JP2003266547A - 積層造形方法及び積層造形品 - Google Patents
積層造形方法及び積層造形品Info
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Abstract
たレジンコーテッドサンドを散布して薄い砂層を形成す
る工程と、砂層にレーザービームを照射して所要の2次
元パターンの硬化層を形成する工程とを繰り返すことに
より、多数の硬化層を積層して3次元造形物を得る積層
造形において、造形時及び造形後の熱処理におけるガス
発生を抑え、作業環境及び周辺環境面での支障をきたさ
ずに、高いレーザ熱効率で高品質の造形品を得る手段を
提供する。 【解決手段】 レジンコーテッドサンドの主成分とし
て、熱硬化性樹脂成分がレゾール型フェノール樹脂から
なるレジンコーテッドサンドを用いる。
Description
材料とし、レーザービームの熱によって結着硬化させた
砂の薄層を積層一体化して3次元造形物を得る積層造形
方法と、この造形方法にて得られる積層造形品に関す
る。
玩具、日用雑貨等の各種工業分野における製品や部品の
設計・デザイン構成をCAD、CAM、CAE等のコン
ピュター上で行う手法が広く普及している。そして、こ
のようなコンピュター上で設計された三次元モデルを具
象化した実体モデルを製作する最新の手段として、積層
造形法が登場している。
計モデルを厚さ数十〜数百μm単位の多数層に平行スラ
イスした時の各断面パターンのデータを作成し、このデ
ータを積層造形装置のコントローラーに入力し、造形材
料に各層の断面パターンに沿ってレーザービームを照射
することにより、前記スライスした多数層を最下層から
順次一層ずつ積層形成してゆき、最終的に設計モデルに
対応した実体モデルを形成する。しかして、このような
積層造形法は、レーザービームを用いた光学的手段でパ
ターン形成を行うために光造形法とも称されるが、造形
材料として紫外線硬化型樹脂等の樹脂溶液を造形材料と
する溶液造形方式と、固形粉末を造形材料とする粉体造
形方式とに大別される。
り、砂、金属粉、樹脂粉末等の粉体粒子自体を焼結させ
るか、バインダー成分を介して融着させ、もって粒子同
士が結着硬化した造形物とするものであり、形態確認用
の実体モデルのみならず、鋳造用の鋳型や樹脂成形用の
金型等として実際の製品製造に用いる成形型の製作手段
としても期待されている。特に、砂粒子表面をバインダ
ーである熱硬化性樹脂成分で被覆したレジンコーテッド
サンドを用いた積層造形による鋳型製作は、旧来におけ
る製品形態の木型から鋳造用砂型を製作する方法に比較
し、木型が不要であることから、低コストで手間を要さ
ずに極めて短時間で行える上、非常に複雑な形状のもの
でも連続する部位があれば一体物として形成できるとい
う利点があるため、とりわけ流体を取り扱う様々な中空
物品の鋳造用砂型等の製作に適しており、中子を一体化
した鋳型も形成可能となる。
砂型のレジンコーテッドサンドには、熱による反応硬化
が速いという利点より、熱硬化性樹脂成分としてノボラ
ック型フェノール樹脂成分を用いたものが汎用されてお
り、これを踏まえて、前記の粉体造形方式の積層造形に
おける造形材料としても、専ら同様のレジンコーテッド
サンドが使用されている。
ック型フェノール樹脂成分を含むレジンコーテッドサン
ドを造形材料とした従来の積層造形では、砂の薄層に所
定パターンでレーザービームを照射して結着硬化層を形
成してゆく過程で、煙状のガスが多量に発生することか
ら、このガスによってレーザービームの透過性が落ちて
