JP2003258680A - Gps衛星信号の受信方法およびgps受信機 - Google Patents

Gps衛星信号の受信方法およびgps受信機

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JP2003258680A
JP2003258680A JP2002052731A JP2002052731A JP2003258680A JP 2003258680 A JP2003258680 A JP 2003258680A JP 2002052731 A JP2002052731 A JP 2002052731A JP 2002052731 A JP2002052731 A JP 2002052731A JP 2003258680 A JP2003258680 A JP 2003258680A
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英樹 粟田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 IFキャリアの同期保持が困難な状況におい
ても、拡散符号の同期保持を継続することができるよう
にしたGPS衛星信号の受信方法を提供する。 【解決手段】 IFキャリアの同期が外れたときには、
GPS衛星信号に追従するようにする制御を停止して、
GPS受信機において既知の情報を用いて、あるいは、
GPS受信機において既知の情報と軌道情報とを用い
て、前記中間周波キャリアの周波数を予測し、当該予測
した中間周波キャリア周波数により、前記中間周波キャ
リアの同期の引き込みを行うようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、GPS(Glo
bal Positioning System)衛星
信号の受信方法およびGPS受信機に関し、特に、GP
S衛星からの受信信号についての拡散符号およびキャリ
ア(搬送波)の同期に関する。
【0002】
【従来の技術】人工衛星(GPS衛星)を利用して移動
体の位置を測定するGPSシステムにおいて、GSP受
信機は、4個以上のGPS衛星からの信号を受信し、そ
の受信信号から受信機の位置を計算し、ユーザに知らせ
ることが基本機能である。
【0003】GPS受信機は、GPS衛星からの受信信
号(以下、この信号をGPS衛星信号という)を復調し
てGPS衛星の軌道データを獲得し、GPS衛星の軌道
および時間情報とGPS衛星信号の遅延時間から、自受
信機の3次元位置を連立方程式により導き出す。測位演
算のために4個のGPS衛星からの信号が必要となるの
は、GPS受信機内部の時間と衛星の時間とで誤差があ
り、その誤差の影響を除去するためである。
【0004】民生用GPS受信機の場合には、GPS衛
星(Navstar)からのL1帯、C/A(Clea
r and Aquisition)コードと呼ばれる
スペクトラム拡散信号電波を受信して、測位演算を行
う。
【0005】C/Aコードは、送信信号速度(チップレ
ート)が1.023MHz、符号長が1023のPN
(Pseudorandom Noise;擬似ランダ
ム雑音)系列の符号、例えばGold符号で、50bp
sのデータを拡散した信号により、周波数が1575.
42MHzのキャリアをBPSK(Binary Ph
ase Shift Keying)変調した信号であ
る。この場合、符号長が1023であるので、C/Aコ
ードは、PN系列の符号が、図38(A)に示すよう
に、1023チップを1周期(したがって、1周期=1
ミリ秒)として、繰り返すものとなっている。
【0006】このC/AコードのPN系列の符号(拡散
符号)は、GPS衛星ごとに異なっているが、どのGP
S衛星が、どのPN系列の符号を用いているかは、予め
GPS受信機で検知できるようにされている。また、後
述するような航法メッセージによって、GPS受信機で
は、どのGPS衛星からの信号を、その地点およびその
時点で受信できるかが判るようになっている。したがっ
て、GPS受信機では、例えば3次元測位であれば、そ
の地点およびその時点で取得できる4個以上のGPS衛
星からの電波を受信して、スペクトラム逆拡散し、測位
演算を行って、自分の位置を求めるようにする。
【0007】そして、図38(B)に示すように、衛星
信号データ(航法メッセージデータ)の1ビットは、P
N系列の符号の20周期分、つまり、20ミリ秒単位と
して伝送される。つまり、データ伝送速度は、50bp
sである。PN系列の符号の1周期分の1023チップ
は、ビットが“1”のときと、“0”のときとでは、反
転したものとなる。
【0008】図38(C)に示すように、GPSでは、
30ビット(600ミリ秒)で1ワードが形成される。
そして、図38(D)に示すように、10ワードで、1
サブフレーム(6秒)が形成される。図38(E)に示
すように、1サブフレームの先頭のワードには、データ
が更新されたときであっても常に規定のビットパターン
とされるプリアンブルが挿入され、このプリアンブルの
後にデータが伝送されてくる。
【0009】さらに、5サブフレームで、1メインフレ
ーム(30秒)が形成される。そして、航法メッセージ
は、この1メインフレームのデータ単位で伝送されてく
る。この1メインフレームのデータのうちの始めの3個
のサブフレームは、エフェメリス情報と呼ばれる衛星毎
に固有の軌道情報である。このエフェメリス情報は、1
メインフレーム単位(30秒)で繰り返し送られるもの
であり、その情報を送信してくる衛星の軌道を求めるた
めのパラメータと、衛星からの信号の送出時刻とを含
む。
【0010】すなわち、エフェメリス情報の3個のサブ
フレームの2番目のワードには、Week Numbe
rと、TOW(Time Of Week)と呼ばれる
時刻データが含まれる。Week Numberは、1
980年1月6日(日曜日)を第0週として1週ごとに
カウントアップする情報である。また、TOWは、日曜
日の午前0時を0として6秒ごとにカウントアップ(サ
ブフレームの周期でカウントアップ)する時間の情報で
ある。
【0011】GPS衛星のすべては、原子時計を備え、
共通の時刻データを用いており、各GPS衛星からの信
号の送出時刻は、原子時計に同期したものとされてい
る。上記の2つの時刻データを受信することにより絶対
時刻を求める。6秒以下の値は、衛星の電波に同期ロッ
クする過程で、そのGPS受信機が備える基準発振器の
精度で、衛星の時刻に同期するようにする。
【0012】また、各GPS衛星のPN系列の符号も、
原子時計に同期したものとして生成される。また、この
エフェメリス情報から、GPS受信機における測位計算
の際に用いられる衛星の位置および衛星の速度が求めら
れる。
【0013】エフェメリス情報は、地上の管制局からの
制御により比較的頻繁に更新される精度の高い暦であ
る。GPS受信機では、このエフェメリス情報をメモリ
に保持しておくことにより、当該エフェメリス情報を測
位計算に使用することができる。しかし、その精度上、
使用可能な寿命は、通常、2時間程度とされており、G
PS受信機では、エフェメリス情報をメモリに記憶した
時点からの時間経過を監視して、その寿命を超えたとき
には、メモリのエフェメリス情報を更新して書き換える
ようにしている。
【0014】なお、新しいエフェメリス情報をGPS受
信機から取得して、その取得したエフェメリス情報にメ
モリの内容を更新するには、最低18秒(3サブフレー
ム分)が必要であり、サブフレームの途中からデータが
取れたときには、連続30秒が必要となる。
【0015】1メインフレームのデータの残りの2サブ
フレームの軌道情報は、アルマナック情報と呼ばれる全
ての衛星から共通に送信される情報である。このアルマ
ナック情報は、全情報を取得するために25フレーム分
必要となるもので、各GPS衛星のおおよその位置情報
や、どのGPS衛星が使用可能かを示す情報などからな
る。
【0016】このアルマナック情報も、地上の制御局か
らの制御により数日ごとに更新される。このアルマナッ
ク情報も、これをGPS受信機のメモリに保持して使用
することができるが、その寿命は、数か月とされてお
り、通常は、数ヶ月毎に、メモリのアルマナック情報
は、GPS衛星から取得した新しい情報に更新される。
GPS受信機のメモリに、このアルマナック情報を蓄え
ておけば、電源投入後、どのチャンネルにどの衛星を割
り当てればよいかを計算することができる。
【0017】GPS受信機で、GPS衛星信号を受信し
て、上述のデータを得るためには、GPS受信機に用意
される受信しようとするGPS衛星で用いられているC
/Aコードと同じPN系列の符号(以下、PN系列の符
号をPN符号という)を用いて、そのGPS衛星信号に
ついて、C/Aコードの位相同期を取ることによりGP
S衛星信号を捕捉し、スペクトラム逆拡散を行う。C/
Aコードとの位相同期が取れて、逆拡散が行われると、
ビットが検出されて、GPS衛星信号から時刻情報等を
含む航法メッセージを取得することが可能になる。
【0018】GPS衛星信号の捕捉は、C/Aコードの
位相同期検索により行われるが、この位相同期検索にお
いては、GPS受信機のPN符号(拡散符号)とGPS
衛星からの受信信号のPN符号(拡散符号)との相関を
検出し、例えば、その相関検出結果の相関値が予め定め
た値よりも大きい時に、両者が同期していると判定す
る。そして、同期が取れていないと判別されたときに
は、何らかの同期手法を用いて、GPS受信機のPN符
号の位相を制御して、受信信号のPN符号と同期させる
ようにしている。
【0019】ところで、上述したように、GPS衛星信
号は、データを拡散符号で拡散した信号によりキャリア
をBPSK変調した信号であるので、当該GPS衛星信
号をGPS受信機が受信するには、拡散符号のみでな
く、キャリアおよびデータの同期をとる必要があるが、
拡散符号とキャリアの同期は独立に行うことはできな
い。
【0020】そして、GPS受信機では、受信信号は、
そのキャリア周波数を数MHz以内の中間周波数に変換
して、その中間周波数信号で、上述の同期検出処理する
のが普通であるが、この中間周波数信号におけるキャリ
アには、主にGPS衛星の移動速度に応じたドップラー
シフトによる周波数誤差と、受信信号を中間周波数信号
に変換する際に、GPS受信機内部で発生させる局部発
振器の周波数誤差分が含まれる。
【0021】したがって、これらの周波数誤差要因によ
り、中間周波数信号におけるキャリア周波数は未知であ
り、その周波数サーチが必要となる。また、拡散符号の
1周期内での同期点(同期位相)は、GPS受信機とG
PS衛星との位置関係に依存するのでこれも未知である
から、上述のように、何らかの同期手法が必要となる。
【0022】従来のGPS受信機では、周波数サーチを
伴なうスライディング相関によりキャリアおよび拡散符
号についての同期検出を行うと同時に、DLL(Del
ayLocked Loop)とコスタスループとによ
り、同期捕捉および同期保持動作をするようにしてい
る。これについて、以下に説明を加える。
【0023】GPS受信機のPN符号の発生器を駆動す
るクロックは、GPS受信機に用意される基準周波数発
振器を分周したものが、一般に用いられている。この基
準周波数発振器としては、高精度の水晶発振器が用いら
れており、この基準周波数発振器の出力から、GPS衛
星からの受信信号を中間周波数信号に変換するのに用い
る局部発振信号を生成する。
【0024】図39は、上述した周波数サーチを説明す
るための図である。すなわち、GPS受信機のPN符号
の発生器を駆動するクロック信号の周波数が、ある周波
数f1であるときに、PN符号についての位相同期検
索、つまり、PN符号の位相を1チップずつ順次ずらし
て、それぞれのチップ位相のときのGPS受信信号とP
N符号との相関を検出し、相関のピーク値を検出するこ
とにより、PN符号の同期が取れる位相(拡散符号の位
相)を検出するようにする。
【0025】前記クロック信号の周波数がf1のときに
おいて、1023チップ分の位相検索の全てで同期する
位相が存在しなければ、キャリア周波数の同期が取れて
いないので、例えば基準周波数発振器に対する分周比を
変えて、前記駆動クロック信号の周波数を周波数f2に
変更し、同様に1023チップ分の位相検索を行う。こ
れを、図39のように、前記駆動クロック信号の周波数
をステップ的に変更して繰り返す。以上の動作が周波数
サーチである。
【0026】そして、この周波数サーチにより、同期可
能とされる駆動クロック信号の周波数が検出されると、
そのクロック周波数で最終的なPN符号の同期捕捉が行
われる。このときのクロック周波数からキャリア周波数
が検出できる。これにより、水晶周波数発振器の発振周
波数ずれがあっても、衛星信号を捕捉することが可能に
なる。
【0027】
【発明が解決しようとする課題】ところで、GPS衛星
からの信号が弱い状況下においては、キャリアの同期が
不完全であるのにもかかわらず、GPS衛星信号の拡散
符号と、GPS受信機の拡散符号との同期は保持されて
いるという状態がしばしば発生する。これは、拡散符号
の1周期は1ミリ秒であるのに対して、キャリア周波数
は、高周波数であることから生じる。
【0028】このようにキャリア周波数の同期が外れた
状態になったGPS受信信号であっても、拡散符号の同
期が保持されて、拡散符号の位相が既知となっていれ
ば、GPS受信機の位置の導出は可能である。しかし、
このような、拡散符号の同期は取れているがキャリア周
波数の同期が取れていない状態が長く続くと、拡散符号
の同期も外れてしまうという問題が生じる。
【0029】すなわち、GPS衛星からの受信信号のキ
ャリア周波数は、GPS受信機に対するGPS衛星の相
対運動によるドップラーシフトのため、常に変化しつづ
けている。キャリア周波数の同期が取れている状態であ
れば、GPS受信機では、そのドップラーシフトによる
キャリア周波数の変化に追従し、安定な同期保持ができ
る。
【0030】しかし、キャリア周波数の同期が外れた状
態になったGPS受信機では、ドップラーシフトにより
変化してゆくキャリア周波数には追従しないので、ある
程度キャリア周波数がずれたところで、GPS衛星信号
の拡散符号と、GPS受信機の拡散符号との同期も保持
できなくなる。
【0031】このようにキャリア周波数と拡散符号の両
方の同期が外れてしまうと、従来の場合には、上述した
ような手順により、その両方の同期が外れた状態から同
期を確立する必要があるが、その際に、従来は、未知で
あるキャリア周波数の状態から、同期捕捉をするように
しているため、その同期確立までに時間がかかってしま
うことになる。
【0032】また、従来は、拡散符号についての同期が
取れているかどうかと、キャリア周波数についての同期
が取れているかどうかとを別々に判定していないため、
上述のように、拡散符号の同期が取れている状態で、キ
ャリア周波数の同期が不完全になったとしても、上述の
ように、拡散符号の同期も外れたところから、同期の再
捕捉をする必要があるという問題もあった。
【0033】この発明は、以上の点にかんがみ、キャリ
アの同期保持が困難な状況においても、拡散符号の同期
保持を継続することができるようにしたGPS衛星信号
の受信方法およびGPS受信機を提供することを目的と
する。
【0034】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1の発明によるGPS衛星信号の受信方法
は、GPS衛星からの受信信号の受信周波数を中間周波
数に変換し、この中間周波数において、前記GPS衛星
からの受信信号の拡散符号と受信側の拡散符号との同期
および前記GPS衛星からの受信信号の中間周波キャリ
アの同期を取るようにするGPS衛星信号の受信方法に
おいて、GPS受信機において既知の情報を用いて、前
記中間周波キャリアの周波数を予測し、当該予測した中
間周波キャリア周波数により、前記中間周波キャリアの
同期の引き込みを行うようにする同期引き込み工程を備
えることを特徴とする。
【0035】請求項2の発明は、請求項1に記載のGP
S衛星信号の受信方法において、前記既知の情報は、G
PS受信機の位置と、前記GPS受信機の速度と、前記
GPS衛星の位置と、前記GPS衛星の速度と、前記G
PS衛星からの受信信号の受信周波数を前記中間周波数
に周波数変換するための局部発振周波数の誤差であるこ
とを特徴とする。
【0036】上記の構成の請求項1の発明によれば、例
えば同期が外れたときには、その同期外れが生じる直前
の、例えば請求項2のように、GPS受信機の位置と、
GPS受信機の速度と、GPS衛星の位置と、GPS衛
星の速度と、GPS衛星からの受信信号の受信周波数を
中間周波数に周波数変換するための局部発振周波数の誤
差から中間周波キャリアの周波数を予測し、その予測値
あるいはその近傍の中間周波数を初期値として、少なく
とも前記中間周波キャリアの同期の引き込みを行うよう
にする。この結果、同期引き込みまでの時間を早くする
ことができる。
【0037】また、請求項3の発明は、GPS衛星から
の受信信号の受信周波数を中間周波数に変換し、この中
間周波数において、前記GPS衛星からの受信信号の拡
散符号と受信側の拡散符号との同期および前記GPS衛
星からの受信信号の中間周波キャリアの同期を取るよう
にするGPS衛星信号の受信方法において、GPS受信
機において既知の情報と、GPS受信機に記憶している
GPS衛星についての軌道情報から計算した情報とを用
いて、前記中間周波キャリアの周波数を予測し、当該予
測した中間周波キャリア周波数により、前記中間周波キ
ャリアの同期の引き込みを行うようにする同期引き込み
工程を備えることを特徴とする。
【0038】そして、請求項4の発明は、請求項3に記
載のGPS衛星信号の受信方法において、前記既知の情
報は、GPS受信機の位置と、前記GPS受信機の速度
と、前記中間周波数に周波数変換するための局部発振周
波数の誤差と、前記GPS衛星からの受信信号の拡散符
号の位相であり、前記同期引き込み工程では、前記GP
S受信機が記憶するGPS衛星の軌道情報と、前記既知
である拡散符号の位相の情報とから、前記GPS衛星の
位置と、前記GPS衛星の速度とを計算し、前記既知の
GPS受信機の位置、前記GPS受信機の速度および前
記中間周波数に周波数変換するための局部発振周波数の
誤差と、前記計算された前記GPS衛星の位置および前
記GPS衛星の速度とから、前記中間周波キャリア周波
数を予測することを特徴とする。
【0039】また、請求項5の発明は、請求項3に記載
のGPS衛星信号の受信方法において、前記既知の情報
は、GPS受信機の位置と、前記GPS受信機の速度
と、前記中間周波数に周波数変換するための局部発振周
波数の誤差と、現在時刻であり、前記同期引き込み工程
では、前記GPS受信機が記憶する軌道情報と、前記現
在時刻とから、前記GPS衛星の位置と、前記GPS衛
星の速度とを計算し、前記既知のGPS受信機の位置、
前記GPS受信機の速度および前記中間周波数に周波数
変換するための局部発振周波数の誤差と、前記計算され
た前記GPS衛星の位置および前記GPS衛星の速度と
から、前記中間周波キャリア周波数を予測することを特
徴とする。
【0040】上述の請求項3の発明によれば、例えば同
期が外れたときには、その同期外れが生じる直前の、既
知の情報と、記憶部に記憶されているGPS衛星の軌道
情報とから、中間周波キャリアの周波数が予測し、その
予測値あるいはその近傍の中間周波数を初期値として、
中間周波キャリアの同期の引き込みが行われる。この結
果、同期引き込みまでの時間を早くすることができる。
【0041】そして、請求項4の発明の場合には、GP
S衛星信号の拡散符号の位相が既知である場合に、GP
S受信機が記憶するGPS衛星の軌道情報と、当該既知
である拡散符号の位相の情報とから、GPS衛星の位置
と、GPS衛星の速度とが計算され、それら計算された
情報と、既知のGPS受信機の位置、GPS受信機の速
度および中間周波数に周波数変換するための局部発振周
波数の誤差とから、中間周波キャリア周波数が予測され
る。したがって、精度良く中間周波キャリア周波数を予
測することができる。
【0042】また、請求項5の発明の場合には、GPS
衛星信号の拡散符号の位相が未知であったとしても、現
在時刻の情報とGPS受信機が記憶するGPS衛星の軌
道情報とから、GPS衛星の位置と、GPS衛星の速度
とが計算され、それら計算された情報と、既知のGPS
受信機の位置、GPS受信機の速度および中間周波数に
周波数変換するための局部発振周波数の誤差とから、中
間周波キャリア周波数が予測される。
【0043】また、請求項6の発明は、請求項1または
請求項3に記載のGPS衛星信号の受信方法において、
拡散符号および中間周波キャリアの同期状態を判別する
同期状態判別工程を備え、前記同期引き込み工程におい
ては、前記同期状態判別工程で、前記拡散符号の同期は
確保されているが、前記中間周波キャリアの同期が外れ
ていると判別したときに、前記予測された中間周波キャ
リア周波数により、前記中間周波キャリアの同期の引き
込みを行うことを特徴とする。
【0044】この請求項6の発明によれば、拡散符号の
同期は外れていないが、中間周波キャリア周波数の同期
が外れている場合に、予測した中間周波キャリア周波
数、あるいはその近傍の周波数から中間周波キャリアの
同期の引き込みが行われるので、拡散符号の同期が外れ
る前に、中間周波キャリアの同期が引き込まれて、同期
保持状態を維持することができるようになる。
【0045】また、請求項7の発明によれば、請求項1
または請求項3に記載のGPS衛星信号の受信方法にお
いて、前記拡散符号の同期および前記中間周波キャリア
の同期は、コスタスループと、DLL(Delay L
ocked Loop)とを用いるものであると共に、
拡散符号および中間周波キャリアの同期状態を判別する
同期状態判別工程を備え、前記同期引き込み工程では、
前記同期状態判別工程で、前記拡散符号の同期は確保さ
れているが、前記中間周波キャリアの同期が外れている
と判別したときに、前記コスタスループのループを開に
してから、前記予測された中間周波キャリア周波数によ
り、前記中間周波キャリアの同期の引き込みを行い、前
記中間周波キャリアの同期が取れた後に、前記コスタス
ループのループを閉じることを特徴とする。
【0046】この請求項7の発明によれば、拡散符号の
同期は確保されているが、中間周波キャリアの同期が外
れていると判別したときには、コスタスループのループ
を開にしてから、そのコスタスループにおいて、予測さ
れた中間周波キャリア周波数あるいはその近傍から中間
周波キャリアの同期の引き込みが行われ、中間周波キャ
リアの同期が取れた後に、コスタスループのループが閉
じられる。
【0047】したがって、GPS衛星からの受信信号の
信号強度が弱くなり、中間周波キャリアの同期保持が困
難な状況においても、拡散符号の同期保持を継続するこ
とができるとともに、予測した中間周波キャリア周波数
のところから中間周波キャリアの同期引き込みを行うの
で、GPS衛星信号の信号強度が再び強い状態になった
ときに、即座に中間周波キャリアの同期引き込みができ
るという効果がある。
【0048】
【発明の実施の形態】以下、この発明によるGPS受信
機の実施形態を、図を参照しながら説明する。
【0049】以下に説明する実施形態のGPS受信機
は、従来の周波数サーチを伴なうスライディング相関
と、DLL(Delay Locked Loop)お
よびコスタスループとにより、キャリアおよび拡散符号
についての同期捕捉を行うと同時に同期保持動作をする
方法の欠点を改善した構成を備える。
【0050】すなわち、周波数サーチを伴なうスライデ
ィング相関と、DLL(DelayLocked Lo
op)およびコスタスループとにより、キャリアおよび
拡散符号についての同期捕捉を行うと同時に同期保持動
作をするという、従来の手法では、周波数サーチを伴な
うスライディング相関の方法が、上述したように、原理
的に高速同期には不向きであって、拡散符号およびキャ
リアの同期に時間を要するという欠点があった。そし
て、このように拡散符号およびキャリアの同期に時間を
要すると、GPS受信機の反応が遅くなり、使用上にお
いて不便を生ずる。
【0051】従来、実際のGPS受信機においては、上
記の欠点を改善するため、多チャンネル化してパラレル
に同期点を探索する必要があり、従来方式のままで大幅
なチャンネル増を行うとGPS受信機の構成が複雑とな
ると共に、コスト高となり、また、多チャンネルでパラ
レルに同期点を検索するものであるため、消費電力も大
きくなっていた。消費電力の問題は、携帯型のGPS受
信機の場合には大きな問題である。
【0052】また、上述の従来の場合には、拡散符号お
よびキャリアの同期捕捉と同期保持とは、周波数サーチ
を伴なうスライディング相関と、DLL(Delay
Locked Loop)およびコスタスループとによ
り、一体的に行っているので、例えばGPS衛星からの
信号が途切れたときには、同期捕捉および同期保持を、
再度、一体的に行う必要があり、再同期捕捉および同期
保持までの時間が長くなってしまうという問題もあっ
た。
【0053】さらに、上述の従来の場合には、拡散符号
およびキャリアの同期捕捉と同期保持とは、周波数サー
チを伴なうスライディング相関と、DLL(Delay
Locked Loop)およびコスタスループとに
より、一体的に行っているので、GPS受信機の感度を
上げようとすると、原理的に同期捕捉および同期保持の
ための処理時間がかなり長くなってしまうことから、G
PS受信機の感度を上げることが容易ではないという問
題もあった。
【0054】この実施形態のGPS受信機は、以上の問
