つ、緻密で良質な薄膜を形成
することができる。なお、これら添加成分は、前記還元
ガスと共通の成分も含まれるが、ここでは反応性混合ガ
スに含有され、あるいは反応性混合ガスとともに供給さ
れるもので、金属酸化膜を堆積する場合に添加するもの
である。これらガスを添加することで緻密で純粋なより
良質の金属酸化膜を形成することができる。これにより
この後の還元処理後に得られる金属膜も良質なものとな
る。
【0028】また、本発明の方法は純粋な金属膜を確実
に得ることができるものであるが、所望する物性によっ
ては意識的に不純物を含有する膜を形成することもでき
る。例えば、金属膜に、H、C、N、O、F、S、C
l、Br、Iのうち、一種類又は複数種類の元素を所定
割合含有させることで、膜の導電率を純粋な金属膜より
も下げることができる。これらの元素は、上述の全ての
ガス成分を由来とするもので、すなわち、反応性ガスや
還元性ガス、これらとともに供給される不活性ガス内の
微量成分、さらには反応性ガスとともに添加される添加
成分を由来とする。含有量は、プラズマ状態をコントロ
ールすることで制御することができ、具体的には、印加
する電圧のパワーや還元ガス濃度で調節することができ
る。さらには、後述するように高周波電源にパルス電圧
を印加する場合、パルスのデューティ比で制御すること
ができる。不純物量は、膜形成後に、例えばESCA
(Electgron Spectroscopy for Chemical Analysis)で
調べることができ、C元素やO元素であれば0〜10%
の範囲で含有するよう調節する。
【0029】本発明においては、例えば、図1に示すプ
ラズマ処理装置1を用いて金属膜を形成することができ
る。図1において、符号Fは本発明における基材の一例
である、高分子などからなる長尺なフィルムである。フ
ィルムFは、プラズマ処理を受ける前に、帯電防止のた
めの除電処理や、ゴミ除去処理されることが好ましい。
【0030】図1に示すプラズマ処理装置1には、所定
間隔をあけて対向する平板な電極3、4が設けられてい
る。電極3には、高周波電源5が接続され、一方、電極
4はグランド電位に接続されている。前記電極間には、
高いプラズマ密度を得て製膜速度を大きくするため、高
周波電圧で、ある程度大きな電力を供給することが好ま
しい。具体的には、電極3に対して、100kHz以上
800MHz以下の高周波数の電圧を印加することが好
ましく、200kHz以上であればより一層好ましい。
また、電極間に供給する電力の下限値は、1W/cm2
以上50W/cm2以下であることであることが好まし
く、2W/cm2以上であればより一層好ましい。な
お、電極における電圧の印加面積(/cm2)は放電が
起こる範囲の面積のことである。
【0031】電極間に印加する高周波電圧は、断続的な
パルス波であっても、連続したサイン波であってもよ
い。製膜速度を大きくしたい場合にはサイン波が好まし
い。また、前述のように金属膜に不純物を含有したい場
合には、パルス波でもよい。断続的なパルス波である
と、連続的なサイン波よりも、オフタイムにおいてプラ
ズマ密度が下がり系内の反応性が弱まり、還元ガスによ
る不純物濃度を除去する反応が抑制されるからである。
よって、パルス波のデューティ比を制御することで、膜
中の不純物濃度を制御できるようになる。不純物濃度の
制御のための場合、デューティ比は0.1〜10の範囲
内で制御する。パルス波の生成方法としては、例えば、
電極3に100kHz〜800MHzの高周波電圧を印
加する場合、10〜100kHzのパルス電圧を重畳す
ることで生成する。
【0032】電極3、4としては、金属母材上に誘電体
を被覆したものであることが好ましい。ここで母材とし
て使用される金属としては、銀、白金、ステンレス、ア
ルミニウム、鉄等の金属が使えるが、ステンレスが加工
の容易さの点で好ましい。そして、少なくとも電極3,
4のいずれか一方に誘電体を被覆すること、好ましく
は、両方に誘電体を被覆することである。誘電体として
は、比誘電率が6〜45の無機物であることが好まし
い。誘電体としては、ケイ酸塩系ガラス、ホウ酸塩系ガ
ラス、リン酸塩系ガラス、ゲルマン酸塩系ガラス、亜テ
ルル酸塩ガラス、アルミン酸塩ガラス、バナジン酸塩ガ
ラス等をライニング処理して設けることが出来る。この
中でもホウ酸塩系ガラスが加工し易い。また、気密性の
高い高耐熱性のセラミックを焼結した焼結性セラミック
