JP2003265590A - 生体用粘着材及びシート - Google Patents

生体用粘着材及びシート

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JP2003265590A
JP2003265590A JP2002076515A JP2002076515A JP2003265590A JP 2003265590 A JP2003265590 A JP 2003265590A JP 2002076515 A JP2002076515 A JP 2002076515A JP 2002076515 A JP2002076515 A JP 2002076515A JP 2003265590 A JP2003265590 A JP 2003265590A
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吉川  和宏
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低皮膚刺激性でありながら汗に強い生体用粘
着材を提供することを課題とする。 【解決手段】 非イオン性の重合性単量体に、架橋性単
量体を共重合させて形成された高分子マトリックス内に
湿潤剤と水とを含み、(1)湿潤剤は、多価アルコール
単量体の重合体を50重量%以上含み、前記重合体を構
成する多価アルコール単量体は、3価以上の多価アルコ
ール単量体を少なくとも含み、かつ該重合体は、その平
均分子量150〜4000で、水溶性であり、かつ
{(重合体中に存在するエーテル基の数+重合体中に存
在するヒドロキシル基の数)/重合体に存在する炭素原
子の数}≧1/3の条件を満たし、(2)架橋性単量体
は、高分子マトリックス総量に対して0.02〜1.5
重量%含まれることを特徴とする生体用粘着材により上
記課題を解決する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は生体用粘着材及びシ
ートに関する。本発明の生体用粘着材は、サージカルテ
ープ、カテーテルや点滴等のチューブ、心電図電極、そ
の他センサー類、人工肛門等の固定用テープ、湿布剤、
創傷被覆剤、電気治療器用導子や磁気治療器等の固定用
粘着材、経皮吸収剤の担体兼粘着材のような生体に貼付
して用いる生体用粘着材及びシートとして好適に使用で
きる。
【0002】
【従来の技術】従来から、生体に用いる粘着材として
は、主としてアクリル酸エステル又は、その共重合体が
用いられている。また、用途によっては、ゴム系、シリ
コーン系、ウレタン系の粘着材が用いられている。しか
し、これらの粘着材は、親水性が低く透水性がほとんど
ないため、例えば貼付部位が発汗した場合、蒸れによる
かぶれが生じやすい。また、多くの場合、長時間貼付す
ると著しく粘着力が高くなり、皮膚表面の角質を強制的
に剥離することとなり、痛みを覚えると同時に、かぶれ
の原因となった。
【0003】この問題を解決するために、アクリル酸エ
ステル系の樹脂を架橋し、可塑剤等を添加した油性の生
体用粘着材が例えば特開平6−23029号公報に記載
されている。これにより、粘着力が高くなりすぎる現象
は回避されたが、油性の樹脂と皮脂の親和性が高いた
め、剥離時、皮膚に与える損傷は依然として大きい。更
に、油性の樹脂を用いているために、水蒸気透過性に乏
しく、蒸れの問題は解決されない。さらに、前記問題を
解決するために、油性の粘着材に親水性の樹脂や、吸水
性樹脂を添加する方法が特開平6−16542号公報に
記載されている。これにより、いくらかは水蒸気透過性
が改善されるが、粘着基材が油性であるため、角質の損
傷が生じるとともに、水蒸気透過性も十分とは言えな
い。さらに、これらの問題を解決するために、ハイドロ
ゲルによる粘着材が報告されている(特開平9−715
41号公報参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらハイド
ロゲルによる粘着材は、水に弱いという弱点が存在し
た。特に、長時間生体に貼付した場合、少なからず発汗
が生じるため、汗とゲルが接触した際、ゲル中の湿潤剤
が流失し、ゲルが痩せると同時に可塑性も失われ、粘着
力がほとんどなくなってしまうという問題があった。ま
た、粘着テープとして用いる場合、ゲルの厚みを薄くす
る必要がある。なぜなら、粘着テープを長時間皮膚に貼
付する場合、ゲルの断面が衣服等に接触する危険性が大
きく、ゲルの厚みが大きい場合は断面が衣服等と粘着し
て衣服を汚したり、皮膚表面から剥がれる危険性が大き
くなるためである。ゲルが薄くなれば、粘着力を確保す
るのも困難となり、より架橋密度を下げたり、湿潤剤を
多くする必要がある。その場合、より水分の影響を受け
やすくなり、汗に対する耐性は低くなる。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の発明者等は、長
時間皮膚に貼付して使用し、発汗が生じても粘着力に代
表される物性の低下が極めて少ない生体用粘着材の開発
を目指して鋭意研究した結果、本発明に至った。かくし
て本発明によれば、非イオン性の重合性単量体に、架橋
性単量体を共重合させて形成された高分子マトリックス
内に湿潤剤と水とを含み、(1)湿潤剤は、多価アルコ
ール単量体の重合体を50重量%以上含み、前記重合体
を構成する多価アルコール単量体は、3価以上の多価ア
ルコール単量体を少なくとも含み、かつ該重合体は、そ
の平均分子量150〜4000で、水溶性であり、かつ
{(重合体中に存在するエーテル基の数+重合体中に存
在するヒドロキシル基の数)/重合体に存在する炭素原
子の数}≧1/3の条件を満たし、(2)架橋性単量体
は、高分子マトリックス総量に対して0.02〜1.5
重量%含まれることを特徴とする生体用粘着材が提供さ