題点を解消できるように構成したものである。
【0055】[実施形態のGPS受信機の全体構成]図
1は、この実施形態のGPS受信機の構成例を示すブロ
ック図であり、周波数変換部10と、同期捕捉部20
と、同期保持部30と、制御部40と、GPSアンテナ
1と、温度補償付き水晶発振回路からなる基準発振回路
2と、タイミング信号生成回路3と、水晶発振回路4と
を備えて構成される。
【0056】制御部40は、CPU(Central
Processing Unit)41に対して、プロ
グラムROM(Read Only Memory)4
2と、ワークエリア用のRAM(Random Acc
ess Memory)43と、実時間(RTC(Re
al Time Clock))を計測するための時計
回路44と、タイマ45と、軌道情報用メモリ46とが
接続されて構成されている。
【0057】タイマ45は、各部の動作に必要な各種タ
イミング信号の生成および時間参照に使用される。軌道
情報用メモリ46は、不揮発性メモリとされ、これには
GPS衛星信号から抽出したアルマナック情報およびエ
フェメリス情報からなる軌道情報が記憶される。軌道情
報用メモリ46に対して、エフェメリス情報は、例えば
2時間毎に更新され、また、アルマナック情報は、例え
ば数日あるいは数ヶ月毎に更新される。
【0058】基準発振回路2からの基準クロック信号
は、逓倍/分周回路3に供給されると共に、後述するよ
うに、周波数変換部10の周波数変換用の局部発振回路
15に供給される。逓倍/分周回路3は、基準クロック
信号を逓倍して、また、分周して、同期捕捉部20、同
期保持部30および制御部40などに供給するクロック
信号を生成する。逓倍/分周回路3は、制御部40のC
PU41により逓倍比や分周比が制御される。
【0059】なお、水晶発振回路4からのクロック信号
は、制御部40の時計回路44用のものとされている。
制御部40の時計回路44以外の部位のクロック信号
は、逓倍/分周回路3からのクロック信号とされる。
【0060】[周波数変換部10の構成]GPS衛星信
号は、前述もしたように、各GPS衛星から送信される
信号であり、50bpsの送信データを、送信信号速度
が1.023MHzで、符号長が1023であって、G
PS衛星ごとに決められているパターンのPN符号(拡
散符号)によりスペクトラム拡散した信号(C/Aコー
ド)により、周波数が1575.42MHzのキャリア
(搬送波)をBPSK変調したものである。
【0061】アンテナ1にて受信された1575.42
MHzのGPS衛星信号は、周波数変換部10に供給さ
れる。周波数変換部10では、アンテナ1にて受信され
たGPS衛星信号が、低雑音増幅回路11にて増幅され
た後、バンドパスフィルタ12に供給されて、不要帯域
成分が除去される。バンドパスフィルタ12からの信号
は、高周波増幅回路13を通じて中間周波変換回路14
に供給される。
【0062】また、基準発振回路2の出力が、PLL
(Phase Locked Loop)シンセサイザ
方式の局部発振回路15に供給され、この局部発振回路
15より基準発振器2の出力周波数に対して周波数比が
固定された局部発振出力が得られる。そして、この局部
発振出力が中間周波変換回路14に供給されて、GPS
衛星信号が、信号処理し易い中間周波数、例えば1.0
23MHzの中間周波信号に低域変換される。
【0063】中間周波変換回路14からの中間周波信号
は、増幅回路16で増幅され、ローパスフィルタ17で
帯域制限された後、A/D変換器18で、この例では、
1ビットのデジタル信号(以下、この信号をIFデータ
という)に変換される。このIFデータは、同期捕捉部
20および同期保持部30に供給される。なお、A/D
変換器18では、その入力信号を、2ビット以上のデジ
タル信号に変換して出力するようにしてもよい。
【0064】すなわち、この実施形態では、IFデータ
は、従来のスライディング相関およびコスタスループ+
DLLのような同期捕捉・同期保持一体化回路に供給さ
れるのではなく、機能的に分離された同期捕捉部20
と、同期保持部30に供給される。
【0065】この実施形態において、同期捕捉部20
は、GPS衛星信号についての同期捕捉、つまり、GP
S衛星信号の拡散符号の位相検出および中間周波信号の
周波数(以下、IFキャリア周波数という)の検出を行
う。同期保持部30は、同期捕捉部20で捕捉したGP
S衛星信号の拡散符号とIFキャリアの同期保持を行
う。
【0066】[同期捕捉部20と同期保持部30の構
成]この実施形態では、後述するように、同期捕捉部2
0では、周波数変換部10からのIFデータの所定時間
分をメモリに取り込み、このメモリに取り込んだIFデ
ータについて、GPS衛星信号の拡散符号と、GPS受
信機が持つ個々のGPS衛星の拡散符号に対応する拡散
符号との相関演算を行って、拡散符号の位相同期捕捉を
行う。
【0067】拡散符号の位相同期捕捉に関しては、上述
のようなスライディング相関の手法を用いることなく、
スペクトラム拡散信号の同期捕捉を高速に行う方法とし
て、マッチドフィルタを用いる方法がある。
【0068】マッチドフィルタは、トランスバーサルフ
ィルタにより、デジタル的に実現可能である。また、近
年は、DSP(Digital Signal Pro
cessor)に代表されるハードウエアの能力の向上
によって、高速フーリエ変換(以下、FFT(Fast
Fourier Transform)という)処理
を用いたデジタルマッチドフィルタにより、拡散符号の
同期を高速に行う手法が実現している。ただし、デジタ
ルマッチドフィルタそのものは、拡散符号の同期を保持
する機能を有しない。
【0069】後者のFFT処理を用いる方法は、古くか
ら知られる相関計算の高速化方法に基づいており、受信
機側の拡散符号と、受信信号の拡散符号との間に相関が
ある場合には、後述する図4に示すような相関のピーク
が検出され、ピークの位置が拡散符号の先頭の位相であ
る。したがって、この相関のピークを検出することで、
拡散符号の同期を捕捉、すなわち、受信信号における拡
散符号の位相を検出することができる。
【0070】受信信号のキャリア(中間周波数)は、F
FTを利用した方法で、FFTの周波数領域での操作に
より、拡散符号の位相とともに検出することができる。
拡散符号の位相は、疑似距離に換算され、4個以上の衛
星が検出されれば、GPS受信機の位置を計算すること
ができる。また、キャリア周波数が検出されると、ドッ
プラーシフト量が判り、これにより、GPS受信機の速
度が計算できる。
【0071】以上のことから、この実施形態では、高速
フーリエ変換(以下、FFT(Fast Fourie
r Transform)という)処理を用いたデジタ
ルマッチドフィルタにより拡散符号についての相関計算
を行い、その相関計算に基づいて同期捕捉処理を高速に
行う。
【0072】アンテナ1で受信されるGPS衛星信号に
は、複数のGPS衛星からの信号が含まれているが、同
期捕捉部20では、すべてのGPS衛星についての拡散
符号の情報を用意しており、その用意されている拡散符
号の情報を用いて、その時点でGPS受信機が利用可能
な複数個のGPS衛星信号の拡散符号との相関を計算す
ることにより、それらの複数個のGPS衛星信号の同期
捕捉をすることが可能である。
【0073】同期捕捉部20では、いずれのGPS衛星
用の拡散符号の情報を用いて同期捕捉したかにより、い
ずれのGPS衛星からの信号の同期捕捉をしたかを検知
する。当該同期捕捉したGPS衛星の識別子としては、
例えばGPS衛星番号が用いられる。
【0074】そして、同期捕捉部20は、同期捕捉した
GPS衛星の衛星番号の情報と、同期捕捉により検出し
た拡散符号の位相の情報と、IFキャリア周波数の情報
と、また、必要に応じて、相関の度合いを示す相関検出
信号からなる信号強度の情報を、同期保持部30に渡す
ようにする。
【0075】同期捕捉部20で検出した衛星番号、拡散
符号の位相、IFキャリア周波数、信号強度の情報を、
同期保持部30へ渡す方法としては、データのフォーマ
ット、割り込みの方法等を決めた上で、同期捕捉部20
から同期保持部30へ直接渡す方法と、制御部40を介
して渡す方法とがある。
【0076】前者の場合には、同期捕捉部20のDSP
23で、同期保持部30に渡す情報を生成する。あるい
は、同期保持部30に、例えばDSPで構成される制御
部を設け、その制御部で、同期捕捉部20からの情報に
基づいて、同期保持部30で必要な情報を生成する構成
とする。
【0077】また、後者の場合には、制御部40のCP
U41が制御し、CPU41を介して情報の受け渡し、
またCPU41から同期捕捉部20および同期保持部3
0の制御を行うことができるので、後述する拡散符号の
位相補正や、同期捕捉部20と同期保持部30の状況に
応じた多様な同期手順を設定しやすくなる。
【0078】そこで、以下に説明する実施形態では、同
期捕捉部20から、衛星番号、拡散符号の位相、IFキ
ャリア周波数、信号強度の情報を、同期保持部30へ渡
す方法としては、制御部40を介して渡す方法を採用し
ている。
【0079】[同期捕捉部20の構成]図2は、同期捕
捉部20の構成例を示すものであって、この例では、サ
ンプリング回路21と、データバッファ用のRAM(R
andom Access Memory)22と、D
SP(Digital Signal Process
or)23と、プログラムROM(Read Only
Memory)と、ワークエリア用のRAMとからな
るDSP23用のメモリ部24とを備えて構成される。
DSP23およびDSP用のメモリ部24とは、制御部
40のCPU41に接続されている。
【0080】サンプリング回路21では、周波数変換部
10からの1.023MHzのIFデータを、その2倍
以上の所定の周波数でサンプリングし、各サンプリング
値をRAM22に書き込む。RAM22は、所定時間長
分のIFデータを記憶する容量を有する。DSP23で
は、このRAM22の容量分の時間長のIFデータ単位
に同期捕捉処理を行う。
【0081】すなわち、この例では、DSP23は、R
AM22に取り込んだIFデータについて、高速フーリ
エ変換(以下、FFT(Fast Fourier T
ransform)という)処理を用いたデジタルマッ
チドフィルタにより、拡散符号の同期捕捉を高速に行
う。そして、DSP23は、その同期捕捉の結果とし
て、同期捕捉したGPS衛星番号と、同期捕捉したGP
S衛星信号の拡散符号の位相およびそのIFキャリア周
波数とを検出する。
【0082】サンプリング回路21におけるサンプリン
グ周波数により、拡散符号の位相の検出精度が決まる。
このサンプリング周波数は、サンプリング定理からIF
信号に含まれる最大周波数の2倍以上である必要があ
り、IFキャリア周波数の整数倍の周波数が望ましい。
【0083】また、RAM22の容量により決まるDS
P23での処理単位の時間長により、IFキャリア周波
数の検出精度が決まる。このDSP23での処理単位の
時間長は、拡散符号の1周期の整数倍、後述のように、
特に2のべき乗倍が望ましい。
【0084】ここで、サンプリング回路21でのサンプ
リング周波数を、拡散符号のチップレートのα倍、RA
M22に取り込むIFデータの時間長を拡散符号の1周
期のβ倍(βミリ秒)とすると、DSP23では、FF
Tの周波数領域での操作により、拡散符号の位相は1/
αチップの精度で検出することができ、IFキャリア周
波数は、1/βkHz(±1/2βkHz)の精度で検
出することができる。
【0085】次に、DSP23におけるFFTを用いた
デジタルマッチドフィルタによる同期捕捉のいくつかの
例について詳述する。
【0086】〔デジタルマッチドフィルタによる同期捕
捉の第1の例〕この例においては、サンプリング回路2
1でのサンプリング周波数は、拡散符号のチップレート
のほぼ4倍の4倍の4.096MHzとされる。そし
て、RAM22には、拡散符号の1周期分(1ミリ秒)
である4096サンプル点のデータを記憶する。DSP
23は、このRAM22に取り込まれた1ミリ秒単位の
データについて、GPS衛星信号の拡散符号とGPS受
信機の拡散符号との相関を、FFTを用いた相関演算に
より計算して、同期捕捉を行う。拡散符号の1周期分
は、1023チップであるから、1/4チップの精度で
拡散符号の位相検出が可能となる。また、IFキャリア
周波数の検出精度は、1ミリ秒単位のFFT処理である
ので、1kHzである。
【0087】この例では、図3に示すように、DSP2
3では、RAM22に書き込まれた1ミリ秒単位のIF
データを読み出して、FFT処理部101でFFT処理
し、そのFFT結果をメモリ102に書き込む。そし
て、メモリ102から読み出した受信信号のFFT結果
は、乗算部103に供給する。
【0088】一方、拡散符号発生部104から、GPS
衛星からの受信信号に使用されている拡散符号と同じ系
列と考えられる拡散符号を発生させる。実際的には、拡
散符号発生部104からは、予め用意されている複数個
のGPS衛星の拡散符号が順次に切り換えられて出力さ
れることになる。
【0089】この拡散符号発生部104からの1周期分
(1023チップ)の拡散符号は、FFT処理部105
に供給されてFFT処理され、その処理結果がメモリ1
06に供給される。このメモリ106からは、通常の場
合と同様に、FFT結果が低い周波数から順に読み出さ
れて乗算部103に供給される。
【0090】乗算部103では、メモリ102からの受
信信号のFFT結果と、メモリ106からの拡散符号の
FFT結果とが乗算され、周波数領域における受信信号
と拡散符号との相関の度合いが演算される。ここで、乗
算部103での乗算は、受信信号の離散フーリエ変換結
果と、拡散符号の離散フーリエ変換結果とのどちらか一
方の複素共役と他方とを乗算する演算となる。そして、
その乗算結果は逆FFT処理部107に供給されて、周
波数領域の信号が時間領域の信号に戻される。
【0091】逆FFT処理部107から得られる逆FF
T結果は、受信信号と拡散符号との時間領域における相
関検出信号となっている。この相関検出信号は、相関点
検出部108に供給される。
【0092】この相関検出信号は、拡散符号の1周期分
の各チップ位相における相関値を示すものとなってお
り、所定の強度以上である受信信号中の拡散符号と、拡
散符号発生部104からの拡散符号とが同期している位
相(拡散符号の1周期分単位の位相)においては、図4
に示すように、1023チップのうちのある一つの位相
での相関値が、予め定められるスレッショールド値を超
えるようなピーク値を示す相関波形が得られる。このピ
ーク値の立つチップ位相が、相関点の位相であり、GP
S受信機側の拡散符号に対するGPS衛星信号の拡散符
号の1周期の先頭の位相となる。
【0093】一方、受信信号が所定の強度以下である場
合、受信信号中の拡散符号と、拡散符号発生部104か
らの拡散符号とが同期しても、図4のようなピーク値が
立つ相関波形は得られず、いずれのチップ位相において
も、予め定められるスレッショールド値を超えるような
ピークは立たない。
【0094】相関点検出部108は、例えば、予め定め
た値を超えるピーク値が、この相関点検出部108に供
給される相関検出信号に存在するかどうかにより、受信
信号と拡散符号との同期が取れたかどうかを検出する。
【0095】相関点検出部108で同期が取れたことを
検出した場合には、前記ピーク値の位相を相関点、つま
り、GPS衛星信号の拡散符号の位相として検出する。
そして、DSP23は、そのときの拡散符号発生部10
4からの拡散符号がいずれのGPS衛星用のものである
かにより、GPS衛星番号を認識する。
【0096】また、図4に示した相関検出信号は時間領
域のものであるが、後述する処理により中間周波受信信
号におけるキャリア成分を正しく除去した場合にのみ相
関のピークが検出される。
【0097】そして、除去を行ったキャリア成分の周波
数が、前記の予め定めた値を超えるピーク値が立つ相関
点に対応する、ドップラーシフト分を含めたIFキャリ
ア周波数となる。したがって、このドップラーシフト分
を含めたIFキャリア周波数が、相関点検出の結果とし
てDSP23において、検出される。
【0098】以上のようにして、一つのGPS衛星につ
いての同期捕捉が完了すると、この例では、拡散符号発
生部104から発生させる拡散符号を他のGPS衛星信
号の拡散符号に対応するものに変更して、上記の処理を
繰り返す。また、同期が取れなかった場合にも、DSP
23では、拡散符号発生部104から発生させる拡散符
号を他のGPS衛星信号の拡散符号に対応するものに変
更して、上記の処理を繰り返す。
【0099】そして、DSP23では、サーチすべき全
GPS衛星についての同期捕捉処理が終了したとき、あ
るいは制御部40のCPU41からの情報により、例え
ば4個以上のGPS衛星についての拡散符号の同期が取
れたときに、以上の同期捕捉処理を終了する。
【0100】DSP23は、その同期捕捉の結果として
検出した、同期捕捉したGPS衛星番号と、同期捕捉し
たGPS衛星信号の拡散符号の位相およびそのIFキャ
リア周波数とからなる情報を、制御部40に供給する。
また、この例では、DSP23は、同期捕捉した各GP
S衛星信号についての相関点のピーク値をも、制御部4
0に供給するようにしている。
【0101】以上の説明では、受信信号のキャリアの処
理を考慮していないが、実際には、受信信号r(n)
は、図40の式(3)に示すようにキャリアを含んでい
る。この式(3)において、Aは振幅、d(n)はデー
タ、foは中間周波信号におけるキャリア周波数、n
(n)はノイズを表している。
【0102】サンプリング部21でのサンプリング周波
数をfs 、拡散符号の1周期分についてのサンプリング
数をN(したがって、0≦n<N)とすると、離散フー
リエ変換後の離散周波数k(0≦k<N)と実周波数f
との関係は、 0≦k≦N/2ではf=k・fs /N、 N/2<k<Nではf=(k−N)・fs /N(f<
0) である。なお、離散フーリエ変換の性質により、R
(k)、C(k)は、k<0およびk≧Nでは循環性を
示す。
【0103】そして、受信信号r(n)から、データd
(n)を得るためには、拡散符号c(n)とキャリアc
os2πnf0との同期をとってキャリア成分を除去す
る必要がある。すなわち、後述する図40の式(2)
で、R(k)のみにキャリア成分が含まれている場合に
は、図4のような相関波形が得られない。
【0104】この実施の形態では、FFTによる周波数
領域での処理のみの簡単な構成により、拡散符号c
(n)とキャリアcos2πnf0との同期をとってキ
ャリア成分を除去することができるようにしている。
【0105】すなわち、FFT処理部101から得られ
るGPS衛星からの受信信号のFFT結果は、通常は、
受信信号の周波数成分の周波数が低いものから順にメモ
リ102から読み出されて、乗算部103に供給される
が、この実施の形態では、メモリ102からは、読み出
しアドレス制御部109からの制御に従って、読み出し
アドレスがシフト制御されて、順次、受信信号のFFT
結果が読み出される。
【0106】読み出しアドレス制御部109には、受信
信号を得たGPS衛星についてのドップラーシフト量を
正確に見積もり、かつ、GPS受信機内部の発振周波数
および時間情報を正確に校正することに基づいて検出し
た受信信号のキャリア周波数の情報が供給される。この
キャリア周波数の情報は、GPS受信機内部でのみ生成
することもできるが、外部から取得するようにすること
もできる。
【0107】そして、読み出しアドレス制御部109
は、GPS受信機内部で生成した、あるいは外部から取
得したキャリア周波数の情報に基づいて、そのキャリア
周波数分だけ、読み出しアドレスをシフトして、メモリ
102から受信信号のFFT結果を、順次、読み出し、
乗算部103に供給するようにする。
【0108】このように受信信号r(n)のFFT結果
を、メモリ102から、受信信号のキャリア周波数分だ
けシフトして読み出すことにより、後述するように、キ
ャリア成分を除去した受信信号のFFT結果と等価なF
FT結果を得ることができ、そのキャリア成分を除去し
たFFT結果と、拡散符号の1周期分のFFT結果との
乗算結果を逆拡散することにより、確実に図4のように
相関点でピークを生じる相関検出出力が得られる。
【0109】なお、後述もするように、メモリ102か
らのFFT結果の読み出しアドレスを制御するのではな
く、メモリ106からの拡散符号のFFT結果の読み出
しアドレスを制御することにより、拡散符号のFFT結
果に、受信信号r(n)のキャリア分を加え、乗算部1
03での乗算によって、実質的によりキャリア成分の除
去を行うようにすることもできる。
【0110】以下に、メモリ102または106からの
読み出しアドレスの制御によって、受信信号のキャリア
と拡散符号との同期によるキャリア成分の除去につい
て、DSP23でのデジタルマッチドフィルタの処理の
動作説明と共に、さらに詳細に説明する。
【0111】この実施の形態において、DSP23で
は、デジタルマッチドフィルタの処理が行われるもので
あるが、このデジタルマッチドフィルタの処理の原理
は、図40の式(1)に示すように、時間領域での畳み
込みのフーリエ変換が周波数領域では乗算になるという
定理に基づくものである。
【0112】この式(1)において、r(n)は時間領
域の受信信号、R(k)はその離散フーリエ変換を表
す。また、c(n)は拡散符号発生部からの拡散符号、
C(k)はその離散フーリエ変換を表す。nは離散時
間、kは離散周波数である。そして、F[]は、フーリ
エ変換を表している。
【0113】2つの信号r(n)、c(n)の相関関数
を改めてf(n)と定義すると、f(n)の離散フーリ
エ変換F(k)は、図40の式(2)のような関係にな
る。したがって、r(n)を周波数変換部10からの信
号とし、c(n)を拡散符号発生部104からの拡散符
号とすれば、r(n)とc(n)の相関関数f(n)
は、通常の定義式によらず、前記式(2)により以下の
手順で計算できる。
【0114】・受信信号r(n)の離散フーリエ変換R
(k)を計算する。
【0115】・拡散符号c(n)の離散フーリエ変換C
(k)の複素共役を計算する。
【0116】・R(k)、C(k)の複素共役より、式
(2)のF(k)を計算する。
【0117】・F(k)の逆離散フーリエ変換により相
関関数f(n)を計算する。
【0118】ところで、前述したように、受信信号r
(n)に含まれる拡散符号が、拡散符号発生部104か
らの拡散符号c(n)と一致していれば、上記手順によ
り計算した相関関数f(n)は、図4のように相関点で
ピークを生ずる時間波形となる。上述したように、この
実施の形態では、離散フーリエ変換および逆フーリエ変
換に、FFTおよび逆FFTの高速化アルゴリズムを適
用したので、定義に基づいて相関を計算するより、かな
り高速に計算を行うことができる。
【0119】次に、受信信号r(n)に含まれるキャリ
アと拡散符号との同期について説明する。
【0120】前述したように、受信信号r(n)は、図
40の式(3)に示すようにキャリアを含んでいる。受
信信号r(n)から、データd(n)を得るためには、
拡散符号c(n)とキャリアcos2πnf0との同期
をとって除去する必要がある。すなわち、前述の図40
の式(2)で、R(k)のみにキャリアが含まれている
場合には、図4のような相関波形が得られない。
【0121】ドップラーシフト量が正確に見積もられ、
かつ、GPS受信機内部の発振周波数および時間情報が
正確であれば、受信信号r(n)のキャリア周波数f0
が既知となる。その場合には、図5に示すように、FF
T処理部101の前段に乗算部121を設け、この乗算
部121において受信信号r(n)と信号発生部122
からの周波数f0のキャリアとを乗算して周波数変換す
ることにより、FFTを行う前に受信信号r(n)から
キャリア成分を除くことができる。
【0122】その場合には、メモリ102からは、その
キャリア成分が除去された受信信号r(n)のFFT結
果が得られ、このFFT結果と、拡散符号c(n)のF
FT結果とが乗算部103で乗算されるので、逆FFT
処理部107の出力としては、図4のように相関点にピ
ークを生じる時間波形が確実に得られる。
【0123】なお、図5で括弧内に記載したように、受
信信号r(n)からキャリア成分を除去するのではな
く、拡散符号c(n)についてのFFT処理部105の
前段に乗算部121を設けて、この乗算部121におい
て拡散符号c(n)と信号発生部122からの周波数f
0のキャリアとを乗算して周波数変換することにより、
拡散符号にキャリア成分を加えるようにしても同様であ
る。
【0124】すなわち、その場合には、メモリ102か
ら読み出した受信信号のFFT結果に含まれるキャリア
成分と、メモリ106から読み出した拡散符号のFFT
結果に含まれる、加えられたキャリア成分とが同期して
いるため、逆FFT処理部107からは、図4のように
相関点でピークを生じる相関検出出力が得られる。
【0125】しかし、以上説明したような図5のように
時間領域の信号にキャリア周波数の信号を乗算する方法
による場合には、キャリア成分を除くための乗算部が特
に必要になり、構成が複雑になると共に、その乗算演算
の分だけ、処理速度が遅くなるという不利益がある。
【0126】ところで、FFTの性質として、上述のよ
うな周波数乗算は、図40の式(4)のように表すこと
ができる。この式(4)で、F[]は離散フーリエ変
換、φ 0 はキャリアとの位相差、k0 はf0 に対応する
kであって、f0 =k0 ・fs/Nである。この式
(4)より、受信信号r(n)を図5のように周波数変
