JP2003261055A - 車両の操舵装置 - Google Patents

車両の操舵装置

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JP2003261055A
JP2003261055A JP2002066248A JP2002066248A JP2003261055A JP 2003261055 A JP2003261055 A JP 2003261055A JP 2002066248 A JP2002066248 A JP 2002066248A JP 2002066248 A JP2002066248 A JP 2002066248A JP 2003261055 A JP2003261055 A JP 2003261055A
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steering
hydraulic
force
pressure
input
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JP2002066248A
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Hiroshi Isono
宏 磯野
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 車両の操舵装置において、車両の搭載性を良
好にするとともに、冗長度を高くする。 【解決手段】 操舵ハンドル13の回転操作は、回転力
−推進力変換機構10aによりスクリューロッド11の
推進力に変換される。この推進力は、推進力−流体圧変
換機構10bにより油圧に変換されて出力される。この
油圧は、流体圧−推進力変換機構20aによりピストン
ロッド22の推進力に変換される。この推進力は、推進
力−回転力変換機構20bにより回転力に変換される。
この回転力によってピニオンギヤ42が回転し、ラック
軸43の左右への変位により左右前輪44a,44bが
転舵される。また、操舵ハンドル13は、コイルスプリ
ング19a,19bによる操舵反力と共に、電動モータ
66による操舵反力も付与される。左右前輪44a,4
4bは、電動モータ67によっても転舵される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、運転者による操舵
操作を流体を介して伝達して転舵輪を転舵する車両の操
舵装置に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の装置としては、例えば特開20
00−95133号公報に、左右前輪位置に横方向に延
設された油圧シリンダと、油圧シリンダ内を液密的に軸
線方向に変位して、その両端に接続した転舵輪を転舵す
るピストンロッドとを備えた車両の操舵装置が示されて
いる。油圧シリンダは、第1〜第4油室に液密的に仕切
られ、正常運転時には、操舵ハンドルの回転操作に応じ
て、第1および第2油室に対する作動油の給排を電気的
に制御して、転舵輪を操舵ハンドルの回転に応じて転舵
するようにしている。一方、電気系統に異常が発生した
非常運転時には、上端にて操舵ハンドルに接続された操
舵軸の下端に組み付けられていて、操舵ハンドルの回転
に応じた差圧をもつ作動油圧を発生するピストン−シリ
ンダ装置の2油室を油圧シリンダの第3および第4油室
に直結して、操舵ハンドルの回転に応じて転舵輪を転舵
する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の装
置にあっては、軸線方向に4室に仕切られた油圧シリン
ダは転舵輪間にて左右に延設されているので、車両の搭
載性が悪いという問題があった。
【0004】
【発明の概要】本発明は、上記した問題に対処するため
になされたもので、その目的は、車両の搭載性を良好に
した車両の操舵装置を提供することにある。
【0005】上記目的を達成するために、本発明の特徴
は、両端にて転舵輪を接続してなり軸線方向の変位に応
じて転舵輪を左右に転舵するラック軸と、ラック軸と噛
み合って軸線回りの回転によりラック軸を軸線方向に変
位させるピニオンギヤとを備えた車両の操舵装置におい
て、運転者によって入力された操舵力を流体圧に変換す
る入力手段と、前記変換された流体圧を回転力に変換し
て同変換した回転力によりピニオンギヤを軸線回りに回
転させる出力手段とを設けたことにある。
【0006】前記のように構成した本発明においては、
出力手段がラック軸と別体に設けられており、出力手段
が入力手段にて変換された流体に基づいてピニオンギヤ
を回転させることにより、ラック軸を軸線方向に変位さ
せて転舵輪を左右に転舵する。したがって、転舵輪を両
端に接続したラック軸の外周上には同ラック軸を駆動す
るための油圧シリンダのような駆動装置を設ける必要が
なくなり、この操舵装置の車両搭載の自由度が向上す
る。
【0007】また、本発明の他の特徴は、入力手段に流
体圧を供給することにより運転者によって入力される操
舵力に対する反力を付与する操舵反力付与手段を設けた
ことにある。
【0008】これにより、運転者の操舵に対する反力を
得るためだけならば、反力発生装置として電動モータの
ような電気的駆動手段が必須とされないので、コストの
低減を図ることができる。一方、前記電気的駆動手段を
設けたとしても、流体圧による反力と電気的駆動手段に
よる反力の両方を利用できるので、電気的駆動手段とし
て最大出力の小さな小型のものを用いることができ、コ
スト低減につながる。また、前記電気的駆動手段が作動
不能であっても、流体圧による反力をそのフェールセー
フとして利用できて、システムの冗長度が向上する。
【0009】また、本発明の他の特徴は、前記入力手段
を、運転者によって操作される操作部に入力された回転
力を軸線方向に変位可能な入力側作動部材の推進力に変
換する回転力−推進力変換機構と、入力側作動部材の推
進力を流体圧に変換するとともに入力側作動部材の軸線
方向の変位を所定範囲内に制限する構造を有する推進力
−流体圧変換機構と、推進力−流体圧変換機構に組み付
けられて入力側作動部材および入力手段の操作部を中立
位置に付勢する中立付勢機構とで構成したことにある。
【0010】前記のように構成した本発明の他の特徴に
おいては、入力側作動部材の軸線方向の変位が推進力―
流体圧力変換機構によって制限され、また入力側作動部
材は中立付勢機構によって中立位置に付勢される。した
がって、この本発明の他の特徴によれば、ステアバイワ
イヤ方式(入力手段の操作部と転舵輪が機械的に連結さ
れていない方式)であり、かつ操作部が一回転以上する
操舵装置においても、操作部の回転規制および運転者が
手を放したときの中立位置への復帰が簡単な構成で実現
できる。
【0011】また、本発明の他の特徴は、入力手段と出
力手段との間に設けられて入力手段から出力手段への流
体圧の伝達を選択的に遮断する遮断弁と、入力手段にて
変換された流体圧とは独立してピニオンギヤを軸線回り
に回転駆動する回転駆動手段とを設けたことにある。
【0012】前記のように構成した本発明の他の特徴に
おいては、入力手段にて変換された流体圧を用いた出力
手段によるピニオンギヤの回転に加えて、回転駆動手段
によるピニオンギヤの回転駆動が可能になるので、転舵
輪の転舵制御がより良好に行なわれるようになる。ま
た、流体系の異常発生時には、遮断弁を制御して入力手
段から出力手段への流体圧の伝達を遮断した状態で、回
転駆動手段を作動させることにより転舵輪の転舵も可能
となる。このように、遮断弁および回転駆動手段を設け
たことにより、操舵装置の冗長度が向上する。
【0013】また、本発明の他の特徴は、前記出力手段
を、前記入力手段によって変換された流体圧を軸線方向
に変位可能な出力側作動部材の推進力に変換する流体圧
−推進力変換機構と、流体圧−推進力変換機構によって
変換された推進力を回転力に変換して前記ピニオン軸に
伝達する推進力―回転力変換機構と、回転駆動手段によ
るピニオンギヤの回転駆動時に、流体圧−推進力変換機
構にて発生されて出力側作動部材の変位に対抗する反力
を選択的に解除する反力解除手段とで構成したことにあ
る。
【0014】これにより、反力解除手段を制御して出力
側作動部材の変位に対抗する反力を解除しておけば、回
転駆動手段は、転舵輪を簡単かつ自由に転舵させること
ができる。
【0015】また、本発明の他の特徴は、前記流体圧−
推進力変換機構における流体圧を検出する圧力検出手段
を設けたことにある。
【0016】前記のように構成した本発明の他の特徴に
おいては、遮断弁を閉じ、かつ反力解除手段が出力側作
動部材の変位に対抗する反力を解除しない状態で、回転
駆動手段によりピニオンギヤを回転駆動すれば、推進力
−回転力変換機構内の流体圧が変化する。この流体圧の
変化を圧力検出手段により検出するようにすれば、転舵
輪を転舵しない状態で、出力手段の流体系の異常判定を
行なうことができる。
【0017】
【発明の実施の形態】a.第1実施形態 以下、本発明の第1実施形態に係る車両の操舵装置を図
面を用いて説明する。図1は、車両の操舵装置を概略的
に示している。この操舵装置は、運転者によって入力さ
れた操舵力を流体圧に変換する入力部10と、前記変換
された流体圧を回転力に変換して同変換した回転力を出
力する出力部20と、入力部10から出力部20に流体
圧を伝達する流体圧伝達部30とを備えている。
【0018】入力部10は、回転力−推進力変換機構1
0aおよび推進力−流体圧変換機構10bを備えてい
る。回転力−推進力変換機構10aは、図示しない支持
部材に軸線方向に変位可能かつ軸線回りに回転不能に支
持されたスクリューロッド11と、同スクリューロッド
11の外周面上に図示しないボールを介して螺合したナ
ット12とからなり、ナット12の回転によりスクリュ
ーロッド11を軸線方向に推進するボールネジ機構によ
って構成されている。なお、このボールネジ機構の逆効
率は、高く設定されている。ナット12は、運転者によ
って回転操作される操舵ハンドル13に上端にて一体回
転するように接続された円筒状の回転シャフト14の下
端部内周面上に回転不能に固定されている。
【0019】推進力−流体圧変換機構10bは、油圧シ
リンダ15と、同油圧シリンダ15内に液密的かつ軸線
方向に変位可能に収容されたピストンロッド16および
