JP2003265435A - 磁気共鳴イメージング装置用磁石装置 - Google Patents

磁気共鳴イメージング装置用磁石装置

Info

Publication number
JP2003265435A
JP2003265435A JP2002069952A JP2002069952A JP2003265435A JP 2003265435 A JP2003265435 A JP 2003265435A JP 2002069952 A JP2002069952 A JP 2002069952A JP 2002069952 A JP2002069952 A JP 2002069952A JP 2003265435 A JP2003265435 A JP 2003265435A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnetic field
magnet device
annular
circumferential direction
magnetic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002069952A
Other languages
English (en)
Inventor
Shigeru Kadokawa
角川  滋
Takeshi Wakuta
毅 和久田
Yoshihide Wadayama
芳英 和田山
Hirotaka Takeshima
弘隆 竹島
Takeshi Yao
武 八尾
Kenji Sakakibara
健二 榊原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Ltd filed Critical Hitachi Ltd
Priority to JP2002069952A priority Critical patent/JP2003265435A/ja
Priority to PCT/JP2003/002951 priority patent/WO2003075757A1/ja
Publication of JP2003265435A publication Critical patent/JP2003265435A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Magnetic Resonance Imaging Apparatus (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】MRI装置の撮影空間の磁場に発生する不整磁
場を除去して、鮮明なMR画像を得る。 【解決手段】撮影空間10を挟んで上下方向に対向して
配置された1対の静磁場発生源2a、2bと磁極4a、
4bが、左右方向に配置した2本の強磁性体支柱8a、
8bによって支持されている。磁極4a、4bの対向面
側には環状突起6a、6bが配置され,その半径方向断
面の幅が、左右方向では狭い幅D1、D3に、前後方向
では広い幅D0になり、両者の間ではなだらかに変化す
るように形成されている。この磁石装置1では、撮影空
間10の支柱8a、8bに近い領域にプラスの不整磁場
が発生するが、環状突起6a、6bの左右方向の幅を他
の部分より狭くしたことにより、この部分を通過して撮
影空間10に集まる磁束が減少し,上記のプラスの不整
磁場を打ち消すことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気共鳴イメージ
ング(以下、MRIと略称する)装置に用いる磁石装置に
係り、特に1対の静磁場発生源が撮影空間を挟んで対向
する磁石装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、MRI装置の分野では、撮影空間を
挟んで、上下もしくは左右に、1対の静磁場発生源を対
向して配置している、いわゆるオープン型マグネット
(磁石装置)を用いたMRI装置が開発されつつある。こ
のようなMRI装置は十分なオープン性(開放性)を有
し、このオープン性を活用することによりいわゆるIVR
(Interventional Radiology)を可能にし、医療の可
能性を大きく広げるものとして期待されている。
【0003】MRI装置用マグネットでは、高画質の画
像を得るため、撮影空間に数ppmレベルの均一な静磁
場を作り出すことが必須の要件である。撮影空間の静磁
場を均一化する手法は、静磁場発生源を構成する複数の
コイルを用いてその配置を最適化する手法と、いわゆる
磁極を用いてその表面形状を最適化する手法の2通りに
大別できる。
【0004】前者の手法を用いたオープン型MRI装置に
好適な超電導磁石として、国際公開公報WO 99/27851(MA
GNET APPARATUS AND MRI APPARATUS)に記載の磁石装置
が開示されている。この磁石装置は、MRI画像の撮影領
域である撮影空間を挟んで対向する2組のマグネットア
センブリから構成される。各々のマグネットアセンブリ
はそれぞれ複数個の超電導コイルを有し、装置の中心軸
に関して概ね軸対称に配置されている。超電導コイルの
主コイルは正極性及び負極性のコイルが交互に配置さ
れ、コンパクトなマグネットながら、均一度の高い静磁
場を発生することができる。
【0005】一方、後者の手法を用いた磁石装置として
は、特開平5-251231号公報(磁気共鳴結像用近接自在磁
石)、特開平8‐243087号公報(磁石対向型永久磁石磁
気回路)などに記載されたものが開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】MRI装置用磁石装置で
は、一般に、静磁場発生源からの磁束を、例えば磁極及
びその外周部に設けた環状突起を介して撮影空間に導い
て、撮影空間に形成される静磁場を均一にし、更に傾斜
磁場コイルおよび高周波コイルを用いて、撮影空間に挿
入された被検体の断層画像を得ている。ここで、撮影空
間の静磁場を均一化するために磁極を用いた磁石装置に
おいて一般的に用いられる手法は、磁極の撮影空間側の
面に凹凸を設けることにより磁束の流れを制御して静磁
場を均一化する手法である。
【0007】オープン型MRI装置用磁石装置では、漏洩
磁場を抑制するために、2個の対向する磁極を磁性体か
ら成る支柱で磁気的に連結することによって磁束の帰路
を形成する方法が一般に用いらえる。しかし、この方法
では、磁性体から成る支柱が円周方向において局在する
ために、中心軸に関する回転対称性を大きく低下させ
て、中心軸に関する非回転対称な不整磁場を大きく発生
させる。その結果、この不整磁場が撮影空間における静
磁場を不均一にするため、この不整磁場の影響で画像が
乱れたり、或いは不鮮明となるという問題がある。
【0008】図16には、特開平5‐251231号公
報に開示された磁石装置(以下,第1の従来例という)
の概略構造を示す。図16は、磁石装置全体の概略側面
図を示したものである。この磁石装置100では、撮影
空間10を挟んで上下方向に上下の磁極102a、10
2bが対向して配置され、両磁極はヨーク104によっ
て磁気的に結合されている。上下の磁極102a、10
2bの外周部の撮影空間10に対向する側には環状突起
106a、106bが設けられている。第1の従来例の
磁石装置100では、上記の問題を解決する方法とし
て、上下の環状突起106a、106bの撮影空間10
に対向する側の面に離散的な磁性体108、109を配
置し、この離散的な磁性体108、109の配置によっ
て、非回転対称な不整磁場を打ち消そうとしている。
【0009】しかし、第1の従来例の方法では、環状突
起106a、106bの表面に、回転方向に磁性体10
8、109が局在するため、上記の非回転対称な不整磁
場を打ち消す所望の磁場が発生する以外に、不要な高次
の非回転対称な不整磁場を発生させてしまうという問題
がある。
【0010】また、特開平8‐243087号公報に開示され
た磁石装置(以下、第2の従来例という)においても、
環状突起の構造の改良を行っている。図17には、第2
の従来例の環状突起の平面図を示す。第2の従来例で
は、非回転対称な不整磁場を打ち消すために、図17に
おいて、環状突起112の幅を部分的に連続的に変化さ
せ、かつ複数個の切欠き114、115を設けている。
しかし、第2の従来例の方法でも、回転方向における磁
性体の偏在による不要な高次の非回転対称な不整磁場が
発生することを防ぐことができなかった。
【0011】以上説明した如く、従来の不整磁場の抑止
方法では、所望の不整磁場を打ち消す磁場以外に、不要
な高次の非回転対称な不整磁場の発生を伴うという問題
があった。このため、所望のモードの非回転対称な不整
磁場だけを発生し、他のモードの不整磁場を発生しない
システマティックな解決方法が求められていた。
【0012】上記に鑑み、本発明では、撮影空間の静磁
場における不整磁場を除去して、鮮明な画像を形成でき
るMRI装置用磁石装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の磁石装置は、撮影空間を挟んで対向して配
置された1対の磁極と、前記磁極と磁気的に連結され、
前記磁極を通して前記撮影空間に静磁場を発生させる静
磁場発生源と、前記磁極の対向面側に円環状に突出して
配置された磁性体から成る環状突起と、前記磁極間を直
接的または間接的に支持する少なくとも1本の支柱とを
備えた磁石装置において、前記撮影空間の磁場を均一化
するために、前記環状突起の円周方向の少なくとも一部
の磁性体の量を増減させる(請求項1)。
【0014】この構成では、撮影空間を対向して配置さ
れた環状突起の円周方向の一部または全部の領域につい
て、半径方向断面の磁性体の量を増減しているので、同
領域を通過して撮影空間の対応する領域に集まる磁束の
量を増減し、磁場強度を増減することができる。このた
め、撮影空間に発生している不整磁場の領域と磁場強度
に対応して、環状突起の円周方向の領域と磁性体の増減
量を適切に決定することにより、不整磁場を打ち消すこ
とができ、撮影空間の磁場を均一化することができる。
その結果として、鮮明なMR画像が得られる。
【0015】また、本発明の磁石装置は、撮影空間を挟
んで対向して配置された1対の磁極と、前記磁極と磁気
的に連結され、前記磁極を通して前記撮影空間に静磁場
を発生させる静磁場発生源と、前記磁極の対向面側に円
環状に突出して配置された磁性体から成る環状突起と、
前記磁極間を直接的または間接的に支持する少なくとも
1本の磁性体から成る支柱(以下,磁性体支柱という)
とを備えた磁石装置において、前記磁性体支柱に起因し
て前記撮影空間に発生する不整磁場を除去し、前記撮影
空間の磁場を均一化するために、前記環状突起の円周方
向の少なくとも一部の磁性体の量を、前記不整磁場を打
ち消すように増減させる(請求項2)。
【0016】この構成では、撮影空間の磁性体支柱に近
接する位置に、磁性体支柱に起因する不整磁場が発生す
るので、この撮影空間の不整磁場の発生する領域に対向
する環状突起の円周方向の少なくとも一部の領域の半径
方向断面の磁性体の量を上記の不整磁場を打ち消すよう
に増減して、撮影空間の磁場を均一化している。
【0017】また、本発明の磁石装置では、更に前記撮
影空間の磁場を均一化するために、前記環状突起の円周
方向の少なくとも一部の半径方向断面における磁性体の
量の少ない部分から磁性体の量の多い部分へ、またはそ
の逆に、円周方向に沿って順次磁性体の量を増減させる
ものである。(請求項3)。
【0018】この構成では、環状突起の円周方向の少な
くとも一部について、その半径方向断面の磁性体の量を
円周方向に沿って、少ない部分から多い部分へ、または
多い部分から少ない部分へと順次なだらかに変化させ
て、増減しているので、環状突起を通過して撮影空間に
集まる磁束によって撮影空間の円周方向の少なくとも一
部の領域になだらかな変化をする磁場強度分布を形成す
ることができる。従って、撮影空間に上記のような分布
の不整磁場が発生している場合に、本発明はこれを打ち
消すのに有効である。
【0019】また、本発明の磁石装置では、更に前記撮
影空間の磁場を均一化するために、前記環状突起の円周
方向の少なくとも一部の半径方向断面の断面積を円周方
向に沿って順次増減させるものである(請求項4)。
【0020】環状突起が同じ磁性体から成る場合には、
その半径方向断面の磁性体の量と断面積は比例関係にあ
るので、この断面積を増減することにより、磁性体の量
を増減することができる。従って、この構成では、環状
突起の断面積を円周方向に沿って順次増減することによ
り、請求項1〜3と同様な効果が得られる。
【0021】また、本発明の磁石装置では、更に前記撮
影空間の磁場を均一化するために、前記環状突起の円周
方向の少なくとも一部の半径方向断面の半径方向幅寸法
(以下、単に幅という)及びそれに直交する方向の高さ
寸法(以下、単に高さという)のうちの少なくとも一方
を円周方向に沿って順次増減させるものである(請求項
5)。
【0022】環状突起の半径方向断面が長方形またはこ
れに近似されるものであれば、この半径方向断面は半径
方向幅及び高さに規定され、その断面積は幅または高さ
のうちの少なくとも一方を増減することによって増減す
る。従って、本構成の如く、環状突起の半径方向断面の
幅または高さのうちの少なくとも一方を増減することに
より、撮影空間の磁場を均一化することができる。
【0023】また、本発明の磁石装置では、更に前記撮
影空間の磁場を均一化するために、前記環状突起の内周
側に外径の小さい環状突起を1個以上、ほぼ同心で配置
したものである(請求項6)。
【0024】この構成では、大径環状突起の内周側に小
径の環状突起を配置したことにより、環状突起が円周方
向と半径方向の両方にわたって配置されるので、撮影空
間に発生した不整磁場を、外周部のものばかりでなく、
内周部のものも、精度よく打ち消すことができるので、
