JP2003257963A - シリカ系被膜形成用組成物、シリカ系被膜及びその製造方法、並びに電子部品 - Google Patents

シリカ系被膜形成用組成物、シリカ系被膜及びその製造方法、並びに電子部品

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JP2003257963A JP2002060611A JP2002060611A JP2003257963A JP 2003257963 A JP2003257963 A JP 2003257963A JP 2002060611 A JP2002060611 A JP 2002060611A JP 2002060611 A JP2002060611 A JP 2002060611A JP 2003257963 A JP2003257963 A JP 2003257963A
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和宏 榎本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低誘電性に優れると共に十分な機械強度を有
する被膜を得ることができ、しかも、その被膜を形成す
る際に、急激な応力の印加を防止できるシリカ系被膜形
成用組成物を提供する。 【解決手段】 本発明のシリカ系被膜形成用組成物は、
(a)成分としてアルコキシシラン等のシロキサン樹脂
と、(b)成分としてそのシロキサン樹脂を溶解可能な
アルコール等の溶媒と、(c)成分としてアンモニウム
塩等と、(d)成分として熱分解揮発性化合物とを含ん
でおり、硬化特性を示す温度−圧力曲線において300
℃近傍に応力の極大値を有するものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シリカ系被膜形成
用組成物、シリカ系被膜、シリカ系被膜の製造方法、並
びに電子部品に関する。
【0002】
【従来の技術】LSI等の半導体素子といった電子デバ
イス部品に関しては、高集積化による配線の微細化に伴
い、配線間容量の増大による信号遅延時間の増大が問題
となっており、電子部品の絶縁材料に対して、耐熱性、
機械特性等の他、更なる低比誘電率と熱処理工程の短縮
が求められている。
【0003】一般に配線の信号伝搬速度(v)と、配線
材料が接する絶縁材料の比誘電率(ε)とは、下記式
(2); v=k/√ε …(2)、 で表される関係を示す(式中のkは定数である)。つま
り、使用する周波数領域を高くすると共に、絶縁材料の
比誘電率(ε)を低減することにより、信号伝搬の高速
化が達成される。例えば、従来から、比誘電率が4.2
程度のCVD法によって形成されるSiO2膜が層間絶
縁膜の形成材料として用いられてきたが、デバイスの配
線間容量を低減し、LSIの動作速度を向上させる観点
から、更なる低誘電率を発現する材料が切望されてい
る。
【0004】これに対し、現在実用化されている低誘電
率材料としては、比誘電率が3.5程度のCVD法で形
成されるSiOF膜が挙げられる。また、比誘電率が
2.5〜3.0である絶縁材料としては、有機SOG
(Spin On Glass)、有機ポリマー等を例
示できる。さらに、比誘電率が2.5以下の絶縁材料と
しては、膜中に空隙を有するポーラス材が有力と考えら
れており、LSIの層間絶縁膜に適用するための検討・
開発が盛んに行われている。
【0005】そのようなポーラス材の形成方法として、
特開平11−322992号公報、特開平11−310
411号公報等には、有機SOG材の低誘電率化が提案
されている。この方法は、金属アルコキシシランの加水
分解縮重合物と共に加熱することにより揮発又は分解す
る特性を有するポリマーを含む組成物から被膜を形成
し、この被膜を加熱することによって空孔を形成するも
のである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、本発明者らが
かかる従来の方法について詳細に検討を行ったところ、
このような従来方法では、最終加熱工程における有機S
OGの縮合の際に、被膜に急激な応力が作用し、場合に
よっては下層の配線等の機能を損なうような大きな影響
が生じるおそれがある。また、かかる従来方法では、被
膜を最終硬化させる際の加熱温度が450℃以上と高
く、且つ、その硬化に1時間程度の長時間を要する傾向
にある。こうなると、入熱量(サーマルバジェット)が
過度に増大し、下層のうち特に配線層の劣化が懸念され
る。また、入熱量の増加に伴って基板の反りが顕著とな
るといった問題も生じ得る。
【0007】さらに、先述の如く、高集積化による配線
の微細化が加速しており、デバイスを構成する各部材層
の薄層化・多層化、及び配線層等の材料変更が進んでい
る。これに対応すべく、入熱による各層の材料劣化の影
響は今まで以上に大きくなると予想され、各プロセスで
の熱負荷の低減による熱履歴の改善が急務となってい
る。
【0008】そこで、本発明はかかる事情に鑑みてなさ
れたものであり、低誘電性に優れ、十分な機械強度を有
するシリカ系被膜を得ることができると共に、そのシリ
カ系被膜を形成するのに、低温又は短時間で十分に硬化
させることができ、しかも、被膜の急激な応力上昇を抑
えることが可能なシリカ系被膜形成用組成物、それより
得られるシリカ系被膜、及びその製造方法並びにそのシ
リカ系被膜を備える電子部品を提供することを目的とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明者らは、液状組成物からシリカ系被膜を形成
する際の硬化挙動に着目し、且つ、組成物の材料成分及
びその組成の観点から鋭意研究を重ね、本発明を完成す
るに至った。
【0010】すなわち、本発明によるシリカ系被膜形成
用組成物は、シロキサン樹脂を含有して成り、流動性を
有し、且つ、基体上に塗布された膜状態において熱が印
加されたときに硬化してシリカ系被膜が形成されるもの
であって、その膜状態における加熱温度に対するシリカ
系被膜の応力の変化を示す曲線において、200〜40
0℃、好ましくは200〜350℃の温度領域に応力の
極大値が存在するような硬化特性を有することを特徴と
する。
【0011】ここで、上記「加熱温度に対するシリカ系
被膜の応力の変化を示す曲線」とは、以下の方法により
取得される「温度−応力曲線」を示す。
【0012】[温度−応力曲線の取得方法] (1)応力測定用のシリカ系被膜の形成 まず、所定のSiウエハ上に、シリカ系被膜形成用組成
物を一定の厚さとなるように塗布して被膜を形成する。
具体的には、外径5インチのSiウエハ(厚さ:625
±25μm)のオリエンテーションフラットを基準と
し、薄膜ストレス測定装置(KLA Tencor社製
の装置、型式:FLX−2320)内の所定位置に収容
し、周囲温度23℃±2℃、及び湿度40%±10%の
雰囲気下で、このSiウエハの‘反り’の量(初期値)
を計測しておく。
【0013】次いで、この装置からSiウエハを取り出
し、その上にスピンコート法でシリカ系被膜形成用組成
物を塗布して被膜を形成する。その後、このSiウエハ
を所定の温度T℃のホットプレート条件で3分間加熱
し、組成物に含まれる溶媒等を除去して硬化させ、シリ
カ系被膜を形成する。加熱終了後、そのシリカ系被膜の
膜厚を測定する。次に、このSiウエハを、被膜形成前
と同様にしてオリエンテーションフラットを基準として
上記装置(FLX−2320)内の所定位置に収容し、
そのSiウエハの‘反り’の量を計測する。このような
加熱処理及び操作を、100℃〜300℃の範囲内の所
定間隔(例えば50℃おき)の温度に対して実施する。
【0014】また、別途、300℃で3分加熱処理して
得たシリカ系被膜を、窒素(N2)ガス雰囲気下、温度
400℃で30分間加熱し最終硬化させる。そして、得