ピストン17とからなり、ピストンロッド16の軸線方
向の推進力を油圧に変換する。ピストンロッド16は、
入力側作動部材を構成するもので、スクリューロッド1
1の下端に一体的に形成されている。ピストン17は、
その軸線両方向への変位に対して同一受圧面積を有す
る。油圧シリンダ15は、ピストン17によって2つの
油室15a,15bに区画されていて、その軸線方向の
両端部にて各油室15a,15bにそれぞれ連通するポ
ート15c,15dを有するとともに、その軸線方向の
中央部にて各油室15a,15bにそれぞれ連通するポ
ート15e、15fを有する。
【0020】ポート15c,15dは、ピストンロッド
16の軸線方向の変位によって流体圧伝達部30を構成
する各油路31,32に作動油を流出する。ポート15
e,15fは、ピストン17の中立位置からの変位時に
背面室における負圧の発生を防止するもので、共通にリ
ザーバ18に連通している。これらのポート15e,1
5fは、一方のポート15c(または15d)を介した
一方の油室15a(または15b)からの作動油の流出
時に、呼吸作用によりリザーバ18から作動油を他方の
油室15b(または15a)に供給する。
【0021】また、油圧シリンダ15の各油室15a,
15bには、拘束荷重を付与するために初期圧縮された
状態のコイルスプリング19a,19bがそれぞれ収容
されている。コイルスプリング19a、19bは、ピス
トンロッド16およびピストン17を中立位置に常に付
勢していて、ピストンロッド16およびピストン17に
それらが中立位置から離れるに従って大きくなる中立復
帰力を付与する。したがって、コイルスプリング19
a,19bは、中立位置復帰機能および操舵反力付与機
能を備えている。また、油圧シリンダ15の両内側底壁
は、ピストン17の軸線方向の変位を所定範囲内に制限
しており、ピストンロッド16の中立位置からの変位量
を所定範囲内に制限する制限機能を有する。
【0022】出力部20は、流体圧―推進力変換機構2
0aおよび推進力−回転力変換機構20bを備えてい
る。流体圧−推進力変換機構20aは、油圧シリンダ2
1と、同油圧シリンダ21内に液密的かつ軸線方向に変
位可能に収容されたピストンロッド22およびピストン
23とからなり、供給された油圧をピストンロッド22
の軸線方向の推進力に変換する。油圧シリンダ21は、
ピストン23によって2つの油室21a,21bに区画
されていて、その軸線方向の両端部にて各油室21a,
21bにそれぞれ連通するポート21c、21d、21
e,21fを有する。ポート21c,21dは、流体圧
伝達部30を構成する油路31,32にそれぞれ連通し
ている。ポート21e、21fは、連通制御バルブ2
4,25を介して、油路31,32にそれぞれ連通して
いる。
【0023】連通制御バルブ24,25は、電磁切換え
バルブで構成されていて、非通電状態で図示閉状態に保
たれ、通電状態にて開状態に切換えられる。ピストンロ
ッド22は、出力側作動部材を構成するもので、油圧シ
リンダ21の各油室21a,21bに対する作動油の給
排により軸線方向に変位する。ピストン23は、その軸
線両方向への変位に対して同一受圧面積を有する。ま
た、本実施形態においては、ピストン23の受圧面積
は、推進力−流体圧変換機構10bのピストン17の受
圧面積に等しい。
【0024】また、油圧シリンダ21の各油室21a,
21bには、拘束荷重を付与するために初期圧縮された
状態のコイルスプリング26a,26bがそれぞれ収容
されている。コイルスプリング26a、26bは、ピス
トンロッド22およびピストン23を中立位置に常に付
勢していて、ピストンロッド22およびピストン23に
それらが中立位置から離れるに従って大きくなる中立復
帰力を付与する。したがって、コイルスプリング26
a,26bは、中立位置復帰機能を備えている。また、
油圧シリンダ21の両内側底壁は、ピストン23の軸線
方向の変位を所定範囲内に制限して、ピストンロッド2
2の中立位置からの変位量を所定範囲内に制限する制限
機能を有する。
【0025】推進力−回転力変換機構20bは、図示し
ない支持部材に軸線方向に変位可能かつ軸線回りに回転
不能に支持されたスクリューロッド27と、同スクリュ
ーロッド27の外周面上に図示しないボールを介して螺
合したナット28とからなり、スクリューロッド27の
軸線方向の変位によりナット28に軸線回りの回転力を
与えるボールネジ機構によって構成されている。なお、
このボールネジ機構の逆効率は、高く設定されている。
スクリューロッド27は、ピストンロッド22の下端に
一体的に形成されている。ナット28は、円筒状の回転
シャフト29の上端部内周面上に回転不能に固定されて
いる。
【0026】回転シャフト29は、連結シャフト41を
介してピニオンギヤ42と一体的に形成され、ピニオン
ギヤ42と一体回転する。ピニオンギヤ42は、ラック
軸43のラック歯と噛み合っている。ラック軸43は、
その両端にて図示しないタイロッドおよびナックルアー
ムを介して転舵輪としての左右前輪44a、44bを転
舵可能に連結しており、軸線方向の変位により左右前輪
44a,44bを転舵する。
【0027】流体圧伝達部30は、前述したように、入
力部10の油圧シリンダ15と出力部20の油圧シリン
ダ21との間に設けた油路31,32を備えている。油
路31,32には、入力遮断制御バルブ33,34がそ
れぞれ介装されている。入力遮断制御バルブ33,34
は、電磁切換えバルブで構成されていて、非通電状態で
図示開状態に保たれ、通電状態にて閉状態に切換えられ
る。
【0028】また、流体圧伝達部30の油路31,32
間には、操舵シミュレータ部50が介装されている。操
舵シミュレータ部50は、油圧シリンダ51およびシミ
ュレータカットバルブ52,53からなる。油圧シリン
ダ51は、軸線方向に液密的に摺動可能なピストン54
を収容し、同ピストン54によって区画された2つの油
室51a,51bに連通するポート51c,51dを備
えている。油圧シリンダ51の各油室51a、51bに
は、拘束荷重を付与するために初期圧縮された状態のコ
イルスプリング55a,55bがそれぞれ収容されてい
る。コイルスプリング55a、55bは、ピストン54
を中立位置に常に付勢していて、ピストン54が中立位
置から離れるに従って大きくなる中立復帰力をピストン
54に付与する。
【0029】シミュレータカットバルブ52は、油路3
1と油圧シリンダ51のポート51cとの間に介装され
ている。シミュレータカットバルブ53は、油路32と
油圧シリンダ51のポート51dとの間に介装されてい
る。シミュレータカットバルブ52,53は、共に電磁
切換えバルブで構成されていて、非通電状態で図示閉状
態に保たれ、通電状態にて開状態に切換えられる。
【0030】次に、この操舵装置の電気制御装置部につ
いて説明する。電気制御装置部は、油圧センサ61a,
61b,61c,61d、操舵角センサ62、操舵トル
クセンサ63、転舵角センサ64および車速センサ65
を備えている。油圧センサ61aは、油圧シリンダ15
と入力遮断制御バルブ33との間の油路31の油圧を検
出する。油圧センサ61bは、油圧シリンダ15と入力
遮断制御バルブ34との間の油路32の油圧を検出す
る。油圧センサ61cは、入力遮断制御バルブ33と油
圧シリンダ21との間の油路31の油圧を検出する。油
圧センサ61dは、入力遮断制御バルブ34と油圧シリ
ンダ21との間の油路32の油圧を検出する。
【0031】操舵角センサ62は、回転シャフト14に
組み付けられ、操舵ハンドル13による操舵角を検出す
る。操舵トルクセンサ63も、回転シャフト14に組み
付けられ、操舵ハンドル13に付与される操舵トルクを
検出する。この場合、検出した操舵角は、操舵ハンドル
13の中立位置からの回転角の大きさをその絶対値で表
し、中立位置からの回転方向を正負の符号で表す。ま
た、操舵トルクは、操舵ハンドル13に付与されるトル
クの大きさをその絶対値で表し、同トルクの方向をその
正負の符号で表す。転舵角センサ64は、連結シャフト
41の中立位置からの回転角またはラック軸43の中立
位置からの軸線方向への変位量により、左右前輪44
a,44bの実転舵角を検出する。この実転舵角も、左
右前輪44a,44bの転舵角の大きさをその絶対値で
表し、中立位置からの転舵方向を正負の符号で表す。車
速センサ65は、車両の走行速度を検出する。
【0032】また、電気制御装置部は、電動モータ6
6,67も備えている。電動モータ66は、操舵ハンド
ル13の回動操作に対する反力を付与する操舵反力アク
チュエータとして機能するもので、回転力を小ギヤ66
aおよび大ギヤ68を介して回転シャフト14に伝達す
る。小ギヤ66aは電動モータ66の回転軸に一体的に
形成され、回転シャフト14に固定された大ギヤ68に
噛み合っている。電動モータ67は、その回転力により
左右前輪44a,44bを転舵する転舵アクチュエータ
として機能するもので、回転力を小ギヤ67aおよび大
ギヤ69を介して連結シャフト41に伝達する。小ギヤ
67aは電動モータ67の回転軸に一体的に形成され、
連結シャフト41に固定された大ギヤ69に噛み合って
いる。
【0033】これらの各種センサ61a,61b,61
c,61d,62,63,64,65、電動モータ6
6,67および各種バルブ24,25,33,34,5
2,53は、電子制御回路70に接続されている。電子
制御回路70は、マイクロコンピュータを主要部品とす
るもので、プログラムの実行により、各種センサ61
a,61b,61c,61d,62,63,64,65
からの信号を入力するとともに、電動モータ66,67
および各種バルブ24,25,33,34,52,53
を駆動および切換え制御する。
【0034】次に、上記のように構成した第1実施形態
の動作を説明する。まず、左右前輪44a,44bを電
気的に転舵制御、すなわちステアバイワイヤ方式によっ
て転舵制御する第1転舵モードについて説明しておく。
なお、この第1転舵モードは、少なくとも電気制御装置
部に異常が発生していない場合に左右前輪44a、44
bを転舵するモードであり、油圧系を含む車両の操舵装
置全体が正常な場合に左右前輪44a、44bを転舵す
るモードである。
【0035】第1転舵モードにおいては、電子制御回路
70は、入力遮断制御バルブ33、34に通電して、こ
れらのバルブ33,34をそれぞれ閉状態に設定する。
これと同時に、電子制御回路70は、連通制御バルブ2