スを用いることも好ましい。焼結性セラミックスの材質
としては例えばアルミナ系、ジルコニア系、窒化珪素
系、炭化珪素系のセラミックスである。電極3、4の一
方に誘電体を設置した場合の誘電体と対向する電極の最
短距離、上記電極の双方に誘電体を設置した場合の両誘
電体同士の距離としては、いずれの場合も均一な放電を
行う観点から0.5mm〜20mmが好ましく、特に好
ましくは1mm±0.5mmである。この電極間の距離
は、電極周囲の誘電体の厚さ、印加電圧の大きさ等を考
慮して決定される。
【0033】また、図1のように基材Fを電極間に載置
あるいは電極間を搬送してプラズマに晒す場合には、更
に誘電体表面を研磨仕上げし、電極の表面粗さRmax
(JIS B 0601)を10μm以下にすること
で、誘電体の厚み及び電極間のギャップを一定に保つこ
とができ、放電状態を安定化できる。
【0034】また、金属母材に対する誘電体被覆による
電極製作において、前記のように、誘電体を研磨仕上げ
することや、電極の金属母材と誘電体間の熱膨張の差を
なるべく小さくすることが必要であるので、母材表面
に、応力を吸収出来る層として泡混入量をコントロール
して無機質の材料をライニングすることが好ましい。特
に材質としては琺瑯等で知られる溶融法により得られる
ガラスであることが良く、更に導電性金属母材に接する
最下層の泡混入量を20〜30vol%とし、次層以降
を5vol%以下とすることで、緻密でかつひび割れ等
が発生しない良好な電極が出来る。
【0035】また、電極の母材に誘電体を被覆する別の
方法として、セラミックスの溶射を空隙率10vol%
以下まで緻密に行い、更にゾルゲル反応により硬化する
無機質の材料にて封孔処理を行うことが挙げられる。こ
こでゾルゲル反応の促進には、熱硬化やUV硬化が良
く、更に封孔液を希釈し、コーティングと硬化を逐次数
回繰り返すと、よりいっそう無機質化が向上し、劣化の
無い緻密な電極が出来る。
【0036】プラズマ処理装置1の処理室2内の圧力は
特に調節せず、ガス導入後も含めて大気圧又は大気圧近
傍の圧力に保たれる。図1に示すように、プラズマ処理
装置1内の入り口1a側には、処理室2に連続する予備
室10、11が設けられ、出口1b側には処理室2に連
続する予備室12が設けられている。金属膜形成時に予
備室10、11、12の内圧よりも処理室2内の方が高
くなるように調節する。このように圧力差が生じること
により、外部空気の混入を防止し、気体中の反応ガスの
プラズマ化が促進される。調節方法としては、例えば吸
引ファンや真空ポンプなどを用いればよい。なお、予備
室はなくてもよく、またその個数や大きさについては適
宜変更可能である。上記のように圧力制御や空気の混入
防止のための間仕切りとフィルムFの搬送を兼ねて、入
り口1a、予備室10と予備室11との間、予備室11
と処理室2との間にニップロール7,7をそれぞれ設
け、処理室2と予備室12との間、出口1bにはニップ
ロール8、8が設けられている。プラズマ処理装置1の
入り口1aから搬入されたフィルムFは、電極4に接触
した状態でプラズマ処理され、出口1bから搬出される
ようになっている。
【0037】処理室2は、反応性混合ガス・還元性混合
ガスを処理室2内に導入するための給気口9、9と、ガ
スを排出するための排気口13、13を有する。プラズ
マ処理装置1を用いてフィルムFの表面に薄膜を形成す
る際には、まずフィルムFがニップロール7、7に押圧
され、電極4に接触した状態で処理室2内に搬入され
る。処理室2には給気口9、9より導入された反応性混
合ガス・還元性混合ガスが存在している。電極3に高周
波電源5より所定の周波数の電圧を印加し、放電プラズ
マを発生させ、フィルムFの表面に反応性ガス由来の金
属膜を形成した後、フィルムFを出口1bから搬出す
る。
【0038】なお、図1に示したプラズマ処理装置1
は、一例に過ぎず、本発明で用いるプラズマ処理装置と
しては他の構成であってもよい。例えばロール状に形成
された電極とその周りに配置した電極との間に基材を通
し、かつ、プラズマ発生するように構成された装置であ
ってもよい。あるいは、電極間には基材を設置せず、電
極間でプラズマ化したイオンなどを、電極近傍に設置し
た基材に対して吹きつけるように構成された装置であっ
てもよい。
【0039】本発明の製膜方法では、純粋な金属膜を得
るために、あるいは所望の不純物濃度を得るために、プ
ラズマ処理中、プラズマ発光スペクトルを発光分光装置
