JP2003267927A - カルボン酸エステルの製造方法 - Google Patents

カルボン酸エステルの製造方法

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Koushirou Yokota
耕史郎 横田
Tatsuo Yamaguchi
辰男 山口
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、酸素の存在下でアルデヒドとアル
コールを反応させてカルボン酸エステルを製造する方法
に関し、プロセスの安全を確保して、長期にわたり安定
して、高いアルデヒド転化率と高いカルボン酸エステル
選択率で、連続的にカルボン酸エステルを製造する方法
を提供すること。 【解決手段】 酸素の存在下でアルデヒドとアルコール
を触媒と反応させてカルボン酸エステルを製造する方法
において、接液部に鉄、ニッケル、クロム、モリブデン
を含有する材質を使用し、且つ、反応液の鉄、ニッケ
ル、クロム、モリブデンの濃度の合計を10ppm以下
に保持して反応を実施することを特徴とするカルボン酸
エステル製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸素の存在下でア
ルデヒドとアルコールを反応させてカルボン酸エステル
を製造する方法に関し、高いカルボン酸エステル生産速
度と高いアルデヒド転化率を安定して維持するカルボン
酸エステルの製造方法を提供する。
【0002】
【従来の技術】工業的に有用なメタクリル酸メチル又は
アクリル酸メチルを製造する方法として、メタクロレイ
ン又はアクロレインをメタノールと反応させて直接、メ
タクリル酸メチル又はアクリル酸メチルを製造する酸化
エステル化法が提案されている。この製法ではメタクロ
レイン又はアクロレインをメタノール中で分子状酸素と
反応させることによって行われ、パラジウムと鉛、ビス
マス、タリウム、水銀を含む触媒を用いた例が、特公昭
57−35856〜35861号各公報に、また、パラ
ジウムとこれら金属との金属間化合物を触媒とする例
が、特公昭62−7902号公報に開示されている。
【0003】また、特開平9−216850号公報他に
は、パラジウムとビスマスを用いた触媒が、特開200
1−220367にはルテニウムと鉛を用いた触媒が例
示されている。これらの開示例に示される触媒は全て、
炭酸カルシウム、シリカ、アルミナなどの担体に担持さ
れた固体触媒であり、反応は、これらの固体触媒をアル
コールとアルデヒドの溶液中に分散させて(以下、場合
により触媒スラリーと略記する)酸素を含むガスを吹き
込んで行われるのが一般的である。
【0004】本件発明者らは、触媒の改良に鋭意取り組
み、特に、パラジウムおよび/またはルテニウムとX
(Xは鉛、ビスマス、水銀、タリウムから選ばれる少な
くとも1種類以上の金属を示す)に次ぐ第3成分の検討
を行っている過程で、鉄、ニッケル、クロム、モリブデ
ンなどの金属がアルデヒド転化率とカルボン酸エステル
選択率の低下を招く場合があることを見出した。一方、
本反応系では、カルボン酸エステルの他にカルボン酸が
副生することが知られている。また、工業的に重要なメ
タノールを用いた反応では、メタノール同士の反応でギ
酸メチルが副生することも知られており、やはり系中に
存在する水とギ酸メチルとの間で加水分解反応により腐
食性の極めて強いギ酸が、ごく微量ながら生成している
危険性も指摘されていた。
【0005】反応系中のこれら酸類は、反応器接液部の
腐食を招き、ひいては反応器の損壊という大事故を誘引
する極めて危険な物質であり、長期にわたり安全に操業
を続けるためには、これら酸類に対する根本的な対策が
求められていた。ステンレスは、安価で腐食性の高い材
質であり、工業プラントでも極めて頻繁に用いられる材
質であるので、本件発明者らも、SUS製反応器、具体
的にはSUS316L製反応器を用いて実験を行ってい
たが、SUS316Lを用いても、材質に由来すると思
われる鉄、ニッケル、クロム、モリブデンが反応液中に
溶け出ていることが判明した。したがい、酸類の腐食に
強く、安価で製造実績の豊富な鉄、ニッケル、クロム、
モリブデンを含有する鋼材(ステンレス)を用いて、な
おかつ、ステンレスから溶け出るこれら反応に有害な金
属成分が触媒反応に悪影響を及ぼさないようにする手段
が、長期に安定して工業プロセスを操業する上で、必要