熱効率の低下を招く上、造形物中に入り込んだガスによ
り、造形物を鋳造用砂型として用いる場合に鋳造品のガ
ス欠陥が多発し、また得られた積層造形品の表面硬度を
高めるためにガスバーナーで炙ったり、ポストキュアと
して完全硬化のために加熱する際にも刺激臭を伴うガス
が発生し、これらによって作業環境が悪化するという問
題があった。
に発生するガスの成分を調べたところ、フェノール樹脂
の原料成分であるフェノール及びホルムアルデヒドと、
硬化剤に使用されているヘキサメチレンテトラミンの分
解によって生じるアンモニアが主であった。しかして、
特にアンモニアは刺激臭が強い上、このアンモニアとホ
ルムアルデヒドには毒性があるため、作業者の安全衛生
面で問題があることに加え、ガス排出が工場周辺の環境
汚染にも繋がるから、造形時の熱効率低下や鋳造時のガ
ス欠陥といった製造技術面の課題を含めて、対策が急務
になっている。なお、積層造形装置の造形室にはガス吸
引口が設けてあるが、造形材料の砂は非常に微細な粒子
であるため、発生ガスの排出を促進するために吸引力を
強めると、散布される砂粒子が気流の影響を受けて乱
れ、均一な砂の薄層を形成できなくなって造形性が悪化
することになる。
に鑑み、造形材料にレジンコーテッドサンドを用いる積
層造形において、造形時及び造形後の熱処理におけるガ
ス発生を抑え、作業環境及び周辺環境面での支障をきた
すことなく、高いレーザ熱効率で高品質の造形品を得る
手段について鋭意検討を重ねた結果、熱硬化性樹脂成分
としてレゾール型フェノール樹脂を含むレジンコーテッ
ドサンドを用いることが極めて有効であることを見出
し、本発明をなすに至った。
が熱硬化性樹脂成分にて被覆されたレジンコーテッドサ
ンドを散布して薄い砂層を形成する工程と、この砂層に
レーザービームを照射して所要の2次元パターンの硬化
層を形成する工程とを繰り返すことにより、多数の硬化
層を積層して3次元造形物を得る積層造形方法におい
て、前記レジンコーテッドサンドの主成分として、熱硬
化性樹脂成分がレゾール型フェノール樹脂からなるレジ
ンコーテッドサンドを用いることを特徴としている。
るバインダーとしてレゾール型フェノール樹脂を含むレ
ジンコーテッドサンドを造形材料とすることから、造形
途上で発生するガスは非常に少なくなり、レーザービー
ムの透過性増大によって熱効率が向上し、また造形物中
に入り込むガスも減って鋳造用砂型における鋳造時のガ
ス欠陥が減少する。すなわち、レゾール型フェノール樹
脂は硬化剤なしに熱によって自らの脱水反応で架橋硬化
するから、該樹脂用いたレジンコーテッドサンドの薄層
にレーザービームを照射してもアンモニアガスが発生せ
ず、且つ反応機構的にホルムアルデヒドも発生しない。
また、このレゾール型フェノール樹脂を用いたレジンコ
ーテッドサンドは、ノボラック型フェノール樹脂と硬化
剤を用いたレジンコーテッドサンドに比較して熱硬化は
遅いが、レーザービームによって数百μmという薄い厚
みの砂層単位で瞬時に高熱を与えるから、硬化は造形に
支障のない短時間で進行する上、硬化の遅れによって下
層との接合性が向上することになる。
形方法において、前記レジンコーテッドサンドは、熱硬
化性樹脂成分がレゾール型フェノール樹脂からなるレジ
ンコーテッドサンドと、熱硬化性樹脂成分がノボラック
型フェノール樹脂及びその硬化剤からなるレジンコーテ
ッドサンドとの、前者/後者の重量比が80/20〜9
5/5の混合物からなるものとしている。この構成で
は、造形材料にノボラック型フェノール樹脂成分を用い
たレジンコーテッドサンドを含むが、その割合が小さい