撮影空間の磁場を広範囲にわたって精度よく均一化する
ことができる。
【0025】また、本発明の磁石装置では、更に前記撮
影空間の磁場を均一化するために、前記環状突起の円周
方向の少なくとも一部の前記撮影空間側の端面の高さを
増減させて、波型形状を形成させたものである(請求項
7)。
【0026】この構成では、環状突起の円周方向の少な
くとも一部の端面の高さを増減して波型形状としている
ので、同部分の半径方向断面の断面積も波型形状で変化
し、撮影空間の同部分に対向する領域に、円周方向に沿
って波型形状の磁場強度分布を発生する。このため、撮
影空間の上記に対向する部分に円周方向に沿って、波型
形状の不整磁場が発生している場合には、これを打ち消
すことができ、磁場の均一化を図ることができる。
【0027】また、本発明の磁石装置では、更に前記撮
影空間の磁場を均一化するために、前記環状突起の円周
方向の少なくとも一部が、その半径方向断面の断面積、
幅、及び高さのうちの少なくとも1つがそれぞれ異なる
複数の環状突起部材にて構成され、前記環状突起部材を
円周方向に沿って、前記断面積、幅、または高さの小さ
いものから大きいものへ、またはその逆に順次配列し、
半径方向の内周面、外周面、及び前記撮影空間側の端面
のうちの少なくとも1つを階段状に形成するものである
(請求項8)。
【0028】この構成では、環状突起が半径方向断面の
断面積、幅、高さのうちの少なくとも一つが異なる複数
の環状突起部材から構成されているので、小さな環状突
起部材に分けて加工して、組立てることにより、加工が
容易となり、製造コストを低減することができる。ま
た、環状突起部材を、その半径方向断面の断面積、幅、
高さを小さいものから大きいものへと順次配列して、環
状突起の内周面、外周面、端面を階段状としているの
で、それらの包絡線をとることにより、その包絡線で環
状突起の内周面、外周面、端面を近似することができ
る。
【0029】また、本発明の磁石装置では、更に前記静
磁場発生源は、前記磁極の裏面側に、前記撮影空間を挟
んで対向して、1対配置されている(請求項9)。
【0030】この構成では、撮影空間を挟んで対向して
配置された磁極の裏側に、磁極と同様に静磁場発生源が
撮影空間を挟んで対向して配置されているので、静磁場
発生源に磁極を結合することが可能となり、装置をコン
パクトにすることができる。
【0031】また、本発明の磁石装置は、対向して配置
された1対の静磁場発生源が、それぞれ起磁力源と、撮
影空間に面して配置された磁極を有し、前記磁極に前記
撮影空間側に突出した1個以上の環状突起が配置された
磁石装置において、前記撮影空間の磁場を均一化するた
めに、前記環状突起の少なくとも1個の半径方向断面の
断面積を、円周方向に関して周期的に変化させる(請求
項10)。
【0032】この構成では、環状突起の半径方向断面の
断面積が円周方向に関して周期的に変化しているので、
この環状突起を通過して撮影空間に集まる磁束による磁
場強度分布も円周方向に関して周期的に変化する。この
結果、撮影空間に円周方向に関して周期的に変化する不
整磁場が発生している場合に、この不整磁場の磁場強度
分布に対応して、環状突起の断面積の周期的変化の振幅
を適切に選定することにより、不整磁場を打ち消すこと
ができ、撮影空間の磁場を均一化することができる。
【0033】また、本発明の磁石装置は、対向して配置
された1対の静磁場発生源が、それぞれ起磁力源と、撮
影空間に面して配置された磁極を有し、前記磁極に前記
撮影空間側に突出した1個以上の環状突起が配置され、
前記環状突起の少なくとも1個が複数の環状突起部材か
ら構成されている磁石装置において、前記複数の環状突
起部材の半径方向断面の断面積を、円周方向に関して周
期的に変化させる(請求項11)。
【0034】この構成では、環状突起が複数の環状突起
部材から成り、この環状突起の半径方向断面の断面積を
円周方向に関して周期的に変化させているので、請求項
10と同様な効果が得られるとともに、環状突起を複数
の環状突起部材に分割したことにより、環状突起部材の
加工が容易になり、製造コストが低減される。
【0035】また、本発明の磁石装置は、対向して配置
された1対の静磁場発生源が、それぞれ起磁力源と、撮
影空間に面して配置された磁極を有し、前記磁極に前記
撮影空間側に突出した1個以上の環状突起が配置された
磁石装置において、前記撮影空間の磁場を均一化するた
めに、前記環状突起の少なくとも1個の半径方向断面の
幅を、円周方向に関して周期的に変化させる(請求項1
2)。
【0036】この構成では、環状突起の半径方向断面の
幅寸法が円周方向に関して周期的に変化しているので、
その結果、同時に断面積も円周方向に関して周期的に変
化することになり、請求項10と同様な効果が得られ
る。
【0037】また、本発明の磁石装置は、対向して配置
された1対の静磁場発生源が、それぞれ起磁力源と、撮
影空間に面して配置された磁極を有し、前記磁極に前記
撮影空間側に突出した1個以上の環状突起が配置され、
前記環状突起の少なくとも1個が複数の環状突起部材か
ら構成されている磁石装置において、前記複数の環状突
起部材の半径方向断面の幅を、円周方向に関して周期的
に変化させる(請求項13)。
【0038】この構成では、環状突起が複数の環状突起
部材から成り、この環状突起の半径方向断面の幅寸法を
円周方向に関して周期的に変化させているので、環状突
起の断面積も円周方向に関して周期的に変化することに
なり、請求項11と同様な効果が得られる。
【0039】また、本発明の磁石装置は、対向して配置
された1対の静磁場発生源が、それぞれ起磁力源と、撮
影空間に面して配置された磁極を有し、前記磁極に前記
撮影空間側に突出した1個以上の環状突起が配置された
磁石装置において、前記撮影空間の磁場を均一化するた
めに、前記環状突起の少なくとも1個の半径方向断面の
高さを、円周方向に関して周期的に変化させる(請求項
14)。
【0040】この構成では、環状突起の半径方向断面の
高さ寸法が円周方向に関して周期的に変化しているの
で、その結果、同時に断面積も円周方向に関して周期的
に変化することになり、請求項10と同様な効果が得ら
れる。
【0041】また、本発明の磁石装置は、対向して配置
された1対の静磁場発生源が、それぞれ起磁力源と、撮
影空間に面して配置された磁極を有し、前記磁極に前記
撮影空間側に突出した1個以上の環状突起が配置され、
前記環状突起の少なくとも1個が複数の環状突起部材か
ら構成されている磁石装置において、前記複数の環状突
起部材の半径方向断面の高さを、円周方向に関して周期
的に変化させる(請求項15)。
【0042】この構成では、環状突起が複数の環状突起
部材から成り、この環状突起の半径方向断面の高さ寸法
を円周方向に関して周期的に変化させているので、環状
突起の断面積も円周方向に関して周期的に変化すること
になり、請求項11と同様な効果が得られる。
【0043】また、本発明の磁石装置は、対向して配置
された1対の静磁場発生源が、それぞれ起磁力源と、撮
影空間に面して配置された磁極を有し、前記磁極に前記
撮影空間側に突出した1個以上の環状突起が配置され、
前記環状突起の少なくとも1個が複数の環状突起部材か
ら構成されている磁石装置において、前記複数の環状突
起部材の半径方向の内周面を結ぶ内面包絡線及び半径方
向の外周面を結ぶ外面包絡線のうちの少なくとも一方の
包絡線を、円周方向に関して周期的に変化させる(請求
項16)。
【0044】この構成では、環状突起が複数の環状突起
部材から成り、これらの環状突起部材の半径方向の内周
面または外周面で形成される内面包絡線または外面包絡
線が円周方向に関して周期的に変化している。その結
果、これらの包絡線を内周面または外周面とする環状突
起の半径方向断面の幅寸法は円周方向に関して周期的に
変化するため、各々の環状突起部材自体の半径方向断面
の幅寸法が近似的に同様な変化をすることにより、請求
項11と同様な効果が得られる。
【0045】また、本発明の磁石装置は、対向して配置
された1対の静磁場発生源は、それぞれ起磁力源と、撮
影空間に面して配置された磁極を有し、前記磁極に前記
撮影空間側に突出した1個以上の環状突起が配置され、
前記環状突起の少なくとも1個が複数の環状突起部材か
ら構成されている磁石装置において、前記複数の環状突
起部材の前記撮影空間に面する端面を結ぶ包絡線を、円
周方向に関して周期的に変化させる(請求項17)。
【0046】この構成では、環状突起が複数の環状突起
部材から成り、これらの環状突起部材の撮影空間に面す
る端面で形成される包絡線が円周方向に関して周期的に
変化している。その結果、この包絡線を端面とする環状
突起の半径方向断面の高さ寸法は円周方向に関して周期
的に変化するため、各々の環状突起部材自体の半径方向
断面の高さ寸法が近似的に同様な変化をすることによ
り、請求項11と同様な効果が得られる。
【0047】また、本発明の磁石装置では、更に前記環
状突起が複数の環状突起部材から構成されているとき、
前記環状突起1個当りの前記環状突起部材の個数は60
個以内である(請求項18)。
【0048】この構成では、環状突起が1個当り60個
以内の環状突起部材で構成されているため、環状突起部
材の加工及びその組立に要する労力とコストが、環状突
起を一体で加工するよりも低減され、また環状突起の据
付場所への搬送や据付時の組立、調整も容易になり、環
状突起部材への分割の効果が得られる。
【0049】また、本発明の磁石装置では、更に前記環
状突起の前記断面積、または前記幅、または前記高さ、
または前記包絡線が、円周方向に関して正弦関数的に変
化している(請求項19)。
【0050】この構成では、環状突起の断面積、幅、高
さ、または包絡線が円周方向に関して正弦関数的に変化
しているので、撮影空間の円周方向に沿って、正弦関数
的に変化するような磁場強度分布を持つ不整磁場を打ち
消すことができる。
【0051】また、本発明の磁石装置では、更に前記環
状突起の前記断面積、または前記幅、または前記高さ、
または前記包絡線が、円周方向の1周に関して、1以上
の整数であるモードmにより正弦関数的に変化している
(請求項20)。
【0052】この構成では、環状突起の断面積、幅、高
さ、または包絡線が円周方向の1週に関して1以上の整
数であるモードmにより正弦関数的に変化しているの
で、撮影空間の円周方向に沿って、モードmの正弦関数
で変化するような磁場強度分布を持つ不整磁場を打ち消
すことができる。
【0053】また、本発明の磁石装置では、更に前記環
状突起の前記断面積、または前記幅、または前記高さ、
または前記包絡線が、円周方向の1周に関して、2つ以
上の異なる1以上の整数であるモードmによる正弦関数
の重ね合わせにより変化している(請求項21)。
【0054】この構成では、環状突起の断面積、幅、高
さ、または包絡線が円周方向の1周に関して2つ以上の
異なる1以上の整数であるモードmによる正弦関数の重
ね合わせにより変化しているので、撮影空間の円周方向
に沿って、複数モードの正弦関数の重ね合わせとなる変
化をするような磁場強度分布を持つ不整磁場を打ち消す
ことができる。
【0055】また、本発明の磁石装置では、更に少なく
とも2つ以上の前記環状突起の前記断面積、または前記
幅、または前記高さ、または前記包絡線が、それぞれ円
周方向の1周に関して、1以上の異なる整数であるモー
ドm、nなどにより、正弦関数的に変化している(請求
項22)。
【0056】この構成では、少なくとも2つ以上の環状
突起の断面積、幅、高さ、または包絡線がそれぞれ円周
方向の1周に関して、それぞれの環状突起に対応するモ
ードで正弦関数的に変化しているので、撮影空間のそれ
ぞれの環状突起に対応する円周方向に沿って異なるモー
ドの正弦関数の重ね合わせで変化するような円周方向と
半径方向の両方向に変化する磁場強度分布を持つ不整磁
場を打ち消すことができる。
【0057】また、本発明の磁石装置では、更に前記1
対の静磁場発生源間または前記1対の磁極間を機械的に
結合する少なくとも1本の支柱が存在する(請求項2
3)。
【0058】この構成では、1対の静磁場発生源間また
は1対の磁極間を機械的に1本以上の支柱で結合されて
いるので、磁極間は大きな変形もなく支持されるととも
に、磁極間に挟まれた撮影空間において大きい開放性が
得られる。
【0059】また、本発明の磁石装置では、更に前記支
柱が強磁性体にて構成されている(請求項24)。
【0060】この構成では、静磁場発生源間または磁極
間を支持する支柱が強磁性体にて構成されているので、
磁極、静磁場発生源、支柱によって磁気回路を形成する
ことにより、撮影空間に磁場を生成するために発生した
磁束の帰路が得られ、装置外部への漏洩磁場を低減する
ことができる。
【0061】また、本発明の磁石装置では、更に前記1
対の静磁場発生源間または前記1対の磁極間を磁気的に
結合して磁気回路を形成する少なくとも1個の支柱状の
強磁性体が存在する(請求項25)。
【0062】この構成では、静磁場発生源間または磁極
間を磁気的に結合して磁気回路を形成する支柱状の強磁
性体が存在するので、この磁気回路が撮影空間に発生し
た磁束の帰路となり、装置外部への漏洩磁場を低減する
ことができる。この支柱状強磁性体は支柱で兼用するこ
とも可能である。
【0063】また、本発明の磁石装置では、更に前記起
磁力源が超電導コイルである(請求項26)。この構成
では、超電導コイルから成る起磁力源によって、撮影空
間に高い磁場強度で、均一な静磁場を形成することがで
きるので、高解像度で鮮明なMR画像を得ることができ
る。
【0064】また、本発明の磁石装置では、更に前記起
磁力源が常電導コイルである(請求項27)。この構成
では、起磁力源が常電導コイルであるので、コイルの冷
却が不要となり、装置の製造コスト及び維持費が低減さ
れる。
【0065】また、本発明の磁石装置では、更に前記起
磁力源が永久磁石である(請求項28)。この構成で