換した信号のFFTは、r(n)のFFTであるR
(k)を、キャリア周波数分k0だけシフトした形にな
る。
【0127】以上のことから、図5の構成は、図6のよ
うな構成に置換可能となる。すなわち、受信信号r
(n)や拡散符号c(n)にキャリア周波数を乗算する
代わりに、受信信号のFFT結果または拡散符号のFF
T結果をメモリ102またはメモリ106からの読み出
す際の読み出しアドレスを、キャリア周波数分だけシフ
トするようにするものである。
【0128】この場合に、図6で、受信信号r(n)を
シフトする場合はダウンコンバージョンで、k0 >0と
し、また、拡散符号c(n)をシフトする場合はアップ
コンバージョンで、k0 <0とする。
【0129】以上説明したように、式(4)に示したF
FTの性質を利用すれば、図5の信号発生器122は不
要になり、図6のように、FFT結果のメモリからの読
み出しアドレス位相をシフトするだけでよくなり、構成
が簡単になると共に、処理の高速化につながる。
【0130】なお、前述の式(4)における位相差φ0
は未知であるため、図6では無視しているが、例えば、
図40の式(5)により計算されるF’(k)の逆FF
Tの演算結果として得られる相関関数f’(n)(0≦
n<N)は複素数となり、その実部をfR’(n)、虚
部をfI’(n)とすると、相関ピークの振幅|f’
(n)|は、図40の式(6)に示すようにして得ら
れ、位相φは、図40の式(7)に示すようにして得ら
れるので、式(4)の右辺のexp(jφ0 )の乗算は
省略してよい。なお、位相φ は、式(3)のデータd
(n)の符号に対応したπだけ異なる2つの値に式
(7)のφ0が加わった値となる。
【0131】以上説明したような、DSP23における
同期捕捉処理の第1の例の動作を図3のブロック図に反
映させた構成図を図7に示す。この図7の各ブロックの
出力には、上述したような信号出力r(n)、c(n)
および演算結果R(k)、C(k)、f'(n)が示さ
れている。
【0132】以上のように、DSP23での捕捉処理の
第1の例によれば、GPS受信機において、FFTを利
用してデジタルマッチドフィルタを構成する場合に、図
7のように受信信号のFFT結果を、キャリア周波数分
だけメモリのアドレスをシフトして、拡散符号と乗算す
る構成によって、相関点np が、例えば図4に示すよう
な波形で得られ、4個のGPS衛星、つまり4種類の拡
散符号c(n)について、相関点np が判れば、GPS
受信機位置の計算が可能になる。
【0133】すなわち、第1の例によれば、FFTを利
用したデジタルマッチドフィルタ処理を行う場合におい
て、受信信号のキャリアと拡散符号との同期を取るため
に、時間領域で乗算を行うことなく、受信信号のFFT
結果と拡散符号のFFT結果同士の周波数領域での乗算
の際に、受信信号のFFT結果と拡散符号のFFT結果
のうちの一方のFFT結果をシフトするという簡便な方
法により、受信信号のキャリア成分を除去することがで
きる。
【0134】なお、図7の例では、受信信号のFFT結
果R(k)の方の、メモリの読み出しアドレスをシフト
させたが、拡散符号のFFT結果C(k)の方のメモリ
の読み出しアドレスを、受信信号のFFT結果R(k)
の場合とは逆方向にシフト(乗算器でのアップコンバー
ジョンの形になる)しても良い。
【0135】また、上述の第1の例の説明においては、
拡散符号発生器104とFFT処理部105とを別々に
設けるようにしたが、それぞれのGPS衛星に対応する
拡散符号を予めFFTしておいたものをメモリに記憶さ
せておくことで、衛星信号の受信時における拡散符号c
(n)のFFT計算を省略することができる。
【0136】〔デジタルマッチドフィルタによる同期捕
捉の第2の例〕上述の同期捕捉の第1の例は、GPS衛
星からの受信信号のキャリア周波数が既知である場合で
あったが、この同期捕捉の第2の例は、キャリア周波数
が未知である場合である。第1の例と同様に、この第2
の例においては、サンプリング回路21でのサンプリン
グ周波数は、4.096MHzであり、RAM22の容
量は、サンプリング回路21からのデータの1ミリ秒分
の容量である。
【0137】図8は、第2の例としてのDSP23の構
成例を示すブロック図である。この図8において、前述
した第1の例として示した図3のDSP23の構成例と
同一部分には、同一番号を付してある。
【0138】この同期捕捉の第2の例では、図8に示す
ように、相関点検出部108の相関検出出力を、読み出
しアドレス制御部110に供給する。読み出しアドレス
制御部110は、受信信号r(n)のFFT結果のメモ
リ102からの読み出しアドレスの前記シフト量を、過
去のデータから決定した予測アドレスを中心に、相関点
検出部108の相関検出出力に基づいて変更制御して、
相関点検出部108で図4に示したようなピークが得ら
れるようにする。相関点検出部108で図4に示したよ
うなピークが得られたときには、読み出しアドレス制御
部110は、読み出しアドレスのシフト制御を、そのと
きのシフト量で停止する。
【0139】この同期捕捉の第2の例における同期捕捉
部20での処理の流れを、図9および図10のフローチ
ャートを参照しながら説明する。なお、この図9および
図10のフローチャートは、主としてDSP23でのソ
フトウエア処理に対応するものである。
【0140】まず、周波数変換部10からのIFデータ
をサンプリング回路21でサンプリングし、信号r
(n)としてRAM22に取り込む(ステップS1)。
次に、この信号r(n)をFFT処理部101でFFT
し、そのFFT結果R(k)をメモリ102に書き込む
(ステップS2)。次に、信号を受信したGPS衛星に
対応する拡散符号のFFT結果C(k)をメモリ106
にセットする(ステップS3)。
【0141】次に、受信信号r(n)のFFT結果R
(k)のメモリ102からの読み出しアドレスのシフト
量の初期値k0’を、過去のデータから決定する(ステ
ップS4)。そして、決定した初期値k0’を、メモリ
102からのFFT結果の読み出しアドレスのシフト量
k'として設定すると共に、シフト制御の変更回数vを
初期値v=0にセットする(ステップS5)。
【0142】次に、メモリ102から、受信信号r
(n)のFFT結果R(k)を、読み出しアドレスを、
k'だけシフトして読み出す(ステップS6)。そし
て、読み出したFFT結果R(k−k')と、拡散符号
のFFT結果C(k)の複素共役とを乗算して相関関数
F’(k)を求める(ステップS7)。
【0143】次に、この相関関数F’(k)の逆FFT
を行って時間領域の関数f’(n)を求める(ステップ
S8)。そして、この関数f’(n)について、ピーク
値f’(np)を求め(ステップS9)、そのピーク値
f’(np)が予め設定されているスレッショールド値
fthより大きいかどうか判別する(図10のステップS
11)。
【0144】ステップS11での判別の結果、ピーク値
f’(np)が、予め設定されているスレッショールド
値fthより小さいときには、相関点が検出できなかった
として、シフト制御の変更回数vが予め設定された最大
値vmaxよりも小さいかどうか判別する(ステップS1
6)。この最大値vmaxは、周波数に換算したときに、
1kHzに相当する。
【0145】そして、シフト制御の変更回数vが予め設
定された前記最大値vmaxよりも小さいと判別したとき
には、シフト制御の変更回数vを1だけインクリメント
(v=v+1)すると共に、新たなシフト量k'を、 k'=k'+(−1)×v として設定し(ステップS17)、その後、ステップS
6に戻る。そして、上述したステップS6以降の処理を
繰り返す。
【0146】また、ステップS16で、シフト制御の変
更回数vが、予め設定された前記最大値vmaxよりも大
きいと判別したときには、そのように大きいと判別され
た回数が、現在のRAM22のデータに対して予め定め
られた所定回数以上となったか否か判別し(ステップS
18)、前記所定回数以上でなければ、ステップS1に
戻り、RAM22に新たなデータを取り込んで、以上の
処理を繰り返す。
【0147】また、ステップS18で、前記所定回数以
上であると判別したときには、サーチすべきすべての衛
星について、上述の拡散符号同期サーチ処理が終了した
か否か判別し(ステップS14)、すべての衛星につい
ての拡散符号同期サーチ処理が終了したと判別したとき
には、サーチ動作を終了する(ステップS19)。
【0148】また、ステップS14で、拡散符号同期サ
ーチが終了していないサーチすべき衛星があると判別し
たときには、次に拡散符号同期サーチを行う衛星を選択
し、その選択した衛星が用いる拡散符号c(n)に拡散
符号を変更する(ステップS15)。そして、ステップ
S3に戻り、上述したステップS3以降の処理を実行す
る。
【0149】また、ステップS11において、ピーク値
f’(np)が、予め設定されているスレッショールド
値fthより大きいと判別したときには、そのピーク値
f’(np)を取る離散時間(拡散符号の位相)npを
相関点として検出する(ステップS12)。
【0150】そして、検出した相関点npが、4個目で
あるか否か判別し(ステップS13)、4個目であると
判別したときには、受信機位置計算処理を開始し、同期
保持部30における同期保持処理をする(ステップS2
0)。その後、ステップS14に移行する。ステップS
20の処理は、4個目以降でも行うにようにしてもよ
い。
【0151】なお、ステップS12で検出した相関点n
pが得られるときの読み出しアドレスシフト量k'か
ら、当該受信中のGPS衛星についてのドップラーシフ
ト量およびGPS受信機の発振周波数の誤差を推定する
ことができる。すなわち、受信信号のキャリア周波数を
検知することができる。
【0152】ステップS13で、検出した相関点np
が、4個目以外であると判別したときには、サーチすべ
きすべての衛星について、上述の拡散符号同期サーチ処
理が終了したか否か判別し(ステップS14)、サーチ
すべきすべての衛星についての拡散符号同期サーチ処理
が終了したと判別したときには、サーチ動作を終了する
(ステップS19)。
【0153】また、ステップS14で、拡散符号同期サ
ーチが終了していない衛星があると判別したときには、
次に拡散符号同期サーチを行う衛星を選択し、その選択
した衛星が用いる拡散符号c(n)に拡散符号を変更す
る(ステップS15)。そして、ステップS3に戻り、
上述したステップS3以降の処理を実行する。
【0154】以上説明したような同期捕捉の第2の例の
処理動作を、図8のDSP23の内部構成のブロック図
に反映させた構成図を図11に示す。この図11の各ブ
ロックの出力には、上述したような信号出力および演算
結果が示されている。
【0155】以上のようにして、同期捕捉の第2の例に
よれば、GPS衛星からの受信信号のキャリア周波数が
未知であっても、FFTによる周波数領域での処理を積
極的に用いて、受信信号のキャリアと拡散符号との同期
検出を行って、キャリア成分を除去することができる。
したがって、FFTを利用したデジタルマッチドフィル
タによるGPS受信信号と拡散符号との相関点の検出
を、高速、かつ簡単な構成で実現することができる。そ
して、メモリ102の読み出しアドレスのシフト量か
ら、IFキャリア周波数を検出することができる。
【0156】なお、この第2の例の場合においても、そ
れぞれの衛星に対応する拡散符号を予めFFTしておい
たものをメモリに記憶させておくことで、衛星信号の受
信時における拡散符号c(n)のFFT計算を省略する
ことができる。
【0157】〔デジタルマッチドフィルタによる同期捕
捉の第3の例〕上述したように、デジタルマッチドフィ
ルタによって受信信号と拡散符号の相関点を検出する場
合には、その相関点を検出する単位データ長は、拡散符
号の1周期長とするのが通常である。
【0158】しかし、GPS衛星からの受信信号では、
前述したように、データの1ビットは、拡散符号の20
周期分であり、この20周期分では、すべて同じパター
ンの符号となっている。この同期捕捉の第3の例では、
この特質を生かして、デジタルマッチドフィルタによっ
て受信信号と拡散符号の相関点を検出する単位データ長
は、拡散符号の複数周期長とする。サンプリング回路2
1におけるサンプリング周波数は、前述の例と同様でよ
い。
【0159】受信信号について、拡散符号の複数周期分
単位でFFT演算処理をすることにより、この第3の例
によれば、IFキャリア周波数の検出精度が高くなると
共に、受信感度が向上し、同じ時間領域の信号を累積加
算する方法に比べて、拡散符号の同期捕捉およびIFキ
ャリア周波数のサーチがし易くなる。以下、この同期捕
捉の第3の例を、さらに説明する。
【0160】時間領域において、拡散符号のM周期(M
は2以上の整数)に渡って累積加算を行った1周期長の
データに対して相関点を検出する先行例がある(例えば
米国特許4998111号明細書または「An Introduct
ion to Snap TrackTM Server−Aided GPS Technolog
y, ION GPS−98 Proceedings」参照)。
【0161】すなわち、図12に示すように、この先行
例の方法においては、受信信号r(n)について、拡散
符号との乗算結果を、M周期分に渡って累積加算するも
のである。この先行例の方法は、GPS衛星からの受信
信号の周期性とノイズの統計的な性質とを利用してC/
Nを高めるもので、受信信号のキャリアと拡散符号の同
期が事前にとれている状態であれば、C/NがM倍に改
善され、したがって受信感度(相関点の検出感度)はM
倍に向上する。そして、キャリア周波数の検出精度のM
倍に向上する。
【0162】しかし、受信信号のキャリアと拡散符号と
の同期がとれていないと位相の異なるM個のキャリアが
加算合成されてしまい、累積加算した結果においては肝
心のGPS信号が相殺されてしまって相関ピークは検出
できなくなる。
【0163】このため、受信信号のキャリア周波数が未
知の場合には、キャリア周波数をサーチする必要があ
り、サーチする各々の周波数毎に累計加算を行うといっ
た効率の悪い操作を行わざるを得なくなる。
【0164】これに対して、上述した同期捕捉の第1お
よび第2の例では、上述したようにして周波数領域にお
いて、FFT結果のメモリからの読み出しアドレスをシ
フトするという簡便な方法により、受信信号のキャリア
と拡散符号との同期がとれるので、累積加算の効果を最
大限に発揮させることができる。
【0165】この同期捕捉の第3の例では、第2の例と
同様に、GPS衛星からの受信信号のキャリア周波数は
未知として、キャリア周波数のサーチを行うのである
が、その場合に、受信信号r(n)については、拡散符
号のM周期分毎にFFTを行うようにする。そして、こ
の拡散符号のM周期分毎に、受信信号のFFT結果のメ
モリからの読み出しアドレスのシフト量の制御による受
信信号のキャリア周波数のサーチを行う。
【0166】前述した図40の式(3)中のデータd
(n)は、M≦20とすれば、拡散符号のM周期中では
1または−1の固定値になるので無視できる。すると、
式(3)は、 r(n)=A・c(n)cos2πnf0 +n(n) となり、これをM周期長で離散フーリエ変換すると、デ
ータの数はM×N(Nは拡散符号の1周期分のデータ
数)なので、離散フーリエ変換後のkと実周波数fの関
係は、サンプリング周波数fs に対して 0≦k≦MN/2では、f=kfs /MN となり、 MN/2<k<MNでは、f=(k−MN)fs /MN
(ただしf<0) となって、分解能がM倍になる。
【0167】しかし、拡散符号c(n)は周期信号であ
り、その1周期長の時間をT(GPSのC/Aコードで
はT=1ミリ秒)とすると、f=1/T以下の精度の周
波数成分はない。したがって、受信信号r(n)の離散
フーリエ変換後のFFT結果R(K)(ただし、0≦K
<MN)中の拡散符号c(n)の周波数成分はM個お
き、すなわち、MN個のデータのうちのN個の点に集中
し、その振幅は、M周期分が累積加算されるため、1周
期長での同じ周波数成分のM倍になる。説明の簡単のた
め、M=4としたときのスペクトラム例を図13に示
す。
【0168】図13の例では、信号のスペクトラムがM
=4個おきにあり、それらの間には信号成分はない。N
個の点以外では、拡散符号c(n)の周波数成分は0に
なる。一方、ノイズn(n)は、多くの場合、非周期信
号であるから、MN個の全周波数成分にエネルギーが分
散される。したがって、受信信号r(n)のFFT結果
R(K)中における拡散符号c(n)のN個の周波数成
分の総和において、時間領域での累積加算と同様に、C
/NがM倍向上することになる。
【0169】受信信号r(n)中に、式(3)に示した
キャリア成分cos2πnf0がなければ、FFT結果
R(k)中の拡散符号c(n)の周波数成分は、K=i
×M(ただし、0≦i<N)に集中するが、キャリア成
分が存在するので、この第3の例では、メモリからのF
FT結果R(K)の読み出しアドレスを、拡散符号の1
周期当たりについて、K=(i×M)−k0 として、キ
ャリア周波数分のk0だけ循環的にシフトするようにす
る。
【0170】以上説明した第3の例のDSP23の構成
は、図8に示した第2の例の場合と同様となるが、RA
M22の容量は、拡散符号のM周期分、例えば16周期
分(16ミリ秒)とされ、DSP23では、この拡散符
号のM周期分のデータ単位で、捕捉処理動作を行う。上
述の捕捉処理動作を、DSP23の内部構成に反映させ
た構成図を図14に示す。
【0171】すなわち、FFT処理部101からは、F
FT演算処理単位を拡散符号のM周期とするFFT結果
R(K)が得られ、メモリ102に書き込まれる。この
図14では、0≦k<N、0≦K<MNとしている。
【0172】そして、このメモリ102から、読み出し
アドレスがシフト制御されてFFT結果が読み出されて
乗算部103に供給され、メモリ106からの拡散符号
c(n)のFFT結果C(k)の複素共役と乗算され
る。
【0173】この第3の例の場合、この乗算部103か
ら得られる相関関数F(k)は、図40の式(8)に示
すようなものとなるようにされる。なお、式(8)で、
kは、拡散符号のFFT結果C(k)の複素共役におけ
るkであり、k0 については、f0 =k0 ・fs /MN
である。
【0174】このとき、図14において、逆FFT処理
部107から得られる相関関数f’(n)のピークは、
R(K)がM周期の拡散符号を含むので、0≦n<MN
の範囲においてM個現れることになる。しかし、相関点
の検出は、拡散符号の1周期についての1個でよいの
で、逆FFT処理部107での計算は、前述の第1およ
び第2の実施の形態の場合と同様に、0≦n<Nの範囲
だけで済み、N≦n<MNにおける計算は必要ない。
【0175】以上のようにして、この第3の例によれ
ば、受信信号r(n)のFFTを拡散符号の1周期のM
倍とすることにより、相関点の検出感度、したがって、
受信感度を向上させることができる。この場合に、Mが
大きいほど、受信感度が高くなるものである。したがっ
て、Mの値を制御することにより、受信感度を制御する
ことが可能になる。
【0176】なお、この第3の例の場合においても、そ
れぞれの衛星に対応する拡散符号をあらかじめFFTし
ておいたものをメモリに記憶させておくことで、衛星信
号の受信時における拡散符号c(n)のFFT計算を省
略することができる。
【0177】〔デジタルマッチドフィルタによる同期捕
捉の第4の例〕前述の第3の実施の形態では、拡散符号
のM周期(M>1)分を含む受信信号r(n)をFFT
処理することで、未知のキャリア周波数のサーチを可能
にすると共に、受信感度の向上を図ることができるもの
であるが、データサンプルの数が、拡散符号1周期分の
場合のN個からM倍のMN個になるため、FFTの計算
時間が長くなると共に、メモリ102の容量が大きくな
る。同期捕捉の第4の例は、この問題を改善したもので
ある。
【0178】図13に示したように、拡散符号のM周期
(M>1)をFFT処理単位とした場合のFFT結果R
(K)中の周波数成分はM個おきにしか存在しないの
で、それらのM個おきの周波数成分の間の成分は不要で
ある。
【0179】ここで、FFT結果R(K)(ただし、0
≦K<NM)を、R(i×M)、R(i×M+1)、R
(i×M+2)、・・・、R(i×M+M−1)(0≦
i<N)のM組に分ける。説明の簡単のため、M=4組
に分けた場合の、それぞれの組の分割スペクトラムの例
を図15〜図18に示す。キャリア周波数は未知である
が、M組のうちの1組に、相関を検出する対象となるG
PS信号のエネルギーがある。図15〜図18の例で
は、図15のR(i×M)の組に、受信信号r(n)の
周波数成分が含まれ、それ以外の3つの分割スペクトラ
ムにはノイズしかない状態を表している。
【0180】なお、実際の信号ではキャリア周波数k0
は、正確にはk'=k0でないため、例えばk0がk0’と
0’+1との間、つまり、k0’≦k0<k0’+1であ
ったとすると、k'=k0’と、k'=k0’+1との両方
で相関が検出され、k0に近い方が大きな相関を示す。
【0181】FFT結果R(K)を前記のようにM組に
分割した場合、Mが2のべき乗であれば、FFT計算手
順の性質から、各組は、それぞれ独立に計算できる。
【0182】図19は、8個のデータg(0)〜g
(7)のFFT計算の信号の流れ図である。図19のF
FT結果G(K)を、4個おきのデータに分けるとする
と、(G(0),G(4))、(G(1),G
(5))、(G(2),G(6))、(G(3),G
(7))の4組となる。この中の(G(0),G
(4))に注目すると、図20に示す部分だけの計算で
よいことが判る。そして、この計算の構造は、他の組
(G(1),G(5))、(G(2),G(6))、
(G(3),G(7))においても同様となるものであ
る。
【0183】この4組のデータを1組ずつ調べることに
すると、まず、(G(0),G(4))を計算し、調べ
終わったら(G(0),G(4))を格納したメモリを
開放して次の組に進む。(G(1),G(5))、(G
(2),G(6))、(G(3),G(7))と、順次
計算して調べ終わったらメモリを開放するという操作を
行うことにより、メモリは、G(0)〜G(7)を一括
してFFTを求めるのに比べて、1/4のメモリ容量で
よくなる。乗算回数は、M個に分割して計算した場合と
全体を一括してFFT計算をした場合とでは同じにな
る。
【0184】上記の例と同様のことが、Mを2のべき乗
にすることで、R(i×M)、R(i×M+1)、R
(i×M+2)、・・・、R(i×M+M−1)に適用
でき、FFT結果を格納するメモリの容量は、MNの1
/M、すなわち、Nで済む。また、R(i×M)、R
(i×M+1)、R(i×M+2)、・・・、R(i×
M+M−1)の順で相関を検出する際に、途中の組で相
関点が検出できてしまえば、残る組については調べる必
要がなくなるので、拡散符号のM周期毎の受信信号を一
括してFFT処理して検出するより、処理時間が短くな
ると期待できる。
【0185】以上説明した同期捕捉の第4の例における
同期捕捉部20での処理の流れを、図21および図22
のフローチャートを参照しながら説明する。図21およ
び図22の例ではFFTの回数を最小にするため、キャ
リア周波数のサーチを、各FFTの組毎に、対象とする
衛星すべてについて相関検出を行うようにしている。な
お、この図21および図22のフローチャートは、主と
してDSP23でのソフトウエア処理に対応するもので
ある。
【0186】まず、R(K)(ただし、0≦K<NMで
あり、K=i×M+u)の分割組数についての変数u
(0≦u<M)を初期化し(ステップS21)、次に、
周波数変換部10からのIFデータをサンプリング回路
21でサンプリングし、そのサンプリングデータを、拡
散符号のM周期分、例えば16周期分(16ミリ秒)、
信号r(n)(ただし、0≦n≦MN)としてRAM2
2に取り込む(ステップS22)。次に、この信号r
(n)をFFT処理部101でFFTし、そのFFT結
果R(K)をメモリ102に書き込む(ステップS2
3)。次に、信号を受信したGPS衛星に対応する拡散
符号のFFT結果C(k)をメモリ106にセットする
(ステップS24)。
【0187】次に、受信信号r(n)のFFT結果R
(K)のメモリ102からの読み出しアドレスのシフト
量の初期値k0’を、例えば過去のデータから決定する
(ステップS25)。そして、決定した初期値k0
を、メモリ102からのFFT結果の読み出しアドレス
のシフト量k'として設定すると共に、シフト制御の変
更回数vを、初期値v=0にセットする(ステップS2
6)。
【0188】次に、メモリ102から、受信信号r
(n)のFFT結果R(K)を、その読み出しアドレス
を、k'だけシフトして読み出す(ステップS27)。
そして、読み出したFFT結果R(K−k')と、拡散
符号のFFT結果C(k)の複素共役とを乗算して相関
関数F’(k)を求める(ステップS28)。
【0189】次に、この相関関数F’(k)の逆FFT
を行って時間領域の関数f’(n)を求める(ステップ
S29)。そして、この関数f’(n)について、ピー
ク値f’(np)を求め(ステップS30)、そのピー
ク値f’(np)が予め設定されているスレッショール
ド値fthより大きいかどうか判別する(ステップS3
1)。
【0190】ステップS31での判別の結果、ピーク値
f’(np)が、予め設定されているスレッショールド
値fthより小さいときには、相関点が検出できなかった
として、シフト制御の変更回数vが予め設定された最大
値vmaxよりも小さいかどうか判別する(ステップS3
2)。この最大値vmaxは、周波数に換算したときに、