ため、加熱に伴う発生ガスは少量に抑えられる。しかし
て、ノボラック型フェノール樹脂成分の熱硬化が速いた
め、レゾール型フェノール樹脂を用いたレーザービーム
単独の場合に比較して、完全硬化に至るまでの造形物の
自己保持強度が増すことになり、大型の造形物や構造的
に下部の耐荷重性が低い造形物でもサポート部の省略な
いし削減を図ることができる。
積層造形方法において、前記レジンコーテッドサンドに
おける熱硬化性樹脂成分の被覆量が砂粒子に対して2〜
6重量%の範囲にあるものとしている。この場合、砂か
らなる造形物としての特性を損なうことなく、砂粒子同
士の結着力を充分に確保できる。
ずれかの積層造形方法において、前記レジンコーテッド
サンドの砂が球状粒子からなる人工セラミック砂を主体
とするものとしている。この場合、造形材料として用い
るレジンコーテッドサンドの流動性及び充填性がよいた
め、リコーターのスリット状出口から円滑に流出して造
形面全体に均一に散布され、形成される砂層は均一で粒
子が密に充填された状態となり、しかも人工セラミック
砂で成分的にも均質であるため、レーザービームの照射
時やポストキュア時の熱膨張が少なく、もって得られる
積層造形品は形態及び寸法の安定性に優れ、また滑らか
な表面を有すると共に適度な強度を備えるものとなる。
形方法において、前記人工セラミック砂が粒径75〜1
50μmの範囲にピークを持つ粒度分布を示すものとし
ている。この場合、レジンコーテッドサンドを造形材料
とする積層造形方法では一般的に砂層一層分の厚みを2
00μm程度に設定することから、その砂層の厚みに対
して砂粒が適度な大きさとなり、リコーターによって均
一な厚みの砂層を容易に散布形成できる。
積層造形方法において、前記人工セラミック砂は、アル
ミナとシリカを主成分とし、ムライト結晶構造を持つも
のとしている。この場合、該人工セラミック砂が低膨張
性であるため、積層造形時のレーザービームの照射やポ
ストキュア時の熱による体積変動が小さく、得られる積
層造形品の形態及び寸法の安定性がより向上することに
なる。
ずれかの積層造形方法において、前記レジンコーテッド
サンドの砂が60重量%以上の人工セラミック砂と残余
の天然珪砂とからなるものとしている。この場合、人工
セラミック砂の少ない熱膨張による積層造形品の形態及
び寸法の安定性の利点を活かしながら、安価な天然珪砂
による材料コストの低減を図ることができる。
形方法において、前記天然珪砂が粒径75〜150μm
の範囲にピークを持つ粒度分布を示すものとしている。
この構成では、人工セラミック砂に混合される天然珪砂
の粒子形態は不揃いであるが、その粒度が比較的に小さ
いため、リコーターからの流出性や砂層の充填性に及ぼ
す影響は少なくなる。
請求項1〜8のいずれかの積層造形方法にて得られたも
のであるから、層間結着力が大きく強度的に優れたもの
となる。また、請求項10の発明では、上記請求項9の
積層造形品が鋳造用の主型又は中子を構成するものとし
ており、これらは造形過程でのガスの入り込みが少ない
ことから、鋳造時のガス欠陥を生じにくくなる。
ように粉体造形方式、つまり粉体を散布して薄い粉体層
を形成する工程と、この粉体層にレーザービームを照射
して所要の二次元パターンの硬化層を形成する工程とを
繰り返すことにより、多数の硬化層を積層して3次元造
形物を得るものであるが、その造形材料の粉体として粒
子表面がレゾール型フェノール樹脂を主体とする熱硬化
性樹脂成分にて被覆されたレジンコーテッドサンドを用
いることから、造形途上で発生するガスが非常に少なく
なり、レーザービームの透過性増大によって熱効率が向