は、起磁力源が永久磁石であるので、コイルの冷却やコ
イル電源が不要となり、装置の保守が容易になるととも
に、装置の維持費が低減される。
【0066】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例について添
付図面に沿って説明する。
【0067】図18は、本発明の磁石装置を用いるMR
I装置の全体概略構成を説明するためのブロック図であ
る。このMRI装置は、磁気共鳴現象を利用して被験体
の断層像を得るためのもので、磁石装置181、傾斜磁
場発生手段182、送信系183、受信系184、信号
処理系185、シーケンサ186、CPU187および
図示しない操作部とからなっている。
【0068】磁石装置181は、被検体188の周りの
ある広がりを持った空間に配置された永久磁石・常電導
磁石、超電導磁石のいずれかからなり、被検体188の
周囲にその体軸方向または被検体の体軸と直交する方向
に均一な静磁場を発生させ、上下に対向配置されたオー
プン構造となっている。
【0069】傾斜磁場発生手段182は、X、Y、Zの
3軸方向に巻かれた傾斜磁場コイル189とこれらの各
々のコイルを磁化させる傾斜磁場電源1810とからな
り、シーケンサ186からの命令に従って傾斜磁場電源
1810の各々のコイルを磁化させることによりX、
Y、Zの3軸方向の傾斜磁場を被検体188に印加す
る。この傾斜磁場の加え方により、被検体188の撮影
して表示する断面が設定される。
【0070】送信系183は、高周波発振器1811、
変調器1812、高周波増幅器1813および高周波照
射コイル1814とからなり、傾斜磁場発生手段182
で設定された被検体188の撮影断面の生体組織を構成
する原子の原子核を励起して核磁気共鳴を起こさせるた
めに、高周波発振器1811から出力された高周波パル
スを高周波増幅器1813で増幅した後に、被検体18
8に近接して設置された高周波照射コイル1814に供
給して被検体に照射する。
【0071】受信系184は、高周波受信コイル181
5、受信回路1816およびA/D変換器1817とか
らなり、送信系183の高周波照射コイル1814から
照射された電磁波による被検体188の生体組織の原子
核の磁気共鳴によるエコー信号であるNMR信号を、被
検体188に近接して配置された高周波受信コイル18
15で検出し、受信回路1816を介してA/D変換器
1817に入力し、ディジタル信号に変換して、さらに
シーケンサ186からの命令によるタイミングでサンプ
リングされた収集データとして、その信号を信号処理系
185に送る。
【0072】信号処理系185は、収集データに対しフ
ーリエ変換およびシーケンサ186の制御を行うCPU
187、本発明の補正手段を含み補正計算や収集データ
を断層像に再構成するために必要な処理を行う信号処理
装置1818、経時的な画像解析処理および指定された
計測のシーケンスのプログラムやその実行の際に用いら
れるパラメータ−等を記憶し、被検体に対して行った事
前の計測で得た計測パラメーターや受信系184で検出
したNMR信号からの収集データおよび関心領域設定に
用いる画像を一時保管すると共にその関心領域を設定す
るためのパラメーター等を記憶するメモリ1819、再
構成された画像データを記憶するデータ格納部となる磁
気ディスク1820・光ディスク1821およびこれら
のディスクから読み出した画像データを映像化して断層
像として表示するディスプレイ1822とからなり、受
信系184で検出したNMR信号を用いて画像再構成演
算を行うとともに画像表示を行う。
【0073】シーケンサ186は、CPU187の制御
で動作しスライスエンコード、位相エンコード、周波数
エンコードの各傾斜磁場および高周波磁場パルスをある
所定のパルスシーケンスで繰り返し発生するためのもの
で、被検体188の断層像のデータ取得に必要な種々の
命令を傾斜磁場発生手段182、送信系183および受
信系184に送る。操作部は、トラックボールまたはマ
ウス、キーボード等からなり信号処理系185で行う処
理の制御情報を入力する。
【0074】図1に、本発明に係る磁石装置の第1の実
施例の全体構造の斜視図を示す。図1において、本実施
例の磁石装置1は、撮影空間10を挟んで上下方向に対
向して配置された上下の静磁場発生源2a、2bを備
え、この静磁場発生源2a、2bによって撮影空間10
に上下方向の均一な静磁場が形成される。図示では、撮
影空間10の中心を原点0、上下方向をZ軸、左右方向
をX軸、前後方向をY軸とする座標系を設定している。
【0075】上下の静磁場発生源2a、2bの撮影空間
10に対向する側には、それぞれ上下の磁極4a、4b
が設置されている。上下の磁極4a、4bの撮影空間1
0に面する側には、撮影空間10側に円環状に突出し、
磁性体で構成された上下の環状突起6a、6bが設置さ
れている。上下の静磁場発生源2a、2bは、撮影空間
10の左右に配置された、強磁性体から成る支柱(以
下、強磁性体支柱ともいう)8a、8bによって機械的
に支持されると共に、磁気的にも連結されている。上下
の静磁場発生源2a、2bと支柱8a、8bとは、磁極
4a、4b、環状突起6a、6bとともに、磁気回路を
形成し、撮影空間10に発生された磁束の帰路となるの
で、磁石装置1の漏洩磁場が低減される。
【0076】図1において、上下の静磁場発生源2a、
2bで発生された磁束は、上下の磁極4a、4bおよび
環状突起6a、6bを通過して撮影空間10に導かれ、
ここに静磁場を形成する。撮影空間10の静磁場の磁場
均一度を高めるためには、磁極4a、4bの撮影空間1
0に面する側の表面に凹凸を設けたり、環状突起6a、
6bの高さを変えたり、磁極4a、4bと環状突起6
a、6bの配置を変えたりしている。本実施例では、更
に支柱5a、8bの偏在などに伴って撮影空間10に発
生する不整磁場を除去するなど、撮影空間10の磁場均
一度の一段の向上を図るために、環状突起6a、6bの
構造および配置について改善を行っている。
【0077】図2は、図1における上側の環状突起6a
を、撮影空間10を含む座標系と共に表した斜視図であ
る。環状突起6は磁極4の撮影空間10に面する側の外
周部に配置されているが、本発明の要部となるため、図
1の磁石装置1の全体構造から上側の環状突起6aのみ
を抜き出し、図2に座標系と共に示したものである。
【0078】以下、図2によって、環状突起6の構造の
詳細について説明する。図2において、座標の原点0は
撮影空間10の中心であり、Z軸は図1における2個の
静磁場発生源2a、2bの対向方向であると共に、撮影
空間10に形成される静磁場の磁場方向でもある。X軸
およびY軸の選び方には任意性がある。ここでは、一般
に用いられるように、X軸は左右方向、Y軸は前後方向
とし、Z軸に関する回転角度φをX軸から反時計方向に
測ることにする。以下の実施例においても、特に指定し
ない限り同様とする。
【0079】図2において、上側の環状突起6aは撮影
空間10の上側に、Z軸を中心軸として円周方向に配置
されている。本実施例では、この環状突起6aについ
て、その回転角度φにおける断面(以下、半径方向断面
という)7の断面積Sを円周方向に沿って変化させるも
ので、この断面積Sを撮影空間10の不整磁場を除去す
るように円周方向に沿って増減するものである。この断
面積Sの増減する範囲は円周方向の一部の領域でも、全
部の領域でもよい。
【0080】環状突起6の回転角度φにおける半径方向
断面7の断面積Sは、その回転角度位置における磁性体
の量に比例するので、本実施例では、環状突起6の円周
方向における磁性体の量の分布を変えることができ、そ
の結果環状突起6を通過して撮影空間10に導く磁束の
撮影空間10における分布を変えることができる。従っ
て、撮影空間10における不整磁場の分布に対応して、
その不整磁場を除去するように、環状突起6の断面積S
を円周方向に沿って基準値に対して増減することによ
り、不整磁場を打ち消し、撮影空間10における磁場均
一度を高めることができる。ここで、基準値として、最
大値をとっているが、平均値や最小値などをとってもよ
い。
【0081】環状突起6の半径方向断面7が、図示の如
く、回転半径方向に平行な幅Dと、Z軸に平行な高さH
から成る長方形である場合には、その回転角度φにおけ
る断面積Sは幅Dと高さHによって決定される。従っ
て、上記の断面積Sを円周方向に沿って変化させるため
には、その半径方向断面7の幅Dおよび高さHのうちの
一方または両方を円周方向に沿って変化させることによ
っても達成される。
【0082】本実施例では、環状突起6の円周方向の一
部の半径方向断面7の半径方向幅Dを、円周方向に沿っ
て変化させて、撮影空間10の不整磁場を除去してい
る。図1、図2において、本実施例では、不整磁場は後
述するように、撮影空間10の強磁性体支柱8a、8b
に近い領域、すなわちX軸方向に主に発生するので、環
状突起6のX軸方向の領域の幅Dを変化させている。X
軸方向には通常プラスの不整磁場が発生するので、これ
を除去するため、図2においては、環状突起6のX軸方
向の領域の幅Dを減少させることにより、この領域から
の撮影空間10への磁束の寄与を低減させて、不整磁場
を打ち消すことにしている。
【0083】図2において、環状突起6aの幅Dを、X
軸方向で小さい値、すなわち回転角度φ=0°でD1、
回転角度φ=180°でD3とし、Y軸方向で基準値D
O(最大値)とする。最小幅D1、D3から最大幅D0
までの間は、幅Dを順次広くして行くことになるが、最
小幅D1、D3の値、幅Dの狭い領域の範囲及び幅Dの
広げ方などは、撮影空間10における不整磁場の磁場強
度の大きさ、不整磁場の発生している領域の範囲などに
対応して決定される。すなわち、幅の差(D0−D
1)、(D0−D3)は不整磁場の磁場強度の最大値に
ほぼ比例するようにし、幅Dの狭い領域は不整磁場の発
生領域とほぼ一致するように決定される。
【0084】上記において、環状突起6の幅Dを変化さ
せる範囲は、通常撮影空間10の不整磁場が発生してい
る領域に対応する円周方向の一部のみであるが、幅Dの
変化範囲は円周方向の全領域に広げてもよい。後者の場
合、低次の不整磁場の打ち消しのみならず、高次の不整
磁場の打消しも可能となる。
【0085】また、図1においては、静磁場発生源2
a、2bは、上下の磁極4a、4bを背面で支持して、
上下方向に撮影空間10を挟んで対向して配置されてい
るが、本発明はこれに限定されず、静磁場発生源2a、
2bを別の場所に配設し、その別の場所で発生した磁束
を磁気回路にて磁極4a、4bに導き、磁極4a、4b
及び環状突起6a、6bを通過した磁束によって撮影空
間10に静磁場を形成する場合でも本発明は成り立つ。
すなわち、撮影空間10を挟んで1対の磁極4a、4b
が対向して配置され、静磁場発生源2a、2bの配置場
所を問わず、静磁場発生源2a、2bで生成された磁束
が磁極4a、4bを介して撮影空間10に導かれて、撮
影空間10に静磁場を形成するような場合には、本発明
は成り立つ。
【0086】また、本実施例では、磁極4a、4bは上
下方向に配置されているが、磁極4a、4bの配列方向
はこれに限定されず、水平方向など他の方向に配列され
た場合でも、本発明は成り立つ。
【0087】次に、本実施例において、撮影空間10の
静磁場における不整磁場を打ち消すことができる理由に
ついて、図3乃至図5を用いて詳細に説明する。図3
は、MRI装置の磁石装置による不整磁場の発生を説明
するための図、図4は図3の不整磁場を本発明の環状突
起により打ち消す場合を説明する平面図、図5は図3、
図4に示した不整磁場と環状突起との関係を示す特性図
である。
【0088】まず、図3により、撮影空間10の静磁場
における不整磁場の発生について説明する。図3(a)
は強磁性体支柱によって撮影空間に発生する不整磁場の
例、図3(b)は不整磁場の存在する撮影空間で被検体
を撮影した断層画像の歪みの発生例を、それぞれ示した
ものである。図3(a)は、撮影空間10の中心0を通
る磁石装置の横断面図であり、同図において、本例では
撮影空間10の左右方向(X軸方向)に、2本の強磁性
体支柱12a、12bが配置されている。
【0089】撮影空間10内には、通常上下の静磁場発
生源及び磁極によって均一な静磁場が形成される。しか
し、図3(a)では、上記の2本の支柱12a、12b
を配置したことによって、均一な静磁場内に不整磁場が
発生する。この強磁性体支柱12a、12bの発生する
不整磁場は、支柱12a、12bに近い部分で大きく、
支柱12a、12bから距離が離れるにつれて小さくな
る。このようにして2本の支柱12a、12bによって
作られる不整磁場は、それぞれの支柱12a、12bか
らの寄与の重ね合わせとなり、定性的には図3(a)に
示したような磁場強度分布となる。
【0090】図3(a)では、支柱12a、12bの撮
影空間10に作る不整磁場の様子を、その磁場強度の等
高線14a、14b、14cで示している。支柱12
a、12bに近い位置の等高線14aは高い磁場強度
を、中心0に近い位置の等高線14cは低い磁場強度を
示している。等高線14aで囲まれた、斜線を施した領
域F1、F3は不整磁場の高い領域(以下、高不整磁場
領域という)である。高不整磁場領域F1、F3におけ
る不整磁場強度は数百ppmに達する場合がある。
【0091】これに対し、図3(b)には撮影空間10
に挿入された被検体、例えば頭部の断層画像16が示さ
れている。この断層画像16は説明を解り易くするた
め、画像の歪みのみを強調して示してある。この頭部の
断層画像16は、被検体の頭部を撮影空間10の静磁場
に配置し、傾斜磁場コイル及び高周波コイルを動作させ
ることにより得られる。ここで、撮影空間10内の静磁
場に、図3(a)に示すように、均一な静磁場を歪ませ
る高不整磁場領域F1、F3が存在すると、頭部の断層
画像16には図3(b)に示すような位置に画像の歪み
G1、G3が発生する。すなわち、高不整磁場領域F