不可欠とされていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
問題点に鑑みてなされたものであって、酸素の存在下で
アルデヒドとアルコールを反応させてカルボン酸エステ
ルを製造する方法に関し、プロセスの安全を確保して、
長期にわたり安定して、高いアルデヒド転化率と高いカ
ルボン酸エステル選択率で、連続的にカルボン酸エステ
ルを製造する方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意本課題
の解決にあたった。その結果、耐蝕性に優れるステンレ
ス製反応器を用いて、なおかつ、反応液中のステンレス
由来の金属成分である、鉄、ニッケル、クロム、モリブ
デンの濃度をある値以下に抑えることにより、反応器の
腐食を防ぎ、かつ、高いアルデヒド転化率と高いカルボ
ン酸エステル選択率を長期間安定して維持できることが
わかり、本発明に至った。
【0008】すなわち、本件発明は、 1 酸素の存在下でアルデヒドとアルコールを触媒と反
応させてカルボン酸エステルを製造する方法において、
接液部に鉄、ニッケル、クロム、モリブデンを含有する
材質を使用し、且つ、反応液の鉄、ニッケル、クロム、
モリブデンの濃度の合計を10ppm以下に保持して反
応を実施することを特徴とするカルボン酸エステル製造
方法に係る。 2 反応液が、その少なくとも一部を抜き出し、鉄、ニ
ッケル、クロム、モリブデンを含有しない溶液に置き換
えることにより反応液中の鉄、ニッケル、クロム、モリ
ブデン濃度の合計を10ppm以下に保持することを特
徴とする上記1記載のカルボン酸エステル製造方法に係
る。
【0009】3 鉄濃度が5ppm以下で、ニッケル、
クロム、モリブデンの濃度がそれぞれ1ppm以下であ
ることを特徴とする上記1または2記載のカルボン酸エ
ステル製造方法に係る。 4 該触媒がパラジウムおよび/またはルテニウムとX
(Xは鉛、ビスマス、水銀、タリウムから選ばれる少な
くとも1種類以上の金属を示す)を含む触媒であること
を特徴とする上記1ないし3記載のカルボン酸エステル
製造方法に係る。 5 アルデヒドがアクロレイン又はメタクロレインで、
アルコールがメタノールである上記1ないし4記載の触
媒を用いたカルボン酸エステルの製造方法に係る。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
本発明において使用するアルデヒドとしては、例えば、
ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアル
デヒド、イソブチルアルデヒド、グリオキサールなどの
脂肪族飽和アルデヒド;アクロレイン、メタクロレイ
ン、クロトンアルデヒドなどの脂肪族不飽和アルデヒ
ド;ベンズアルデヒド、トリルアルデヒド、ベンジルア
ルデヒド、フタルアルデヒドなどの芳香族アルデヒド;
並びにこれらアルデヒドの誘導体などがあげられる。こ
れらのアルデヒドは単独もしくは任意の二種以上の混合
物として用いることができる。
【0011】特に、アクロレインとメタクロレインは好
ましく用いられる。本発明において使用するアルコール
としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロ
パノール、オクタノールなどの脂肪族飽和アルコール;
エチレングリコール、ブタンジオールなどのジオール;
アリルアルコール、メタリルアルコールなどの脂肪族不
飽和アルコール;ベンジルアルコールなどの芳香族アル
コールなどがあげられる。特にメチルアルコール、エチ
ルアルコールなどの低級アルコールが反応が速やかで好
ましい。これらのアルコールは単独もしくは任意の二種
以上の混合物として用いることができる。
【0012】本発明反応におけるアルデヒドとアルコー
ルとの使用量比には特に限定はなく例えばアルデヒド/
アルコールのモル比で10〜1/1000のような広い
範囲で実施できるが、一般にはアルデヒドの量が少ない
方が好ましく、1/2〜1/50の範囲にするのが好ま
しい。本発明で使用する酸素は分子状酸素、すなわち酸
素ガス自体又は酸素ガスを反応に不活性な希釈剤、例え
ば窒素、炭酸ガスなどで希釈した混合ガスの形とするこ
とができ、空気を用いることもできる。反応系に存在さ
せる酸素の量は、反応に必要な化学量論量以上、好まし
くは化学量論量の1.2倍以上あれば充分である。
【0013】反応の全圧は減圧から加圧下の任意の広い