られたシリカ系被膜の膜厚を測定すると共に、上述した
他のSiウエハと同様にしてSiウエハの‘反り’の量
を計測する。
【0015】得られたSiウエハの反りの初期値、各温
度での加熱処理後の値、及び各温度でのシリカ系被膜の
膜厚を用い、下記式(3);
【0016】
【数1】 で表される関係から、各加熱温度におけるシリカ系被膜
の応力を算出する。
【0017】式中、σはシリカ系被膜の応力(MPa)
を示し、EはSiウエハのヤング率(dyn/cm2
を示し、bはSiウエハの厚さ(μm)を示し、νはS
iウエハのポアソン比(−)を示し、lは‘反り’を求
める際の表面粗さ計の走査距離(mm)を示し、dはシ
リカ系被膜の厚さ(μm)を示し、δはSiウエハの
‘反り’の変位量(つまり‘反り’の初期値と加熱処理
後の値との差の絶対値)(μm)を示す。
【0018】そして、このようなシリカ系被膜の形成処
理及び応力評価を5枚のSiウエハに対して行い、各加
熱温度におけるシリカ系被膜の応力の平均値を求める。
こうして得られた応力平均値(縦軸)を加熱温度(横
軸)に対してプロットすることにより、温度−応力曲線
を得る。なお、本発明における「応力」はその絶対値を
意味するものとする。
【0019】このようなシリカ系被膜形成用組成物は、
ウエハ等の基板上に塗布された後、加熱によって硬化さ
れ、低誘電率を発現するシリカ系被膜(Low−k膜)
が形成される。この際、加熱工程においては、組成物が
加熱初期から後期にわたって徐々に硬化され、これに伴
い応力が上昇し、最終硬化前の200〜400℃の温度
領域、例えば300℃前後において極大値を示す。そし
て、より高い温度にて最終硬化されると、応力がその極
大値よりも低減される。つまり、かかる熱印加による硬
化履歴によってシリカ系被膜の応力が緩和される。
【0020】このようなシリカ系被膜形成用組成物とし
ては、具体的には、(a)成分:下記式(1); R1 nSiX4-n …(1)、 (式中、R1は、H原子若しくはF原子、又はB原子、
N原子、Al原子、P原子、Si原子、Ge原子若しく
はTi原子を含む基、又は炭素数1〜20の有機基を示
し、Xは加水分解性基を示し、nは0〜2の整数を示
し、nが2のとき、各R1は同一でも異なっていてもよ
く、nが0〜2のとき、各Xは同一でも異なっていても
よい)で表される化合物を加水分解縮合して得られるシ
ロキサン樹脂と、(b)成分:(a)成分を溶解可能な
溶媒と、(c)成分:オニウム塩と、(d)成分:25
0〜500℃の加熱温度において熱分解又は揮発する熱
分解揮発性化合物とを含有して成るものであると好まし
い。
【0021】このような組成を有すると、加熱により硬
化が進行するときに、(d)成分の熱分解又は揮発によ
って、膜中に微細孔が徐々に形成され、最終硬化時にそ
の微細化及び形状の均一化が図られ得る。さらに、
(c)成分であるオニウム塩の存在により、式(1)で
表される化合物の脱水縮合反応が進み、Si−OH結合
が減少することによってシロキサン結合の密度が高めら
れる。加えて、空孔形成過程及びシロキサン結合の高密
度化と最終加熱時のアニール効果とが複合的に作用して
膜の応力緩和が生起され得る。ただし、作用はこれに限
定されない。
【0022】また、(a)成分が、Si原子1モルに対
する、H原子、F原子、B原子、N原子、Al原子、P
原子、Si原子、Ge原子、Ti原子、及びC原子から
成る群より選ばれる少なくとも一種の原子の総含有割合
が好ましくは0.65モル以下、より好ましくは0.5
5以下、更に好ましくは0.50以下、特に好ましくは
0.45以下のものである。また、この総含有割合の下
限値は、0.20程度であることが望ましい。このよう
にすれば、シリカ系被膜の他の膜(層)への接着性及び
機械強度の低下が抑制される。
【0023】また、本発明によるシリカ系被膜は、本発
明のシリカ系被膜形成用組成物をSiウエハ等の基体上
に塗布し、塗布された被膜を加熱することにより形成さ
れる硬化膜から成るものである。
【0024】また、シリカ系被膜の比誘電率が3.0未
満であると好ましく、2.7以下であるとより好まし
く、2.5以下であると更に好ましく、2.2以下であ
ると極めて好ましい。このように、シリカ系被膜の比誘
電率は、層間絶縁膜等の用いる観点から小さい程好まし
いが、膜の機械強度の低下を防止する点において、下限
値は1.5程度であることが望ましい。
【0025】[比誘電率の測定方法]ここで、本発明に
おけるシリカ系被膜の「比誘電率」とは、23℃±2
℃、湿度40±10%の雰囲気下で測定された値をい
い、Al金属とN型低抵抗率基板(Siウエハ)間の電
荷容量の測定から求められる。具体的には、まず、比誘
電率測定用のシリカ系被膜を形成する。例えば、N型低
抵抗率Siウエハ(抵抗率<10Ωcm)上にスピンコ
ート法でシリカ系被膜形成用組成物を、膜厚が0.5〜
0.6μmとなるように塗布して被膜を形成する。次
に、200℃に加熱したホットプレートで組成物中の溶
媒を除去し、更に窒素(N2)ガス雰囲気下、400℃
で30分加熱して最終硬化させてシリカ系被膜を形成す
る。
【0026】次いで、このシリカ系被膜上に、真空蒸着
装置でAl金属を直径2mmの円で、厚さ約0.1μm
になるように真空蒸着する。これにより、絶縁膜がAl
金属と低抵抗率基板との間に配置された構造が形成され
る。次に、この構造体の電荷容量を、LFインピーダン
スアナライザー(横河電機社製:HP4192A)に誘
電体テスト・フィクスチャー(横河電機製:HP164
51B)を接続した装置を用い、使用周波数1MHzに
て測定する。
【0027】そして、電荷容量の測定値を下記式
(4); シリカ系被膜の比誘電率=3.597×10-2×電荷容量(pF)×被膜の膜厚 (μm) …(4)、 に代入し、シリカ系被膜の比誘電率を算出する。
【0028】ところで、前述の如く、本発明によるシリ
カ系被膜は、低誘電性に優れるものであるが、更なる低
誘電率化を実現するには、例えば、組成物中の(d)成
分の含有量を調整して膜中への微細孔の導入量を多くす
ることが有効である。しかし、このようにして微細孔の
導入量を過度に増大させると、被膜の機械強度の低下を
招来するおそれがあるので留意すべきである。この点に
おいて、微細孔が導入されていない状態で本来的に比誘
電率が極力低い膜が得られる組成のシリカ系被膜形成用
組成物を用いてシリカ系被膜を形成すると好適である。
【0029】さらに、シリカ系被膜の弾性率が2.5G
Pa以上であると好ましく、3.0GPa以上であると
より好ましく、3.5GPa以上であると更に好まし
く、4.0GPa以上であると特に好ましく、4.5G
Pa以上であると極めて好ましい。上限値は特に制限さ
れないが、通常は30GPa程度である。この弾性率が
2.5GPa未満であると、例えば、このシリカ系被膜
を半導体絶縁膜として用いるときに、加工が困難となる
等の不都合が生じる可能性がある。
【0030】なお、弾性率を増大せしめるには、例え
ば、シロキサン樹脂中に含有する空孔の割合を減少させ
ることが有効ではあるが、先に述べたように、比誘電率
を低下させる観点からは、被膜中の空孔量を増大させる
ことが有利であり、両者の兼ね合いを考慮することが望
ましい。
【0031】[弾性率の測定方法]ここで、本発明にお
けるシリカ系被膜の「弾性率」とは、被膜の表面近傍に
おける弾性率であり、MTS社製のナノインデンターD
CMを用いて測定される値をいう。測定用のシリカ系被
膜は、[比誘電率測定方法]で説明したのと同様にして
作成したものを用いる。このとき、シリカ系被膜の膜厚
が薄いと下地の影響を受けてしまうため、上述したよう
に、最初の被膜厚さを0.5〜0.6μmとすることが
好ましい。
【0032】また、表面近傍とは、膜厚の1/10以内
の深度、より具体的には膜表面から深さ15nm〜50