1、F3において、頭部の画像16が歪んだり、変形し
たりする画像の歪みG1、G3が発生する。
【0092】以上説明した如く、撮影空間10の高不整
磁場領域F1、F3は、強磁性体から成る支柱12a、
12bに起因して発生したもので、支柱12a、12b
に近い領域に形成される。そして、この高不整磁場領域
F1、F3では、撮影した断層画像16において、画像
が変形したり、或いは不鮮明になったりして、画像の歪
みG1、G3が発生し、不整磁場と関係付けられる。
【0093】次に、図4および図3(a)により、図3
の不整磁場を環状突起の構造を変えて打ち消す場合につ
いて説明する。図4は、本発明による環状突起と支柱と
の関係を示した平面図である。図4において、撮影空間
10の上下に本発明の環状突起20a、20bが配置さ
れ、その左右に2本の強磁性体支柱12a、12bが配
置されている。ここで、本発明では、環状突起20a、
20bの半径方向断面の断面積を変化させる(ここでは
半径方向幅Dを変化させている)ことで、撮影空間10
の不整磁場を打ち消そうとしている。
【0094】図3(a)によれば、撮影空間10の不整
磁場として支柱12a、12bの存在する左右方向(X
軸方向)に高不整磁場領域F1、F3が存在するので、
図4では、この高不整磁場領域F1、F3に対向する環
状突起20a、20bのX軸方向の領域22a、22b
における半径方向の幅寸法D1、D3を基準値となる幅
寸法D0(最大値)より狭くする。すなわち、従来環状
突起の幅Dが円周方向全体にわたって基準値のD0であ
ったのに対して、本発明では高不整磁場領域F1、F3
に対向する領域22a、22bの幅Dをそれぞれ基準値
D0より小さい値D1、D3とするものである。
【0095】環状突起20a、20bの幅Dの変化は、
撮影空間10の高不整磁場領域F1、F3における不整
磁場の磁場強度分布に応じて、領域22a、22bにわ
たってY軸方向の幅D0から徐々に狭くし、X軸方向で
最小の幅D1、D3とし、更に徐々に広くし、Y軸方向
の幅D0に戻すものである。幅Dの変化領域22a、2
2bにおける幅Dの変化のさせ方は、環状突起20a、
20bの円周方向に沿って幅Dの減少量が対応する高不
整磁場領域F1、F3における不整磁場の磁場強度にほ
ぼ比例するように行われる。
【0096】上記の不整磁場の打ち消し方法と効果を理
解しやすくするため、数値を用いて説明してみることに
する。先ず、支柱12a、12bによって、撮影空間1
0の高不整磁場領域F1、F3に、磁場強度値が(+
3)の不整磁場が発生したとする。これを打ち消すため
に、環状突起20a、20bの領域F1、F3に対向す
る領域22a、22bの幅Dを狭くして幅D1、D3と
する。これによって、この領域22a、22bを透過し
て領域F1、F3に集まる磁束の量を変化させ、その変
化による磁場強度の変化値を(−3)とする。この結
果、高不整磁場領域F1、F3における不整磁場の磁場
強度値(+3)は、環状突起20a、20bの幅Dを幅
D1、D3に狭くしたことによる磁場強度値の減少(−
3)によって打ち消され、均一な静磁場となる。
【0097】図5は、上記の不整磁場と環状突起との関
係を示した特性図である。図5において、横軸にはX軸
を基準とした回転角度φを、縦軸には撮影空間10の不
整磁場の発生する部分の円周方向の磁場強度fである。
図中、横線24は撮影空間10の均一磁場領域の磁場強
度f0を示している。
【0098】実線25は支柱12a、12bによる不整
磁場が発生している状態での磁場強度分布である。φ=
0°近傍の領域F1とφ=180°近傍の領域F3でプ
ラスの不整磁場f1とf3が発生している。これに対
し、破線26は環状突起20a、20bの幅Dの変化に
よる撮影空間10での磁場強度の変化量を示している。
この破線26の磁場強度の値は、f0線を基準値(0)
にして表している。幅Dを幅D1、D3とした領域D
1、D3では、マイナスの磁場強度値d1、d3を持つ
補正磁場を発生している。
【0099】図5において、実線25の領域F1、F3
の不整磁場f1、f3は、破線26の領域D1、D3の
補正磁場d1、d3によって補正され、円周方向の全領
域に渡って磁場強度f0の均一な磁場が得られる。この
ため、本発明によれば、撮影空間10の静磁場の不整磁
場が除去され、磁場が均一化されるので、画面上に乱れ
のない、しかも鮮明な断層画像を撮影することができ
る。
【0100】不整磁場を打ち消すために、環状突起20
a、20bの半径方向断面の幅Dを変化する範囲に関し
ては、図4に示した例では、X軸方向の高不整磁場領域
F1、F3に対向する領域22a、22bとしている
が、この範囲は一部の領域に限定することなく、幅Dが
基準値D0のままとしているY軸方向の極く近傍を除い
て、円周方向の全領域としてもよい。不整磁場の打ち消
し効果は、通常幅Dを変化する範囲を広げた方が良くな
る。
【0101】また、図4の例では、不整磁場を打ち消す
ために、環状突起の半径方向断面の幅Dを上記の如き範
囲で変化させたが、不整磁場を打ち消す効果は環状突起
の半径方向断面の断面積Sや断面の高さHを変化させる
ことによっても、幅Dと同様に得られるので、これらの
断面積Sや高さHを変化させる場合にも、それらの円周
方向での変化範囲については、上記と同様なことが言え
る。
【0102】次に、図6〜図8を用いて、本発明に係る
磁石装置の第2の実施例について説明する。図6は、本
発明に係る磁石装置の概略断面図、図7は図6の装置に
よる不整磁場の発生を説明するための図、図8は図6の
装置に使用した環状突起の構造図である。
【0103】図6に示した第2の実施例の装置では、静
磁場発生源を支持する支柱の材料に磁性体を使用してい
ないが、このような場合でも撮影空間10に不整磁場が
発生する。図6、図7を用いて、その不整磁場の発生の
様子を、図8を用いて、その不整磁場の打ち消し方法に
ついて、それぞれ説明する。図6において、本実施例の
磁石装置28では、撮影空間10を挟んで上下に対向し
て配置された磁性体から成る磁極30a、30bが、そ
の外周部の一部を1本の支柱32によって支持されてい
る。支柱30は非磁性体材料、例えばステンレス材など
から成る。上下の磁極30a、30bの撮影空間10に
対向する面側には環状突起34a、34bが配置されて
いる。図6における座標系としては、撮影空間10の中
心0を通り、上下方向をZ軸方向、支柱32のある左右
方向をX軸方向(左側が正)、前後方向(前側が正)と
する。
【0104】この磁石装置28では、撮影空間10には
上向きの静磁場が形成される。この静磁場を作るための
磁束B0は矢印36a、36b、36cの方向に磁石装
置28を透過しているので、この磁束B0により上下の
磁極30a、30bと環状突起34a、34bとの間に
は矢印38a、38bで示す力Pが働く。この力Pによ
って、磁極30a、30b及び環状突起34a、34b
はそれぞれ傾斜し(磁極の傾斜後の位置を破線で示
す)、上下の磁極30aと30b間及び上下の環状突起
34aと34b間で、右側すなわち支柱32に近い側の
ギャップに対して、左側すなわち支柱32から離れた側
のギャップが狭くなるように傾斜する。
【0105】このギャップの変化によって、撮影空間1
0の静磁場内には不整磁場が発生する。不整磁場の発生
する領域を示したものが図7で、撮影空間10の支柱3
2から最も離れた領域F1と支柱32に最も近い領域F
3に不整磁場が発生している。不整磁場は領域F1の方
が領域F3よりも強く形成されている。撮影空間10の
平均磁場強度f0を基準とした場合、不整磁場領域F1
にはプラスの不整磁場f1が発生し、不整磁場領域F3
にはマイナスの不整磁場f3が発生する。
【0106】この不整磁場f1、f3を打ち消すため
に、本実施例では、図8に示す如く、環状突起34a、
34bの半径方向断面の断面積Sを増減する。図8
(a)は環状突起34a、34bの縦断面図、図8
(b)はその平面図である。図8において、環状突起3
4a、34bのY軸方向の断面積S0を基準値として、
支柱32から離れた不整磁場領域F1に対応する環状突
起34a、34bの領域40aの断面積S1をS0より
小さくし、支柱32に近い不整磁場領域F3に対応する
環状突起34a、34bの領域40bの断面積S3をS
0より大きくする。
【0107】このように環状突起34a、34bの半径
方向断面の断面積Sを増減することにより、断面積を小
さくしてS1とした領域40aを透過する磁束が減少
し、断面積を大きくしてS3とした領域40bを透過す
る磁束が増加するので、撮影空間10の不整磁場領域F
1の磁場強度が(f1−f0)だけ減少し、不整磁場領
域F3の磁場強度が(f0−f3)だけ増加する。この
磁場強度の増減により、それぞれの不整磁場領域F1、
F3の不整磁場は打ち消され、均一な静磁場が得られ
る。
【0108】第1、第2の実施例では、静磁場発生源や
磁極を支持する支柱の材料として、磁性体または非磁性
体を使用したもの、支柱の本数として2本または1本配
置したものについて説明したが、実際の磁石装置ではこ
れらの組み合わせとなり、磁性体支柱の存在によって発
生する不静磁場や、支柱1本支持によって発生する不整
磁場が、撮影空間に混在することになるため、不整磁場
の存在する領域は2箇所に限らず1箇所または3箇所以
上となる場合もある。このような場合においても、撮影
空間10の不整磁場の発生箇所に対応して、環状突起の
円周方向の対応位置の磁性体の量、または、断面積を、
第1、第2の実施例と同様に増減すればよい。
【0109】次に、図1、図2、図9〜図15を用い
て、本発明の磁石装置での環状突起の変形例について説
明する。
【0110】図1と図2は、上記の如く、第1の実施例
を示したものである。この場合には、撮影空間10の強
磁性体支柱8a、8bに近い位置に不整磁場の高い領域
F1、F3が発生するので、この領域F1、F3に対向
する上下の環状突起6a、6bの領域の半径方向断面に
ついて、上記の不整磁場を打ち消すように断面の高さH
及び幅Dのうちの少なくとも一方を増減して、断面積S
を増減するものである。図2では、環状突起6aの幅D
を円周方向に沿って増減した例を示しており、高不整磁
場領域F1、F3に対応するX軸方向の一部の領域にお
いて、幅Dを基準値D0に対しそれぞれ幅D1、D3に
減少させて、断面積Sを減少させている。
【0111】この場合、環状突起6a、6bの一部の領
域の断面積Sを領域F1、F3の不整磁場を打ち消すよ
うに変化させるために、領域F1、F3に対応する環状
突起6a、6bの一部の領域の幅Dについて、幅の狭い
幅D1またはD3の領域から幅の広い幅D0の領域へ
と、円周方向に沿って両方向(左回りと右回り)に順次
幅Dが広くなるように変化させるならば、撮影空間10
の不整磁場の発生領域における位置とその位置の不整磁
場強度値に合わせて、環状突起6a、6bの断面の位置
と断面積Sの値を順次選定し、この断面積Sの値に対応
して幅Dを決めればよい。このため、環状突起6a、6
bは1種類だけ製作すればよいので、その製作が容易と
なる。また、1種類の環状突起6a、6bについて、円
周方向に回転して幅の狭い位置を不整磁場発生領域に合
わせれば、不整磁場を打ち消すことができるので、調整
作業を容易に行うことができる。
【0112】また、図9には、本発明に係る磁石装置の
第3の実施例の概略構造図を示す。図9において、磁石
装置44は、撮影空間10を挟んで対向して配置された
上下の静磁場発生源2a、2b、磁極4a、4b、環状
突起46a、46bと、静磁場発生源2a、2bなどを
左右方向で支持する支柱8a、8bとから成る。本実施
例では、撮影空間10に発生した不整磁場と対向する環
状突起46a、46bの円周方向の一部の領域の高さH
を、不整磁場を打ち消すように変化させ、環状突起46
a、46bの撮影空間10側の端面50a、50bが波
型形状を形成するようにしている。
【0113】図9において、図9(a)は装置全体の正
面図で、図9(b)は下側の環状突起46bのφ=45
°方向の縦断面図である。図9の座標系は、支柱8a、
8bのある左右方向がX軸方向で、回転角度φはX軸を
基準にして反時計回りに設定される。本実施例では、不
整磁場が撮影空間10のφ=0°、90°、180°、
270°の4箇所の領域に存在し、φ=0°、180°
の領域ではプラスの不整磁場が存在し、φ=90°、2
70°の領域ではマイナスの不整磁場が存在すると想定
している。
【0114】このため、これらの不整磁場を打ち消すた
めに、本実施例の環状突起46bでは図9(a)、図9
(b)に示す如く、φ=90°、270°の領域にて半
径方向断面47の断面積Sを大きくするために高Hを高
くし、φ=0°、180°の領域にて断面積Sを小さく
するために高さHを低くしている。それぞれの領域にお
いては、高さHは、対応する位置の不整磁場の量に応じ
て、円周方向に沿って順次変化させる。その結果、環状
突起46bの撮影空間10側の端面50bが波型形状を
形成する。
【0115】環状突起46の高さHを変化させる領域
は、通常撮影空間10の不整磁場の発生領域に対応する
円周方向の一部の領域であるが、この高さ変化領域は円
周方向の全領域にわたってもよい。後者の場合の如く環
状突起46の全領域にわたって高さHを増減して不整磁
場の打ち消しを行うときは、高次の不整磁場の打ち消し
も可能となるので、撮影空間10の磁場を均一化するた
めの効果はより大きくなる。
【0116】また、図10には、本発明に係る磁石装置
の第4の実施例の環状突起の平面図を示す。図10にお
いて、本実施例の環状突起52a、52bは実質的には
図2に示した第1の実施例の環状突起6a、6bと同じ
であるが、本実施例では、環状突起54a、54bが、
円周方向の一部ではなく、全領域にわたって回転角度φ
における幅Dを順次変化させている。すなわち、環状突
起52a、52bの幅Dは、X軸方向の幅の狭い幅D1
またはD3の領域からY軸方向の幅の広い幅D0の領域