4,25およびシミュレータカットバルブ52,53に
通電して、これらのバルブ24,25,52,53をそ
れぞれ開状態に設定する。
【0036】この状態で運転者が操舵ハンドル13を回
転操作すると、この回転は回転シャフト14を介してナ
ット12に伝達され、同ナット12が軸線回りに回転す
る。このナット12の回転により、スクリューロッド1
1およびピストンロッド16は、コイルスプリング19
a,19bの反発力に抗して軸線方向に前進または後退
する。例えば、操舵ハンドル13が右方向に回転された
とき、ピストンロッド16はコイルスプリング19aの
反発力に抗して前進(図示左方向に移動)する。逆に、
操舵ハンドル13が左方向に回転されたとき、ピストン
ロッド16はコイルスプリング19bの反発力に抗して
後退(図示右方向に移動)する。
【0037】このとき、ピストンロッド16の前進によ
り、油室15a内の作動油はシミュレータカットバルブ
52を介して油圧シリンダ51の油室51a内に流入す
る。これにより、ピストン54はコイルスプリング55
bの反発力に抗して図示下方へ変位し、油室51b内の
作動油は、シミュレータカットバルブ53を介して油圧
シリンダ15の油室15b内に流入する。また、ピスト
ンロッド16の後退により、油室15b内の作動油はシ
ミュレータカットバルブ53を介して油圧シリンダ51
の油室51b内に流入する。これにより、ピストン54
はコイルスプリング55aの反発力に抗して図示上方へ
変位し、油室51a内の作動油は、シミュレータカット
バルブ52を介して油圧シリンダ15の油室15a内に
流入する。なお、油圧シリンダ15の油室15a、15
bに油圧シリンダ51から流入する作動油の過不足は、
ポート15e,15fを介したリザーバ18内の作動油
で賄われる。
【0038】このようなスプリング19a,19b,5
5a,55bの反発力により、前記操舵ハンドル13の
回動操作には反力が付与される。この反力は、ピストン
17およびピストン54の中立位置からの変位量が大き
くなるに従って大きくなるので、操舵ハンドル13の回
転操作に対しては、その回転角が大きくなるに従って大
きな操舵反力が付与される。
【0039】また、この操舵ハンドル13に付与される
操舵反力は、電動モータ66の回転力によって電気的に
補正される。電動モータ66の回転力は小ギヤ66a、
大ギヤ68および回転シャフト14を介して操舵ハンド
ル13に伝達されるので、運転者の回転方向と反対方向
の電動モータ66による回転力が操舵ハンドル13に付
与されるように、電子制御回路70が電動モータ66を
回転制御すれば、操舵反力は増加制御される。逆に、運
転者の回転方向と同一方向の電動モータ66による回転
力が操舵ハンドル13に付与されるように、電子制御回
路70が電動モータ66を回転制御すれば、操舵反力は
減少制御される。なお、この電動モータ66の回転方向
および回転力(発生トルク)の制御においては、操舵ト
ルクセンサ63によって検出される操舵トルクをフィー
ドバックする。
【0040】具体的には、低速走行かつ大舵角操舵時に
操舵反力を減少させて車両の旋回性能を向上させるとと
もに、高速走行かつ直進走行時に操舵反力を増加させて
車両の走行安定性を向上させる。前者においては、車速
センサ65によって検出された車速が所定の低車速以
下、かつ操舵角センサ62によって検出された操舵角が
所定の大舵角以上であるとき、運転者によって付与され
る操舵トルクと同一方向の回転力が電動モータ66から
回転シャフト14に付与されるようにする。また、後者
においては、車速センサ65によって検出された車速が
所定の高車速以上、かつ操舵角センサ62によって検出
された操舵角が所定の小舵角以下であるとき、運転者に
よって付与される操舵トルクと反対方向の回転力が電動
モータ66から回転シャフト14に付与されるようにす
る。
【0041】さらに、図示しないスポーツモードスイッ
チの操作により、運転者によって車両のスポーツモード
が選択されているとき、操舵反力を増加制御するように
してもよい。この場合も、運転者によって付与される操
舵トルクと反対方向の回転力が電動モータ66から回転
シャフト14に付与されるようにすればよい。また、後
述する油圧シリンダ15,51を含む入力油圧系の故障
により、油圧によって十分な操舵反力が得られない場合
にも、電動モータ66による操舵反力を操舵ハンドル1
3の回転操作に対して付与するようにするとよい。
【0042】なお、前記のような操舵反力の付与制御に
おいては、操舵角センサ62によって検出された操舵角
の絶対値が予め定めた小さな所定値以上または操舵トル
クセンサ63によって検出された操舵トルクが予め定め
た小さな所定値以上であるときのみに、電動モータ66
を作動させて操舵ハンドル13に操舵反力を付与するよ
うにするとよい。これにより、操舵ハンドル13が中立
位置付近にある状態で、操舵ハンドル13に操舵反力を
付与することにより、運転者によって操舵ハンドル13
に加えられる操舵力との関係で生じる操舵反力の付与制
御におけるハンチングを回避することができる。
【0043】このような電動モータ66による操舵反力
の制御により、運転者による操舵ハンドル13の回転操
作に対して、車両の走行状態に応じた適切な操舵反力の
制御が可能になる。このような運転者による操舵ハンド
ル13の回転操作により、電子制御回路70の制御のも
とに、左右前輪44a,44bは操舵ハンドル13の回
転操作に応じて転舵される。具体的には、電子制御回路
70は、操舵角センサ62によって検出された操舵角お
よび転舵角センサ64によって検出された実転舵角を入
力する。そして、検出操舵角に応じて目標転舵角を決定
するとともに、左右前輪44a,44bの実転舵角が目
標転舵角になるように、電動モータ67を回転制御す
る。
【0044】電動モータ67の回転は、小ギヤ67a、
大ギヤ68および連結シャフト41を介して、ピニオン
ギヤ42に伝達される。このピニオンギヤ42への回転
の伝達により、ラック軸43が左右に変位し、同ラック
軸43の変位に応じて左右前輪44a,44bが転舵さ
れる。その結果、左右前輪44a,44bは目標転舵
角、すなわち操舵ハンドル13の回転操作に応じて転舵
される。
【0045】なお、この場合、連結シャフト41に一体
的に接続された回転シャフト29も回転するとともに、
同回転シャフト29の回転に連動してナット28も回転
して、スクリューロッド27は軸線方向に変位する。そ
して、スクリューロッド27に一体的に接続されたピス
トンロッド22および同ピストンロッド22に固定され
たピストン23も軸線方向に変位する。この場合、前述
のように、連通制御バルブ24、25は共に開状態にあ
って、油圧シリンダ21の両油室間は連通しているの
で、ピストンロッド22およびピストン23は軸線方向
に変位可能である。そして、このピストンロッド22お
よびピストン23の軸線方向の変位に対しては、コイル
スプリング26a,26bの反発力のみが作用するだけ
である。したがって、前記左右前輪44a、44bは、
電動モータ67による比較的小さな駆動力で転舵され
る。
【0046】次に、左右前輪44a,44bを油圧によ
って転舵制御する第2転舵モードについて説明する。な
お、この第2転舵モードは、通常、電気系に異常が生じ
て、左右前輪44a、44bを電気的に転舵制御するこ
とが不能な場合に用いられる。
【0047】第2転舵モードにおいては、電子制御回路
70および各種バルブ24,25,33,34,52,
53の電気部分に異常が発生していても、左右前輪44
a,44bが転舵可能であるように、全てのバルブ2
4,25,33,34,52,53は通電解除され、入
力遮断制御バルブ33,34は開状態に保たれる。ま
た、連通制御バルブ24,25およびシミュレータカッ
トバルブ52,53は、閉状態に保たれる。
【0048】この状態で運転者が操舵ハンドル13を回
転操作すると、上述した第1転舵モードの場合と同様
に、スクリューロッド11およびピストンロッド16は
軸線方向に前進または後退する。なお、この場合におけ
る操舵反力は、コイルスプリング19a,19bの反発
力および後述する出力部20のピストンロッド22を軸
線方向に移動させるための反力によって与えられる。
【0049】なお、このような電気系の異常時には、上
記第1転舵モードのように電動モータ66による操舵反
力の低減制御が実行できないことが多い。したがって、
この場合には、運転者による操舵ハンドル13の回転操
作が重くなって、操舵ハンドル13を軽快に回転操作で
きなくなる。これに対処するために、本実施形態では、
入力部10のピストン17の受圧面積と出力部のピスト
ン23の受圧面積を同じにしたが、入力部10のピスト
ン17の受圧面積を出力部のピストン23の受圧面積よ
りも小さく設計することもできる。
【0050】操舵ハンドル13が右方向に回転される
と、ピストンロッド16は前進(図示左方向に移動)し
て、油圧シリンダ15の油室15a内の作動油がポート
15cから流出し、油路31および入力遮断制御バルブ
33を介して油圧シリンダ21の油室21bにポート2
1cを介して流入する。これにより、ピストン23およ
びピストンロッド22は前進(図示左方向に移動)し
て、油圧シリンダ21の油室21a内の作動油がポート
21dから流出し、油路32および入力遮断制御バルブ
34を介して油圧シリンダ15の油室15bにポート1
5dを介して流入する。
【0051】操舵ハンドル13が左方向に回転される
と、ピストンロッド16は後退(図示右方向に移動)し
て、油圧シリンダ15の油室15b内の作動油がポート
15dから流出し、油路32および入力遮断制御バルブ
34を介して油圧シリンダ21の油室21aにポート2
1dを介して流入する。これにより、ピストン23およ
びピストンロッド22は後退(図示右方向に移動)し
て、油圧シリンダ21の油室21b内の作動油がポート
21cから流出し、油路31および入力遮断制御バルブ
33を介して油圧シリンダ15の油室15aにポート1
5cを介して流入する。なお、油圧シリンダ15の油室
15a、15bに油圧シリンダ21から流入する作動油
の過不足は、ポート15e,15fを介したリザーバ1
8内の作動油で賄われる。
【0052】前記ピストンロッド22の軸線方向の変位
により、ナット28が軸線回りに回転する。このナット
28の回転によって回転シャフト29が一体的に回転