nm位置をいう。さらに、測定においては、荷重と荷重
速度とを、下記の式(5); dL/dt×1/L=0.05(sec-1) …(5) で表される関係を満たすように変動させる。式中、Lは
荷重を示し、tは時間を示す。またさらに、押し込みを
行う圧子には、バーコビッチ圧子(素材:ダイヤモン
ド)を用い、圧子の振幅周波数を45Hzに設定して測
定する。
【0033】また、本発明によるシリカ系被膜の製造方
法は、本発明のシリカ系被膜形成用組成物を基板上に塗
布し、塗布された被膜を加熱して該被膜を硬化せしめる
ことを特徴とする。
【0034】さらに、本発明による電子部品(デバイ
ス)は、素子構造が形成される基体上に絶縁膜が形成さ
れたものであって、絶縁膜が、本発明のシリカ系被膜の
製造方法により製造されたシリカ系被膜、又はそのシリ
カ系被膜を含むものである。
【0035】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
詳細に説明する。本発明によるシリカ系被膜形成用組成
物は、上述の如く、シロキサン樹脂を含有して成り、流
動性を有し、且つ、基体上に塗布された膜状態において
熱が印加されたときに硬化してシリカ系被膜が形成され
るものであって、前述の温度−応力曲線において、20
0〜400℃、好ましくは200〜350℃、より好ま
しくは300℃前後の温度領域に応力の極大値が存在す
るような硬化特性を有するものである。
【0036】よって、このようなシリカ系被膜形成用組
成物は、応力の極大値を示す温度領域以下の温度で硬化
が進行し、その極大値を示す温度よりも高温で最終硬化
を行うと、応力が低減される。よって、得られるシリカ
系被膜に急激な応力が作用することが防止される。ま
た、このように応力の極大値を示す温度領域つまり25
0〜400℃以下で硬化が進行すると共に、応力の極大
値を示す温度領域では、十分な硬化が完了すると考えら
れるので、最終的なより高温での熱処理を短時間で実施
し得る。よって、組成物が塗布されるウエハ等の基体へ
の入熱量を軽減できる。したがって、下地の配線層等へ
の熱影響を低減できる。さらに、シリカ系被膜の応力が
緩和されるので、他の層(膜)との接着性を向上させる
ことも可能となる。
【0037】このような本発明のシリカ系組成物の具体
的な組成としては、例えば、以下の(a)成分、(b)
成分、(c)成分、及び(d)成分を必須成分として含
むものが挙げられる。
【0038】〈(a)成分〉 (a)成分は、下記式(1); R1 nSiX4-n …(1)、 で表される化合物を加水分解縮合して得られるシロキサ
ン樹脂である。ここで、式中、R1は、H原子若しくは
F原子、又はB原子、N原子、Al原子、P原子、Si
原子、Ge原子若しくはTi原子を含む基、又は炭素数
1〜20の有機基を示し、Xは加水分解性基を示し、n
は0〜2の整数を示し、nが2のとき、各R1は同一で
も異なっていてもよく、nが0〜2のとき、各Xは同一
でも異なっていてもよい。
【0039】加水分解性基Xとしては、例えば、アルコ
キシ基、ハロゲン原子、アセトキシ基、イソシアネート
基、ヒドロキシル基等が挙げられる。これらの中では、
組成物自体の液状安定性や被膜塗布特性等の観点からア
ルコキシ基が好ましい。
【0040】加水分解性基Xが、アルコキシ基である式
(1)の化合物(アルコキシシラン)としては、例え
ば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テ
トラ−n−プロポキシシラン、テトラ−iso−プロポ
キシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−s
ec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシ
ラン、テトラフェノキシシラン等のテトラアルコキシシ
ラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリ
プロポキシシラン、フルオロトリメトキシシラン、フル
オロトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、
メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキ
シシラン、メチルトリ−iso−プロポキシシラン、メ
チルトリ−n−ブトキシシラン、メチルトリ−iso−
ブトキシシラン、メチルトリ−tert−ブトキシシラ
ン、メチルトリフェノキシシラン、エチルトリメトキシ
シラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ−n−
プロポキシシラン、エチルトリ−iso−プロポキシシ
ラン、エチルトリ−n−ブトキシシラン、エチルトリ−
iso−ブトキシシラン、エチルトリ−tert−ブト
キシシラン、エチルトリフェノキシシラン、n−プロピ
ルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラ
ン、n−プロピルトリ−n−プロポキシシラン、n−プ
ロピルトリ−iso−プロポキシシラン、n−プロピル
トリ−n−ブトキシシラン、n−プロピルトリ−iso
−ブトキシシラン、n−プロピルトリ−tert−ブト
キシシラン、n−プロピルトリフェノキシシラン、is
o−プロピルトリメトキシシラン、iso−プロピルト
リエトキシシラン、iso−プロピルトリ−n−プロポ
キシシラン、iso−プロピルトリ−iso−プロポキ
シシラン、iso−プロピルトリ−n−ブトキシシラ
ン、iso−プロピルトリ−iso−ブトキシシラン、
iso−プロピルトリ−tert−ブトキシシラン、i
so−プロピルトリフェノキシシラン、n−ブチルトリ
メトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−
ブチルトリ−n−プロポキシシラン、n−ブチルトリ−
iso−プロポキシシラン、n−ブチルトリ−n−ブト
キシシラン、n−ブチルトリ−iso−ブトキシシラ
ン、n−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、n−
ブチルトリフェノキシシラン、sec−ブチルトリメト
キシシラン、sec−ブチルトリエトキシシラン、se
c−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、sec−ブチ
ルトリ−iso−プロポキシシラン、sec−ブチルト
リ−n−ブトキシシラン、sec−ブチルトリ−iso
−ブトキシシラン、sec−ブチルトリ−tert−ブ
トキシシラン、sec−ブチルトリフェノキシシラン、
t−ブチルトリメトキシシラン、t−ブチルトリエトキ
シシラン、t−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、t
−ブチルトリ−iso−プロポキシシラン、t−ブチル
トリ−n−ブトキシシラン、t−ブチルトリ−iso−
ブトキシシラン、t−ブチルトリ−tert−ブトキシ
シラン、t−ブチルトリフェノキシシラン、フェニルト
リメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェ
ニルトリ−n−プロポキシシラン、フェニルトリ−is
o−プロポキシシラン、フェニルトリ−n−ブトキシシ
ラン、フェニルトリ−iso−ブトキシシラン、フェニ
ルトリ−tert−ブトキシシラン、フェニルトリフェ
ノキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラ
ン、ペンタフルオロエチルトリメトキシシラン、3,
3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、
