JP2003258298A - 窒化物半導体発光素子 - Google Patents

窒化物半導体発光素子

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JP2003258298A
JP2003258298A JP2002052772A JP2002052772A JP2003258298A JP 2003258298 A JP2003258298 A JP 2003258298A JP 2002052772 A JP2002052772 A JP 2002052772A JP 2002052772 A JP2002052772 A JP 2002052772A JP 2003258298 A JP2003258298 A JP 2003258298A
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nitride semiconductor
concentration
semiconductor light
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Yoshiyuki Harada
佳幸 原田
Masaaki Onomura
正明 小野村
Shinya Nunogami
真也 布上
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Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 紫外領域で発光出力が高く、広い発光スペク
トルを有し、生産性に優れた窒化物半導体発光素子を提
供する。 【解決手段】 n型窒化物半導体層103と、p型窒化
物半導体層105と、これらの間に設けられた発光層1
04とを備え、発光層104が、Mgがドーピングされ
たp型導電性のAlxGa1-xN(0≦x≦1)を含んで
なり、400nm以下の紫外域に発光ピークを有するこ
とを特徴とする窒化物半導体発光素子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、窒化物半導体発光
素子に関し、特に紫外域で発光する窒化物半導体発光ダ
イオードに関する。
【0002】
【従来の技術】短波長発光ダイオードは、InGaNを
発光層に用いて、青色までの製品が実用化されている。
従来例として、この従来の発光ダイオード装置につい
て、図11を用いて説明する。図11は、従来の窒化物
半導体発光ダイオードの概念断面図である。図11は概
念図であり、説明をしやすくするため、各層の倍率を変
えて示している。
【0003】図11は、サファイア基板701上に、膜
厚20nmの低温成長GaNからなるバッファー層70
2、膜厚5μmのSiドープGaNからなるn型層70
3、膜厚3nmのIn0.2Ga0.8Nからなる発光層70
4、膜厚60nmのMgドープAl0.20Ga0.80Nから
なるp型クラッド層705、膜厚0.15μmのMgド
ープGaNからなるp型コンタクト層706を積層さ
せ、n型層703上に負電極720が、p型層706上
に正電極730が形成されてなる窒化物半導体発光ダイ
オードを示している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記の発光ダイオード
は、発光層704のInGaNの組成により発光波長が
調整される。上記の発光ダイオードでは、紫色までは高
い発光出力が得られるが、400nm以下の紫外領域で
は発光出力が大幅に低下するというInGaN発光層に
特有の問題があった。また、発光層704がInGaN
であるために原理的に360nm以下の紫外領域の発光
が得られないという問題があった。
【0005】特開2001−203385には、p型コ
ンタクト層とn型コンタクト層の構造により、コンタク
ト抵抗の増加無しに自己吸収を低減して370nm以下
の紫外領域の発光出力を向上させる方法が記載されてい
る。しかし、この方法においては、自己吸収が低減され
るのであって、前記の400nm以下で発光出力が低下
するというInGaN発光層に特有の性質は改善されな
い。
【0006】上記発光ダイオードは、通常MOCVD法