れる。
【0006】また、本発明によれば、非イオン性の重合
性単量体と、架橋性単量体とを共重合させた高分子マト
リックス内に、多価アルコール単量体を重合させた重合
体を少なくとも50重量%含む湿潤剤と水とを含む高分
子ハイドロゲルからなり、高分子ハイドロゲルを20分
間水浸漬した後、温度23±5℃、湿度55±15%環
境下で24時間乾燥させた時の重量が水浸漬前の重量に
比べて20%以下の重量減少で、粘着力の変化が水浸漬
前の粘着力に対して±20%以内であることを特徴とす
る生体用粘着材が提供される。
【0007】更に、本発明によれば、上記生体用粘着材
が、0.01mm〜2.0mmの厚みのシート状に成型
され、その両面に少なくとも一方が剥離性の保護樹脂フ
ィルムとして設けられた粘着シートであって、前記粘着
シートがロール状に巻き取られており、一方の樹脂フィ
ルムは、断面積1mm2あたり300gの荷重をかけた
時の伸長率が1.0%以下であって、かつ他方の樹脂フ
ィルムは1mm2あたり300gの荷重をかけた時の伸
長率が5.0%以上であることを特徴とする生体用粘着
シートが提供される。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の発明者等は、長時間皮膚
に貼付して使用し、発汗が生じても粘着力に代表される
物性の低下が極めて少ない生体用粘着材を得るために
は、特定の湿潤剤が有効であることを見い出している。
具体的には、本発明における湿潤剤は、多価アルコール
単量体の重合体を50重量%以上含み、前記重合体を構
成する多価アルコール単量体は、3価以上の多価アルコ
ール単量体を少なくとも含み、かつ該重合体は、その平
均分子量150〜4000で、水溶性であり、かつ
{(重合体中に存在するエーテル基の数+重合体中に存
在するヒドロキシル基の数)/重合体に存在する炭素原
子の数}≧1/3の条件を満たすものである。以下、湿
潤剤について具体的に説明する。
【0009】本発明に使用可能な多価アルコール単量体
を重合してなる重合体は、150〜4000の平均分子
量を有し、好ましい平均分子量は、300〜4000で
ある。本明細書中、平均分子量は、GPC(ゲルバーミ
エイションクロマトグラフィー)で測定した数平均分子
量を意味する。低分子量の多価アルコール単量体、又は
多価アルコール単量体を重合して得られる重合体であっ
ても、平均分子量が150に満たない場合は、ゲル吸水
時に高分子マトリックス網目が開いた際に、それが網目
の拘束から外れて溶出しやすい。その理由は、これらは
立体障害の小さい低分子であるため、ゲル平衡時は高分
子マトリックスと水素結合し、安定化しているが、反
面、立体障害が小さいため、吸水時にはこの水素結合に
水が割り込み、水和し易く、その結果より網目の拘束か
ら外れ易くなるからである。
【0010】逆に、平均分子量が4000を超える場合
は、例えば、これら重合体が液状の場合でも、粘度が高
すぎ、仮に、水や液状の重合性単量体を用いて希釈した
としても、ゲルの原料となる配合液の粘度が十分に低下
せず、ハンドリングが悪くなると共に、ゲルに成型する
際に気泡が混入し、また、脱泡作業が困難になる場合が
ある。また、これらが、固形であった場合は、溶解に時
間がかかると共に、得られる配合液の粘度はやはり高
く、前記と同様の弊害が生じる恐れがある。多価アルコ
ール単量体でも、分子量が150以上のものが存在す
る。例えば、ブドウ糖やシュークロース等の単糖、二糖
類、更に、ソルビトール等がこれにあたる。これらの多
価アルコールは、単量体としてもある程度の高分子量を
有しているが、例えばシュークロース(分子量342)
の場合、保水性に乏しく、経時的に安定なゲルを得るこ
とが困難である。
【0011】本発明に使用可能な多価アルコール単量体
を重合してなる重合体は、水溶性である。水溶性とは水
100gに10g以上溶解することを意味する。更に、
多価アルコール単量体を重合してなる重合体としては、
{(重合体中に存在するエーテル基の数+重合体中に存
在するヒドロキシル基の数)/重合体中に存在する炭素
原子の数}≧1/3の条件を満たす重合体が使用され
る。また、重合体の繰返し単位内に3価以上の多価アル
コール単量体由来の単位を配することにより、湿潤剤と
しての湿潤機能が向上すると共に、高分子マトリックス
や溶媒との静電気的相互作用が高くなり、ゲル内部から
の湿潤剤の溶出をより低減することができる。重合体中
の一部のみこれらの単量体由来の単位を配した場合で
も、重合体の結晶性を低下させることができるので、重
合体の分子量が高くても液状とすることが可能である。
【0012】本発明に使用可能な多価アルコール単量体
を重合してなる重合体としては、エチレングリコール、
プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオ
ール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトー
ル、ソルビタン、又は糖類等の1種又は2種以上の水溶
性の重合体が挙げられる。多価アルコール単量体を重合
してなる重合体は、常温で液状であることがゲルの粘弾
特性の点と、製造時のハンドリング性の点で望ましい。
また、分子内また繰返し単位の末端に、エステル結合、
アルデヒド基、カルボキシル基等の官能基を有していて
もよい。
【0013】ハイドロゲルは、高分子マトリックス内
に、湿潤剤や水等の可塑成分を含むことにより良好な粘
弾特性を有する。しかし、可塑成分のうち、湿潤剤が常
温で固体であった場合は、湿潤剤自体は可塑成分として
の機能を果たさないため、ゲル内の水分が唯一の可塑成
分の機能を有する。例えば、高分子量の多価アルコール
単量体は常温で固形であり、可塑剤としての機能を有し
ない。そのような単量体を使用する場合、配合液作製時