でリアルタイムでモニタリングし、プラズマ雰囲気中の
各成分を検出することが好ましい。すなわち、プラズマ
種により発光スペクトルの波長が異なることから、各波
長の発光スペクトルの強度を検出することでプラズマ雰
囲気中に存在する粒子種を知ることができる。例えば、
金属酸化膜を還元処理して純粋な金属膜を得ようとする
場合、発光スペクトルで酸素(代表的な波長777n
m)を起因とするピークがなくなれば、還元処理が終了
して純粋な金属膜になったことが分かる。このようにモ
ニターすることで、反応の終了時を検出できる。また、
ある種の不純物について、プラズマ雰囲気中の発光強度
と、得られた金属膜に残る不純物の濃度との関係につい
て予め検量線などを作成しておけば、モニターしながら
その不純物について所定の発光強度となったところでプ
ラズマ処理を止めれば、得られた金属膜中に所望濃度で
不純物を含有させることができる。モニターする波長と
しては、例えば各元素の発光スペクトルを十分に含む2
00〜1000nmの範囲である。
【0040】本発明の製膜方法で形成される金属膜とし
ては、Li、Be、B、Na、Mg、Al、Si、P、
K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、
Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、As、Se、Rb、S
r、Y、Zr、Nb、Mo、Pd、Ag、Cd、In、
Sn、Sb、Te、Cs、Ba、La、Hf、Ta、
W、Ir、Pt、Au、Hg、Tl、Pb、Bi、C
e、Pr、Nd、Pm、Eu、Gd、Tb、Dy、H
o、Er、Tm、Yb、Luから選択される一つ又は複
数からなるものが挙げられる。用途も特に限らないが、
例えば、電極や配線、磁気記録膜、超導電膜、反射膜、
耐熱膜、耐磨耗性膜、耐食性膜などが挙げられる。特
に、回路の配線や電極用であれば、Al、Ti、Cr、
Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Pd、Ag、I
n、Sn、Ta、W、Pt、Auより一つ又は複数から
形成することが好ましい。形成される薄膜の膜厚として
は、0.1nm〜10μmの範囲である。
【0041】本発明において金属膜が表面に形成される
基材としては、フィルム状、ファイバー状、バルク状な
ど、膜をその表面に形成することができる形状であれば
特に限定されない。また、その材質についても全く限定
されず、金属、ガラス、樹脂など使用できる。本発明の
製膜方法は大気圧プラズマ法であって低温のグロー放電
下での製膜であることから、特に樹脂を好ましく用いる
ことができる。
【0042】上記樹脂としては、具体的には、ポリエチ
レンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポ
リエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロ
ピレンフィルム、セロファン、セルロースジアセテート
フィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、
セルロースアセテートプロピオネートフィルム、セルロ
ースアセテートフタレートフィルム、セルローストリア
セテート、セルロースナイトレート等のセルロースエス
テル類またはそれらの誘導体からなるフィルム、ポリ塩
化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィル
ム、エチレンビニルアルコールフィルム、ポリスチレン
系フィルム、ポリカーボネートフィルム、ノルボルネン
樹脂系フィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエ
ーテルケトンフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエー
テルスルホンフィルム、ポリスルホン系フィルム、ポリ
エーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、
フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、ポリメチルメ
タクリレートフィルム、アクリルフィルムあるいはポリ
アリレート系フィルム等を挙げることができる。これら