へと、円周方向に沿って全領域にわたって、両方向(左
回りと右回り)に順次広がるように形成されている。そ
の結果、本実施例においても、図9の第3の実施例と同
様な効果が得られる。
【0117】本実施例では、第1の実施例の如くX軸方
向(回転角度φ=0°とφ=180°の2箇所)に同レ
ベルのプラスの磁場強度の不整磁場が発生した場合や、
第3の実施例の如く、X軸方向(φ=0°とφ=180
°の2箇所)に同レベルのプラスの不整磁場、Y軸方向
(φ=90°とφ=270°の2箇所)に同レベルのマ
イナスの不整磁場が発生した場合に、幅D1、D3を、
または幅D1、D3、D0を適切に調整することによ
り、撮影空間10の不整磁場を打ち消すことができ、撮
影空間10の磁場を均一化することができる。
【0118】また、図11では、本発明の係る磁石装置
の第5の実施例の環状突起の平面図を示す。図11にお
いて、上下の環状突起54a、54bの半径方向の幅D
は、左右方向(X軸方向)で狭く、前後方向(Y軸方
向)で広く形成されている。さらに、X軸方向の幅D1
とD3はほぼ同じであるが、Y軸方向では後方領域55
の幅D2は前方領域56の幅D4より広くなっている。
後方領域55では、幅の狭い幅D1、D3から幅の広い
幅D2へと、前方領域56では、幅の狭い幅D1、D3
から幅の広い幅D4へと、円周方向に沿って順次幅が広
くなるように形成されている。環状突起54a、54b
の後方領域55と前方領域56とを重ね合わせると、後
方領域55の面積の方が前方半分領域56の面積より広
く形成されている。
【0119】本実施例は、撮影空間10のX軸方向(φ
=0°とφ=180°の2箇所)に同じレベルのプラス
の磁場強度の不整磁場があり、Y軸方向(φ=90°と
φ=270°の2箇所)にレベルの異なるマイナスの磁
場強度の不整磁場がある場合や、X軸方向に同じレベル
のプラスの磁場強度の不整磁場(2箇所)があり、Y軸
方向のφ=90°の位置にマイナスの磁場強度の不整磁
場がある場合などに有効に適用され、環状突起52の半
径方向の幅D1〜D4を適切に調整することにより、撮
影空間10の不整磁場を打ち消すことができ、磁場の均
一化を図ることができる。
【0120】上記の幅Dの調整において、不整磁場がX
軸方向に2箇所、Y軸方向に2箇所発生している前者の
場合には、φ=0°〜45°及びφ=135°〜180
°の位置に幅Dの基準値D0を設定して、X軸方向では
幅を狭くしてD1、D3になるようにし、Y軸方向では
幅を広くして、φ=90°では最大幅D2とし、φ=2
70°では基準値D0より少し大きい幅D4とする。ま
た、不整磁場がX軸方向に2箇所、Y軸方向に1箇所発
生している後者の場合には、φ=270°の位置の幅D
4を基準値D0とし、X軸方向では幅を狭くしてD1、
D3とし、Y軸方向のφ=90°では幅を広くしてD2
とする。
【0121】また、本実施例においても、環状突起54
a、54bの幅の増減を円周方向の全域にわたって行っ
ているが、この幅の増減を行う領域は円周方向の一部の
みでよいことは言うまでもない。すなわち撮影空間10
の不整磁場の発生領域に対応する環状突起54a、54
bの一部の領域に限定してもよいことは言うまでもな
い。
【0122】また、本実施例では、環状突起54a、5
4bの円周方向の3〜4箇所に幅Dの増減領域を設けた
が、この個数は撮影空間10の不整磁場の領域の個数に
応じて決定するものであり、実施例における個数によっ
て特に限定されるものではない。他の実施例においても
同様である。
【0123】また、図12及び図13には、本発明に係
る磁石装置の第6の実施例の環状突起の構造図を示す。
図12は、下側の環状突起と磁極との組み合わせの斜視
図、図13は環状突起の平面図である。本実施例では、
図12、図13において、磁極4b(4a)の表面に大
径環状突起60と小径環状突起62とから構成される組
合せ環状突起58b(58a)が配置されている。大径
環状突起60の外周は磁極4bの外周面とほぼ一致する
ように作られ、大径環状突起60の内側に小径環状突起
62がほぼ同心で配置されている。
【0124】本実施例では、大径環状突起60の幅DL
と、小径環状突起62の幅DSは、ともに円周方向に沿
って変化させている。図13において、大径環状突起6
0では、Y軸方向に幅DLの最大値DL2と最小値DL
4があり、X軸方向に、幅DLの平均値DL1、DL3
がある。これに対し、小径環状突起62では、Y軸方向
に幅DSの最小値DS2、DS4があり、X軸方向に幅
DSの最大値DS1、DS3がある。大径環状突起60
では、Y軸方向における幅の狭い幅DL4から円周方向
に沿って両方向に幅DL1、幅DL3を経由して、幅の
広い幅DL2へと、順次幅DLが大きくなるように変化
させている。小径環状突起62では、Y軸方向における
2箇所の幅の狭い幅DS2、DS4から円周方向に沿っ
て両方向に2箇所の幅の広い幅DS1、DS3へと、順
次幅DSが大きくなるように変化させている。大径環状
突起60の幅の広い幅DL2の位置と、小径環状突起6
2の幅の広い幅DS1、DS3の位置とが約90°だけ
方向が異なっている。
【0125】本実施例の環状突起58a、58bでは、
大径環状突起60によって、主に撮影空間10の外周部
のY軸方向の不整磁場を打ち消し、小径環状突起62に
よって、主に撮影空間10の内周部のX軸方向及びY軸
方向の不整磁場を打ち消すことができる。すなわち、前
者では、外周部のY軸方向のφ=90°の位置のマイナ
スの不整磁場とφ=270°のプラスの不整磁場を打ち
消し、後者では、内周部のX軸方向のマイナスの不整磁
場とY軸方向のプラスの不整磁場を打ち消すことができ
る。
【0126】上記の如く、本実施例では、半径の異なる
環状突起を2個ずつ上下の磁極に配置したことで、撮影
空間10の不整磁場について、円周方向のみならず、半
径方向についても打ち消すことができる。また、本実施
例では、大径環状突起60と小径環状突起60とで、円
周方向の不整磁場の打ち消し領域を変えていることか
ら、不整磁場の発生箇所が多い場合や、不整磁場の発生
領域が半径方向に対して傾斜している場合などに有効な
不整磁場の打ち消し方法である。
【0127】また、本実施例では、環状突起の個数が2
個の場合について説明したが、これに限定されず、3個
以上であってもよいことは言うまでもない。また、本実
施例では、環状突起の広い幅の位置を相互間で約90°
ずらしたがこれに限定されず、他の角度ずらしてもよい
ことは言うまでもない。
【0128】また、図14には、本発明に係る磁石装置
の第7の実施例の環状突起の平面図を示す。本実施例
は、環状突起を半径方向の幅dの異なる複数の部材で構
成したものである。図14において、上下の環状突起6
4a、64bは半径方向の幅がそれぞれda、db、d
c(da<db<dc)の3種類の環状突起ブロック6
6a、66b、66cによって構成されている。図示の
場合、3種類の環状突起ブロック66a、66b、66
cは、その外周がほぼ円形となるように円周方向に配置
され、X軸方向には幅の広い(幅dc)環状突起ブロッ
ク66cが、Y軸方向には幅の狭い(幅da)環状突起
ブロック66aが、両者の間には幅が中間値(幅db)
の環状突起ブロック66bが、それぞれ配置されてい
る。
【0129】また、本実施例では、装置の中心軸である
Z軸を中心にして、環状突起64a、64bの外周面は
ほぼ円形であるが、その内周面は環状突起ブロック毎に
半径が異なるため階段状になっている。このため、その
内周面については、環状突起ブロック66の内周面の包
絡線68をとり、この包絡線68によって環状突起64
a、64bの内周面を代表させている。このように、包
絡線で内周面を代表させることにより、図2の第1の実
施例などと同様に取り扱うことができる。
【0130】また、本実施例では、内周面の包絡線68
の半径Rが回転角度φに関して、周期的に変化するよう
に、各環状突起ブロックの幅dを決めることができる。
このように内周面の包絡線68の半径Rを周期的に変化
させることにより、撮影空間10の周期的な不整磁場を
容易に打ち消すことができる。
【0131】環状突起64a、64bを構成する環状突
起ブロック66の個数に関しては、図示では8個として
いるが、これに限定されず、他の個数でもよい。環状突
起ブロック66の個数が多いほど包絡線68に近付き、
不整磁場の補正精度を向上させることはできるが、部品
の加工や組立作業において製造コストが増加する。実際
の装置製造では両者の兼ね合いを検討する必要がある
が、発明者達の経験では環状突起64a、64b1個当
り60個以内にするのが適当である。
【0132】図14に示した例では、内周面の半径の異
なる環状突起ブロック66を環状突起64a、64bの
円周方向の全領域にわたって配置しているが、環状突起
ブロック66を配置する範囲は円周方向の一部のみでも
よい。すなわち、撮影空間10の不整磁場の発生してい
る領域に対向する環状突起64a、64bの一部の領域
のみでもよい。
【0133】図14に示した環状突起64a、64bで
は、外周面の半径は同じで、内周面の半径の異なる複数
個の環状突起ブロック66を内周方向に沿って配列する
ことで構成されているが、本発明ではこれに限定され
ず、内周面の半径が同じで、外周面の半径の異なる複数
個の環状突起ブロックを円周方向に沿って配列してもよ
いし、また内周面と外周面の両方の半径の異なる複数個
の環状突起ブロックを円周方向に沿って配列してもよ
い。これらの場合、前者の例では、外周面が階段状にな
っているので、この包絡線をとって、環状突起としての
外周面を代表させ、後者の例では、内周面、外周面とも
に階段状になっているので、両者の包絡線をとって、環
状突起としての内周面と外周面を代表させることによ
り、図14の第7の実施例と同様に取り扱うことができ
る。
【0134】環状突起ブロック66の固定は、通常環状
突起ブロック66個々に磁極4a、4bに直接、例えば
ボルトなどによって取り付けられる。ボルトの材料は磁
性体でも非磁性体でもよいが、不整磁場の補正精度を上
げるためには、環状突起ブロック66と同じ材質の磁性
体が適当である。
【0135】図15には、本発明に係る磁石装置の第8
の実施例の概略構造図を示す。図15において、磁石装
置70は、撮影空間10を挟んで対向して配置された上
下の静磁場発生源2a、2b、磁極4a、4b、環状突
起72a、72bと、静磁場発生源2a、2bなどを左
右方向で支持する支柱8a、8bとから成る。本実施例
では、環状突起72a、72bを高さ方向の寸法の異な
る複数の部材で構成したものである。図15において、
上下の環状突起72a、72bは円周方向に沿って配置
されたZ軸方向の高さhの異なる複数の環状突起ブロッ
ク74a、74b、74cなどによって構成されてい
る。
【0136】複数の環状突起ブロック74によって形成
された環状突起72a、72bの撮影空間10側の端面
は階段状になっているので、本実施例では、これらの端
面の包絡線76a、76bをとり、環状突起72a、7
2bの撮影空間10側の端面を代表させることにする。
図示の例では、この包絡線76a、76b、すなわち環
状突起72a、72bの端面は図9の第3の実施例と同
様に波型形状をしているので、本実施例の場合も、図9
の第3の実施例と同様に取り扱うことができる。
【0137】また、本実施例においても、環状突起72
a、72bの撮影空間10側の端面の包絡線76a、7
6bの高さHがZ軸に関する回転角度φに関して周期的
に変化するように各環状突起ブロック74の高さhを決
めることができる。このように、端面の包絡線76a、
76bの高さHを周期的に変化させることにより、撮影
空間10の周期的な不整磁場を容易に打ち消すことがで
きる。
【0138】図15に示した例では、端面の高さhの異
なる環状突起ブロック74を環状突起72a、72bの
円周方向の全領域にわたって配置しているが、環状突起
ブロック74を配置する範囲は円周方向の一部のみでも
よい。すなわち、撮影空間10の不整磁場が発生してい
る領域に対向する環状突起72a、72bの一部の領域
のみでもよい。
【0139】本実施例においても、図14の第7の実施
例と同様、加工上の見地から見て、環状突起ブロック7
4の個数は環状突起72a、72bの1個当り60個以
内が適当である。また、それぞれの環状突起ブロック7
4の固定も、図14の第7の実施例と同様に行われる。
【0140】上記の第7、第8の実施例では、環状突起
を幅dまたは高さhの異なる複数の環状突起ブロックを
円周方向に配列して構成した例を示したが、これらの例
はいずれも環状突起ブロックの幅dまたは高さhを変え
ることによって環状突起ブロックの断面積Sを変えたも
ので、環状突起ブロックの半径方向断面が長方形の場合
に適用されるものである。本発明は、環状突起ブロック
の半径方向断面の形状を問わず、断面積Sの異なる複数
の環状突起ブロックを円周方向に沿って配列して環状突
起を構成した場合にも成立する。この場合には、例え
ば、環状突起ブロックの半径方向断面に外接する長方形
(ただし、各辺は半径方向とZ軸方向とに平行とする)
を作り、半径方向に平行な辺を幅、Z軸方向に平行な辺
を高さとみなすことにより、第7、第8の実施例と同様
に取り扱うことができる。
【0141】以上の説明では、撮影空間の不整磁場を打
ち消すように環状突起を変形するという考え方に基づい
て実施例の説明を進めてきたが、以下の説明では、撮影
空間の不整磁場を球面調和関数で展開した次数に着目し
て、環状突起の形状を解析した実施例の説明を進めるこ
とにする。
【0142】図1に示した磁石装置1において、撮影空
間10に上下の静磁場発生源2a、2bが発生する磁場
のZ軸方向成分は一般に式(1)で表される。
【0143】
【数1】
【0144】式(1)において、特に、次数が(0,
0)の磁場は、座標に依存しない磁場であり、撮影空間
10に発生させたい均一な磁場である。一方、それ以外
の次数の磁場は、座標によって変化する磁場であり、磁