により成長される。この場合、他の層であるAlGaN
およびGaN層が成長温度1000℃以上で多量の水素
を含むキャリアガスで成長するのに対し、InGaNの
成長は、成長温度800℃前後で、窒素のみか少量の水
素と多量の窒素からなるキャリアガスを用いる。このた
め、成長工程が煩雑でスループットが低いという問題が
あった。また、InGaN層の混晶組成は、成長温度に
強く依存するため、発光波長の調整が難しいという問題
があった。
【0007】InGaN発光層による発光ダイオードが
実用化される以前は、GaNのpn接合型の発光ダイオ
ードが研究されていた。p型層にMgドープGaNを用
いて、430nm前後の青色発光が得られていた。
【0008】特開2001−320085には、pn接
合型の発光ダイオードにおいて、AlGaNからなるp
型層を、低不純物濃度層(1×1017/cm3以上5×
101 8/cm3以下)と高不純物濃度層(1×1019
cm3以上1×1021/cm3以下)とを1周期として、
複数周期繰り返して形成して発光出力を向上する方法が
記載されている。しかし、この例にも見られるように、
MgドープGaNをp型層とするpn接合型発光ダイオ
ードの発光は青色領域であり、紫外域で高出力の発光は
得られていない。
【0009】以上のように、紫外領域で高い発光出力が
得られる発光ダイオードは実用化されていない。
【0010】一方、紫外発光素子は、3原色の蛍光体と
組み合わせることにより、照明用の白色光源として期待
されて研究が行われている。3原色の蛍光体は各々、励
起スペクトルのピークが異なるため、紫外発光素子の発
光スペクトル線幅が狭い場合に、紫外発光素子の発光ピ
ーク波長のずれに対して、色度座標が敏感に変化し、色
度調整が難しいという問題があった。
【0011】本発明は、上述した課題の認識に基づいて
なされたものであり、その目的は、紫外領域で発光出力
が高く、広い発光スペクトルを有し、生産性に優れた窒
化物半導体発光素子を提供する点にある。
【0012】
【課題を解決するための手段】(構成)上述した課題を
解決するために、本発明の第1の窒化物半導体発光素子
は、n型窒化物半導体層と、p型窒化物半導体層と、こ
れらの間に設けられた発光層とを備え、前記発光層が、
Mgがドーピングされたp型導電性のAlxGa1-x
(0≦x≦1)を含んでなり、400nm以下の紫外域
に発光ピークを有することを特徴とする。
【0013】本発明の第1の窒化物半導体発光素子にお
いて、前記発光層中のMg濃度が、1×1019/cm3
以上5×1021/cm3以下であることが望ましい。
【0014】また、前記発光層中のMg濃度が、1×1
20/cm3以上1×1021/cm3以下であることが望
ましい。
【0015】また、本発明の第2の窒化物半導体発光素
子は、Mgがドーピングされてp型導電性を有する第1
のAlxGa1-xN(0≦x<1)層と第1のAlxGa
1-xN層よりもバンドギャップの大きい第2のAlyGa
1-yN層(0<y≦1、x<y)とを有する発光層と、
n型窒化物半導体層とを備え、第1のAlxGa1-xN層
と第2のAlyGa1-yN層とが交互に1周期以上積層さ
れてなり、400nm以下の紫外域に発光ピークを有す
ることを特徴とする。
【0016】本発明の第2の窒化物半導体発光素子にお
いて、以下の構成要件を備えることが望ましい。
【0017】(1)前記第1のAlxGa1-xN層中のM
g濃度が、1×1019/cm3以上5×1021/cm3
下であること。
【0018】(2)前記第1のAlxGa1-xN層中のM
g濃度が、1×1020/cm3以上1×1021/cm3
下であること。
【0019】(3)前記第2のAlxGa1-xN層中のM
g濃度が、前記第1のAlyGa1-yN層中のMg濃度未
満またはノンドープであること。
【0020】(4)前記第1のAlxGa1-xN層及び第
2のAlyGa1-yN層の各々の膜厚が10nm以下であ
り、交互に積層されて超格子構造層が形成されているこ
と。
【0021】(5)前記第1のAlxGa1-xN層及び第
2のAlyGa1-yN層の各々の膜厚が5nm以下であ
り、交互に積層されて超格子構造層が形成されているこ
と。