し、この回転シャフト29の回転は連結シャフト41を
介してピニオンギヤ42に伝達される。そして、このピ
ニオンギヤ42の回転により、ラック軸43が左右に変
位して、左右前輪44a,44bを操舵する。
【0053】その結果、この第2転舵モードにおいて
も、運転者によって操舵ハンドル13の回転操作に対し
て反力が付与されるとともに、同回転操作に応じて左右
前輪44a,44bが転舵される。
【0054】上記説明のように、第2転舵モードにおい
ては、運転者によって入力された操舵力が入力部10に
よって作動油圧に変換され、出力部20が前記変換され
た作動油圧を回転力に変換してピニオンギヤ42を回動
し、ラック軸43を左右に変位させることにより、左右
前輪44a,44bが操舵ハンドル13の回転に応じて
転舵される。この出力部20は、油圧シリンダ21、ピ
ストンロッド22およびピストン23からなる流体圧−
推進力変換機構20aと、スクリューロッド27、ナッ
ト28および回転シャフト29からなる推進力−回転力
変換機構20bとを備えていて、入力部10から供給さ
れた作動油圧を一旦推進力に変換した後に、同推進力を
回転力に変換する。したがって、ラック軸43の外周上
には同ラック軸43を駆動するための油圧シリンダのよ
うな駆動装置を設ける必要がなくなり、この操舵装置の
車両搭載の自由度が向上する。
【0055】また、上記第1実施形態においては、入力
部10と出力部20を結ぶ油路31,32内には入力遮
断制御バルブ33,34が介装されているとともに、ピ
ニオンギヤ42を電気的に回転駆動する電動モータ67
も設けられている。そして、第1転舵モードにおいて
は、前記入力遮断制御バルブ33,34を閉状態に設定
して、電動モータ67を回転駆動することにより左右前
輪44a,44bを転舵することもできる。したがっ
て、左右前輪44a,44bの転舵制御が電気的に自由
度をもって行なわれるようになるとともに、操舵装置の
冗長度が向上する。
【0056】また、この電気的な左右前輪44a,44
bの転舵制御においては、油圧シリンダ21の両油室2
1a,21bを連通させる連通制御バルブ24,25を
開状態に設定することにより、ピストンロッド22およ
びピストン23が自由に軸線方向に変位可能となる。こ
れにより、電動モータ67の回転力により、左右前輪4
4a,44bを簡単かつ自由に転舵させることができ
る。
【0057】また、この油圧力−推進力変換機構20a
においては、ピストンロッド22およびピストン23に
は、コイルスプリング26a,26bによる中立位置復
帰力が作用する。したがって、左右前輪44a,44b
の転舵制御が終了した時点では、左右前輪44a,44
bも中立位置に復帰する。これにより、簡単な構成によ
り、左右前輪44a,44bの中立復帰機能が実現され
る。さらに、ピストンロッド22およびピストン23の
軸線方向の変位は、ピストン23の油圧シリンダ21の
内底壁への当接により所定範囲内に制限される。この制
限により、左右前輪44a,44bの転舵範囲も所定範
囲に機械的に規制され,車両の走行安全性が向上する。
【0058】一方、運転者によって操舵力が入力される
入力部10は、スクリューロッド11、ナット12およ
び回転シャフト14からなる回転力−推進力変換機構1
0aと、油圧シリンダ15、ピストンロッド16および
ピストン17からなる推進力−流体圧変換機構10bと
を備え、操舵ハンドル13の回転を作動油圧力に変換し
ている。そして、ピストンロッド16およびピストン1
7には、コイルスプリング19a,19bによる中立位
置復帰力が作用している。したがって、操舵ハンドル1
3の回転操作を解除すれば、操舵ハンドル13は中立位
置に復帰する。これにより、簡単な構成により、操舵ハ
ンドル13の中立復帰機能が実現される。さらに、ピス
トンロッド16およびピストン17の軸線方向の変位
は、ピストン17の油圧シリンダ15の内底壁への当接
により所定範囲内に制限される。この制限により、左右
前輪44a,44bの転舵範囲も所定範囲に機械的に規
制され,車両の走行安全性が向上する。
【0059】また、スプリング19a,19b,55
a,55bによって操舵反力が与えられるが、上述のよ
うに、この操舵反力に加えて、電動モータ66による車
両の走行状態に応じた操舵反力の制御も実現される。こ
れにより、車両の運転性能が向上するとともに、油圧失
陥時にも対処できる。
【0060】次に、上述した車両の操舵装置の異常判定
について説明する。この異常判定により、上記第1転舵
モードから第2転舵モードへ切換えたり、異常発生時に
その種類ごとにウォーニングランプなどの点灯により運
転者に異常発生を知らせたりする。なお、以下に述べる
種々の異常判定は相互に関係するもので、必要な場合に
は、各種異常判定の組合せによって異常箇所を特定す
る。
【0061】入力遮断制御バルブ33,34の開状態で
は、油圧系全体が正常である条件下で、操舵角センサ6
2および操舵トルクセンサ63の異常判定が行なわれ
る。また、入力遮断制御バルブ33,34の閉状態で
は、同入力遮断制御バルブ33,34よりも油圧シリン
ダ15側の油圧系が正常な状態である条件下で(シミュ
レータカットバルブ52,53が開状態にあるときに
は、操舵シミュレータ部50の油圧系も含む)、操舵角
センサ62および操舵トルクセンサ63の異常判定が行
なわれる。この条件下で、操舵角センサ62により検出
された操舵角と操舵トルクセンサ63により検出された
操舵トルクとを比較する。これらの比較の結果、検出操
舵角と検出操舵トルクとが所定の関係になければ(例え
ば、略比例関係のような増減傾向が類似していなけれ
ば)、操舵角センサ62または操舵トルクセンサ63の
異常を判定する。それ以外は、操舵角センサ62または
操舵トルクセンサ63は正常と判定する。
【0062】入力遮断制御バルブ33,34が開状態に
あるとき、入力系の油圧センサ61aと出力系の油圧セ
ンサ61cとによってそれぞれ検出された両油圧値を比
較するとともに、入力系の油圧センサ61bと出力系の
油圧センサ61dとによってそれぞれ検出された両油圧
値を比較する。この場合、前記各比較の結果、油圧値が
一致する組の油圧センサに関しては正常と判定し、油圧
値が一致しない組の油圧センサに関しては異常と判定す
る。
【0063】入力遮断制御バルブ33,34が閉状態に
あり、油圧センサ61a、61b、操舵角センサ62お
よび操舵トルクセンサ63が正常である条件下で、検出
操舵角と検出操舵トルクとが所定の関係になければ、ま
たは検出操舵角と検出油圧とが所定の関係になければ、
入力遮断制御バルブ33,34か、油圧シリンダ15側
の入力油圧系の異常と判定する。例えば、検出操舵角が
大きいにもかかわらず、検出操舵トルクまたは検出油圧
が余りにも小さい場合には、前記入力油圧系の異常と判
定する。そして、それ以外の場合には、前記入力油圧系
は正常であると判定する。
【0064】特に、この場合、シミュレータカットバル
ブ52,53を閉状態に保っていれば、操舵シミュレー
タ部50を除く前記入力油圧系の異常を判定する。ま
た、操舵シミュレータ部50を除く前記入力油圧系の正
常な状態で、シミュレータカットバルブ52,53を開
状態に設定したとき、前述のように、検出操舵角と検出
操舵トルクとが所定の関係になければ、または検出操舵
角と検出油圧とが所定の関係になければ、操舵シミュレ
ータ部50の油圧系(油圧シリンダ51)の異常と判定
する。
【0065】入力遮断制御バルブ33,34を閉状態
に、かつ連通制御バルブ24,25を開状態に設定して
左右前輪44a,44bを転舵制御中、油圧センサ61
c、61dが正常である条件下で、電動モータ67を駆
動制御した際に、油圧センサ61c、61dによって検
出される油圧が所定油圧以上になると、連通制御バルブ
24,25の閉状態固着異常と判定する。それ以外のと
き、連通制御バルブ24,25の閉状態固着異常ではな
いものと判定する。この閉状態固着異常時には、特に、
入力遮断制御バルブ33,34を開状態に設定して、油
圧シリンダ21の油室21a、21bと油圧シリンダ1
5の油室15a、15bとを連通させるようにして、ピ
ストンロッド22の軸線方向の変位を確保するようにす
る。
【0066】入力遮断制御バルブ33,34が開状態に
あり、かつ連通制御バルブ24,25が閉状態であると
き、出力油圧系(入力遮断制御バルブ33,34よりも
油圧シリンダ21側の油圧系)の異常を検出する。この
場合、入力油圧系(入力遮断制御バルブ33,34より
も油圧シリンダ15側の油圧系)が正常であり、かつ油
圧センサ61c,61dが正常であという条件下で、操
舵ハンドル13の回転操作時に、油圧センサ61c,6
1dによって検出された油圧が所定値以上に上昇しない
とき、出力油圧系の異常を判定する。それ以外のとき、
出力油圧系は正常であると判定する。
【0067】また、運転者が車両を運転していないとき
(例えば、車両の運転を開始する前)、電動モータ6
6、スクリューロッド11およびナット12からなるボ
ールネジ機構などの入力モータ系の異常や、電動モータ
67、スクリューロッド27およびナット28からなる
ボールネジ機構などの出力モータ系の異常も検出でき
る。
【0068】入力モータ系の異常検出においては、車両
停止中(図示しないパーキングブレーキの作動により検
出)かつ操舵ハンドル13が運転者により回転操作され
ていない状態(操舵角センサ62によって検出される操
舵角が極小である)で、入力遮断制御バルブ33,34
およびシミュレータカットバルブ52,53を閉状態に
設定して電動モータ66に所定の駆動電流を流して、油
圧センサ61a,61bによって検出された油圧値と所
定値とを比較する。ただし、油圧センサ61a,61b
は正常であるものとする。
【0069】この状態では、前記入力モータ系が正常で
あれば、油圧シリンダ15の両油室15a,15bのう
ちのいずれかの油室内の油圧が上昇する。したがって、
油圧センサ61a,61bによって検出される両油圧値
が共に所定値以下であれば、入力モータ系の異常を判定
する。それ以外のときには、入力モータ系は正常である
と判定する。
【0070】また、この入力モータ系の異常判定時に
は、入力遮断制御バルブ33,34およびシミュレータ
カットバルブ52,53は閉状態にあるので、油圧シリ
ンダ15の両油室15a,15b内の作動油は移動し得
ない。したがって、ピストンロッド16およびスクリュ