1kHzに相当する。
【0191】そして、シフト制御の変更回数vが予め設
定された最大値vmaxよりも小さいと判別したときに
は、シフト制御の変更回数vを1だけインクリメント
(v=v+1)すると共に、新たなシフト量k'を、 k'=k'+(−1)×v として(ステップS33)、ステップS27に戻る。そ
して、上述したステップS27以降の処理を繰り返す。
【0192】また、ステップS32で、シフト制御の変
更回数vが、予め設定された最大値mmaxよりも大きい
と判別したときには、そのように大きいと判別された回
数が、現在のRAM22のデータに対して予め定められ
た所定回数以上となったか否か判別し(ステップS4
1)、前記所定回数以上でなければ、ステップS22に
戻り、RAM22に新たなデータを取り込んで、以上の
処理を繰り返す。
【0193】また、ステップS41で、前記所定回数以
上であると判別したときには、すべての衛星について、
上述の拡散符号同期サーチ処理が終了したか否か判別し
(ステップS36)、すべての衛星についての拡散符号
同期サーチ処理が終了したと判別したときには、変数u
がM−1より小さいかどうか判別し(ステップS3
8)、小さいときには、変数uをインクリメントし(ス
テップS39)、その後、ステップS23に戻り、この
ステップS23以降の処理を繰り返す。
【0194】また、ステップS38で、変数uがM−1
に等しいあるいはM−1より大きいと判別したときに
は、サーチ動作を終了する(ステップS40)。
【0195】また、ステップS36で、拡散符号同期サ
ーチが終了していない衛星があると判別したときには、
次に拡散符号同期サーチを行う衛星を選択し、その選択
した衛星が用いる拡散符号c(n)に拡散符号を変更す
る(ステップS37)。そして、ステップS24に戻
り、上述したステップS24以降の処理を実行する。
【0196】また、ステップS31において、ピーク値
f’(np)が、予め設定されているスレッショールド
値fthより大きいと判別したときには、そのピーク値
f’(np)を取る離散時間(拡散符号の位相)npを
相関点として検出する(ステップS34)。
【0197】そして、検出した相関点npが、4個目で
あるか否か判別し(ステップS35)、4個目であると
判別したときには、CPU41は、受信機位置計算処理
を開始し、同期保持部30における同期保持処理をする
(ステップS42)。その後、ステップS36に進む。
ステップS42の処理は、4個目以降でも行うにように
してもよい。
【0198】なお、ステップS34で検出した相関点n
pが得られるときのシフト量k'とR(k)の分割組数
についての変数uから、当該受信中のGPS衛星につい
てのドップラーシフト量およびGPS受信機の発振周波
数の誤差が推定することができる。
【0199】ステップS35で、検出した相関点np
が、4個目以外であると判別したときには、ステップS
36に進み、上述したステップS36以降の処理を実行
する。
【0200】なお、前述した同期捕捉の第1の例の場合
のように、キャリア周波数が既知である場合には、R
(i×M)、R(i×M+1)、R(i×M+2)、・
・・、R(i×M+M−1)の中で該当するものだけを
計算すれば、拡散符号の多周期分を含む時間分を単位と
して受信信号をFFTする方法は、同様に適用できる。
【0201】以上説明した第1〜第4の例の同期捕捉方
法は、従来の手法であるスライディング相関器が原理的
に時間を要するのに対し、FFTを用いたデジタルマッ
チドフィルタによる処理を高速なDSPで行うようにし
たことにより、処理時間の大幅な短縮が期待できる。特
に、第3の例および第4の例の場合には、拡散符号のM
周期単位でFFT処理をするようにしたことにより、同
期捕捉を高感度で行うことができる。
【0202】さらに、第4の例の場合には、拡散符号の
M周期単位でFFT処理を、より高速に行うようにする
ことができる。
【0203】以上のような同期捕捉方法によって、同期
捕捉部20で4個以上のGPS衛星からの信号の同期捕
捉ができれば、GPS受信機としては、それらの拡散符
号の位相とIFキャリア周波数とからGPS受信機の位
置と速度を計算することが可能である。つまり、同期保
持部30を設けなくても測位演算を行うことは可能であ
る。
【0204】しかし、GPS受信機として十分な高精度
の測位および速度計算を行うためには、高精度で拡散符
号の位相とIFキャリア周波数を検出する必要があり、
そのためには、サンプリング回路21におけるサンプリ
ング周波数を高くする、RAM22に取り込むIFデー
タの時間長を長くするといったことが必要になる。
【0205】さらに、同期捕捉部20にデジタルマッチ
ドフィルタを用いた構成とした場合には、デジタルマッ
チドフィルタ自身は、同期保持機能を有しないことをも
考慮しなければならない。
【0206】また、GPS受信機の外部から航法メッセ
ージを取得しないとすると、同期捕捉部20は、4個以
上のGPS衛星の航法メッセージを20ms毎に復調す
る必要があり、DSP23は常に同期の検出と航法メッ
セージの復調をかなり高速に行う必要がある。
【0207】以上のように、同期捕捉部20のみによ
り、GPS受信機の位置計算および速度計算を十分な精
度で行おうとすると、ハードウェアのサイズ増によるコ
ストアップと消費電力増となり、GPS受信機を実際に
製造する際の大きな問題となってしまう。
【0208】そこで、この実施形態では、粗い精度での
同期捕捉を専用の同期捕捉部20で行い、複数のGPS
衛星信号の同期保持および航法メッセージの復調は同期
保持部30で行うものとしている。そして、同期捕捉部
20は、検出したGPS衛星番号と、その拡散符号の位
相と、IFキャリア周波数と、相関検出信号からなる信
号強度の情報を、制御部40を通じて同期保持部30に
データとして渡し、後述するように、同期保持部30
は、そのデータを初期値として動作を開始するようにす
る。
【0209】[同期保持部30の構成]複数のGPS衛
星信号の同期保持を並列して行うために、同期保持部3
0は、1つずつのGPS衛星信号を1チャンネルとし
て、複数チャンネル分を備える構成とされる。
【0210】図23は、この実施形態における同期保持
部30の構成例を示す。この同期保持部30は、nチャ
ンネル分のチャンネル同期保持部30CH1、30CH
2、・・・、30CHnと、コントロールレジスタ33
とからなる。チャンネル同期保持部30CH1、30C
H2、・・・、30CHnのそれぞれは、コスタスルー
プ31とDLL(Delay Locked Loo
p)32とを備える。
【0211】コントロールレジスタ33は、制御部40
のCPU41に接続され、後述するように、コスタスル
ープ31やDLL32のループフィルタのパラメータ
や、フィルタ特性を定めるためのデータを受け取り、C
PU41により指示されるチャンネルの、CPU41に
より指示される部位に、そのデータを設定するようにす
る。また、コントロールレジスタ33は、コスタスルー
プ31やDLL32のループフィルタからの相関値情報
や周波数情報を受け取り、CPU41からのアクセスに
応じてそれらの情報をCPU41に渡すようにする。
【0212】〔コスタスループ31と、DLL32の構
成〕図24はコスタスループ31の構成例を示すブロッ
ク図であり、また、図25は、DLL32の構成例を示
すブロック図である。
【0213】コスタスループ31は、IFキャリア周波
数の同期保持、送信データである航法メッセージの抽出
を行う部分であり、DLL32は、GPS衛星信号の拡
散符号の位相同期保持を行う部分である。そして、コス
タスループ31とDLL32とが協働し、GPS衛星信
号についてスペクトラム逆拡散を行って、スペクトラム
拡散前の信号を得るとともに、このスペクトラム拡散前
の信号を復調して航法メッセージを得て、制御部40の
CPU41に供給する。以下、コスタスループ31とD
LL32との動作について具体的に説明する。
【0214】〔コスタスループ31について〕周波数変
換部10からのIFデータは、乗算器201に供給され
る。この乗算器201には、図25に示すDLL32の
拡散符号発生器320からの拡散符号が供給される。
【0215】DLL32の拡散符号発生部320から
は、一致(プロンプト)拡散符号P、進み(アーリ)拡
散符号E、遅れ(レート)拡散符号Lの、3つの位相の
拡散符号が発生する。DLL32では、後述するよう
に、進み拡散符号Eおよび遅れ拡散符号Lと、IFデー
タとの相関を計算し、それぞれの相関値が等しくなるよ
うに、拡散符号発生器320からの拡散符号の発生位相
を制御し、これにより、一致拡散符号Pの位相が、GP
S衛星信号の拡散符号の位相と一致するようにする。
【0216】コスタスループ31の逆拡散用の乗算器2
01には、拡散符号発生器320からの一致拡散符号P
が供給されて、逆拡散される。この乗算器201からの
逆拡散されたIFデータは、乗算器202および203
に供給される。
【0217】コスタスループ31は、図24に示すよう
に、乗算器202および203と、ローパスフィルタ2
04,205と、位相検出器206と、ループフィルタ
207と、NCO(Numerical Contro
lled Oscillator;数値制御型発振器)
208と、相関検出器209と、2値化回路210と、
拡散符号ロック判定部211と、スイッチ回路212
と、IFキャリアロック判定部213とからなってい
る。
【0218】ローパスフィルタ204,205のカット
オフ周波数情報と、ループフィルタ207のフィルタ特
性を定めるパラメータと、NCO208の発振中心周波
数を定めるための周波数情報とは、後述するように、同
期捕捉部20での同期捕捉結果に基づいて、CPU41
からコントロールレジスタ33を通じて設定される。
【0219】スイッチ回路212は、コスタスループ3
1のループを開閉制御するためのもので、CPU41か
らの切り換え制御信号によりオンオフされる。なお、同
期保持動作がスタートする前の初期的な状態では、スイ
ッチ回路212はオフとされ、ループ開の状態とされ、
後述するように、同期保持動作がスタートして、コスタ
スループの相関検出器209の相関出力が有意なレベル
となったときに、このスイッチ回路212がオンとされ
て、ループ閉とされるようにされる。
【0220】乗算器201において逆拡散された信号
は、乗算器202、203に供給される。これら乗算器
202,203には、制御部40のCPU41からの周
波数情報により、ほぼIFキャリア周波数にされたNC
O208からの、直交位相のI(Sine)信号と、Q
(Cosine)信号とが供給される。
【0221】これら乗算器202および203の乗算結
果は、ローパスフィルタ204および205を通じて位
相検出器206に供給される。ローパスフィルタ204
および205は、制御部40のCPU41からのカット
オフ周波数情報の供給を受け、これに供給された信号の
帯域外ノイズを除去するものである。
【0222】位相検出器206は、ローパスフィルタ2
04および205からの信号に基づいて、IFキャリア
とNCO208からの周波数信号との位相誤差を検出
し、この位相誤差をループフィルタ207を介してNC
O208に供給する。これによりNCO208が制御さ
れて、NCO208からの出力周波数信号の位相が、I
Fキャリア成分に同期するようにされる。
【0223】なお、ループフィルタ207は、制御部4
0のCPU41から供給されるパラメータに応じて、位
相検出器206からの位相誤差情報を積分して、NCO
208を制御するNCO制御信号を形成するものであ
る。NCO208は、ループフィルタ207からのNC
O制御信号によって、前述したように、NCO208か
らの出力周波数信号の位相が、IFキャリア成分に同期
するようにされる。
【0224】また、コスタスループ31のローパスフィ
ルタ204および205の出力は、相関検出器209に
供給される。相関検出器209は、これに供給されるロ
ーパスフィルタ204および205の出力信号をそれぞ
れ自乗して加算して出力する。この相関検出器209の
出力は、IFデータと拡散符号発生器320からの一致
拡散符号Pとの相関値CV(P)示すものである。この
相関値CV(P)は、コントロールレジスタ33を通じ
て制御部40のCPU41に渡される。
【0225】そして、ローパスフィルタ204の出力信
号は2値化回路210に供給されており、この2値化回
路210より航法メッセージデータが出力される。
【0226】また、相関検出器209からの相関値CV
(P)出力は、拡散符号ロック判定部211に供給され
る。拡散符号ロック判定部211は、相関値CV(P)
出力と、予め定められているスレッショールド値とを比
較し、相関値CV(P)出力がスレッショールド値より
も大きいときには、同期保持がロック状態であることを
示し、相関値CV(P)出力がスレッショールド値より
も小さいときには、同期保持がアンロック状態であるこ
とを示す拡散符号ロック判定出力を出力する。
【0227】この実施形態では、この拡散符号ロック判
定出力は制御部40のCPU41に送られ、CPU41
は、この拡散符号ロック判定出力から、同期保持部30
における拡散符号のロック状態、アンロック状態を認識
するようにする。CPU41は、この拡散符号ロック判
定出力からは、拡散符号の同期が保持されていることの
みを判定する。したがって、CPU41は、この拡散符
号ロック判定出力からでは、拡散符号の同期は取れてい
るが、IFキャリアのロックが外れた状態の検知は行わ
ない。CPU41は、IFキャリアロック判定部213
の出力から、IFキャリアの周波数ロックは外れたか否
かの判定を行う。
【0228】IFキャリアロック判定部213には、ロ
ーパスフィルタ204および205の出力は供給され
る。このIFキャリアロック判定部213では、ローパ
スフィルタ204および205の出力の絶対値の比を求
め、その比の値が予め定めたスレッショールド値以上で
あるときには、IFキャリアの同期がロック状態である
ことを示し、そうでなかったときには、IFキャリアの
同期が外れた状態(アンロック状態)であることを示す
IFキャリアロック判定出力を出力する。
【0229】すなわち、IFキャリアロック判定出力
は、ローパスフィルタ204の出力をIo、ローパスフ
ィルタ205の出力をQoとし、前記スレッショールド
値をthとしたとき、 |Io|/|Qo|>th であるときにはロック状態、そうでなければ、アンロッ
ク状態を示すものとなる。
【0230】この実施形態では、このIFキャリアロッ
ク判定出力は制御部40のCPU41に送られる。CP
U41は、このIFキャリアロック判定出力から、IF
キャリアについてのロック状態、アンロック状態を認識
するようにする。
【0231】〔DLL32について〕図25に示すよう
に、DLL32においては、周波数変換部10からのI
Fデータは、乗算器301および311に供給される。
そして、乗算器301には、拡散符号発生器320から
の進み拡散符号Eが供給され、また、乗算器311に
は、拡散符号発生器320からの遅れ拡散符号Lが供給
される。
【0232】乗算器301は、IFデータと進み拡散符
号Eとを乗算することにより、スペクトラム逆拡散を行
い、この逆拡散がなされた信号を乗算器302、303
に供給する。そして、乗算器302には、前述のコスタ
スループ31のNCO208からのI信号が供給され、
乗算器303には、NCO208からのQ信号が供給さ
れる。
【0233】乗算器302は、逆拡散されたIFデータ
とNCO208からのI信号とを乗算し、その結果をロ
ーパスフィルタ304を通じて相関検出器306に供給
する。同様に、乗算器303は、逆拡散されたIFデー
タとNCO208からのQ信号とを乗算し、その結果を
ローパスフィルタ305を通じて相関検出器306に供
給する。
【0234】なお、ローパスフィルタ304、305
は、コスタスループ31のローパスフィルタ204,2
05と同様に、制御部40のCPU41からのカットオ
フ周波数情報の供給を受け、これに供給された信号の帯
域外ノイズを除去するものである。
【0235】相関検出器306は、これに供給されるロ
ーパスフィルタ304,305からの出力信号をそれぞ
れ自乗して加算して出力する。この相関検出器306か
らの出力は、IFデータと、拡散符号発生器320から
の進み拡散符号Eとの相関値CV(E)示すものであ
る。この相関値CV(E)は、位相検出器321に供給
されるとともに、コントロールレジスタ33に格納さ
れ、制御部40のCPU41が用いることができるよう
にされる。
【0236】同様に、乗算器311は、IFデータと遅
れ拡散符号Lとを乗算することにより、スペクトラム逆
拡散を行い、この逆拡散がなされた信号を乗算器31
2、313に供給する。乗算器312には、前述したよ
うに、NCO208からのI信号が供給され、乗算器3
13には、NCO208からのQ信号が供給される。
【0237】乗算器312は、逆拡散されたIFデータ
とNCO208からのI信号とを乗算し、その結果をロ
ーパスフィルタ314を通じて相関検出器316に供給
する。同様に、乗算器313は、逆拡散されたIFデー
タとNCO208からのQ信号とを乗算し、その結果を
ローパスフィルタ315を通じて相関検出器316に供
給する。ローパスフィルタ314、315は、前述のロ
ーパスフィルタ304、305と同様に、制御部40の
CPU41からのカットオフ周波数情報の供給を受け、
これに供給された信号の帯域外ノイズを除去するもので
ある。
【0238】相関検出器316は、これに供給されるロ
ーパスフィルタ314,315からの出力信号をそれぞ
れ自乗して加算し、その演算結果を出力する。この相関
検出器316からの出力は、IFデータと、拡散符号発
生器320からの遅れ拡散符号Lとの相関値CV(L)
を示すものである。この相関値CV(L)は、位相検出
器321に供給されるとともに、コントロールレジスタ
33に格納され、制御部40のCPU41が用いること
ができるようにされる。
【0239】位相検出器321は、相関検出器306か
らの相関値CV(E)と、相関検出器316からの相関
値CV(L)との差分として、一致拡散符号とGPS衛
星信号の拡散符号との位相差を検出し、その位相差に応
じた信号をループフィルタ322を介してNCO323
の数値制御信号として供給する。
【0240】拡散符号発生器320には、このNCO
(Numerical Controlled Osc
illator;数値制御型発振器)323の出力信号
が供給されており、このNCO323の出力周波数が制
御されることにより、拡散符号発生器320からの拡散
符号の発生位相が制御される。
【0241】なお、NCO323は、後述するように、
同期捕捉部20の同期捕捉結果に応じた制御部40のC
PU41からの初期発振周波数を制御する周波数情報の
供給を受ける。
【0242】以上のDLL32におけるループ制御によ
り、NCO323が制御されて、拡散符号発生器320
は、相関値CV(E)と相関値CV(L)とが同じレベ
ルとなるように、拡散符号P、E,Lの発生位相を制御
する。これにより、拡散符号発生器320から発生する
一致拡散符号Pが、IFデータをスペクトラム拡散して
いる拡散符号と位相同期するようにされ、この結果、一
致拡散符号PによりIFデータが正確に逆スペクトラム
拡散され、コスタスループ31において、2値化回路2
10から航法メッセージデータが復調されて出力され
る。
【0243】そして、その航法メッセージデータの復調
出力は、図示しないデータ復調回路に供給されて制御部
40で使用可能なデータに復調された後、制御部40に
供給される。制御部40では、航法メッセージデータ
は、測位計算に用いられ、また、適宜、軌道情報(アル
マナック情報やエフェメリス情報)が抽出されて、軌道
情報用メモリ46に格納される。
【0244】なお、DLL32のループフィルタ322
は、前述したコスタスループ31のループフィルタ20
7と同様に、制御部40のCPU41から供給されるパ
ラメータに基づいて、位相検出器321からの位相誤差
情報を積分して、NCO323を制御するNCO制御信
号を形成するものである。
【0245】DLL32においても、ループフィルタ3
22と、NCO323との間に、ループの開閉制御用の
スイッチ回路324が設けられ、CPU41からの切り
換え制御信号によりオンオフされる。
【0246】なお、同期保持動作がスタートする前の初
期的な状態では、スイッチ回路324はオフとされ、ル
ープ開の状態とされ、後述するように、同期保持動作が
スタートして、コスタスループの相関検出器209の相
関出力が有意なレベルとなったときに、このスイッチ回
路324がオンとされて、ループ閉とされるようにされ
る。
【0247】[同期捕捉から同期保持への移行につい
て]この実施形態では、前述したように、同期捕捉部2
0は、検出したGPS衛星番号と、その拡散符号の位相
と、IFキャリア周波数と、信号強度の情報とを、デー
タとして制御部40のCPU41に渡す。なお、信号強
度の情報は、同期保持処理への移行のための情報として
は、必須のものではない。
【0248】取得したデータに基づいて制御部40のC
PU41は、同期保持部30に供給するデータを生成
し、それを同期保持部30に渡す。同期保持部30はそ
のデータを初期値として同期保持動作を開始するように
する。
【0249】制御部40のCPU41から同期保持部3
0に渡されるデータは、DLL32の拡散符号発生器3
20からの拡散符号の発生位相を制御するNCO323
の初期発振周波数(発振中心周波数)を決定するための
数値情報と、コスタスループ31のNCO208の初期
発振周波数(発振中心周波数)を決定するための数値情
報と、ループフィルタ207および322のフィルタ特
性を決定するためのパラメータと、ローパスフィルタ2
04,205,304,305,314,315のカッ
トオフ周波数を決定して、その周波数帯域の広狭を決定
するための係数情報である。
【0250】このとき、CPU41から同期保持部30
に供給される情報は、同期保持部30で、拡散符号の同
期保持およびIFキャリアの同期保持を開始する位相や
周波数、また、フィルタ特性を定めるための初期値デー
タであるが、CPU41は、同期捕捉部20で同期捕捉
した結果として検出された拡散符号の位相およびIFキ
ャリア周波数の近傍から同期保持を開始するように、前
記初期値データを生成する。
【0251】したがって、同期保持部30では、同期捕
捉部20で検出された拡散符号の位相近傍および検出さ
れたIFキャリア周波数の近傍から同期保持動作を開始
して、迅速に同期保持のロック状態にすることができる
ようになる。
【0252】ところで、GPS受信機が位置および速度
を計算するためには、同期捕捉開始から4個以上のGP
S衛星に対して同期を確立し、保持しなければならな
い。同期捕捉部20と同期保持部30および両者を制御
するCPU41とによって、4個以上のGPS衛星から
の信号の同期を保持するまでの過程(以下、この過程を
同期捕捉・同期保持過程と呼ぶ)には複数の方法があ
る。同期捕捉・同期保持過程の幾つかの例を次に説明す
る。
【0253】〔同期捕捉・同期保持過程の第1の例〕こ
の第1の例では、同期捕捉部20は、GPS衛星信号の
一つを同期捕捉すると、すぐに、CPU41に、同期保
持動作開始のための割り込み指示と、同期捕捉結果とし
てのGPS衛星番号、その拡散符号の位相、IFキャリ
ア周波数、相関検出レベルを表わす信号強度を転送し、
転送が終わると別のGPS衛星についての同期捕捉に移
る。
【0254】CPU41は、同期保持部20からの割り
込み指示を受け取る毎に、同期保持部30に対して独立
のチャンネルの割り当てを行うと共に、初期値の設定を
行って、同期保持動作を開始させるようにする。
【0255】図26は、この同期捕捉・同期保持過程の
第1の例における同期捕捉部20での同期捕捉処理の流
れを説明するためのフローチャートである。
【0256】まず、同期捕捉のための初期設定を行う
(ステップS71)。この初期設定においては、同期捕
捉のためにサーチするGPS衛星およびそのサーチの順
番を、GPS受信機が軌道情報用メモリ46に記憶して
いる有効な軌道情報に基づいて設定する。また、その軌
道情報から、ドップラーシフトを考慮したキャリア周波
数を計算して、サーチするIFキャリア周波数の中心と
範囲を設定するようにする。
【0257】また、電源投入前の過去の動作で得た大体
の発振器誤差が、GPS受信機で判明しているのであれ
ば、GPS受信機位置を電源投入時に記憶されている位
置、すなわち、前回電源を切る直前の位置と仮定して、
軌道情報から計算したドップラーシフトに合わせて、サ
ーチするIFキャリア周波数の中心と範囲を決めるよう
にすると、さらに同期保持に至るまでに要する時間を短
縮できる。
【0258】初期設定が終了したら、サーチの順番に従
って、同期捕捉する一つのGPS衛星を設定する(ステ
ップS72)。これにより、同期捕捉対象の衛星番号が
決まり、また、相関を検出しようとする拡散符号が決ま
る。
【0259】次に、同期捕捉部20では、RAM22
に、サンプリング回路21でサンプリングしたIFデー
タの取り込みを開始し、この開始タイミングで、タイマ
をスタートさせる(ステップS73)。ここで、このタ
イマとしては、制御部40のタイマ45を用いるように
する。このタイマ45は、後述のように、同期保持処理
スタートタイミングを設定する際にも用いられる。
【0260】次に、DSP23において、前述したデジ
タルマッチドフィルタを用いた同期捕捉の例のいずれか
を用いて、ステップS72で設定したGPS衛星信号の
拡散符号について相関検出処理を行う(ステップS7