においても、溶解のために大量の水を使用する必要があ
り、また、結晶性が高く、融点も高い(例えば、ソルビ
トールでも融点が90〜140℃)ため、単量体の加熱
溶解も困難であり、ゲルの製造が困難である。
【0014】上記3価以上の多価アルコール単量体を含
む多価アルコール単量体を重合させた重合体としては、
グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソ
ルビタン、糖類等のように分子内に3価以上の多価アル
コール単量体を少なくとも含む単量体を重合させた重合
体が挙げられる。多価アルコール単量体を重合させた重
合体の結晶性を低下させるためには、3価以上の多価ア
ルコール単量体が少なくとも1ユニット含まれればよい
が、更に、湿潤機能を向上させるためには、30〜10
0モル%含まれていることが好ましい。なお、3価以上
の多価アルコール単量体ユニットには、重合していない
ヒドロキシル基が残留していてもよい。3価以上の多価
アルコール単量体由来の単位が存在する場合、重合体に
未反応のヒドロキシル基が残留しうるため、湿潤性能を
向上させることができる。
【0015】これら分子内に3価以上の多価アルコール
単量体を重合してなる重合体も、常温で液状であること
が好ましい。例えば、常温で液状のグリセリンを単独重
合して得られるポリグリセリンは、常温で液状であるた
め、ハンドリング性にも優れる。また、ソルビトールや
糖類のような常温で固体の単量体は、異なった種頼の単
量体を組み合せて共重合したり、ポリグリセリン等の液
状の重合体をグラフトしたりすることにより液状にする
ことができる。また、湿潤剤の一部に多価アルコール単
量体を用いることも可能であるが、吸水時、湿潤剤溶出
の影響を低減するためには多価アルコール単量体の使用
量を湿潤剤総量に対して50重量%未満に抑えることが
好ましい。多価アルコール単量体の使用量が50重量%
以上の場合、湿潤剤総量に対して、低分子量な多価アル
コール単量体の比率が大きくなり、吸水時の溶出量が多
くなる。また、前記範囲を超えない範囲で、多価アルコ
ール単量体と、ポリエチレングリコール等の単純な重合
体や、当該分野で公知の他の湿潤剤を併用することも可
能である。
【0016】ゲル中の湿潤剤の濃度は、10〜80重量
%が好ましく、より好ましくは20〜70重量%に設定
するのがよい。10重量%未満では、ゲルの湿潤力が乏
しく、水分の蒸散が著しくなり、ゲルの経時安定性に欠
けると共に、柔軟性に欠け、粘着性が必要な場合でも粘
着性の付与が困難な場合が多いので好ましくない。ま
た、80重量%を超える場合は、相対的に高分子マトリ
ックスや水の濃度が小さくなる恐れがあるため好ましく
ない。また、重合性単量体と架橋性単量体、湿潤剤、水
を含むモノマー配合を作製する時、粘度が高くなりす
ぎ、ハンドリングが悪くなると共に、ゲルを成型する際
に気泡が混入し、脱泡作業が困難になるため好ましくな
い。更に湿潤剤中50重量%以上、すなわち、ゲル中に
5重量%以上の多価アルコール単量体を重合してなる重
合体を使用することが好ましい。
【0017】本発明に使用できる非イオン性の重合性単
量体は、非イオン性を有していさえすれば特に限定され
ない。ここで、非イオン性の重合性単量体は、遊離の酸
又は塩基の状態の単量体の1重量%水溶液が4〜9のp
Hを示すものを使用することが好ましく、6〜8のpH
を示すものを使用することがより好ましい。また、非イ
オン性の重合性単量体の少なくとも30重量%以上が、
α−β不飽和カルボニル基を有するアクリル誘導体であ
り、カルボニル基の炭素原子と結合するヘテロ元素に、
少なくとも1つのアルキル基、又はアルキレンオキサイ
ド基が結合した単量体であることが望ましい。これによ
り皮膚に対する粘着性を向上させることができる。アル
キル基とは、−Cn2n+1に示す構造を有する官能基で
あり、アルキレンオキサイド基とは、−(O−C
n2n)−Rに示す構造を有する官能基である。アルキ
レンオキサイド基の、カルボニル基の炭素と結合しない
側の末端(図中のR)は、ヒドロキシル基の他、メトキ
シ基、エトキシ基等のアルコキシ基、メルカプト基、エ
ステル基、アミド基等の構造を有している場合がある。
【0018】具体的には、(ポリ)エチレングリコール
(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコール
(メタ)アクリレート、(ポリ)グリセリン(メタ)ア
クリレート等のアクリル酸エステル、(メタ)アクリル
アミド、及び、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N
−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メ
タ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミ
ド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、ダイア
セトンアクリルアミド等のN置換(メタ)アクリルアミ
ド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、
N−ビニルアセトアミド等のN−ビニルアミド誘導体等
が挙げられ、これらは1種又は2種以上組み合わせて使
用することができる。なお、上記例示において、(メ
タ)アクリルは、アクリル又はメタクリルを意味する。
【0019】ここで、イオン性の重合性単量体を用いて
製造した高分子マトリックスは、高分子ハイドロゲル中
で側鎖のイオン基が電離しており、高分子マトリックス
はプラスかマイナスの何れかに帯電した状態にある。こ
のため、高分子マトリックスの直鎖周士は常に反発する
性質を有しており、ここに、大量の水が接触すると、短