ーロッド11は軸線方向に変位することなく、すなわち
ナット14および回転シャフト14が回転することがな
くなり、操舵ハンドル13の回転は拘束されるので、運
転者にも違和感がない。さらに、この操舵ハンドル13
の拘束により、電動モータ66の両方向への回転のチェ
ックを瞬時に行なうことが可能になる。
【0071】一方、出力モータ系の異常検出において
は、車両停止中かつ操舵ハンドル13が運転者により回
動操作されていない状態で、入力遮断制御バルブ33,
34および連通制御バルブ24,25を閉状態に設定し
て電動モータ67に所定の駆動電流を流して、油圧セン
サ61c,61dによって検出された油圧値と所定値と
を比較する。ただし、油圧センサ61c,61dは正常
であるものとする。
【0072】この状態では、前記出力モータ系が正常で
あれば、油圧シリンダ21の両油室21a,21bのう
ちのいずれかの油室内の油圧が上昇する。したがって、
油圧センサ61c,61dによって検出される両油圧値
が共に所定値以下であれば、出力モータ系の異常を判定
する。それ以外のときには、出力モータ系は正常である
と判定する。
【0073】また、この出力モータ系の異常判定時に
は、入力遮断制御バルブ33,34および連通制御バル
ブ24,25は閉状態にあるので、油圧シリンダ21の
両油室21a,21b内の作動油は移動し得ない。した
がって、ピストンロッド22およびスクリューロッド2
7は軸線方向に変位することなく、すなわちナット2
8、回転シャフト29、連結シャフト41およびピニオ
ンギヤ42が回転することがなく、左右前輪44a,4
4bは左右に転舵されることがなくて拘束されるので、
運転者にも違和感がない。さらに、この左右前輪44
a,44bの拘束により、電動モータ67の両方向への
回転のチェックを瞬時に行なうことが可能になる。
【0074】また、このような入力モータ系および出力
モータ系の異常検出においては、車両停止が検出されな
いとき、または所定値以上の操舵トルクが検出されたと
き、運転者による車両の運転開始として、前記入力モー
タ系および出力モータ系の異常検出をそれぞれ中断す
る。
【0075】このように上記第1実施形態によれば、車
両の操舵装置における種々の異常判定も的確に行なわれ
る。また、この異常判定に応じて、操舵ハンドル13の
回動操作に応じて左右前輪44a,44bの転舵が選択
的に電気制御または油圧制御され、この操舵装置の冗長
性が高くなる。
【0076】次に、上記第1実施形態における各部の故
障に対するバックアップ方法について、まとめて説明し
ておく。出力系の電動モータ67に故障が発生した場合
には、入力部10、出力部20および流体圧伝達部30
からなる油圧連結により、操舵ハンドル13の回転操作
に応じた左右前輪44a,44bの転舵がバックアップ
される。また、この油圧連結によるバックアップにおい
ては、入力系の電動モータ66を回転させることによ
り、前記左右前輪44a,44bの転舵は電動モータ6
6の回転力によってアシストされる。
【0077】入力系の電動モータ66に故障が発生した
場合には、コイルスプリング19a,19bおよび操舵
シミュレータ部50による機械的な反力により、操舵ハ
ンドル13の回転操作に対する操舵反力をバックアップ
として用いることができる。また、入力部10と出力部
20との流体圧伝達部30を介した油圧連結により、出
力部20による左右前輪44a,44bの転舵に対する
反力およびコイルスプリング26a,26bの反発力
を、前記操舵反力のバックアップとして用いることもで
きる。また、出力系の電動モータ67を回転させること
により、前記左右前輪44a,44bの転舵に伴う出力
部20の作動により、前記出力部20による反力を低減
できる。言い換えれば、操舵ハンドル13の回転操作
が、電動モータ67の回転によってアシストされる。
【0078】ステヤバイワイヤ制御系すなわち電気制御
系の故障時には、入力部10、出力部20および流体圧
伝達部30からなる油圧連結により、操舵ハンドル13
の回転操作に応じた左右前輪44a,44bの転舵がバ
ックアップされる。また、この油圧連結系の故障時に
は、初期チェックによるウォーニングによって、油圧連
結系が作動しないことを運転者に警告しておける。ま
た、各種センサ系の故障に対しては、他のセンサによる
代用、例えば操舵角センサ62による検出値と操舵トル
クセンサ63による検出値との互換、油圧センサ61a
〜61dの各検出値の互換などにより、各種センサがバ
ックアップされる。
【0079】このように上記第1実施形態においては、
各部品の故障に対して各種バックアップが可能であり、
冗長度の高いシステムが実現されている。
【0080】b.第2実施形態 次に、本発明の第2実施形態について図面を用いて説明
すると、図2は、この第2実施形態に係る車両の操舵装
置の全体を概略的に示している。この第2実施形態にお
いては、上記第1実施形態の連通制御バルブ24,25
および操舵シミュレータ部50を省略して油路31,3
2間に油圧アシスト装置80を接続するとともに、油圧
シリンダ15とリザーバ18との間にリザーバカットバ
ルブ91および一方向バルブ92を接続したものであ
る。なお、上記第1実施形態と同一機能の部材には同一
符号を付して、それらの説明を省略する。
【0081】油圧アシスト装置80は、油圧ポンプ8
1、アキュムレータ82および調圧バルブ83−1〜8
3−8を備えている。油圧ポンプ81は、高圧油路84
に高圧油を吐出する。アキュムレータ82は、高圧油路
84に接続されていて、高圧油路84の油圧を一定に保
つ。この高圧油路84には、高圧油路84の作動油圧を
検出する油圧センサ61eも接続されている。油圧セン
サ61eでは、油圧ポンプ81などの異常を検出するた
めに、検出油圧を電子制御回路70に供給する。
【0082】調圧バルブ83−1〜83−8は、一方向
バルブ、スプリングおよび電磁バルブなどをそれぞれ有
して同一に構成されており、非通電状態にて入出力間が
閉状態に維持される。また、調圧バルブ83−1〜83
−8は、電子制御回路70により制御されて第1通電状
態にて調圧状態に切換えられ、この調圧状態にて入出力
間の油圧がスプリングの付勢力に応じた値に設定され
る。さらに、調圧バルブ83−1〜83−8は、電子制
御回路70により制御されて第2通電状態にて入出力間
が開状態に切換えられる。
【0083】調圧バルブ83−1〜83−4の各入力ポ
ートは、高圧油路84にそれぞれ接続されている。調圧
バルブ83−1の出力ポートは、油路31に入力遮断制
御バルブ33と油圧シリンダ21との間にて接続されて
いる。調圧バルブ83−2の出力ポートは、油路32に
入力遮断制御バルブ34と油圧シリンダ21との間にて
接続されている。調圧バルブ83−3の出力ポートは、
油路31に入力遮断制御バルブ33と油圧シリンダ15
との間にて接続されている。調圧バルブ83−4の出力
ポートは、油路32に入力遮断制御バルブ34と油圧シ
リンダ15との間にて接続されている。
【0084】調圧バルブ83−5〜83−8の各出力ポ
ートは、リザーバ18に連通した低圧油路85にそれぞ
れ接続されている。調圧バルブ83−5の入力ポート
は、油路31に入力遮断制御バルブ33と油圧シリンダ
21との間にて接続されている。調圧バルブ83−6の
入力ポートは、油路32に入力遮断制御バルブ34と油
圧シリンダ21との間にて接続されている。調圧バルブ
83−7の入力ポートは、油路31に入力遮断制御バル
ブ33と油圧シリンダ15との間にて接続されている。
調圧バルブ83−8の入力ポートは、油路32に入力遮
断制御バルブ34と油圧シリンダ15との間にて接続さ
れている。なお、これらの調圧バルブ83−1〜83−
8においては、調圧機能が電気的に制御されるもので
も、機械的に制御されるもの、例えばマニアル調整され
るものでもよい。
【0085】リザーバカットバルブ91および一方向バ
ルブ92は並列に接続されている。リザーバカットバル
ブ91は、電磁切換えバルブで構成されていて、非通電
状態で図示開状態に保たれ、電子制御回路70により制
御されて通電状態で閉状態に切換えられる。一方向バル
ブ92は、リザーバ18から油圧シリンダ15の作動油
の供給のみを許容し、油圧シリンダ15からリザーバ1
8への作動油の供給を禁止する。
【0086】次に、上記のように構成した第2実施形態
の動作を説明する。この場合も、まず、左右前輪44
a,44bを電気的に転舵制御、すなわちステアバイワ
イヤ方式によって左右前輪44a,44bを転舵制御す
る第1転舵モードについて説明する。
【0087】第1転舵モードにおいては、電子制御回路
70は、入力遮断制御バルブ33、34に通電して、少
なくともバルブ33,34をそれぞれ閉状態に設定す
る。そして、調圧バルブ83−1〜83−8を非通電制
御して閉状態に保つとともに、リザーバカットバルブ9
1を非通電制御して開状態に保てば、操舵シミュレータ
部50による操舵反力を除き、この第2実施形態に係る
車両の操舵装置は上記第1実施形態に係る車両の操舵装
置と同一機能を有する構成となる。したがって、この場
合には、スプリング55a,55bによる操舵反力を除
いて、上記第1実施形態の場合と同様に、運転者は適度
な操舵反力を感じながら操舵ハンドル13を回転操作す
ることができるとともに、同操舵ハンドル13の回転操
作により左右前輪44a、44bが転舵される。
【0088】しかしながら、この第2実施形態に係る車
両の操舵装置においては、電子制御回路70による油圧
アシスト装置80およびリザーバカットバルブ91の切
換え制御により、運転者の操舵ハンドル13の操作に対
する操舵反力を油圧によって増減制御したり、左右前輪
44a,44bの転舵を油圧によってアシストできる。
【0089】まず、運転者に対する操舵反力を低減する
制御について説明する。この場合、リザーバカットバル
ブ91は、閉状態に切換えられる。この状態で、運転者
が操舵ハンドル13を右方向に回転操作した場合、調圧
バルブ83−7は開状態に切換えられ、調圧バルブ83
−3は閉状態に保たれ、かつ調圧バルブ83−4,83
−8は調圧状態に切換えられる。なお、この右方向への
操舵ハンドル13の回転は、電子制御回路70により、
操舵トルクセンサ63からの検出操舵トルク(場合によ
っては、操舵角センサ62からの検出操舵角)に基づい
て判定される。
【0090】この場合、調圧バルブ83−4,83−8
により調圧される作動油圧が油圧シリンダ15の油室1