圧力範囲で実施することができるが、通常は1〜20k
g/cm2の圧力で実施される。反応系に供給する酸素
の分圧は、反応器出口側の酸素分圧が0.8kg/cm
2以下となるように管理するのが好ましく、より好まし
くは0.4kg/cm2以下である。一方、反応器流出
ガスの酸素濃度が爆発範囲(8%)を越えないように全
圧を設定するとよい。本発明反応は、気相反応、液相反
応、潅液反応などの任意の従来公知の方法で実施でき
る。例えば液相で実施する際には気泡塔反応器、ドラフ
トチューブ型反応器、撹拌槽反応器などの任意の反応器
形式によることができる。反応器形式も固定床式、流動
床式、撹拌槽式などの従来公知の任意の形式によること
ができる。
【0014】本発明で用いる反応器は、カルボン酸の腐
食に耐え得る材料である必要があり、ステンレス、ガラ
スコーティングやフッ素コーティングした鋼材、チタン
やジルコニウムなどの高い耐蝕性を示す金属でメッキし
た鋼材、などが知られているが、コーティング材では、
激しく流動する触媒スラリーにより、ガラスが磨耗した
りフッ素樹脂が剥離するなど好ましくない。チタンやジ
ルコニウムのメッキは耐蝕性は極めて優れるものの、第
一に高価であり、また、還元雰囲気の反応であるため水
素脆性が懸念される。
【0015】工業的に豊富な使用実績があり、安価なス
テンレスは好ましい反応器材質である。ステンレスとし
ては、SUS304、SUS304L、SUS316、
SUS316Lなどが例示される。ただし、本発明者等
の検討によれば、本件反応を工業的に長期間に渡って、
特に連続的に実施することを想定した場合、接液部のS
US成分が微量ながらも反応液液相に溶出し、これら成
分の溶出分が、触媒の性能が著しく低下することを見出
している。従って、長時間に渡って装置の安全性を確保
したうえで、高いカルボン酸エステル選択率、高いアル
デヒド転化率でカルボン酸エステルの製造を行なうため
には、接液部に鉄、ニッケル、クロム、モリブデンを含
有する材質を使用し、且つ、反応液の鉄、ニッケル、ク
ロム、モリブデンの濃度の合計を10ppm以下に保持
して反応を実施することが必要である。
【0016】本件発明の主たる構成要件は、反応液中に
含まれるこれらSUS由来の金属、鉄、ニッケル、クロ
ム、モリブデンの濃度の合計を10ppm以下に抑える
ことにあり、この値は好ましくは5ppm以下、さらに
好ましくは1ppm以下である。この値が10ppmよ
り大きい場合には、これら金属による反応への阻害効果
が著しく、好ましくない。さらに、各金属について、鉄
の濃度は5ppm以下、ニッケル、クロム、モリブデン
の濃度はそれぞれ1ppm以下であるとなおさら好まし
い。
【0017】本件発明における接液部とは、各反応器、
各反応器を接続する配管及び触媒スラリーを触媒分離装
置へ導く配管を示すことは勿論のこと、上記反応器や配
管に接続された流量計、温度計、圧力計等も含まれる。
さらに、触媒スラリーの流動により濡れたり乾いたりす
る反応器器壁の反応液部と気相部の境界部分、流動する
スラリーや回転する攪拌装置などから飛沫として飛んだ
スラリーが接触する可能性のある反応器内壁上面や上部
側面、攪拌軸、蒸発したアルコールやアルデヒドなどが
凝縮して触れるコンデンサーなども含まれる。
【0018】反応液中の鉄、ニッケル、クロム、モリブ
デンの濃度の合計を10ppm以下に保持する方法とし
ては、反応器からこれら鉄、ニッケル、クロム、モリブ
デンを含有する反応液の少なくとも一部を抜き出し、
鉄、ニッケル、クロム、モリブデンを含有しない液に置
き換える方法が実用的であり、原料メタノールや原料ア
ルデヒドを以ってこれに充てる方法は好ましい。反応液
を抜き出す割合および頻度はSUSからのこれら金属の
溶出速度によって適宜設定することが好ましく、溶出が
少ない場合には、カルボン酸エステルの生産速度に応じ
て抜き出せば良く、溶出が著しい場合には、製造に必要
な理論量のアルコールおよび/またはアルデヒドにアル
コールを追加して、これら有害金属の排出を促す方法も
好ましい。
【0019】反応は、無溶媒でも実施できるが、反応成
分に対して不活性な溶媒、例えば、ヘキサン、デカン、
ベンゼン、ジオキサンなどを用いて実施することができ
る。本発明に用いる触媒はパラジウムおよび/またはル
テニウムと、X(Xは鉛、ビスマス、水銀、タリウムか
ら選ばれる少なくとも1種類以上の金属)を含むことが