時間で高分子マトリックスの網目が開き、より大きな吸
水力を発揮することとなる。これは、ゲルの変化が大き
いことを意味し、その結果ゲルの安定性が低くなる。
【0020】これに対して、本発明では、非イオン性の
重合性単量体を用いるため、そのような変化が少ない。
また、薬効成分や各種添加剤を含む生体用粘着材を製造
する場合、例えば薬効成分等が電解質の場合でも重合性
単量体中のイオン基と薬剤等の相互作用が生じることが
なく、添加が容易であるという利点がある。更に、高分
子マトリックス内にイオン基が存在しないと、電気的な
測定や治療を行う際、高分子マトリックスが電気による
影響を受けない。そのため、電極素子等と高分子ハイド
ロゲルの界面での電気的な反発が生じにくくなると同時
に、導電性付与のための電解質の添加によるゲル収縮が
発生しにくいため、より高性能な導電性生体用粘着材と
なり得る。
【0021】一方、架橋性単量体とは、分子内に重合性
を有する二重結合を2以上有している単量体を使用する
ことが好ましい。具体的には、メチレンビス(メタ)ア
クリルアミド、エチレンビス(メタ)アクリルアミド、
(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、
(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリセリント
リ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリルア
ミド又は(メタ)アクリレート、テトラアリロキシエタ
ン、ジアリルアンモニウムクロライド等が挙げられ、こ
れらは1種又は2種以上組み合わせて使用することがで
きる。なお、架橋性単量体は、非イオン性の重合性単量
体に対して少量でよいので、イオン性及び非イオン性の
単量体のいずれも使用することができるが、非イオン性
の単量体の方がより好ましい。なお、上記分子内に重合
性を有する二重結合を2以上有する架橋性単量体とし
て、特許第2803886号公報に記載された、2個以
上の(メタ)アクリロイル基又はビニル基を有しかつ分
子量が400以上の多官能化合物であるポリグリセリン
誘導体も使用することができる。
【0022】架橋性単量体の添加量は、高分子マトリッ
クス総量に対して、0.02重量%〜1.5重量%であ
るのが好ましい。0.02重量%未満の場合、架橋密度
が低く、形状安定性が乏しくなると同時に、凝集力が低
下し、粘着材自体の保持力が低下し、粘着力が低くなる
と同時に、剥離時、被着物質に粘着材の一部が残留する
等取扱が悪くなる。また、1.5重量%を超えて架橋性
単量体を使用した場合は、粘着力が弱くなるとともに、
硬く脆いゲルになる可能性がある。なお、ここにいう高
分子マトリックスとは、重合性単量体と架橋性単量体を
重合架橋したマトリックスを指す。
【0023】また、ハイドロゲルに含まれる水は5〜5
0重量%であることが好ましく、より好ましくは5〜4
0重量%である。5重量%未満ではゲルの平衡水分量に
対する含水量が少ないため、吸湿性が強くなり、生体に
貼付して使用し、発汗等により水と接触した場合には吸
水する傾向が強くなる可能性がある。また、50重量%
を超えると生体用粘着材の平衡水分量との差が大きくな
るため、乾燥によるゲルの収縮や、物性の変化が大きく
なる可能性がある。
【0024】本発明における生体用粘着材に含まれる高
分子マトリックスの濃度は、5〜50重量%であること
が好ましく、より好ましくは5〜40重量%に設定する
のがよい。これは、5重量%未満では得られるゲルのマ
トリックス濃度が低すぎるため、溶媒をかかえきれずブ
リードしやすく、腰強度の弱いゲルとなる恐れがあるか
らである。一方、50重量%を超えて製造した生体用粘
着材は、重合時の発熱が大きくなりすぎるため、溶媒の
沸点を超え沸騰する恐れがある。また、沸騰した場合は
気泡が混入するため良好なゲルを得ることが困難とな
る。
【0025】本発明における生体用粘着材は、必要に応
じて防腐剤、殺菌剤、防黴剤、防錆剤、酸化防止剤、安
定剤、香料、界面活性剤、着色剤等や、抗炎症剤、ビタ
ミン剤、美白剤その他の薬効成分を適宜添加してもよ
い。薬効成分を添加する方法としては、あらかじめ配合
液に溶解又は分散させ、高分子マトリックスを形成する
方法と、一旦生成した生体用粘着材に後から添加する方
法が挙げられる。これら方法の内、ラジカル重合反応を
伴うゲル生成時に、薬効成分がラジカルに攻撃され、薬
効を失う場合があるため、後者の方法による薬効成分添
加の方がより好ましい。
【0026】上記本発明の生体用粘着材は、以下に説明
するゲルの性質でも定義できる。すなわち、ハイドロゲ
ルは水と接触すると、ゲルの内包成分が徐々に流出す
る。例えば、長時間皮膚に貼付した際、少なからず人は
発汗し、汗とゲルが接触する。その際、汗の一部はゲル
に吸収されると同時に、ゲルの内包成分が徐々に流出す
る。短時間では顕著な流出は生じないが、長時間貼付す
ると、徐々に汗を吸収したゲルが膨潤状態に陥り、ゲル
のマトリックスの網目が広がった状態になる。マトリッ
クスが広がると、加速的に内包成分の流出が進み、最終
的には粘着力が低下し、皮膚等粘着対象物や、支持基材
等から剥離、脱落をするほどになり、粘着材としての機
能を果たさなくなる。
【0027】よって、生体用粘着材の耐水性を上げるた
めには、ゲルが水に接触した時にゲル内包成分の流出を
抑えることが必要であり、同時に、吸水能を抑えること
により、内包成分流出のリスクを低減できる。また、生
体に生体用粘着材を貼付し、発汗が生じてゲルが吸水し
ても、皮膚貼付面の裏面側よりすばやく水分が蒸発し、
ゲル内に滞留する水分が少ない、すなわち、乾燥速度が
速いゲルであれば、より耐水性に優れ、粘着力を長時間
にわたって維持することが可能である。このように、ゲ