4)。
【0261】そして、GPS衛星信号の拡散符号につい
て相関が検出されたか否か、つまり、GPS衛星信号の
同期捕捉ができたか否か判別し(ステップS75)、相
関が検出できたときには、CPU41に対して割り込み
指示を発生させると共に、同期捕捉の検出結果として、
GPS衛星番号、拡散符号の位相、IFキャリア周波
数、信号強度の情報をCPU41に渡す(ステップS7
6)。
【0262】そして、サーチすべきGPS衛星のすべて
についての同期捕捉サーチが終了したか否か判別し(ス
テップS77)、未だサーチすべきGPS衛星が残って
いるときには、ステップS72に戻り、同期捕捉する次
のGPS衛星を設定して、以上の同期捕捉処理を繰り返
す。また、ステップS77で、サーチすべきすべてのG
PS衛星についての同期捕捉が終了したと判別したとき
には、同期捕捉動作を終了して、同期捕捉部20を待機
状態(スタンバイ状態)にする。
【0263】また、ステップS75で相関が検出できな
いと判別したときには、その状態が予め定めた所定時間
以上経過したか否か判別し(ステップS78)、所定時
間経過していなければ、ステップS75に戻って、相関
検出を継続する。
【0264】ステップS78で、所定時間経過したと判
別したときには、ステップS77に進み、サーチすべき
GPS衛星のすべてについての同期捕捉サーチが終了し
たか否か判別し、未だサーチすべきGPS衛星が残って
いるときには、ステップS72に戻り、同期捕捉する次
のGPS衛星を設定し、以上の同期捕捉処理を繰り返
す。
【0265】また、ステップS77で、サーチすべきす
べてのGPS衛星についての同期捕捉が終了したと判別
したときには、同期捕捉動作を終了して、同期捕捉部2
0を待機状態(スタンバイ状態)にする。
【0266】この実施形態では、CPU41は、同期捕
捉部20への電源供給のオンオフ制御、または、この同
期捕捉部20に対する逓倍/分周回路3からの動作クロ
ックの供給のオンオフ制御を行うことができるように構
成されており、上記の同期捕捉部20のスタンバイ状態
では、CPU41により、同期捕捉部20への電源の供
給はオフ、または、動作クロックの供給が停止されて、
不要な消費電力が抑えられている。
【0267】同期捕捉部20を、上述のように、デジタ
ルマッチドフィルタで構成すると、DSP23でのFF
T計算を速くするためには高いクロックで動作させるこ
とが望ましく、したがって、動作時の消費電力が大きく
なるが、同期捕捉部20において、初期設定したすべて
のGPS衛星からの信号の同期捕捉検出が終わり、同期
保持部30で4個以上の同期保持ができていれば、同期
捕捉部20の役割は終了する。
【0268】この実施形態では、上述のように、CPU
41は、同期捕捉部20の役割終了後は、スタンバイ状
態にしているので、同期捕捉部20における不要な消費
電力が抑えられている。
【0269】なお、上記の例では、初期設定したすべて
のGPS衛星についての同期捕捉が完了した後、CPU
41は、同期捕捉部20をスタンバイ状態に移行させる
ようにしたが、同期保持部30で同期保持できたGPS
衛星が4個以上になったことを確認してから、CPU4
1が同期捕捉部20をスタンバイ状態に移行させるよう
にしてもよい。
【0270】なお、CPU41は、一旦、スタンバイ状
態になった同期捕捉部20を、再同期捕捉が必要な状態
になったときに、動作状態に復帰させるようにすること
ができることは勿論である。
【0271】次に、同期捕捉部20からの割り込み指示
を受けたCPU41による同期保持部30の制御処理に
ついて、図27および図28のフローチャートを参照し
ながら説明する。
【0272】図27は、CPU41が、同期捕捉部20
から、割り込み指示および同期捕捉結果としての拡散符
号の位相、IFキャリア周波数、GPS衛星番号、信号
強度の情報を受け取ったときに、同期保持部30におい
てチャンネル割り当てし、同期保持スタートをさせるた
めの処理である。また、図28は、CPU41が、同期
保持スタートさせた同期保持部30の各1チャンネルに
おいての同期保持処理制御のためのフローチャートであ
る。まず、図27の同期保持スタート処理について説明
する。
【0273】まず、GPS受信機への電源投入時などに
おいて、CPU41は、同期保持部30のNCO、ロー
パスフィルタ、ループフィルタなどへ定数の初期設定を
行っておく(ステップS81)。なお、このとき、コス
タスループ31およびDLL32は、いずれも初期状態
はループ開とされる。
【0274】次に、CPU41は、同期捕捉部20から
の割り込み指示を監視し(ステップS82)、割り込み
指示を検出したときには、同期捕捉部20から、GPS
衛星番号、拡散符号の位相、IFキャリア周波数、信号
強度の情報を受け取ると共に、同期保持部30に対し
て、受け取ったGPS衛星番号に対して独立のチャンネ
ルを割り当てるようにする設定する(ステップS8
3)。
【0275】そして、CPU41は、同期捕捉部20か
ら受け取った拡散符号の位相から、同期保持スタートタ
イミングを計算するとともに、同期保持部30の、割り
当てられたチャンネル内の各部に供給する初期値を、同
期捕捉部20から受け取ったIFキャリア周波数に基づ
いて生成する(ステップS84)。
【0276】そして、CPU41は、生成した初期値
を、コントロールレジスタ33を通じて同期保持部30
の、ステップS83で割り当てられたチャンネル内の各
部に送ると共に、同期保持部30の、ステップS83で
割り当てられたチャンネル内の拡散符号発生器320か
らの一致拡散符号Pの発生位相を、前記同期保持スター
トタイミングとするように制御して、同期保持動作をス
タートさせる(ステップS85)。なお、このとき、コ
スタスループ31およびDLL32のループは開のまま
とする。
【0277】以上のようにして、同期捕捉されたGPS
衛星信号について、同期保持のためのチャンネルが割り
当てられ、同期保持スタートを行ったら、ステップS8
2に戻り、次の割り込みを待つ。
【0278】次に、以上のようにしてスタートしたチャ
ンネル毎の同期保持処理を、図28のフローチャートに
ついて説明する。
【0279】CPU41は、まず、同期保持部30から
の相関値CV(P)が有意なレベルになったか否か判別
し(ステップS91)、相関値CV(P)が有意なレベ
ルになったら、コスタスループ31およびDLL32の
ループを閉じて、同期保持動作を行う(ステップS9
2)。
【0280】次に、CPU41は、同期保持部30のコ
スタスループ31のロック判定部211からのロック判
定出力を監視し(ステップS93)、同期保持部30の
ロックを確認したときには、同期保持しているGPS衛
星の数を1だけインクリメントし(ステップS94)、
同期保持状態を継続する(ステップS95)。
【0281】そして、CPU41は、この同期保持動作
中において、コスタスループ31のロック判定部211
からのロック判定出力を監視し(ステップS96)、同
期保持のロックを確認したときには、ステップS95に
戻って、同期保持状態を継続する。そして、ステップS
96で同期保持のロックが外れたと判別したときには、
同期保持しているGPS衛星の数を1だけデクリメント
し(ステップS97)、同期保持が外れたときの処理を
行うようにする。この同期保持が外れたときの処理につ
いては、後述する。
【0282】CPU41は、同期保持部30で4個以上
のGPS衛星信号の同期保持ができたと判別したときに
は、GPS受信機の位置の計算および速度の計算を行う
ようにする。
【0283】ステップS91において、相関値CV
(P)が有意なレベルにならないと判別したときには、
その状態が予め定めた所定時間以上経過しかたどうか判
別し(ステップS99)、所定時間以上経過したと判別
したときには、図27のステップS83で割り当てた同
期保持部30のチャンネルを空きチャンネルに戻し、当
該チャンネルの同期保持を停止する(ステップS10
0)。
【0284】また、ステップS93において、ロック判
定出力によりロック状態が検出できなかったときには、
その状態が予め定めた所定時間以上経過しかたどうか判
別し(ステップS101)、所定時間以上経過したと判
別したときには、ステップS83で割り当てた同期保持
部30のチャンネルを空きチャンネルに戻し、当該チャ
ンネルの同期保持を停止する(ステップS100)。
【0285】ステップS99、ステップS101および
ステップS100の部分は、次のような理由により設け
られたものである。すなわち、同期捕捉部20が検出し
た相関が有意なレベルであっても、ノイズで偶々発生し
た偽の同期である場合もあり得る。突発的に生じたよう
な持続性のない偽の同期に対しては、同期保持部30で
同期が確立することはない。そこで、同期保持部30で
一定のサーチ時間内に同期が確立できない場合には、同
期保持動作を停止して、割り当てられたチャンネルを、
空きチャンネルの状態に戻し、次の割り込みを待つよう
にしたものである。
【0286】ところで、前述の図27のステップS84
では、CPU41は、同期捕捉部20で検出した拡散符
号の位相に、同期保持部30の拡散符号発生器320か
らの拡散符号の位相を合わせるように、同期保持部30
の同期保持スタートタイミングを計算する必要がある
が、その計算の際には、同期捕捉部20で、一つのGP
S衛星信号についての同期捕捉が完了するまでに所定時
間が経過しており、ドップラーシフトと、GPS受信機
の基準発振器2の誤差の影響を受けることを考慮する必
要がある。
【0287】後者の問題は、IFキャリア周波数が、周
波数変換部10からのIFデータのメモリに取り込むた
めのサンプリングクロックを生成している大元の基準発
振器2の誤差を含むことによる。
【0288】なお、この実施形態では、同期捕捉部20
と同期保持部30とが同じ基準発振器2を発信源とする
クロックで動作しているので、同期捕捉部20と同期保
持部30とでは、全く同じ周波数誤差を持つことにな
る。したがって、IFキャリアの同期に関しては、同期
保持部30が同期捕捉部20で検出したIFキャリア周
波数を初期値として動作を開始することに関しては、全
く問題ない。
【0289】このステップS84における同期保持のス
タートタイミングを決定する方法には幾つかの例があ
る。以下、その方法の例について説明する。
【0290】〔同期保持のスタートタイミングを決定方
法の第1の例〕同期保持のスタートタイミングとして
は、GPS受信機の基準発振器2の誤差の影響を受ける
が、基本的には、拡散符号は1ミリ秒の周期で繰り返さ
れるので、同期保持部30における拡散符号のスタート
タイミングは、1ミリ秒の整数倍ずれていても問題はな
い。
【0291】そこで、この第1の例では、同期捕捉部2
0が、IFデータをRAM22に取り込むタイミングで
タイマ45をスタートさせていることを利用して、この
RAM22に記憶しているIFデータについて、同期捕
捉部20が拡散符号の位相差hを検出したとき、CPU
41は、同じタイマ45を用いて、1ミリ秒の整数倍か
ら、その検出位相差hだけずらした時点において、同期
保持部30の拡散符号発生器320で生成する拡散符号
をスタートさせることで、受信信号の拡散符号に位相を
合わせるようにする。
【0292】図29は、その状態を説明するための図で
ある。図29(A)は、IFデータを示しており、PN
は、その拡散符号を意味している。図29(B)に示す
ように、IFデータの拡散符号PNに対して、図のよう
にhだけ位相がずれたタイミングで、RAM22にIF
データを取り込んだ場合、DSP23では、その位相h
を、拡散符号の位相の情報(DLL32の拡散符号発生
器320をリセットする位相)として検出する。
【0293】しかし、その位相差hを同期捕捉部20が
検出した時点は、図29(C)に示すように、タイマ4
5をRAM22へのIFデータの取り込みタイミングで
スタートさせた時点から、数ミリ秒経過した時点となっ
ていたとする。
【0294】CPU41は、同期捕捉部20から拡散符
号についての位相差hを受け取った時点が、タイマ45
で計測している時間の1ミリ秒単位の中間の時点であっ
たときには、当該1ミリ秒単位の時間の経過を待ち、そ
れに拡散符号についての位相差h分を加えた時点を同時
保持スタートタイミングとして、同期保持部30の拡散
符号発生器320の発生位相をリセットする。
【0295】これにより、同期保持部30の拡散符号発
生器320の発生位相を、同期捕捉部20で捕捉したG
PS衛星信号の拡散符号の位相にほぼ合わせることがで
き、同期を確立するまでの時間を短時間にすることがで
きる。
【0296】従来のコスタスループ+DLLの役割にお
いては、受信信号における拡散符号の位相がわからない
ため、DLLで生成するIFキャリア周波数と拡散符号
の周期を少しずらし、IFデータの拡散符号に対して位
相がスライドしていく中で有意な強度の相関が出る位相
を、最悪の場合、数kHzの範囲のキャリア周波数と拡
散符号の符号長1023におけるすべての位相に対して
検出を行うため、同期を確立するまでにかなりの時間を
要する。
【0297】しかし、上述の実施形態においては、同期
保持部30は、コスタスループ31およびDLLを用い
る基本的な構成は従来と同じでありながら、同期保持部
30が受け取った拡散符号の位相とIFキャリア周波数
の初期値は、真値からわずかしかずれていないため、有
意な強度の相関がある位相は誤差を含めても初期値の近
辺に必ず存在する。
【0298】そして、同期保持部30は、まず、スイッ
チ回路212およびスイッチ回路324をオフにして、
コスタスループ31およびDLL32のNCO208お
よび323を、ループフィルタ207および322から
の制御を止めた状態、つまり、ループを開の状態にし
て、それぞれのNCO208および323を初期値付近
で変えながら有意な強度の相関を探す。そして、相関を
検出したら、スイッチ回路212および324をオンに
して、DLL32とコスタスループ31のループフィル
タ207および322からのループ制御に切り換えるよ
うにしている。
【0299】このため、DLL32における拡散符号の
位相およびコスタスループ31におけるIFキャリアの
位相の同期確立は極めて短時間に行われ、以降、同期を
保持し続けることができる。
【0300】この場合、IFキャリア周波数は、例えば
数十Hzの精度で初期値が設定できるので、コスタスル
ープ31およびDLL32のローパスフィルタおよびル
ープフィルタの帯域幅は最初から狭くすることができ、
S/Nが高い状態で同期を確立することができる。
【0301】同期保持部30を、例えば1.023MH
z×16=16.368MHzのクロックで動作させ、
DLL32において、拡散符号の位相を1/16.36
8MHzの時間分解能で検出すれば、1/16チップの
精度で拡散符号の位相から、GPS衛星とGPS受信機
間の擬似距離を計算でき、また、コスタスループ31の
NCO208を、1Hz単位で制御できる構成にすれ
ば、IFキャリア周波数の分解能は1Hzとなり、DL
L32とコスタスループ31は、その精度で同期を保持
できる。
【0302】〔同期保持のスタートタイミングの決定方
法の第2の例〕上述したように、同期捕捉部20で検出
された拡散符号の位相、IFキャリア周波数を、同期保
持部30における拡散符号の位相およびIFキャリアの
初期値とすることで、同期保持部30は、その初期値の
近辺で有意な相関が得られる位相を探すようにする。
【0303】同期保持部30で、このようなサーチが必
要となるのは、前述したように、GPS受信機に搭載さ
れている基準発振器2が、公称周波数に対して誤差を持
っていることが一つの理由である。
【0304】前述のように、FFTを利用したデジタル
マッチドフィルタで同期捕捉部20を構成した場合に
は、同期捕捉部20の検出結果は、IFデータをRAM
22に記憶してから、DSPの処理時間分遅れて、同期
保持部30に渡されることになる。
【0305】このため、基準発振器2の発振周波数の公
称発振周波数foscとの誤差をΔfosc、DSP23での
同期捕捉処理時間をT秒とすると、同期保持部30に同
期捕捉結果に応じたデータが渡る時には、T×Δfosc
/fosc秒の誤差が生じる。例えば、T=3秒、Δfosc
/foscが±3ppmの範囲内とすると、±9μs=約
9チップ以内の誤差が生ずる。DSP23での同期捕捉
処理時間が長くなると、その分、誤差は大きくなる。
【0306】また、前述したように、GPS衛星とGP
S受信機の移動によって生ずるキャリア周波数のドップ
ラーシフトも誤差を生ずる要因である。
【0307】GPS衛星信号のキャリア周波数をfrf
(=1,575.42MHz)、受信信号のドップラー
シフトをΔfdとすると、ドップラーシフトにより、受
信信号の拡散符号の周期は、ほぼ(1−Δfd/frf)
倍になり、例えば、+5〜−5kHzの範囲のドップラ
ーシフトが生じている場合には、3秒間の間には約−
9.5〜9.5μs=−9.5〜9.5チップ分の誤差
が生ずる。
【0308】上記の計算例は比較的現実に近い値であっ
て、基準発振器2の誤差と、ドップラーシフトとの両方
の要因を合わせると、±20チップ程度の範囲内で誤差
が生ずることになる。
【0309】この第2の例においては、CPU41は、
同期保持部30で、この±20チップ程度の範囲だけを
サーチして、相関を検出して同期保持させるように制御
する。
【0310】すなわち、CPU41は、例えば、同期捕
捉部20で検出された拡散符号の位相より20チップ分
早くDLL32で生成する拡散符号をスタートさせる。
そして、そのときの拡散符号の周期を、DLL32のN
CO323の周波数設定を(1+5/1,575,42
0)ミリ秒より長めに設定しておく。
【0311】このようにすれば、同期保持部30におい
ては、IFデータに含まれるGPS衛星信号の拡散符号
に対するスライドが+20チップ分ずれたところから始
まり、適当な時間の間、GPS衛星信号の拡散符号に対
する、拡散符号発生器320からの拡散符号の位相がス
ライドしている状態で相関の有無をサーチできるように
なる。
【0312】従来方式がDLL+コスタスループにおい
て、1023チップの範囲で、かつ、IFキャリア周波
数も、ドップラーシフト+基準発振器2の誤差の範囲で
変えながら相関検出を行っていたのに比べると、初期値
のIFキャリア周波数は、例えば20チップという、わ
ずかな誤差しかなく、相関を検出する範囲も数十分の一
程度で済むので、同期保持部30における同期確立に要
する時間は極めて短くなる。
【0313】〔同期保持のスタートタイミングの決定方
法の第3の例〕以上のようにして、同期捕捉部20で、
IFデータに含まれるGPS信号の拡散符号の位相およ
びIFキャリア周波数を高速に検出し、その検出結果に
より同期保持部30では速やかに同期保持に移行でき
る。
【0314】しかし、IFデータ中の微弱な衛星の信号
を検出するために処理シーケンスが増える場合、また、
消費電力を抑えるため同期捕捉部20を低速のクロック
で動作させている場合等では、同期捕捉部20での処理
時間が長くなり、同期保持部30での同期確立までにサ
ーチする範囲が広くなるので好ましくない。
【0315】この第3の例においては、周波数変換部1
0と同期捕捉部20および同期保持部30の動作クロッ
クの源発振となるのは、基準発振器2であって、共通化
されていることを利用して、上記の問題を改善する。
【0316】すなわち、この第3の例においては、同期
捕捉部20で検出したIFキャリア周波数と基準発振器
の公称値に基づく中間周波数Fif(例えば、1.023
MHz)との差をΔFifとし、GPS信号のキャリア周
波数をFrf(=1575.42MHz)とし、同期捕捉
部20がIFデータをRAM22に取り込んでから同期
捕捉処理に要した時間をT秒としたとき、図30に示す
ように、図29の第1の例の場合における位相差hは、
位相差h+Δhに補正する。
【0317】ここで、補正値Δhは、 Δh=T×ΔFif/Frf により求められる。
【0318】この補正値Δhは、CPU41において、
同期捕捉部20からのIFキャリア周波数の情報と、タ
イマ45からのRAM22へのIFデータの取り込み時
点から、同期捕捉部20からの割り込み指示があった時
点までの時間Tとから計算される。CPU41は、その
計算結果に基づいて、同期保持部30のDLL32の拡
散符号発生器320からの拡散符号の位相を補正し、同
期保持動作を開始させるようにする。
【0319】例えば、ΔFif=+3kHz、T=10秒
の場合、補正値Δhは、Δh=−19μs=約−19チ
ップとなる。
【0320】この補正により、基準発振器2の誤差とド
ップラーシフトとによって生ずる拡散符号の位相のずれ
は、かなり正確に補正でき、同期捕捉処理に時間を数十
秒要した場合でも、ほぼ1チップ程度の範囲でのサーチ
で同期を確立できる。このような補正が可能なのは以下
の理由による。
【0321】周波数変換部10において、GPS衛星信
号のキャリア周波数Frfを中間周波数Fif(以上は既
知)に変換するために、公称発振周波数Foscの基準発
振器2から局部発振周波数Flo=N×Fosc(Nは定
数、N>>1)を生成し、Fif=Frf−Floとなるよう
にする。実際に受信するGPS衛星信号は、中間周波数
Fifに対しドップラーシフトと基準発振器2の発振周波
数誤差とによって生ずる誤差ΔFifが加わる。
【0322】すなわち、ドップラーシフトをΔFd、基
準発振器2の公称発振周波数との誤差をΔFoscとする
と、 Fif+ΔFif=Frf+ΔFd−Flo=Frf+ΔFd−N×
(Fosc+ΔFosc) となる。したがって、同期捕捉部20が検出するIFキ
ャリア周波数は、Fif+ΔFifとなる。ただし、ΔFif
=ΔFd−N×ΔFoscである。
【0323】ここで重要なことは、同期捕捉部20が検
出できるのはΔFifだけで、ドップラーシフトΔFd、
誤差ΔFoscは、最初の同期捕捉の段階では未知である
ということである。
【0324】拡散符号の1周期長である1ミリ秒を、基
準発振器2からの、その公称発振周波数のクロックによ
り、タイマ45でカウントすると、誤差ΔFoscがある
ために、実際は、 1×Fosc/(Fosc+ΔFosc)≒(1−ΔFosc/Fos
c)(ミリ秒) になる。
【0325】一方、ドップラーシフトΔFdにより、G
PS衛星からの受信信号における拡散符号の1周期長
は、 1×Frf/(Frf+ΔFd)≒(1−ΔFd/Frf)(ミ
リ秒) となる。
【0326】受信信号における拡散符号の1周期長と、
基準発振器2の公称発振周波数でカウントした1ミリ秒
との比は、 (1−ΔFd/Frf)/(1−ΔFosc/Fosc)≒1−
ΔFd/Frf+ΔFosc/Fosc となる。
【0327】上式の右辺は、さらに変形すると、 1−ΔFif/Frf+(ΔFosc/Fosc)×(Fif/(N
×Fosc))≒1−ΔFif/Frf となり、同期捕捉部20にとって未知のドップラーシフ
トΔFdと誤差ΔFoscとを含まない形で、かなり良い近
似ができる。
【0328】この結果により、同期捕捉部20がIFデ
ータをRAM22に取り込んだ時点から同期捕捉処理を
行い、同期保持部30に、検出した拡散符号の位相の情
報hが渡されるまでの時間がT秒かかるとすると、T秒
の間に同期捕捉部20が検出した拡散符号の位相から、
−T×ΔFif/Frfだけずれることになる。
【0329】したがって、同期保持部30は、図30
(C)のように、同期捕捉部20から渡された拡散符号
の位相の情報hに、補正値Δh=−T×ΔFif/Frfを
加えたh+Δhによって、DLL32の拡散符号発生器
320で生成する拡散符号のスタートタイミングを合わ
せることで、同期捕捉処理時間Tに生じた拡散符号の位
相のずれを補正することができる。これによって同期保
持部30は、ほぼ1チップ程度の範囲内において相関を
検出して、極めて短時間で同期を確立できる。
【0330】以上説明した第3の例においては、必要な
情報は、同期捕捉部20が検出したIFキャリア周波数
だけであり、ドップラーシフト量ΔFd、基準発振器2
の誤差ΔFoscも情報としては必要ない。
【0331】なお、IFキャリア周波数に依存せず、周
波数変換部10における中間周波数Fifへの周波数変換
を、Fif=Flo−Frfとなるように局部発振周波数を設
定しても、ΔFifの符号を変えるだけで済む。
【0332】〔同期捕捉部20からの信号強度の情報の
同期保持処理における利用〕同期捕捉部20は、前述し
たように、GPS信号の拡散符号の位相とIFキャリア
周波数のほか、GPS衛星信号の拡散符号と、GPS受
信機の拡散符号との相関値の大きさを信号強度として、
その信号強度の情報もCPU41に供給するようにして
いる。この信号強度の情報を用いることにより、同期保
持部30での感度および追従性の制御をすることができ
る。また、この信号強度と、同期保持部30での相関値
とを用いることにより、拡散符号の誤相関を判定するこ
とができる。以下、これについて説明する。
【0333】同期保持部30において同期を確立すると
きに、同期捕捉部20から渡された拡散符号の位相の近
くに真ではない相関がある場合がある。特に、信号強度
が強いGPS衛星からの信号に対しては、同じGPS衛
星からの受信信号でも位相がずれたところに部分相関が
発生する。また、異なるGPS衛星からの信号間でも同
様の相関がある。このような場合、同期保持部30は誤
って、そちらへ同期してしまう場合があり得る。
【0334】しかし、同期捕捉部20が、正しく最大の
相関を検出していて、その拡散符号の位相とIFキャリ
ア周波数に加えて信号強度の情報を同期保持部30に渡
すようにすれば、同期保持部30が検出した相関のレベ