5b内の作動油圧よりも高いことを条件に、油圧ポンプ
81から吐出された作動油が油室15bに流入する。一
方、油圧シリンダ15の油室15a内の作動油は調圧バ
ルブ83−7を介してリザーバ18に排出される。した
がって、調圧バルブ83−4,83−8により調圧され
る作動油圧をある程度高く設定しておけば、ピストンロ
ッド16の前進(図示左方向への変位)は油圧ポンプ8
1から吐出された作動油の流入によって助長され、運転
者による操舵ハンドル13の回転操作に対する操舵反力
が低減される。なお、閉状態に設定されているリザーバ
カットバルブ91および一方向バルブ92の作用によ
り、油室15bとリザーバ18との間の作動油の給排は
禁止される。
【0091】また、リザーバカットバルブ91を閉状態
に制御した前記状態で、運転者が操舵ハンドル13を左
方向に回転操作すると、前記場合と同様に、検出操舵ト
ルク(場合によっては、前記検出操舵角)に基づく電子
制御回路70の制御により、調圧バルブ83−8は開状
態に切換えられ、調圧バルブ83−4は閉状態に保た
れ、かつ調圧バルブ83−3,83−7は調圧状態に切
換えられる。
【0092】この場合、調圧バルブ83−8,83−
3,83−7、リザーバカットバルブ91および一方向
バルブ92が、前記操舵ハンドル13の右方向の回転操
作時における調圧バルブ83−7,83−4,83−
8、リザーバカットバルブ91および一方向バルブ92
とそれぞれ同様に動作する。したがって、調圧バルブ8
3−3,83−7により調圧される作動油圧をある程度
高く設定しておけば、油圧ポンプ81から吐出された作
動油が油室15aに流入するとともに、油圧シリンダ1
5の油室15b内の作動油は調圧バルブ83−8を介し
てリザーバ18に排出される。これにより、ピストンロ
ッド16の後退は油圧ポンプ81によって吐出された作
動油の流入によって助長され、運転者による操舵ハンド
ル13の回転操作に対する操舵反力が低減される。
【0093】次に、運転者に対する操舵反力を増加する
制御について説明する。この場合、リザーバカットバル
ブ91は、開状態に保たれる。この状態で、運転者が操
舵ハンドル13を右方向に回転操作した場合、前記場合
と同様に、検出操舵トルク(場合によっては、前記検出
操舵角)に基づく電子制御回路70の制御により、調圧
バルブ83−4,83−8は閉状態に保たれ、調圧バル
ブ83−3,83−7は調圧状態に切換えられる。
【0094】この場合、調圧バルブ83−3,83−7
によって調圧される作動油圧が油圧シリンダ15の油室
15a内の作動油圧よりも低いことを条件に、油室15
a内の作動油は調圧バルブ83−7を介してリザーバ1
8に流出する。逆に、調圧バルブ83−3,83−7に
よって調圧される作動油圧が油圧シリンダ15の油室1
5a内の作動油圧よりも高ければ、油圧ポンプ81から
吐出された作動油が油室15a内に流入する。したがっ
て、調圧バルブ83−3,83−7によって調圧される
作動油圧をある程度高く設定しておけば、ピストンロッ
ド16の前進(図示左方向への変位)が油圧ポンプ81
から吐出された作動油の油室15aへの流入によって阻
止され、運転者による操舵ハンドル13の回転操作に操
舵反力が増加制御される。なお、油室15aの作動油の
流入出による油室15b内の作動油の過不足は、開状態
に保たれているリザーバカットバルブ91を介したリザ
ーバ18に対する作動油の給排で賄われる。
【0095】また、リザーバカットバルブ91を開状態
に保った前記状態で、運転者が操舵ハンドル13を左方
向に回転操作した場合、前記場合と同様に、検出操舵ト
ルク(場合によっては、前記検出操舵角)に基づく電子
制御回路70の制御により、調圧バルブ83−3,83
−7は閉状態に保たれ、調圧バルブ83−4,83−8
は調圧状態に切換えられる。
【0096】この場合、調圧バルブ83−3,83−
7,83−4,83−8およびリザーバカットバルブ9
1は、前記操舵ハンドル13の右方向の回転時における
調圧バルブ83−4,83−8,83−3,83−7お
よびリザーバカットバルブ91と同様に動作する。した
がって、調圧バルブ83−4,83−8によって調圧さ
れる作動油圧をある程度高く設定しておけば、ピストン
ロッド16の後退(図示右方向への変位)が油圧ポンプ
81から吐出された作動油の油室15bへの流入によっ
て阻止され、運転者による操舵ハンドル13の回転操作
に操舵反力が増加制御される。なお、この場合も、油室
15a内の作動油の過不足は、リザーバカットバルブ9
1を介したリザーバ18に対する作動油の給排で賄われ
る。
【0097】このよう操舵反力の増減制御を、上記第1
実施形態で説明した電動モータ66による操舵反力制御
に加えて用いれば、電動モータ66の出力を小さくでき
同電動モータ66を小型化できる。また、電動モータ6
6の異常時に、電動モータ66による反力制御に代えて
この油圧による操舵反力の制御を用いるようにすれば、
同電動モータ66の異常時にも適切な操舵反力を得るこ
とができる。
【0098】次に、出力部20による左右前輪44a,
44bの転舵制御を、油圧アシスト装置80により制御
する場合について説明する。この場合、運転者が操舵ハ
ンドル13を右方向に回転操作した場合、調圧バルブ8
3−6は開状態に切換えられ、調圧バルブ83−2は閉
状態に保たれ、かつ調圧バルブ83−1,83−5は調
圧状態に切換えられる。なお、この右方向への操舵ハン
ドル13の回転は、電子制御回路70により、操舵角セ
ンサ62からの検出操舵角に基づいて判定される。
【0099】この場合、調圧バルブ83−1,83−5
により調圧される作動油圧が油圧シリンダ21の油室2
1b内の作動油圧よりも高いことを条件に、油圧ポンプ
81から吐出された作動油が油室21bに流入する。一
方、油圧シリンダ21の油室21a内の作動油は調圧バ
ルブ83−6を介してリザーバ18に排出される。した
がって、調圧バルブ83−1,83−5により調圧され
る作動油圧を高く設定しておけば、ピストンロッド22
の前進(図示左方向への変位)は油圧ポンプ81から吐
出された作動油の油室21bへの流入によって助長さ
れ、ピストンロッド22の前進方向への推進力が増加す
る。このピストンロッド22の推進力の増加はスクリュ
ーロッド27およびナット28により回転シャフト29
の回転力に変換され、同回転力は電動モータ67による
左右前輪44a、44bを右方向に転舵するための連結
シャフト41の回転を助長する。その結果、この油圧ア
シスト装置80によって、左右前輪44a,44bの転
舵がアシストされる。
【0100】また、運転者が操舵ハンドル13を左方向
に回転操作した場合、操舵角センサ62からの検出操舵
角に基づく電子制御回路70により、調圧バルブ83−
5は開状態に切換えられ、調圧バルブ83−1は閉状態
に保たれ、かつ調圧バルブ83−2,83−6は調圧状
態に切換えられる。
【0101】この場合、調圧バルブ83−5,83−
1,83−2、83−6は、前記操舵ハンドル13の右
方向の回転操作時における調圧バルブ83−6,83−
2,83−1,83−5とそれぞれ同様に動作する。し
たがって、調圧バルブ83−2,83−6により調圧さ
れる作動油圧を高く設定しておけば、ピストンロッド2
2の後退(図示右方向への変位)は油圧ポンプ81から
吐出された作動油の油室21aへの流入によって助長さ
れ、ピストンロッド22の後退方向への推進力が増加す
る。このピストンロッド22の推進力の増加はスクリュ
ーロッド27およびナット28により回転シャフト29
の回転力に変換され、同回転力は電動モータ67による
左右前輪44a、44bを左方向に転舵するための連結
シャフト41の回転を助長する。その結果、この場合
も、この油圧アシスト装置80によって、左右前輪44
a,44bの転舵がアシストされる。
【0102】この油圧による左右前輪44a、44bの
転舵アシストを、上記第1実施形態で説明した電動モー
タ67による転舵制御に加えて用いることにより、電動
モータ67の出力を小さくできて同電動モータ67を小
型化できる。
【0103】次に、電気系に異常が生じて、左右前輪4
4a,44bを油圧によって転舵制御する第2転舵モー
ドについて説明する。この第2転舵モードにおいては、
入力遮断制御バルブ33,34が開状態に切換えられ、
調圧バルブ83−1〜83−8が閉状態に保たれ、リザ
ーバカットバルブ91が開状態に保たれれば、この第2
実施形態に係る車両の操舵装置は上記第1実施形態に係
る車両の操舵装置と同一機能を有する構成となる。した
がって、この場合にも、上記第1実施形態の場合と同様
に、運転者は適度な操舵反力を感じながら操舵ハンドル
13の回転操作することができるとともに、同操舵ハン
ドル13の回転操作により左右前輪44a、44bが転
舵される。
【0104】しかしながら、この第2実施形態に係る車
両の操舵装置においては、電子制御回路70が少なくと
も各種バルブ33,34,91,83−1〜83−8の
制御が可能であれば、運転者の操舵ハンドル13の操作
に対する操舵反力を油圧によって低減することができ
る。
【0105】この場合、少なくとも、調圧バルブ83−
1,83−2は閉状態に保たれるとともに、リザーバカ
ットバルブ91は閉状態に切換えられる。この状態で、
運転者が操舵ハンドル13を右方向に回転操作した場
合、入力遮断制御バルブ33は開状態に保たれ、かつ入
力遮断制御バルブ34は閉状態に切換えられる。また、
調圧バルブ83−6は開状態に切換えられ、調圧バルブ
83−3,83−5,83−7は閉状態に保たれ、かつ
調圧バルブ83−4,83−8は調圧状態に切換えられ
る。なお、この右方向への操舵ハンドル13の回転は、
電子制御回路70により、操舵トルクセンサ63からの
検出操舵トルク(場合によっては、操舵角センサ62か
らの検出操舵角)に基づいて判定される。
【0106】この場合、操舵ハンドル13の右方向の回
転により、上記第1実施形態の場合と同様な回転シャフ
ト14、ナット12およびスクリューロッド11の作用
により、ピストンロッド16およびピストン17が前進
(図示左方向へ変位)する。このピストンロッド16の
前進により、油圧シリンダ15の油室15a内の作動油
は、入力遮断制御バルブ33を介して油圧シリンダ21
の油室21bに流入する。一方、調圧バルブ83−4,
83−8により調圧される作動油圧が油圧シリンダ15
の油室15b内の作動油圧よりも高いことを条件に、油