ルの耐水性を上げ、生体用粘着材の物性が損なわれない
ようにするためには、高分子ハイドロゲルを20分間水
に浸漬した後、温度23±5℃、湿度55±15%環境
下で24時間乾燥させた時の重量が水に浸漬する前の重
量に比べて20%以下の重量減少で、粘着力の変化が水
に浸漬する前の粘着力に対して±20%以内であること
が好ましいことを見出した。
【0028】高分子ハイドロゲルを20分間水に浸漬し
た後、温度23±5℃、湿度55±15%環境下で24
時間乾燥させた時の重量が水に浸漬する前の重量に比べ
て20%以下の重量減少であるということは、イオン交
換水に高分子ハイドロゲルを20分間浸漬しゲルが膨潤
すると同時にゲル内包成分が流出し、再度、通常環境
(温度23±5℃、湿度55±15%)でゲルを平衡状
態に回復させた時、先の流出でゲル重量が減少してい
る。すなわち、水との接触によるゲル内包成分の流出に
よる重量減少が20%以下であることを表し、以下の式
で表すことができる。 既条件での重量減少= (浸漬前のゲル重量−浸漬後のゲル重量)/浸漬前のゲル重量≦0.2 式1
【0029】また、ゲルは内包成分の流出により柔軟性
が損なわれ、粘着力が低下する。高分子ハイドロゲルを
20分間水に浸漬した後、温度23±5℃、湿度55±
15%環境下で24時間以上乾燥させた時、粘着力の変
化が水浸漬前の粘着力に対して±20%以内であれば、
長時間皮膚に貼付して用いる粘着材として実用に耐え得
る。なお、この重合体を使用すれば、5分間水に浸漬し
た時の浸漬前の自重に対する重量増加が自重の50%よ
り大きく、及び/又は高分子ハイドロゲルを5分間水に
浸漬し、乾燥した時の浸漬前の自重に対する重量減少が
10%より大きくても、用途によっては、実用に耐える
生体用粘着材を提供することができる場合がある。
【0030】本発明の生体用粘着材は、厚さが0.01
mm〜2.0mmの生体用粘着シートとすることができ
る。厚さが0.01mm未満の場合、スリット面や裁断
面からゲルのはみ出しが発生しにくく、取り扱い性が良
好な粘着材を得られる反面、厚みが薄すぎるため、十分
な粘着力を得ることができない。また、厚みが2.0m
mを越える場合は、ゲルの厚み方向に圧力が加わった場
合、スリット面や裁断面からゲルはみ出しが多く、取り
扱い時に余計なところに付着したり、粘着材の加工時
に、カット刃や金型等にゲルの破片が付着するためきれ
いに加工できなかったり、加工速度の低下や、設備のト
ラブルを発生させる原因となる。また、これら生体用粘
着材は、ゲル表面を保護することが可能な樹脂フィルム
を有することが好ましい。
【0031】樹脂フィルムの材質としては、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリブテン等のポリオレフィン系
樹脂、PET、PBT、PEN等のポリエステル系樹
脂、ポリウレタン、ナイロン、スチレン、セロハン、ア
クリルその他フィルム化が可能な樹脂ならいずれも使用
可能である。また、これらフィルムは延伸、無延伸を問
わない。一部の限られた用途においては、ポリ塩化ビニ
ル、ポリ塩化ビニリデン等の塩素系、又は、フッ素樹脂
を使用することも可能である。樹脂フィルムは特に表面
処理をせずに用いることも可能であるが、ゲルとの接触
面には離型処理を行うことが可能である。
【0032】特に、ポリエステル、ポリウレタン、ナイ
ロン等の極性樹脂をゲル表面の保護のために用いる場合
は、シリコーンやワックス等による離型処理を行うこと
が好ましい。これら離型処理は、焼き付け、反応により
硬化する硬化型の離型剤を用いることがより好ましい。
離型処理は、少なくともフィルムと粘着材が直接接触す
る面に施される必要がある。また、一枚のフィルムの両
面に生体用粘着材が接する場合は、両面に離型処理を行
い、更に、表裏の離型処理の剥離強度を変更することに
より、いずれか片方の面をより離型しやすく調節するこ
とも可能である。短冊状で生体用粘着シートを取り扱う
場合は両面に保護フィルムを有することが好ましい。ま
た、ロール状で取り扱う場合は、両面もしくは片面のみ
に保護フィルムを設けることが必要である。
【0033】フィルムの厚さは10〜200μmである
ことが好ましい。厚さが10μm未満のフィルムでは、
粘着材を使用するためにフィルムを剥離する際、人の指
にかかりにくく、非常に取り扱いにくい粘着材となる。
また、樹脂の材質によっては、ゲル表面を保護するに十
分な強度が得られず、実質的にフィルムを用いる意味を
なさないこととなる。また、200μmを越えるフィル
ムは、人の指にかかりやすく、剥離の作業は容易となる
が、フィルムが硬くなりすぎるため、指を切ったり、ま
た、裁断時、フィルムに鋭角が生じる加工を施した場
合、とがった部分で怪我をするか、或いは、病院等でゴ
ム手袋をしていても、フィルムの鋭角で突き刺すことに
より手袋が破損する危険性がある。
【0034】本発明の生体用粘着シートは、粘着材の両
面を保護する樹脂フィルムのうち、片面のフィルムが、
断面積1mm2あたり300gの荷重をかけた時の伸長
率が1.0%以下であって、かつもう一方の面のフィル
ムが1mm2あたり300gの荷重をかけた時の伸長率
が5.0%以上であることにより、粘着材の両面に保護
フィルムを設けたままロール状に巻き取ることが可能に
なる。
【0035】本発明の生体用粘着シートを、サージカル
テープ等の皮膚用粘着テープとして使用する場合は、生
体用粘着シートの片面に水蒸気透過性を有する不織布、
織布、又は、多孔性樹脂フィルムを設けることが望まし
い。不織布及び織布の材質は、セルロース、絹、麻等の
天然繊維やポリエステル、ナイロン、レーヨン、ポリエ
チレン、ポリプロピレン、ポリウレタン等の合成繊維、
又は、それらの混紡が使用可能であり、必要に応じて、
バインダーが用いられ、更に、着色される場合がある。