の素材は単独であるいは適宜混合されて使用することも
できる。さらに、これらフィルムを支持体としてその表
面に保護層や帯電防止層などの機能性膜を塗設したもの
を基材として用いることもできる。
【0043】本発明の製膜方法の第2の発明は、反応を
促進するエネルギーの代わりに、反応を促進させる触媒
が供給されることを特徴とする。この点以外は、第1の
発明と同様である。「反応を促進させる」とは、前記各エ
ネルギーのようにプラズマ反応を安定化させることで結
果的に金属膜を形成するための反応が促進されてもよい
し、あるいは各原子、イオン間などの反応種に直接作用
し活性化させて反応を促進するように作用するものでも
よい。例えば、触媒としては、気体分子を解離させる働
きを有するPt、Pdや、還元反応に寄与するNi、C
o、Cuを挙げることができる。これら金属元素をほぼ
純粋な金属として、あるいは化合物や錯体の形で供給す
ればよい。より具体的には、例えば、図1のプラズマ処
理装置1の電極3、4のうちの一方については誘電体で
被覆せず、触媒となる金属で被うといったことで、系内
に触媒を供給してもよい。このように触媒を供給するこ
とによっても、還元ガスを導入しても大きな製膜速度を
維持できる。さらに、本発明では、反応を促進するエネ
ルギーと前記触媒をほぼ同時に供給することで、反応を
より一層活性化させてもよい。
【0044】
【実施例】以下、本発明を具体的な実施例により説明す
るが、本発明はこれら実施例に限定されるものではな
い。
【0045】<実施例1>図1に示すプラズマ処理装置
1を用いて次のように金属膜を形成した。ここで、電極
3、4は、それぞれステンレスSUS316を母材とし
て用いた。この母材は、保温水を循環できるように構成
されている。このステンレスの母材の周囲に、長手方向
における両側面のみ残して片肉で、全面に渡ってアルミ
ナセラミックを溶射して厚さ1mmで被覆した後、アル
コキシシランモノマーを有機溶媒に溶解させた塗布液
を、前記セラミック被膜に対し塗布乾燥後、150℃に
て加熱処理することで誘電体を設けた。被膜のない面よ
り、電極3については高周波電源を接続し、電極4につ
いてはアースを接続した。電極3,4間の距離は1mm
である。
【0046】電極3、4との間に、図1のように基材と
してのフィルムFを通した。ここで、フィルムFは、P
ET(ポリエチレンテレフタレート)である。この状態
で、電極間にガス種Aを導入した。高周波電源5として
高周波電源JRF−10000(日本電子製)を用い、
13.56MHzの周波数を有し、10W/cm2の出
力を有する電圧を印加した。電極間において、フィルム
Fを製膜すべき所定位置で固定した。ガス種Aにガス種
Bを合流させて、同時に、KrCl(光子エネルギー5
42kJ/mol)エキシマランプから発する紫外線を
電極3、4間において、フィルムF表面を照らすよう
に、照射した。フィルムF上に120秒間製膜した。ガ
ス種Bは、ガス種Aに対し1/3の割合(体積比)で供
給した。
【0047】上記のプラズマ処理の間、プラズマ処理装
置のプラズマ空間(電極3、4間)から5cm離れた位
置に、発光分光装置(浜松ホトニクス社製)のスペクト
ル検出用のプローブを設置し、酸素の発光スペクトルの
ピーク(777nm)強度をリアルタイムで観察し、酸
素の除去具合をモニタリングした。製膜終了時に、酸素
のピーク強度は検出されなかった。なお、前記発光分光
装置のプローブとプラズマ雰囲気との距離は、2〜50
cmが好ましい。プローブの焦点はレンズで調整する。
ガス種A、Bは以下の組成を有する。 ガス種A アルゴンガス:水素ガス=95:5 ガス種B アルゴンガス:hfa・Cu・tmvs=95:5 アルゴンガスに対しhfa・Cu・tmvsをエステック製気化
器により混合して供給した。以上の工程により、銅の薄
膜(厚さ1320nm)を得た。
【0048】<実施例2>高周波電源5にさらにパルス
電圧(10kHz、on time/off time=0.5)を重
畳した以外は、実施例1と全く同様に銅膜を形成した。
【0049】<実施例3>基材、プラズマ処理装置、及
びプラズマ発光スペクトルのモニターに関しては実施例
1と同様に次のように製膜した。電極3、4との間に、
図1のように基材としてのフィルムFを通した。この状
態で、電極間にガス種Cを導入した。ガス種Cにガス種
Dを合流させてフィルムF上に15秒間銅の酸化膜を製