圧ポンプ81から吐出された作動油が油室15bに流入
する。したがって、ピストンロッド16およびピストン
17の前進は、油圧アシスト装置80の油圧力によって
助長される。
【0107】一方、油圧シリンダ15の油室15aから
油圧シリンダ21の油室21bへの前記作動油の流入に
より、ピストンロッド22およびピストン23も前進
(図示左方向へ変位)する。このとき、油圧シリンダ2
1の油室21a内の作動油は調圧バルブ83−6を介し
てリザーバ18に流出する。そして、このピストンロッ
ド22およびピストン23が前進すると、上記第1実施
形態の場合と同様なスクリューロッド27、ナット2
8、回転シャフト29および連結シャフト41の作用に
より、ピニオンギヤ42が回転する。このピニオンギヤ
42の回転によりラック軸43が軸線方向に変位して左
右前輪44a,44bは右方向に転舵される。
【0108】また、調圧バルブ83−1,83−2が閉
状態に保たれるとともに、リザーバカットバルブ91が
閉状態に切換えられた状態で、操舵ハンドル13が左方
向に回転操作された場合、操舵トルクセンサ63からの
検出操舵トルク(場合によっては、操舵角センサ62か
らの検出操舵角)に基づく電子制御回路70により、各
種バルブ33,34,83−3〜83−8は次のように
制御される。すなわち、入力遮断制御バルブ34は開状
態に保たれ、かつ入力遮断制御バルブ33は閉状態に切
換えられる。また、調圧バルブ83−5は開状態に切換
えられ、調圧バルブ83−4,83−6,83−8は閉
状態に保たれ、かつ調圧バルブ83−3,83−7は調
圧状態に切換えられる。
【0109】この場合、操舵ハンドル13の左方向の回
転により、上記第1実施形態の場合と同様な回転シャフ
ト14、ナット12およびスクリューロッド11の作用
により、ピストンロッド16およびピストン17が後退
(図示右方向へ変位)する。この場合、入力遮断制御バ
ルブ34,33および調圧バルブ83−5,83−4,
83−6,83−8,83−3,83−7は、前記操舵
ハンドル13の右方向への回転操作時における入力遮断
制御バルブ33,34および調圧バルブ83−6,83
−3,83−5,83−7,83−4,83−8とそれ
ぞれ同様に機能する。これにより、油圧シリンダ15の
油室15b内の作動油はリザーバ18に流出され、油圧
ポンプ81から吐出された作動油が油室15aに流入す
る。したがって、ピストンロッド16およびピストン1
7の後退は、油圧アシスト装置80の油圧力によって冗
長される。
【0110】また、油圧シリンダ15の油室15bから
流出された作動油は油圧シリンダ21の油室21aに流
入し、油圧シリンダ21の油室21b内の作動油はリザ
ーバ18に流出する。これにより、ピストンロッド22
は後退し、スクリューロッド27、ナット28、回転シ
ャフト29および連結シャフト41の作用により、ピニ
オンギヤ42は前記操舵ハンドル13の右方向への回転
時とは逆方向に回転し、ラック軸43が軸線方向の変位
により左右前輪44a,44bは左方向に転舵される。
【0111】このような動作説明からも解るように、第
2転舵モードにおいても、運転者による操舵ハンドル1
3の左右方向への回転操作により、左右前輪が左右方向
に転舵される。また、この運転者による操舵ハンドル1
3の回転操作時には、上記第1実施形態と同様なコイル
スプリング19a,19b,26a,26bなどの操舵
反力が、油圧アシスト装置80によるピストンロッド1
6の軸線方向の動きに対する助長によって減少制御され
るので、運転者は操舵ハンドル13を軽快に回転操作す
ることができるようになる。
【0112】次に、この第2実施形態に係る車両の操舵
装置の異常判定について説明する。この場合も、上記第
1実施形態の場合と同様に、第1転舵モードから第2転
舵モードへ切換えたり、異常発生時にその種類ごとにウ
ォーニングランプなどの点灯により運転者に異常発生を
知らせたりする。また、この第2実施形態においても、
上記第1実施形態と同様に種々の異常判定を行なうもの
であるが、以下においては、上記第1実施形態の場合と
同様な異常判定の説明を省略し、第2実施形態に特有の
異常判定についてのみ説明する。
【0113】この異常判定の中に、油圧アシスト装置8
0によって発生され油圧を用いた右旋回時機能判定およ
び左旋回時機能判定がある。なお、この異常判定は、車
両停止中(パーキングブレーキの作動により検出)かつ
操舵ハンドル13が運転者により回動操作されていない
状態(操舵トルクセンサによって検出される操舵角が極
小である)に行なわれる。これらの条件が成立しなくな
った場合には、前記異常判定は中断される。
【0114】まず、右旋回時機能判定について説明す
る。この場合、電子制御回路70は、入力遮断制御バル
ブ33,34およびリザーバカットバルブ91を閉状態
に切換える。また、調圧バルブ83−2,83−4,8
3−6,83−8を閉状態に保つとともに、調圧バルブ
83−1,83−3,83−5,83−7を調圧状態に
切換える。この状態では、油路31における入力遮断制
御バルブ33の両側の各作動油圧が、それぞれ調圧バル
ブ83−3,83−7によって設定される油圧値および
調圧バルブ83−1,83−5によって設定される油圧
値になるはずである。
【0115】この状態で、電子制御回路70は、油圧セ
ンサ61a,61cによる検出油圧を入力し、いずれか
一方の検出油圧が所定油圧よりも低いとき、油圧アシス
ト装置80の異常を判定する。そして、両検出油圧が所
定油圧値よりも共に高いとき、油圧アシスト装置80の
正常を判定する。このとき、調圧バルブ83−3,83
−7によって設定される油圧値と調圧バルブ83−1,
83−5によって設定される油圧値とはそれぞれ異なっ
ているので、油圧センサ61a,61cによる両検出油
圧が異なれば入力遮断制御バルブ33の正常を判定し、
同一であれば入力遮断制御バルブ33の異常を判定す
る。なお、この場合、通常、調圧バルブ83−3,83
−7によって設定される油圧値は、調圧バルブ83−
1,83−5によって設定される油圧値よりも低い。
【0116】一方、この状態では、油圧シリンダ15の
油室15bおよび油圧シリンダ21の油室21aの流出
油路は全て閉ざされているので、ピストンロッド16,
22は共に拘束され、操舵ハンドル13は回転しないと
ともに、左右前輪44a,44bも転舵されないはずで
ある。したがって、この異常判定を、運転者に違和感を
与えることなく行なえるとともに短時間で行なえる。
【0117】また、ピストンロッド16,22(操舵ハ
ンドル13および左右前輪44a,44b)が拘束され
ていることを用いて、油圧シリンダ15,21およびそ
れらの周辺の油圧系の異常も判定できる。具体的には、
電子制御回路が、操舵角センサ62からの検出操舵角お
よび転舵角センサ64からの検出実転舵角を入力し、検
出操舵角が異常判定前と異なる場合には、油圧シリンダ
15およびその周辺の油圧系の異常を判定する。検出実
転舵角が異常判定前と異なる場合には、油圧シリンダ2
1およびその周辺の油圧系の異常を判定する。それ以外
の場合には、油圧シリンダ15,21およびそれらの周
辺の油圧系の正常を判定する。
【0118】次に、左旋回時機能判定について説明す
る。この場合も、電子制御回路70は、入力遮断制御バ
ルブ33,34およびリザーバカットバルブ91を閉状
態に切換える。そして、調圧バルブ83−1,83−
3,83−5,83−7を閉状態に保つとともに、調圧
バルブ83−2,83−4,83−6,83−8を調圧
状態に切換える。この状態では、油路32における入力
遮断制御バルブ34の両側の各作動油圧が、それぞれ調
圧バルブ83−4,83−8によって設定される油圧値
および調圧バルブ83−2,83−6によって設定され
る油圧値になるはずである。
【0119】この状態で、油圧センサ61b,61dに
よる検出油圧に基づいて、前述の場合と同様にして、油
圧アシスト装置80の正常および異常を判定する。ま
た、この場合も、調圧バルブ83−4,83−8によっ
て設定される油圧値は、調圧バルブ83−2,83−6
によって設定される油圧値よりも低く異なっているの
で、油圧センサ61b,61dによる両検出油圧に基づ
いて入力遮断制御バルブ33の正常および異常を判定す
る。
【0120】また、この場合も、油圧シリンダ15の油
室15aおよび油圧シリンダ21の油室21bの流出油
路は全て閉ざされているので、ピストンロッド16,2
2は共に拘束され、操舵ハンドル13は回転しないとと
もに、左右前輪44a,44bも転舵されないはずであ
る。したがって、この異常判定も、運転者に違和感を与
えることなく行なえるとともに短時間で行なえる。
【0121】そして、操舵角センサ62からの検出操舵
角および転舵角センサ64からの検出実転舵角に基づい
て、油圧シリンダ15およびその周辺の油圧系の異常を
判定できる点も前記場合と同じである。そして、このよ
うな左旋回時機能判定は、前述した右旋回時機能判定と
交互にされるようにするとよい。
【0122】また、前記左旋回時機能判定および右旋回
時機能判定において、油圧シリンダ15の両油室15
a,15bのうちの油圧アシスト装置80による作動油
圧を導入した油室と他方の油室の両作動油圧を比較し
て、他方の油室の作動油圧が作動油を導入した油室の作
動油圧よりも所定値以上低いとき、ピストン17の作動
不良とする。また、油圧シリンダ21の場合も同様に、
両油室21a,21bのうちの油圧アシスト装置80に
よる作動油圧を導入した油室と他方の油室の両作動油圧
を比較して、ピストン23の作動不良を判定できる。な
お、油圧シリンダ15の各油室15a,15bは油圧セ
ンサ61a,61bによってそれぞれ検出され、油圧シ
リンダ21の各油室21a、21bは油圧センサ61
d,61cによってそれぞれ検出される。
【0123】さらに、前記左旋回時機能判定および右旋
回時機能判定を交互にする場合において、油圧シリンダ
15の両油室15a,15bのうちの油圧アシスト装置
80による作動油圧を導入した油室と他方の油室の両作
動油圧を、左旋回時機能判定および右旋回時機能判定ご
とにそれぞれ比較する。そして、左旋回時機能判定およ
び右旋回時機能判定の一方の判定において作動油圧を導
入した油室の作動油圧が他方の油室の作動油圧より高
く、他方の判定において作動油圧を導入した油室の作動
油圧が他方の油室の作動油圧より低い場合には、油圧セ