必須である。パラジウムおよび/またはルテニウムとX
が合金、金属間化合物を形成しても良い。
【0020】また、異種元素としてFe、Te、Ni、
Cr、Co、Cd、In、Ta、Cu、Zn、Zr、H
f、W、Mn、Ag、Re、Sb、Sn、Rh、Ru、
Ir、Pt、Au、Ti、Al、B、Si、Ge、S
e、Ta等を含んでもよい。これらの異種元素は通常、
5重量%、好ましくは1重量%を超えない範囲で含むこ
とができる。さらにはアルカリ金属化合物及びアルカリ
土類金属化合物から選ばれる少なくとも一員を含むもの
は反応活性が高くなるなどの利点がある。アルカリ金
属、アルカリ土類金属は通常0.01〜30重量%、好
ましくは0.01〜5重量%の範囲から選ばれる。
【0021】これらの異種元素、アルカリ金属、アルカ
リ土類金属化合物などは結晶格子間に少量、侵入した
り、結晶格子金属の一部と置換していてもよい。また、
アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属化合物は、触
媒調製時にパラジウム化合物、ルテニウム化合物、ある
いはXの化合物を含む溶液に加えておき担体に吸着ある
いは付着させてもよいし、あらかじめこれらを担持した
担体を利用して触媒を調製することもできる。また、反
応条件下に反応系に添加することも可能である。これら
の触媒構成要素は単独にあるいはシリカ、アルミナ、シ
リカアルミナ、チタン、炭酸塩、水酸化物、活性炭、ジ
ルコニアなどの担体に担持されたものがよい。
【0022】本発明におけるパラジウムおよび/または
ルテニウム担持触媒の担持量は、特に限定はないが、通
常0.1〜20重量%、好ましくは1〜10重量%であ
り、アルカリ金属化合物もしくはアルカリ土類金属化合
物を使用する場合、担持量は、通常、0.01〜30重
量%、好ましくは0.01〜15重量%である。本発明
の触媒は公知の調製方法で準備することができる。代表
的な触媒調製方法について説明すれば、たとえば、可溶
性の鉛化合物および塩化パラジウムなどの可溶性のパラ
ジウム塩を含む水溶液に担体を加えて加温含浸させ、パ
ラジウム、鉛を含浸する。ついでホルマリン、ギ酸、ヒ
ドラジンあるいは水素ガスなどで還元する。この例で示
すならば、パラジウムを担持する前に鉛を担持してもよ
いし、パラジウムと鉛を同時に担持してもよい。
【0023】触媒調製のために用いられるパラジウム化
合物及びルテニウム化合物は、例えば蟻酸塩、酢酸塩な
どの有機酸塩、硫酸塩、塩酸塩、硝酸塩のごとき無機酸
塩、アンミン錯体、ベンゾニトリル錯体、アセチルアセ
トナート錯体、カルボニル錯体などの有機金属錯体、酸
化物、水酸化物などのなかから適宜選ばれるが、パラジ
ウム化合物としては塩化パラジウム、酢酸パラジウムな
どが、ルテニウム化合物としては塩化ルテニウムなどが
好ましい。
【0024】Xの化合物としては硝酸塩、酢酸塩などの
無機塩、ホスフィン錯体など有機金属錯体を用いること
ができ、硝酸塩、酢酸塩などが好適である。またアルカ
リ金属化合物、アルカリ土類金属化合物についても有機
酸塩、無機酸塩、水酸化物などから選ばれる。触媒の使
用量は、反応原料の種類、触媒の組成や調製法、反応条
件、反応形式などによって大巾に変更することができ、
特に限定はないが、触媒をスラリー状態で反応させる場
合には反応液1リットル中に0.04〜0.5kg使用
するのが好ましい。
【0025】本発明の反応は、反応系にアルカリ金属も
しくはアルカリ土類金属の化合物(例えば、酸化物、水
酸化物、炭酸塩、カルボン酸塩など)を添加して反応系
のpHを6〜9に保持することが好ましい。特にpHを
6以上にすることで触媒中のX成分の溶解を防ぐ効果が
ある。これらのアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属
の化合物は単独もしくは二種以上組み合わせて使用する
ことができる。本発明反応は、100℃以上の高温でも
実施できるが、好ましくは30〜100℃、さらに好ま
しくは60〜90℃である。
【0026】反応時間は特に限定されるものではなく、
設定した条件により異なるので一義的には決められない
が通常1〜20時間である。以下、実施例をもって本発
明の実施の形態を具体的に説明する。担体として富士シ
リシア社製のシリカゲル(キャリアクト10 商品名
平均粒子径 50μm)にパラジウム5重量%、鉛5重
量%、マグネシウム4重量%を担持した触媒150g