ルが、同期捕捉部20から渡された信号強度と同等とみ
なせないほど差があれば誤相関と判断して、別の位相の
サーチに移ることで、偽の相関に誤同期する確率を下げ
ることができる。
【0335】また、同期保持部30のコスタスループ3
1のローパスフィルタとループフィルタおよびDLL3
2のローパスフィルタとループフィルタは、帯域を狭く
すればS/Nが良くなるので感度が上がるが、応答は遅
くなるために同期確立とその後の同期保持においてGP
S受信機位置の急な変化に対する追従性は悪くなる。
【0336】したがって、受信信号の信号強度が強いと
きには追従性を重視し、弱いときは感度を上げた方が良
い。これらのフィルタの帯域は、同期捕捉部20から渡
された信号強度に応じて、同期保持動作の初期段階で設
定できる。
【0337】以上のことを反映した、CPU41におけ
る同期保持スタート制御のためのフローチャートを図3
1に示し、また、チャンネル毎同期保持処理のフローチ
ャートを図32に示す。なお、この図31のフローチャ
ートは、図27のフローチャートの一部を変更したもの
であって、図27のフローチャートのステップと同一の
ステップ部分には、同一のステップ番号を付してある。
また、同様に、図32のフローチャートは、図28のフ
ローチャートの一部を変更したものであって、図28の
フローチャートのステップと同一のステップ部分には、
同一のステップ番号を付してある。以下、この図27、
図28との変更点を中心に、図31、図32の処理動作
の要点を説明する。
【0338】まず、図31の同期保持スタート処理につ
いて説明する。CPU41は、ステップS83におい
て、同期保持部30に対して、受け取ったGPS衛星番
号に対して独立のチャンネルを割り当てるようにする設
定した後、同期捕捉部20から受け取った信号強度の大
きさを調べる(ステップS111)。
【0339】そして、次のステップS112において
は、CPU41は、同期捕捉部20から受け取った拡散
符号の位相から、同期保持スタートタイミングを計算す
るとともに、同期保持部30の、割り当てられたチャン
ネル内の各部に供給する初期値を、同期捕捉部20から
受け取ったIFキャリア周波数に基づいて生成するが、
その際に、ステップS111で調べた信号強度に応じ
て、コスタスループ31およびDLL32のローパスフ
ィルタ204,205および304,305,314,
315とループフィルタ207,322の設定値を決定
する。
【0340】すなわち、ステップS111で調べた信号
強度が弱いときには、感度を上げた方が良いので、コス
タスループ31およびDLL32のローパスフィルタ2
04,205および304,305,314,315と
ループフィルタ207,322の設定値は、帯域を狭く
するような値とする。また、ステップS111で調べた
信号強度が強いときには、追従性を良くした方が良いの
で、コスタスループ31およびDLL32のローパスフ
ィルタ204,205および304,305,314,
315とループフィルタ207,322の設定値は、帯
域を広くするような値とする。
【0341】そして、CPU41は、次のステップS8
5に進んで、生成した初期値を、コントロールレジスタ
33を通じて同期保持部30の、ステップS83で割り
当てられたチャンネル内の各部に送ると共に、同期保持
部30の、ステップS83で割り当てられたチャンネル
内の拡散符号発生器320からの一致拡散符号Pの発生
位相を、前記同期保持スタートタイミングとするように
制御して、同期保持動作をスタートさせる。このとき、
コスタスループ31およびDLL32のループは開のま
まとする。そして、ステップS82に戻り、次の割り込
みの発生を待つ。
【0342】次に、図32のチャンネル毎同期保持処理
について説明する。まず、CPU41は、同期保持部3
0からの相関値CV(P)と、ステップS111で調べ
た信号強度(同期捕捉部20での相関検出信号のレベ
ル)とを比較し(ステップS113)、両者が同等のも
のであるかどうか判別する(ステップS114)。
【0343】そして、このステップS114での判別の
結果、両者に同等と見なせないほどの差があると判別し
たときには、同期捕捉部20からの相関結果は、誤相関
によるものと判断し、ステップS100に進み、ステッ
プS83で割り当てた同期保持部30のチャンネルを空
きチャンネルに戻し、このチャンネルにおける同期保持
動作を終了する。
【0344】また、ステップS114での判別の結果、
同期保持部30からの相関値CV(P)と、ステップS
111で調べた信号強度とが同等であると判別したとき
には、前述したステップS91以降の同期保持のステッ
プを実行する。
【0345】以上のようにして、この例においては、同
期捕捉部20で検出した信号強度を用いて、誤相関を防
止するとともに、信号強度に応じて、感度および追従性
を制御することができる。
【0346】〔同期捕捉・同期保持過程の第2の例〕同
期捕捉・同期保持過程の第1の例では、サーチ可能なす
べてのGPS衛星からの受信信号を順次に同期捕捉し、
同期捕捉できたら割り込みを発生させて、同期保持をス
タートさせ、次のGPS衛星からの信号についての同期
捕捉を開始するようにしたが、この第2の例では、制御
部40の軌道情報用メモリ46に記憶されている軌道情
報を用いることにより、同期が確立、つまり、4個以上
のGPS衛星信号についての同期保持ができるまでの時
間を短縮するようにする。
【0347】図33は、この同期捕捉・同期保持過程の
第2の例における同期捕捉部20での同期捕捉処理の流
れを説明するためのフローチャートである。なお、以下
に説明する処理は、GPS受信機に電源が投入されてか
ら、同期捕捉部20で同期捕捉が開始され、同期保持に
移行するまでの処理を説明するものである。
【0348】まず、同期捕捉のための初期設定を行う
(ステップS121)。この初期設定においては、同期
捕捉のためにサーチするGPS衛星およびそのサーチの
順番を、GPS受信機が記憶している有効な軌道情報に
基づいて設定する。また、軌道情報から、ドップラーシ
フトを考慮したキャリア周波数を計算して、サーチする
IFキャリア周波数の中心と範囲を設定するようにす
る。
【0349】また、電源投入前の過去の動作で得た大体
の基準発振器2の誤差が、GPS受信機で判明している
のであれば、GPS受信機位置を電源投入時に記憶され
ている位置、すなわち、前回電源を切る直前の位置と仮
定して、軌道情報用メモリ46の軌道情報から計算した
ドップラーシフトに合わせて、サーチするIFキャリア
周波数の中心と範囲を決めるようにすると、さらに同期
保持に至るまでに要する時間を短縮できる。
【0350】初期設定が終了したら、サーチの順番に従
って、同期捕捉する一つのGPS衛星を設定する(ステ
ップS122)。これにより、同期捕捉対象の衛星番号
が決まり、また、相関を検出しようとする拡散符号が決
まる。
【0351】次に、同期捕捉部20では、RAM22
に、サンプリング回路21でサンプリングしたIFデー
タの取り込みを開始し、この開始タイミングで、タイマ
45をスタートさせる(ステップS123)。
【0352】次に、DSP23において、前述したデジ
タルマッチドフィルタを用いた同期捕捉の例のいずれか
を用いて、ステップS122で設定したGPS衛星信号
の拡散符号について相関検出処理を行う(ステップS1
24)。
【0353】そして、GPS衛星信号の拡散符号につい
て相関が検出されたか否か、つまり、GPS衛星信号の
同期捕捉ができたか否か判別し(ステップS125)、
相関が検出できたときには、CPU41に対して割り込
み指示を発生させると共に、同期捕捉の検出結果とし
て、GPS衛星番号、拡散符号の位相、IFキャリア周
波数、信号強度の情報をCPU41に渡す(ステップS
128)。
【0354】また、ステップS125で相関が検出でき
ないと判別したときには、その状態が予め定めた所定時
間以上経過したか否か判別し(ステップS126)、所
定時間経過していなければ、ステップS125に戻っ
て、相関検出を継続する。
【0355】ステップS126で、所定時間経過したと
判別したときには、ステップS127に進み、サーチす
べきGPS衛星のすべてについての同期捕捉サーチが終
了したか否か判別し、未だサーチすべきGPS衛星が残
っているときには、ステップS122に戻り、同期捕捉
する次のGPS衛星を設定して、ステップS122以降
の同期捕捉処理を繰り返す。
【0356】ステップS127で、サーチすべきすべて
のGPS衛星についての同期捕捉が終了したと判別した
ときには、同期捕捉動作を終了して、同期捕捉部20を
待機状態(スタンバイ状態)にする。
【0357】前述もしたように、この実施形態では、C
PU41は、同期捕捉部20への電源供給のオンオフ制
御、または、この同期捕捉部20に対する逓倍/分周回
路3からの動作クロックの供給のオンオフ制御を行うこ
とができるように構成されており、上記の同期捕捉部2
0のスタンバイ状態では、CPU41により、同期捕捉
部20への電源の供給はオフ、または、動作クロックの
供給が停止されて、不要な消費電力が抑えられている。
【0358】以上のようにして、同期捕捉部20は、C
PU41が軌道情報から決めたGPS衛星を検出してい
く順番に従って有意な相関をサーチする。そして、同期
捕捉部41が確実な信号強度で最初の衛星を検出できた
ら、CPU41は、第1の例と同様に、同期保持部30
の1つのチャンネルを割当て、検出された衛星番号と拡
散符号の位相、IFキャリア周波数を設定して、同期保
持動作を開始する。
【0359】ただし、この第2の例では、同期捕捉部2
0では、一つのGPS衛星信号の同期捕捉が完了した
ら、スタンバイ状態になり、他のGPS衛星信号につい
ての同期捕捉は行わない。
【0360】この第2の例においては、CPU41は、
電源投入時において、あるいは同期捕捉部20の動作開
始時において、GPS受信機位置が、記憶されている位
置であると仮定して、GPS衛星の軌道情報から、GP
S受信機が捕捉可能な各GPS衛星について、大体の視
線距離とドップラーシフト量を計算して推定しておくよ
うにする。
【0361】そして、同期捕捉部20で1個のGPS衛
星について拡散符号の位相とIFキャリア周波数の検出
ができたら、CPU41は、当該同期捕捉されたGPS
衛星についての前記推定した視線距離とドップラーシフ
ト量を基準として、その基準に対する、まだ同期捕捉部
20では同期捕捉されていない他の各GPS衛星につい
ての視線距離の差およびドップラーシフトの差(ドップ
ラー周波数差)を計算する。視線距離の差は、光速で除
算することで拡散符号の位相差に変換しておく。
【0362】そして、上記のようにして計算した前記他
の各衛星の拡散符号の位相差およびドップラー周波数差
のそれぞれに、同期捕捉部20が検出した衛星の拡散符
号の位相およびIFキャリア周波数をそれぞれ加えた値
を、前記他の各衛星についての拡散符号の位相およびI
Fキャリア周波数として計算する。
【0363】そして、同期捕捉部20で捕捉したGPS
衛星について、同期保持部30のチャンネルを割り当て
ると共に、前記拡散符号の位相およびIFキャリア周波
数を計算した前記他の各衛星についても、同期保持部3
0のチャンネルを割り当て、同期捕捉した結果および、
前記計算した結果を初期値として各チャンネルにおいて
同期保持動作を開始する。
【0364】次に、この例の場合の同期保持スタートの
処理のフローチャートを、図34に示す。
【0365】この図34の同期保持処理スタート前に、
GPS受信機への電源投入時などにおいて、CPU41
は、GPS受信機が、現在、記憶されている位置である
と仮定して、GPS衛星の軌道情報から、GPS受信機
が捕捉可能な各GPS衛星について、大体の視線距離と
ドップラーシフト量を計算して推定しておく。
【0366】そして、同期保持スタートに当たっては、
CPU41は、同期保持部30のコスタスループ31お
よびDLL32のNCO208,323、ローパスフィ
ルタ204,205,304,305,314,31
5、ループフィルタ207,322へ定数の初期設定を
行う(ステップS131)。なお、このとき、コスタス
ループ31およびDLL32は、いずれも初期状態はル
ープ開とされる。
【0367】次に、CPU41は、同期捕捉部20から
の割り込み指示を監視し(ステップS132)、割り込
み指示を検出したときには、同期捕捉部20から、GP
S衛星番号、拡散符号の位相、IFキャリア周波数、信
号強度の情報を受け取ると共に、同期保持部30に対し
て、受け取ったGPS衛星番号に対して独立のチャンネ
ルを割り当てるようにする設定する(ステップS13
3)。
【0368】そして、CPU41は、同期捕捉部20か
ら受け取った拡散符号の位相から、同期保持スタートタ
イミングを計算するとともに、同期保持部30の、割り
当てられたチャンネル内の各部に供給する初期値を、同
期捕捉部20から受け取ったIFキャリア周波数に基づ
いて生成する(ステップS134)。
【0369】そして、CPU41は、生成した初期値
を、コントロールレジスタ33を通じて同期保持部30
の、ステップS133で割り当てられたチャンネル内の
各部に送ると共に、同期保持部30の拡散符号発生器3
20からの一致拡散符号Pの発生位相を、前記同期保持
スタートタイミングとするように制御して、同期保持動
作をスタートさせる(ステップS135)。なお、この
とき、コスタスループ31およびDLL32のループは
開のままとする。
【0370】次に、CPU41は、当該同期捕捉された
GPS衛星についての前記推定した視線距離とドップラ
ーシフト量を基準として、その基準に対する、まだ同期
捕捉部20では同期捕捉されていない他の各GPS衛星
についての視線距離の差およびドップラーシフトの差
(ドップラー周波数差)を計算する。視線距離の差は、
光速で除算することで拡散符号の位相差に変換しておく
(ステップS136)。
【0371】次に、CPU41は、ステップS136で
計算した前記他の各衛星の拡散符号の位相差およびドッ
プラー周波数差のそれぞれに、同期捕捉部20が検出し
た衛星の拡散符号の位相およびIFキャリア周波数をそ
れぞれ加えた値を、前記他の各衛星についての拡散符号
の位相およびIFキャリア周波数とする計算を行う(ス
テップS137)。
【0372】その後、CPU41は、前記他の各衛星に
ついて、同期保持部30のチャンネルを独立に割り当て
る(ステップS138)。そして、CPU41は、ステ
ップS137で計算した前記他の各衛星についての拡散
符号の位相およびIFキャリア周波数に基づいて、それ
ぞれの同期保持スタートタイミングを計算するととも
に、同期保持部30の、割り当てられた各チャンネル内
の各部に供給する初期値を生成する(ステップS13
9)。
【0373】そして、CPU41は、生成した初期値
を、コントロールレジスタ33を通じて同期保持部30
の、ステップS138で割り当てられたそれぞれのチャ
ンネル内の各部に送ると共に、同期保持部30の、前記
各チャンネルの拡散符号発生器320からの一致拡散符
号Pの発生位相を、前記各チャンネル毎に生成した同期
保持スタートタイミングとするように制御して、同期保
持動作をスタートさせる(ステップS140)。なお、
このとき、各チャンネルでは、コスタスループ31およ
びDLL32のループは開のままとする。
【0374】以上のようにしてスタートした各チャンネ
ルの同期保持処理は、前述した図28のフローチャート
と同様にして行われる。
【0375】以上説明した同期捕捉・同期保持過程の第
2の例によれば、同期捕捉部20で同期捕捉が開始され
てから、同期保持部30で4個以上のGPS衛星信号の
同期保持ができる同期確立までの時間を短縮することが
できる。
【0376】この第2の例において、仮定したGPS受
信機の位置は実際の位置と違うので、拡散符号の位相お
よびIFキャリア周波数とも、実際とずれているが、同
期保持部30の各チャンネルは、初期値を中心にサーチ
することで、短時間のうちに相関を検出し、同期を確立
できる可能性が高い。
【0377】例えば、GPS受信機に記憶されている位
置から3km離れたところでGPS受信機の電源をON
にした場合、仮に視線距離にして3kmの差が生じたと
しても、その視線距離を光速で割った時間は、10μs
=約10チップ相当のサーチ範囲内で済む。
【0378】そして、この第2の例においては、同期保
持部30の複数チャンネルが、複数の衛星に対して並列
に処理を行うので、位置計算に必要な4個以上の衛星と
の同期を確立して位置を表示するまでの時間をかなり短
縮できる。
【0379】なお、図33のフローチャートの処理にお
いては、同期捕捉部20は、1個のGPS衛星信号を同
期捕捉して相関検出した時点で処理を終わっているが、
1個のGPS衛星信号を同期捕捉を完了した後も、引き
続き次の衛星の同期捕捉による相関検出に移行し、次の
衛星を同期捕捉して相関検出したら、同期保持部30に
検出結果を転送し、同期保持部30は、同期捕捉部20
が検出した衛星の同期がまだ確立していない場合には、
1個目のGPS衛星と同様に、独立の1つのチャンネル
を割当て、検出された衛星番号、拡散符号の位相、IF
キャリア周波数を設定して同期保持動作を開始するよう
にしてもよい。
【0380】また、軌道情報からの各衛星の視線距離と
ドップラーシフト量の計算は、電源投入時のみではな
く、CPU41が、同期捕捉部20が同期捕捉により相
関検出するより前の段階で、軌道情報から予め計算して
おき、同期捕捉部20が同期捕捉により相関検出後は、
前述と同様に、同期捕捉されたGPS衛星と各衛星の拡
散符号の位相差とドップラーシフト差のみを計算するよ
うにしてもよい。
【0381】なお、この同期捕捉・同期保持過程の第2
の例において、同期保持のスタートタイミングの決定方
法としては、前述した同期捕捉・同期保持過程の第1の
例において説明した第1〜第3の例を用いることができ
ることは言うまでもない。
【0382】〔同期捕捉・同期保持過程の第3の例〕こ
の同期捕捉・同期保持過程の第3の例は、上述した第2
の例におけるCPU41が推定した他の衛星との拡散符
号の位相差とドップラーシフトの差を、同期捕捉・同期
保持過程の第1の例における同期捕捉部20での2個目
以降のGPS衛星信号の同期捕捉の検出に利用したもの
である。
【0383】図35は、この同期捕捉・同期保持過程の
第3の例における同期捕捉部20での同期捕捉処理の流
れを説明するためのフローチャートである。
【0384】まず、同期捕捉の処理のスタート前に、G
PS受信機への電源投入時などにおいて、CPU41
は、GPS受信機が、現在、記憶されている位置である
と仮定して、GPS衛星の軌道情報から、GPS受信機
が捕捉可能な各GPS衛星について、大体の視線距離と
ドップラーシフト量を計算して推定しておく(ステップ
S151)。
【0385】次に、CPU41は、同期捕捉のための初
期設定を行う(ステップS152)。この初期設定にお
いては、同期捕捉のためにサーチするGPS衛星および
そのサーチの順番を、GPS受信機が記憶している有効
な軌道情報に基づいて設定する。また、1個目のGPS
衛星について、軌道情報から、ドップラーシフトを考慮
したIFキャリア周波数を計算して、サーチするIFキ
ャリア周波数の中心と範囲を設定するようにする。
【0386】初期設定が終了したら、サーチの順番に従
って、同期捕捉する一つのGPS衛星を設定する(ステ
ップS153)。これにより、同期捕捉対象の衛星番号
が決まり、また、相関を検出しようとする拡散符号が決
まる。
【0387】次に、同期捕捉部20のDSP23は、R
AM22に、サンプリング回路21でサンプリングした
IFデータの取り込み開始を指示し、この開始タイミン
グで、CPU41に対してタイマをスタートさせるよう
に指示する(ステップS154)。ここで、このタイマ
としては、制御部40のタイマ45を用いるようにす
る。
【0388】次に、DSP23において、前述したデジ
タルマッチドフィルタを用いた同期捕捉の例のいずれか
を用いて、ステップS153で設定したGPS衛星信号
の拡散符号について相関検出処理を行う(ステップS1
55)。
【0389】そして、DSP23は、GPS衛星信号の
拡散符号について相関が検出されたか否か、つまり、G
PS衛星信号の同期捕捉ができたか否か判別し(ステッ
プS156)、相関が検出できたときには、CPU41
に対して割り込み指示を発生させると共に、同期捕捉の
検出結果として、GPS衛星番号、拡散符号の位相、I
Fキャリア周波数、信号強度の情報をCPU41に渡す
(ステップS157)。
【0390】次に、CPU41は、当該同期捕捉された
GPS衛星についてのステップS151で推定した視線
距離とドップラーシフト量を基準として、その基準に対
する、次の順番のGPS衛星についての視線距離の差お
よびドップラーシフトの差(ドップラー周波数差)を計
算する。視線距離の差は、光速で除算することで拡散符
号の位相差に変換する。
【0391】そして、CPU41は、計算した次の順番
の衛星の拡散符号の位相差およびドップラー周波数差の
それぞれに、ステップS156で同期捕捉部20が検出
した衛星の拡散符号の位相およびIFキャリア周波数の
それぞれを加えた値を、前記次の順番の衛星についての
拡散符号の位相およびIFキャリア周波数とする計算
し、その計算結果をDSP23に渡す(ステップS15
8)。
【0392】DSP23は、CPU41からの次の順番
の衛星についての拡散符号の位相およびIFキャリア周
波数を受けて、次の順番の衛星についての同期捕捉にお
ける拡散符号の位相検出の範囲およびIFキャリア周波
数のサーチ範囲を設定するようにする(ステップS15
9)。
【0393】すなわち、2個目以降のGPS衛星信号に
ついての同期捕捉の検出は、IFキャリア周波数検出に
ついては、1個前のGPS衛星信号の同期捕捉で検出し
たIFキャリア周波数に、CPU41から受け取ったド
ップラーシフトの差を加えた値とその近辺、例えば±2
00Hz以内とし、かつ、拡散符号の位相検出に関して
は、1個前のGPS衛星信号の同期捕捉で検出した拡散
符号の位相に、CPU41から受け取った拡散符号の位
相差を足した部分の近辺、例えば±50チップの範囲内
とする。これにより、次のGPS衛星について有意な相
関サーチすることができるようにする。
【0394】そして、サーチすべきGPS衛星のすべて
についての同期捕捉サーチが終了したか否か判別し(ス
テップS160)、未だサーチすべきGPS衛星が残っ
ているときには、ステップS153に戻り、同期捕捉す
る次のGPS衛星を設定し、サーチ範囲を前記ステップ
S159で設定された範囲で、以上の同期捕捉処理を繰
り返す。
【0395】また、ステップS160で、サーチすべき
すべてのGPS衛星についての同期捕捉が終了したと判
別したときには、同期捕捉動作を終了して、同期捕捉部
20を待機状態(スタンバイ状態)にする。
【0396】また、ステップS156で相関が検出でき
ないと判別したときには、その状態が予め定めた所定時
間以上経過したか否か判別し(ステップS161)、所
定時間経過していなければ、ステップS156に戻っ
て、相関検出を継続する。
【0397】ステップS161で、所定時間経過したと
判別したときには、ステップS160に進み、サーチす
べきGPS衛星のすべてについての同期捕捉サーチが終
了したか否か判別し、未だサーチすべきGPS衛星が残
っているときには、ステップS153に戻り、同期捕捉
する次のGPS衛星を設定し、以上の同期捕捉処理を繰
り返す。このときには、例えば、初期設定で設定したサ
ーチ範囲において、サーチを行うようにする。
【0398】また、ステップS160で、サーチすべき
すべてのGPS衛星についての同期捕捉が終了したと判
別したときには、同期捕捉動作を終了して、同期捕捉部
20を待機状態(スタンバイ状態)にする。
【0399】このスタンバイ状態では、前述したよう
に、CPU41により、同期捕捉部20への電源の供給
はオフ、または、動作クロックの供給が停止されて、不
要な消費電力が抑えられている。
【0400】以上のようにして、この第3の例において
は、2個目以降の同期捕捉処理の際には、IFキャリア
周波数と拡散符号の位相のサーチ範囲がかなり限定さ
れ、1個目の衛星の検出に要した処理時間より大幅に短
縮できる。
【0401】また、1個目の衛星では、符号長1,02
3の位相すべてをサーチしなければならなかったが、2
個目以降は、拡散符号の位相の範囲がかなり限定される
ことで、偽の相関を排除できる確率が高くなり、したが
って、2個目以降の衛星は信号レベルが1個目より低く
ても検出できる可能性が高くなる。
【0402】この第3の例の場合の同期保持部30に対
する制御は、第1の例の場合と同様にして行える。
【0403】また、同期捕捉部20と同期保持部30は
独立に動作できるので、2個目以降の衛星についての同
期捕捉部20での処理を、この第3の例で行い、また、
同期保持部30についての同期処理を前述した第2の例
として、同期捕捉部20と同期保持部30の処理を並行
して行い、処理を高速化することも可能である。
【0404】なお、この同期捕捉・同期保持過程の第3
の例において、同期保持のスタートタイミングの決定方
法としては、前述した同期捕捉・同期保持過程の第1の
例において説明した第1〜第3の例を用いることができ
ることは言うまでもない。
【0405】[同期保持が外れたときの処理]同期保持
部30の各チャンネルは、GPS衛星からの信号が所定
の信号強度で受信できている限り、同期を保持し続ける
ことができるが、GPS受信機の受信状態は時々刻々変
化する。
【0406】そして、GPS衛星からの受信信号の信号
強度が弱くなったときには、前述したように、IFキャ
リアの同期が不完全であるにもかかわらず、GPS衛星