ンサ61a,61bの異常(油圧センサのゲイン異常)
と判定する。また、油圧シリンダ21の場合も同様に、
両油室21a,21bのうちの油圧アシスト装置80に
よる作動油圧を導入した油室と他方の油室の両作動油圧
を比較して、油圧センサ61c,61dの異常を判定で
きる。
【0124】さらに、前述した左旋回時機能判定および
右旋回時機能判定における操舵ハンドル13および左右
前輪44a,44bの拘束を電動モータ66,67によ
りそれぞれ実現して、油圧アシスト系および電気アシス
ト系の両異常を同時に判定できるようにするようにもで
きる。この場合、前記左旋回時機能判定においては、調
圧バルブ83−8,83−6を開状態に切換えて、油圧
シリンダ15の油室15bおよび油圧シリンダ21の油
室21a内の作動油をリザーバ18に流出可能とする。
また、前記右旋回時機能判定においては、調圧バルブ8
3−7,83−5を開状態に切換えて、油圧シリンダ1
5の油室15aおよび油圧シリンダ21の油室21b内
の作動油をリザーバ18に流出可能とする。
【0125】この状態で、ピストンロッド16が変位し
ないように、操舵角センサ62によって検出された操舵
角がほぼ一定に保たれるように電動モータ66を駆動制
御する。また、ピストンロッド22が変位しないよう
に、転舵角センサ64によって検出された実転舵角がほ
ぼ一定に保たれるように電動モータ67を駆動制御す
る。これらの場合、油圧センサ61a〜61eによって
検出される各油圧が所定の油圧範囲内にあり、かつピス
トンロッド16,22がほぼ静止していて検出操舵角お
よび検出実転舵角が所定範囲以内に納まっていれば、油
圧アシスト装置80、油圧シリンダ15,21などの油
圧アシスト系および電動モータ66,67を含む電気ア
シスト系が共に正常であると判定する。それ以外のとき
には、油圧アシスト系または電気アシスト系に異常が発
生していると判定する。
【0126】また、電動モータ66,67に流れる電流
の実行値と、油圧センサ61a〜61cによって検出さ
れた作動油圧が対応関係にあることも、前記油圧アシス
ト系および電気アシスト系の異常判定に加えてもよい。
さらに、油圧センサ61a〜61cによって検出される
全ての作動油圧がほぼ所定油圧であることを、油圧アシ
スト系の判定条件に加えるとよい。
【0127】次に、運転者が操舵ハンドル13を回転操
作しながら、油圧系の異常を判定するマニュアル加圧モ
ードによる判定について説明する。この場合、電子制御
回路70は、入力遮断制御バルブ33,34およびリザ
ーバカットバルブ91を開状態に保ち、調圧バルブ83
−1〜83−8を閉状態に保つ。そして、操舵ハンドル
13を左右に回転しながら、操舵角センサ62による検
出操舵角および油圧センサ61a〜61dによる検出油
圧に基づいて油圧シリンダ15,21、油路31,32
などの油圧系の異常を判定する。
【0128】この状態では、操舵ハンドル13が右方向
に回転操作されると、油圧シリンダ15の油室15aお
よび油圧シリンダ21の油室21bの各作動油圧がほぼ
同じになるとともに、油圧シリンダ15の油室15bお
よび油圧シリンダ21の油室21aの各作動油圧がほぼ
同じになるはずである。そして、油室15a,21bの
各作動油圧は、油室15b,21aの各作動油圧よりも
高くなるはずである。一方、操舵ハンドル13が左方向
に回転操作された場合も、油室15b,21aの各作動
油圧がほぼ同じなるとともに、油室15a,21bの各
作動油圧も同じになるが、油室15b,21aの各作動
油圧は油室15a,21bの各作動油圧よりも高くなる
はずである。
【0129】このような条件下で、電子制御回路70
は、操舵角センサ62からの操舵角により操舵ハンドル
13が右方向に回転操作されたか、左方向に回転操作さ
れたかを判定する。そして、油圧センサ61a〜61e
によって検出される各油室15a,15b,21a,2
1bの作動油圧が前記関係にあるかにより、油圧シリン
ダ15,21、油路31,32などの油圧系の異常を判
定できる。また、この油圧系の異常が全くないことが他
の判定により判明していれば、油圧センサ61a〜61
dの異常判定も可能である。
【0130】次に、上記第2実施形態における各部の故
障に対するバックアップ方法について、まとめて説明し
ておく。出力系の電動モータ67に故障が発生した場合
には、上記第1実施形態の場合と同様に、入力部10、
出力部20および流体圧伝達部30からなる油圧連結、
および/または電動モータ66の回転により、操舵ハン
ドル13の回転操作に応じた左右前輪44a,44bの
転舵がバックアップされる。また、この第2実施形態に
おいては、油圧連結しなくても、油圧ポンプ81、アキ
ュムレータ82などを含む油圧アシスト装置80によ
り、左右前輪44a,44bの転舵がバックアップされ
る。
【0131】入力系の電動モータ66に故障が発生した
場合には、上記第1実施形態の場合と同様に、コイルス
プリング19a,19bの機械的な反力、および/また
は出力部20の反力により、操舵ハンドル13の回転操
作に対する操舵反力の付与がバックアップされる。ま
た、この第2実施形態においては、油圧連結しなくて
も、油圧ポンプ81、アキュムレータ82などを含む油
圧アシスト装置80により、操舵ハンドル13の回転操
作に対する操舵反力の付与がバックアップされる。逆
に、前記油圧アシスト装置80により、操舵ハンドル1
3の回転操作に対するアシストも可能である。
【0132】油圧アシスト装置80に故障が発生した場
合には、電動モータ66,67を用いることなく、入力
部10、出力部20および流体圧伝達部30からなる油
圧連結により、操舵ハンドル13の回転および回転操作
力を左右前輪44a,44b側に伝達して、左右前輪4
4a,44bを操舵できる。また、操舵ハンドル13の
回転操作に対する反力も、前記油圧連結で確保される。
さらに、入力系の電動モータ66を用いれば、操舵ハン
ドル13の回転操作に対する操舵反力の調整も可能とな
る。また、出力系の電動モータ67を用いれば、左右前
輪44a,44bの転舵のアシストも可能となる。
【0133】さらに、ステヤバイワイヤ制御系すなわち
電気制御系の故障、油圧連結系の故障、および各種セン
サ系の故障に対しても、上記第1実施形態と同様なバッ
クアップがなされる。したがって、この第2実施形態に
おいても、各部品の故障に対して各種バックアップが可
能であり、冗長度の高いシステムが実現されている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態に係る車両の操舵装置
の全体概略図である。
【図2】 本発明の第2実施形態に係る車両の操舵装置
の全体概略図である。
【符号の説明】
10…入力部、10a…回転力−推進力変換機構、10
b…推進力−流体圧変換機構、11…スクリューロッ
ド、12…ナット、13…操舵ハンドル、20…出力
部、20a…流体圧−推進力変換機構、20b…推進力
−回転力変換機構、27…スクリューロッド、28…ナ
ット、30…流体圧伝達部、33,34…入力遮断制御
バルブ、42…ピニオンギヤ、43…ラック軸、44
a,44b…左右前輪、50…操舵シミュレータ部、6
6,67…電動モータ、70…電子制御回路、80…油
圧アシスト装置、81…油圧ポンプ、83−1〜83−
8…調圧バルブ、91…リザーバカットバルブ。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】両端にて転舵輪を接続してなり軸線方向の
    変位に応じて同転舵輪を左右に転舵するラック軸と、前
    記ラック軸と噛み合って軸線回りの回転により同ラック
    軸を軸線方向に変位させるピニオンギヤとを備えた車両
    の操舵装置において、 運転者によって入力された操舵力を流体圧に変換する入
    力手段と、 前記変換された流体圧を回転力に変換して同変換した回
    転力により前記ピニオンギヤを軸線回りに回転させる出
    力手段とを設けたことを特徴とする車両の操舵装置。
  2. 【請求項2】前記請求項1に記載した車両の操舵装置に
    おいて、さらに、 前記入力手段に流体圧を供給することにより前記運転者
    によって入力される操舵力に対する反力を付与する操舵
    反力付与手段を設けた車両の操舵装置。
  3. 【請求項3】前記請求項1または2に記載した車両の操
    舵装置において、前記入力手段を、 運転者によって操作される操作部に入力された回転力を
    軸線方向に変位可能な入力側作動部材の推進力に変換す
    る回転力−推進力変換機構と、 前記入力側作動部材の推進力を流体圧に変換するととも
    に前記入力側作動部材の軸線方向の変位を所定範囲内に
    制限する構造を有する推進力−流体圧変換機構と、 前記推進力−流体圧変換機構に組み付けられて前記入力
    側作動部材および前記入力手段の操作部を中立位置に付
    勢する中立付勢機構とで構成した車両の操舵装置。
  4. 【請求項4】前記請求項1ないし3のうちのいずれか一
    つに記載した車両の操舵装置において、さらに、 前記入力手段と前記出力手段との間に設けられて同入力
    手段から同出力手段への流体圧の伝達を選択的に遮断す
    る遮断弁と、 前記入力手段にて変換された流体圧とは独立して前記ピ
    ニオンギヤを軸線回りに回転駆動する回転駆動手段とを
    設けたことを特徴とする車両の操舵装置。
  5. 【請求項5】前記請求項4に記載した車両の操舵装置に
    おいて、前記出力手段を、 前記入力手段によって変換された流体圧を軸線方向に変
    位可能な出力側作動部材の推進力に変換する流体圧−推
    進力変換機構と、 前記流体圧−推進力変換機構によって変換された推進力
    を回転力に変換して前記ピニオンギヤに伝達する推進力
    ―回転力変換機構と、 前記回転駆動手段による前記ピニオン軸の回転駆動時
    に、前記流体圧−推進力変換機構にて発生されて前記出
    力側作動部材の変位に対抗する反力を選択的に解除する
    反力解除手段とで構成した車両の操舵装置。
  6. 【請求項6】前記請求項5に記載した車両の操舵装置に
    おいて、さらに、 前記流体圧−推進力変換機構における流体圧を検出する
    圧力検出手段を設けた車両の操舵装置。
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