また、ポリウレタンのフィルム等、水蒸気透過性に優れ
るフィルムを使用することも可能であり、更に、多孔性
樹脂フィルムとしてはポリエチレン、ポリプロピレン等
のオレフィン系樹脂や、ポリエステル、ナイロン、ポリ
塩化ビニル、ポリウレタン、フッ素樹脂等特に限定され
ない。これらの不織布、織布、多硬性樹脂フィルムは、
単独、又は2種以上を組み合わせ、ラミネートしてもよ
い。また、片面にシリコーンやワックス等で離型処理を
行う場合も有り得る。
【0036】これら水蒸気透過性の補強材を使用した生
体用粘着シートは、補強材が水蒸気透過性を有すると同
時に、ハイドロゲルも水分呼吸性を有するため、長時間
生体に貼付して用いたとしても、蒸れやカブレが発生し
にくくなると同時に、発汗が生じて、ハイドロゲルと水
が接触した時も、ハイドロゲルに吸収された水分が、補
強材を介して蒸散するために、ゲル内に水分が蓄積しな
い。従って、ゲルが膨潤状態に陥るリスクを低減でき
る。また、生体用粘着シートの補強材として樹脂フィル
ムを用いる際、フィルムの生体用粘着材とのラミネート
面に比較的接着力が強い天然繊維やレーヨン等の不織布
をラミネートしたり、サンドマット、ケミカルマット等
のマット処理を行ったり、酸化チタン、珪酸マグネシウ
ム等の無機物をコーティングすることにより、ゲルとフ
ィルムの接触面積を大きくすることができ、接着力を上
げることが可能である。
【0037】本発明の生体用粘着シートは、シート状に
成形される際、必要に応じて中間基材として不織布又は
織布を埋設することも可能である。これら中間基材は、
ゲルの補強、裁断時の保形性を改善するために用いられ
る。例えば、生体用粘着シートを加工用の中間素材とし
て流通させた場合、末端の加工業者での取り扱いを容易
にするために必要である。不織布及び織布の材質は、セ
ルロース、絹、麻等の天然繊維やポリエステル、ナイロ
ン、レーヨン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウ
レタン等の合成繊維、又は、それらの混紡が使用可能で
あり、必要に応じて、バインダーが用いられ、更に、着
色される場合がある。
【0038】本発明における生体用粘着材を得る方法と
しては、重合性単量体、架橋性単量体、湿潤剤、溶媒
等、重合開始剤を溶解、又は均一分散し、加熱又は紫外
線照射等を行うことにより重合架橋して得ることができ
る。また、あらかじめ重合反応によって形成された高分
子マトリックスに、湿潤剤や溶媒等を含潰させることも
可能である。生体用粘着材を製造する方法としては、特
に限定されず、公知の方法をいずれも使用することがで
きる。例えば、高分子マトリックスを製造するための非
イオン性の重合性単量体と架橋性単量体とを水性媒体
(水、水とアルコールの混合媒体等)に溶解させ、溶解
液に湿潤剤及び他の添加剤を混合し、更に公知の重合開
始剤を添加することで生体用粘着材を得ることができ
る。重合開始剤は、熱重合開始剤でも、光重合開始剤で
もよい.本発明の生体用粘着材は、生体用電極、医療用
粘着材、化粧品、医薬部外品等の原料として特に好適に
用いることができる。この内、生体用電極及び医療用粘
着材として使用することが最も好ましい。
【0039】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明はこれらの実施例により限定されるもの
ではない。なお、実施例中、平均分子量は、GPC(ゲ
ルパーミエイションクロマトグラフィー)で測定した数
平均分子量を意味する。 (実施例1〜6)まず、水溶性の重合性単量体としての
アクリルアミド(M1)と、α−β不飽和カルボニル基
を有するアクリル誘導体であり、カルボニル基の炭素原
子と結合するヘテロ元素に、少なくとも1つのアルキル
基が結合した単量体としてのN,N−ジメチルアクリル
アミド(M2)、架橋性単量体としてのN,N−メチレ
ンビスアクリルアミド(C1)とポリエチレングリコー
ル(n≒9)ジメタクリレート(C2)、湿潤剤として
のポリグリセリン(6量体)(G1)とグリセリン(G
2)を表1に示す配合量(重量%)で配合し、溶媒とし
てのイオン交換水を加えて100重量%とした混合物を
攪拌溶解して、モノマー配合液を得た。
【0040】次に、モノマー配合液100重量部に対し
て、光重合開始剤として1−ヒドロキシーシクロヘキシ
ルフェニルケトン(商品名イルガキュア184、チバ・
スペシヤリティーケミカルズ社製)を0.3重量部加
え、更に攪拌して溶解した。表1にモノマー配合液を構
成する各成分の配合量を示す。ただし、表1の数値は、
イオン交換水を加えた配合液総量に対する重量%であ
る。得られたモノマー配合液は、初期温度を4℃に調整
した後、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に薄く
展開した。
【0041】次いで、このモノマー配合液に50mW/
cmの強度の紫外線を60秒間照射し、重合架橋反応
を行い、シート状で粘着性の高分子ハイドロゲルを得
た。各サンプルの組成及び厚みを表1に示す。表1中、
C1とC2の()内の数値は、高分子マトリックス総量
に対する架橋性単量体の量を表す。表2にG1、G2の
詳細をまとめて記載した。なお、3価以上の多価アルコ
ール単量体を含む多価アルコール単量体を重合させた重
合体からなり、かつ{(重合体中に存在するエーテル基
の数+重合体中に存在するヒドロキシル基の数)/重合
体中に存在する炭素原子の数}≧1/3の条件を満たさ
ない例として、ポリブタンジオールを記載した。
【0042】対SUS粘着力 実施例1〜6の粘着力を測定した。粘着材としての特性
を評価するために、実施例1〜6の片面にポリエステル
製の不織布をラミネートし、20mm幅×150mm長
さの短冊状の試験片1を得た。試験片1の粘着面をSU