【0022】(6)前記超格子構造層の膜厚が0.5μ
m以下であること。
【0023】(7)前記超格子構造層の膜厚が0.1μ
m以下であること。
【0024】(8)前記第2のAlyGa1-yN層及び第
1のAlxGa1-xN層の混晶組成xおよびyが、0.0
5<y−x<0.3であること。
【0025】(9)前記第2のAlyGa1-yN層及び第
1のAlxGa1-xN層の混晶組成xおよびyが、0.1
<y−x<0.2であること。
【0026】(10)n型窒化物半導体層にはn側電極
が設けられ、前記発光層には当該発光層に接してp側電
極が設けられていること。
【0027】(作用)本発明の窒化物半導体発光素子に
よれば、AlxGa1-xN(0≦x≦1)を含んでなる発
光層に高濃度にMgをドーピングすることにより、40
〜100meV程度の浅いアクセプタ準位が高密度に形
成され、価電子帯上端に重なり合うようにエネルギー帯
が形成される。この結果、価電子帯上端およびドーピン
グにより形成されるエネルギー帯において正孔濃度が増
大し、紫外領域で発光強度を増大させることができる。
また、発光スペクトルが、バンドギャップエネルギーか
ら低エネルギー側、すなわち長波長側に広がりを持つよ
うにすることが可能である。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ本発明の
実施形態について詳細に説明する。
【0029】(第1の実施形態)第1の実施形態に係る
窒化物半導体発光装置は、窒化物半導体発光ダイオード
である。図1は、本発明の第1の実施形態に係る窒化物
半導体発光ダイオードの断面図である。図1は概念図で
あり、説明をしやすくするため、各層の倍率を変えて示
している。
【0030】図1に示すように、サファイア基板101
上に、膜厚20nmの低温成長GaNからなるバッファ
ー層102、膜厚2μm、Si濃度5×1018/cm3
のAl0.05Ga0.95Nからなるn型層103、膜厚0.
1μm、Mg濃度1×1020/cm3のGaNからなる
p型発光層104が積層されている。さらに、このp型
発光層104上には、膜厚2.5nmのAl0.10Ga
0.90N105bと膜厚2.5nm、Mg濃度1×1020
/cm3のAl0.05Ga0.95N105aとを交互に12
0周期積層した超格子構造からなるp型層105が積層
されている。n型層103上には負電極120が、p型
層105上には正電極130が形成されており、窒化物
半導体発光ダイオードが構成されている。図2は、p型
層105の構成を、簡略化のため、3周期のみ示してい
る。
【0031】次に、図1の窒化物半導体発光ダイオード
の製造方法について説明する。以下では、MOCVD法
により窒化物半導体層を形成して発光ダイオードを製造
する例について説明する。
【0032】(1)まず、直径約5cmのサファイア基
板101のC面上に、基板温度500℃で、TMG(ト
リメチルガリウム)、NH3(アンモニア)を用い、低
温成長GaNからなる低温バッファー層102を20nm
の膜厚で成長させる。
【0033】(2)次に、基板温度を1080℃まで上
げ、TMA(トリメチルアルミニウム)、TMG、NH3を用い
て、膜厚2μm、Si濃度5×1018/cm3のAl
0.05Ga0.95Nからなるn型層103を成長させる。
【0034】(3)次に、1080℃で、TMG、NH
3を用いて、膜厚0.1μm、Mg濃度1×1020/c
3のGaNからなるp型発光層104を成長させる。
【0035】(4)次に、1080℃で、TMA、TM
G、NH3を用いて、膜厚2.5nmのAl0.10Ga
0.90N105bと膜厚2.5nm、Mg濃度1×1020
/cm3のAl0.05Ga0.95N105aを交互に12
0周期積層した超格子構造からなるp型層105を成長
させる。
【0036】(5)次に、基板を窒素雰囲気中800℃
で熱処理し、p型発光層104およびp型層105を低
抵抗化する。続いて、p型層105の表面にマスクを形
成し、図1のごとくn型層103が露出するようエッチ
ングを行う。その後、n型層103の該露出面に負電極
120、p型層105の表面に正電極130を形成す
る。
【0037】(6)次に、直径約5cmの基板101