上し、また造形物中に入り込むガスも減って鋳造用砂型
における鋳造時のガス欠陥が減少するという利点があ
る。
フェノールとホルムアルデヒドとをアルカリ触媒を介し
て反応させたもので、メチロールフェノールとメチロー
ルジフェニルメタンの混合物からなり、加熱によってオ
キシメチル基とベンゼン核あるいはオキシメチル基相互
から脱水し、メチレン結合あるいはジメチレン−エーテ
ル結合を生じて架橋硬化するため、硬化剤や過剰のホル
ムアルデヒドが不要である。従って、該樹脂用いたレジ
ンコーテッドサンドの薄層にレーザービームを照射して
もアンモニアガスは発生せず、また硬化反応機構よりホ
ルムアルデヒドも発生しない。これに対し、ノボラック
型フェノール樹脂は、フェノールとホルムアルデヒドと
を酸触媒を介して反応させたもので、フェノールのベン
ゼン核がメチレン結合で連なった構造を有し、加熱だけ
では硬化せず、ホルムアルデヒドの存在下での加熱によ
ってメチレン結合及びジメチレンイミン結合を生じて架
橋硬化するため、ホルムアルデヒドを発生させるヘキサ
メチレンテトラミンのような硬化剤又は過剰のホルムア
ルデヒドを必要とする。
たレジンコーテッドサンド(曲線R)と、ノボラック型
フェノール樹脂(硬化剤としてヘキサメチレンテトラミ
ンを含む)を用いたレジンコーテッドサンド(曲線N)
とを、それぞれ電気炉中で700℃に加熱してガス発生
量を測定し、砂1g当たりのガス発生量(ml/g)と
加熱時間(秒)との関係を調べたものである。曲線Rと
曲線Nの対比から明らかなように、レゾール型フェノー
ル樹脂を用いたレジンコーテッドサンドの加熱によるガ
ス発生量は、ノボラック型フェノール樹脂を用いたレジ
ンコーテッドサンドの1/2以下になっている。
いたレジンコーテッドサンドは、ノボラック型フェノー
ル樹脂と硬化剤を用いたものに比較して熱硬化は遅く、
この点が従来の積層造形に使用されなかった主因であっ
たが、実際に積層造形に供してみれば、造形の進行に支
障のない短時間で硬化することが判明している。これ
は、積層造形では数百μm(通常は200μm程度)と
いう薄い厚みの砂層単位でレーザービームを照射するか
ら、極めて少量の砂に瞬時に高熱が付与される結果、硬
化が速まるものと想定される。しかも、レゾール型フェ
ノール樹脂を用いたレジンコーテッドサンドの場合、そ
のやや遅い硬化によって下層との接合性が向上すること
から、積層造形物の層間結着強度が増し、最終的に得ら
れる造形品は却って強度的に優れたものとなることも判
明している。
その造形材料として、レゾール型フェノール樹脂を用い
たレジンコーテッドサンドを単独で使用してもよいが、
これを主体として少量のノボラック型フェノール樹脂成
分を用いたレジンコーテッドサンドを併用してもよい。
すなわち、併用形態では、ノボラック型フェノール樹脂
成分の熱硬化が速いため、レゾール型フェノール樹脂を
用いた砂単独の場合に比較して、完全硬化に至るまでの
造形物の自己保持強度が増すことになる。従って、大型
の造形物や構造的に下部の耐荷重性が低い造形物でも、
サポート部の省略ないし削減を図ることができる。
樹脂を用いたレジンコーテッドサンドと、ノボラック型
フェノール樹脂及びその硬化剤を用いたレジンコーテッ
ドサンドとの、前者/後者の重量比を80/20〜95
/5の範囲とするのがよい。しかるに、ノボラック型フ
ェノール樹脂及びその硬化剤を用いたレジンコーテッド
サンドの比率が20重量%を越えると、加熱時の発生ガ
スによる既述の問題を看過できなくなり、逆に同比率が
5重量%未満では上記の併用効果を充分に発揮できな