S板に貼付し、温度23±5℃、湿度55±15%環境
下で24時間静置後、JIS−Z0237の測定条件に
準じて90度剥離粘着力(Y1)を測定した。結果を表
3に示す。
【0043】対皮膚粘着力 実施例2及び3の人皮膚に対する粘着力を測定した。実
施例2及び3の試験片1の粘着面を人皮膚に貼付し、5
時間静置後、JIS−Z0237の測定条件に準じて9
0度剥離粘着力(Y2)を測定した。結果を表3に示
す。
【0044】20分間水浸漬した後、温度23±5
℃、湿度55±15%環境下で24時間以上乾燥させた
時の重量減少及び粘着力の変化。 高分子ハイドロゲルを20分間水浸漬した後、温度23
±5℃、湿度55±15%環境下で24時間以上乾燥さ
せた時の重量減少が20%以下で、粘着力の変化が水浸
漬前の粘着力に対して±20%以内であることを確認す
るために、実施例3の水との接触によるゲル内包成分流
出後及びその時の粘着力を測定した。実施例3のゲルの
片面に、浸漬測定を行うために支持部材としてのカーボ
ンコーティングされたポリエステルフィルム(重量:W
1〔g〕)を貼付し、20mm幅×150mm長さの短
冊状の試験片2を得た。
【0045】3Lのビーカーに約2Lのイオン交換水を
満たし、あらかじめ重量(W2)を測定した試験片2を
浸漬し、完全にゲルが水に浸かった状態で保持した。浸
漬開始から20分経過後、試験片を取出し、表面に付着
した水分を切った後、温度23±5℃、湿度55±15
%環境下でゲル面を上にした状態で乾燥させた。乾燥後
24時間経過した時点で、再度試験片2の重量(W3)
を測定したのち、粘着面をSUS板に貼付し、温度23
±5℃、湿度55±15%環境下で24時間静置後、J
IS−Z0237の測定条件に準じて90度剥離粘着力
(Y1)を測定した。結果を表4に示す。なお、表4の
吸水―乾燥後重量減少は式2、吸水−乾燥後粘着変化は
式3により算出した値である。 吸水−乾燥後重量減少(%)=(W2-W3)/(W2-W1)×100
式2 吸水−乾燥後粘着変化(%)=Y2/Y2×100 式3 更に、実施例3の試験片1を一日(約24時間)人皮膚
に貼付し、実使用時の粘着材の挙動を確認した。結果を
表5に示す。
【0046】乾燥速度 実施例3について、ゲルの乾燥速度を測定した。まず、
実施例3の片面に支持部材としてカーボンコーティング
されたポリエステルフィルムを貼着し、50mm×50
mmの試験片3を作製した。3Lビーカーに入れた約2
Lのイオン交換水に、予め重量(W5)を測定した試験
片3を10秒間浸漬後水から取り出し、重量(W6)測
定後、ゲル面を上にして取り出し、温度23±5℃、湿
度55±15%環境下で同じくゲル面が上になるように
して静置し、60分、300分、500分、1440分
(24時間)後に重量測定し、浸漬前の重量(W5)に
なった時点を回復点とし、吸水直後から回復点までの時
間を回復時間(T1)とした。なお、重量測定時(時
間:T2、重量:W7)、浸漬前の重量(W5)未満に
なった場合は、その前の測定時(時間:T3、重量W
8)を基に、式6により回復時間(T1)を算出した。
また、吸水時の重量(W6)と回復時間(T1)、試験
片1の面積(25cm2)を基に、式7より単位面積・
時間あたりの乾燥量(X)[mg/cm2/分]を算出
した。結果を表6に示す。 T1=[T3(W5-W7)+T2(W8-W5)]/(W8-W7) 式6 X=(W6-W5)×1000/T1/25 式7
【0047】(比較例1〜5)まず、水溶性の重合性単
量体としてのアクリルアミド(M1)、α−β不飽和カ
ルボニル基を有するアクリル誘導体であり、カルボニル
基の炭素原子と結合するヘテロ元素に、少なくとも1つ
のアルキル基が結合した単量体としてのN,N−ジメチ
ルアクリルアミド(M2)と、イオン性の重合性単量体
としてのアクリル酸(中和物)(M3)、架橋性単量体
としてのN,N−メチレンビスアクリルアミド(C1)
とポリエチレングリコール(n≒9)ジメタクリレート
(C2)、湿潤剤としてのポリグリセリン(6量体)
(G1)とグリセリン(G2)を表1に示す配合量(重
量%)で配合し、更に、アクリル酸を用いた場合は、ア
クリル酸の添加量に対して50重量%分の水酸化ナトリ
ウムを添加した後、溶媒としてのイオン交換水を加えて
100重量%とした混合物を攪拌溶解して、モノマー配
合液を得た。
【0048】次に、モノマー配合液100重量部に対し
て、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシル
フェニルケトン(商品名イルガキュア184、チバ・ス
ペシヤリティーケミカルズ社製)を0.3重量部加え、
更に攪拌して溶解した。表1にモノマー配合液を構成す
る各成分の配合量を示す。ただし、表1の数値は、イオ
ン交換水を加えた配合液総量に対する重量%である。得
られたモノマー配合液は、初期温度を4℃に調整した
後、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に薄く展開
した。次いで、このモノマー配合液に50mW/cm
の強度の紫外線を60秒間照射し、重合架橋反応を行
い、シート状で粘着性の高分子ハイドロゲルを得た。各
サンプルの組成及び厚みを表1に示す。
【0049】比較例5は、重合反応後、架橋密度が低す
ぎるため凝集力が高まらず、糸引きが生じる高粘性の流
動体にしかならなかったため、生体用粘着材が得られな
かった。比較例1〜4について、実施例と同様に粘着力
を測定した。結果を表2に示す。比較例2及び3につい
て、実施例と同様に人皮膚に対する粘着力を測定した。
結果を表3に示す。比較例3について、実施例と同様に
20分間水浸漬した後、温度23±5℃、湿度55±1
5%環境下で24時間以上乾燥させた時の重量減少及び
粘着力の変化を測定した。結果を表4に示す。更に、比