を、一辺が500μm程度の複数のチップに分離し、図
1の発光ダイオードが完成する。
【0038】以上説明した製造方法により得られる図1
の窒化物半導体発光ダイオードの特徴の1つは、発光層
104として、1×1019/cm3以上5×1021/c
3以下、好ましくは1×1020/cm3以上1×1021
/cm3以下の高濃度Mgがドーピングされてp型導電
性を有するAlxGa1-xN(0≦x≦1)を用いている
ことであり、さらに400nm以下の紫外域に発光ピー
クを有する点である。これにより、バンドギャップエネ
ルギー付近での発光出力が増大するとともに、発光スペ
クトルがバンドギャップエネルギーより長波長側に広が
った。
【0039】また、図1の発光ダイオードでは、発光層
にInを含まないため、成長中に温度を変化させる工程
およびキャリアガスを変える工程が無く、生産性が向上
した。
【0040】また、図1の発光ダイオードでは、発光層
にInを含まないため、Inを含む発光層と比べて、発
光波長すなわち組成の成長温度依存性が小さく、波長の
制御性が向上した。
【0041】もっとも、このようにMgが高濃度にドー
ピングされたAlxGa1-xN(0≦x≦1)を発光層1
04に用いることは、通常の技術者にとって思いもよら
ないことである。なぜなら、GaNを例にとれば、Mg
をドーピングすることにより160meV前後の深いア
クセプタ準位が形成されると考えられるからである。こ
のため、MgがドーピングされたGaNを発光層に用い
れば、従来のpn接合型ダイオードに見られるように深
いMgの準位を介した青色領域の発光が支配的となり、
バンドギャップエネルギー近傍の紫外域の発光強度が低
下すると考えられるからである。
【0042】本発明者は、Mgドープ量が少ないGaN
を用いたpn接合型発光ダイオードの発光スペクトルを
調べた。その結果を示す模式図が図3である。この図に
示されるように、Mgの濃度が8×1018/cm3の場
合に、結晶品質の劣化によると考えられる青色発光強度
の低下が見られるのみであり、紫外域の発光は得られな
かった。
【0043】しかし、本発明者の実験によれば、Mgド
ープ量が非常に多いAlxGa1-xNを発光層に用いてp
n接合型発光ダイオードを形成した場合には、従来の技
術常識に反し、Mgをドーピングしないか或いは少ない
ドープ量の場合に比べてバンドギャップエネルギーでの
発光出力が増大するとともに、発光スペクトルがバンド
ギャップエネルギーより長波長側に広がることが新たに
見出された。これを示すのが図3の特性図である。この
図に示されるように、Mg濃度が3×1019/cm3
場合にバンドギャップエネルギーでの発光出力が増大す
るとともに、発光スペクトルがバンドギャップエネルギ
ーより長波長側に広がっており、1×1020/cm3
場合にはこの傾向がさらに著しくなっている。以上の傾
向はMg濃度が1×1019/cm3以上の場合に認めら
れた。
【0044】この理由について、本発明者は、以下のよ
うに考えている。本発明においては、高濃度にMgをド
ーピングすることにより、40〜100meV程度の浅
いアクセプタ準位が高密度に形成され、価電子帯上端に
重なり合うようにエネルギー帯が形成されると考えられ
る。この様子を説明する模式的な状態密度分布図を図1
0に示す。この結果、価電子帯上端およびドーピングに
より形成されるエネルギー帯において正孔濃度が増大
し、発光強度が増大する。また、発光スペクトルが、バ
ンドギャップエネルギーから低エネルギー側、すなわち
長波長側に広がりを持つ。
【0045】次に、図1の発光ダイオードを構成する各
層の、ドーピング濃度、膜厚、混晶組成、積層構造につ
いて説明する。
【0046】まず、図1の発光ダイオードでは、発光層
104のMg濃度を1×1020/cm3としたが、本発
明者の実験によれば、この濃度を1×1019/cm3
上5×1021/cm3以下にした場合には、発光ダイオ
ードの発光出力が増大し、発光スペクトル幅が広くなっ
た。1×1020/cm3以上1×1021/cm3以下であ
ることがより好ましい。その結果を図4の特性図に示
す。これは、Mgの濃度を低くしすぎると、前述したエ
ネルギー帯が形成される効果と正孔濃度が増大する効果