場の均一度を悪化させるため、不整磁場または不整磁場
成分と呼ばれ、図3(b)などで示した如く、撮影され
た断層画像に画像歪みを発生させる。
【0145】図1に示した第1の実施例、または図6に
示した第2の実施例などの磁石装置においては、強磁性
体支柱の配設、または磁極間に働く磁気的吸引力の影響
などによって、式(1)における次数(1,1)、
(3,1)、及び(2,2)などの低次の不整磁場が大
きく発生する。例えば、図1に示す如く、支柱8a、8
bがX軸方向の対称の位置に配置された場合などには、
上記の次数(2,2)などのモードm=2の不整磁場が
主に発生し、また、図6に示す如く、磁極間に大きな磁
気的吸引力が働いて磁極が変位する場合などには、上記
の次数(1,1)、(3,1)などのモードm=1の不
整磁場が主に発生する。
【0146】先ず、図6に示した第2の実施例の磁石装
置では、式(1)における次数(1,1)、(3,1)
などのモードm=1の不整磁場が大きく発生しているの
で、このモードm=1の不整磁場成分を打ち消すために
は、図6、図8において、環状突起34a、34bの半
径方向断面35の断面積Sなどを円周方向に沿ってモー
ドm=1で周期的に変化させればよい。具体的には、図
8において、環状突起34a、34bの回転角度φにお
ける断面積Sを周期的に変化させる。
【0147】この例では、式(1)から分かるように、
モードm=1の不整磁場成分を最も効率よく打ち消す方
法は、上記断面積Sを回転角度φに関してモードm=1
の正弦関数で変化させること、すなわち断面積Sを式
(2)のように変化させることである。
【0148】
【数2】S = S0−SB,1cos(φ) (2) ここで、S0は環状突起34a、34bの断面積の平均
値、SB,1はその断面積変化の振幅である。
【0149】式(2)によれば、環状突起34a、34
bの断面積Sは、X軸方向のφ=0°で最小値(S0
B,1)、φ=180°で最大値(S0+SB,1)とな
り、Y軸方向のφ=90°、270°で中間値S0とな
る。図8との対比では、最小値(S0−SB,1)はS1、
最大値(S0+SB,1)はS3、中間値S0はS0であ
り、最大値と最小値の間では正弦関数的に変化してい
る。
【0150】環状突起34a、34bの断面積Sを式
(2)のように変化させることによって、環状突起34
a、34bはモードm=1の磁場成分を選択的に発生す
る。従って、振幅SB,1を適切に定めることにより、図
6に示した磁石装置28の撮影空間10に発生している
モードm=1の不整磁場と大きさが等しく、符号が反対
のモードm=1の磁場成分を発生させることができ、モ
ードm=1の不整磁場を打ち消して、撮影空間10の磁
場を均一にすることができる。
【0151】ここで、座標系は発明などの物理的概念を
説明するために導入したものであり、座標系の取り方に
は任意性がある。従って、この座標系の取り方によって
本実施例における発明の本質が変わるものではない。す
なわち、本実施例における発明の本質は、環状突起の断
面積、高さ、または半径方向の幅を、打ち消すべき不整
磁場の次数に対応させて、正弦関数的に周期的変化させ
ることである。
【0152】次に、図1に示した第1の実施例の磁石装
置では、式(1)における次数(2,2)などのモード
m=2の不整磁場が大きく発生しているので、このモー
ドm=2の不整磁場成分を打ち消すためには、図1、図
2において、環状突起6a、6bの半径方向断面7の断
面積Sなどを円周方向に沿ってモードm=2で周期的に
変化させればよい。具体的には、図2において、環状突
起6a(6b)の回転角度φにおける断面積Sを周期的
に変化させるために、半径方向の幅Dを周期的に変化さ
せる。
【0153】この場合も、式(1)から分かるようにモ
ードm=2の不整磁場成分を最も効率よく打ち消す方法
は、上記半径方向の幅Dを回転角度φに関してモードm
=2の正弦関数で変化させること、すなわち、半径方向
の幅Dを式(3)のように変化させることである。
【0154】
【数3】D = D0−DB,2cos(2φ) (3) ここで、D0は環状突起6a、6bの半径方向の幅の平
均値、DB,2はその幅変化の振幅である。
【0155】式(3)によれば、環状突起6a、6bの
幅Dは、X軸方向で最小値(D0−DB,2)、Y軸方向で
最大値(D0+DB,2)となる。図2との対比では、最小
値(D0−DB,2)はD1またはD3、最大値(D0+D
B,2)はD0であり、最小値と最大値の間では正弦関数
的に変化している。
【0156】環状突起6a、6bの幅Dを式(3)のよ
うに変化させることによって、環状突起6a、6bはモ
ードm=2の磁場成分を選択的に発生する。従って、振
幅D B,2を適切に定めることにより、図1の磁石装置1
の撮影空間10に発生しているモードm=2の不整磁場
と大きさが等しく、符号が反対のモードm=2の磁場成
分を発生させることができ、モードm=2の不整磁場を
打ち消して、撮影空間10の磁場を均一にすることがで
きる。
【0157】また、図9に示した第3の実施例では、上
下の環状突起46a、46bの高さHを円周方向に沿っ
て式(4)の如く変化させている。
【0158】
【数4】H = H0−HB,2cos(2φ) (4) ここで、H0は環状突起46a、46bの平均高さ、H
B,2はその高さ変化の振幅である。
【0159】環状突起46a、46bの高さHを式
(4)の如く変化させることにより、環状突起46a、
46bは撮影空間10にモードm=2の磁場成分を選択
的に発生するため、振幅HB,2の値を適切に選ぶことに
より、強磁性体支柱8a、8bに起因して撮影空間10
に発生するモードm=2の不整磁場を打ち消して、撮影
空間10の磁場を均一にしている。本実施例は、図1の
第1の実施例と同様に、モードm=2の不整磁場を打ち
消す場合に好適である。
【0160】同様に、図10に示した第4の実施例で
は、上下の環状突起52a、52bの半径方向の幅Dを
式(5)の如く変化させている。
【0161】
【数5】D = D0−DB,2cos(2φ) (5) ここで、D0は環状突起52a、52bの平均幅、DB,2
はその幅変化の振幅である。
【0162】環状突起52a、52bの幅Dを式(5)
の如く変化させることにより、環状突起52a、52b
は撮影空間10にモードm=2の磁場成分を選択的に発
生するため、振幅DB,2を適切に選ぶことにより、モー
ドm=2の不整磁場を打ち消して、撮影空間10の磁場
を均一にしている。本実施例における式(5)は第1の
実施例における式(3)と全く同じであり、図1の第1
の実施例と同様に、モードm=2の不整磁場を打ち消す
場合に好適である。
【0163】また、図11に示した第5の実施例では、
上下の環状突起54a、54bの半径方向の幅Dを円周
方向に沿って式(6)の如く変化させている。
【0164】
【数6】 D = D0+DA,1sin(φ)−DB,2cos(2φ) (6) ここで、D0は環状突起54a、54bの平均幅、DA,1
はそのモードm=1での幅変化の振幅、DB,2はそのモ
ードm=2での幅変化の振幅である。
【0165】環状突起54a、54bの幅Dを式(6)
の如く変化させることにより、環状突起54a、54b
は撮影空間10にモードm=1及びモードm=2の磁場
成分を選択的に発生するため、振幅DA,1及びDB,2を適
切に選ぶことにより、モードm=1及びモードm=2の
不整磁場を打ち消して、撮影空間10の磁場を均一化し
ている。
【0166】本実施例の場合、モードm=1及びモード
m=2の2つのモードの不整磁場を打ち消すことができ
るので、モードm=1とモードm=2との組み合わせの
不整磁場を打ち消すことが可能となる。このため、実用
的には、図1の第1の実施例や図6の第2の実施例など
より複雑な構造の磁石装置での不整磁場の打ち消しに利
用することができる。
【0167】また、図12に示した第6の実施例では、
上下の磁極4a、4bにそれぞれ2個ずつの環状突起、
すなわち、大径環状突起60と、その内周に配置された
小径環状突起62を設置し、それぞれの環状突起60、
62の半径方向の断面積を異なるモードで変化させる場
合を示している。具体的には、図13において、外側の
大径環状突起60については、その半径方向の幅DL
式(7)の如く変化させ、内側の小径環状突起62につ
いては、その半径方向の幅DSを式(8)の如く変化さ
せている。
【0168】
【数7】DL = DL0+DA,1sin(φ) (7)
【0169】
【数8】DS = DS0+DB,2cos(2φ) (8) 環状突起60,62のそれぞれの幅DL、DSを式
(7)、(8)の如く変化させることにより、撮影空間
10に、外側の環状突起60はモードm=1の磁場成分
を、内側の環状突起62はモードm=2の磁場成分を、
それぞれ選択的に発生するため、振幅DA,1、DB,2を適
切に選択することにより、モードm=1及びm=2の不
整磁場を打ち消して、撮影空間10の磁場を均一にして
いる。
【0170】本実施例の場合、環状突起を磁極の内周部
と外周部に配置しているので、撮影空間10の半径方向
に幅のある領域を持った不整磁場を打ち消すことができ
るとともに、大径環状突起60と小径環状突起62とで
異なるモードを持つ不整磁場を打ち消すことができる。
【0171】また、大径環状突起60と小径環状突起6
2とでは、不整磁場を打ち消すために発生する磁場のモ
ードや位相をそれぞれ独立に変更することができるの
で、撮影空間の全領域にわたって数多く存在する不整磁
場などを打ち消すために有効である。この効果は、環状
突起の数を3個以上に増加することにより、増強される
とともに、補正の精度も向上する。
【0172】また、図14に示した第7の実施例では、
上下の環状突起64a、64bがそれぞれ幅Dの異なる
複数の環状突起ブロック66a、66b、66cなどで
構成されている。各環状突起ブロック66の外周面の半
径はほぼ同じで、内周面の半径はそれぞれの半径方向の
幅dに対応して異なっている。このため、各環状突起ブ
ロック66の内周面の半径方向の寸法を包絡線68の半
径方向の寸法で近似的に決めるようにしている。本実施
例では、各環状突起ブロック66の半径方向の幅dは、
その内周面の包絡線68と外周面との幅Dが円周方向に
関して周期的に変化するように決められている。この結
果、内周面の包絡線68の回転角度φにおける半径Rも
周期的に変化し、本実施例では式(9)の如く変化させ
ている。
【0173】
【数9】R = R0−RB,2cos(2φ) (9) ここで、R0は内周面の包絡線68の平均半径、RB,2
その半径変化の振幅である。
【0174】環状突起64a、64bの環状突起64
a、64bの内周面の包絡線68の半径Rを式(9)の
如く変化させることにより、環状突起64a、64bを
構成する環状突起ブロック66の幅Dが式(9)とほぼ
同じモードm=2で円周方向に沿って変化するため、環
状突起64a、64bはモードm=2の磁場成分をほぼ
選択的に発生し、式(9)の振幅RB,2を適切に選択す
ることにより、モードm=2の不整磁場を打ち消して、
撮影空間10の磁場を均一化している。
【0175】本実施例では、環状突起64a、64bを
構成する環状突起ブロック66の各々が異なる半径の内
周面を持つ場合について説明したが、本発明ではこれに
限定されず、環状突起ブロックの各々が、異なる半径の
外周面を持つ場合や異なる半径の内周面と外周面とを持
つ場合にも同様に適用される。
【0176】また、図15に示した第8の実施例では、
上下の環状突起72a、72bは、それぞれZ軸方向の
高さhの異なる複数の環状突起ブロック74a、74
b、74cなどで構成されている。各環状突起ブロック
74は、その幅がほぼ同じで、撮影空間10側の端面ま
での高さhがそれぞれ異なっている。このため、環状突
起72a、72bの端面を各環状突起ブロック74の端
面の包絡線76a、76bの寸法で近似的に決定するよ
うにしている。本実施例では、各環状突起ブロック74
の端面の高さを、その端面の包絡線76a、76bのZ
軸方向の高さHで代表し、その高さHが円周方向に関し
て周期的に変化するように決められている。この結果、
端面の包絡線76a、76bの回転角度φにおける高さ
Hは周期的に変化し、本実施例では式(10)の如く変
化させている。
【0177】
【数10】H = H0−HB,2cos(2φ) (10) ここで、H0は環状突起72a、72bの端面の包絡線
76a、76bの高さの平均値、HB,2はその高さ変化
の振幅である。
【0178】環状突起72a、72bの端面の包絡線7
6a、76bの高さHを式(10)の如く変化させるこ
とにより、環状突起72a、72bを構成する環状突起
ブロック74の高さhが式(10)とほぼ同じモードm
=2で円周方向に沿って変化するため、環状突起72
a、72bはモードm=2の磁場成分をほぼ選択的に発
生し、式(10)の振幅HA,2を適切に選択することに
より、モードm=2の不整磁場を打ち消して、撮影空間
10の磁場を均一にしている。
【0179】上記の第1〜第8の実施例の磁石装置で
は、支柱が1本の場合、または支柱が2本で対称位置に
配置されている場合など単純な構成となっているため、
これらの例で、撮影空間10に発生する不整磁場はモー
ドm=1またはm=2の低次のものが主なものであっ
た。これに対し、実際の磁石装置では、支柱が2本でも
非対称の位置に配置されたり、支柱が3本以上配置され
たりする。これらの場合には、モードm=1または2の
不整磁場の他にモードm=3以上の不整磁場が発生す
る。例えば、2本の強磁性体支柱を回転方向に120°
の間隔で配置した場合には、モードm=1、2以外に、
モードm=3の不整磁場が主に発生するとともに、更に
高次のモードの不整磁場が発生する。
【0180】このように撮影空間10に発生する不整磁
場のモードmが低次から高次にわたる場合には、それぞ
れのモードの不整磁場の値を求め、これらの不整磁場の