信号の拡散符号とGPS受信機の拡散符号との同期は保
持されているという状態がしばしば生じる。
【0407】同期保持部30で同期保持中のGPS衛星
信号に関して、コスタスループ31において、拡散符号
ロック判定部211からの拡散符号ロック判定出力と、
IFキャリアロック判定部213のIFキャリアロック
判定出力とから、拡散符号の同期ロックは保持されてい
るが、IFキャリアの同期が失われたと判定された場
合、CPU41は、当該IFキャリア同期が失われる直
前のNCO208の周波数情報(ロック状態におけるI
Fキャリア周波数に対応)を認識して、その認識したI
Fキャリア周波数に、NCO208の出力信号の周波数
を保持すれば、しばらくの間は、DLL32において、
拡散符号の同期保持は可能である。
【0408】しかし、GPS受信機に対するGPS衛星
の相対運動によるドップラーシフトによって、GPS衛
星からの受信信号のIFキャリア周波数は変化するた
め、コスタスループ31によるIFキャリアの同期が失
われたままでは拡散符号の同期もいずれ失われることに
なる。
【0409】そこで、この実施形態では、拡散符号の同
期が確保されている状態で、IFキャリアの同期が失わ
れたGPS衛星信号については、CPU41は、スイッ
チ回路212をオフにして、コスタスループ31のルー
プを開にすると共に、IFキャリア周波数を予測し、N
CO208に、その出力周波数が予測したIFキャリア
周波数になるような周波数情報を設定する。
【0410】この場合に、IFキャリアは、上述したよ
うに順次変化してゆくが、CPU41は、IFキャリア
周波数の予測値も順次更新するようにする。これによ
り、IFキャリアの同期が失われた状態であっても、よ
り長時間に渡る拡散符号の同期保持を可能としている。
【0411】そして、IFキャリアの同期が取れた状態
に復帰したときには、CPU41は、スイッチ回路21
2をオンにして、コスタスループ31のループを閉に状
態に戻すようにする。
【0412】ここで、IFキャリア周波数は、次のよう
にして、CPU41が予測演算する。
【0413】[IFキャリア周波数の予測演算の第1の
例]IFキャリア周波数fIFは、衛星からの受信信号
のキャリア周波数をfRF、局部発信周波数をfLOと
すると fIF=fRF−fLO と表される。
【0414】また、実際の受信信号のキャリア周波数f
´RFは、GPS受信機に対するGPS衛星の相対運動
によるドップラーシフト分Δfを含むため、 f´RF=f´RF+Δf となる。
【0415】また、実際の局部発振回路15からの局部
発信周波数f´LOも誤差δを含むため、 f´LO=fLO+δ となる。
【0416】よって、実際のIFキャリア周波数f´I
Fは、 となる。
【0417】上記式(10)において、キャリア周波数
fRFは、1575.42MHzと定められており、f
LOは、GPS受信機固有のパラメータであるため、い
ずれも既知である。
【0418】局部発信回路15からの局部発振周波数の
誤差δは、予め調べて既知としておくこともできるが、
4個以上のGPS衛星からの受信信号を利用してGPS
受信機の速度を求める際の4番目の未知数であるため、
4個以上のGPS衛星からの受信信号によりGPS受信
機速度を導出すれば得られる。
【0419】Δfは、ドップラー効果によるキャリア周
波数の変移量であり、真空中の光速をc、受信機に対す
る衛星の視線速度をνとすると、図41の式(10)に
示すように表される。そして、この図41の式(10)
において、視線速度νは、図41の式(11)に示すよ
うに表される。
【0420】図41の式(11)において、文字上に矢
印が付加されたXsおよびVsは、それぞれGPS衛星
の位置および速度を表すベクトルであり、また、文字上
に矢印が付加されたXoおよびVoは、それぞれGPS
受信機の位置および速度を表すベクトルである。
【0421】同期保持部30において、IFキャリアの
同期が失われたチャンネル以外のチャンネルにより、4
個以上のGPS衛星からの受信信号の拡散符号およびI
Fキャリアの同期が確立されているのであれば、それら
4個以上のGPS衛星からの受信信号の拡散符号および
IFキャリアの同期が確立されてチャンネルの情報を用
いることにより、上記のGPS受信機の位置ベクトルお
よび速度ベクトル、GPS衛星の位置ベクトルおよび速
度ベクトル、また、局部発振回路15からの局部発振周
波数の誤差δは求められ、既知することができる。した
がって、図41の式(11)により、視線速度νは、直
ちに求まる。そして、視線速度νが求まれば、前述した
図41の式(9)〜(10)により、IFキャリア周波
数f´IFを予測値として求めることができる。
【0422】[IFキャリア周波数の予測演算の第2の
例]IFキャリアの同期が失われても、拡散符号の同期
が確保されていれば、当該チャンネルのGPS衛星信号
の拡散符号の位相は既知となる。この拡散符号の位相
と、軌道情報用メモリ46に記憶されている軌道情報の
うちのエフェメリス情報とを用いることにより、GPS
衛星の位置ベクトルと、速度ベクトルとは、精度良く求
めることができる。
【0423】GPS衛星の位置ベクトルは、GPS受信
機の位置を導出する際にエフェメリスと拡散符号の位相
を用いることにより求まる。また、GPS衛星の速度ベ
クトルは、GPS受信機の速度を導出する際にエフェメ
リスと拡散符号の位相を用いることにより求まる。ただ
し、IFキャリアが不完全な状況では、そのGPS衛星
からの受信信号の同期保持チャンネルの情報は、GPS
受信機の速度の導出に利用できないので、IFキャリア
同期が取れている他の4個以上のGPS衛星についての
同期保持チャンネルの情報を用いるようにする。
【0424】エフェメリス情報は、従来の技術の欄でも
説明したように、その基準時刻の前後2時間程度しか精
度が保証されていないが、その期間内であれば、高い精
度で衛星位置ベクトルと衛星速度ベクトルを求めること
が可能となる。
【0425】第2の例は、このように、既知である拡散
符号の位相と、エフェメリス情報を用いて、GPS衛星
の位置ベクトルと、速度ベクトルとを求める。そして、
求めたGPS衛星の位置ベクトルおよび速度ベクトル
と、他の必要な既知の情報、すなわち、GPS受信機の
位置ベクトルおよび速度ベクトル、局部発振回路15か
らの局部発振周波数の誤差δとを元にして、前述の図4
1(9)〜(11)にしたがった計算をして、IFキャ
リア周波数の予測値を求める。
【0426】この第2の例によれば、IFキャリア周波
数の予測値の精度向上を期待することができる。
【0427】[IFキャリア周波数の予測演算の第3の
例]IFキャリア同期が失われた同期保持チャンネルに
おけるGPS衛星からの受信信号の拡散符号の位相が未
知の場合であっても、その時点における現在時刻を知る
ことができれば、その現在時刻とエフェメリス情報とを
用いることにより、当該GPS衛星の位置ベクトルおよ
び速度ベクトルを概算することが可能になる。
【0428】例えば文献[James Bao-Yen Tsui, “Fund
amentals of global positioning system receivers: a
software Approach”, John Wiley & Sons, Inc., 200
0.]などにも記載されているように、ドップラー効果に
よる周波数変位量Δfの単位時間当たりの平均変化量
は、0.54Hz/秒であり、衛星位置ベクトルおよび
衛星速度ベクトルを求めるのに利用した時刻が、拡散符
号の位相より求めた信号発信時刻に対して、仮に1秒ず
れていたとしても、最終的に得られるIFキャリアの周
波数予測値に対する影響は無視できる。
【0429】現在時刻の情報を得る方法としては、GP
S受信機の制御部40に設けられる時計回路44から得
る方法と、GPS受信機位置を導出する際に求められる
時刻情報から得る方法とがある。
【0430】この第3の例によれば、IFキャリアの同
期が不完全な状況において、信号の受信状況の変化など
で拡散符号の同期が一時的に失われてしまったとして
も、すなわち、拡散符号の位相情報が得られなくなった
としても、IFキャリア周波数を予測することが可能と
なり、信号の受信状況が回復した際の、拡散符号の同期
再捕捉までの時間短縮に寄与する。
【0431】〔同期保持外れ時の処理の第1の例〕以上
のことを考慮した同期保持外れ時の、CPU41の制御
処理のフローチャートを図36に示す。この図36のフ
ローチャートは、同期保持部30の1チャンネル分のも
のである。
【0432】すなわち、まず、CPU41は、同期保持
部30のコスタスループ31における拡散符号ロック判
定部211およびIFキャリアロック判定部の出力を監
視して、同期保持ロックの状態をチェックする(ステッ
プS171)。
【0433】このステップS171での同期保持ロック
状態のチェックの結果、拡散符号の同期およびIFキャ
リアの同期が、共にロック状態であると判別されたとき
には、同期保持動作を継続し(ステップS172)、ス
テップS171に戻って、同期保持ロックの監視を続け
る。
【0434】ステップS171で、拡散符号の同期は維
持されているが、IFキャリアの同期保持ロックが外れ
たと判別したときには、CPU41は、コスタスループ
31のスイッチ回路212をオフにして、コスタスルー
プ31をループ開の状態にして、フィードバック制御を
停止させる(ステップS173)。
【0435】そして、CPU41は、前述したIFキャ
リア予測演算の第1の例あるいは第2の例により、IF
キャリア周波数の予測値を計算し(ステップ174)、
求めたIFキャリア周波数の予測値にNCO208の出
力周波数がなるように、NCO208を制御する(ステ
ップS175)。
【0436】次に、CPU41は、IFキャリアロック
判定部213の出力により、IFキャリア同期が取れる
状態になったか否か判別する(ステップS176)。そ
して、CPU41は、このステップS176で、IFキ
ャリア同期が取れる状態になったと判別したときには、
スイッチ回路212をオンにして、コスタスループ31
のループを閉じ、フィードバック制御を再開する(ステ
ップS177)。そして、ステップS171に戻り、同
期状態を監視するようにする。
【0437】ステップS176で、IFキャリア同期が
取れる状態には復帰してはいないと判別したときには、
CPU41は、拡散符号ロック判定部211の出力をチ
ェックして、拡散符号の同期が外れていないかどうか判
別する(ステップS178)。このステップS178
で、拡散符号の同期が外れていないと判別したときに
は、ステップS174に戻って、前述した第1の例また
は第2の例を用いて、IFキャリア周波数の予測値を演
算し、求めたIFキャリア予測値にNCO208の出力
周波数がなるように、NCO208の制御値を変更する
(ステップS175)。そして、このステップS175
以降の処理ステップを繰り返す。
【0438】また、CPU41は、ステップS178で
拡散符号の同期も外れたと判別したときには、現在時刻
と、軌道情報のエフェメリス情報とを用いてIFキャリ
ア周波数を予測演算する前述の第3の例を行う(ステッ
プS179)。そして、この予測したIFキャリア周波
数と、同期外れを起こしたチャンネルに対応するGPS
衛星番号と、拡散符号の位相の情報とを、同期捕捉サー
チの初期値として、同期捕捉部20に渡して、前述した
ような同期捕捉処理を再開するように指示する(ステッ
プS181)。
【0439】ここで、CPU41は、ステップS179
からステップS181に移行した場合には、ステップS
178で拡散符号の位相が外れたと検出したときのDL
L32のNCO323の周波数情報から、その拡散符号
の同期が外れる直前の拡散符号の位相を検出し、当該同
期外れが生じる直前の拡散符号の位相を同期捕捉部20
に、拡散符号についての同期捕捉サーチの初期値として
渡すようにする。
【0440】このCPU41からの指示により、同期捕
捉部20が同期捕捉処理を行う。すなわち、同期捕捉部
20は、拡散符号の発生位相に基づき、RAM22にI
Fデータを、拡散符号の先頭位相に一致するタイミング
で取り込み、同期捕捉処理を前述したようにして行う。
そして、同期捕捉により有意な相関が検出されたか否か
判別し、検出できたと判別したときには、同期捕捉部2
0のDSP23は、CPU41に、割り込み指示を渡す
と共に、同期捕捉の検出結果である拡散符号の位相、I
Fキャリア周波数、信号強度、衛星番号を渡す。
【0441】そこで、CPU41は、同期捕捉部20か
らの割り込みを監視し(ステップS182)、割り込み
を検知したら、同期捕捉部20から、衛星番号、拡散符
号の位相、IFキャリア周波数および信号強度を受け取
って、前述したような同期保持スタート処理を開始す
る。
【0442】ここで、同期捕捉部20では、一回のRA
M22へのデータの取り込みで同期捕捉ができなかった
とき、すなわち、同期捕捉による有意な相関結果が得ら
れなかったときには、例えば1秒経過を待って、RAM
22に前述と同様に、拡散符号の先頭位相に一致するタ
イミングで、IFデータを取り込み、同期捕捉動作を行
う。そして、同期捕捉による有意な相関が検出されるま
で、1秒経過待ち、RAM22へのデータの再取り込み
の処理を繰り返す。
【0443】この動作を繰り返すことで、信号強度が回
復した時点で、同期捕捉部20は、GPS衛星の拡散符
号の位相とIFキャリア周波数を検出でき、結果を同期
保持部30に渡して、再び同期保持状態に戻すことがで
きる。
【0444】また、CPU41は、ステップS171
で、拡散符号の同期と、IFキャリアの同期とが、共に
失われていると判別したときには、この例の場合には、
再同期捕捉が必要であると認識して、同期外れを生じた
衛星番号と、同期外れを生じた時の拡散符号発生器32
0からの拡散符号の発生位相、IFキャリア周波数を、
同期保持部30の当該チャンネルからの周波数情報など
により認識し(ステップS180)、同期捕捉部20
に、それら衛星番号、拡散符号の発生位相(先頭位
相)、IFキャリア周波数の情報を渡す(ステップS1
81)。
【0445】このステップS181以降は、前述したス
テップS182以降を繰り返し、CPU41は、再同期
捕捉を待って、再同期保持動作に移行するようにする。
【0446】〔同期保持外れ時の処理の第2の例〕移動
している場合において、建物でGPS衛星からの電波が
遮られたりすると、IFキャリアだけでなく、拡散符号
の同期の保持もできなくなる。しかし、GPS衛星から
の電波の遮断が極めて短時間の場合であれば、例えば、
信号強度が所定のレベル以下になったところで、図24
および図25のスイッチ回路212およびスイッチ回路
324をオフにして、コスタスループ31およびDLL
32のループ制御を停止すれば、拡散符号の位相とIF
キャリア周波数は、短時間のうちには大きくずれないの
で、信号強度が回復した時点で、コスタスループ31お
よびDLL32の制御を再開すれば同期は瞬時に回復
し、したがって、同期保持部30だけの制御で済む。こ
の第2の例は、この点を考慮する。
【0447】また、GPS衛星からの電波の遮断時間が
長いと、信号強度が回復した時点での拡散符号の位相と
IFキャリア周波数は大きく変わっているので、同期が
保持されていた最後の拡散符号の位相とキャリア周波数
に、時間経過の分の補正を加え、補正した拡散符号の位
相およびIFキャリア周波数の近辺で同期保持動作を開
始させるようにする方法が一般的である。
【0448】これ対して、この第2の例では、拡散符号
の位相に関しては、同期が保持されていた最後の拡散符
号の位相に、時間経過の分の補正を加えたものを同期捕
捉の初期値に使用するが、IFキャリア周波数に関して
は、前述した、現在時刻とエフェメリスの情報とを用い
て予測した予測値を、同期捕捉の初期値に使用するよう
にする。
【0449】以上を考慮した同期保持外れ時の処理の第
2の例のフローチャートを図37に示す。この図37の
フローチャートも、同期保持部30の1チャンネル分の
ものであることは第1の例と同様であり、第1の例と同
じ処理内容のステップには、同じステップ番号を示して
ある。
【0450】この第2の例において、ステップS171
で、拡散符号の同期およびIFキャリアの同期が、共に
ロック状態であると判別されたとき、また、拡散符号の
同期は維持されているが、IFキャリアの同期保持ロッ
クが外れたと判別したときの処理は、第1の例と同じで
あるので、その説明は、省略する。ただし、図37のフ
ローチャートにおいては、ステップS178からステッ
プS195に進む点が図36の場合とは異なっている
が、その処理内容には、違いはない。
【0451】この第2の例において、ステップS171
で、拡散符号の同期およびIFキャリアの同期が、共に
失われたと判別したときには、CPU41は、スイッチ
回路212およびスイッチ回路324をオフにして、コ
スタスループ31およびDLL32のループを開にする
(ステップS191)。
【0452】前述したように、同期外れが短時間のもの
であれば、ループを開にすると相関値CV(P)は、有
意なレベルにまで立ち上がる。そこで、CPU41は、
次のステップS192において、相関値CV(P)が有
意なレベルにまで立ち上がったか否か判別する。
【0453】ステップS192で、相関値CV(P)が
有意なレベルにまで立ち上がったと判別したときには、
CPU41は、スイッチ回路212およびスイッチ回路
324をオンにして、コスタスループ31およびDLL
32のループを閉にする(ステップS193)。そし
て、拡散符号およびIFキャリアが共に同期保持ロック
状態になったかどうか判別する(ステップS194)。
ステップS194で、同期保持ロックが検出されれば、
ステップS172に進み、同期保持状態を継続する。
【0454】ステップS194で、同期保持ロックを検
出できなかったとき、また、ステップS192で、相関
値CV(P)が有意なレベルにまで復帰しなかったとき
には、CPU41は、再捕捉の必要があるとして、現在
時刻と、軌道情報のエフェメリス情報とを用いてIFキ
ャリア周波数を予測演算する前述の第3の例を行う(ス
テップS195)。
【0455】そして、この予測したIFキャリア周波数
と、同期外れを起こしたチャンネルに対応するGPS衛
星番号と、拡散符号の位相の情報とを、同期捕捉サーチ
の初期値として、同期捕捉部20に渡して、前述したよ
うな同期捕捉処理を再開するように指示する(ステップ
S196)。
【0456】このCPU41からの指示により、同期捕
捉部20が同期捕捉処理を行う。すなわち、同期捕捉部
20は、渡された拡散符号の位相に基づき、RAM22
にIFデータを、拡散符号の先頭位相に一致するタイミ
ングで取り込み、同期捕捉処理を前述したようにして行
う。そして、同期捕捉により有意な相関が検出されたか
否か判別し、検出できたと判別したときには、同期捕捉
部20のDSP23は、CPU41に、割り込み指示を
渡すと共に、同期捕捉の検出結果である拡散符号の位
相、IFキャリア周波数、信号強度、衛星番号を渡す。
【0457】そこで、CPU41は、同期捕捉部20か
らの割り込みを監視し(ステップS197)、割り込み
を検知したら、同期捕捉部20から、衛星番号、拡散符
号の位相、IFキャリア周波数および信号強度を受け取
って、前述したような同期保持スタート処理を開始す
る。
【0458】なお、同期捕捉部20では、一回のRAM
22へのデータの取り込みでは、同期捕捉ができなかっ
たときには、同期捕捉による有意な相関結果が得られな
かったときには、例えば1秒経過を待って、RAM22
に前述と同様に、拡散符号の先頭位相に一致するタイミ
ングで、IFデータを取り込み、同期捕捉動作を行う。
そして、同期捕捉による有意な相関が検出されるまで、
1秒経過待ち、RAM22へのデータの再取り込みの処
理を繰り返す。
【0459】この動作を繰り返すことで、信号強度が回
復した時点で、同期捕捉部20は、GPS衛星の拡散符
号の位相とIFキャリア周波数を検出でき、結果を同期
保持部30に渡して、再び同期保持状態に戻すことがで
きる。
【0460】このようにすることで、再捕捉したい拡散
符号の位相は、RAM22が記憶するIFデータにおい
ては、ほぼRAM22にIFデータを取り込んだ時点の
辺り、図4で言えば、ピークの位置が横軸の左端または
右端付近に存在することになる。
【0461】そして、再捕捉する衛星のIFキャリア周
波数が上述のように設定される結果、同期捕捉部20
は、その衛星について、IFキャリア周波数の近辺、例
えば±51Hz、だけの相関検出処理を行うようにする
ことができる。その際、拡散符号の位相は、狭い範囲、
例えば、±10チップの範囲内だけサーチすることで同
期捕捉を取ることが可能になる。
【0462】この方法により、信号強度が回復していれ
ば、同期捕捉部20は、衛星の拡散符号の位相とIFキ
ャリアの周波数を極めて短時間で検出できる。拡散符号
の位相の範囲がかなり限定されることで、偽の相関を排
除できる確率が高くなり、したがって、信号レベルが低
くても検出できる可能性が高い。
【0463】以上のようにして、この実施形態における
同期保持外れ時処理によれば、拡散符号の同期が保持さ
れている状態において、IFキャリアの同期が外れたと
きには、コスタスループ31を開にして、GPS衛星信
号に追従させるフィードバックループは切断し、その代
わりに、CPU41で、あたかもGPS衛星信号に追従
させるようにするためのIFキャリア周波数を予測値を
演算して、その演算した予測値によりコスタスループ3
1のNCO208の周波数を制御するようにしたことに
より、IFキャリアの同期が失われた状態であっても、
より長時間に渡る拡散符号の同期保持を確保することが
できる。
【0464】[その他の実施形態]以上の実施形態の説
明では、同期捕捉部20からの検出結果は、CPU41
を介して同期保持部30に渡すようにしたが、前述した
ように、同期捕捉部20から、同期保持部30に直接的
に渡すように構成することができるものである。
【0465】また、上述の例では、同期捕捉部20に
は、デジタルマッチドフィルタを用いた例としたが、こ
の発明では、粗い精度の同期捕捉を同期捕捉部が行い、
その結果を同期保持部に渡して、同期確立までを高速化
することが目的であるので、同期捕捉部20は、デジタ
ルマッチドフィルタを用いた例に限られるものではな
い。
【0466】また、デジタルマッチドフィルタには、上
述の例のようなFFTを用いた例のみではなく、前述し
たように、トランスバーサルフィルタを用いた構成とす
ることができるものである。
【0467】また、以上の実施形態では、同期捕捉と、
同期保持とを機能的に分離した場合であるが、この発明
は、そのような場合に限られるものではなく、IFキャ
リアの同期が外れたことを検出することができる場合の
すべてに適用可能である。例えば、同期捕捉と同期保持
を一体的に行う従来のスライディング相関、コスタスル
ープ+DLLによる同期捕捉・同期保持方式の場合にお
いても、適用可能である。
【0468】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、GPS衛星からの受信信号が弱まり、IFキャリア
の同期保持が困難な状況においても、拡散符号の同期保
持を継続することが可能になる。その結果、当該衛星か
らの受信信号を、GPS受信機の位置の導出に利用する
ことが可能となり、GPS受信機の利用可能領域の拡大
に寄与する。
【0469】また、GPS衛星からの受信信号が弱ま
り、IFキャリアの同期保持が困難な状況においても、
IFキャリア周波数を予測できるため、信号が再び強く
なった場合に、IFキャリアの同期捕捉までの時間が短
縮される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明によるGPS受信機の構成例を示すブ
ロック図である。
【図2】図1の一部である同期捕捉部の構成例を示すブ
ロック図である。
【図3】図2の同期捕捉部の一部を構成するDSPの内
部構成例を示すブロック図である。
【図4】デジタルマッチドフィルタを用いた拡散符号の
相関結果の例を示す図である。
【図5】受信信号のキャリアと拡散符号との同期を取る
方法の一般的な例を説明するための図である。
【図6】この発明の実施の形態において、同期捕捉方法
の第1の例を説明するための図である。
【図7】同期捕捉方法の第1の例の動作を考慮した要部
の構成を示す図である。
【図8】同期捕捉方法の第2の例を説明するための図で
ある。
【図9】同期捕捉方法の第2の例の動作を説明するため
のフローチャートの一部を示す図である。
【図10】同期捕捉方法の第2の例の動作を説明するた
めのフローチャートの一部を示す図である。
【図11】同期捕捉方法の第2の例の動作を考慮した要
部の構成を示す図である。
【図12】同期捕捉方法の第3の例を説明するための図
である。
【図13】同期捕捉方法の第3の例を説明するための図
である。
【図14】同期捕捉方法の第3の例の動作を考慮した要
部の構成を示す図である。
【図15】同期捕捉方法の第4の例を説明するための図
である。
【図16】同期捕捉方法の第4の例を説明するための図
である。
【図17】同期捕捉方法の第4の例を説明するための図
である。
【図18】同期捕捉方法の第4の例を説明するための図
である。
【図19】同期捕捉方法の第4の例を説明するための図
である。
【図20】同期捕捉方法の第4の例を説明するための図
である。
【図21】同期捕捉方法の第4の例の動作を説明するた
めのフローチャートの一部を示す図である。
【図22】同期捕捉方法の第4の例の動作を説明するた
めのフローチャートの一部を示す図である。
【図23】図1の一部である同期保持部の構成例を示す