が減ってしまうからであると解析される。また、Mgの
濃度を高くしすぎると、結晶品質が悪くなるからである
と解析される。
【0047】次に、図1の発光ダイオードでは、Alx
Ga1-xNからなる発光層104の混晶組成xを0とし
たが、これは、所望の発光波長が得られるように調整さ
れる。また、発光層104の膜厚を0.1μmとした
が、本発明者の実験によれば、厚すぎても薄すぎても発
光出力が低下し、高い発光出力が得られる膜厚範囲が存
在した。好適な膜厚は0.05μm以上0.5μm以下
であった。特に好ましくは0.05μm以上0.2μm
以下であった。これは、膜厚を薄くし過ぎると、発光層
で再結合するキャリアの数が減少するためと解析され
る。また、厚くし過ぎると、n型層103との格子不整
によって結晶特性が悪くなるためと解析される。
【0048】次に、図1の発光ダイオードでは、Alz
Ga1-zNからなるn型層103の混晶組成zを0.0
5としたが、本発明者の実験によれば、x<zとする
と、発光出力および効率が増大した。これは、zが小さ
すぎると発光層104からの発光をn型層103が吸収
するためと解析される。
【0049】次に、図1の発光ダイオードでは、Alb
Ga1-bNおよびMgをドーピングしたAlaGa1-a
を交互に積層した超格子構造からなるp型層105にお
いて、一例として混晶組成bを0.10、混晶組成aを
0.05としたが、本発明者の実験によれば、x<a,
bとすると、発光出力および効率が増大した。これは、
aおよびbが小さすぎると発光層104からの発光をp
型層105が吸収するためと解析される。
【0050】図1の発光ダイオードでは、p型層105
は、MgをドーピングしたAlaGa 1-aN単層膜として
も良い。本発明者の実験によれば、p型層105を、A
bGa1-bNおよびAlaGa1-aNを交互に積層した超
格子構造とし、AlbGa1-bNおよびAlaGa1-aNの
両方あるいはいずれか片方にMgがドーピングされてい
ると、単層膜に比べてp型層の抵抗およびp電極の接触
抵抗が低減され好ましい。
【0051】以上のように、本発明者は、各層のドーピ
ング濃度、膜厚、混晶組成、積層構造を適切に設定する
ことにより、発光出力が高く、広い発光スペクトル幅を
有し、生産性に優れた紫外発光ダイオードを提供するこ
とができることを新たに見出した。
【0052】以上説明した第1の実施の形態では、バッ
ファー層102として低温成長GaNを用いたが、Al
Nなどの他のバッファー層を用いることができる。バッ
ファー層が必要ない場合は、これを用いる必要はない。
【0053】(第2の実施形態)第2の実施形態に係る
窒化物半導体発光装置は、窒化物半導体発光ダイオード
である。図5は、本発明の第2の実施形態に係る窒化物
半導体発光ダイオードの断面図である。図5は概念図で
あり、説明をしやすくするため、各層の倍率を変えて示
している。
【0054】図5は、サファイア基板501上に、膜厚
20nmの低温成長GaNからなるバッファー層50
2、膜厚2μm、Si濃度5×1018/cm3のAl
0.05Ga0 .95Nからなるn型層503が積層されてい
る。さらに、このn型層503上には、膜厚2.5nm
のAl0.15Ga0.85N504bと膜厚2.5nm、Mg
濃度1×1020/cm3のGaN504aとを交互に2
0周期積層した超格子構造からなるp型層504が積層
されている。このp型層504は発光層を兼ねたもので
ある。n型層503上には負電極520が、p型層50
4上にはこれと接して正電極530が形成されている。
図6は、発光層兼p型層504の構成を、簡略化のた
め、3周期のみ示している。
【0055】次に、図5の窒化物半導体発光ダイオード
の製造方法について説明する。以下では、MOCVD法
により窒化物半導体層を形成して発光ダイオードを製造
する例について説明する。
【0056】(1)まず、直径約5cmのサファイア基
板501のC面上に、基板温度500℃で、TMG(ト
リメチルガリウム)、NH3(アンモニア)を用い、低
温成長GaNからなる低温バッファー層502を20nm
の膜厚で成長させる。
【0057】(2)次に、基板温度を1080℃まで上