い。
硬化性樹脂成分の含有量は、レゾール型フェノール樹脂
を用いたものと、ノボラック型フェノール樹脂及びその
硬化剤を用いたもの共に、砂粒子に対して2〜6重量%
の範囲が好適である。この含有量が少な過ぎては、硬化
反応による砂粒子同士の結着強度が不充分になる。逆に
被覆量が多過ぎても、造形物中の樹脂分が多くなって強
度低下をきたし、材料コストも高く付き、また鋳造用砂
型とする場合には鋳型としての必要な性能が得られな
い。なお、ノボラック型フェノール樹脂に対する硬化剤
の配合量は、ヘキサメチレンテトラミンでは該フェノー
ル樹脂に対して5〜20重量%程度が一般的である。更
に、レジンコーテッドサンドには、粒子同士の結着を防
ぐために必要とあらば、ステアリン酸カルシウム等の滑
剤(離型剤)を熱硬化性樹脂成分に対して0.05〜1
重量%程度の範囲で含有させてもよい。
は、特に制約はなく、珪砂、ジルコンサンド、クロマイ
トサンド等の天然砂、ならびに無機酸化物の如き無機質
成分の混合物を造粒して高温焼成して得られる人工セラ
ミック砂を使用できるが、特に球状粒子からなる人工セ
ラミック砂が好適である。
リコーターを移動させつつ、そのスリット状開口部から
粉体を流出させる形で一定幅で散布して200μm程度
といった薄い砂層を形成する必要があり、該砂層の表面
性と充填密度の均一性が造形品質を大きく左右すること
になるが、前記の球状粒子からなる人工セラミック砂は
流動性及び充填性に優れるため、前記スリット状開口部
からの流出が幅方向に均等になされ、造形面全体に平坦
で均一な高充填密度の砂層を形成できる。しかも人工セ
ラミック砂は成分的に均質で熱膨張性が少ないことか
ら、造形過程での各硬化層が設計モデルの平行スライス
した各断面パターンに精密に対応したものとなり、また
ポストキュアの際にも積層造形物の熱膨張が少なくなる
ため、得られる造形品の形態及び寸法の安定性が向上す
ると共に、該造形品は滑らかな表面で適度な強度を備え
るものとなる。
ク砂としては、特に制約されないが、粒径75〜150
μmの範囲にピークを持つ粒度分布を示すものが好適で
ある。すなわち、レジンコーテッドサンドを用いた積層
造形における砂層一層分の厚みは一般的に200μm程
度に設定されるため、粒度が大き過ぎてはリコーターに
よって散布で均一な厚みの砂層を形成できない上、粗大
粒子が移動するリコーターに引っ掛かって砂層表面に筋
状の傷を生じ易くなり、もって造形精度が悪化すること
になる。逆に粒度が小さ過ぎては、レーザービーム照射
による粒子相互の結着力が過大になり、得られる積層造
形物は不必要に硬くなるため、孔開けや切削等の後加工
に支障をきたす他、特に鋳造用の鋳型や中子として用い
る場合は鋳造後の分解が困難になる。
されないが、アルミナとシリカを主成分とするものが好
ましく、特にムライト結晶(3Al2 O3 ・2Si
O2 )の構造を持つものが推奨される。これは、アルミ
ナとシリカを主成分とする人工セラミック砂は熱膨張性
が低く、特にムライト結晶構造のものは熱による体積変
化が殆どないため、積層造形時のレーザービームの照射
やポストキュア時の熱による体積変動が小さく、得られ
る積層造形品の形態及び寸法の安定性がより向上するこ
とによる。
ラミック砂としては、真球状の粒子で粒度分布幅の小さ
いものとする上で、原料粉末混合物に水を加えて混練し
た泥奨をスプレードライヤーで熱風中に吹き出して造粒
し、これをロータリーキルンによって高温焼成し、篩別
又は風篩によって分離したものが好適である。
ンコーテッドサンドの砂として球状粒子からなる人工セ