膜した。ガス種Dは、ガス種Cに対し1/3の割合(体
積比)で供給した。その後、ガス種C、Dをガス種Eに
切り替え、還元処理を15秒間行った。この作業を4回
繰り返し、銅の薄膜(厚さ1080nm)を得た。ガス
種C、D、Eは以下の組成を有する。 ガス種C アルゴンガス:水素ガス=99.1:0.9 ガス種D アルゴンガス:hfa・Cu・tmvs=95:5 アルゴンガスに対しhfa・Cu・tmvsをエステック製気化
器により混合して供給した。 ガス種E アルゴンガス:水素ガス=97:3
【0050】<比較例1>紫外線を照射しない以外は、
実施例1と同様の方法で銅膜を形成した。
【0051】実施例1〜3及び比較例1における銅膜の
堆積時の製膜速度と、最終的に得られた銅薄膜の抵抗率
(導電率の逆数に相当)を求め、表1にまとめた。な
お、製膜速度については、実施例1、2では最終的に得
られる銅膜の製膜速度であり、実施例3では銅酸化膜の
製膜速度で示した。
【表1】
【0052】表1から分かるように、比較例1の還元ガ
スを加えない方法の場合の製膜速度が「5」であるのに対
して、本発明の大気圧プラズマ法では、実施例1では
「11」、実施例2では「13」、実施例3では「9」であっ
て2倍前後の速度で銅の金属膜を形成することができ
る。また、実施例1と実施例2との抵抗率を比較する
と、実施例2の方が抵抗率が大きく、すなわち導電性が
小さく、パルスを重畳することで、膜内の不純物を多く
できることが証明された。さらに、還元処理をしながら
製膜する実施例1も、銅の酸化膜の形成後還元処理を行
う実施例3でも、抵抗率から分かるように同様の質の膜
を形成できることが分かる。
【0053】
【発明の効果】本発明の大気圧プラズマ法を利用した製
膜方法によれば、還元ガスを供給することで、純粋で良
質な金属膜を形成することができる。また、大気圧プラ
ズマ法であるので、真空プラズマ法よりプラズマ密度が
高く速い速度で製膜できるが、還元ガスを加えるのでや
やプラズマ反応を抑制され得る。しかし、本発明ではエ
ネルギーで加えることでプラズマ反応が促進され、還元
ガスを加えることによるマイナス効果が解消され、十分
に高い製膜速度を有する。また、エネルギーアシストと
同様の効果を、触媒を添加した場合にも奏することがで
きる。加えて、真空装置のような大掛かりな装置も不要
であるので、低コストである。さらに、パルス波を制御
するなどの方法により、意識的に不純物を含有させるこ
ともでき、応用範囲が広い。しかも、発光スペクトルを
モニターしながらプラズマ処理する場合には、プラズマ
雰囲気内の不純物量を把握できるので、確実に純粋な膜
を形成できることになるし、逆に所定量の不純物を含有
した金属膜を形成することもでき、膜成分を自在に制御
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製膜方法で使用するプラズマ処理装置
の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
1 プラズマ処理装置 3、4 電極 5 高周波電源 F フィルム(基材)
フロントページの続き (72)発明者 西脇 彰 東京都日野市さくら町1番地 コニカ株式 会社内 (72)発明者 大石 清 東京都日野市さくら町1番地 コニカ株式 会社内 (72)発明者 近藤 慶和 東京都日野市さくら町1番地 コニカ株式 会社内 (72)発明者 戸田 義朗 東京都日野市さくら町1番地 コニカ株式 会社内 Fターム(参考) 4K030 AA11 AA16 AA17 BA01 CA07 FA01 FA08 FA14

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】大気圧または大気圧近傍の圧力の下で、対
    向する電極間に電圧を印加し放電させることにより、反
    応性ガスをプラズマ状態とし、このプラズマ状態の反応
    性ガスにより基材表面に製膜するための製膜方法であっ
    て、 前記反応性ガスは金属原子を含む化合物を含有すると共
    に、 プラズマ雰囲気中に還元性を有する還元ガスを供給し、 さらに、プラズマ状態及びプラズマ状態後の少なくとも
    いずれかの時に、反応を促進させるエネルギーを加える
    ことにより基材表面に金属膜を形成することを特徴とす
    る製膜方法。
  2. 【請求項2】前記エネルギーは、電子線、放射線、紫外