値に対応して、モードごとに環状突起の半径方向断面の
断面積(または磁性体の量)の周期的な変化を示す正弦
関数の数式を算出し、最後にモードごとの正弦関数の数
式を加算して、全体としての環状突起の断面積(または
磁性体の量)の周期的変化値を求めるものである。
【0181】上記の周期的変化値により断面積などの補
正をした環状突起では、それぞれのモード不整磁場を打
ち消すための磁場成分をモードごとに選択的に発生する
ため、モードごとに不整磁場が打ち消されることによ
り、全体として不整磁場が打ち消され、撮影空間10の
磁場が均一化される。
【0182】上記の実施例の説明において、環状突起の
周期的変形の形態に関して、座標系を導入して説明を行
ってきた。しかし、座標系は本来物理現象を説明するた
めの補助的な手段であり、この座標系の取り方の任意性
によって、本発明の内容が限定されることはない。本発
明の要点は、環状突起を円周方向に関して周期的に変形
させることであり、このことを理解しやすくするため
に、座標系を導入して説明してきたものであるというこ
とは、当業者であれば容易に理解できることであろう。
【0183】また、上記の静磁場発生源は、撮影空間1
0に静磁場を形成するために、何らかの起磁力源を備え
ている。この起磁力源としては、超電導コイルや常電導
コイルや永久磁石などを用いることができる。超電導コ
イルは、これを超電導状態まで冷却するのに冷却手段を
必要とするが、撮影空間に高磁場を発生することができ
るので、本発明の磁石装置に適用することにより、高解
像度で、歪みのない鮮明なMR画像を得ることができ
る。また、常電導コイルでは、発生する磁場は超電導コ
イルの場合より低くなるが、コイルの冷却が不要なため
に、装置の製造コスト及び維持費を低減することができ
る。また、永久磁石では、コイルを用いていないため
に、コイルの電源やコイルの付勢が不要となるため、装
置の保守管理が容易となり、装置の維持費を大幅に低減
することができる。
【0184】
【発明の効果】以上説明した如く、本発明の磁石装置に
よれば、撮影空間を挟んで対向して配置した磁極の対向
面側に環状突起を配置して、この環状突起の円周方向の
少なくとも一部の磁性体の量、または半径方向断面の断
面積、幅、高さなどを増減することによって、撮影空間
に発生する不整磁場を打ち消し、磁場の均一化を図って
いる。また、磁極などを支持するために、磁性体支柱を
用いる場合には、これによって発生する不整磁場を除去
するために、環状突起の支柱に対応する位置の磁性体の
量、または半径方向断面の断面積、幅、高さなどを増減
することによって、上記の不整磁場を打ち消し、撮影空
間の磁場を均一化している。
【0185】また、本発明の磁石装置によれば、環状突
起を半径方向に2個以上配置して、これらの環状突起の
円周方向の少なくとも一部の磁性体の量、または半径方
向断面の断面積、幅、高さなどを増減することによっ
て、撮影空間に発生する不整磁場を円周方向及び半径方
向にわたって、すなわち撮影空間のほぼ全領域にわたっ
て不整磁場を打ち消し、撮影空間の磁場を均一化してい
る。
【0186】また、本発明の磁石装置によれば、環状突
起を半径方向断面の断面積、または幅、または高さの異
なる複数の環状突起部材で構成することにより、一体で
環状突起を生成したものと同様に、撮影空間の不整磁場
を打ち消すことができるとともに、環状突起部材の加工
及びその組立が容易になるため、環状突起の製造コスト
を低減することができる。
【0187】また、本発明の磁石装置によれば、磁石装
置が起磁力源と、一対の対向配置された静磁場発生源が
撮影空間を挟んで対向して配置された一対の磁極と、磁
極の対向面側に配置された1個以上の環状突起とを備
え、この環状突起の半径方向断面の断面積、または幅、
または高さが、円周方向に関して周期的に変化している
ので、撮影空間に発生した不整磁場で、その磁場強度分
布が円周方向に関して周期的に変化するものを打ち消す
ことができ、その結果、撮影空間の磁場を均一化するこ
とができる。
【0188】また、本発明の磁石装置によれば、磁極の
対向面側に配置された1個以上の環状突起を備え、環状
突起が複数の環状突起部材から構成され、これらの環状
突起部材の半径方向断面の断面積、または幅、または高
さが、円周方向に関して周期的に変化しているので、撮
影空間の円周方向に関して磁場強度が周期的に変化して
いる不整磁場を打ち消すことができるとともに、分割し
た環状突起部材の加工及びその組立が容易になるため、
製造コストを低減することができる。
【0189】また、本発明の磁石装置によれば、磁極の
対向面側に配置された1個以上の環状突起を備え、環状
突起が複数の環状突起部材から構成され、これらの環状
突起部材の半径方向の内周面を結ぶ内面包絡線、または
半径方向の外周面を結ぶ外面包絡線、または撮影空間に
面する端面を結ぶ端面包絡線が、円周方向に関して周期
的に変化しているので、撮影空間の円周方向に関して磁
場強度が周期的に変化している不整磁場を打ち消すこと
ができるとともに、分割した環状突起部材の加工及びそ
の組立が容易になるため、製造コストを低減することが
できる。
【0190】また、本発明の磁石装置によれば、上記の
環状突起の半径方向断面の断面積、または幅、または高
さ、または包絡線が、円周方向に関して正弦関数的に変
化しているので、撮影空間の円周方向に沿って正弦関数
的に変化するような磁場強度分布を持つ不整磁場を打ち
消すことができ、撮影空間の磁場を均一化することがで
きる。
【0191】また、本発明の磁石装置によれば、上記の
環状突起の半径方向断面の断面積、または幅、または高
さ、または包絡線が、円周方向の1周に関して1以上の
整数であるモードmにより正弦関数的に変化しているの
で、撮影空間の円周方向に沿って、モードmの正弦関数
で変化するような磁場強度分布を持つ不整磁場を打ち消
すことができる。
【0192】また、本発明の磁石装置によれば、上記の
環状突起の半径方向断面の断面積、または幅、または高
さ、または包絡線が、円周方向の1周に関して2つ以上
の異なる1以上の整数であるモードmによる正弦関数の
重ね合わせにより変化しているので、撮影空間の円周方
向に沿って、複数のモードの正弦関数の重ね合わせで変
化するような磁場強度分布を持つ不整磁場を打ち消すこ
とができる。
【0193】また、本発明の磁石装置によれば、磁極の
対向面側に配置された少なくとも2つ以上の環状突起を
備え、これらの環状突起の半径方向断面の断面積、また
は幅、または高さ、または包絡線が、それぞれの円周方
向の1周に関して、1以上の異なる整数であるモード
m、nなどにより正弦関数的に変化しているので、撮影
空間のそれぞれの環状突起に対応する円周方向に沿っ
て、異なるモードの正弦関数の重ね合わせで変化するよ
うな半径方向にも分布した磁場強度分布を持つ不整磁場
を打ち消すことができる。
【0194】また、本発明の磁石装置によれば、撮影空
間を挟んで対向して配置された1対の静磁場発生源間、
または1対の磁極間を機械的に結合する磁性体または非
磁性体の支柱を備えているので、磁極間は大きな変形な
く支持され、撮影空間では大きい開放性が得られる。ま
た、上記の磁性体支柱、または非磁性体支柱の場合に
は、支柱状の磁性体を付加することにより、静磁場発生
源間または磁極間を磁性体で磁気的に接続して磁気回路
を形成しているので、装置の漏洩磁場を低減することが
できる。
【0195】また、本発明の磁石装置によれば、起磁力
源を超電導コイルとした場合には、撮影空間に高い磁場
強度で、均一な静磁場が得られるので、高解像度で鮮明
なMR画像が得られ、起磁力源を常電導コイルとした場
合には、コイルの冷却が不要となり、装置の製造コスト
及び維持費を低減することができ、また起磁力源を永久
磁石とした場合には、装置の保守が容易となり、装置の
維持費が大幅に低減される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る磁石装置の第1の実施例の全体構
造の斜視図である。
【図2】図1における上側の環状突起を撮影空間を含む
座標系と共に表した斜視図である。
【図3】MRI装置の磁石装置による不整磁場の発生を
説明するための図である。
【図4】図3の不整磁場を本発明の環状突起により打ち
消す場合を説明する平面図である。
【図5】図3、図4に示した不整磁場と環状突起との関
係を示す特性図である。
【図6】本発明に係る磁石装置の概略断面図である。
【図7】図6の装置による不整磁場の発生を説明するた
めの図である。
【図8】図6の装置に使用した環状突起の構造図であ
る。
【図9】本発明に係る磁石装置の第3の実施例の概略構
造図である。
【図10】本発明に係る磁石装置の第4の実施例の環状
突起の平面図である。
【図11】本発明に係る磁石装置の第5の実施例の環状
突起の平面図である。
【図12】本発明に係る磁石装置の第6の実施例の下側
の環状突起の斜視図である。
【図13】図12で使用した環状突起の平面図である。
【図14】本発明に係る磁石装置の第7の実施例の環状
突起の平面図である。
【図15】本発明に係る磁石装置の第8の実施例の概略
構造図である。
【図16】従来の磁石装置の概略断面図である。
【図17】図16の装置に使用されている環状突起の平
面図である。
【図18】本発明に係る磁石装置を用いたMRI装置の
説明図である。
【符号の説明】 1、28、44、70…磁石装置、2、2a、2b…静
磁場発生源、4、4a、4b、30a、30b…磁極、
6、6a、6b、20a、20b、34a、34b、4
6a、46b、52a、52b、54a、54b、64
a、64b、72a、72b…環状突起、7、47…半
径方向断面、8、8a、8b、12a、12b、48
a、48b…支柱(強磁性体支柱)、10…撮影空間
(均一磁場領域)、14a、14b、14c…磁場強度
の等高線、16…断層画像、22a、22b…幅を狭く
する領域、32…支柱(非磁性体支柱)、36a、36
b、36c、38a、38b…矢印、40a、40b…
領域、50a、50b…端面、55…後方領域、56…
前方領域、58a、58b…組合せ環状突起、60…大
径環状突起、62…小径環状突起、66、66a、66
b、66c、74、74a、7b、74c…環状突起ブ
ロック、68、76、76a、76b…包絡線、D、D
0、D1、D2、D3、D4、DL、DL1、DL2、
DL3、DL4、DS、DS1、DS2、DS3、DS
4…幅、d1、d3…補正磁場強度、F1、F3…高不
整磁場領域、f0…磁場基準値、f1、f3…不整磁場
強度、G1、G3…画像の歪み、S、S0、S1、S3
…断面積。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 和田山 芳英 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 竹島 弘隆 東京都千代田区内神田一丁目1番14号 株 式会社日立メディコ内 (72)発明者 八尾 武 東京都千代田区内神田一丁目1番14号 株 式会社日立メディコ内 (72)発明者 榊原 健二 東京都千代田区内神田一丁目1番14号 株 式会社日立メディコ内 Fターム(参考) 4C096 AA20 AB32 AD02 AD08 CA02 CA03 CA05 CA16 CA18 CA25 CA29 CA32

Claims (28)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】撮影空間を挟んで対向して配置された1対
    の磁極と、前記磁極と磁気的に連結され、前記磁極を通
    して前記撮影空間に静磁場を発生させる静磁場発生源
    と、前記磁極の対向面側に円環状に突出して配置された
    磁性体から成る環状突起と、前記磁極間を直接的または
    間接的に支持する少なくとも1本の支柱とを備えた磁石
    装置において、前記撮影空間の磁場を均一化するため
    に、前記環状突起の円周方向の少なくとも一部の磁性体
    の量を増減させることを特徴とする磁石装置。
  2. 【請求項2】撮影空間を挟んで対向して配置された1対
    の磁極と、前記磁極と磁気的に連結され、前記磁極を通
    して前記撮影空間に静磁場を発生させる静磁場発生源
    と、前記磁極の対向面側に円環状に突出して配置された
    磁性体から成る環状突起と、前記磁極間を直接的または
    間接的に支持する少なくとも1本の磁性体から成る支柱
    (以下、磁性体支柱という)とを備えた磁石装置におい
    て、前記磁性体支柱に起因して前記撮影空間に発生する
    不整磁場を除去し、前記撮影空間の磁場を均一化するた
    めに、前記環状突起の円周方向の少なくとも一部の磁性
    体の量を、前記不整磁場を打ち消すように増減させるこ
    とを特徴とする磁石装置。
  3. 【請求項3】請求項1または2記載の磁石装置において、
    前記撮影空間の磁場を均一化するために、前記環状突起
    の円周方向の少なくとも一部の半径方向断面における磁
    性体の量の少ない部分から磁性体の量の多い部分へ、ま
    たはその逆に、円周方向に沿って順次磁性体の量を増減
    させる磁石装置。
  4. 【請求項4】請求項1乃至3のいずれかに記載の磁石装置
    において、前記撮影空間の磁場を均一化するために、前
    記環状突起の円周方向の少なくとも一部の半径方向断面
    の断面積を円周方向に沿って順次増減させる磁石装置。
  5. 【請求項5】請求項1乃至4のいずれかに記載の磁石装置
    において、前記撮影空間の磁場を均一化するために、前
    記環状突起の円周方向の少なくとも一部の半径方向断面
    の半径方向幅寸法(以下、単に幅という)及びそれに直
    交する方向の高さ寸法(以下、単に高さという)のうち
    の少なくとも一方を円周方向に沿って順次増減させる磁
    石装置。