ラミック砂を使用することが好ましいが、この人工セラ
ミック砂を主体にして天然珪砂を併用することにより、
人工セラミック砂の少ない熱膨張による積層造形品の形
態及び寸法の安定性の利点を活かしながら、安価な天然
珪砂による材料コストの低減を図ることができる。しか
して、天然珪砂を併用する場合においても、人工セラミ
ック砂の特性を充分に活かすためには、人工セラミック
砂を60重量%以上とすることが望ましい。また、天然
珪砂としては、人工セラミック砂と同様に粒径75〜1
50μmの範囲にピークを持つ粒度分布を示すものが好
適である。これは、天然珪砂は概して角張った不揃いな
形態の粒子から構成されるが、その粒度が比較的に小さ
い場合はリコーターからの流出性や砂層の充填性に及ぼ
す影響は少なくなることによる。
サンドとしては、その融着点が70〜100℃であっ
て、且つ抗折力が100〜200kg/cm2 の範囲に
あるものが特に好適である。すなわち、この融着点が低
過ぎては、レーザービームの照射によって二次元パター
ンの結着硬化層を形成する際、パターン周縁部を越えて
硬化が進んだり、造形対象層の下位の本来は未硬化とす
べき領域まで硬化して造形精度が悪化すると共に、未硬
化砂が幾分凝固した状態になるため、造形後の積層造形
物から未硬化砂を分離除去しにくく、手間がかかる上、
分離の際に造形物の細い部位や入り組んだ部位が壊れ易
くなる。逆に融着点が高過ぎては、結着力が不充分にな
り、造形物が脆く層間剥離を生じ易いものとなる。また
抗折力が弱過ぎては得られる積層造形品を鋳型として用
いる場合に、薄肉部分や細い部分に鋳造時の注湯圧によ
る亀裂、破損、折損等を生じる懸念がある。また逆に抗
折力が強過ぎては、前記鋳型として用いる場合に、鋳造
後の製品を取り出す際の分解が困難になる。
ター上で設計モデルを厚さ200μm程度の多数層に平
行スライスした時の各断面パターンのデータを作成し、
このデータを積層造形装置のコントローラーに入力し、
粉体造形方式によって自動的に積層造形する。図2及び
図3は粉体造形方式による積層造形装置の一例を示す概
略縦断側面図である。
形枠1内に配置した昇降台2上にべースプレート3を載
置し、リコーター4の水平移動によって前記のレジンコ
ーテッドサンド5を前記平行スライスした一層分の厚み
でべースプレート3上に載せ、この砂層50の表面にレ
ーザービーム6を最下層P1 の断面パターンに沿って照
射する。これにより、砂粒子を被覆している熱硬化性樹
脂成分がレーザービーム6の熱によって溶融して硬化反
応し、隣接する砂粒子同士が硬化した樹脂を介して結着
し、照射域全体が一体の2次元パターンの結着硬化層5
1を形成することになる。次いで昇降台2を前記一層分
の厚みだけ下降させ、新たに人工セラミック砂5を該一
層分に相当する厚みで載せ、同様にレーザービーム6を
照射して第二層P2 に対応する結着硬化層51を形成
し、以降同様にして順次一層分ずつ昇降台2を下降させ
て砂5の供給とレーザービーム6の照射を繰り返すこと
により、最終的に図2に示すように前記平行スライスし
た全ての層P1 〜Pn を積層一体化する。60は炭酸ガ
スレーザーの如きレーザ発振器、61はレーザービーム
6の照射方向を制御するスキャナーである。
クの両端において上方に配置した材料供給装置7より砂
5の供給を受け、下端のスリット状開口部4aより砂5
を流出させながら水平移動することにより、1回の水平
移動で一つの砂層50を形成する。また、図2及び図3
では省略しているが、造形の前段階として、べースプレ
ート3上に予め5mm前後の砂層を形成し、当該べース