げ、TMA(トリメチルアルミニウム)、TMG、NH3を用い
て、膜厚2μm、Si濃度5×1018/cm3のAl
0.05Ga0.95Nからなるn型層503を成長させる。
【0058】(3)次に、1080℃で、TMA、TM
G、NH3を用いて、膜厚2.5nmのAl0.15Ga
0.85N504bと膜厚2.5nm、Mg濃度1×1020
/cm 3のGaN504aを交互に20周期積層した超
格子構造からなる発光層兼p型層504を成長させる。
【0059】以下の製造方法は、第1の実施の形態と同
様に行う。
【0060】以上説明した製造方法により得られる図5
の窒化物半導体発光ダイオードの特徴の1つは、Mgが
ドーピングされp型導電性を有し、400nm以下の紫
外域に発光ピーク(強度の最大値)を有する第1のAl
xGa1-xN(0≦x<1)層と、第1のAlxGa1-x
層よりもバンドギャップの大きい第2のAlyGa1-y
層(0<y≦1、x<y)と、を交互に1周期以上積層
した構造からなる発光層を有する点である。さらに、前
記第1のAlxGa1-xN層中のMg濃度が、1×1019
/cm3以上5×1021/cm3以下、好ましくは1×1
20/cm3以上1×1021/cm3以下である点であ
る。また、前記第2のAlxGa1-xN層中のMg濃度
が、前記第1のAlyGa1-yN層中のMg濃度未満また
はノンドープである点である。
【0061】以上の構成により、第1の実施の形態(図
1)と同様に発光出力が増大するとともに、発光スペク
トルがバンドギャップエネルギーより長波長側に広がっ
た。この理由は、基本的に第1の実施の形態について述
べた理由と同じであると考えている。図5の発光ダイオ
ードでは、図1の発光ダイオードに比べて、更に発光出
力が増大した。この理由は、発光層に前記超格子構造を
用いることにより、単層膜に比べて、さらに正孔濃度が
増大する効果が得られるためと考えられる。
【0062】また、図5の発光ダイオードでは、超格子
構造層を発光層兼p型層として用いているため、構造と
製造過程が簡便になり生産性が向上した。さらに、図5
の発光ダイオードでは、第1の実施形態と同様に、発光
層にInを含まないため、成長中に温度を変化させる工
程およびキャリアガスを変える工程が無く、生産性が向
上した。さらにまた、図5の発光ダイオードでは、第1
の実施の形態と同様に、発光層にInを含まないため、
Inを含む発光層と比べて、発光波長すなわち混晶組成
の成長温度依存性が小さく、波長の制御性が向上した。
【0063】次に、図5の発光ダイオードを構成する各
層の、ドーピング濃度、膜厚、混晶組成、積層構造につ
いて説明する。
【0064】まず、図5の発光ダイオードでは、発光層
兼p型層504の超格子構造を構成する第1のAlx
1-xN504aのMg濃度を1×1020/cm3とした
が、本発明者の実験によれば、この濃度を1×1019
cm3以上5×1021/cm3以下、好ましくは1×10
20/cm3以上1×1021/cm3以下にした場合には、
発光ダイオードの発光出力が増大し、発光スペクトル幅
が広くなった。その結果を図7の特性図に示す。これ
は、Mgの濃度を低くしすぎると、前述した不純物帯が
形成される効果と正孔濃度が増大する効果が減ってしま
うからであると解析される。また、Mgの濃度を高くし
すぎると、結晶特性が悪くなるからであると解析され
る。
【0065】次に、第1のAlxGa1-xN504aの混
晶組成xを0としたが、これは、所望の発光波長が得ら
れるように調整される。また、第2のAlyGa1-yN5
04bおよび第2のAlxGa1-xN504aの混晶組成
の組み合わせを0.05<y−x<0.3、好ましくは
0.1<y−x<0.2とした場合に発光強度が増大し
た。その結果を図8の特性図に示す。これは、y−xが
小さすぎると、超格子による正孔濃度増大の効果が少な
くなるためであり、y−xが大きすぎると格子不整合が
大きくなり結晶特性が悪くなるため、および超格子構造
層に垂直に流れる正孔電流に対して障壁が大きくなるた
めと考えられる。
【0066】また、図5の発光ダイオードでは、発光層
兼p型層504の超格子構造を構成する第2のAly
1-yN504bの混晶組成yを0.15、膜厚を2.