    線、レーザー光の中から選択されることを特徴とする請
    求項1に記載の製膜方法。
  3. 【請求項3】大気圧または大気圧近傍の圧力の下で、対
    向する電極間に電圧を印加し放電させることにより、反
    応性ガスをプラズマ状態とし、このプラズマ状態の反応
    性ガスにより基材表面に製膜するための製膜方法であっ
    て、 前記反応性ガスは金属原子を含む化合物を含有すると共
    に、 プラズマ雰囲気中に還元性を有する還元ガスと、反応を
    促進させる触媒とを供給することにより基材表面に金属
    膜を形成することを特徴とする製膜方法。
  4. 【請求項4】大気圧または大気圧近傍の圧力の下で、対
    向する電極間に電圧を印加し放電させることにより、反
    応性ガスをプラズマ状態とし、このプラズマ状態の反応
    性ガスにより基材表面に製膜するための製膜方法であっ
    て、 前記反応性ガスは金属原子を含む化合物を含有すると共
    に、 プラズマ雰囲気中に還元性を有する還元ガスを供給し、 さらに、プラズマ状態及びプラズマ状態後の少なくとも
    いずれかの時に、反応を促進させるエネルギーを加え、
    かつ、反応を促進させる触媒を供給することにより基材
    表面に金属膜を形成することを特徴とする製膜方法。
  5. 【請求項5】前記反応性ガスと前記還元ガスとをほぼ同
    時に供給することを特徴とする請求項1〜4のいずれか
    に記載の製膜方法。
  6. 【請求項6】前記基材の表面に、前記反応性ガス由来の
    金属酸化膜を形成した後に、前記還元ガスを供給するこ
    とで、金属酸化膜を還元して金属膜を形成することを特
    徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の製膜方法。
  7. 【請求項7】反応性ガスに含まれる金属成分が、Li、
    Be、B、Na、Mg、Al、Si、P、K、Ca、S
    c、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、
    Zn、Ga、Ge、As、Se、Rb、Sr、Y、Z
    r、Nb、Mo、Pd、Ag、Cd、In、Sn、S
    b、Te、Cs、Ba、La、Hf、Ta、W、Ir、
    Pt、Au、Hg、Tl、Pb、Bi、Ce、Pr、N
    d、Pm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、T
    m、Yb、Luから選択される一つ又は複数種類である
    ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか記載の製膜方
    法。
  8. 【請求項8】還元ガスとして、水素、アンモニア、メタ
    ン、エタン、ヨウ化水素、硫化水素、一酸化炭素、二酸
    化硫黄、過酸化水素、水のうち、1つ又は複数を用いる
    ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか記載の製膜方
    法。
  9. 【請求項9】所定濃度の不純物を含有する金属膜を形成
    することを特徴とする請求項1〜8のいずれか記載の製
    膜方法。
  10. 【請求項10】前記不純物は、H、C、N、O、F、
    S、Cl、Br、Iの各元素の内、一種または複数種類
    であることを特徴とする請求項9に記載の製膜方法。
  11. 【請求項11】前記不純物の含有量は前記電極間に印加
    される電圧の制御または還元ガス濃度により調節される
    ことを特徴とする請求項9または10に記載の製膜方
    法。
  12. 【請求項12】前記対向する電極間にパルス電圧を印加
    し、そのデューティ比を調節することでプラズマ状態を
    制御することを特徴とする請求項1〜11のいずれかに
    記載の製膜方法。
  13. 【請求項13】プラズマ雰囲気中の発光スペクトルに基
    づいて不純物量をモニタリングすることを特徴とする請
    求項1〜12のいずれか記載の製膜方法。
  14. 【請求項14】請求項1〜13のいずれか記載の製膜方
    法で形成された金属膜が表面に設けられていることを特
    徴とする基材。
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