プレート3に内臓される電熱機構で加熱して該砂層の全
体を硬化させて水平面に沿う平坦な造形ベース面を形成
し、更に該造形ベース面上に造形物との固着を防止する
分離層として薄い砂層(一般に造形1層分の厚み)を設
け、この未硬化の砂層上に前記最下層P 1 からの積層造
形を行うことになる。しかして、造形部位はドア付きの
チャンバー内にあり、造形は外部から遮断された雰囲気
中で上部のガス吸引口から吸引排気しつつ行われる。
ドサンド5が既述のように、砂粒子表面を被覆する熱硬
化性樹脂成分としてレゾール型フェノール樹脂を用いた
ものが主体となっているから、レーザービーム6の照射
による煙状のガス発生は少なく、もって該レーザービー
ム6の透過性がよいから、高い熱効率が得られる上、発
生ガス中にはアンモニアガスやホルムアルデヒドが存在
しない(レゾール型フェノール樹脂を用いたものを単独
使用の場合)か、存在しても少量である(ノボラック型
フェノール樹脂を用いたものをを併用した場合)から、
作業環境は良好に維持されると共に、排出ガスによる環
境問題も生じない。
を造形枠1ごと昇降台2から取り外し、未硬化の砂5を
除去して形成された積層造形物Mを取り出す。得られた
積層造形物Mは、この段階では砂粒子を結着している熱
硬化性樹脂成分にある程度の未反応部を残して脆弱であ
るため、通常は、まず表面をガスバーナーで炙って表層
部の硬度を高めた上で、ポストキュアとして加熱炉等で
所定時間の加熱処理を施すことにより、該樹脂成分を完
全硬化させて強度を高める。そして、このような後処理
の加熱においても、造形物Mからのガスの発生は少ない
から、作業環境は良好に保たれる。
は、造形材料のレジンコーテッドサンドが前記のレゾー
ル型フェノール樹脂を用いたものを主体にしていて造形
時の層間結着性がよいから、強度的に優れたものとなる
上、造形過程では既述のようにガスの発生が少なく、造
形物M中へのガスの入り込みが抑えられるため、造形物
Mを鋳造用砂型として用いる場合、鋳造時のガス欠陥を
生じにくく高品質の鋳造品が得られる。
層造形品は、用途についての制約はなく、溶液造形方式
にて得られる樹脂からなる積層造形品と同様に形態確認
用モデルとしても利用できるが、鋳造用の主型や中子と
して特に有用である。
レジンコーテッドサンドを造形材料とする積層造形にお
いて、該レジンコーテッドサンドの主成分として、熱硬
化性樹脂成分がレゾール型フェノール樹脂からなるもの
を用いることから、造形時及び造形後の熱処理における
ガス発生が抑えられ、作業環境及び周辺環境を害するこ
となく、高いレーザ熱効率のもとに、強度的に優れて内
部へのガスの入り込みが少ない高品質の積層造形物が得
られる。
方法において、レジンコーテッドサンドとして、レゾー
ル型フェノール樹脂を用いたものとノボラック型フェノ
ール樹脂及びその硬化剤を用いたものとの特定比率の混
合物を用いることから、加熱に伴う発生ガスが少量に抑
えられると共に、完全硬化に至るまでの造形物の自己保
持強度が増し、もって大型の造形物や構造的に下部の耐
荷重性が低い造形物でもサポート部の省略ないし削減を
図ることができる。
方法において、レジンコーテッドサンドとして熱硬化性
樹脂成分の被覆量が特定範囲にあるものを用いることか
ら、砂からなる造形物としての特性を損なうことなく、
砂粒子同士の結着力を充分に確保できるという利点があ
る。
方法において、レジンコーテッドサンドの砂が球状粒子
からなる人工セラミック砂を主体とすることから、その
優れた流動性及び充填性と少ない熱膨張により、形態及
び寸法の安定性に優れて滑らかな表面を有すると共に適