較例3について、実施例と同様に実使用試験を行った。
結果を表5に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】表3によると、実施例1〜6のSUS板に
対する粘着力は、243〜526(g/20mm)であ
り、十分な粘着力が得られている。これに対して、比較
例1〜4は、22〜187(g/20mm)であり、実
施例と比べて粘着力が低い。また、比較例1は、22
(g/20mm)となっているが、ゲルが硬く粘着力は
ほとんどなくなっている。また、人皮膚に対する粘着量
が、実施例1〜6では351〜498(g/20mm)
と高粘着力が得られている。これに対し、比較例3と4
では27〜223(g/20mm)と低レベルである。
なお、人皮膚からの剥離試験を行なう際、皮膚が伸びる
ことにより、剥離面の応力が均一にならないため、おお
むね400から500(g/mm)程度でも十分な粘着
力であり、500(g/20mm)を超えると、むしろ
剥離時の痛みが強くなる。
【0054】
【表4】
【0055】表4によると、実施例3の吸水−乾燥後重
量減少は9%と、十分な耐水性を有している。これに対
し、比較例3の吸水−乾燥後重量減少は39%と、ゲル
組成が大きく変化することが明らかになった、また、吸
水−乾燥後の粘着変化も、実施例4では98%とほぼ吸
水−乾燥前の物性を維持している。これに対し、比較例
3では、63%と粘着力が大きく低下した。
【0056】
【表5】
【0057】表5より、実施例6は、長時間人皮膚に貼
付して使用することが可能であるが、比較例4は、長時
間使用に耐えないことがわかった。
【0058】
【表6】
【0059】表6によると、実施例3は、回復時間が1
46分であり、ゲルの乾燥が比較的速いが、比較例3で
は1440分もかかるため実用的ではない。回復時間を
単位時間・面積あたりの乾燥量に換算すると、実施例3
は0.065(mg/cm2/分)であり、比較例3は
0.006mg/cm2/分)であり、比較例3のほう
が劣っている。
【0060】
【発明の効果】本発明の生体用粘着材は、耐水性に優れ
る.そのため、本発明の生体用粘着材を生体に用いた場
合、発汗が激しい場合でも汗との接触による劣化が少な
い良好な生体貼付材料となる。また、屋外に使用する工
業用粘着材等に使用しても、環境耐性が強く従来に比べ
て長時間使用が可能となる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非イオン性の重合性単量体に、架橋性単
    量体を共重合させて形成された高分子マトリックス内に
    湿潤剤と水とを含み、 (1)湿潤剤は、多価アルコール単量体の重合体を50
    重量%以上含み、前記重合体を構成する多価アルコール
    単量体は、3価以上の多価アルコール単量体を少なくと
    も含み、かつ該重合体は、その平均分子量150〜40
    00で、水溶性であり、かつ{(重合体中に存在するエ
    ーテル基の数+重合体中に存在するヒドロキシル基の
    数)/重合体に存在する炭素原子の数}≧1/3の条件
    を満たし、 (2)架橋性単量体は、高分子マトリックス総量に対し
    て0.02〜1.5重量%含まれることを特徴とする生
    体用粘着材。
  2. 【請求項2】 非イオン性の重合性単量体と、架橋性単
    量体とを共重合させた高分子マトリックス内に、多価ア
    ルコール単量体を重合させた重合体を少なくとも50重
    量%含む湿潤剤と水とを含む高分子ハイドロゲルからな
    り、高分子ハイドロゲルを20分間水浸漬した後、温度
    23±5℃、湿度55±15%環境下で24時間乾燥さ
    せた時の重量が水浸漬前の重量に比べて20%以下の重
    量減少で、粘着力の変化が水浸漬前の粘着力に対して±
    20%以内であることを特徴とする生体用粘着材。
  3. 【請求項3】 非イオン性の重合性単量体が、α−β不
    飽和カルボニル基を有し、カルボニル基の炭素原子と結
    合するヘテロ元素に、アルキル基、アルキレン基又はア
    ルキレンオキサイド基の少なくとも1つが結合したアク
    リル誘導体を少なくとも30重量%以上含む請求項1又
    は2に記載の生体用粘着材。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1つに記載の生
    体用粘着材が、0.01mm〜2.0mmの厚みのシー
    ト状に成型され、その両面に少なくとも一方が剥離性の
    保護樹脂フィルムとして設けられた粘着シートであっ
    て、前記粘着シートがロール状に巻き取られており、一
    方の樹脂フィルムは、断面積1mm2あたり300gの
    荷重をかけた時の伸長率が1.0%以下であって、かつ
    他方の樹脂フィルムは1mm2あたり300gの荷重を
    かけた時の伸長率が5.0%以上であることを特徴とす
    る生体用粘着シート。
  5. 【請求項5】 シート状の生体用粘着材が、その片面に
    水蒸気透過性を有する不織布、織布、フィルム又は多孔
    性樹脂フィルムがラミネートされてなる請求項4に記載
    の生体用粘着シート。
  6. 【請求項6】 シート状の生体用粘着材が、不織布又は
    織布を含有している請求項4又は5に記載の生体用粘着
    シート。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007084710A (ja) * 2005-09-22 2007-04-05 Sekisui Plastics Co Ltd 光ゲル化用組成物及びハイドロゲル

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