5nm、第1のAlxGa1-xN504aの混晶組成xを
0、膜厚を2.5nmとしたが、本発明者の実験によれ
ば、膜厚を10nm以下、好ましくは5nm以下にした
場合に発光強度が増大した。その結果を図9の特性図に
示す。これは、膜厚を薄くすることにより、超格子構造
の形成に伴う正孔濃度増大の効果が強くなるためと考え
られる。
【0067】さらにまた、発光層兼p型層の総膜厚を
0.1μmとしたが、0.5μm以下、好ましくは0.
1μm以下とした場合に発光強度が増大した。これは、
膜厚が厚すぎる場合、p型層での吸収が大きくなるため
と考えられる。
【0068】次に、図5の発光ダイオードでは、Alz
Ga1-zNからなるn型層503の混晶組成zを0.0
5としたが、本発明者の実験によれば、第1の実施の形
態と同様に、x<zとすると、発光出力および効率が増
大した。
【0069】以上のように、本発明者は、各層のドーピ
ング濃度、膜厚、混晶組成、積層構造を適切に設定する
ことにより、発光出力が高く、広い発光スペクトル幅を
有し、生産性に優れた紫外発光ダイオードを提供するこ
とができることを新たに見出した。
【0070】以上説明した第2の実施の形態では、バッ
ファー層502として低温成長GaNを用いたが、Al
Nなどの他のバッファー層を用いることができる。バッ
ファー層が必要ない場合は、これを用いる必要はない。
【0071】なお、本発明は上記した実施形態に限定さ
れることはない。例えば、上記実施形態では、基板とし
てサファイアを用いたが、SiC、スピネル、ガラス、
ZnO、Siなどの他の基板でも良い。また、窒化物半
導体層の成長にMOCVD法を用いたが、分子線エピタ
キシー(MBE)法、ハイドライド気相成長(HVP
E)法など他の気相成長法を用いても良い。また、半導
体発光素子として発光ダイオードについて説明したが、
半導体レーザ(面発光型、端面発光型等。)等の他の発
光素子及び受光素子に対しても適用できる。
【0072】その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で
種々変形して実施することが可能である。
【0073】
【発明の効果】本発明によれば、紫外領域で発光出力が
高く、長波長側に広がりを持ち発光スペクトルが広い、
生産性に優れた窒化物半導体発光素子を提供することが
可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態に係る窒化物半導体
発光ダイオードの断面図。
【図2】 図1の窒化物半導体発光ダイオードにおける
超格子構造からなるp型層の構成を示す断面図。
【図3】 図1の窒化物半導体発光ダイオードにおける
発光波長と発光強度との関係を示す特性図。
【図4】 図1の窒化物半導体発光ダイオードにおける
Mg濃度と発光強度との関係を示す特性図。
【図5】 本発明の第2の実施形態に係る窒化物半導体
発光ダイオードの断面図。
【図6】 図5における超格子構造からなる発光層兼p
型層の構成を示す断面図。
【図7】 図5の窒化物半導体発光ダイオードにおける
Mg濃度と発光強度との関係を示す特性図。
【図8】 図5の窒化物半導体発光ダイオードにおける
混晶組成の差と発光強度との関係を示す特性図。
【図9】 図5の窒化物半導体発光ダイオードにおける
超格子構造を構成する膜の膜厚と発光強度との関係を示
す特性図。
【図10】 本発明の効果を説明する状態密度分布の特
性図。
【図11】 従来例の発光ダイオードの断面図。
【符号の説明】
101…サファイア基板 102…バッファー層 103…n型層 104…発光層 105…p型層 105a…MgドープAlGaN層 105b…AlGaN層 120…負電極 130…正電極 501…サファイア基板 502…バッファー層 503…n型層 504…発光層兼p型層 504a…MgドープGaN層 504b…AlGaN層 520…負電極 530…正電極 701…サファイア基板 702…バッファー層 703…n型層 704…発光層 705…p型クラッド層 706…p型コンタクト層 720…負電極 730…正電極