度な強度を備えた積層造形品が得られる。
方法において、前記人工セラミック砂として特定の粒度
分布を示すものを用いることから、リコーターによって
均一な厚みの砂層を容易に散布形成できる。
方法において、前記人工セラミック砂として特定の組成
及び結晶構造を持つものを使用することから、積層造形
時のレーザービームの照射やポストキュア時の熱による
体積変動が小さく、形態及び寸法の安定性により優れた
積層造形品が得られる。
方法において、前記レジンコーテッドサンドの砂が特定
比率の人工セラミック砂と天然珪砂からなることから、
積層造形品の形態及び寸法の安定性を確保して、且つ材
料コストの低減を図ることができる。
方法において、前記天然珪砂が特定の粒度分布を示すこ
とから、リコーターからの流出性や砂層の充填性に及ぼ
す影響は少なくできるという利点がある。
ドサンドの結着硬化物からなる積層造形品として、層間
結着力が大きく強度的に優れたものが提供される。
ッドサンドの結着硬化物からなる鋳造用の主型や中子と
して、強度的に優れると共にガス欠陥を生じにくいもの
が提供される。
成分とするレゾール型フェノール樹脂を用いたレジンコ
ーテッドサンドと、ノボラック型フェノール樹脂を用い
たレジンコーテッドサンドとの加熱試験によるガス発生
量と加熱時間の相関図である。
縦断側面図である。
面図である。
Claims (10)
- 【請求項1】 砂粒子表面が熱硬化性樹脂成分にて被覆
されたレジンコーテッドサンドを散布して薄い砂層を形
成する工程と、この砂層にレーザービームを照射して所
要の2次元パターンの硬化層を形成する工程とを繰り返
すことにより、多数の硬化層を積層して3次元造形物を
得る積層造形方法において、 前記レジンコーテッドサンドの主成分として、熱硬化性
樹脂成分がレゾール型フェノール樹脂からなるレジンコ
ーテッドサンドを用いることを特徴とする積層造形方
法。 - 【請求項2】 前記レジンコーテッドサンドは、熱硬化
性樹脂成分がレゾール型フェノール樹脂からなるレジン
コーテッドサンドと、熱硬化性樹脂成分がノボラック型
フェノール樹脂及びその硬化剤からなるレジンコーテッ
ドサンドとの、前者/後者の重量比が80/20〜95
/5の混合物からなる請求項1記載の積層造形方法。 - 【請求項3】 前記レジンコーテッドサンドにおける熱
硬化性樹脂成分の含有量が、砂粒子に対して2〜6重量
%の範囲にある請求項1又は2記載の積層造形方法。 - 【請求項4】 前記レジンコーテッドサンドの砂が球状
粒子からなる人工セラミック砂を主体とする請求項1〜
3のいずれかに記載の積層造形方法。 - 【請求項5】 前記人工セラミック砂が粒径75〜15
0μmの範囲にピークを持つ粒度分布を示すものからな
る請求項4記載の積層造形方法。 - 【請求項6】 前記人工セラミック砂は、アルミナとシ
リカを主成分とし、ムライト結晶構造を持つものである
請求項4又は5に記載の積層造形方法。 - 【請求項7】 前記レジンコーテッドサンドの砂が60
重量%以上の人工セラミック砂と残余の天然珪砂とから
なる請求項4〜6のいずれかに記載の積層造形方法。 - 【請求項8】 前記天然珪砂が粒径75〜150μmの
範囲にピークを持つ粒度分布を示すものからなる請求項
7記載の積層造形方法。 - 【請求項9】 前記請求項1〜8のいずれかに記載の積
層造形方法にて得られた積層造形品。 - 【請求項10】 鋳造用の主型又は中子を構成する請求
項9に記載の積層造形品。
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