3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシラン
等のトリアルコキシシラン、ジメチルジメトキシシラ
ン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジ−n−プロ
ポキシシラン、ジメチルジ−iso−プロポキシシラ
ン、ジメチルジ−n−ブトキシシラン、ジメチルジ−s
ec−ブトキシシラン、ジメチルジ−tert−ブトキ
シシラン、ジメチルジフェノキシシラン、ジエチルジメ
トキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジ
−n−プロポキシシラン、ジエチルジ−iso−プロポ
キシシラン、ジエチルジ−n−ブトキシシラン、ジエチ
ルジ−sec−ブトキシシラン、ジエチルジ−tert
−ブトキシシラン、ジエチルジフェノキシシラン、ジ−
n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエ
トキシシラン、ジ−n−プロピルジ−n−プロポキシシ
ラン、ジ−n−プロピルジ−iso−プロポキシシラ
ン、ジ−n−プロピルジ−n−ブトキシシラン、ジ−n
−プロピルジ−sec−ブトキシシラン、ジ−n−プロ
ピルジ−tert−ブトキシシラン、ジ−n−プロピル
ジフェノキシシラン、ジ−iso−プロピルジメトキシ
シラン、ジ−iso−プロピルジエトキシシラン、ジ−
iso−プロピルジ−n−プロポキシシラン、ジ−is
o−プロピルジ−iso−プロポキシシラン、ジ−is
o−プロピルジ−n−ブトキシシラン、ジ−iso−プ
ロピルジ−sec−ブトキシシラン、ジ−iso−プロ
ピルジ−tert−ブトキシシラン、ジ−iso−プロ
ピルジフェノキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシ
ラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、ジ−n−ブチ
ルジ−n−プロポキシシラン、ジ−n−ブチルジ−is
o−プロポキシシラン、ジ−n−ブチルジ−n−ブトキ
シシラン、ジ−n−ブチルジ−sec−ブトキシシラ
ン、ジ−n−ブチルジ−tert−ブトキシシラン、ジ
−n−ブチルジフェノキシシラン、ジ−sec−ブチル
ジメトキシシラン、ジ−sec−ブチルジエトキシシラ
ン、ジ−sec−ブチルジ−n−プロポキシシラン、ジ
−sec−ブチルジ−iso−プロポキシシラン、ジ−
sec−ブチルジ−n−ブトキシシラン、ジ−sec−
ブチルジ−sec−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチ
ルジ−tert−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチル
ジフェノキシシラン、ジ−tert−ブチルジメトキシ
シラン、ジ−tert−ブチルジエトキシシラン、ジ−
tert−ブチルジ−n−プロポキシシラン、ジ−te
rt−ブチルジ−iso−プロポキシシラン、ジ−te
rt−ブチルジ−n−ブトキシシラン、ジ−tert−
ブチルジ−sec−ブトキシシラン、ジ−tert−ブ
チルジ−tert−ブトキシシラン、ジ−tert−ブ
チルジフェノキシシラン、ジフェニルジメトキシシラ
ン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジ−n−
プロポキシシラン、ジフェニルジ−iso−プロポキシ
シラン、ジフェニルジ−n−ブトキシシラン、ジフェニ
ルジ−sec−ブトキシシラン、ジフェニルジ−ter
t−ブトキシシラン、ジフェニルジフェノキシシラン、
ビス(3,3,3−トリフルオロプロピル)ジメトキシ
シラン、メチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)
ジメトキシシラン等のジオルガノジアルコキシシラン等
が挙げられる。
【0041】また、加水分解性基Xが、ハロゲン原子
(ハロゲン基)である式(1)の化合物(ハロゲン化シ
ラン)としては、上記の各アルコキシシラン分子中のア
ルコキシ基がハロゲン原子で置換されたものが挙げられ
る。さらに、加水分解性基Xが、アセトキシ基である式
(1)の化合物(アセトキシシラン)としては、上記の
各アルコキシシラン分子中のアルコキシ基がアセトキシ
基で置換されたものが挙げられる。またさらに、加水分
解性基Xが、イソシアネート基である式(1)の化合物
(イソシアネートシラン)としては、上記の各アルコキ
シシラン分子中のアルコキシ基がイソシアネート基で置
換されたものが挙げられる。さらにまた、加水分解性基
Xが、ヒドロキシル基である式(1)の化合物(ヒドロ
キシシラン)としては、上記の各アルコキシシラン分子
中のアルコキシ基がヒドロキシル基で置換されたものが
挙げられる。
【0042】これら式(1)で表される化合物は、単独
で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
【0043】また、式(1)で表される化合物の加水分
解縮合において加水分解縮合反応を促進する触媒とし
て、蟻酸、マレイン酸、フマル酸、酢酸、プロピオン
酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、
オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、シュウ酸、アジピン
酸、セバシン酸、酪酸、オレイン酸、ステアリン酸、リ
ノール酸、リノレイン酸、サリチル酸、安息香酸、p−
アミノ安息香酸、p−トルエンスルホン酸、フタル酸、
スルホン酸、酒石酸、トリフルオロメタンスルフォン酸
等の有機酸、塩酸、燐酸、硝酸、ホウ酸、硫酸、フッ酸
等の無機酸等を用いることができる。
【0044】この触媒の使用量は、式(1)で表される
化合物1モルに対して0.0001〜1モルの範囲が好
ましい。この使用量が1モルを超える場合、加水分解縮
合時にゲル化が促進される傾向があり、0.0001モ
ル未満の場合、実質的に反応が進行しない傾向がある。
【0045】さらに、この反応において、加水分解によ
って副生するアルコールを、必要に応じてエバポレータ
等を用いて除去してもよい。またさらに、加水分解縮合
反応系中に存在させる水の量を適宜決定することができ
るが、この水の量としては、式(1)で表される化合物
1モルに対して0.5〜20モルの範囲内の値とすると
好ましい。この水量が0.5モル未満の場合及び20モ
ルを超える場合には、シリカ系被膜の成膜性が悪化する
と共に、組成物自体の保存安定性が低下する場合があ
る。
【0046】また、(a)成分としてのシロキサン樹脂
は、溶媒への溶解性、機械特性、成形性等の観点から、
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「G
PC」という)により測定され且つ標準ポリスチレンの
検量線を使用して換算された質量平均分子量が、500
〜20,000であることが好ましく、1,000〜1
0,000であるとより好ましい。この質量平均分子量
が500未満であると、シリカ系被膜の成膜性が劣る傾
向にある。一方、この質量平均分子量が20,000を
超えると、溶媒との相溶性が低下する傾向にある。
【0047】さらに、シロキサン樹脂のケイ素1原子あ
たりに結合しているH原子、F原子、B原子、N原子、
Al原子、P原子、Si原子、Ge原子、Ti原子及び
C原子から成る群より選ばれる少なくとも一種の原子
(以下、「特定の結合原子」という)の総数(M)が
0.65以下であることが好ましく、0.55以下であ
るとより好ましく、0.50以下であると特に好まし
く、0.45以下であると極めて好ましい。また、その
下限値としては0.20程度が好ましい。
【0048】この特定の結合原子の総数(M)が、0.