  6. 【請求項6】請求項1乃至5のいずれかに記載の磁石装置
    において、前記撮影空間の磁場を均一化するために、前
    記環状突起の内周側に外径の小さい環状突起を1個以
    上、ほぼ同心で配置した磁石装置。
  7. 【請求項7】請求項1乃至6のいずれかに記載の磁石装置
    において、前記撮影空間の磁場を均一化するために、前
    記環状突起の円周方向の少なくとも一部の前記撮影空間
    側の端面の高さを増減させて、波型形状を形成させた磁
    石装置。
  8. 【請求項8】請求項1乃至7のいずれかに記載の磁気磁石
    装置において、前記撮影空間の磁場を均一化するため
    に、前記環状突起の円周方向の少なくとも一部が、その
    半径方向断面の断面積、幅、及び高さのうちの少なくと
    も1つがそれぞれ異なる複数の環状突起部材にて構成さ
    れ、前記環状突起部材を円周方向に沿って、前記断面
    積、幅、または高さの小さいものから大きいものへ、ま
    たはその逆に順次配列し、半径方向の内周面、外周面、
    及び前記撮影空間側の端面のうちの少なくとも1つを階
    段状に形成する磁石装置。
  9. 【請求項9】請求項1乃至8のいずれかに記載の磁石装置
    において、前記静磁場発生源は、前記磁極の裏面側に、
    前記撮影空間を挟んで対向して、1対配置されている磁
    石装置。
  10. 【請求項10】対向して配置された1対の静磁場発生源
    が、それぞれ起磁力源と、撮影空間に面して配置された
    磁極を有し、前記磁極に前記撮影空間側に突出した1個
    以上の環状突起が配置された磁石装置において、前記撮
    影空間の磁場を均一化するために、前記環状突起の少な
    くとも1個の半径方向断面の断面積を、円周方向に関し
    て周期的に変化させることを特徴とする磁石装置。
  11. 【請求項11】対向して配置された1対の静磁場発生源
    が、それぞれ起磁力源と、撮影空間に面して配置された
    磁極を有し、前記磁極に前記撮影空間側に突出した1個
    以上の環状突起が配置され、前記環状突起の少なくとも
    1個が複数の環状突起部材から構成されている磁石装置
    において、前記複数の環状突起部材の半径方向断面の断
    面積を、円周方向に関して周期的に変化させることを特
    徴とする磁石装置。
  12. 【請求項12】対向して配置された1対の静磁場発生源
    が、それぞれ起磁力源と、撮影空間に面して配置された
    磁極を有し、前記磁極に前記撮影空間側に突出した1個
    以上の環状突起が配置された磁石装置において、前記撮
    影空間の磁場を均一化するために、前記環状突起の少な
    くとも1個の半径方向断面の幅を、円周方向に関して周
    期的に変化させることを特徴とする磁石装置。
  13. 【請求項13】対向して配置された1対の静磁場発生源
    が、それぞれ起磁力源と、撮影空間に面して配置された
    磁極を有し、前記磁極に前記撮影空間側に突出した1個
    以上の環状突起が配置され、前記環状突起の少なくとも
    1個が複数の環状突起部材から構成されている磁石装置
    において、前記複数の環状突起部材の半径方向断面の幅
    を、円周方向に関して周期的に変化させることを特徴と
    する磁石装置。
  14. 【請求項14】対向して配置された1対の静磁場発生源
    が、それぞれ起磁力源と、撮影空間に面して配置された
    磁極を有し、前記磁極に前記撮影空間側に突出した1個
    以上の環状突起が配置された磁石装置において、前記撮
    影空間の磁場を均一化するために、前記環状突起の少な
    くとも1個の半径方向断面の高さを、円周方向に関して
    周期的に変化させることを特徴とする磁石装置。
  15. 【請求項15】対向して配置された1対の静磁場発生源
    が、それぞれ起磁力源と、撮影空間に面して配置された
    磁極を有し、前記磁極に前記撮影空間側に突出した1個
    以上の環状突起が配置され、前記環状突起の少なくとも
    1個が複数の環状突起部材から構成されている磁石装置
    において、前記複数の環状突起部材の半径方向断面の高
    さを、円周方向に関して周期的に変化させることを特徴
    とする磁石装置。
  16. 【請求項16】対向して配置された1対の静磁場発生源
    が、それぞれ起磁力源と、撮影空間に面して配置された
    磁極を有し、前記磁極に前記撮影空間側に突出した1個
    以上の環状突起が配置され、前記環状突起の少なくとも
    1個が複数の環状突起部材から構成されている磁石装置
    において、前記複数の環状突起部材の半径方向の内周面
    を結ぶ内面包絡線及び半径方向の外周面を結ぶ外面包絡
    線のうちの少なくとも一方の包絡線を、円周方向に関し
    て周期的に変化させることを特徴とする磁石装置。
  17. 【請求項17】対向して配置された1対の静磁場発生源
    は、それぞれ起磁力源と、撮影空間に面して配置された
    磁極を有し、前記磁極に前記撮影空間側に突出した1個
    以上の環状突起が配置され、前記環状突起の少なくとも
    1個が複数の環状突起部材から構成されている磁石装置
    において、前記複数の環状突起部材の前記撮影空間に面
    する端面を結ぶ包絡線を、円周方向に関して周期的に変
    化させることを特徴とする磁石装置。
  18. 【請求項18】請求項11、13、15乃至17のいずれかに記
    載の磁石装置において、前記環状突起が60個以内の環
    状突起部材で構成されている磁石装置。
  19. 【請求項19】請求項10乃至18のいずれかに記載の磁石
    装置において、前記環状突起の前記断面積、または前記
    幅、または前記高さ、または前記包絡線が、円周方向に
    関して正弦関数的に変化している磁石装置。
  20. 【請求項20】請求項10乃至18記載の磁石装置におい
    て、前記環状突起の前記断面積、または前記幅、または
    前記高さ、または前記包絡線が、円周方向の1周に関し
    て、1以上の整数であるモードmにより正弦関数的に変
    化している磁石装置。
  21. 【請求項21】請求項10乃至18のいずれかに記載の磁石
    装置において、前記環状突起の前記断面積、または前記
    幅、または前記高さ、または前記包絡線が、円周方向の
    1周に関して、2つ以上の異なる1以上の整数であるモー
    ドmによる正弦関数の重ね合わせにより変化している磁
    石装置。
  22. 【請求項22】請求項10乃至18のいずれかに記載の磁石
    装置において、少なくとも2つ以上の前記環状突起の前
    記断面積、または前記幅、または前記高さ、または前記
    包絡線が、それぞれ円周方向の1周に関して、1以上の
    異なる整数であるモードm、nなどにより、正弦関数的に
    変化している磁石装置。
  23. 【請求項23】請求項10乃至22のいずれかに記載の磁石
    装置において、前記1対の静磁場発生源間または前記1対
    の磁極間を機械的に結合する少なくとも1本の支柱が存
    在する磁石装置。
  24. 【請求項24】請求項23記載の磁石装置において、前記
    支柱が強磁性体にて構成されている磁石装置。
  25. 【請求項25】請求項10乃至24のいずれかに記載の磁石
    装置において、前記1対の静磁場発生源間または前記1対
    の磁極間を磁気的に結合して磁気回路を形成する少なく
    とも1個の支柱状の強磁性体が存在する磁石装置。
  26. 【請求項26】請求項10乃至25のいずれかに記載の磁石
    装置において、前記起磁力源が超電導コイルである磁石
    装置。
  27. 【請求項27】請求項10乃至25のいずれかに記載の磁石
    装置において、前記起磁力源が常電導コイルである磁石
    装置。
  28. 【請求項28】請求項10乃至25のいずれかに記載の磁石
    装置において、前記起磁力源が永久磁石である磁石装
    置。
JP2002069952A 2002-03-14 2002-03-14 磁気共鳴イメージング装置用磁石装置 Pending JP2003265435A (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002069952A JP2003265435A (ja) 2002-03-14 2002-03-14 磁気共鳴イメージング装置用磁石装置
PCT/JP2003/002951 WO2003075757A1 (fr) 2002-03-14 2003-03-12 Dispositif a aimant et imagerie par resonance magnetique utilisant ledit dispositif

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002069952A JP2003265435A (ja) 2002-03-14 2002-03-14 磁気共鳴イメージング装置用磁石装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003265435A true JP2003265435A (ja) 2003-09-24

Family

ID=29200656

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002069952A Pending JP2003265435A (ja) 2002-03-14 2002-03-14 磁気共鳴イメージング装置用磁石装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003265435A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004317486A (ja) * 2003-03-31 2004-11-11 Denso Corp 回転角度検出装置

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004317486A (ja) * 2003-03-31 2004-11-11 Denso Corp 回転角度検出装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3499973B2 (ja) 核スピン断層撮影装置用のアクティブシールド付きトランスバーサル勾配コイル装置
CN102150222B (zh) 用于限定用于成像体积的磁场的磁组件和方法
US8638101B2 (en) Method and apparatus for compensating insufficient homogeneity of the basic magnetic field in a magnetic resonance apparatus
WO2009136642A1 (ja) 磁場均一度調整用ソフトウェア、磁場均一度調整方法、磁石装置及び磁気共鳴撮像装置
JP3728199B2 (ja) 磁気共鳴イメージング装置
JPH11267112A (ja) 磁気共鳴像形成システム用グラジエントコイルアセンブリ
JPS62252110A (ja) 核磁気共鳴ct設備の磁石システム用枠構造
JP2006043426A (ja) 磁気共鳴撮像装置及びその磁石装置
JP2002034947A (ja) マグネット装置、および、これを用いたmri装置
JP4040334B2 (ja) 磁気共鳴イメージング装置
JP2003265435A (ja) 磁気共鳴イメージング装置用磁石装置
JPH11276457A (ja) 磁気共鳴像形成システム用グラジエントコイルアセンブリ
JP6259303B2 (ja) 磁石装置および磁気共鳴撮像装置
JPS5960346A (ja) 磁気共鳴イメージング装置用傾斜磁場コイルユニット
JP3980105B2 (ja) 静磁場発生装置及び磁気共鳴イメージング装置
US20180275238A1 (en) Reduction of artifacts in magnetic resonance imaging
US11243287B2 (en) Real-time compensation of high-order concomitant magnetic fields
US7358726B2 (en) System of generating a magnetic field and MRI system using the system of generating a magnetic field
JP2004358238A (ja) 磁気共鳴イメージングにおける傾斜補償のためのシステム及び方法
JPH01164356A (ja) 均一磁界の発生装置
JP4293686B2 (ja) 静磁場発生装置及びそれを用いた磁気共鳴イメージング装置
JPH0686770A (ja) 磁気共鳴イメージング装置
JP4749699B2 (ja) 磁気共鳴イメージング装置
JPS61148358A (ja) 磁気共鳴イメ−ジング装置
JPH0422337A (ja) 磁界発生装置

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20061031

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20061218

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20061218

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20070206