ブロック図である。
【図24】図23の同期保持部の一部を構成するコスタ
スループの構成例を示すブロック図である。
【図25】図23の同期保持部の一部を構成するDLL
の構成例を示すブロック図である。
【図26】同期捕捉処理の一例の流れを説明するための
フローチャートである。
【図27】同期保持スタート処理の流れを説明するため
のフローチャートである。
【図28】チャンネル毎同期保持処理の流れを説明する
ためのフローチャートである。
【図29】実施形態における同期保持のスタートタイミ
ングの決定方法の第1の例を説明するための図である。
【図30】実施形態における同期保持のスタートタイミ
ングの決定方法の第3の例を説明するための図である。
【図31】実施形態における同期保持スタート処理の例
を説明するためのフローチャートである。
【図32】実施形態におけるチャンネル毎同期保持処理
の例を説明するためのフローチャートである。
【図33】同期捕捉処理の例を説明するためのフローチ
ャートである。
【図34】実施形態における同期保持スタート処理の例
を説明するためのフローチャートである。
【図35】同期捕捉処理の例を説明するためのフローチ
ャートである。
【図36】同期外れ時処理の一例を説明するためのフロ
ーチャートを示す図である。
【図37】同期外れ時処理の他の一例を説明するための
フローチャートを示す図である。
【図38】GPS衛星からの信号の構成を示す図であ
る。
【図39】従来のキャリアおよび拡散符号の同期処理を
説明するための図である。
【図40】この発明の実施の形態の説明に用いる図であ
る。
【図41】この発明の実施の形態の説明に用いる図であ
る。
【符号の説明】
10…周波数変換部、20…同期捕捉部、21…サンプ
リング回路、22…RAM、23…DSP、24…DS
P用メモリ、30…同期捕捉部、31…コスタスルー
プ、32…DLL、33…コントロールレジスタ、40
…制御部、41…CPU、44…時計回路、45…タイ
マ、46…軌道情報用メモリ、208、323…NC
O、320…拡散符号発生器、212、324…スイッ
チ回路、211…拡散符号ロック判定部、213…IF
キャリアロック判定部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5K022 EE02 EE32 EE36 5K047 AA01 GG34 HH15 MM13 MM49 MM62

Claims (28)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】GPS衛星からの受信信号の受信周波数を
    中間周波数に変換し、この中間周波数において、前記G
    PS衛星からの受信信号の拡散符号と受信側の拡散符号
    との同期および前記GPS衛星からの受信信号の中間周
    波キャリアの同期を取るようにするGPS衛星信号の受
    信方法において、 GPS受信機において既知の情報を用いて、前記中間周
    波キャリアの周波数を予測し、当該予測した中間周波キ
    ャリア周波数により、前記中間周波キャリアの同期の引
    き込みを行うようにする同期引き込み工程を備えること
    を特徴とするGPS衛星信号の受信方法。
  2. 【請求項2】請求項1に記載のGPS衛星信号の受信方
    法において、 前記既知の情報は、GPS受信機の位置と、前記GPS
    受信機の速度と、前記GPS衛星の位置と、前記GPS
    衛星の速度と、前記GPS衛星からの受信信号の受信周
    波数を前記中間周波数に周波数変換するための局部発振
    周波数の誤差であることを特徴とするGPS衛星信号の
    受信方法。
  3. 【請求項3】GPS衛星からの受信信号の受信周波数を
    中間周波数に変換し、この中間周波数において、前記G
    PS衛星からの受信信号の拡散符号と受信側の拡散符号
    との同期および前記GPS衛星からの受信信号の中間周
    波キャリアの同期を取るようにするGPS衛星信号の受
    信方法において、 GPS受信機において既知の情報と、GPS受信機に記
    憶しているGPS衛星についての軌道情報から計算した
    情報とを用いて、前記中間周波キャリアの周波数を予測
    し、当該予測した中間周波キャリア周波数により、前記
    中間周波キャリアの同期の引き込みを行うようにする同
    期引き込み工程を備えることを特徴とするGPS衛星信
    号の受信方法。
  4. 【請求項4】請求項3に記載のGPS衛星信号の受信方
    法において、 前記既知の情報は、GPS受信機の位置と、前記GPS
    受信機の速度と、前記中間周波数に周波数変換するため
    の局部発振周波数の誤差と、前記GPS衛星からの受信
    信号の拡散符号の位相であり、 前記同期引き込み工程では、前記GPS受信機が記憶す
    るGPS衛星の軌道情報と、前記既知である拡散符号の
    位相の情報とから、前記GPS衛星の位置と、前記GP
    S衛星の速度とを計算し、前記既知のGPS受信機の位
    置、前記GPS受信機の速度および前記中間周波数に周
    波数変換するための局部発振周波数の誤差と、前記計算
    された前記GPS衛星の位置および前記GPS衛星の速
    度とから、前記中間周波キャリア周波数を予測すること
    を特徴とするGPS衛星信号の受信方法。
  5. 【請求項5】請求項3に記載のGPS衛星信号の受信方
    法において、 前記既知の情報は、GPS受信機の位置と、前記GPS
    受信機の速度と、前記中間周波数に周波数変換するため
    の局部発振周波数の誤差と、現在時刻であり、 前記同期引き込み工程では、前記GPS受信機が記憶す
    る軌道情報と、前記現在時刻とから、前記GPS衛星の
    位置と、前記GPS衛星の速度とを計算し、前記既知の
    GPS受信機の位置、前記GPS受信機の速度および前
    記中間周波数に周波数変換するための局部発振周波数の
    誤差と、前記計算された前記GPS衛星の位置および前
    記GPS衛星の速度とから、前記中間周波キャリア周波
    数を予測することを特徴とするGPS衛星信号の受信方
    法。
  6. 【請求項6】請求項1または請求項3に記載のGPS衛
    星信号の受信方法において、 拡散符号および中間周波キャリアの同期状態を判別する
    同期状態判別工程を備え、 前記同期引き込み工程においては、前記同期状態判別工
    程で、前記拡散符号の同期は確保されているが、前記中
    間周波キャリアの同期が外れていると判別したときに、
    前記予測された中間周波キャリア周波数により、前記中
    間周波キャリアの同期の引き込みを行うことを特徴とす
    るGPS衛星信号の受信方法。
  7. 【請求項7】請求項1または請求項3に記載のGPS衛
    星信号の受信方法において、 前記拡散符号の同期および前記中間周波キャリアの同期
    は、コスタスループと、DLL(Delay Lock
    ed Loop)とを用いるものであると共に、 拡散符号および中間周波キャリアの同期状態を判別する
    同期状態判別工程を備え、 前記同期引き込み工程では、前記同期状態判別工程で、
    前記拡散符号の同期は確保されているが、前記中間周波
    キャリアの同期が外れていると判別したときに、前記コ
    スタスループのループを開にしてから、前記予測された
    中間周波キャリア周波数により、前記中間周波キャリア
    の同期の引き込みを行い、前記中間周波キャリアの同期
    が取れた後に、前記コスタスループのループを閉じるこ
    とを特徴とするGPS衛星信号の受信方法。
  8. 【請求項8】GPS衛星からの受信信号の受信周波数を
    中間周波数に変換し、この中間周波数において、受信側
    の拡散符号と前記受信信号の拡散符号との相関を検出す
    ることにより、前記受信信号の拡散符号の位相を検出し
    て前記受信信号の拡散符号の同期捕捉を行うと共に、前
    記受信信号の拡散符号の同期捕捉が取れたときにおける
    中間周波キャリア周波数の検出を行う同期捕捉工程と、 前記同期捕捉工程で前記同期捕捉され、前記中間周波キ
    ャリア周波数が検出された前記GPS衛星毎に、異なる
    チャンネルが設定され、前記同期捕捉工程で検出された
    前記受信信号の拡散符号の位相および前記中間周波キャ
    リア周波数に基づいて初期値が設定されて、前記GPS
    衛星からの受信信号について前記拡散符号および前記中
    間周波キャリアの同期保持を開始すると共に、前記GP
    S衛星からの受信信号の復調を行う同期保持工程と、 前記同期保持工程で同期保持される拡散符号および中間
    周波キャリアの同期状態を判別する同期状態判別工程
    と、 前記同期状態判別工程で、前記拡散符号の同期は確保さ
    れているが、前記中間周波キャリアの同期が外れている
    と判別したときに、GPS受信機において、既知の情報
    を用いて、前記中間周波キャリアの周波数を予測し、当
    該予測した中間周波キャリア周波数により、前記中間周
    波キャリアの同期の引き込みを行うようにする同期引き
    込み工程と、 を備えることを特徴とするGPS衛星信号の受信方法。
  9. 【請求項9】請求項8に記載のGPS衛星信号の受信方
    法において、 前記既知の情報は、GPS受信機の位置と、前記GPS
    受信機の速度と、前記GPS衛星の位置と、前記GPS
    衛星の速度と、前記GPS衛星からの受信信号の受信周
    波数を前記中間周波数に周波数変換するための局部発振
    周波数の誤差であることを特徴とするGPS衛星信号の
    受信方法。
  10. 【請求項10】GPS衛星からの受信信号の受信周波数
    を中間周波数に変換し、この中間周波数において、受信
    側の拡散符号と前記受信信号の拡散符号との相関を検出
    することにより、前記受信信号の拡散符号の位相を検出
    して前記受信信号の拡散符号の同期捕捉を行うと共に、
    前記受信信号の拡散符号の同期捕捉が取れたときにおけ
    る中間周波キャリア周波数の検出を行う同期捕捉工程
    と、 前記同期捕捉工程で前記同期捕捉され、前記中間周波キ
    ャリア周波数が検出された前記GPS衛星毎に、異なる
    チャンネルが設定され、前記同期捕捉工程で検出された
    前記受信信号の拡散符号の位相および前記中間周波キャ
    リア周波数に基づいて初期値が設定されて、前記GPS
    衛星からの受信信号について前記拡散符号および前記中
    間周波キャリアの同期保持を開始すると共に、前記GP
    S衛星からの受信信号の復調を行う同期保持工程と、 前記同期保持工程で同期保持される拡散符号および中間
    周波キャリアの同期状態を判別する同期状態判別工程
    と、 前記同期状態判別工程で、前記拡散符号の同期は確保さ
    れているが、前記中間周波キャリアの同期が外れている
    と判別したときに、GPS受信機において、既知の情報
    と、GPS受信機に記憶しているGPS衛星についての
    軌道情報から計算した情報を用いて、前記中間周波キャ
    リアの周波数を予測し、当該予測した中間周波キャリア
    周波数により、前記中間周波キャリアの同期の引き込み
    を行うようにする同期引き込み工程と、 を備えることを特徴とするGPS衛星信号の受信方法。
  11. 【請求項11】請求項10に記載のGPS衛星信号の受
    信方法において、 前記既知の情報は、GPS受信機の位置と、前記GPS
    受信機の速度と、前記中間周波数に周波数変換するため
    の局部発振周波数の誤差と、前記GPS衛星からの受信
    信号の拡散符号の位相であり、 前記同期引き込み工程では、前記GPS受信機が記憶す
    るGPS衛星の軌道情報と、前記既知である拡散符号の
    位相の情報とから、前記GPS衛星の位置と、前記GP
    S衛星の速度とを計算し、前記既知のGPS受信機の位
    置、前記GPS受信機の速度および前記中間周波数に周
    波数変換するための局部発振周波数の誤差と、前記計算
    された前記GPS衛星の位置および前記GPS衛星の速
    度とから、前記中間周波キャリア周波数を予測すること
    を特徴とするGPS衛星信号の受信方法。
  12. 【請求項12】請求項10に記載のGPS衛星信号の受
    信方法において、 前記既知の情報は、GPS受信機の位置と、前記GPS
    受信機の速度と、前記中間周波数に周波数変換するため
    の局部発振周波数の誤差と、現在時刻であり、 前記同期引き込み工程では、前記GPS受信機が記憶す
    る軌道情報と、前記現在時刻とから、前記GPS衛星の
    位置と、前記GPS衛星の速度とを計算し、前記既知の
    GPS受信機の位置、前記GPS受信機の速度および前
    記中間周波数に周波数変換するための局部発振周波数の
    誤差と、前記計算された前記GPS衛星の位置および前
    記GPS衛星の速度とから、前記中間周波キャリア周波
    数を予測することを特徴とするGPS衛星信号の受信方
    法。
  13. 【請求項13】請求項8または請求項10に記載のGP
    S衛星信号の受信方法において、 前記同期保持工程の同期保持には、コスタスループと、
    DLL(DelayLocked Loop)とを用い
    るものであり、 前記同期引き込み工程では、前記同期状態判別工程で、
    前記拡散符号の同期は確保されているが、前記中間周波
    キャリアの同期が外れていると判別したときに、前記コ
    スタスループのループを開にしてから、前記コスタスル
    ープの可変周波数発振器の出力周波数を、前記予測した
    中間周波キャリア周波数に設定して前記中間周波キャリ
    アの同期の検索を行い、前記中間周波キャリアの同期が
    取れた後に、前記コスタスループのループを閉じること
    を特徴とするGPS衛星信号の受信方法。
  14. 【請求項14】請求項8または請求項10に記載のGP
    S衛星信号の受信方法において、 前記同期状態判別工程で、前記拡散符号の同期と、前記
    中間周波キャリアの同期との両方が外れていると判別し
    たときには、前記同期捕捉工程を再度実行することを特
    徴とするGPS衛星信号の受信方法。
  15. 【請求項15】GPS衛星からの受信信号の受信周波数
    を中間周波数に変換する周波数変換部と、 既知の情報から、中間周波キャリア周波数を予測し、当
    該予測した中間周波キャリア周波数により、前記中間周
    波キャリアの同期の引き込みを行うようにする同期引き
    込み手段と、 を備えるGPS受信機。
  16. 【請求項16】請求項15に記載のGPS受信機におい
    て、 前記既知の情報は、自機の位置と、自機の速度と、前記
    GPS衛星の位置と、前記GPS衛星の速度と、前記G
    PS衛星からの受信信号の受信周波数を前記中間周波数
    に周波数変換するための局部発振周波数の誤差であるこ
    とを特徴とするGPS受信機。
  17. 【請求項17】GPS衛星からの受信信号の受信周波数
    を中間周波数に変換する周波数変換部と、 GPS衛星の軌道情報を記憶する記憶部と、 既知の情報と、前記記憶部に記憶されている前記軌道情
    報から計算した情報とを用いて、中間周波キャリア周波
    数を予測し、前記予測した中間周波キャリア周波数によ
    り、前記中間周波キャリアの同期の引き込みを行うよう
    にする同期引き込み手段と、 を備えるGPS受信機。
  18. 【請求項18】請求項17に記載のGPS受信機におい
    て、 前記既知の情報は、自機の位置と、自機の速度と、前記
    中間周波数に周波数変換するための局部発振周波数の誤
    差と、前記GPS衛星からの受信信号の拡散符号の位相
    であり、 前記同期引き込み手段では、前記記憶部に記憶されてい
    る前記軌道情報と、前記既知である拡散符号の位相の情
    報とから、前記GPS衛星の位置と、前記GPS衛星の
    速度とを計算し、前記既知のGPS受信機の位置、前記
    GPS受信機の速度および前記中間周波数に周波数変換
    するための局部発振周波数の誤差と、前記計算された前
    記GPS衛星の位置および前記GPS衛星の速度とか
    ら、前記中間周波キャリア周波数を予測することを特徴
    とするGPS受信機。
  19. 【請求項19】請求項17に記載のGPS受信機におい
    て、 前記既知の情報は、自機の位置と、自機の速度と、前記
    中間周波数に周波数変換するための局部発振周波数の誤
    差と、現在時刻であり、 前記同期引き込み手段では、前記GPS受信機が記憶す
    る軌道情報と、前記現在時刻とから、前記GPS衛星の
    位置と、前記GPS衛星の速度とを計算し、前記既知の
    GPS受信機の位置、前記GPS受信機の速度および前
    記中間周波数に周波数変換するための局部発振周波数の
    誤差と、前記計算された前記GPS衛星の位置および前
    記GPS衛星の速度とから、前記中間周波キャリア周波
    数を予測することを特徴とするGPS受信機。
  20. 【請求項20】請求項15または請求項17に記載のG
    PS受信機において、 拡散符号および中間周波キャリアの同期状態を判別する
    同期状態判別手段を備え、 前記同期引き込み手段においては、前記同期状態判別手
    段で、前記拡散符号の同期は確保されているが、前記中
    間周波キャリアの同期が外れていると判別されたとき
    に、前記予測された中間周波キャリア周波数により、前
    記中間周波キャリアの同期の引き込みを行うことを特徴
    とするGPS受信機。
  21. 【請求項21】請求項15または請求項17に記載のG
    PS受信機において、 拡散符号および中間周波キャリアの同期状態を判別する
    同期状態判別手段を備えると共に、前記拡散符号の同期
    および前記中間周波キャリアの同期は取るための手段
    は、コスタスループと、DLL(Delay Lock
    ed Loop)とを備え、 前記同期引き込み手段は、前記同期状態判別手段で、前
    記拡散符号の同期は確保されているが、前記中間周波キ
    ャリアの同期が外れていると判別されたときに、前記コ
    スタスループのループを開にしてから、前記予測された
    中間周波キャリア周波数により、前記中間周波キャリア
    の同期の引き込みを行い、前記中間周波キャリアの同期
    が取れた後に、前記コスタスループのループを閉じるこ
    とを特徴とするGPS受信機。
  22. 【請求項22】GPS衛星からの受信信号の受信周波数
    を中間周波数に変換する周波数変換部と、 前記中間周波数において、受信側の拡散符号と前記受信
    信号の拡散符号との相関を検出することにより、前記受
    信信号の拡散符号の位相を検出して前記受信信号の拡散
    符号の同期捕捉を行うと共に、前記受信信号の拡散符号
    の同期捕捉が取れたときにおける前記受信信号の中間周
    波キャリア周波数の検出を行う同期捕捉部と、 複数チャンネル分を備え、前記同期捕捉部で前記同期捕
    捉され、前記中間周波キャリア周波数が検出された前記
    GPS衛星毎に、異なるチャンネルが設定され、前記同
    期捕捉部で検出された前記受信信号の拡散符号の位相お
    よび前記中間周波キャリア周波数に基づいて初期値が設
    定されて、前記GPS衛星からの信号について前記拡散
    符号および前記中間周波キャリア周波数の同期保持を開
    始すると共に、前記GPS衛星からの信号の復調を行う
    同期保持部と、 前記同期保持部における前記拡散符号および中間周波キ
    ャリアの同期状態を判別する同期状態判別手段と、 前記同期状態判別手段で、前記拡散符号の同期は確保さ
    れているが、前記中間周波キャリアの同期が外れている
    と判別したときに、GPS受信機において、既知の情報
    を用いて、前記中間周波キャリアの周波数を予測し、当
    該予測した中間周波キャリア周波数により、前記中間周
    波キャリアの同期の引き込みを行うようにする同期引き
    込み手段と、 を備えることを特徴とするGPS受信機。
  23. 【請求項23】請求項22に記載のGPS受信機におい
    て、 前記既知の情報は、GPS受信機の位置と、前記GPS
    受信機の速度と、前記GPS衛星の位置と、前記GPS
    衛星の速度と、前記GPS衛星からの受信信号の受信周
    波数を前記中間周波数に周波数変換するための局部発振
    周波数の誤差であることを特徴とするGPS受信機。
  24. 【請求項24】GPS衛星からの受信信号の受信周波数
    を中間周波数に変換する周波数変換部と、 GPS衛星の軌道情報を記憶する記憶部と、 前記中間周波数において、受信側の拡散符号と前記受信
    信号の拡散符号との相関を検出することにより、前記受
    信信号の拡散符号の位相を検出して前記受信信号の拡散
    符号の同期捕捉を行うと共に、前記受信信号の拡散符号
    の同期捕捉が取れたときにおける前記受信信号の中間周
    波キャリア周波数の検出を行う同期捕捉部と、 複数チャンネル分を備え、前記同期捕捉部で前記同期捕
    捉され、前記中間周波キャリア周波数が検出された前記
    GPS衛星毎に、異なるチャンネルが設定され、前記同
    期捕捉部で検出された前記受信信号の拡散符号の位相お
    よび前記中間周波キャリア周波数に基づいて初期値が設
    定されて、前記GPS衛星からの信号について前記拡散
    符号および前記中間周波キャリア周波数の同期保持を開
    始すると共に、前記GPS衛星からの信号の復調を行う
    同期保持部と、 前記同期保持部における前記拡散符号および中間周波キ
    ャリアの同期状態を判別する同期状態判別手段と、 前記同期状態判別手段で、前記拡散符号の同期は確保さ
    れているが、前記中間周波キャリアの同期が外れている
    と判別したときに、GPS受信機において既知の情報
    と、前記記憶部に記憶されている軌道情報とを用いて、
    前記中間周波キャリアの周波数を予測し、当該予測した
    中間周波キャリア周波数により、前記中間周波キャリア
    の同期の引き込みを行うようにする同期引き込み手段
    と、 を備えることを特徴とするGPS受信機。
  25. 【請求項25】請求項24に記載のGPS受信機におい
    て、 前記既知の情報は、自機の位置と、自機の速度と、前記
    中間周波数に周波数変換するための局部発振周波数の誤
    差と、前記GPS衛星からの受信信号の拡散符号の位相
    であり、 前記同期引き込み手段では、前記記憶部に記憶されてい
    る前記軌道情報と、前記既知である拡散符号の位相の情
    報とから、前記GPS衛星の位置と、前記GPS衛星の
    速度とを計算し、前記既知のGPS受信機の位置、前記
    GPS受信機の速度および前記中間周波数に周波数変換
    するための局部発振周波数の誤差と、前記計算された前
    記GPS衛星の位置および前記GPS衛星の速度とか
    ら、前記中間周波キャリア周波数を予測することを特徴
    とするGPS受信機。
  26. 【請求項26】請求項24に記載のGPS受信機におい
    て、 前記既知の情報は、自機の位置と、自機の速度と、前記
    中間周波数に周波数変換するための局部発振周波数の誤
    差と、現在時刻であり、 前記同期引き込み手段では、前記GPS受信機が記憶す
    る軌道情報と、前記現在時刻とから、前記GPS衛星の
    位置と、前記GPS衛星の速度とを計算し、前記既知の
    GPS受信機の位置、前記GPS受信機の速度および前
    記中間周波数に周波数変換するための局部発振周波数の
    誤差と、前記計算された前記GPS衛星の位置および前
    記GPS衛星の速度とから、前記中間周波キャリア周波
    数を予測することを特徴とするGPS受信機。
  27. 【請求項27】請求項22または請求項24に記載のG
    PS受信機において、 前記同期保持部は、コスタスループと、DLL(Del
    ay LockedLoop)とを備え、 前記同期引き込み手段は、前記同期状態判別手段で、前
    記拡散符号の同期は確保されているが、前記中間周波キ
    ャリアの同期が外れていると判別したときに、前記コス
    タスループのループを開にしてから、前記コスタスルー
    プの可変周波数発振器の出力周波数を、前記予測した中
    間周波キャリア周波数に設定して前記中間周波キャリア
    の同期の検索を行い、前記中間周波キャリアの同期が取
    れた後に、前記コスタスループのループを閉じることを
    特徴とするGPS受信機。
  28. 【請求項28】請求項22または請求項24に記載のG
    PS受信機において、 前記同期状態判別手段で、前記拡散符号の同期と、前記
    中間周波キャリアの同期との両方が外れていると判別し
    たときには、前記同期捕捉部により、再度、前記同期捕
    捉動作を実行することを特徴とするGPS受信機。
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