65を超える場合、最終的に得られるシリカ系被膜の他
の膜(層)との接着性、機械強度等が劣る傾向がある。
一方、この総数(M)が0.20未満であると、絶縁膜
として用いたときの誘電特性が劣る傾向にある。また、
シロキサン樹脂は、これらの特定の結合原子のなかで
も、シリカ系被膜の成膜性の点で、H原子、F原子、N
原子、Si原子、Ti原子及びC原子のうち少なくとも
いずれか一種を含むとより好ましく、それらのなかで
も、誘電特性及び機械強度の点において、H原子、F原
子、N原子、Si原子及びC原子のうち少なくともいず
れか一種を含むと一層好ましい。
【0049】なお、この総数(M)は、(a)成分であ
るシロキサン樹脂の仕込み量から求めることができ、例
えば、下記式(6); M=(M1+(M2/2)+(M3/3))/Msi …(6) で表される関係を用いて算出できる。式中、M1は、特定
の結合原子のうち単一の(ただ1つの)Si原子と結合
している原子の総数を示し、M2は、特定の結合原子のう
ち2つのケイ素原子で共有されている原子の総数を示
し、M3は、特定の結合原子のうち3つのケイ素原子で共
有されている原子の総数を示し、Msiは、Si原子の総
数を示す。
【0050】〈(b)成分〉(b)成分は、(a)成分
すなわち前述のシロキサン樹脂を溶解可能な溶媒であ
り、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノー
ル、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノー
ル、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタ
ノール、i−ペンタノール、2−メチルブタノール、s
ec−ペンタノール、t−ペンタノール、3−メトキシ
ブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノー
ル、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、s
ec−ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘ
キサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコ
ール、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコー
ル、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシ
ルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フェ
ノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノー
ル、ベンジルアルコール、エチレングリコール、1,2
−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、
トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等
のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、
メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケト
ン、メチル−iso−ブチルケトン、メチル−n−ペン
チルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジエチルケ
トン、ジ−iso−ブチルケトン、トリメチルノナノ
ン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチルシク
ロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルア
セトン、ジアセトンアルコール、アセトフェノン、γ−
ブチロラクトン等のケトン系溶媒、エチルエーテル、i
so−プロピルエーテル、n−ブチルエーテル、n−ヘ
キシルエーテル、2−エチルヘキシルエーテル、エチレ
ンオキシド、1,2−プロピレンオキシド、ジオキソラ
ン、4−メチルジオキソラン、ジオキサン、ジメチルジ
オキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エ
チレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコ
ールジエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−
ヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエ
ーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエ
ーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチ
レングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコ
ールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチル
エーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエー
テル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、
ジエチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エ
トキシトリグリコール、テトラエチレングリコールジ−
n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチル
エーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、
プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピ
レングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリ
コールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコール
モノメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチル
テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、酢酸メチル、
酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢
酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、酢酸sec−ブチル、
酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メ
トキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブ
チル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シ
クロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸ノニ
ル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、アセト
酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸エチレングリコー
ルモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエ
チルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエ
ーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテ
ル、酢酸ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテ
ル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢
酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸プロ
ピレングリコールモノプロピルエーテル、酢酸ジプロピ
レングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジプロピレン
グリコールモノエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢
酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロ
ピオン酸n−ブチル、プロピオン酸i−アミル、シュウ
酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳
酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル等のエステ
ル系溶媒、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムア
ミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチ
ルスルホキシド等の溶媒を例示できる。これらは単独で
又は2種以上を組み合わせて用いられる。
【0051】この溶媒(つまり(b)成分)の使用量と
しては、(a)成分(シロキサン樹脂)の量が3〜25
質量%となるような量とされることが好ましい。溶媒の
量が過少で(a)成分の濃度が25質量%を超えると、
シリカ系被膜の成膜性等が悪化すると共に、組成物自体
の安定性が低下する傾向にある。これに対し、溶媒の量
が過多で(a)成分の濃度が3質量%を下回ると、所望
の膜厚を有するシリカ系被膜を形成し難くなる傾向にあ
る。
【0052】〈(c)成分〉(c)成分は、オニウム塩
であり、例えば、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、ア
ルソニウム塩、スチボニウム塩、オキソニウム塩、スル
ホニウム塩、セレノニウム塩、スタンノニウム塩、ヨー
ドニウム塩等が挙げられる。これらのなかでは、組成物
の安定性により優れる点でアンモニウム塩が好ましく、
例えば、テトラメチルアンモニウムオキサイド、テトラ
メチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニ
ウムブロマイド、テトラメチルアンモニウムフロライ
ド、テトラブチルアンモニウムオキサイド、テトラブチ
ルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウム
ブロマイド、テトラブチルアンモニウムフロライド、テ
トラメチルアンモニウム硝酸塩、テトラメチルアンモニ
ウム酢酸塩、テトラメチルアンモニウムプロピオン酸
塩、テトラメチルアンモニウムマレイン酸塩、テトラメ
チルアンモニウム硫酸塩等が挙げられる。
【0053】さらに、これらのなかでは、シリカ系被膜
の電気特性を向上させる観点から、テトラメチルアンモ
ニウム硝酸塩、テトラメチルアンモニウム酢酸塩、テト
ラメチルアンモニウムプロピオン酸塩、テトラメチルア
ンモニウムマレイン酸塩、テトラメチルアンモニウム硫
酸塩等のアンモニウム塩が特に好ましい。
【0054】また、(c)成分であるオニウム塩の使用
量は、シリカ系被膜形成用組成物の全量に対して0.0
01ppm〜5%であることが好ましく、0.01pp
m〜1%であるとより好ましく、0.1ppm〜0.5
%であると一層好ましい。この使用量が0.001pp
m未満であると、最終的に得られるシリカ系被膜の電気
特性、機械特性が劣る傾向にある。一方、この使用量が
5%を超えると、組成物の安定性、成膜性等が劣る傾向
にあると共に、シリカ系被膜の電気特性及びプロセス適
合性が低下する傾向にある。なお、これらのオニウム塩
は、必要に応じて水や溶媒に溶解或いは希釈してから、
所望の濃度となるように添加することができる。
【0055】また、オニウム塩を水溶液とした場合、そ
のpHが1.5〜10であると好ましく、2〜8である
とより好ましく、3〜6であると特に好ましい。このp
Hが1.5を下回ると、或いは、pHが10を超えると、
組成物の安定性、及び成膜性等が劣る傾向にある。
【0056】〈(d)成分〉(d)成分は、250〜5
00℃の加熱温度で熱分解又は揮発する熱分解揮発性化
合物であり、例えば、ポリアルキレンオキサイド構造を
有する重合体、(メタ)アクリレート系重合体、ポリエ
ステル重合体、ポリカーボネート重合体、ポリアンハイ
ドライド重合体、テトラキスシラン類等が挙げられる。
【0057】上記ポリアルキレンオキサイド構造として
はポリエチレンオキサイド構造、ポリプロピレンオキサ
イド構造、ポリテトラメチレンオキサイド構造、ポリブ
チレンオキサイド構造等を例示できる。より具体的に
は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシ
エチレンステロールエーテル、ポリオキシエチレンラノ
リン誘導体、アルキルフェノールホルマリン縮合物の酸
化エチレン誘導体、ポリオキシエチレンポリオキシプロ
ピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンポリオ
キシプロピレンアルキルエーテル等のエーテル型化合
物、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポ
リオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオ
キシエチレン脂肪酸アルカノールアミド硫酸塩等のエー
テルエステル型化合物、ポリエチレングリコール脂肪酸
エステル、エチレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸
モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソル
ビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エ
ステル等のエーテルエステル型化合物等を挙げることが
できる。
【0058】また、(メタ)アクリレート系重合体を構
成するアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルと
しては、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸ア
ルキルエステル、アクリル酸アルコキシアルキルエステ
ル、メタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アル
コキシアルキルエステル等を挙げることができる。
【0059】アクリル酸アルキルエステルとしては、ア
クリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プ
ロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチ
ル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ペンチル、アク
リル酸ヘキシル等の炭素数1〜6のアルキルエステル等
を例示できる。
【0060】また、メタクリル酸アルキルエステルとし
ては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタ
クリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メ
タクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタ
クリル酸ペンチル、メタクリル酸ヘキシル等の炭素数1
〜6のアルキルエステル等を例示できる。
【0061】さらに、アクリル酸アルコキシアルキルエ
ステルとしては、アクリル酸メトキシメチル、アクリル
酸エトキシエチル等を例示でき、メタクリル酸アルコキ
シアルキルエステルとしては、メタクリル酸メトキシメ
チル、メタクリル酸エトキシエチル等が挙げられる。
【0062】ヒドロキシル基を有するアクリル酸及びメ
タクリル酸としては、アクリル酸2−ヒドロキシルエチ
ル、アクリル酸2−ヒドロキシルプロピル、メタクリル
酸2−ヒドロキシルエチル、メタクリル酸2−ヒドロキ
シルプロピル等が挙げられる。(メタ)アクリレート系
重合体を構成する(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリ
ル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アルコキシ
アルキルエステル、ヒドロキシル基を有する(メタ)ア
クリル酸は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いら
れる。
【0063】さらに、ポリエステルとしては、ヒドロキ