を、液相部が1.2リットルのステンレス(SUS31
6L)製外部循環型気泡塔反応器に仕込み、34重量%
のメタクロレイン/メタノールを0.54リットル/
h、NaOH/メタノールを0.06リットル/hで供
給し、温度80℃、圧力5.0kg/cm2で空気を供
給しながら反応を行った。
【0027】反応液のpHが7.1となるようにNaO
H濃度調製し、また、供給原料液中の鉛濃度が20pp
mとなるように酢酸鉛をメタクロレイン/メタノールに
溶かして連続的に供給した。一方、反応器出口酸素濃度
は、4モル重量%(酸素分圧0.20kg/cm2)と
なるように空気量を調整しながら反応器に空気を供給し
た。反応成績は以下のように評価した。
【0028】(1)アルデヒド転化率(モル%)、カル
ボン酸エステル選択率(モル%) 反応液ならびに反応器出口ガスの分析は、通常のガスク
ロマトグラム法にて、島津製作所製GC−8A型機に化
学品検査協会製G−100カラム(ほぼ沸点順に溶出す
る)を装着し、恒温槽をプログラム昇温させて、水素炎
検出器(FID)を用いて行った.。 (2)反応液中の金属成分の分析 反応液中の金属成分の分析は、測定は島津製作所製AA
−6400F型原子吸光光度計およびリガク製JY−1
38誘導結合高周波プラズマ発光分光分析計を併用して
行った。
【0029】
【実施例1】上記反応条件にて、152時間反応を継続
した。反応成績、金属の分析結果を、原料混合物と比較
例の測定結果とともに表1にまとめた。
【0030】
【比較例1】実施例1のメタノールの代わりに、鉄を2
0ppm含むメタノールを用いた以外は、実施例1と同
様に反応を150時間行った。
【0031】
【比較例2】実施例1のメタノールの変わりに、ニッケ
ルを10ppm含むメタノールを用いた以外は、実施例
1と同様に反応を153時間行った。
【0032】
【比較例3】実施例1のメタノールの変わりに、クロム
とモリブデンをそれぞれ5ppmづつ含むメタノールを
用いた以外は、実施例1と同様に反応を153時間行っ
た。実施例、比較例の結果を表1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
【発明の効果】本件発明のカルボン酸エステル製造方法
は、高いアルデヒド転化率と高いカルボン酸エステル選
択率を長期にわたって安定して維持するのみならず、プ
ロセスの安全性を長期に渡り確保する特徴も有し、連続
的に製造できる工業的有用性が高い。
フロントページの続き Fターム(参考) 4H006 AA02 AC48 BA07 BA09 BA13 BA24 BA25 BD83 BE30 4H039 CA66 CD10

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸素の存在下でアルデヒドとアルコール
    を触媒と反応させてカルボン酸エステルを製造する方法
    において、接液部に鉄、ニッケル、クロム、モリブデン
    を含有する材質を使用し、且つ、反応液の鉄、ニッケ
    ル、クロム、モリブデンの濃度の合計を10ppm以下
    に保持して反応を実施することを特徴とするカルボン酸
    エステル製造方法。
  2. 【請求項2】 反応液が、その少なくとも一部を抜き出
    し、鉄、ニッケル、クロム、モリブデンを含有しない溶
    液に置き換えることにより反応液中の鉄、ニッケル、ク
    ロム、モリブデン濃度の合計を10ppm以下に保持す
    ることを特徴とする請求項1記載のカルボン酸エステル
    製造方法。
  3. 【請求項3】 鉄濃度が5ppm以下で、ニッケル、ク
    ロム、モリブデンの濃度がそれぞれ1ppm以下である
    ことを特徴とする請求項1または2記載のカルボン酸エ
    ステル製造方法。
  4. 【請求項4】 該触媒がパラジウムおよび/またはルテ
    ニウムとX(Xは鉛、ビスマス、水銀、タリウムから選
    ばれる少なくとも1種類以上の金属を示す)を含む触媒
    であることを特徴とする請求項1ないし3記載のカルボ
    ン酸エステル製造方法。
  5. 【請求項5】 アルデヒドがアクロレイン又はメタクロ
    レインで、アルコールがメタノールである請求項1ない
    し4記載の触媒を用いたカルボン酸エステルの製造方
    法。
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