フロントページの続き (72)発明者 布上 真也 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 Fターム(参考) 5F041 AA11 CA04 CA05 CA34 CA40 CA46 CA49 CA57 CA73

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 n型窒化物半導体層と、p型窒化物半導
    体層と、これらの間に設けられた発光層とを備え、前記
    発光層が、Mgがドーピングされたp型導電性のAlx
    Ga1-xN(0≦x≦1)を含んでなり、400nm以
    下の紫外域に発光ピークを有することを特徴とする窒化
    物半導体発光素子。
  2. 【請求項2】 前記発光層中のMg濃度が、1×1019
    /cm3以上5×1021/cm3以下であることを特徴と
    する請求項1記載の窒化物半導体発光素子。
  3. 【請求項3】 前記発光層中のMg濃度が、1×1020
    /cm3以上1×1021/cm3以下であることを特徴と
    する請求項1記載の窒化物半導体発光素子。
  4. 【請求項4】 Mgがドーピングされてp型導電性を有
    する第1のAlxGa1-xN(0≦x<1)層と第1のA
    xGa1-xN層よりもバンドギャップの大きい第2のA
    yGa1-yN層(0<y≦1、x<y)とを有する発光
    層と、n型窒化物半導体層とを備え、第1のAlxGa
    1-xN層と第2のAlyGa1-yN層とが交互に1周期以
    上積層されてなり、400nm以下の紫外域に発光ピー
    クを有することを特徴とする窒化物半導体発光素子。
  5. 【請求項5】 前記第1のAlxGa1-xN層中のMg濃
    度が、1×1019/cm 3以上5×1021/cm3以下で
    あることを特徴とする請求項4記載の窒化物半導体発光
    素子。
  6. 【請求項6】 前記第1のAlxGa1-xN層中のMg濃
    度が、1×1020/cm 3以上1×1021/cm3以下で
    あることを特徴とする請求項4記載の窒化物半導体発光
    素子。
  7. 【請求項7】 前記第2のAlxGa1-xN層中のMg濃
    度が、前記第1のAlyGa1-yN層中のMg濃度未満ま
    たはノンドープであることを特徴とする請求項5又は6
    に記載の窒化物半導体発光素子。
  8. 【請求項8】 前記第1のAlxGa1-xN層及び第2の
    AlyGa1-yN層の各々の膜厚が10nm以下であり、
    交互に積層されて超格子構造層が形成されていることを
    特徴とする請求項4乃至7のいずれかに記載の窒化物半
    導体発光素子。
  9. 【請求項9】 前記超格子構造層の膜厚が0.5μm以
    下であることを特徴とする請求項8に記載の窒化物半導
    体発光素子。
  10. 【請求項10】 前記第2のAlyGa1-yN層及び第1
    のAlxGa1-xN層の混晶組成xおよびyが、0.05
    <y−x<0.3であることを特徴とする請求項4乃至
    9のいずれかに記載の窒化物半導体発光素子。
  11. 【請求項11】 前記第2のAlyGa1-yN層及び第1
    のAlxGa1-xN層の混晶組成xおよびyが、0.1<
    y−x<0.2であることを特徴とする請求項4乃至9
    のいずれかに記載の窒化物半導体発光素子。
  12. 【請求項12】 n型窒化物半導体層にはn側電極が設
    けられ、前記発光層には当該発光層に接してp側電極が
    設けられていることを特徴とする請求項4乃至11のい
    ずれかに記載の窒化物半導体発光素子。
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