シカルボン酸の重縮合物、ラクトンの開環重合物、脂肪
族ポリオールと脂肪族ポリカルボン酸との重縮合物等を
挙げることができる。
【0064】またさらに、ポリカーボネートとしては、
ポリエチレンカーボネート、ポリプロピレンカーボネー
ト、ポリトリメチレンカーボネート、ポリテトラメチレ
ンカーボネート、ポリペンタメチレンカーボネート、ポ
リヘキサメチレンカーボネート等の炭酸とアルキレング
リコールとの重縮合物等を挙げることができる。
【0065】さらにまた、ポリアンハイドライドとして
は、ポリマロニルオキシド、ポリアジポイルオキシド、
ポリピメイルオキシド、ポリスベロイルオキシド、ポリ
アゼライルオキシド、ポリセバコイルオキシド等のジカ
ルボン酸の重縮合物等を挙げることができる。
【0066】加えて、テトラキスシラン類としては、テ
トラキス(トリメチルシロキシ)シラン、テトラキス
(トリメチルシリル)シラン、テトラキス(メトキシエ
トキシ)シラン、テトラキス(メトキシエトキシエトキ
シ)シラン、テトラキス(メトキシプロポキシ)シラン
等を挙げることができる。
【0067】ここで、(d)成分である熱分解揮発性化
合物が250℃を下回る温度で熱分解又は揮発するもの
であると、シロキサン骨格形成前に熱分解揮発してしま
うため、所望の誘電特性が得られないおそれがある。一
方、この熱分解揮発性化合物が500℃を超える温度で
熱分解又は揮発するものであると、配線金属の劣化が生
じるおそれがある。したがって、かかる温度範囲で熱分
解又は揮発するものであれば、配線金属の劣化を抑えつ
つ、絶縁膜の誘電特性を調整し易くなる利点がある。
【0068】なお、本発明のシリカ系被膜形成用組成物
は、アルカリ金属やアルカリ土類金属を含有しないこと
が望ましく、含まれる場合でも組成物中のそれらの金属
イオン濃度が100ppb以下であると好ましく、20
ppb以下であるとより好ましい。これらの金属イオン
濃度が100ppbを超えると、組成物から得られるシ
リカ系被膜を有する半導体素子に金属イオンが流入し易
くなってデバイス性能そのものに悪影響を及ぼすおそれ
がある。よって、必要に応じてイオン交換フィルター等
を使用してアルカリ金属やアルカリ土類金属を組成物中
から除去することが有効である。
【0069】このようなシリカ系被膜形成用組成物は、
後述するようにウエハ等の基板上に塗布された後、加
熱、焼成によって硬化され、これにより、低誘電率を発
現するシリカ系被膜(Low−k膜)が形成される。こ
のとき、(d)成分の熱分解又は揮発によって、膜中に
微細孔(空隙、空孔)が徐々に形成され、最終硬化時に
空孔の更なる微細化及び形状の均一化が図られ得る。
【0070】さらに、(c)成分であるオニウム塩を必
須成分として含有するので、シリカ系被膜の機械強度及
び電気的信頼性の向上が図られる。したがって、例えば
後の工程においてCMPが施された場合、シリカ系被膜
と他の層(膜)との界面において剥離が生じてしまうこ
とを防止できる。かかる効果が奏される作用機構の詳細
は、未だ不明な点があるものの、オニウム塩によって脱
水縮合反応が促進されてシロキサン結合の密度が増加
し、さらに残留するシラノール基が減少するため、機械
強度及び誘電特性が向上されることが一因と推定され
る。
【0071】そして、上記のような空孔形成過程、シロ
キサン結合の高密度化に加え、最終加熱時に奏され得る
アニール効果が複合的に作用することによって、膜全体
の応力緩和が引き起こされると考えられる。ただし、作
用はこれらに限定されない。
【0072】さらに、シロキサン樹脂における結合原子
の総数が0.65以下とされることにより、更に十分な
機械強度を実現でき、しかも他の膜(層)との十分な接
着性が確保される。したがって、配線金属を積層したと
きに生じる余分なCu膜を研磨するCu−CMP工程に
おける界面剥離の発生を一層防止できる。
【0073】このような本発明のシリカ系被膜形成用組
成物を用いて、基板上にシリカ系被膜を形成する方法に
ついて、一般にシリカ系被膜の成膜性及び膜均一性に優
れるスピンコート法を例にとって説明する。まず、シリ
カ系被膜形成用組成物をSiウエハ等の基板上に好まし
くは500〜5000回転/分、より好ましくは100
0〜3000回転/分でスピン塗布して被膜を形成す
る。この際、回転数が500回転/分未満であると、膜
均一性が悪化する傾向にある一方で、5000回転/分
を超えると、成膜性が悪化するおそれがあるため好まし
くない。
【0074】次いで、好ましくは50〜300℃、より
好ましくは100〜250℃でホットプレート等にて被
膜中の溶媒を乾燥させる。この乾燥温度が50℃未満で
あると、溶媒の乾燥が十分に行われない傾向にある。一
方、乾燥温度が300℃を超えると、被膜においてシロ
キサン骨格が形成される前にポーラス形成用の熱分解揮
発性化合物((d)成分)が熱分解揮発してしまい、所
望の機械強度及び低誘電特性を有するシリカ系被膜を得
難くなるおそれがある。
【0075】次に、溶媒が除去された被膜を好ましくは
250〜500℃、より好ましくは250〜450℃、
更に好ましくは250〜400℃の加熱温度で焼成して
最終硬化を行う。最終硬化は、N2、Ar、He等の不
活性雰囲気下で行うのが好ましく、この場合、酸素濃度
が1000ppm以下であると好ましい。この加熱温度
が250℃未満であると、十分な硬化が達成されない傾
向にあると共に、(d)成分の分解・揮発を十分に促進
できない傾向にある。これに対し、加熱温度が500℃
を超えると、金属配線層がある場合に、入熱量が増大し
て配線金属の劣化が生じるおそれがある。
【0076】また、この際の加熱時間は2〜60分が好
ましく、2〜30分であるとより好ましい。この加熱時
間が60分を超えると、入熱量が過度に増大して配線金
属の劣化が生じるおそれがある。さらに、加熱装置とし
ては、石英チューブ炉その他の炉、ホットプレート、ラ
ピッドサーマルアニール(RTA)等の加熱処理装置を
用いることが好ましい。
【0077】また、このようにして形成されるシリカ系
被膜の膜厚は、0.01〜40μmであることが好まし
く、0.1μm〜2.0μmであるとより好ましい。か
かる膜厚が40μmを超えると、応力によってクラック
が発生し易くなる一方で、0.01μm未満であると、
シリカ系被膜の上下に金属配線層が存在する場合に、上
下配線間のリーク特性が悪化する傾向がある。
【0078】かかるシリカ系被膜を有する本発明の電子
部品としては、半導体素子、多層配線板等の絶縁膜を有
するデバイスが挙げられる。具体的には、半導体素子に
おいては、表面保護膜(パッシベーション膜)、バッフ
ァーコート膜、層間絶縁膜等として使用することができ
る。一方、多層配線板においては、層間絶縁膜として好
適に使用することができる。
【0079】より具体的には、半導体素子として、ダイ
オード、トランジスタ、化合物半導体、サーミスタ、バ
リスタ、サイリスタ等の個別半導体、DRAM(ダイナ
ミック・ランダム・アクセス・メモリー)、SRAM
(スタティック・ランダム・アクセス・メモリー)、E
PROM(イレイザブル・プログラマブル・リード・オ
ンリー・メモリー)、マスクROM(マスク・リード・
オンリー・メモリー)、EEPROM(エレクトリカル
・イレイザブル・プログラマブル・リード・オンリー・
メモリー)、フラッシュメモリー等の記憶素子、マイク
ロプロセッサー、DSP、ASIC等の理論回路素子、
MMIC(モノリシック・マイクロウェーブ集積回路)
に代表される化合物半導体等の集積回路素子、混成集積
回路(ハイブリッドIC)、発光ダイオード、電荷結合
素子等の光電変換素子等が挙げられる。また、多層配線
板としては、MCM等の高密度配線板などが挙げられ
る。
【0080】このような電子部品は、低誘電率を発現す
る本発明のシリカ系被膜を備えることにより、信号伝搬
遅延時間の低減といった高性能化が図られると同時に高
信頼性を達成できる。
【0081】
【実施例】以下、本発明に係る具体的な実施例について
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
【0082】〈合成例1〉以下の手順により(d)成分
である熱分解揮発性化合物を合成した。まず、1000
mlのフラスコにプロピレングリコールモノメチルエー
テルアセテート(PGMEA)を300g仕込み、20
0mlの滴下ロートにアゾビスイソブチロニトリル(A
IBN)2.0gを溶解させたメタクリル酸メチル95
gと2−ヒドロキシエチルメタクリレート5gとを仕込
み、系内を窒素ガスで置換した後、窒素ガス雰囲気下、
130℃のオイルバスで加熱攪拌しながら、滴下ロート
内の溶液を2時間かけてフラスコ内に滴下した。
【0083】次いで、30分間攪拌した後、滴下ロート
にAIBN0.2gを溶解させたPGMEAを97.8
g仕込み、1時間かけてフラスコ内に滴下した。滴下
後、更に2時間攪拌して、室温に戻し、溶液状の(d)
成分である熱分解揮発性化合物を得た。
【0084】GPC法によりこの質量平均分子量を測定
したところ、10,700であった。さらに、溶液2g
を金属シャーレに量り取り、150℃の乾燥機で3時間
乾燥させることにより求めた熱分解揮発性化合物の濃度
は13.6質量%であった。
【0085】〈実施例1〉テトラエトキシシラン11
6.7gとメチルトリエトキシシラン78.5gとをプ
ロピレングリコールモノプロピルエーテル(PGP)3
39.8gに溶解させた溶液中に、70%硝酸0.92
gを溶解させた水64.2gを攪拌下で30分かけて滴
下した。滴下終了後5時間反応させ、ポリシロキサン溶
液を得た。この溶液に、合成例1で得た熱分解揮発性化
合物198.9gを添加し、ロータリーエバポ−レータ
ーを用いた減圧下、温浴中で生成エタノール及び低沸点
物質を留去して液状の600gのポリシロキサン/熱分
解揮発性化合物を得た。次いで、この溶液に2.4%の
テトラメチルアンモニウム硝酸塩水溶液40.4gを添
加して本発明のシリカ系被膜形成用組成物を調製した。
【0086】〈温度−応力曲線の測定〉 (1)応力測定用サンプルウエハの製作 実施例1で得たシリカ系被膜形成用組成物を回転数13
50rpm/30秒で複数のSiウエハ上にそれぞれ回
転塗布して被膜を形成した。回転塗布後、Siウエハ毎
に所定の条件で加熱し、被膜中の溶媒を除去してシリカ
系被膜を形成した。このときの各Siウエハに対する加
熱条件は、100℃/3分加熱、150℃/3分加熱、
200℃/3分、250℃/3分加熱、300℃/3分
加熱とした。また、別途製作した300℃/3分加熱に
よりシリカ系被膜を形成したSiウエハを、O2濃度が
100ppm前後にコントロールされた石英チューブ炉
で400℃/30分間かけてその被膜を最終硬化した。
【0087】(2)膜厚測定 各サンプルウエハ上に形成されたシリカ系縁膜の膜厚
を、エリプソメータ(ガートナー社製;エリプソメータ
L116B、使用波長:633nm)で測定した。具体
的には、層間絶縁膜上にHe−Neレーザー光を照射
し、指定波長における照射により生じた位相差から求め
られる膜厚を測定した。
【0088】(3)応力評価 各サンプルウエハの‘反り’の量を上述した[温度−応
力曲線の取得方法]に記載した方法及び手順に従って測
定した。得られた‘反り’の変位量、上記の膜厚測定
値、及びその他のパラメータ値を式(3)に代入しシリ
カ系被膜の応力を算出した。図1は、その算出結果をプ
ロットしたグラフであり、実施例1で得たシリカ系被膜
形成用組成物の温度−応力曲線を示すグラフである。な
お、図中の黒四角のシンボルはプロット点を示し、曲線
は各シンボルを結ぶように平滑化した(スムージングし
た)目安線である。
【0089】〈比誘電率測定〉上記〈温度−応力曲線の
測定〉(1)で作製したサンプルウエハのうち400℃
/30分で最終硬化したウエハ上のシリカ系被膜の比誘
電率を、上述した[比誘電率の測定方法]に従って測定
した。結果を膜厚と共に表1に示す。
【0090】〈弾性率測定〉上記〈温度−応力曲線の測
定〉(1)で作製したサンプルウエハのうち400℃/
30分で最終硬化したウエハ上のシリカ系被膜の弾性率
を、上述した[弾性率の測定方法]に従って測定した。
結果を表1に併記する。
【0091】
【表1】
【0092】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のシリカ系
被膜形成用組成物、シリカ系被膜及びその製造方法によ
れば、低誘電性に優れると共に十分な機械強度を有する
シリカ系被膜を得ることができる。また、その効果特性
において、200〜350℃の加熱温度領域に被膜の応
力の極大値が存在することから、従来に比して低温域で
硬化し、よって、そのシリカ系被膜が形成される基体へ
の入熱量を軽減できる。しかも、200〜350℃の加
熱温度領域に被膜の応力の極大値が存在するが故に、最
終硬化時に応力の低減を図ることが可能となる。よっ
て、シリカ系被膜を形成する際に、被膜の急激な応力上
昇を抑えることができる。よって、下層の配線等の機能
を損なうことを抑止できる。
【0093】また、本発明による電子部品は、かかるシ
リカ系被膜を有するので、デバイス全体の電気的信頼性
を向上させることができ、製品生産の歩留まり及びプロ
セス裕度の向上を図ることが可能となる。さらに、シリ
カ系被膜の優れた特性により、高密度且つ高品位で信頼
性に優れた電子部品を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1で得たシリカ系被膜形成用組
成物の温度−応力曲線を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 21/316 H01L 21/316 G 21/768 C08G 77/04 // C08G 77/04 H01L 21/90 S (72)発明者 阿部 浩一 茨城県日立市東町四丁目13番1号 日立化 成工業株式会社総合研究所内 (72)発明者 野部 茂 茨城県日立市東町四丁目13番1号 日立化 成工業株式会社山崎事業所内 Fターム(参考) 4J035 BA01 BA11 CA162 CA182 CA272 CA282 CA292 EA01 EB02 EB03 EB10 LB01 4J038 DL021 DL031 DL061 DL071 DL081 KA04 KA06 NA19 NA21 PA19 PB09 5F033 QQ74 RR25 SS22 WW00 WW03 WW09 XX19 XX24 5F058 AA02 AA10 AC03 AF04 AG01 AH02

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シロキサン樹脂を含有して成り、流動性
    を有し、且つ、基体上に塗布された膜状態において熱が
    印加されたときに硬化してシリカ系被膜が形成されるシ
    リカ系被膜形成用組成物であって、 前記膜状態における加熱温度に対する前記シリカ系被膜
    の応力の変化曲線において、200〜400℃の温度領
    域に前記応力の極大値が存在するような硬化特性を有す
    る、シリカ系被膜形成用組成物。
  2. 【請求項2】 (a)成分:下記式(1); R1 nSiX4-n …(1)、 (式中、R1は、H原子若しくはF原子、又はB原子、
    N原子、Al原子、P原子、Si原子、Ge原子若しく
    はTi原子を含む基、又は炭素数1〜20の有機基を示
    し、Xは加水分解性基を示し、nは0〜2の整数を示
    し、nが2のとき、各R1は同一でも異なっていてもよ
    く、nが0〜2のとき、各Xは同一でも異なっていても
    よい)、で表される化合物を加水分解縮合して得られる
    シロキサン樹脂と、 (b)成分:前記(a)成分を溶解可能な溶媒と、 (c)成分:オニウム塩と、 (d)成分:250〜500℃の加熱温度において熱分
    解又は揮発する熱分解揮発性化合物と、を含有して成る
    請求項1記載のシリカ系被膜形成用組成物。
  3. 【請求項3】 前記(a)成分は、Si原子1モルに対
    する、H原子、F原子、B原子、N原子、Al原子、P
    原子、Si原子、Ge原子、Ti原子、及びC原子から
    成る群より選ばれる少なくとも一種の原子の総含有割合
    が0.65モル以下のものである、請求項2記載のシリ
    カ系被膜形成用組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか一項に記載のシ
    リカ系被膜形成用組成物を基体上に塗布し、塗布された
    被膜を加熱することにより形成される硬化膜から成るシ
    リカ系被膜。
  5. 【請求項5】 比誘電率が3.0未満である請求項4記
    載のシリカ系被膜。
  6. 【請求項6】 弾性率が2.5GPa以上である請求項
    4記載のシリカ系被膜。
  7. 【請求項7】 請求項1又は2に記載のシリカ系被膜形
    成用組成物を基体上に塗布し、塗布された被膜を加熱し
    て該被膜を硬化せしめるシリカ系被膜の製造方法。
  8. 【請求項8】 素子構造が形成される基体上に絶縁膜が
    形成された電子部品であって、 前記絶縁膜が、請求項4記載のシリカ系被膜の製造方法
    により製造されたシリカ系被膜を含むものである、こと
    を特徴とする電子部品。
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